ファフニール? いいえポケモンです。   作:legends

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本日二回目の投稿です。

済みません、原作介入はもう少し先になりそうです……

※10/18:レックウザの突進を『ガリョウテンセイ』へと編集しました。


旅の始まり

 突如出現したドラゴン、“青”のヘカトンケイルによって自分達の町が踏みつぶされ、滅びの道を辿ろうとしていた所だが、一人の少女は背を向けずに立ち向かっていた。

 

 しかし目の前の存在は再生能力を持ち、いくら傷付けても修復するという反則級の力を持っていた。

 

 正しく“絶望”。この二文字が当てはまろうとしたその瞬間、突然漆黒の翼を生やした少年と、東洋龍のような外見の異形な形をした緑色の竜がヘカトンケイルの前に現れた。

 

 更にその竜は、姿を変えたではないか。状況を上手く飲み込めない少女と少年は丘の展望台で終始呆然としていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「WRYyyyyyyyy!! 『ガリョウテンセイ』で一気に突き抜けろぉぉぉっっ!!」

 

 ハイテンションになりながら“レックウザ”に跨る、ギラティナ特有の漆黒の翼を生やしているポケモンの力を持った少年、大河大和。

 

 彼はヘカトンケイルを迎え撃つべく、メガシンカしたレックウザと共に突進していった。

 

 緑のオーラを纏ったレックウザが強襲した直後、ヘカトンケイルを容易に貫き、巨大な穴を開けた後、くの字に曲げ吹き飛ばされながら仰向けに地に伏せた。

 

 メガシンカしたレックウザの最高速度は生半可なものではない。その突進は、世界を破壊する隕石をも砕く程だ。

 

 倒れ伏したヘカトンケイルの体が大きな衝撃と煙に包まれる。体重と攻撃の衝撃の影響によるものだろう。

 

「ヘイヘーイ! ねえねえカオナシ君今どんな気持ち? 自分と同じドラゴンに風穴開けられるなんて随分惨めだねー! うははははは!」

 

 レックウザから手を離し、自身に生えているギラティナの翼にて飛行する大和。彼は笑いながら舞い上がった煙の中に倒れているであろうヘカトンケイルに罵倒の言葉を浴びせる。

 

 そんな彼を驚かせるように煙から姿を現すヘカトンケイル。先程レックウザに貫かれた穴は修復している。

 

「ヒュ~♪ いいね。それでこそ戦い甲斐があるってもんだ」

 

 口笛を鳴らし、驚く様子もなく心底楽しげな表情をする大和。彼が右手の平をヘカトンケイルに掲げると、手の平前方から禍々しいと言わんばかりの漆黒の球体が三つ発生する。

 

「喰らえ! 三連シャドーボール!」

 

 大和の言葉と同時に、射出される暗黒の球体。それはヘカトンケイルの胴体に直撃し、直撃する度に爆発しその巨大な体が仰け反る。

 

「レックウザ! 竜の波動だ!!」

 

 更に大和がレックウザに顔を向けて声を掛けると、その呼び掛けに応じたレックウザはヘカトンケイルに向けて口を開く。

 

 その瞬間七色の強大なエネルギーが口元に発生し、竜の形を彩った巨大な衝撃波が勢いよく放たれた。

 

 例えるならドラゴンブレス。その力はヘカトンケイルの右腕に直撃し、大爆発。

 

 一瞬にして跡形も無く消し飛ばした。

 

「うおお……つえぇ……。流石というべきか見事というべきなのか分かんねえけど、やはりレックウザは強さが半端ねえわ」

 

 その威力に大和は心底驚く。効果は抜群だ! というテロップが大和の頭に流れたような気がした。

 

 しかしヘカトンケイルも負けじと消し飛ばされた右腕を再生させる。

 

「……まーた再生かよー。全く、反則だろうが。あいつ、技が自己再生ぐらいしかないのかよ……っておろ?」

 

 大和が溜息を吐くと、突如後方から強大なエネルギーを感じた。波導を使用する事もなく感じたその力は、正に絶大。

 

 彼が振り返ると、この場所から数百メートル地点にある丘の展望台。そこには―――途轍もない程の『巨大な大砲』が出現していた。

 

 十数メートルは及ぶ砲身に、回路やパイプがむき出しになっている砲台の銃口が此方を向いている。

 

「何……だと……」

 

 何かと思えば、近現代でも見たことのない巨大な砲塔。思わず大和は自然と口を漏らした。

 

 それと同時に、リムが告げる。

 

『あれは……上位元素で作られた対竜兵装です。マスター、ここから離れた方が宜しいかと思います』

 

「いっ!? マジで!? そんなヤバイものなの?」

 

『はい。あれは、爆発に巻き込んだものを分解させる殲滅兵器です。マスターとレックウザが巻き込まれる恐れがあるので、ボールに戻した方が良いかと……』

 

「ッ! そ、そうか……。なら戻れ、レックウザ!」

 

 リムの言葉に危機感を抱いた大和はボールを持ちながらレックウザに向けると、白い閃光がボールから放たれ、レックウザをボールの中へ戻す。

 

 そのボールをポーチに収納すると、翼を使いつつヘカトンケイルと大砲を挟んだところから離脱する大和。

 

 その砲塔が此方を向かずにヘカトンケイルに向けたままであるのを見れば、標的は自分ではないことが判明し、安堵の息を吐く。

 

「そういや、あれは何っつーの?」

 

『竜を殲滅させる過去の文明の兵器――――通称“マルドゥーク”です』

 

「マルドゥーク? あれか? 神々を食い荒らすゲームに出てくる奴か? あ、ちなみに俺はバスターとブラスト派ね」

 

『…………』

 

 話の意図が良く伝わっていないのか、馬鹿な返答をする大和に呆れかえるリムだった。

 

 

 ―――――発射(ファイア)っ!!

 

 

 そんな話をしている内に何処からともなく少年の張り上げた声が聞こえた瞬間、砲塔から蒼白い特大の弾丸が放出される。

 

 青い弾丸は空気を切り裂きながらヘカトンケイルに一直線上に向かい、着弾し爆発を起こす。

 

―――その刹那、ヘカトンケイルは一瞬で塵と化し、消滅した。

 

「……はい?」

 

 思わぬ幕切れに、大和はあっけらかんとした声を出す。

 

「ちょ……何あれ……。一撃必殺? 奴は再生能力持ってんのに一瞬で消えたってどういう事? ああいうもんなの?」

 

『ああいうものです』

 

 信じられない表情をしている大和にリムが何気なく答えると、尚更あり得ないと絶句してしまう。

 

「はあ……まあいいや。脅威も消え失せたことだし、これからどうすっかな……」

 

『では、この世界の各地を見て回っては如何でしょうか? ドラゴンについて知るのもいい機会でしょうし』

 

「んじゃ、そうすっかねー。さっきいた子供二人にこの姿バレたらFBIに見つかってしまうかもしれないし」

 

 彼が言う子供達二人というのは丘の展望台の上に佇む少年少女である。既に二人の波導を大和は感じ取っていた。

 

『見つかりませんし、かく言うあなたも子供ですよ』

 

「あい? オレっちはピッチピチの高校二年生ですが何か?」

 

『……今のあなたは小学生にしか見えませんが?』

 

「うっそん!? マジで!?」

 

『マジです。転生であなたは小学生の顔付きと背丈になっていますから』

 

 自分からは分からないが、体を眺めて何となく察しがついた大和はあははーと笑う。

 

「マジかー。いやー、まさかガキの姿になっちまうとは思わなかったのん。……でも成長していく内にポケモンの力の使い方も分かるし、この世界の事も分かるしね!」

 

『この世界のことについては、私からもいくつか教えます』

 

「あざっす!」

 

 腕輪姿のリムに右手で敬礼し、礼を述べた後、大和は何処か遠くへ向けて飛んで行く。

 

 彼の旅は、ここから始まったのだった。

 

 

 

 

 

 しかし、倒れ伏す少年の介護をする少女は飛んで行く大和の姿をバッチリと捉えられていたのを彼は知らない。

 




今回は少し短めでした。如何でしたでしょうか?

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