遊戯王ARC-Ⅴの世界に廃人がログインしました   作:紫苑菊

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祝、ジャンヌ・オルタ実装!
自分は見事に爆死しました・・・。ま、まあカレスコ来たし。泣いてないし。・・・友人のポンポコ3連には笑いましたが。

それから、少しまた忙しくなりそうなのでまた更新が遅れるかと思います。模試もあるし大変すぎる・・・。

それから、モンスターや魔法などの記載についてですが、どうしましょう・・・、今回もなしでやっていますが、もし書いた方がいいなら、感想にでも書いてください。参考にさせていただきます。

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煉獄の虚夢の効果にあるダメージ半減の効果を忘れていました。申し訳ありません。



第6話

 畜生、まさかこんなことになるとは!

 

 オベリスク・フォース、その第1隊を任されていた俺は思わず歯噛みした。簡単な任務のはずだったのだ。それが今、10人近くいた隊の面々の半分が気絶している。

 

 まあ、それも仕方がない。気絶した面々は爆心地に最も近かった。ライフが一瞬で消し飛ぶ衝撃を間近で受けたのだ、無理もない。彼らを責めるのは酷だろう。むしろ、責められるのは責任を負う立場にある俺の方だ。

 

 ・・・まあ、この件でたとえオベリスク・フォースの称号を剥奪されたとしても、それは罰だと思う。いくら向こうがから攻撃してきたとはいえ、友人を人質に、更にそれを利用して最重要注意人物に名前が挙がっていた男を葬るという外道にもほどがある計画を指揮したのだ。いくらこちらが大仰な大義を掲げたとしても、人としてのタブーに近い行為を行ったのだ。どんな天罰が下ったとしても、俺はそれを甘んじて受けるだろう。

 

 そう考えると、握りしめた手が緩む。部隊が瓦解しかけているのは、天の裁きのような気さえしてきた。

 

 ・・・あの女には悪いことをした。あの女を倒しきれないからと言って、いくらプロフェッサー直々の命令とはいえ、倒せた彼らの仲間を利用することで言うことを聞かせて、更には救いようがない状況、友人の命を自分で追い詰めなければならない状況に追い込んだ。謝れるなら謝りたいが、それを彼女が許す筈がない。それだけのことはしたつもりだ。

 

「・・・気絶した奴らを回収しろ。速やかに、だ。」

 

 俺は部下にそう命じた。後味は悪いが、あんな爆発を最も間近で受けたのはあの男だ。訓練された部下たちですら気絶するような爆発をその身に受けて無事なはずがない。自分の仕事は終わったのだ。残りは後始末のみ。あれはデュエルによる敗北ではないので強制帰還装置は働かない。彼らを回収するだけでも重労働になりそうだ。

 

 ・・・だが。

 

 運命は、あの男の手にあったのだろうか、爆煙の中で声をあげた私の手に、手錠のようなものが投げつけられた。

 

 その手錠には、太いワイヤーのようなものがつけられている。思わず出所に目をやると、人影が、煙の中からゆっくりと現れた。

 

「・・・ふう、うまくいって良かったよ。これを使うのは初めてでね。無用の長物と思ってバイクに突っ込んだままにしていたけど、まさか使うような状況になるなんて。」

 

 これをくれた先輩にはお礼をしないといけないな。そんなことを呟きながら出てきたのは紛れもなく、先ほどまで戦っていた、我らの策謀によって嵌められ、爆発によって少なくとも少なくない怪我を負っているはずの人物。

 

 このスタンダード次元において、最強クラス。そしてあのオベリスク・フォース屈指の実力者、紫雲院素良を以てして任務達成の最大の壁とまで称された人物。

 

 柊菊。スタンダード次元では『軍師』とまで称されるデュエリストが紛れもなくそこにいた。

 

「ん?どうして俺が無事なのか、不思議そうな顔をしているね?」

 

 彼はそこでポン、と手のひらを叩いた。

 

「次にお前は、『どうして貴様は無事なんだ!』と言う!」

 

「どうして貴様は無事なんだ!・・・ハッ!?」

 

 な、なんで俺が言いたいことを・・・?

 

「・・・まさか乗ってくれるとは思わなかったよ。」

 

 これはまさか、ジョジョは次元を超越したのか?なんて呟いてるが・・・。

 

 いやいやいや、まさか、あり得ない。

 

「いくらスタンダードの安全性が保障されたデュエルとはいえ、あの規模の爆発を受けて、無事で済むはずがない!」

 

「でも、事実ここにいるじゃないか。なら、それでいいじゃない。」

 

 言い訳あるか。

 

 そう思ったのが表情に出たのだろう。彼はため息を一つついて、説明してくれた。

 

「・・・種を説明するとね。」

 

 彼女のおかげなんだ。

 

 そう言ってその目線の先には・・・気絶している、自分たちが先ほど捕獲した女。だがその姿は、先ほどとは全く違って服は煤だらけな上に所々肌を切ったのか、傷が見える。

 

「俺のことなんか気にせずに自分のことを庇えばいいのに、こいつと来たらモンスターに命じて俺を守ることを優先させやがった。」

 

 な、そんなことをすれば!

 

「そう、彼女はさっきの爆発をその身に受けることになる。まあ、今回は俺のモンスターが彼女を守ったおかげで命に別状はないけど。」

 

 それを聞いて、少しだけ安心した。どうやら俺には悪人は向いてないらしい。今、任務が失敗してもなお、自分は彼らが無事だったことにどこか感謝しているのだから。

 

 ・・・この件が終わったらオベリスク・フォース辞めよう。少なくとも前線からは外してもらおうと決意する。

 

「さて、オベリスク・フォース。・・・懺悔の用意は出来ているか?」

 

 その瞬間、場の空気が少しだけ変わった。周りはかろうじて立てることのできたオベリスク・フォースが囲んでいる。いくら強いと言ってもこの人数なら倒すことが出来るだろう。

 

 ・・・なのに、なんでだろうか。まったく勝てる気がしない。まるで気迫に押されたような、心臓をつかまれたような感覚。

 

 こういう感覚は馬鹿には出来ないことを俺は知っている。エクシーズ次元侵略の時に嫌と言うほど思い知った。

 

「全員、退却!動けるものは気絶した奴を回収してこの次元から離脱しろ!」

 

 責任を負うことにはなるだろう。任務失敗の上に何の成果もなく逃げ帰る部隊。その責任者である俺の独断で行われたのならなおさらだ。だが、それでもいい。今は、ここから逃げる方が重要だと、俺は直観していた。

 

 だが、この世界は残酷らしい。

 

「無駄だよ。」

 

 奴は、俺の手錠と同じものを、彼の足元にいる動けなくなった部下達3人にもかける。

 

「・・・この手錠は特別製でね。デュエルで勝つしか、外す手段はない。」

 

「な・・・?!」

 

「しかも、負ければ電流が走り、相手のデュエルディスクを破壊する。出力をあげれば最悪感電死してしまう危険なシロモノさ。まったく、こんな時のために作られたとしか思えない性能だよね?」

 

 自衛のため、とか言って先輩がくれたものなんだけど、こういう時のためにあったんだね。そう言って笑う彼だが、こちらにとってはたまったものではない。なんせ、これではディスクに内蔵されている転移装置が使えないのだ。いや、使えることは使えるだろう。

 

 だが今、俺のデュエルディスクはあいつのデュエルディスクとつながっている。万が一、彼を融合次元に連れて行ってしまえばアカデミアそのものが壊滅してしまうかもしれない。それだけの実力が彼にはある。持ち合わせのデッキ、それだけであの危機的状況を最良の結果まで導いたのだ。あり得ない話だとは頭でわかっていても、このプレッシャーがそうはいってない。

 

 あの目を見たことがある。かつて隊員としてエクシーズ次元にいたデュエリストがしていた目と同じだ。刺し違えてもこちらを倒すという意思。事実、その時の戦いでこちらの部隊は全滅しかけたのだ。

 

 彼をアカデミアに招いてはならない。そう、判断した俺は部下に待機を命じる。状況は一転して最悪。こんな時、あの方が居ててくれれば、と思う自分がいるのが情けない。だが、あの方は現在極秘任務に向かっている。期待は出来ない。

 

「・・・随分と考え込んでいるみたいだね。チャンスをあげようか。」

 

 何?

 

「チャンスだよ、チャンス。今、君たちは半数が満身創痍ながらもたつことが出来ているみたいだし?いっそのこと全員でかかってきなさい。5、6人程度なら、どうにでもなる。」

 

 ・・・虚言、ではないのだろうな。それだけの実力があるのは、斥候の情報だけでも十分分かる。

 だが・・・この状況、他に選択肢はない。ならば・・・。

 

「いいだろう。お前たち、ディスクを構えろ!」

 

「「「「「ハ!」」」」」

 

 ここで戦う。たとえ負けることになったとしても、刺し違えても、ここで勝利する!

 

「・・・決まったみたいだね、先行は、どちらからにする?」

 

「俺が行きます!」

 

 そういったのは、部隊でも屈指の実力を誇る奴だった。確かにこいつなら、安定してターンを返してくることが出来るかもしれない。

 

「俺のターン!古代の機械猟犬を召喚!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 オベリスク・フォースA

  手札5→2

 

 初ターンとしては上々の滑り出し。それに部下からの合図で分かったが伏せた2枚は古代の機械閃光弾と俺たちの切り札を出すためのあのカード。出だしとしてはかなりいい。

 

「次は俺だ、ドロー!」

 

 次のターンも俺の部下だ。

 

「俺も、古代の機械猟犬を召喚し、ダイレクトアタック!」

 

 オベリスク・フォースB

  手札5→6→5

 

 古代の機械猟犬の攻撃で、ライフが削られる。何の抵抗もない?買い被りだったのか?

 

 KIKU 4000→3000

 

「この瞬間、手札のトラゴエディアの効果を発動する。」

 

 な、なんだと?!

 

「自分が戦闘ダメージを受けたとき、このカードは手札から特殊召喚できる。さらに、このカードの攻撃力は、手札の枚数×600となり、現在の攻撃力は2400となる。」

 

 KIKU 

  手札5→4

 

 ・・・これでは攻撃できない。俺たちのデッキに融合以外の方法であれを突破する手段はない。が、だからと言って基本バーン戦略の俺たちの融合モンスターがあれを攻撃力で突破するには少なくとも2回融合を重ねなければいけないだろう。このデッキは例外を除いて打点が足りないことが難点だな。

 

「・・・俺はカードを1枚伏せる。ターンエンド。」 

 

 オベリスク・フォースB

  手札5→4

 

「俺のターン、ドロー!。」

 

 次は俺だ。だが、手札にはこの状況を打破できるようなカードは入っていない。このターンでは、だが。

 

「俺も、古代の機械猟犬を召喚!更に効果発動!相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、600のダメージを与える!」

 

 だが、彼は身じろぎ一つしない。

 

 KIKU 3000→2400

 

「・・・カードを2枚伏せる。ターンエンドだ。」

 

 オベリスク・フォース隊長

 手札5→6→3

 

 だが、この先は・・・。

 

「俺のターン、ドロー。」

 

 ずっと俺たちのターンだ。先ほどの手札誘発カードには驚いたが、それはそれ。効果を止めるカードではないようだし、バーンを無効化できるわけではない。

 

「俺も、古代の機械猟犬を召喚する。ファイア!」

 

 KIKU 2400→1800

 

「カードを伏せて、ターンエンド。」

 

 オベリスク・フォースC

  手札6→4

 

「俺のターン、ドロー!古代の機械猟犬を召喚!効果発動!」

 

 KIKU 1800→1200

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 オベリスク・フォースD  

  手札6→4

 

「俺のターン、ドロー!古代の機械猟犬を召喚!効果発動!」

 

 KIKU 1200→600

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ!さあ、貴様のターンだ!残り600のライフで何ができる!」

 

 オベリスク・フォースE

 手札6→3

 

 だが、何の反応もない。帰ってきたのは静寂のみ。その静寂が余計に不気味だった。

 

「俺のターン、ドロー。モンスターゲートを発動する。」

 

 KIKU

  手札5→4

 

 何?モンスターゲート?あれは博打性が高いカードのはず。そんなカードを使うデッキと言うことは、何が出てきてもかまわないというのか?!

 

「トラゴエディアをリリースし、発動。俺はデッキを捲っていき、通常召喚可能なモンスターが出たとき、それを特殊召喚する。さて、坊主めくりの時間だ。」

 

 そう言って、彼は一枚一枚カードを確認して、墓地に送っていく。その数は6枚。そんなに魔法や罠の多い構築なのだろうか。思わず不正を働いて欲しいモンスターが出るまでめくるのかと思った。だが、不正を行えばデュエルディスクが反応するはず。つまり、あれは不正ではなく正式な処理だということ。

 

「7枚目。カードガンナーを召喚する。」

 

 だが、出たのはレベル3のモンスター。・・・なにかあるな。

 

「俺はブラック・ホールを発動する。」

 

 かかった!俺はそう思った。この状況を打破するには全体除去しかない。だが、それこそが俺たちの狙いだった。おそらくあのカードガンナーは破壊されたときに効果を発揮するカードなのだろう。あいての思うとおりにさせるのは少々癪だが、まあ、切り札を呼べるのならこれくらいどうってことはない。

 

 このカードの効果により、フィールド上は消し炭となった。俺たち以外の、だが。

 

「フィールド上の、古代の機械猟犬が破壊されたことで、古代の機械再生融合は起動条件を満たした!自分フィールドの「古代の機械」モンスターが相手の効果でフィールドから離れた場合、そのモンスター1体を対象として発動し、その対象のモンスターが融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターである場合、その融合モンスター1体を自分のエクストラデッキから融合召喚扱いで特殊召喚する!現れろ、古代の機械混沌巨人!」

 

 俺が、いや俺たちが召喚したのはアカデミアの切り札、古代の機械混沌巨人。これを突破できるデュエリストは数少ない。魔法罠に対する耐性と4500の攻撃力、更には全体攻撃にモンスター効果を攻撃宣言時のみとはいえ無効化する効果!どこをとっても最強と言えるモンスター。それが・・・。

 

「6体、か。」

 

 そう、俺たち全員がこの効果を発動した。

 

「どうだ、攻撃力4500の魔法、罠耐性持ちモンスター!突破できるわけがない!」

 

「・・・破壊されたカードガンナーの効果でデッキから1枚ドロー。御託は済んだかい?」

 

 ・・・なんだと?

 

「俺は、手札から名推理を発動する。」

 

 KIKU

  手札3→4→3

 

 先ほどのモンスターゲートといいなんて博打カード!だが、そいつはレベルを当てればいい話。・・・だが、公開されているのはレベル3のカードガンナーのみ。レベル3を選ぶべきか、高レベルを警戒するべきか、それとも・・・。

 

「・・・レベル3を選択する。」

 

「そうか、なら効果を処理する。」

 

 また、大量のカードが送られた。今回は10枚も送られる。だが、奴はまだ不満げにカードを引き、モンスターを召喚した。

 

「俺が召喚するのは混沌の黒魔術師、レベル8だ。特殊召喚。」

 

 な、そいつは!

 

「罠発動、サンダーブレイク!手札を1枚墓地に送り、混沌の黒魔術師を破壊する!」

 

「だが特殊召喚には成功している。このカードが特殊召喚に成功したとき、墓地の魔法を一枚回収する。名推理を回収し、発動。さあ、もう一度宣言しろ。」

 

 ・・・どうするべきか。いや、悩んでいる場合じゃない!

 

「レベル8だ!」

 

 ここでもしもう一度混沌の黒魔術師のようなモンスターが召喚されたら、いくら混沌巨人が居たとしても最悪倒される可能性が出てくる。混沌巨人にはモンスター効果に対する耐性が存在しない。だからここでこれを宣言したのは悪くない判断・・・のはず。

 

「・・・出たモンスターはレベル8、混沌の黒魔術師。召喚はされない。」

 

 ・・・正解だった。だが、また大量のモンスターが墓地に行ったか。

 

「・・・ライフが足りないな。仕方ない。仕方がないのでこのカードを発動することにしよう。永続魔法、煉獄の虚無を発動する。」

 

 KIKU

  手札3→2

 

 永続魔法?一体どんな効果を・・・。

 

「このカードを墓地に送ることで、俺は融合召喚を可能にする。相手にのみモンスターが存在すれば、デッキからも素材を選択できる。」

 

 ・・・は?

 

「デッキのネヘモス、リリス、アドラメレク、シャイターン、ベルゼブル、アスタロスを墓地に送り、融合召喚。現れろ、レベル11インフェルノイド・ティエラ!」

 

 出てきたのは、悪魔。その姿は蛇を模した形に、禍々しい装飾品が飾られている。攻撃力は3400と驚異的だが、混沌巨人の4500にはかなわない。

 

「ティエラは融合素材の数で効果が変わる。素材は6体。よって2つの効果を得る。まず、お互いに・・・この場合は全員だな。エクストラデッキから3枚カードを墓地に送りさらにデッキの上から3枚墓地に送る。」

 

 ・・・エクストラ破壊にデッキ破壊か。少々痛いがこれくらいならどうってことはない。猟犬の融合モンスターは全て3枚積まれている。3枚程度では大した影響にはならないだろう。

 

「神秘の中華鍋を発動し、ティエラをリリース。そしてライフを守備力分回復する。3600回復。」

 

 KIKU 600→4200

  手札3→2

 

 そっちが狙いか!だが今更バーンなど必要ない!こっちには攻撃力4500の混沌巨人、それが6体もいるのだ!

 

「今、大丈夫だとか思ったか?」

 

 何?

 

「それは幻想だ。俺は墓地の光属性エルシャドール・ネフェリムと闇属性、暗黒火炎竜をゲームから除外する。」

 

 その召喚条件、まさか!

 

「混沌帝龍 -終焉の使者-を特殊召喚!」

 

 ・・・だがそいつの攻撃力は3000!突破は出来ない!

 

「ライフを1000支払い、混沌帝龍の効果発動。互いの手札、フィールドのカードを全て墓地に送り、送った枚数×300のダメージを相手に与える。」

 

「な、それでは!」

 

「今現在フィールド上には28枚。よって8400のダメージだ。お前らの負け、だな。」

 

 ・・・馬鹿な、フィールドを荒らすだけ荒らしただけでなく、8400のダメージ?!それを通す馬鹿がいるか!

 

「アクション魔法!フレイム・ガード!効果ダメージを0にする!」

 

 今ほど斥候の情報に感謝したことはない。そうでなければアクション魔法を拾うことすらしなかっただろう。部下はそんなものいらないと言って持たなかったが、自分が持っていて幸いした。ありがとう、アクション魔法。8400のダメージは絶対に受けたくない。もはや怪我とかで済むのかそれ。

 

「ほう、俺としてはここで終わると思ってたんだけどな。まあ、いい。これでフィールドには何もなくなった。」

 

  KIKU 4200→3200

 

 そうだ。先ほどまで居た混沌巨人はもういない。手札も、フィールドも焼野原。だが、それは向こうも同じこと。

 

「墓地の置換融合の効果を発動する。」

 

 何?!墓地から魔法だと?!

 

「このカードを除外し、インフェルノイド・ティエラを墓地からエクストラデッキに戻すことで1枚ドローする。・・・随分と運がいいみたいだな、俺は。」

 

 ・・・手札1枚。だが、嫌な予感しかしない。

 

「煉獄の虚無を発動。・・・そんな顔をするなよ。大丈夫、デッキ融合()出来ないから!」

 

 デッキ融合()?そしてその笑顔はやめろ!怖いどころの騒ぎじゃない!

 

「フィールド上のモンスターのレベル、ランクの合計が8以下の時、墓地のインフェルノイド2体をゲームから除外することで墓地のインフェルノイド・アドラメレクは特殊召喚できる。来い、アドラメレク!」

 

 先ほど出てきたモンスターとはまた違う、禍々しさを持つモンスター。だが、おかしい。攻撃力2800。それはいい。だが、なぜレベルは1なんだ?何より、そんなモンスターが墓地に言った形跡はなかった。名推理もモンスターゲートも引いたモンスターを特殊召喚するカード。つまり、あのモンスターは名推理の効果で特殊召喚されてなければいけないはずなのに!

 

「不思議そうにしているが、一応解説しておこう。インフェルノイドは例外を除き通常召喚できない。名推理やモンスターゲートで特殊召喚されるのは通常召喚可能なモンスターよって、彼らは大量に墓地に行った。レベルに関しては、煉獄の虚無の効果だね。」

 

 その永続魔法、融合以外に効果があるのか?!

 

「このカードが存在すると、場のインフェルノイドモンスターのレベルは1になる。」

 

 ・・・だが、レベルを下げて何の意味がある。いや、待て!インフェルノイドの特殊召喚条件、それはたしか・・・。

 

「そう、インフェルノイドはフィールド上のモンスターのレベル・ランクが9以上になると特殊召喚できなくなる。でも、このカードでレベルを変動させればそんなこと関係ないよね?」

 

 そういうことか!・・・いや、待て。これ不味くないか?

 

「ようやく気付いたかい?俺がなんであそこまで名推理やモンスターゲートを発動し、ティエラの効果でデッキからカードを墓地に送っていたその理由に!」

 

「・・・召喚条件の、コストにするため。」

 

「正解!なら、君たちには特大のファンサービスをしてあげよう!出てこい!インフェルノイド・アドラメレク!そしてベルフェゴル達!」

 

 墓地からよみがえったのは先ほどと同じモンスターと、それに付随したかのように現れた鎧を着た悪魔のようなモンスター。・・・俺たちの、負けか。手札は0。フィールドも0。残念ながら墓地誘発のカードなんて俺たちは握っていなかった。確かに大多数は次のターンまで生き残るだろう。だが、それで何ができる。彼のことだ、墓地誘発のカードも名推理で落としているに違いない。

 

「行け、煉獄の悪魔たち!そいつらを刈り取ってやれ!」

 

 俺の横にいた部下1人が倒れ、更に1人が攻撃を食らって満身創痍になる。

 

「攻撃宣言時、ベルフェゴルの効果発動!相手のエクストラデッキのカードを1枚除外する!ベルフェゴルは3体!3回分の効果をそれぞれ受けてもらおうか!」

 

 ・・・切り札であったはずの混沌巨人も、あれを突破できる攻撃力を持つ猟犬の融合態も除外されていく。

 

「ターンエンド!さあ、君たちのターンだ!」

 

 ・・・いや、あきらめるな!まだ希望はある!数少ない蘇生札を引けばいいだけの話!インフェルノイド、確かに強いが攻撃力で混沌巨人を超えることが出来るわけではない!・・・まあ、数枚手札から墓地に行って、確率はかなり低くなってはいるのだが。

 

 それでも、もし一人でも引くことが出来たのならば勝てるかもしれない。俺は部下にそう伝え、希望はあるいい、ドローを促した。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 一人目は・・・古代の機械蘇生。

 

「・・・カードを伏せる。」

 

 フィールド上にモンスターは居ない。1人目はほぼ間違いなく負けるだろう。あれでは何もできない。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 二人目は・・・よし!

 

「死者蘇生を発動!対象は古代の機械混沌巨人!」

 

「それにチェーンしてインフェルノイド・ベルフェゴルの効果を発動する。」

 

 なんだって?!

 

「このカードをリリースすることで相手の墓地のカードを一枚除外できる。対象は古代の機械混沌巨人。・・・どうする?」

 

「チェーンはない。」

 

「なら効果を処理し、混沌巨人を除外。対象を失った死者蘇生は不発となる。切り札をなくした気分はどうだ?さぞ悔しいでしょうねぇ。」

 

 ・・・何も。

 

 何も、出来ないのか・・・。

 

「俺のターン。ドロー。」

 

 絶望が伝染していく。勝てないと思い知らされたかのような。何人で挑んでも無駄だと言われたような気がする。俺が引いたのは、リビングデッドの呼び声。でも、これは対象を失ってやられてしまうだけ。

 

「カードを伏せる。ターンエンド。」

 

 部下のターン。どうやら部下も蘇生札を引いたらしい。なら、俺ができるのはせめてあの悪魔の数を減らすことだけ。

 

「リビングデッドの呼び声を発動する。」

 

「いいぞ、チェーンはない。」

 

 ・・・なんだって?

 

「古代の機械混沌巨人を特殊召喚。」

 

 ・・・俺が蘇生できても、今は俺のターンじゃない。攻撃は出来ない。

 

 だが、壁にはなる!これで少なくとも俺は耐えれることが出来るんじゃ・・・。

 

「俺は死者蘇生を発動します。対象は古代の機械混沌巨人。」

 

「ベルフェゴルの効果で混沌巨人を除外する。」

 

「・・・ターンエンド。」

 

「俺のターン、ドロー。・・・モンスターをセットし、ターンエンド・・・。」

 

 ・・・打つ手なし。だが、混沌巨人さえいればまだ何とか・・・。

 

「俺のターン、ドロー。バトルだ!」

 

 特殊召喚しないのか?まあ、あまり関係がないのかもな。また、1人倒れた。・・・また、エクストラのカードが減ったか。

 

「メイン2、墓地のアスタロスを除外し、ベルゼブルを特殊召喚する。そしてベルゼブルの効果発動。表側になっているカードを1枚手札に戻すことが出来る。対象は混沌巨人。」

 

 ・・・最後の砦が、亡くなった。これが破壊だったのなら部下の古代の機械再生で召喚できたかもしれない。だが、バウンスされたのなら、やれることはない。

 

 また、ターンが回ってくる。だが、俺たちに逆転は許されなかった。まるでいたぶられているかのように、ターンが回っていく。蟻が子供の気まぐれでその命を摘み取られるように。段々、じわじわと人数が減っていった。

 

「・・・俺のターン、ドロー。アドラメレク2体でオーバーレイ!ランク8神龍騎士フェルグラント!さらに手札からデカトロンを通常召喚し、デカトロンの効果でアシュメダイを墓地に落とす。これでデカトロンはレベル6になった。デカトロンとベルゼブルでシンクロ召喚!PSYフレームロード・Ω!」

 

 エクシーズにシンクロ。報告には聞いていたがやはり使うことが出来たか。まあ、いい。俺たちの最低目標は達成した。時間は稼いだ。悔いは残るが、ここが俺の終わりの場所だったと諦めるしかない。

 

 

 

 

 悪魔と騎士が俺の体を貫こうと動く。最後に見ることが出来たのは、悪魔の、モンスターの笑顔だけだった。

 

 




今回のぶっ壊れカードはこれだ!


混沌帝龍 -終焉の使者-

効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。1000ライフポイントを払う事で、お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを墓地に送る。この効果で墓地に送ったカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える。

混沌の黒魔術師

効果モンスター
星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かず
ゲームから除外される。このカードはフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。

 エルシャドール・ネフェリム
 融合・効果モンスター
 星8/光属性/天使族/攻2800/守2500
「シャドール」モンスター+光属性モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。(2):このカードが特殊召喚されたモンスターと
戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。そのモンスターを破壊する。(3):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

エラッタ前だとここまで強力になるんですねぇ(白目)。一名コストになったけど。

 余談ですが、今回のデッキはファンカスノーレノイドならぬ、カオスノイドでした。名推理やモンスターゲートを阻害しない異次元の一角戦士や開闢などを入れて、ファンカスノーレギミックだけでなく混沌の黒魔術師で名推理使いまわしたり終焉でリセットして利できるデッキです。もちろん左腕も入っています。

え?名推理もモンゲも制限だって?知らん、そんなことこの小説では管轄外だ。

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