ピピピピピピピ・・・・
ばしっ!
「どこだ?ここ・・・」
目を開けると見慣れる天井が。・・・ああ、そうか。もうあのマンションじゃないんだっけ。
モゾモゾと布団からはい出て、顔を洗った後早速朝食の準備。
なんだかんだ昨日結構食べたからな。量は抑えめで良いか。
一瞬ためらった後、冷蔵庫の中身をチェック。・・・和食で良いか。
とりあえずあじの開きを焼き始めた。それから水を沸騰させて出汁を入れてからワカメ、油揚げを投入。
最後にみそを適量とって溶かす。後は弁当用のおかずをいくつか作って終了。
・・・さて、レナを起こしてくるか。
レナの部屋は俺の部屋の隣にある。なぜ先に起こさなかったのかというと、まあ、レナが強敵だからとだけ言っておこう。
コンコン・・・
「レナ~起きてるか~?」
「・・・・・・」
返答無し。・・・やっぱり。
「入るぞ~」
ガチャ・・・。
「すー・・・すー・・・」
レナ、完全爆睡中。・・・やれやれ。
「レナ~起きろ~!」
とりあえずレナの身体を揺する。
「んん・・・すー・・・すー・・・」
・・・やっぱり駄目か。
仕方がない、夏以外の季節で(特に冬)効果的な起こし方を・・・。
バサァ!
掛け布団を思い切り引きはがした。
「う~ん・・・だれ~?私のふとん~・・・」
寝ぼけ眼でむくりと身体を起こした。
「おはよう、レナ」
「・・・・・!?お、お兄ちゃん?なんでこの家にいるの!?」
「・・・昨日のことを忘れたのか?」
「・・・あー、ごめん。そうだった。・・・もう家族なんだっけ」
「朝飯作ったからさっさと準備しろよ~・・・あと、二度寝禁止」
「は~い・・・」
レナの返事を背に俺は部屋を出た。
バタン。
朝の大仕事完了・・・っと。
「レナ起こしてきましたー」
「おう、ご苦労さん。お、久しぶりの洋食だ」
昨日結構な量を食べたからフレンチトーストに、ベーコンや野菜をのせた簡単な物にした。
「おはよ~・・・・おー、良いにおい」
「よし、全員そろったところで・・・いただきます」
「「いただきま~す」」
「それじゃ、マスター行ってきます」
「ちゃんと掃除とかしててよね」
「分かってるよ。遅れるから早く行け~」
レナの学校は途中まで方向が一緒らしいから、そろって歩き始めた。
「そういやレナは進路とか決まってるのか?今年で中三だろ?」
「うん、一応私も桜高が良いなって思ってるんだけど・・・偏差値も一応クリアしてるし」
やっぱり地元が楽だよな・・・近いし、顔見知りも多いし。
「レナって偏差値どれくらいなんだ?」
「う~ん・・・だいたい65くらい?」
私立校なら余裕で合格できるレベルじゃん。・・・けど何で、浮かない顔してるんだろう。
「何か不安でもあるのか?」
「うん・・・お兄ちゃんの代から共学になったじゃない?そのせいで倍率上がっちゃって」
「そんなに上がったのか?」
「うん、それと特殊生制度の影響で偏差値も上がってるし。」
その特殊生である俺は何かとても済まないと思ってしまっているのだった。
「お~い!コウ君~!」
後ろから聞き覚えのある。ゆるい声が。振り返ると案の定唯が右手を振って駆け寄ってきた。
それと後ろから追いかけているのは・・・妹の憂か。・・・大変だな妹よ。
「あれ?唯さん?」
「あー!!れっちゃんだ~・・・久しぶり~」
ぎゅぅぅぅ・・・・。
「だ、抱きつかないでください!」
「お姉ちゃん・・・玲於奈ちゃん困ってるよ」
「あ、ごめんごめん。久しぶりだからつい~・・・えへへ」
「全くもう・・・あれ?もしかして、紅騎さん?」
「おう、久しぶりだな。」
「その制服・・・お姉ちゃんと同じ桜高なんですね。」
「ああ、桜高だ。・・・そう言うお前はレナと同じ中学か?」
「はい、あの・・・紅騎さんはいつ頃戻ってきたんですか?」
「大体2~3週間前くらいだけど、あれ?・・・唯から聞かなかったのか?」
ちらっと唯の方を見る。・・・・すっごい極端な目のそらし方をされた。
・・・・言ってないのか。まあ、良いけど。
「はい、というよりも。今日初めて知りました」
「そ、それじゃあ私たちはこっち曲がらないといけないから。・・・またね~二人とも~」
「あ・・・うん。行ってらっしゃいお姉ちゃん、紅騎さん」
「憂!信号赤になっちゃうよ~」
「あ、待ってよ~玲於奈ちゃん!」
憂とレナは小走りで横断歩道を渡っていった。憂が一瞬こっちをちらっと見たのは気のせいではないだろう。
「・・・アイツに言ってないのか?」
「うん・・・だって、あんなに重い話私の口じゃ言えないもん。それに・・・」
「・・・・それに?」
「・・・何でもない。ほら!遅刻しちゃうよ~コウ君!」
不意に唯が走り出した。・・・しまった。もうそんな時間か。
「おい、前見ていかないと転b・・・」
べちゃ・・・。
「・・・いわんこっちゃない」
・・・やっぱり天然だコイツ。