ファフニール? いいえポケモンです。   作:legends

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サブタイトルが意味☆不明ですが、原作開始した時の話です。

そして、ネタ全開の回ですw




始まりの日
最近のドラゴンって随分デカいんだな


「来ないで……来ないでよ……」

 

 少女が少年の傍で目の前の存在に向けて泣きながら懇願している。

 

 その存在とは、決して人間ではなく、世界各地を歩き回るただひたすら大きい巨人とも読み取れるモノ、通称“ドラゴン”。

 

 その身体は青い鱗で覆われ、雲間からは目も鼻も口もないのっぺらぼうの様な頭部らしき部分が見える。

 

 二足歩行で歩く巨人はただ歩き続け、ありとあらゆるものを踏みつぶしていた。

 

 二人は住んでいる街から離れた丘の展望台で、凄惨な光景を見届けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うーん……うるせーな……」

 

 ドラゴンが歩き続けている場所からどれくらい離れているか分からない町の一角。そこにはウエストポーチを付け、パーカーを着ている小学生と思わしき外見の少年が仰向けで寝そべっていた。

 

 ズシンズシンと響く音に目を擦りながら意識を覚醒させる。ぼやける視界が晴れると少年は驚愕の表情に満ち溢れる。

 

「うわ!? なんじゃありゃあ!?」

 

 見上げると青い巨人の姿が。しかもトンデモなく巨大で、その影は自分の姿を容易に覆い隠す程だ。

 

 幸い巨人は少年の側におらず、直進に進んでいるため此方側まで被害が及ばなかったものの、目の前の存在が一度歩く度に家や地が陥没、振動し、砂塵を巻き上げ、煙が漂う。

 

「あんなのドシンする巨人でも見たことないぞ!? 一体何なんだよあのデカブツ!」

 

「あれは、“青”のヘカトンケイルです、マスター」

 

「……誰だぁ!?」

 

 目の前の存在に気を取られ過ぎて、後方から発せられる声の反応に驚愕しながら振り向く。すると、メイド服を着用し緑色の髪に青い瞳の大人な雰囲気を醸し出している女性が佇んでいた。

 

 少年はこの場所でコスプレする物好きもいたもんだな~と苦笑いを浮かべながら思った。

 

「残念ながら、コスプレではありませんよ」

 

 しかし、少年が内心思ったことを彼女は表情を変えずに一蹴する。

 

「心を読まれた!? サードアイないのに!?」

 

「可能です。何故なら私はあなたのデバイスだからですよ、マスター」

 

「デバイス?」

 

 デバイスと聞くと、リリカルな魔法少女のアニメが脳裏に思い浮かぶが、それと同じなのかどうかと訊ねようとした瞬間だった。

 

「来ないでぇぇぇぇっ―――――!!」

 

「ッ!?」

 

 突然の張り上げられた声に意識が女性から巨人に向く。

 

「デッケぇ声! ……ってそれよりもアレ何だ!?」

 

「先程仰ったでしょう。“青”のヘカトンケイルですよ」

 

 不意に女性に訊ね、返答を聞いた少年は「あ」と口から言葉が漏れる。

 

 自分の名前は大河大和。そしてここは、銃皇無尽のファフニールの世界。確かあれは物語の序盤で出てくる“ドラゴン”だ。

 

 流石に今後の展開は分からないが、どうやら転生するのに成功したらしい。

 

「最近のドラゴンって随分デカいんだな。それよりもあんさん誰? デバイスって言ってたけど」

 

「はい、その通りです。私は、メガリングでもありデバイスでもある……。名をリムと申します」

 

「???」

 

 女性が口にした言葉“メガリング”。それはある特定のポケモンにメガストーンと呼ばれる特殊な石を持たせておくと、メガシンカをする事が出来る未知のアイテム。

 

 そのメガリングの存在を大和は存じているが、何故リムと呼ばれる彼女自身がメガリングと名乗るのだろうか? 

 

「……流石に分かっていなさそうですね。では、腕を差し出して下さい」

 

「こうか?」

 

 疑問を浮かべていた大和だったが、彼女の言う通り左腕を突き出す。その途端、リムの体が白い輝きに包まれた。

 

 ぎょっと驚愕に満ち溢れる大和。更に白い閃光を放っているリムが突然粒子状に化し、彼の腕に迫る。

 

 粒子が彼の手首に蛇の如くとぐろを巻くように包まれると、そこには七色に光る宝石、通称“キーストーン”が埋め込まれている漆黒色の一つの腕輪が完成していた。

 

「んなっ……これが、メガリング……?」

 

『そうですマスター。こんな風に声も発せますよ』

 

 目を丸くし、腕を動かしてマジマジと眺めていた大和だったが、メガリングのボタン部分のような箇所もとい、キーストーンが埋め込まれている部分からリムの声と共に発光し、またも驚愕する。

 

「何か玩具みたいだな。商品みたく発売できそう」

 

『失礼な。私は玩具ではありません。正真正銘のメガリングです』

 

 ゲームやアニメでのみ見た事がないものを、実際に手にする事ができニヤケる大和と、その言葉に反論するリム。その際、ヘカトンケイルという名のドラゴンはどこからともなく放たれた黒い球体が直撃し、再生したのを大和は知らない。

 

『……話を戻します。あれはこの世界のドラゴンでもあり、“青”のヘカトンケイル。どんな攻撃を受けてもすぐさま再生するという脅威的な回復力を持つドラゴンです』

 

「え? じゃあどうやって倒せばいいんだよ?」

 

『あなたはポケモンの力と技が使えるはずでしょう? であればその力を使用してご健闘して下さい』

 

「そういえばそうでしたわ」

 

 上手く転生できたなら、ポケモン関係の力を使えるかもしれない。そう思った大和だったが……。

 

「……具体的にどうすればいいんだ?」

 

 最初は誰であろうと流石に上手く使いこなせるはずがない。その状況下に陥っていた。

 

『頭の中でイメージして下さい。あなたの中で強いと思っている、もしくは好きなものを』

 

「好きなポケモン……」

 

 彼は思考をフル回転させる。自分が好きなポケモンといえば、『プラチナ』の時に出てきた伝説のポケモン……。

 

 そう思った瞬間、彼の背中から黒い『もや』のようなものが漂う。次第にそれは形を成していき、終いには一対の漆黒のボロボロの翼が完成していた。

 

 この世の裏側に生息されているという反骨ポケモン、『ギラティナ』の翼だ。

 

 転生前、彼はよくギラティナを愛用していた名残だ。加えてその形状は、オリジンフォルムの翼ではなく、アナザーフォルムの翼である。

 

「いいっ!? 何かボロボロの翼が生えちゃった!」

 

 しかし、当の本人は生えた翼に気付いていなかったのか、目を飛び出さんとする程驚いていた。得体も知れない物体を身に宿しているため仕方のない事といえば仕方のないのかもしれないのだが。

 

『それはアナザーフォルム形態のギラティナの翼ですね。ちなみに今後、一度出した以上、他の翼には出来ません』

 

 リムの発光により大和は「ええっ!?」と声を張り上げる。

 

「それ最初に言ってくれよ! マジかよー……これじゃ人間止めてるじゃん」

 

『元からでしょうに』

 

「うっは、言うねえ。ま、しゃーなしだわな。ギラティナ好きだし、欲を言えばオリジンフォルムの方が好きなんだけど、これはこれでカッコイイし別にいいか」

 

 納得したように言った大和は側にあったウエストポーチを腰に巻き、背中にある違和感に力を込めると、ボロボロの翼が羽ばたき、そのまま飛翔する。

 

 その行動にテンションがダダ上がりになるが、叫びたい衝動を抑えつつ、ヘカトンケイルの胴体部分まで飛ぶと、一旦停止する。

 

「うっひゃあ、これどんな体なんだ? まるで鱗だらけのスレンダーマンだな。スーツ着てないし腕足太いけども―――っと!?」

 

 ヘカトンケイルの体を凝視していると、彼の背後から黒い球体が迫り来る。それを察知した大和は体を横へ逸らして避けると、ヘカトンケイルに直撃し鈍い衝撃音が響く。

 

「あれ、何でオレ今の避けれたんだ? ていうか、今の何だ?」

 

『順番に言いましょう。あなたは無意識に力の“波導”を感じ取れたために避けきれた。そしてあの黒い球体は上位元素(ダークマター)と呼ばれるモノで、この世界でありとあらゆるものに転換できる因子です』

 

 大和の疑問に答えるようにメガリング……もといリムが淡々と言い放つ。

 

 波導とはルカリオのみが使用する波導であり、この力によって全ての物質の気やオーラを探り取ることができる。

 

 大和が納得していると、上位元素の球体が直撃したヘカトンケイルの胸や肩がみるみる修復されていく。

 

「本当だ。さっき鈍い音したのにすぐ自己再生しやがる。出鱈目な……」

 

 リムの言葉通り、ほとんど一瞬で修復された事に歯噛みをする大和。

 

 厄介なモノだなと思いつつも、自分の力を試すにはいい機会なのではと、両拳を握りしめる。

 

「言い方悪いかもだけど、サンドバッグにはなってくれるよな?」

 

 大和はヘカトンケイルを見据えると、ニタリと口元を歪める。

 

 ヘカトンケイルは、大和を目前にしてからか、動きを止めている。

 

 その行動に、どんな意味を示しているか疑問に思うが、同時にそれを好機と見た大和がいつでも攻撃できるよう態勢を整えると、腕輪状態のリムに声を掛ける。

 

「おいリム! オレはポケモンの力だけじゃなく、ポケモン自体を召喚することも出来るようになってんだよな!」

 

『はい。そのポーチにモンスターボールが三つ入っています。ボールから出す際にどのポケモンかを念じれば、自然と出てくるようになっています」

 

「三つか。しかもどのポケモンでもいいっていうのはサービスいいな!」

 

 そう言いながらウエストポーチの中を弄ると、上面が赤色、下面が白色、中央にボタンがある手のひら程の大きさのボールを取り出した。

 

これが、ポケモンを収納、あるいは出す事が自在にできる“モンスターボール”。

 

「……よし最初の奴は決めた。行けっ、レックウザ!!」

 

 そして、格好つけるようにボールにキスした後、勢いよくサイドスローでボールを放り投げた。

 

『キリュリリュリシィィ………ッ!!』

 

 投げ放たれたボールが開かれると、一つの影が飛び出す。

 

 それは全身緑色で、東洋龍の如く蛇のような姿をしており、黄色いタトゥーのようなものを身に刻んでいる天空ポケモン、レックウザ。

 

レックウザ独特の鳴き声を発し、ヘカトンケイルを威嚇する。

 

「かーらーのぉぉぉ?」

 

 大和がイラッとするような言い方をした後、右腕を横に突き出し、左腕を胸の前に掲げる。

 

「天空まで届け、この思い! そして、進化を超えろ、メガシンカァァァァァッ!!」

 

 彼が叫ぶと同時に右手人差し指と中指ををメガリングに埋め込まれているキーストーンに添える。そして、勢いよく天に左腕を掲げた瞬間、大和とレックウザから七色の光が発せられる。

 

 レックウザが七色の光から解放されると、姿形が変化していた。顎が万年筆状になり、粒子を放つ黄色い髭と尾びれが生え、皮膚の何か所にも黄色い斑点が出来たレックウザと化していた。

 

 これぞ、追加された要素、『メガシンカ』である。

 

 メガシンカとは、ポケモンは急激に成長する『進化』を行うが、これは『進化を超えた進化』とされるもので、通常の進化とは異なる、限界を超えた『ポケモンの進化』である。

 

 レックウザは古の時代から伝わる、超古代ポケモンである事もあって、通常の進化はしない。

 

 しかし、本来オゾン層で暮らすレックウザは飛来した隕石を喰らい、エネルギー源として体内に蓄え、その力で覚醒した姿がこのメガシンカしたレックウザ、通称“メガレックウザ”である。

 

 レックウザがメガシンカした直後、大和を中心に反時計回りに放物線を描きながら回り、彼の前方に守るように立ち塞がった瞬間、突如として天候が変わり、謎の乱気流が発生した。

 

 これがメガシンカしたレックウザの特性、“デルタストリーム”である。

 

 この特性の効果は、天候を変化させる技、特性を無効にする特性で、飛行タイプの防御相性を二倍から等倍にするものである。

 

 どういう事かというと、本来であればドラゴン・飛行タイプであるレックウザは、飛行タイプの弱点である岩、氷タイプに弱い(ドラゴンタイプが含まれているので電気タイプは除く)。特に氷タイプの攻撃に至っては、ドラゴンタイプである事も相まって、四倍ものダメージを受ける。

 

 しかし、この特性の恩恵により、上記二タイプの弱点特攻を無効化でき、氷タイプの攻撃も二倍に下がるものとなるのである。

 

「フッフフ……さいっこうだぜぇ。まさか直でモノホンのレックウザが見れるとは」

 

 気分が最高潮に達した大和はレックウザの体に両手で掴み、馬の背中に乗るように跨る。

 

「さあレックウザ、行くぜオイ……」

 

『――――――――ッ!!』

 

 竜に乗った彼に返事するかのように叫び声を上げるレックウザ。

 

 そして、ただ地に佇んでいるヘカトンケイルに向けて勢いよく突貫して行った。

 




……やり過ぎたかも。だが、後悔はしていないッ。

余談ですが、メガリングは腕輪型デバイスのこととありますが、大和はそれを分かっていないだけです。後、ORASはメガバングルとありますが、個人的にはメガリングの方が好きですw

今回からいきなり伝説ポケモンのレックウザが出てきました。しかもレックウザ先輩のメガシンカした時のステータスはマジパネェ……。鬼畜数字w

さて皆さんはどのようなポケモンをパーティに入れてますか? 自分は伝説系統は必ず入れて、ガブリアスのような600族は必ず入れますねwww ドラゴンタイプ好きなのでw

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