遊戯王ARC-Ⅴの世界に廃人がログインしました   作:紫苑菊

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ヤッターーー!!
Fate、ジャックが来たよーーーー!!やっと攻撃系宝具持ち!!オリオン?知らない子ですね。てか男性特攻の所為で若干使いにくいんだよなぁ。それに比べてジャックのクイック性能よ・・・。これでSSR5体になったけど友人に課金疑われたよ、やったね!!

あれ?遊戯王小説なのに前書きでFateのことしか話してないような。まあいいか。

そういえば、ヴェルズビュート、アークナイト再録!!嬉しいですねぇ。カステルは持ってましたがアークナイトもヴェルズビュートも持ってなかったので嬉しいです。そして何気に再録王ェ・・・。

それから注意、今回アニメオリカが大量に出ています。というかキャラ的に仕方がなかったんだ・・・。非力な私を許してくれ・・・。


第4話

 

「さーて始まりました第三試合、対戦は茂古田未知夫選手対志島北斗選手!!そして実況は引き続き私、ニコ・スマイリーと!!」

 

「皆さま遅れて申し訳ございません、解説の柊菊でお送りします。」

 

「はい、ありがとうございます柊選手!!それにしても遅刻とは珍しいですが何かありましたか?」

 

「いや、ちょっとファンサービスをしていまして、無碍にするわけにもいかず・・・。本当に申し訳ないです。」

 

「いえいえ、プロデュエリストともなるとよくあることです。あのストロング石島さんも同じようにファンを大切にしていましたので私は理解ある方ですが、あまりこういうことはしないようにお願いしますよ?」

 

「はい、申し訳ございません。」

 

 そう言って謝る菊さん。いや、あれをファンサービスと言ってはいけないだろう。そんなんだからあのファンクラブはあんなことに・・・いや、今は試合に集中しよう。決してあの悲劇を思い出したわけじゃない。うん、そうだ。あれは関係ない。

 

 試合を終えて急いで駆けつけてきた姉さんが心配している。え?目が死んでる?やだなぁそんなわけないじゃないかハハハ・・・。

 

 いや、今は気持ちを切り替えよう。せっかく姉さんが試合を早く終えて見に来ているんだ、情けないところは見せたくない。

 

「それでは登場してもらいましょう!!まずはLDS所属、志島北斗選手!!」

 

 姉さんが背中を押す。思わずこけそうになるが何とか体制を立て直した。文句の一つでも言おうと思って振り向く。

 

「姉さん・・・。」

 

「さっさと行ってきなさい。行っときますけど、私だけじゃなく菊も、あなたの友達も、そしてあなたがリベンジを果たしたいっていう遊矢君も見てるんですから、そんな情けない顔で行かないでくださいよ。ほら、もっと自信満々に。」

 

「・・・そうだね。」

 

 うん、さっきのことは今は忘れよう。俺はまだやらなければいけないことがある。この試合に勝って、あいつらの分まで頑張るんだ。

 

 そう思うと不思議と頭がすっとしてくる。姉さんは言いたいことを言い終わったのか観客席に戻っていった。あの様子だと様子がおかしいの、ばれてたのかな?ほんと姉さんにはかなわない。

 

 会場は熱気に包まれていて、1回戦の時にも2回戦の時にも思ったが気押されしそうな感じだったが、今なら全然大丈夫だと思えた。

 

「次は霧隠料理スクール所属、茂古田未知夫選手!!」

 

 対戦相手はなんていうか、優男風だった。こう、マダムファンが多そうな顔。不思議とオリーブオイルが似合いそうな感じがする。

 

「やあ、よろしく。いいデュエルにしよう。」

 

 そう言って握手を求めてきたので、それを返す。どこかでキマシタワーなんて声が聞こえたが、きっと幻聴だろう。そうに違いない。そう思わないといけない気がした。

 

「それでは参りましょう!!アクションフィールドセット!!」

 

 ≪アクションフィールドセット・荒野の決闘タウン≫

 

「皆さん、満足できるよう頑張ってください。」

 

 機械音声の後にそういう菊さんの声が聞こえたが、なぜだろう。全力で展開しなければならない気がしている。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが、モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い」

 

 向こうが口上を言う。正直考え事をしていて出遅れたが、続きを言わなければ。

 

「フィールド内を駆け巡る!見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

 

「「デュエル!」」

 

 毎回考えるのだが、なぜこの口上を言わなければならないのだろう。正直趣味じゃないし、真澄みたいに自信満々に言うにしても少し恥ずかしいのだが・・・。

 

「僕の先行。」

 

 あ、先行取られた。まあ、早い者勝ちだから仕方がない。

 

「僕はCM ヒヨコムギを召喚。」

 

 出てきたのは随分と可愛らしいモンスター。・・・何かあるな。

 

 MITIO

  手札5→4

 

 CM ヒヨコムギ

 効果モンスター

 星2/地属性/天使族/攻 100/守 400

(1):このカードがフィールドから手札に戻った場合に発動できる。このターン、手札のこのカードを攻撃表示で特殊召喚する。

 

「更に手札から、A・ジェネクス・バードマンをヒヨコムギを手札に戻すことで特殊召喚する。この瞬間、ヒヨコムギの効果発動。ヒヨコムギは手札に戻った時に特殊召喚できる。」

 

 A・ジェネクス・バードマン

 チューナー・効果モンスター

 星3/闇属性/機械族/攻1400/守 400

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果を発動するために風属性モンスターを手札に戻した場合、このカードの攻撃力は500アップする。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 まずい、シンクロ召喚か!レベル2とレベル3、考えられるカードはいくつかあるが、もし最悪の相性を考えるなら・・・。

 

「僕は、レベル2、CM ヒヨコムギにレベル3、A・ジェネクス・バードマンをチューニング!!」 

 

 もしあれだとしたらこのデッキだとプレアデスだけでしか突破は難しいか。いや、まだそうじゃない可能性も・・・。

 

「シンクロ召喚、光を殲滅する闇の力、起動せよ!!A・O・J カタストル!!」

 

 出たよ畜生!!姉さんが出して毎回敗因になるA・O・J カタストル、光とは最悪の相性のカード!!

 

 A・O・J カタストル

 シンクロ・効果モンスター

 星5/闇属性/機械族/攻2200/守1200

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが闇属性以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。

 

「カードを1枚セット。僕はこれで、ターンエンド。」

 

 MITIO

  手札4→2

 なんでだよ、いったいどうしてこんなカードが出るんだよ!!料理塾のミッチーって言えばクックメイトと料理の腕で有名なあいつだろ?!調理器具ですか?調理器具なんですかこれは?!

 

「いやぁ、1ターン目からこれまたすごいモンスターが出ましたねぇ。」

 

「ええ。更に言えばカタストルが内包する効果は凄まじいですから、これは北斗選手は苦戦するかもしれません。」

 

「と、言いますと?」

 

「いえ、これ以上言うと北斗選手に有利になるかもしれないんですが・・・どうやら彼の顔からして知っているようですね。」

 

 ええ、知っていますよ。姉さんのデュエルではほぼ毎回エフェクトヴェーラーとアルトリウスでシンクロされますからね!!

 

「なら言わせてもらうのですが、カタストルの持つ効果は闇属性以外のモンスターと戦闘を行うと、ダメージ計算を行わずに破壊します。」

 

「な、なんと!!それでは・・・。」

 

「はい、これでセイクリッドお得意のビーハイブでの戦闘破壊は行えません。まあ、プレアデスで手札に戻してしまえばいい話なのですが、そう簡単にいくわけではありませんし。アクションマジックや手札誘発による妨害、更には相手の伏せカードまで警戒しなくてはならない。逆に向こうはプレアデスさえ止めてしまえば後はほとんど警戒するものはない。」

 

 会場が彼の解説に耳を傾ける。

 

「ですが、セイクリッド以外のエクシーズモンスターなら突破は難しくはないのでは。」

 

「あなたは貴重なエクシーズのカードをそう何枚も入手できると思いますか?」

 

「・・・いいえ。」

 

「たしかにニコさんの言うように相手を守備にして突破できるマエストロークや、火力で突破できるキングレムリンにカンゴルゴーム。除去を考えるならヴェルズビュートにダイヤウルフ、カステルなどあげればキリがないのですが、汎用性のあるエクシーズはプロでも入手が難しいですからね。あれらはカテゴリで統一されてるセイクリッドに比べて入手しにくいにもほどがあります。ですので少々難しいかと。」

 

「なるほど、確かにあれらのカードはそうそう見ませんが。」

 

「カタストルはエクシーズなどよりも以前に出たのであれらよりは比較的入手しやすいですが、それでも凄いレアカードですよ。今大会では早々見ないのではないですか?」

 

「確かに今大会ではユースを含めても彼の姉である凪流選手などの2、3人しか出していませんね。」

 

「その凪流選手は同じ学校の友人なんですが、友人の話によるとショップ売ってるようなパックや大会で貰えるパックの中からシンクロ、エクシーズ、融合のようなカードはカテゴリ用以外だと滅多に出ないそうです。大会用のパックの方が出やすいのは出やすいらしいですが、それでも難易度は高いみたいですね。」

 

「成程、学生からすれば確かに厳しい話ですね。あれ、でも菊さんは・・・。」

 

「自分は職業上、手に入りやすいですから。」

 

 そんな風にのんきに話してるけれど状況は変わらないんですよ、菊さん。確かに姉さんはあのカードの入手にかなりてこずったらしいけど、だからと言って今の状況が何が変わるわけどもなし。もっと突破できるようなヒントが欲しかった。

 

 いや、今は突破することだけ考えよう。気持ちを切り替える。

 

「僕のターン。」

 

 ドローしたのはセイクリッド・カウスト。これなら!

 

「僕はセイクリッド・グレディを通常召喚。効果で手札からセイクリッドを特殊召喚できる。効果で手札からセイクリッド・カウストを特殊召喚。」

 

 セイクリッド・グレディ

 効果モンスター

 星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4の「セイクリッド」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 セイクリッド・カウスト

 効果モンスター

 星4/光属性/獣戦士族/攻1800/守 700

このカードはS素材にできない。(1):フィールドの「セイクリッド」モンスター1体を対象として以下の効果から1つを選択して発動できる。この効果は1ターンに2度まで使用できる。●対象のモンスターのレベルを1つ上げる。●対象のモンスターのレベルを1つ下げる。

 

「レベル4が2体・・・。」

 

 向こうがつぶやくがまだまだ終わらない!!

 

「おーと?!早速レベル4のモンスターが2体揃った!!これは来るか?!」

 

「いえ、まだですね。」

 

 そう、菊さんが言うようにまだやることがある!!

 

「僕はセイクリッド・カウストの効果を発動。グレディのレベルを1上げる。」

 

「おおっと?!レベルが変わったぞ?!これではエクシーズができないのでは?!」

 

「いえ、カウストの効果はあともう一回発動できますので、それによって・・・。」

 

「レベル5が2体・・・。」

 

 向こうも気付いたみたいだが、このタイミングでヴェーラー打たないということは妨害札はないと見た。

 

「僕はカウスト自身のレベルを5に変える。そしてセイクリッドの星痕を発動。」

 

 セイクリッドの星痕

 永続魔法

自分フィールド上に「セイクリッド」と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローできる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 これで準備は整った。

 

「僕はレベル5のセイクリッド・カウストとグレディでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!セイクリッド・プレアデス!!」

 

 これが僕の切り札、セイクリッド・プレアデス!!

 

 セイクリッド・プレアデス

 エクシーズ・効果モンスター

 ランク5/光属性/戦士族/攻2500/守1500

 光属性レベル5モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「おおっと?!北斗選手早々に切り札の登場だーーー!!」

 

 一気に歓声が沸き上がる。やはりこの瞬間は気持ちがいい。

 

「それだけじゃないですね。」

 

「と言いますと?」

 

「エクシーズ召喚に成功したので、先ほど発動した星痕の効果で1枚ドロー出来ます。もし手札が良ければさらに展開することも可能ですし、手札増強は次のターンの布石にもなりますから。手札の数だけ可能性があるのがデュエルモンスターズですからね。更に言うならこれでカタストルも除去できる。」

 

「成程、堅実な一手というわけですね。」

 

「ええ。セイクリッドは場合によっては手札消費が激しいですから、手札増強の手段である星痕を初手から発動できたのはかなり有利に思えます。ただし、あの伏せカード次第ですが。」

 

「そういえば随分と菊選手はセイクリッドについてお詳しいようですが、セイクリッドを持つ対戦相手にあたったことはありますか?」

 

「というよりは彼自身と対戦したこともあるくらいなんですが。まあ生半可なプロなら負けてしまうんじゃないかと思うくらいには彼の実力は高いです。」

 

「おお、菊選手お墨付きというわけですか!!それは期待できますね。」

 

「ただ・・・。」

 

「ただ?」

 

「CMを知っている人からすると一概にそう言い切れないんですよ。」

 

「ほお。」

 

「まあ、それはまたおいおい説明しておこうと思います。」

 

 解説は解説で盛り上がっているが、まずあれを対処しないと・・・。

 

「星痕の効果で1枚ドロー。そしてセイクリッド・プレアデスの効果発動!!オーバーレイユニットを一つ取り除くことでフィールドのカードを1枚手札に戻す!!」

 

 だが、伏せカードは何もなくカタストルはエクストラデッキに戻っていく。やはり妨害札ではないのか。・・・警戒しすぎた?

 

「バトルだ!!セイクリッド・プレアデスでダイレクトアタック!!」

 

 だけれど、その攻撃は茂古田には届かなかった。

 

「アクションマジック、回避を発動!!」

 

 アクションマジックを使われたか。出来れば早々にダメージを与えておきたかったんだけれど・・・。

 

「ターンエンド。」

 

 手札に妨害用のカードが来ない。だがプレアデスさえいれば十分。

 

 HOKUTO

  手札6→4

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 MITIO

  手札2→3

 さて、どう仕掛けてくる?何か手はあるか?!

 

「・・・僕は禁じられた聖杯を発動!!対象はプレアデス!!」

 

 禁じられた聖杯

 速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。

 

 な、それはまずい!慌ててアクションカードを探すが、拾ったのはハイダイブだった。これを消費したうえでもう一枚のアクション魔法を探す時間はない。ならば・・・。

 

「僕はセイクリッド・プレアデスの効果発動!!その伏せカードを手札に戻してもらう。」

 

「かまわないよ。これでそのプレアデスのオーバーレイユニットは無くなった。モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンド。」

 

 MITIO

  手札2→3→0

 

「おおっとぉ?!せっかくプレアデスを封じたのに何もしてこない!!これはいったいどうしたことかぁ!!」

 

 ・・・あの伏せカード、何かある。1枚はさっきのターンに伏せられたカード。そしてもう一枚は・・・。ダメだ、あのCMに相性のいいカードが思いつかない。だがあの自信満々な態度、おそらく攻撃反応型か召喚反応型の汎用カードのはず。

 

「僕のターン、ドロー!!僕はセイクリッドの星痕をもう一枚発動する。」

 

 HOKUTO

  手札4→5→4

 

 これでトレミスにしてから考えよう。幸いにも手札にはポルクスがいる。

 

「僕はプレアデスでオーバーレイネットワークを再構築!眩き光もて降り注げ!エクシーズ召喚!ランク6!セイクリッド・トレミスM7!」

 

 セイクリッド・トレミスM7

 エクシーズ・効果モンスター

 ランク6/光属性/機械族/攻2700/守2000

 レベル6モンスター×2

このカードは「セイクリッド・トレミスM7」以外の自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚した場合、このターンこのカードの効果は発動できない。(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

「おおっとぉ?!ここでプレアデスがさらに強大なモンスターに変わったぁ!!」

 

「更に手札消費を抑えたうえで手札を増強出来ましたので、アドバンテージ的に有利になりましたね。対戦する茂古田選手の手札は0。ここで一気に勝負を決めに行きたいところです。」

 

「これは決着も近いかぁ?!」

 

「トレミスの召喚に成功したとき、星痕の効果で2枚ドロー。」

 

 HOKUTO

  手札4→6

 

 さて、だけど手札には伏せを対処するようなカードは来なかった。だけどカウストが手札に来てくれたおかげでプレアデスが出せる。

 

「トレミスの召喚に成功したとき、星痕の効果で2枚ドロー。僕はセイクリッド・ポルクスを召喚。効果でもう一度通常召喚を行う。これでカウストを召喚し・・・」

 

「罠発動、激流葬!」

 

 よりによってそれか!!

 

 激流葬

 通常罠

(1):モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動できる。フィールドのモンスターを全て殺処分(破壊)する。

 

「これで僕も君もモンスターは居なくなった。だけれど・・・。」

 

 フィールドを見ると1枚のカードが発動されている。

 

「その罠カードは?!」

 

「ああ、僕はこの食罪庫を発動していた!このターン破壊されたCMをこのカードの下に重ねる。食罪庫にいったモンスターの数、僕はRCMを手札に加えれる。さて、その手札にこのカードを破壊するすべはあるのかな?」

 

 食罪庫

 永続罠

(1):このカードは、このターン墓地へ送られた「CM」モンスターを全てこのカードの下に置いて発動する。自分はこのカードの下に置いたカードの数だけデッキから「CM」モンスターを手札に加える。 (2):自分フィールドのモンスターの数がこのカードの下に置かれたカードの数よりも多くなった場合、 自分フィールドのカードを全て破壊する。

 

 MITIO

  手札1

 

「・・・。」

 

 ない。さっきのドローでサイクロンあたりが来てくれれば最適だったのだが・・・。さり気にCMを殺処分(破壊)されたせいで手札も増やさせてしまった。

 

「・・・セイクリッドの超新生を発動。墓地のグレディとカウストを手札に戻す。このターンバトルは行えない。カードを1枚伏せてターンエンド。」

 

 セイクリッドの超新生

 通常魔法

自分の墓地の「セイクリッド」と名のついたモンスター2体を選択して手札に加える。このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

 

 HOKUTO

  手札6

「僕のターン、ドロー。」

 

 MITIO

  手札1→2

 

「僕は手札からワンダー・レシピを発動!これの効果は食罪庫の下にあるカードの数まで手札からRCMを特殊召喚できる。そしてその後召喚した数×300のダメージを与える。」

 

 ワンダー・レシピ(アニメオリカ)

 永続魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドの「食罪庫」の下に置かれたカードの数まで、 自分は手札から「RCM」モンスターを攻撃表示で特殊召喚できる。 その後、この効果で特殊召喚したモンスターの数×300ダメージを相手に与える。

 

「つまりさっき加えたカードを・・・。」

 

「そういうこと。」

 

「おおっとぉ?!まさかあのカードがこれへの布石になっていたのかぁ!!」

 

 解説も驚いているが重要なのはそこじゃない!問題はたとえそのRCMを破壊したとしても食罪庫の効果でまた手札にRCMが行ってしまうということ。簡易的なループか・・・。厄介な。

 

「僕は、RCM ナイト・ナポリタンを攻撃表示で特殊召喚!」

 

 RCM ナイト・ナポリタン(アニメオリカ)

 効果モンスター

 星8/地属性/天使族/攻 300/守 1100

(1):相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、 そのモンスター1体を対象として発動できる。 このカードを手札に戻す事で、その対象のモンスターを破壊する。 (2):1ターンに1度、自分フィールドの「RCM」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで倍になる。 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。

 

 出てきたのはナポリタンと騎士を合わせた随分とコミカルなモンスター。だが素の攻撃力は300。これなら食らってもまだ痛くはない。

 

「召喚に成功したので300のダメージを与える。」

 

 HOKUTO 4000→3700

 

 ・・・何もできない。アクション魔法は今は拾えない。手札にアクションカードは1枚しか持てないからだ。ハイダイブ・・・いらねぇ。

 

「バトルだ、ナイト・ナポリタンでダイレクトアタック!」

 

 糞、使うタイミングがなかった所為でアクション魔法が腐っている。これじゃあ他のアクションマジックを拾うことができない。手札に持てるアクション魔法の数は1枚まで。さっきプレアデスに使うべきだったか・・・。

 

 HOKUTO 3700→3400

 

「だがその程度、僕に言わせればダメージにもならない。」

 

「塵も積もれば山となる。僕はコツコツ行かせてもらうよ。料理に下準備は大切なんだ。僕はこれで、ターンエンド。」

 

 く、だが手札アドバンテージは僕にある。伏せた奈落の落とし穴はCMの攻撃力が低いために現在は腐っているが仕方がない。ブラフにはなるだろう。それに2回目のカタストルが来ないとも限らない。

 

「僕のターン、ドロー。」

 

 HOKUTO

  6→7

 

「相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、手札からセイクリッド・シェアトは特殊召喚できる。シェアトを守備表示で特殊召喚!」

 

 セイクリッド・シェアト

 効果モンスター

 星1/光属性/天使族/攻 100/守1600

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。また、1ターンに1度、このカード以外の自分のフィールド上・墓地の「セイクリッド」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。このカードは選択したモンスターと同じレベルになる。フィールド上のこのカードをエクシーズ素材とする場合、「セイクリッド」と名のついたモンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。

 

「更に手札からカウストを通常召喚!カウストのレベルをカウストの効果で5に上げる。そしてシェアトの効果でカウストを選択。このターン、シェアトのレベルはカウストと同じになる。行くぞ、エクシーズ召喚!」

 

 これでもう一度バウンスしてやる。

 

「セイクリッド・プレアデス!」

 

「またまた北斗選手のエースモンスターが登場したーーー!」

 

「いや、これはまずい。」

 

 え?なんだって?だけどこれであのカードをバウンスすれば・・・。

 

「僕はRCM ナイト・ナポリタンの効果発動!このカードを手札に戻すことで召喚、特殊召喚したモンスターを破壊する!」

 

「な、プレアデス!!」

 

 思わず叫んだがもう遅い。プレアデスの口にスパゲッティが流れ込む。な、気持ち悪い・・・。コミカルな見た目に比べていともたやすく行われるえげつない行為に思わず呆気にとられてしまった。

 

「これは北斗選手、随分とまずいことになったぁーーー!」

 

「今のは残念ですね。というよりはプレイミスというべきですが。」

 

「プレイミスと言うと・・・?」

 

「RCMの破壊効果は決して召喚を無効にする効果ではありません。つまり、召喚自体には成功している。その着地時にナポリタンの効果が発動していますからプレアデスの効果をチェーン発動できたはずなんです。破壊されるのをあきらめて食罪庫をバウンスし、次のRCMを召喚させなくしたり、もしくはRCMをバウンスすることで不発にすることもできたはずなんです。RCMの手札に戻る効果はコスト扱いではないのでプレアデスであれを戻せばよかったのですが・・・。」

 

「成程、これは痛いミスだぞ北斗選手ー!!」

 

 成程、裁定は奈落と似たものなのか。ならばプレアデスでバウンスできた。それをしていれば今頃はもっと楽だったのに・・・。相変わらず手札に除去カードは来ない。そもそも自分は展開重視にしてたのでサイクロンもハーピィもぎりぎりまで積んでいなかった。これならもっと汎用カードを積むべきだったかとは思うがもう遅い。

 

「・・・星痕の効果で2枚ドロー。カードを伏せてターンエンド。手札制限で1枚捨てる。」

 

 HOKUTO

  手札7→5→7→6

 

 来たのは2枚目の奈落。これじゃああれは倒せない。

 

「僕のターン、ドロー。手札抹殺を発動!」

 

「このタイミングで手札交換?!」

 

「僕は手札を1枚捨て1枚ドロー。」

 

「僕は手札を7枚捨てて7枚ドロー。」

 

 ここで手札交換?する必要性はあまり感じないんだが・・・。

 

「ここで食罪庫の効果発動!墓地にRCMが行ったので手札にRCM プリンセス・プリンを手札に加える。」

 

 それでもいいのかよ・・・。

 

「RCM プリンセス・プリンを手札からワンダー・レシピの効果で特殊召喚!さらに300のダメージ!」

 

 HOKUTO 3400→3100

 

 RCM プリンセス・プリン(アニメオリカ)

 効果モンスター

 星6/地属性/天使族/攻 300/守 100

(1):相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、 そのモンスター1体を対象として発動できる。 このカードを手札に戻す事で、その対象のモンスターを破壊する。 (2):1ターンに1度、自分フィールドの「RCM」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで倍になる。この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。

 

 でたなRCM。もはやそのコミカルな見た目が悪魔にしか見えない。

 

「プリンセス・プリンでダイレクトアタック!」

 

 さっき拾ったアクション魔法は手札抹殺で墓地に行ってしまった。仕方がない。甘んじて受けよう。

 

 HOKUTO3100→2800

 

 この程度ならまだ・・・。

 

「そしてモンスターをセット。ターンエンドだよ。」

 

 MITIO

  手札0

 

「・・・俺のターン、ドロー。」

 

 HOKUTO

  手札6→7

 

「僕は神星なる聖域を発動。このカードが存在する限り光属性モンスターの効果は無効化されない。」

 

 神星なる聖域

 永続魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、光属性モンスターの効果の発動は無効化されない。

 

 ・・・手札が悪い。さっきの手札抹殺で墓地にカウストもティンクル・セイクリッドも行ってしまった。少なくともこのターンはプレアデス以外で凌ぐしかない。

 

「僕は手札からセイクリッド・シェアトを特殊召喚。」

 

「RCMの効果は使わない。どうぞ。」

 

 余裕だな。まあそれも仕方ないか。ならば・・・。

 

「ターンエンド。」

 

 HOKUTO

  手札5

 

「これは北斗選手、消極的なプレイング!だがシェアトの守備力はプリンセス・プリンよりも高い!これは耐え凌ぐつもりかぁ?!」

 

「おそらくそうでしょうね。先ほどの手札抹殺で捨てた手札を確認しましたが、どうやら何枚かのキーカードを捨てられたようです。これはどんどん流れが茂古田選手に行っているようですよ。対する茂古田選手は手札こそ少ないものの厄介な布陣を手に入れていますから。」

 

 大丈夫、手札はドローするカードだけなんだ。ならばシェアトを突破するのはアクション魔法でもない限り難しいはず。でも一番攻撃力のアップが強いハイダイブは僕が握っているから、あと残りわずかであろう攻撃力アップ系のカードを合わせたとしても突破されにくい・・・。最悪突破されたとしてもダメージは防げる。

 

「僕のターン、ドロー。」

 

 問題は、もし手札回復されたときの場合だ。

 

「僕は、伏せていたメタモルポッドの効果発動!このカードがリバースしたとき、互いに手札をすべて捨て、カードを5枚ドローする!僕は手札を1枚捨てて5枚ドロー。」

「・・・僕は手札を5枚捨てる。」

 

 MITIO

  手札5

 

 HOKUTO

  手札5

 

 やはり手札回復されたか・・・。だが高打点モンスターなら奈落で・・・。

 

「僕はハーピィの羽根箒を発動、そのカードを全て破壊する。」

 

 希望が刈り取られた。どこからか悔しいでしょうねぇなんて声が観客席から聞こえてくる。誰だ。

 

「さらにブラック・ホールを発動!」

 

 根こそぎ更地にされた。次のアクション魔法を探すが、流石にシェアトを守るカードはそうそう見つからない。シェアトは破壊されてしまった。これで僕のフィールドはがら空き。

 

「更に食罪庫の効果で手札にRCM プリンス・カレーとRCM キング・ハンバーグを手札に加える。」

 

 手札が減らない・・・。

 

 MITIO

  手札5→3→5

 

「さてお待ちかね、僕はワンダー・レシピの効果でRCM プリンス・カレー、RCM キング・ハンバーグ、RCM クイーン・オムレツを特殊召喚!そして900のダメージだ!」

 

「そうはさせない!」

 

 幸いにもここには・・・。

 

「アクション魔法、フレイム・ガード!効果ダメージを0にする!」

 

 RCM プリンス・カレー(アニメオリカ)

 効果モンスター

 星7/地属性/天使族/攻 300/守 1000

(1):相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、 そのモンスター1体を対象として発動できる。 このカードを手札に戻す事で、その対象のモンスターを破壊する。 (2):1ターンに1度、自分フィールドの「RCM」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで倍になる。 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。

 

 RCM キング・ハンバーグ(アニメオリカ)

 効果モンスター

 星10/地属性/天使族/攻 300/守 1300

(1):相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、 そのモンスター1体を対象として発動できる。 このカードを手札に戻す事で、その対象のモンスターを破壊する。 (2):1ターンに1度、自分フィールドの「RCM」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで倍になる。 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。

 

 RCM クイーン・オムレツ(アニメオリカ)

 効果モンスター

星9/地属性/天使族/攻 300/守 XXXX

(1):相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、 そのモンスター1体を対象として発動できる。 このカードを手札に戻す事で、その対象のモンスターを破壊する。(2):1ターンに1度、自分フィールドの「RCM」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで倍になる。 この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。

 

 フレイム・ガード

 アクション魔法

 (1):効果ダメージを0にする。

 

 MITIO

  手札5→2

 

 悪夢か。悪夢なのか。これじゃあエクシーズ出来ない。全て手札に戻って破壊されるだけ。

 

「効果ダメージは防がれたか。だけどRCM プリンス・カレーとRCM クイーン・オムレツの効果は、このターンそのモンスターの攻撃を放棄することで自分フィールドのRCMモンスターの元々の攻撃力を倍にする。さて、そこにこのカードをトッピングしてみよう。料理は常に進化する!」

 

 見せたカードは進化する人類。まずいな、あれは元々の攻撃力を上げるカード。これが発動すれば・・・。

 

「進化する人類の効果で元々の攻撃力は1000になった。更にRCM プリンス・カレーとRCM クイーン・オムレツの効果発動!RCM キング・ハンバーグの攻撃力は4000になった。」

 

 進化する人類

 装備魔法

自分のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの元々の攻撃力は2400になる。自分のライフポイントが相手より多い場合、装備モンスターの元々の攻撃力は1000になる。

 

 まずいまずいまずい。

 

「行け、RCM キング・ハンバーグ!ダイレクトアタック!!」

 

 アクション魔法・・・あった!!幸いにも発動は間に合いそうだ。しかも2枚目まで!

 

「アクション魔法ティンクル・コメット!相手モンスターの攻撃力を1000ポイント下げて更に500のダメージを与える!そして!!」

 

 ティンクル・コメット

 アクション魔法

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで1000ダウンし、相手に500ダメージを与える。

 

 ジャンプしてギリギリだが二枚目を取ることができた。これで何とか延命を・・・。

「エナジー・メイトを発動!自分は500ライフ回復する!」

 

 エナジー・メイト

 アクション魔法

(1):自分は500LP回復する。

 

 これでダメージは凌ぐことができた。ライフも僅かだが残っている。

 

 HOKUTO 2800→3300→300

 

 MITIO 4000→3500

 

「北斗選手アクションカードで何とか凌いだーーー!だがライフは風前の灯火!これは決まったかー?!」

 

「このターンで決めきれなかったか・・・。カードを1枚伏せて、ターンエンド。」

 

 MITIO

  手札1→0

 

 ・・・強い。セイクリッドの十八番である連続召喚を止められ、フィールドはがら空き。これで勝つのはかなり難しいだろう。

 

「柊プロはどうお考えですか?」

 

「そうですね、この状況は厳しいように思います。さっき言っていたCM相手に厳しいと言っていましたね。それは今みたいにRCMによるロックの影響を多大に受けてしまうからです。おまけに手札はさっきのメタモルポッドの所為でまたキーカードを落とされたようですからね。ただ・・・。」

 

「ただ?」

 

「あの場面でハーピィの羽根箒を打つのは自分では考えるところです。」

 

「というのは?」

 

「あの場面、北斗選手は伏せが埋まっていたのですが、それは逆に言えば魔法も罠もこれ以上使えないということです。それに分からなくなっていた伏せのうち1枚は更に前のターンから伏せられていました。」

 

「ええ、そうですね。」

 

「つまり、あのカードは発動タイミングを逃しているカードである可能性が出てくる。もちろんそうでない可能性は十二分にあります。ですが私の所見ですと少なくとも好きなタイミングに発動できるカードではなかったでしょう。何よりあの状況だとアクション魔法を発動どころか手札に加えることさえできなかったんですから。」

 

「そう言われると、確かにそんな気がしてきます。」

 

「これが普通のスタンディングデュエルならそうは言いません。むしろ最適なプレイングです。セイクリッドデッキですから、手札誘発のカードも限られますし。」

 

「なぜセイクリッドだと限られてくるんです?」

 

「プレアデスを出した方がバトルフェーダーなんかを入れるよりもよっぽど妨害になりますから。エフェクト・ヴェーラーなら最悪シンクロ素材にもできますから腐りにくいですが、バトルフェーダーや速攻のかかしを入れれるかと言われたら悩ましいところかと・・・。何より再利用しにくいですし、何でもかんでもデッキに入れていたらデッキが重くなっていきます。あとはオネストもありますが、モンスターをブラック・ホールで消せるならそれは除外しても大丈夫でしょう。」

 

「そういえば普通のデュエルだととおっしゃっていましたが、アクションデュエルだと何か違うのですか?」

 

「アクション魔法の存在が大きいからですね。あのカードはフリーチェーンで発動できますし、何よりもさっきみたいなスタンディングなら普通に止めをさせる状況まで追い込んでもアクション魔法で回避されてしまう、そんな事態が出てくるからです。ですから場を一掃したからって勝てるわけではなくなります。そうなってくると安心仕切って展開した場を崩されて逆転負け、なんていうケースも決して珍しくないんです。それはあなたが一番よく分かっているのでは?ストロング石島のマネージャーだったあなたなら。」

 

「成程、そういう考え方もあるんですね。いえいえ、私はデュエリストとしては3流もいいとこなので。」

 

 菊さん、確かにハーピィおかげで首の皮一枚繋がりましたよ。ブラック・ホールだけなら間違いなく負けていました。

 

 向こうは完全に余裕。こっちの苦しい状況が分かっているんだろう。

 

 だけど・・・負けられない理由がある。僕だって。

 

「僕のターン・・・。」

 

 負けたくないんだ。

 

「ドロー!!」

 

 HOKUTO

  手札5→6

 

 来たカードはさっき発動されたのと同じ、ブラック・ホール。これならあのRCMを突破できるだろう。だけど、あの伏せカード。もしカウンター罠なら・・・。それにたとえ破壊できても、あの罠でリカバリされてしまう。幸いにもサイクロンがある。これで様子を見てみるか・・・。向こうのデッキは食罪庫がキーになっている。破壊できれば希望も・・・。

 

「サイクロン発動!対象は食罪庫!」

 

 これが通れば・・・。

 

「罠発動、神の宣告!ライフ半分を払い魔法の効果を無効にし破壊する!」

 

 神の宣告

 カウンター罠

(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

 MITIO 3500→1750

 

 ・・・これなら、勝てるかもしれない!魔宮の賄賂ならともかく神の宣告でライフが半分になった今なら!

 

「魔法発動ブラック・ホール!!これで場のモンスターを一掃する!」

 

「クッ!まだそんなカードがあったのか!これは打つカード間違えたかな?だが食罪庫の効果で墓地に行ったRCM3枚の数までデッキからRCMを手札に加える!僕はRCM プリンス・カレーとRCM クイーン・オムレツ、RCM キング・ハンバーグを手札に!!」

 

 いや、たとえ手札に加えても・・・。

 

「このターンに決着をつける!」

 

「おおっとぉ?!北斗選手勝利宣言だぁ!!」

 

「まあ、このターンに決着をつけなければまたワンダー・レシピの効果で特殊召喚されてしまいますからね。このターンが勝負の分かれ道です。」

 

 そう、このチャンスを逃したらもう後はない。

 

「僕はセイクリッド・ポルクスを召喚!更に効果発動!効果で手札のグレディを召喚!更に手札のセイクリッド・ソンブレスをポルクスの効果で特殊召喚!ソンブレスの効果発動!墓地のグレディ一体を除外して手札にカウストを加える!」

 

 セイクリッド・ソンブレス

 効果モンスター

 星4/光属性/天使族/攻1550/守1600

「セイクリッド・ソンブレス」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):自分の墓地の「セイクリッド」モンスター1体を除外し、自分の墓地の「セイクリッド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。(2):このカードの(1)の効果を適用したターンのメインフェイズに発動できる。「セイクリッド」モンスター1体を召喚する。(3):このカードが墓地へ送られたターン、「セイクリッド」モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。

 

「アクション魔法発動!」

 

 このタイミングでアクション魔法?まずい、まさかそれを拾われたか?!

 

「コスモ・アロー。君なら知っているんじゃないかい?星の聖域が得意なら。あそこには確かこのカードがあっただろう?」

 

「相手が手札に加えたカードを墓地に送る・・・。」

 

「その通り。」

 

 コスモ・アロー

 アクション魔法

(1):通常ドロー及びカードをドローする効果以外で、相手がカードを手札に加えた時に発動できる。そのカードをお互いに確認し、魔法カードだった場合、そのカードを破壊する。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠カードを発動できない。

 

「な、なんと!!これは北斗選手の連続エクシーズ、それも切り札であるプレアデスへつながる道筋を封じられた!!」

 

「いえ、まだですね。確かにもうカウストはありません。ですが手札はまだ二枚ある。」

 

 ・・・そう、+まだだ!!

 

「手札を1枚伏せる。このカードは手札1枚の時に特殊召喚できる。」

 

「・・・?そんなカードセイクリッドにはありましたか?」

 

「いいえ。ですがこの条件で特殊召喚できるカードはあれですね。」

 

「あれ?」

 

 どうやら菊さんは分かったみたいだ。それもそのはず、これはさっき餞別だと言って彼がデッキから1枚抜いて渡してくれたカードなんだから。ゲン担ぎ目的でまったく使い道がないと思っていたけれど、まさかこんなタイミングで来るなんて思ってもしなかった。

 

「E HEROバブルマンを特殊召喚!!」

 

 E HEROバブルマン

 効果モンスター

 星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200

(1):手札がこのカード1枚のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。(2):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。この効果は自分の手札・フィールドに他のカードが無い場合に発動と処理ができる。

 

「な、なんだって?!」

 

「これは驚いたーーー!まさかのE HERO!!セイクリッドだけではなかったーーー!!」

 

「行くぞ、茂古田!僕はレベル4戦士族のポルクスとバブルマンでオーバーレイネットワークを構築!」

 

 そしてこれは姉さんが託してくれたカード。さっきの試合の前渡された、姉のもう一つの切り札。自分は受け取り拒否しておいて、そのくせ渡しに来るなんてどうかと思うが、断ればあの人のことだから暴力に訴えかけてくるかもしれない。その辺は香澄さんと似ているんだよなぁ。

 

「光纏いて現れろ!闇を切り裂くまばゆき王者!エクシーズ召喚!H-C エクスカリバー!!」

 

 H-C エクスカリバー

 エクシーズ・効果モンスター

 ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000

 戦士族レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる。

 

「エクスカリバーの効果発動!!エクシーズ素材を2つ取り除いて攻撃力を倍にする!」

 

 これでエクスカリバーの攻撃力は4000になった。だけどまだだ、ここまで来たんだ。精一杯やらせてもらおうじゃないか!

 

「僕はセイクリッド・グレディとソンブレスでエクシーズ召喚!セイクリッド・オメガ!」

 

 セイクリッド・オメガ

 エクシーズ・効果モンスター

 ランク4/光属性/獣戦士族/攻2400/守 500

 光属性レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。自分フィールド上の全ての「セイクリッド」と名のついたモンスターは、このターン魔法・罠カードの効果を受けない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 これなら、回避も受け付けない。エクスカリバーが失敗したときの保険だ。

 

「行け、エクス・・・カリバーーーー!!」

 

 エクスカリバーが持っていた大剣を振り下ろした。砂煙が上がる。これが通っていれば・・・やったのか?

 

 だけど、砂煙の中から出てきたのは無傷の茂古田。回避でも使われたか。だけどその時のためのオメガだ。

 

「いけ、オメガ・・・攻撃しない?」

 

 不思議に思うけど、向こうは動揺していない。

 

「そりゃあそうさ。今はメインフェイズ2なんだから。」

 

 なんだって?そんなはずはない。だって伏せカードはないじゃないか。ならばもう・・・いや、違う。アクション魔法だ。そして茂古田の言葉。そこから考えるに・・・。

 

「・・・大脱出。」

 

「正解。」

 

 大脱出、バトルフェイズを終了させるアクション魔法・・・。

 

「・・・ターンエンド。」

 

 伏せていたのはセイクリッド・テンペスト。いつもは心強いこのカードを引いたのを、今は恨めしく思った。

 

「僕のターン、ワンダーレシピの効果で手札からRCM プリンス・カレーとRCM クイーン・オムレツ、RCM キング・ハンバーグ、そしてRCM ナイト・ナポリタンを特殊召喚。」

 

 召喚成功時の効果で、僕のライフは・・・。

 

 せめてもの抵抗と思ってアクション魔法を探すが、どうやら先ほどのエクスカリバーの攻撃で所定の位置からずれたようだ。見つからない。

 

「・・・次は勝つ。」

 

「うん、またやろう。」

 

 その言葉と共に、RCM達から光があふれだし、僕を包み込む。

 

「ななななんと!!あの激戦を制したのは茂古田未知夫選手ーーー!!」

 

 ・・・ああ、悔しいなぁ。

 

 

 

  ◇

 

 さっきの試合、北斗君のデュエルは素晴らしかったと思う。あそこまで接戦だったデュエルは実はプロでもそうそうない。何よりアクション魔法がなかったらあそこまで追い詰められなかっただろうし。あれはアクションデュエルだからこそできた試合とでもいうべきかもしれない。

 

 それにしてもまさか本当にバブルマンを入れているとは。実は会場に着く前にパックを剥いていて、彼を会場に送るときに餞別に丁度いいからカードをあげようと思ったのだが、ものの見事にセイクリッドには入りそうにないカードばかり。かろうじて入ったのがあの強欲な泡男。OCGのあいつは効果発動条件が厳しいので強欲なのか謙虚なのか分からないが、まあ入らないわけじゃないだろうと思って渡してみたのだったが、まさかエクスカリバーになるとは。確かあれは凪流が持っていたはずだから彼女が渡したのかな?まああいつは弟思いだから不思議ではない。まあ、役に立ったんだから良かったよ。手札事故起こされたら気まずいし。

 

 そしてまあ、残念ながら彼は負けてしまった訳で、それでもなんか気になってしまったので様子を見に来たんだけど・・・。必要なかったみたい。

 

 だって、あそこに笑いあっている3人組がいるんだもん。わざわざ割って入る野暮な真似はすることもないでしょう。柊菊はクールに去るぜ・・・。

 

「あ、菊さん。」

 

 ・・・見つかっちゃったよ、見つかっちゃいましたよ恥ずかしい。

 

「菊さん、カードありがとうございました。」

 

 しかもお礼言われちゃったよ。いや、俺がやったのデッキバランス崩しただけだよ・・・。罪悪感パない。

 

「・・・残念だったね。」

 

「いえ、僕はまだまだ未熟だと思い知らされました。それであの、こんなこと頼める間柄でないのは承知しているんですが・・・。」

 

 ん?なんだい?こんなクズに何を頼もうと?

 

「・・・僕を弟子入りさせてくれませんか?!」

 

 WHAT?・・・おいおい。

 

「負けたくないんです。あの茂古田にもですけど、何よりあいつらにも、姉さんにも。今日の試合をして悔しかった。けど、楽しかったんです。僕はもっと強くなって、もっと楽しみたい。だからプロを、改めて目指すことにしました。」

 

 ・・・で、それとこれの関係は?

 

「菊さんは僕らとそう変わらない年齢でプロになったんですよね。なら、僕らにだって本当は出来たはず。それならいっそ、本人に教わればいいって。さっき姉さんに相談したら、本人に言ってみればいいと。」

 

「・・・アイツは。」

 

 多分、断らないとでも思ってたのだろう。俺があの時凪流に教えた時と同じだ。入学式、あいつは皆の前でデュエルして、接戦で負けて、それから俺に土下座してまで頼み込んだ。そんなことしなくてもデュエルくらい相談に乗っていたのに。

 

「北斗君、俺は今はともかくとして、一応遊勝塾の人間だ。」

 

 そういうと断られたと思ったのか少し残念な表情になった。

 

「だから、一度遊勝塾に遊びに来なさい。」

 

「え?」

 

「俺はほら、一応プロだからね。変にLDSに入り込んでスパイ容疑がかかりかねなかったりするんだよ。おまけに所属している塾も、さっき言った遊勝塾だったから余計に。」

 

 これは凪流達に会いにLDSを訪れたときにこれはほんとにあったことだ。プロになってすぐだった頃、まさか忘れ物を届けに行っただけで講師に警戒されるとは思ってもみなかった。まあ、顔見知りだった受付さんのおかげでその場はやり過ごせたが、だからって次も大丈夫かと聞かれたらかなり微妙だと言わざるを得ない。

 

「うちには遊矢達もいる。リベンジもかねてうちに遊びに来い。父さんならそんな細かいこと言わないだろうし、真澄ちゃんも連れてきてくれたら柚子が喜びそうだ。」

 

 遊勝さんのことがあった時、柚子と遊矢が多少なりとも人間関係に苦労したのは知っている。その関係で遊矢も柚子も、同学年のなかで休みの日に遊ぶ約束をするほどの友人は、実は少ない。いないわけではないが結構限られている。そんな中友人を増やしてほしいと思うのは、野暮な兄心だろう。

 

「たまに来る権ちゃんも刃君と仲がいいんだろう?ならLDSのない日を教えてくれれば俺が特別授業、君たち全員にしてあげるよ。」

 

 実際、俺が主導で行った凪流への特別授業は、エクストラレスの聖騎士の勝率を3割上げる結果に終わった。これは自分にとってそこそこ誇れることである。普通勝てないよ、シンクロエクシーズ抜きだとさ。どれだけきついかやってみるといい。まあ、最終的に妨害カードと、聖騎士からのカオスソーサラーでのパーミに変わったのは気のせいだろう。途中からワイアームも出るようになった。いや、出しやすかったんだよ、モルドレッド聖剣融合(竜の鏡で可)の3枚で出るから。

 

「というわけでどうだい?そこの君たちも。」

 

「・・・北斗がやるなら俺もやる。次はあいつ、勝俣や権現坂に目にもの見せてやりたいしな。」

 

「私も。柚子とは1勝1敗だから。次は勝ちたいんです。」

 

 ・・・目が本気で怖いよ真澄ちゃん。さすが香澄の妹だ。

 

 まあ、そういうことなら。

 

「じゃあ、これは俺の連絡先。そしてこっちは遊勝塾。あ、さっきも言ったように塾は変えなくていい。何かあったら遊びにおいで、みたいなものだと思ってくれ。それからカードについて急ぎ聞きたい場合は俺のメールアドレスを君たちの兄や姉から聞き出しといてくれ。」

 

 ・・・まあ、この子らがガチになれば俺も負ける気はするんだけど。弟子に下手すりゃ負ける師匠。弟子にする必要あるのだろうか。

 

 ・・・まあ、今はこの子らの笑顔が見れたし、いいことにするか。楽しそうだし、水を差すのも悪い。

 

 だからお願い凪流、香澄。柱の裏からそんな顔で俺に向かって威圧しないでくださいお願いします。ほら、弟子にしたよ?これで文句ないよね?

 

 弟子にするのはそれはそれでなんか複雑だから殴らせろ?・・・どのみちバットエンドだったんですね、分かります。てか大牙、見てないで助けてよ。え?自分がまきこまれるのはいや?薄情なやつめ。

 

 

 

 

 結局、ブラコンシスコンの友人二人に思いっきり腹パンされました。大牙、止めてくれよ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジャガジャガー?タマゴング?ライオニオン?なにそれ美味しいの?てか作者の頭で全てのRCMの出番を作るのは無理だったんだ・・・。てか今回も長いな。2話どころか3話に分けても問題なかったんじゃ・・・まあいいか。そのうちこれも分けるかもしれません。ご了承ください。

それから、アニメオリカの所為で裁定が分からないカードがいくつもありましたので何か間違いがあったら報告お願いします。回避はたしか対象を取る効果だったような・・・それすらあやふやです。

感想、お待ちしてます!!

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