いやあ、受験やらバイトやらFGOやらですっかり遅くなってしまいました。まあ、受験はいろいろあって浪人することに決めたんですが。どうやらこのストレス発散現実逃避小説はまだ続くようです。
FGOはエドモン・ダンテスがほんとにかっこいいと思う。単発ガチャで出たときは小躍りしました。そして嬉しすぎて暗黒魔轟神作りました。関連性はない。ようつべにあるとある動画にFateネタいっぱいの暗黒魔轟神があったから作っただけで関連性はない。
それから、今回カードの効果を表記しませんでした。と、言うのも感想にカードテキストばかりで読みにくいという声を頂きました。試しにスマホ版で開いてみると読みにくいですし、言われてみれば調べればわかることも多いので今回は表記なしで書いてみました。書いた方がいいか、書かない方がいいか。それを感想に書いていただければ幸いです。
4/14 感想にあったボールスとガルドの効果処理を訂正しました。申し訳ございません。
弟子が増殖しました。クリボーか。
まあ、そんなことは置いておきましょう。今の俺にはどうでもいい。
さて、周りを見渡してみましょう。
なんということでしょう!そこにはオベリスクフォースの面々がいるではありませんか!!あたりには10名ほどのオベリスクフォース。そして囲まれている俺。どう見てもリンチされる未来しかありません本当にありがとうございます。どうしてこうなった。いや、まじで。
こうなったら昨日から記憶をたどっていこう。あれは遡ること1日前・・・。
◇
「え?ちょっと待ってもう一度言って?」
「あなたは敵ですか?それとも味方ですか?柊プロ。」
「オッケーちょっと待て。どうしてそうなった。」
試合が終わった後、呼び出されてきた控室で赤馬君に疑われました。
いや、マジでどうして?
「・・・あなたが昨日セレナとデュエルした時の映像を見させてもらいました。」
え?マジで?あ、でもあそこは赤馬コーポレーションが運営してるスタジアムだから監視カメラぐらいあって当然か。ならしらばっくれないや。
「うん、それで?」
「・・・デュエルの内容については触れるつもりはありません。重要なのはどうしてあそこにあなたが居たのかということです。」
え?そんなことで?!まあいいや。
「偶然叫び声が聞こえたんだ。それで何やらよからぬ現場に出くわしてね。知り合いが襲われてるのを見て見ぬふりをするわけにいかないだろ?」
これは事実だ。そこに嘘偽りはない。清廉潔白な俺が嘘なんかつくはずがないよ・だからそんなに疑わしそうに見ないでよ零児くん。
「ええ、そうかもしれません。なのでその場にいた他の人物に尋ねることにしました。」
「・・・あそこには北斗君が居たね。彼からかい?」
「ええ。」
成程。でもだからと言って・・・。
「彼の話では、貴方は少々意味不明なことを言っていたらしいのですよ。」
「意味不明?」
そんなこと言った覚えは・・・。
「『融合次元』『オベリスク・フォース』『カードにする』。これらの単語を、貴方は話していたそうですね?」
・・・あ。
「その単語を知っているのは今現在この世界で限るなら、貴方が相手したセレナと、そこからセレナを連れ去った護衛。そしてLDSの極一部の人間。そしてLDS襲撃犯の黒咲隼。そして私だけ。LDSの人間が貴方とアポイントを取った形跡はなく、黒咲が貴方にその話をしたかは確認済みです。セレナは外していいでしょう。貴方は彼女に会う前からそのことを知っていた。それに先ほど彼女に接触しましたが、『記憶にない』と言われました。」
ああ、そりゃあそうだ。だってそこから聞いてないもの。アニメで見たんだもの。
「では、あなたはどこでそれを知ったのか。そこで私は最初、貴方が融合次元のスパイではないかと考えました。ですが、それはあり得ない。」
「ほう、そりゃあまたどうして?」
「貴方は少なくともこの次元に7年前にいたことは確認されています。戸籍もありましたし、何より貴方の公式戦のデータは7年前からLDSで保存されているからです。通常ならそのデータは3年ごとに更新されるので削除されるはずだったんですが、貴方の公式戦のデータがあまりにも偉業ならぬ異形でしたので、こちらに残っている限り保存していたからです。」
え?そんなことしていたの?!
「これは正直、契約違反に当たります。その点は謝罪します。」
いやまあ、それは別にいいんだけどさ。確か個人情報保護に関する規約で3年で削除されるようになってたはずだけど、それくらいなら実害はないし。
「なので、貴方がエクシーズ次元ではないことは確信しました。エクシーズ次元の人間が他の次元のことを知ったのはアカデミアが攻めてきてからのようです。黒咲に確認したので、これは間違いありません。」
黒咲、何気に俺の逃げ道いっこ潰しちゃったよ。畜生。次はG積んでデュエルしてやる。エクシーズできない苦しみを味わうがいい。
「では、残るはシンクロ次元と融合次元。これのどちらなのかですが、これは正直どうでもいいです。」
「え?どういうこと?」
「黒咲曰く、シンクロと融合は手を組んでいると考えているようです。どうやら、誘拐事件があった時にシンクロを使う男が妨害に来たと。」
え?そんなことあったの?もうだいぶ前のアニメだから思い出せないなぁ・・・。
「真偽は不明ですが、妨害したのなら何らかの協力関係にいるとみていいでしょう。つまり、貴方がエクシーズ次元の人間でない以上、シンクロか融合の人間である可能性がある。それに、身内の恥を晒すようですが、私の父がアカデミアに居ます。あの人は私がプロになる前に行方不明になりました。つまり、少なくとも7年前には融合次元のことを知っていたことになる。」
「・・・それで、俺が融合のスパイではないかと考えた。」
まあ、その話を聞けばそうなるよね。
「最初はそうでした。」
え?
「ですが、貴方は融合次元のデュエリストであるセレナを倒し、志島北斗を助け出している。彼が襲われたのは人通りの少ない裏手でした。たとえ放置しても、目撃者は少ない。あの場合、もしあなたが融合次元の人間なら、助けに入らない判断をするはずです。態々助ける必要性がない。」
あ、それでか。
「その行動があったせいで、分からなくなりました。貴方を拘束して脳から直接記憶を覗き見てもいいんですが。」
「おい。」
なにそのマッドな考え。怖!!てかLDSの技術力どうなってんの?!
「・・・貴方の場合、拘束する際に生半可な相手だと返り討ちに会いますし、私でも勝てる自信がありません。それに、貴方なら直接聞いた方が早いと判断しました。」
「ほう、そりゃあどうして。」
「態々危険を冒してまで人を助けるような人間が、ここで俺を襲って疑いを増やすようなことをする人間には思えないのがまず一つ。それから、貴方のデュエルディスク、それ旧型ですよね?それも随分昔の。」
「ああ、これ?レトロでいいでしょ。」
「それは古臭いの間違いでは?」
・・・言うねぇ。てか最近のディスク、無駄に高機能で使いにくいんだよ。
「それでは、人をカード化するデータを積み込むだけの容量がありません。なので、少なくとも今は安全だと判断しました。」
え、そんなにこれ古いの?流石に買い替えようかな、7年間ずっとこれだし。電話機能ついてないんだよねぇ。まあアイフォンあるからいいんだけどさ。
「それでは、改めて聞きます。」
そう言う零児君は、とても真剣だった。
「貴方は敵ですか?それとも味方ですか?」
いや、これ味方ですって馬鹿正直に言っても通じないでしょう、扉の向こうから凄い威圧感を感じるんですがそれは。これ、適当に答えたら身柄をデュエルじゃなくてデュエル(物理)で拘束するやつですよね?!
・・・はあ、どうしよう。俺もオベリスク・フォースのことを思い出したのは、つい最近なんだが。ちょっと巻き込まれたときにあ、やばいやつだって思い出しただけなんだが。
まあいい、彼に嘘は通じなさそうだ。下手に嘘をつくとさらに疑われる。それは正直避けたい。監視される生活なんて真っ平御免だ。
・・・仕方ない。本当のことを話そうか?
「零児君。」
「はい。」
「実はね・・・。」
っと、そこで電話が鳴る。ああ、俺のではなく、零児君のである。うわ、覚悟してこれかよ。
「・・・すみません。」
「いや、出てくれていいよ。」
とりあえず、何から話そう。いくら何でもショタ化したことを話すつもりはないし。どう言い訳したものか・・・。
「ああ、分かった。動画ファイルはこのケータイに。」
どうやら電話が終わったらしい。今度はやけに神妙な顔だな。
「・・・どういうことですか?」
「ん?」
「どうして、あなたがオベリスク・フォースとデュエルしているんですか?」
・・・どうやら、知られてしまったらしい。
そうなのだ。実は先日、ちょっとしたことで俺はオベリスク・フォースとデュエルしている。
と、言うのも、部活動体験の時の話である。俺がとりあえず家に帰り、バイクで権ちゃんの道場に向かう途中。オベリスク・フォースを偶々見つけてしまったのだ。
その時は3人だけだったのだが、どうやら何やら相談事をしていたらしいのだ。なぜかとっても目についた。考えてみてほしい。制服にマスク、そんな赤い彗星の青い番みたいな恰好でうろついているのだ。一瞬でオベリスク・フォースのことを思い出した。
まあそんな恰好がふと目に留まったら、気になって仕方なくなる。思わず後ろからついていったのだが、まあ、うん。
単刀直入に言おう。尾行がばれた。いや、足音をたてた俺が悪いんだけど。
んで、とりあえず何もさせずにワンターンスリィキルゥすることで難を逃れたわけなんだけど。そのロスタイムが原因で柚子に叱られたんだけど、まあそれはいい。
その後は変態たちがいきなり強制脱出装置(隠語)されたのか、居なくなってしまったのだけれど。
あれ?でもあそこに監視カメラなんてなかったよね?
「周囲の目撃情報と、貴方がデュエルした倉庫の入り口付近にある侵入者防止用の監視カメラから、青い仮面の男たちと黒い服を着た青年がデュエルしているのは分かっていました。カメラの映像はピンボケしていたので解析に回していたのですが、まさかそれが貴方だとは思いもしませんでしたよ。」
いや、心読まないでください。でも、そっか。あんなとこに監視カメラがあったのか。知らなかった。
「これで、ますますあなたには聞くことが出来ましたね。」
俺はここから逃げたいです安西先生!え?諦めろ?そんなの俺の知ってる安西先生じゃない!俺の知ってる安西先生は、皆を笑顔にする・・・。
「さて、話を聞かせてもらいましょうか。」
目が怖いよ零児君・・・。心の中でふざけたのは謝るから。
「・・・その、倒した仮面の男たちの会話を偶然聞いていたのさ。」
うん、この設定で行こう。実際、アカデミアを倒したのは間違いなく自分なんだし、彼らから話を聞き出したことに・・・。
「そうですか、まあ貴方のことですから。」
いや、それで通用するの?待ってよ、俺だからって何?!まあいい、疑われないならそれでいいや。
「うん、まあそういうことなんだ。あまりに怪しいからちょっと気になって話を聞こうとしたらデュエルを挑まれてね。ちょっと返り討ちにしただけだよ。そこで、次元戦争とアカデミアについて障りのところだけ聞いたんだ。」
詳しいことは話さなくていいだろう。実際は話を聞く前に消えちゃったから聞く時間なかったけどね。
「なるほど、確かに辻褄が合うかもしれませんね。ですが、どうして彼らを怪しいと思ったんですか?」
「いや、怪しい仮面に見たことのない制服を着て、物陰でヒソヒソしていたらどこからどう見ても不審者にしか見えないから。しかも侵略とか物騒な言葉聞こえたらそりゃ怪しむでしょう。まあ、ゲームの話かもしれないし、声をかけようとしたら挑まれて仕方なく
ほんと、会話のキャッチボールしようぜって感じだった。あれじゃドッジボール通り越してバットでの殴り合いであると言える。
「・・・そうか、確かにあの格好は見つかれば不審者だったな・・・。」
なんだよ、気付けよ。見慣れすぎて不審者であること気付かなかったのか?!
「いえ、何でもないです。ちょっと自分の感性がおかしくなっていたみたいで。」
「そ、そう・・・。」
まさかそこまで見慣れていたのか?あれはどこからどう見ても不審者なんだけど・・・。
「まあ、それはともかくとして。」
あ、流した。
「・・・貴方は味方ということでいいんですね?」
「いや、それはどうだろう。思想が真っ当なら協力することも吝かではないけど、そうじゃないなら別にどうでもいいし。」
「どうでもいい?」
うん、どうでもいい。だってそれは俺に実害はないのだから。確かにあのオベリスク・フォースはエクシーズ次元を滅ぼしたのかもしれない。でも、この次元が同じ目にあうとは限らないじゃないか。それなら、いざ攻め込まれたときに返り討ちにしている方が俺はいい。だってまだ比較的平和的だし。
「だから、別にどちらでもいいんだよ。知り合いに危害が及ぶことが分かり切ってるならともかく、そうじゃないなら別に放置するのが俺の生き方だから。」
「・・・そうですか。なら、協力はしてもらえないんですね。」
「そういうことになるね。」
何より、そんなことに巻き込まれたくない。たしか原作ではどうなるんだったけ?ほとんどうろ覚えな上に最初の方とデュエルシーンしか知らないことが多かったから分かんないや。そもそも5D's世代な俺は真面目に見てなかったし。こんなことなら見ておけばよかった。OCGは続けてたけどさ。
「残念です。貴方が協力してもらえるのなら心強かったのですが。」
「ゴメンね、わざわざ巻き込まれに行く趣味はないんだ。何より優先しなきゃいけない人がいるからね。」
「・・・榊遊矢と柊柚子ですね。」
「それと、遊勝塾にかかわる全ての人だ。」
遊勝塾の人たちには、感謝してもしきれない。こっちに来て若干情緒不安定だった俺を気にかけてくれたのはあの人たちと、大牙、香澄、凪流ぐらいのものだった。他の人は雰囲気最悪だった俺に近寄ってこなかったし、教師ですら、触らぬ神に祟りなしといった感じで積極的に関わろうとしなかった。そんな俺を、面倒見てくれたあの人たちには恩返しをしないといけない。なら、そんなことにかかわるよりも彼らを守る方がいい。
「だから、俺は君にはずっと協力することはできないのかもしれない。まあ、君は後輩だから、俺にできる範囲でしてあげるよ。」
「・・・感謝します。」
それでその日の会話は終了・・・だったんだけど。
◇
・・・どうしてこうなったんだろうねぇ。
あたりには十人くらいのオベリスク・フォース。囲まれる俺。完全に警戒されてますね分かります。
いや、あんなこと零児君に言っておいてなんだけどさ。まあ、2回戦の解説をしてると、オベリスク・フォースがテレビに僅かに映ったんだよ。何より最悪なのが、そのオベリスク・フォースの近くに遊矢君がいるってこと。あんな人をカードにするデュエルをいくら原作で主人公やってるからと言って、やらせたいとは思えない。止めに入りたくなった俺は解説の仕事をニコさんに押し付けて、ちょっとLDSに問い合わせてくるって嘘ついて抜け出した。
んで、バイクを走らせて溶岩エリアまでは行ったんだよ。ただ・・・。
バイクの進路にわざわざ入りに来ないでいただきたいなぁ。轢くよ?轢いちゃうよ?ブレーキかからなきゃ死んでたよオベリスク・フォース?!
そこまでして妨害したいんですか?!答えろルドガー(関係ない)!
「一つ聞く。」
なんですかマスク集団。アンブラルですか?マスカレードですかそれは?!古代の機械なんて事故率高いテーマでよく勝てますね貴方ら。フィールド魔法の裁定変わってから不憫でしかないしその点は同情しますけど、今は一刻も早くそこをどいてくださいお願いします!
「・・・数日前、アカデミアからスタンダードに送り込んだ斥候が僅か数時間で送り返されてきた。」
どうでもいいよそんなこと!さっさとどけ!!
「そいつらの情報によると、戦ったのは黒い服に身を包んだ青年。戦いの中、わずかに写真を撮ることに成功。この写真の人物。柊菊、お前だな?」
・・・俺ですね、はい。間違いなく俺ですよ。でもさっさとどいてくださいよ。俺は大事な
「・・・その時のデュエルの様子から、私たちはお前をスタンダードにおける脅威とみなした。」
ええ、そうですか・・・って、え?
「わずか先行1ターンで斥候を倒した男を警戒しないはずがないだろう。それに斥候は他にもいる。情報では、お前は強力なドラゴンをしたがえていたとの情報も上がっていた。」
そこで取り出してきたのはスターダストとシューティング・クェーサー・ドラゴンの画像。どこから仕入れてきたんだよ・・・。
「さて、そんな相手だ。いくらこれだけの人数を相手にしても勝ち目があるとは限らない。」
いや、流石に十人前後の数は無理ですって。図書館でも使わない限り。
「そこで先ほど、このようなものを用意させてもらった。」
・・・おい、アカデミア。どういうことだ。なんで凪流がそこにいる?
「こいつとデュエルしてもらう。負ければ当然カードにされるぞ。」
・・・脅したのか。
「その通りだ。詳しいことはそいつに聞けばいい。私たちはそれを見届けるためにここにいる。逃げれると思うなよ?その時はこの少女がカードにされるだけだ。」
「随分と趣味が悪いな、アカデミアってのは。」
「とれる手段は取らせてもらうさ。戦争ってのはそういうものだろう?卑怯ではある、不本意でもある。だが、これが一番確実だ。」
「見捨てるとは思わなかったのか?」
「これを見てもか?」
次に取り出したのは、2枚のカードだった。それは、俺がよく知る人物で・・・。
「大牙、香澄・・・。」
「このデュエルを乗り越えられれば、素直に渡そう。まあ、乗り越えられれば、だがな。」
そういうオベリスク・フォースの口元は酷くゆがんでいた。多分、向こうも本当はやりたくないのかもしれない。だが、周りのオベリスク・フォースはそうではないのか下卑た笑いを浮かべている。
「・・・菊。」
「凪流、どうしてこんなとこにいたんだよ。てか、お前らの実力で負けるほどの相手ってそうそういないと思うんだけど?」
「あなたじゃないんですから、5人に囲まれてデュエルさせられたらそりゃあ負けますよ、普通。貴方が異常なんです。」
それは酷くないか?!流石に俺も5人以上でビートダウンで勝てって言われたら厳しいとは思うけど。
「その割には前に3対1でやった時に危なげなく勝ちましたよね?」
「あれはあのシャドールデッキだからできたんだって。そうじゃなかったら先行ワンキルしか無理だよ?」
「出来るんですか・・・。」
「ヴェーラー怖いけどね。」
主に図書館とかに打たれるともうゲームにならないから。
「・・・デュエル、してもらいます。」
「うん。」
「・・・拒否、しないんですか?」
「する意味がない。」
本当にそうだ。ここでデュエルを受けようが拒否ろうが、凪流も俺も無事では済まない状況なのは分かっている。
「・・・デュエル。」
「デュエル。凪流、もうちょっと明るく行こうぜ?」
「・・・この状況でよく言えますね。」
それもそうだ。まあ、流石にこの状況じゃ、俺は無事にはすまないんだろうなぁ。
「・・・私は、手札から聖騎士モルドレッドを召喚します。」
出たよデッキのキーカード。裏切りの騎士がデッキのキーカードで、肝心のアルトリウスが通常モンスターな所に嫌味を感じなくもない。
「手札から、聖剣ガラディーンをモルドレッドに装備。モルドレッドの効果は聖剣が装備されているときレベル5の闇属性になります。そしてもう一つの効果。デッキから聖騎士を特殊召喚して装備カードを破壊します。この効果でデッキから聖騎士ボールスを特殊召喚し、聖剣ガラディーンを破壊。」
NAGARE
手札5→3
・・・本気だなぁ。前はこいつが突破できない状況に追い込まれたんだったか。手札0フィールド0まで追い込んでラストターンに聖騎士伝説の終幕を引き当てやがった。まったく、その運命力が欲しくなるなぁ。
「墓地に行ったガラディーンの効果、1ターンに1度、破壊されたこのカードをフィールド上の聖騎士に装備しなおします。ボールスに装備。ボールスもモルドレッドと同じ効果を持ちます。レベルが5、闇属性に。そしてボールスのもう一つの効果でデッキから聖剣カードを3枚選択し、その中からランダムに手札に加え、残りは墓地に行きます。効果で、デッキから聖剣 EXカリバーン、天命の聖剣、聖剣カリバーンを選択。」
「右を選択。」
「では、残りは墓地に行きます。そしてサイクロンを発動し、ガラディーンは破壊します」
NAGARE
手札3→4→3
これで、墓地には合計3枚の聖剣。そしてレベル4に戻ったモンスターが2体。来るぞ、遊馬!ってふざけてる場合じゃないな。
「・・・エクシーズ召喚。聖騎士王アルトリウス。アルトリウスの効果を発動します。召喚成功時、墓地の聖剣を3枚までこのカードに装備します。これの効果で、墓地の天命の聖剣、ガラディーン、EXカリバーンを装備します。」
やばいって、完全態アルトリウス出ちゃったよ。対象にとれずに1ターンに一度戦闘も効果も破壊できないなんてさぁ。出しにくいけど、出たらもう手出ししにくくて仕方がない。
「手札のカリバーンをアルトリウスに装備。カリバーンの効果でライフを500回復します。ターンエンドです。」
NAGARE 4000→4500
手札3→2
・・・さて、フィールドはアルトリウスだけか。まだ何とかなるかな?
「俺のターン、ドロー。・・・モンスターをセット。ターンエンド。」
KIKU
手札6→5
罠は伏せない。そもそもアルトリウスで割られるのが目に見えてる。
「・・・私のターン、ドロー。スタンバイにガラディーンの効果でアルトリウスの攻撃力は200ダウンします。更にカリバーンの効果を発動し、500回復。・・・レスキューラビットを通常召喚。」
NAGARE4500→5000
手札2→3→2
出たよ初代クソうさぎ。ちなみに2代目は幽鬼うさぎ。初代はラギアと悪いことしかしなかった覚えがあるが、2代目はあらゆるデッキに入るんだよなあ。まあ、マッチ戦もないこの世界じゃ、あまり使われないんだけどさ。サイドの概念がそもそもないからね、こっち。
「召喚成功時にエフェクト・ヴェーラーの効果をレスキューラビットに対して発動する。」
「・・・チェーンはありません。」
KIKU
手札5→4
ほんと、ヴェーラー様様。まあ、あと1ターン早く来てほしかった。初手に握っていたらアルトリウス妨害できたのに。
「・・・アルトリウスで伏せモンスターに攻撃。」
「セットされたのはガスタ・ガルド。こいつは墓地に送られると、デッキからレベル2以下のガスタモンスターを特殊召喚できる。召喚するのはガスタ・イグルを攻撃表示。」
さて、ガスタお得意のリクルート戦術。・・・出来れば攻撃してほしいが、無理かなぁ。前に香澄相手にやった時に凪流居たから大体の効果は把握してるだろうし。
「レスキューラビットでガスタ・イグルに攻撃します。」
「・・・へ?」
・・・どういうことだ?今その状況で攻撃するのは愚策でしかないぞ?!
KIKU 4000→3900
「・・・ガスタ・イグルの効果が発動する。チューナー以外のレベル4以下のガスタを特殊召喚する。ガスタの神榮 ピリカを特殊召喚。ピリカの効果で墓地のガスタ・ガルドを特殊召喚する。このターン俺は風属性モンスターしか特殊召喚できない。」
「・・・そんな効果が。カードを1枚伏せてターンエンド。」
NAGARE
手札2→1
嘘だ。彼女は一度この光景を目撃している。なんせこのデッキはつい先日、皆と集まった時に使ったんだから。知らないはずも、覚えてないはずもない。
「・・・俺のターン、ドロー。」
KIKU
手札4→5
何が目的だ?まあいい、このままシンクロして場を持ちこたえよう。
「・・・レベル3のピリカにレベル3のガルドをチューニング。シンクロ召喚、ダイガスタ・スフィアード。」
こいつは戦闘破壊されないうえに、ダメージを全て押し付ける効果を持っている。更に・・・。
「墓地に行ったガルドの効果でガスタの希望 カムイを特殊召喚。更にスフィアードは特殊召喚に成功したときに墓地のガスタを一枚回収できる。ピリカを回収。」
KIKU
手札5→6
・・・スタダ立たせるか。
「ピリカを通常召喚。効果で墓地のガスタ・ガルドを吊り上げる。」
・・・ダメージを考えるならこれで自爆特攻なんだが、俺はそんなつもりはない。だって勝つ気なんてそもそもないんだから。俺が勝てば凪流がカードになってしまう。
「レベル2ウィンダとレベル3ピリカにレベル3ガルドをチューニング。シンクロ召喚、スターダスト・ドラゴン。緊急テレポートを発動し、ガスタの巫女 ウィンダを特殊召喚する。」
・・・これで、アルトリウスの効果は処理可能。まあ、問題は破壊までは出来ないことか。
「バトルフェイズに入る。」
「入る前に速攻魔法、ブレイクスルー・スキルを発動します。これでスフィアードの効果を無効に。」
・・・は?なんでこのタイミング?!攻撃宣言時に発動するか、そもそもスフィアードの出てくるタイミングで打てばいいのに。それが分からない凪流じゃない。絶対、態とだ。
「スターダスト・ドラゴンでレスキューラビットに攻撃。・・・カードを1枚伏せる。ターンエンド。」
KIKU
手札7→4
NAGARE 5000→2800
まさかとは思ってたけど。
「・・・凪流、お前もしかして。」
「私のターン!ドロー!スタンバイにガラディーンの効果で攻撃力は200ダウンします。カリバーンの効果を発動し、500回復!」
NAGARE 2800→3300
手札1→2
遮られた。でも、あいつがあんなに声を荒げるってことは・・・。
「通常召喚、聖騎士の3兄弟!効果で手札の聖騎士アルトリウスを特殊召喚!更に私はアルトリウスと3兄弟でオーバーレイ、エクシーズ召喚H-C エクスカリバー!効果発動、H-C エクスカリバーのオーバーレイユニットを2つ取り除き、攻撃力を4000にします!」
・・・まずいな。凪流はわざと負けようとしている。ここでスフィアードに攻撃されたら・・・。
NAGARE
手札2→0
「更に私はアクションマジック、エクストリーム・ソードを発動!攻撃力を1000アップさせます、対象はエクスカリバー!」
・・・おいおい、マジでかよ。その本気他のデュエルで使ってくれ、飴ちゃんあげるから。
「バトルです、エクスカリバーでスフィアードに攻撃!」
「それは待ってもらおうか、速攻魔法、マスクチェンジ・セカンド!手札を1枚捨てて、スフィアードをM HEROに変身させる!スフィアードをリリースして、M HEROカミカゼに変身召喚!守備表示!」
「・・・攻撃対象を変更、スターダスト・ドラゴンを破壊します。」
KIKU 3900→1400
手札4→3
さて、こいつも戦闘破壊されない効果を持っている。・・・凪流は間違いなく負けるつもりなのは理解できた。つまり、今からは自爆していく要因となりえるスフィアードの存在はほぼ無意味といっていい。勝つつもりはなかった俺にとって今の状況はきつすぎる。こんなことならさっさと自爆して負けておくべきだったか?まあ、今からでも出来ないことはないだろうが・・・。
「ターンエンドです。」
「俺のターン、ドロー。」
・・・これは?!もしかしたら行けるかもしれない。ただ・・・邪魔なのはあのアルトリウスか。・・・いや、エクスカリバーがいる。こいつの攻撃力をアップさせるには・・・いや、無理だ。このデッキに攻撃力上昇のカードは入っていない。さっきのターンにアルトリウスの効果を使ってくれれば話は楽だったんだが・・・。
「・・・ターンエンド。」
KIKU
手札3→4
「・・・私のターン、ドロー。アルトリウスの攻撃力は200ダウンします。エクスカリバーを守備にしてカリバーンで回復。ターンエンドです。」
NAGARE 3300→3800
手札0→1
ドローゴー状態か、正直助かった。アルトリウスも2900まで落ちている。まあ、戦闘破壊なんてそうそうできないんだけどさ。そもそもガスタは戦闘で破壊するようなカードは殆ど入らない。基本的にはシンクロでスフィアードを出して反射ダメージで勝つか、ガルドスの除去で殴る、もしくはマスクチェンジでカミカゼ出してちまちま殴るくらいしか勝つすべはないのだから。ごくまれにアクセルシンクロからのシューティングスターやクエン酸が出るが、そんなのは本当に稀だ。それに、今はたとえ出たとしても最悪もう一回エクシーズ召喚からのエクスカリバーで殴り倒されるだけである。シュースタはシュースタで完全態アルトリウスには攻撃力で負けるし。
「俺のターン、ドロー。・・・カミカゼを攻撃表示に変更する。カミカゼでエクスカリバーにアタック。」
「通ります。」
「なら、カミカゼの効果で1枚ドローする。カードを2枚伏せてターンエンド。」
KIKU
手札4→6→4
カミカゼの攻撃力は2700。アルトリウスに装備されたガラディーンは攻撃力を200づつスタンバイに下げていく。つまり次のアルトリウスの攻撃力はカミカゼと同じ2700なんだが・・・そんなに甘くはないよな。
「私のターン、ドロー。スタンバイにガラディーンの効果で200攻撃力が下がります。メインに入りカリバーンの効果を発動し500回復・・・。」
NAGARE 3800→4300
手札0→1
凪流の手が止まる。
「どうした、さっさとしろ。言っておくがお前がわざと負けるようなら、こちらにも考えがあるからな。」
そう言って、オベリスクフォースは香澄が封印されたカードに手を伸ばした。それを遮るように凪流は叫ぶ。
「分かっています!!アルトリウスの効果発動!オーバーレイユニットを一つ取り除き、場の聖剣の数まで魔法、罠を破壊します。対象はガラディーンとカリバーン、それと菊の伏せカード2枚!」
「伏せカードのうち一枚はサイクロンだ。これをチェーン発動してEX-カリバーンを破壊する。」
これで、対象にはとれるようにはなったけど・・・。
「・・・チェーンはありません。ですが破壊されたガラディーンはもう一度アルトリウスに装備されます!これでアルトリウスの攻撃力は3500に!カリバーンの効果で500回復します。そして、墓地のEX-カリバーンをゲームから除外し、アルトリウスをランクアップさせます!」
NAGARE 4300→4800
エクスカリバーのいいところはそれだよな。破壊しても墓地で効果を発動できるってところ。他の聖剣とは違って、破壊されて真価を発揮できる。他の聖剣は破壊されにくいってだけで、サイクロンなんかで2回破壊されりゃあ終わりだけど、あれはそうはいかない。デッキによっては完全態降臨の特化のために3枚検討出来るくらいだ。・・・聖剣大安売り状態なのが若干ファンデッキとして辛いとこだけど。出来るならハイランダーにしたいけど、それじゃあ回らないんだよ。
うん、こういうロマンより勝利なのがガチデッカー寄りの考えの欠点。そのせいでネタデッキが組みにくいんだ。
・・・現実逃避はこれくらいにしようか。厄介な聖騎士の登場だ。
「ランクアップ、エクシーズチェンジ!神聖騎士王アルトリウス!墓地の聖剣をアルトリウスの効果で再度装備!更に手札からギネヴィアの効果を発動し、装備します!」
さて、効果は先ほどのあれとはまた違って厄介なんだよなぁ。ま、他のランクアップと違って蘇生制限を満たさないのだけれど。エクシーズ素材は・・・2つか。
「神聖騎士王の効果発動!オーバーレイユニットを一つ使い、フィールド上のモンスターを1体破壊します!対象はカミカゼ!」
「墓地のスキル・プリズナーの効果発動!」
「墓地から罠?!」
お、まさか本当に言うとは。つかお前墓地から魔法使ってただろ。
「墓地のこのカードを除外し、対象はカミカゼ。このターン、こいつを対象にとったモンスター効果は無効化される。」
「でも、聖剣の効果は有効です!カリバーンの効果で500回復します!そしてカミカゼにアルトリウスでアタック!」
「ライフで受ける!」
KIKU 1400→700
NAGARE 4800→5300
「・・・カードを1枚伏せます。ターンエンドです。」
NAGARE
手札1→0
いやあ、危なかった。つか、本気で殺しに来てない?いや、むしろ今は都合がいいんだけどさ。
「俺のターン、ドロー。」
KIKU
手札4→5
さて、さっきのカードを使う時が来た。まあ、その前に下準備。
「ガスタの神榮 ピリカを通常召喚。効果で墓地のガスタ・ガルドを特殊召喚。そしてシンクロしてダイガスタ・スフィアード。スフィアードの効果でピリカを手札に戻して緊急テレポートを発動。ガスタの希望 カムイを特殊召喚!」
さて、こっちを通すためには、凪流のライフをせめて
「ガスタ・イグルでアルトリウスに攻撃!」
「返り討ちにしなさい、アルトリウス!」
「ダイガスタ・スフィアードの効果!ガスタによる戦闘ダメージは相手が受ける!」
「きゃあああぁぁぁぁ!!」
NAGARE 5300→2000
「カードを3枚セット!ターンエンド!」
KIKU
手札4→1
「スフィアードで攻撃しない!?」
いや、そんなことすればお前だけ負けちゃうし。そもそも俺がこのデッキを選んだのはちゃんと理由があるんだよ?そんなことするわけないじゃん。
「・・・私のターン。ドロー。」
だから、これを発動するのさ。
「その瞬間、このカードを発動する。破壊輪!」
「・・・え?」
破壊輪。その効果は長い間OCGプレイヤーをやっているならご存じだろう。OCGではエラッタされていたが、今回使っているのもDDBと同じエラッタ前。その効果はなぜ作ったとでも言わんばかりの効果。何よりエラッタ前と違うのは・・・。
「対象はダイガスタ・スフィアード!」
相手ライフが対象のモンスターより低いと発動できないとか、相手フィールドのモンスターしかできないとか、そんな制限が一切ないことだろう。
「お、おい。そのカードを使われたら俺らは・・・。」
ちなみにこの世界ではこのカードで発生するエフェクトとそこからの危険性から真っ当な思考を持つデュエリストなら絶対使わない。自分も相手も爆発した余波に巻き込まれるだけでなく、周囲の人も巻き込んでしまうからだ。同じ理由でグレイモヤも危険性ゆえに敬遠されている。まあ、敬遠されているからと言って使えないわけじゃない。破壊輪はこの世界でも制限だけどね。
「・・・菊。」
凪流が引いている。さっきまで泣きそうだった顔が一気に青ざめてる。ま、仕方ないけどね。凪流は俺と大牙がこれ使って入院したの知ってるし。俺、額に2針縫ったし。
そもそも、俺は勝つ気なんてない。だからと言ってカードにされる気もない。なら、答えは簡単だ。
もちろんこのデッキの構築上自爆スイッチもギフトカードも、成金ゴブリン含め活路への希望などのドローカードも大量に入っている。それはもう、ガスタのカード抜いてエグゾ入るレベル。いや、入っていたんだけどまさかまったく引かなかったとは。呪われてんじゃない?もしくは俺が運命力が足りてなかったのか。
「お、おい何とかしろ女!さっさと伏せカードを使え!!」
焦っても無駄無駄。さあ、オベフォの皆さんも道連れに・・・え?
「すいません、菊。さすがにそれを許すのは・・・。魔宮の賄賂を発動します。」
・・・え?
「なんちゅうもん伏せとんじゃおのれはァ!待てや、そこは一緒に死のうぜ的な所やろ?空気読んで一緒に自爆しようぜ凪流ェ!」
そう叫んだ俺は悪くないと思う。
「いや、流石に危険すぎるので・・・。あと、爆発で怪我したくないっていうか、それならいっそカードにされた方がマシっていうか・・・。」
さっきまでのシリアス返せやお前!俺必死でライフ調整してたんやぞ?!カリバーンで何度も何度も回復するからちょっと以上に大変やったんやぞ?!
「まあ、人質が居たので私も逆らえなかったのでと言うことにしてください。」
「なめんな!!」
まあ、止められたのなら仕方ない。プランB。いや、
「魔宮の賄賂の効果でドロー。そして罠発動!『ラストバトル!』!」
まあ、本命がこっちでよかったというべきか、止められたのが破壊輪でよかったというべきか。
「対象はダイガスタ・スフィアード!『ラストバトル!』の効果でそれ以外のカード全てを墓地に送る!」
これを発動すれば、破壊輪と過程は違えど同じ結果を得られる。確実性は、本当は破壊輪に落ちるけれど。なぜなら墓地に送られるのは神聖騎士王だから。神聖騎士王には墓地に送られると墓地の聖騎士を特殊召喚できる効果を持っている。それだけではない。もしそれとラストバトルの効果でレベル5のモンスターがそろったのなら、もう一度神聖騎士王で破壊されるのがオチでしかなかった。ランスロットはともかく、エクタードマリスは墓地セルフ蘇生できるから。でも、幸いだったよ。
「そんなカードがあったなんて・・・。」
「いや、この効果はここからが本番さ。」
ま、OCGでは二度と陽の目を見ることはないだろうがな、リリーサーとの相性が酷すぎて。昔はジョウゲンと悪いことしかしなかったらしいけど。
「このカードは、選択したモンスター以外のお互いのカード全てを墓地に送った後、お前はデッキからモンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚し、俺が選択したモンスターと戦闘を行う。この戦闘によって発生するお互いのプレイヤーへの戦闘ダメージは0になり、このターンのエンドフェイズ時にどちらかのプレイヤーのみがモンスターをコントロールしていた場合、そのコントローラーはデュエルに勝利する。まさしくラストバトルってわけだ。」
「・・・私のデッキの中で一番攻撃力の高いモンスターはランスロット。攻撃力は2000なのでダイガスタ・スフィアードは超えています。ですが・・・。」
「スフィアードは戦闘では破壊されない。」
「でも、神聖騎士王は問題なく除去できる。」
凪流は、本命をそっちだと思い込んだみたいだった。
「成程、確かに強力ですね。それに、特殊勝利能力付。」
「ああ、この状況でお前が負けないようにする方法はほとんどないに等しい。」
「でもその肝心のランスロットだけではスフィアードを突破できない。」
「まあ、発動条件が残りライフ1000以下っていう厳しい条件があるんだがな。」
まあ、そんな発動条件はOCG民なら普通にクリアしてくるんだけど。
「・・・ラストバトル!にチェーンし、ブレイクスルー・スキルをスフィアードに打ちます。そして私は、聖騎士ランスロットを召喚します。」
ランスロットは召喚された瞬間、ダイガスタ・スフィアードに向かって走り出し、不意打ち上等とでも言わんばかりに斬りかかった。・・・どことなくバーサーカー染みてるのは気のせいだと思いたい。
「墓地のエクター・ド・マリスの効果!墓地の聖騎士アルトリウスと神聖騎士王アルトリウスをゲームから除外し、特殊召喚します!」
「でも、もう手札はない。」
「それは貴方も同じです。スフィアードが居ない今、マリスの守備力2000を破壊することも、自爆特攻してダメージを押し付けることもできない。それにエンドフェイズにあなたのラストバトル!の効果が適用される。私はターンエンド。これで次のターン・・・。」
ははは、何勘違いしているんだ?
「俺のフィールドにモンスターは居るじゃないか。」
「何を言って・・・。」
そこまで言って初めて凪流は気付いたらしい。俺のフィールドにいる1体のモンスターの存在に。
「ラストバトル!時に墓地に送られたガスタ・グリフの効果さ。デッキからガスタと名のついたモンスターを特殊召喚できる。これの効果で俺はガスタ・イグルを召喚したのさ。これで、このデュエルは決着だ。」
「何を・・・今、両方のフィールドにはモンスターが存在します。ラストバトルはどちらかにのみフィールドに存在していれば、特殊勝利するかもしれませんが今、私たちには両方のフィールドにモンスターが存在します。」
そう、両方のフィールドに存在する。これが重要だった。凪流がエクター・ド・マリスを召喚するかどうかは賭けだった。だから、ラストバトル!の効果をあえて最後だけ教えなかった。・・・そうすれば、間違いなく凪流は負けに走っただろうから。
「ラストバトル!の解決時、両方にモンスターが存在する場合、そのデュエルは引き分けとなる。」
「へ?」
「助かったよ。これを突破されたら、もう俺には勝つ手段はなかった。ラストバトル!を発動すれば、間違いなくお前はブレイクスルー・スキルの効果を使う。だから本当は、イグルとかそのあたりのリクルートモンスターに使うつもりだった。でも、それをするともし万が一に手札にマリスがあった場合にランスロットをラストバトル!の効果で特殊召喚した後、アルトリウスをエクシーズ召喚されて効果で破壊。もうデッキにはガルドはいなかったから、多分それで負けていた。実際、手札に居たみたいだしね。」
それを聞いて、真っ先にプレミがなかったかを確認する凪流。
「・・・ならやっぱり、あの破壊輪を発動させなくて正解だったんですね。」
「それがね、魔宮の賄賂でドローしたのがグリフだったんだよ。」
あ、すっごい顔してる。まあ、そうなるよな。
「・・・運がないですね。」
「お互いね。あ、そうそう。
そういうと、凪流はきょとんとした顔になった。
「こんな強力なカードであるラストバトル!がどうして使われないと思う?もし、引き分けになった場合のリスクが高すぎるからさ。なんせ、ラストバトル!の効果で戦ったモンスター両方の合計分のダメージがあたりを巻き込むダメージエフェクトとして発動するんだから。」
それを聞いて凪流の表情がピシッと固まる。
「・・・ちょっと待ってください。スフィアードとランスロットの攻撃力は互いに2000。つまり・・・。」
「みんなワンキルされるだけのダメージを受けるね。さて、エンドフェイズだ。大丈夫。逝くときは一緒だよ!」
そこまで言うと、凪流は思いっきり息を吸い込み。
掃き出し。
叫んだ。
「嫌ですよ!どうしてそんないい話風になってるんですか!に、逃がしてください!い、いやだ!こんなので心中なんて嫌だーーーー!!!」
「ちょっと、そこはかとなく傷つくからその言い方やめろよ。」
「何考えてるんですかこのアンポンタン!私嫌ですよ!大牙や貴方みたいにあんな爆発起こして死にかけるの!」
いや、あの事件は命に別状はなかったし精々気絶するくらいじゃない?打ち所が悪ければ死ぬかもしれないけど、それをしないために今のうちに身構えとけって忠告してあげてるんだから。
あ、いつの間にかオベリスク・フォースの皆さんが逃げようとしてる。あはは、させないよ~?
「じゃ、凪流はマリスを盾にして防いでな。ラストバトル!起動!」
「嫌だああぁぁぁーーーーー!!!」
ポチッとな。
まあ、こんな感じで。
無事?解決しました。やったねたえちゃん。
シリアスが書きたかった。
シリアスが、
どうしてこうなった。