ファフニール? いいえポケモンです。   作:legends

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神様転生もの三作品目です。また思わず衝動で書いてしまいましたが、銃皇無尽のファフニールのアニメ化記念に伴い、書いてしまいました。

ただ相変わらず不定期な所は譲れません……。済みません。それではどうぞ!




オレが転生!? ……テンプレですね分かります

「よし、銃皇無尽のファフニール買えた! 残り少ない金で買えるとは……ふっ、やったぜ」

 

 商店街でショルダーバッグを肩からぶら下げ、スキップをしながら歩く少年、大河 大和(たいが やまと)。何故テンションが高いのかというと、彼は学校からの帰り道、本屋に立ち寄り一冊の小説を購入したのである。

 

 その名も、『銃皇無尽のファフニール』。

 

 昨日彼が何となくネットを漁っていたら、W〇kiでその名前を発見し、内容を軽く調べてみると興味が湧き、早速翌日の学校の帰りにこうして買った訳だ。

 

「~♪」

 

 鼻歌まじりに歩き続ける大和。彼の側を通り過ぎる親子連れや年寄りに変な目で見られていたのを大和は知らない。

 

「あっ、そういやまだ図鑑コンプしてなかった……」

 

 待ち遠しさに心躍らせながら気分を良くしていた大和だったが、彼はふと現在プレイしている、あるゲームを思い出す。

 

 ―――それはポケモンという世界的に有名なゲームである。

 

 彼が持っているポケモンのゲームは全て殿堂入りを果たしており、ストーリー展開も全てクリア済みである。

 

 最近では通常とは異なる進化―――通称『メガシンカ』が関わるようになり、特定のポケモンがメガシンカするために必要な『メガストーン』も全て手に入れている。

 

 そんなポケモンにどハマり中の彼が、唯一困っている事がある。それは、ポケモン図鑑の完成。

 

 実は、彼が購入したポケモンのゲームの中で、図鑑を完成させた事は初代を除いて無いのである。更に、当初発売されたポケモンの数は百五十一だったにも関わらず、時代の進歩と共に遂には数百以上の数まで増えてしまった。

 

 増してや、伝説系統のポケモンは一筋縄では手に入らない程過酷になっている。

 

「あー……種族値の問題もあるし挫折しそうだな……。いや、諦めんなよオレ! 諦めたら試合終了なんだから!」

 

 某有名バスケ漫画に出てくる先生と年中熱い人物の台詞を交えながら自問自答する大和。

 

「まあ今度の休日にでもやり込むとして、ファフニール読みたいん! だからさっさと帰ろ」

 

 意気込んだ大和は走って帰る事にした。だがその行動によって、後悔の念を抱くことになる……

 

 途中、交差点があり、横断歩道の信号は青になっていたため、そのまま走る速度を緩めずに突っ切ろうとした。

 

 ―――その時だった。

 

 まさか信号無視で猛スピードを出している車が、丁度彼の元に差し掛かろうとしていたのは。

 

「ふぇ?」

 

 横に目を向け、予想外の出来事に思わず間抜けな声を出していた。

 

(あれ、これって……オレ死んだ?)

 

 内心にて短い人生だったなあと思いつつ、彼は意識を手放すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん……?」

 

 気が付くと、彼は仰向けで倒れていた。

 

 オレは信号無視した車に轢かれて死んだはずだ。だが場所が違う。見えるのは真っ暗な天井だ。

 

 不信に思った彼がよっこらせっと言いながらどういう場所なのかを把握しようと起き上がると、辺り一面、真っ黒い空間が広がっていた。

 

「うわ、まさかオレ『謎の場所』に迷い込んじゃったぽい? だったらあれだな。禄に死ねずに閉じ込められちまった!? もしくはファンタジーみたいに変な場所に飛ばされたとか!?」

 

 うがーと頭を抱えてトチ狂ったように暴れながら思考を巡らせる大和。

 

『……どれも違いますよ』

 

「んえ?」

 

 彼の後方から透き通るような声が発せられ、振り返ると純白のワンピースを着ている女性の姿が。

 

「見ない顔っすね。アンタ誰?」

 

『当然です。私とあなたは初対面ですから。ちなみに質問の答えは……まあ神様と言った所です』

 

「……え?」

 

 か、神様? こんな美人な女性が? 大和はこの人が本物なのかそれとも痛い人なのかと失礼混じりなことを考えつつも混乱していた。

 

『……その様子だと分かっていない感じですね。ですが無理もありません。普通ははっきり言ったとしても説得力がありませんから……』

 

「まあ色々考えてもアレなんで細かい事は抜きで。んで、ここに呼んだのってアンタか?」

 

『……はい。実はあなたに謝らなければならないんです』

 

 その女性が申し訳なさそうにする様子を見て、大和は疑問に思う。

 

『実は、あなたは本来、まだ死ぬつもりはなかったのですが、私が誤って手違いを起こしてしまい、寿命に達さないままあなたを死なせてしまいました……本当に申し訳ございません……』

 

 目の前の人物の突拍子もない発言と共に深々と頭を下げる様子に大和は動揺する。しかし嘘をついているような様子は見受けられず、改めて死んだんだなと認識した。

 

「んじゃあオレ死んだって事? 実感湧かないなー。まああまり気にしてないけど、まだやり残したことはあったな」

 

『本当に済みませんでした……』

 

「だからいいって……。それよりもこれからオレはどうなるんっすか?」

 

 謝り続ける女性にそんなに気にするなと言わんばかりに手で制した後、質問する。

 

『……本来であれば死んだ人間は天国か地獄に行くのですが、あなたは起きるはずのない不慮の事故で死んでしまいましたので、別の世界に転生させることにしました』

 

「転生? 所謂二次創作的なアレ?」

 

「はい。転生先は『銃皇無尽のファフニール』の世界と決まっています』

 

「ダニィ!? 銃皇無尽のファフニールゥゥゥ!? まだちゃんと読んでないのにぃぃぃ!?」

 

 声を張り上げた後、大和はネットで時々見かける文字orz……四つん這い状態になり、彼からズーン……とブルーな効果音も聞こえるような気がした。

 

 こんな事なら歩きながらでも読めば良かった……と思いつつ、そこへ女性が大和の落ち込みを直すためにフォローをかける。

 

『だ、大丈夫ですよ! 転生した時にアドバイザーを現地でお渡しする予定でいますので!』

 

「アドバイザー?」

 

『はい! 簡単に言えばその世界で上手くやっていけるような人材です』

 

「ならいいんだけど……」 

 

 大和はそれを聞いて、渋々ながらも納得した。

 

『それでですが、転生する際、何か特典を付けようと思っているのですが如何ですか?』

 

「特典? 例えばどんなの?」

 

『ええとですね……前に二人程転生した人がいるんですが、一人目はカービィの力、もう一人はサイヤ人の力でした』

 

 女性は何やら紙のような物を持つと、そう言った。余談だが、大和が不意に神だけに紙ってか! ……という事を思いついた。下らない。

 

「へえー。どっちも強そうだな。どっちも宇宙人でコピー能力使えるとか世界破壊できる力を持つとか。マジ裏山ですわ」

 

『勿論その力でも宜しいですが、あなたのお望みする力をいくつでもご用意できますよ』

 

「オレの、ねえ……」

 

 大和が思考を模索していると、あるものを思いついた。

 

「あ、好きなポケモンをモンスターボールから召喚できるような力をお願いしやす!」

 

『はい、分かりました。それで、他に何かございませんか?』

 

「後は……」

 

 

 

 その後、大和が出した意見を表記すると―――

 

 

・出せるポケモンはレベルに関係なく『能力』、『技』、『特性』を使えるようにする

 

・自分自身もポケモンの『技』、『能力』、『特性』を使えるようにする

 

・メガリングだけを装着し、メガストーン無しでもメガシンカも可能にする

 

・ポケモンの特殊な形態変化(ゲンシカイキ等)も可能にする

 

 

「こんな所っすね~」

 

『なるほど。でも、これだけで宜しいのですか?』

 

「ん? ああ、大丈夫っすよ。あっちの世界でもドラゴン出るから、ポケモンの力を見してやる! という事で」

 

 大和はゲスな笑みを浮かべながら告げた。

 

『……分かりました。では、間もなく転生させます。準備は宜しいですか?』

 

「いつでもカモン!」

 

『それでは、第二の人生をお楽しみください』

 

 女性がそう言うと、大和の目の前が真っ暗になり、その場から消えた。

 

 

 

 

 

「ふう……またやらかしてしまいました……」

 

 大和を転生させた後、女性は息を吐きながら一言呟く。

 

 これで不慮の事故を起こしたのは通算三回目。自分がミスするのはよくある事なのだが、いつまで経ってもこの様ではダメだ。だから努力しているのにも関わらず、死なせてしまった。

 

「神様失格ですね……」

 

「もうお母さん、いつまでも嘆いていてもダメでしょ?」

 

 女性が嘆いていると、側に自分よりも若い風貌の少女が近づいてきた。

 

 彼女も神様候補の一人だ。自分が起こしたミスを認めた上で二人目の人間を転生させる事になった者でもある。

 

 ダメな自分とは違い、彼女はしっかりとしている。

 

「人間だって、失敗するごとに正せるようになるんだから。だから、元気出して」

 

 自分にこうして助言する辺り、優等生なのではないか?

 

「…………ありがとう。それで、何故ここに来たの? もう転生させたのに」

 

「いや、さっき聞いてたんだけど、アドバイザー付けるって言ってたでしょ?」

 

「その事が何か……?」

 

「それさ、折角だからアドバイザーとあの子が言ってたメガリングを一緒にしない?」

 

「……?」

 

 一緒にするとは、一体どういうことなのだろうか。

 

「合体させて、所謂デバイスみたいな物にするのよ。その方が、何か自然じゃない?」

 

「……そうね。そういう考えも面白いわ。でしたら有言実行。すぐさま取り掛かりましょう」

 

 女性が意気込むと、その少女と共に手続きを済ませることにした。

 




という訳で、意外に長いプロローグでしたw

次回は原作開始……というのは建前で、それプラスオリジナル回も入る予定でいます。

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