遊戯王ARC-Ⅴの世界に廃人がログインしました   作:紫苑菊

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Fateの方、皆さまありがとうございます!!基本的に承認していますのでフレンドになってやってもいいぜという素敵な方は感想に書いてもらえればフレンド申請を送るのでよろしくお願いします。
 
それから、今回は短い上、デュエルシーンはありません。というか前回が長すぎたんだ。15800文字ってどういうことだ。2から3話分じゃないか。もしかしたらそのうち2話を前半後半で分けるかもしれません。その時はご了承ください。






第3話

 

 前回のあらすじ セレナちゃん号泣。八汰ロックは鬼畜過ぎたのだろうか・・・?

 

 

 

 バレットは考えていた。どうすればあの状況のセレナ様を助け出せるかと。

 

 というのも、最初にはぐれたときはあのセレナ様が追い詰められることはそうそうないだろうと考えていた。実際、彼女のデュエリストとしてのレベルはそこらのデュエリストどころか、オベリスクフォースを軽々と凌駕する。だからこそ、街中を駆け巡り、ようやく彼女を見つけたとき、目を疑った。

 

(あれは本当にセレナ様なのだろうか・・・?)

 

 号泣していた。とにかく号泣していた。小さかったころ、たまたま侵入してきた野良猫に可愛がろうと思ったのにも関わらず、おもいっきり警戒されて顔を引っ掻かれた時でさえまったく動じていなかったあのセレナ様が?!

 

 そこまで考えてはたと気付いた。あのデュエルしている相手、その使っているモンスターを。

 

 八汰烏。低ステータスな上、スピリットなためエンドフェイズには手札に戻ってしまうモンスター。効果は強力だが使えない、そう判断され融合次元では見向きもされなかったモンスターだ。

 

 だが、現状は何だ?セレナ様の手札は1枚。フィールドは何もないが、手札が1枚でもあれば巻き返しのチャンスはある。なぜあそこまで泣いている?

 

「さて、そっちのターンだね。ドロー飛ばしてスタンバイ。Ωの効果で仁王立ちを除外から戻す。メインに入った瞬間、Ωチェーン仁王立ち。さて、君のターンだよ?」

 

 ・・・なんだこれは。

 

 仁王立ちの効果は優秀だ。融合次元でもときたま使われるカードの1枚だ。だが、あのΩとかいうモンスター。あれの所為でえげつないことになっている。つまりセレナ様はドローも、手札1枚を使うことも、攻撃することも許されないというのか。

 

 セレナ様が泣いてしまわれるのも無理はない。しかもあの青年、わざとデュエルを長引かせているのは明らかだ。セレナ様のライフは残り2200。あと1度あのΩの攻撃を受ければそれだけで終わってしまう。それなのに攻撃しているのはあの鳥のみ。彼はデュエルを利用して徐々に追い詰めていっているのだ。もはや外道である。

 

 これは乱入するべきか?タッグデュエルに持ち込めばセレナ様をお守りすることができるかもしれない。だが、なぜだろうか。彼に勝てるビジョンが考えられない。彼が伏せた3枚のカード、そしてあの手札。明らかに嫌な予感がしている。

 

 これはデュエリストとしての勘でしかない。根拠はない。だが・・・。

 

 そこまで考えて、バレットは行動に移すことにした。正直、これからの行動はデュエリストとしては許されないだろう。だが、これは任務だ。自分のプライドよりも優先させなければならない。

 

 彼は少女に向かって走る。横の少年がバレットの存在に気付いたがもう遅い。デュエル真っ最中の彼女を抱き上げ担ぎ、ビルの上を駆け上る。ふと気になって振り向いたが、どうやら彼は追ってくるつもりがないらしい。悠然とこちらを見上げ佇むその姿はまるで自分たちの存在など歯牙にもかけていないようだった。バレットは憤慨したが、今は一刻も早く彼女をここから離すべきだと自分に言い聞かせ逃走した。

 

「バレットか・・・?」

 

 走って逃げる最中、そう彼女が呼びかけるが声に力がない。仕方がないだろう、あんな一方的なデュエルを歴戦の戦士であるバレットですらほとんど経験したことがない。

 

「大丈夫です、セレナ様。あれは夢か何かだったんです。」

 

 そう彼女には言い聞かせることにした。もしこれが原因で彼女が融合次元に帰ってしまうことになれば必然的にバレットも帰ることになる。手柄を挙げたいバレットにとってそれだけは避けなければならない。だからこそ、あれは夢だと言い聞かせることにした。幸いにも彼女は泣き疲れ朦朧としている。デュエルディスクの力を応用して『もの忘れ』を発動する。仮にも女性にそのようなことをするのはバレットといえど気は引けるが、あの光景を思い出されるよりはいいだろうと思うことにした。彼は善人ではないが悪人ではないので自分に言い聞かせながら、カードを発動した。

 

「バレット・・・?何を・・・。」

 

「・・・今はお眠りください。」

 

 カードを発動し、セレナは眠りについた。彼女が次に目を覚ました時、あの悲劇は忘れていることだろう。

 

 まあ結局のところ、その行為は彼に再会することで無駄になってしまうのだが、それはバレットには関係ない話だ。

 

 

 

  ◇

 

 

 うわ、すげえ。ビルの壁ほぼ垂直に駆け上がっていた。あの図体でよくできるな。

 

 セレナだっけ?アニメそこまで見てなかったけど、柚子にそっくり融合使いってので思い出したが確かそんな名前だった気がする。まあ、デュエルディスクにも表示されてたから多分あってるだろう。

 

 まあ、その子がちょっとカード化なんてふざけたことを、友人の弟にしようとしてたから思わずこのデッキを使ってしまった。スピリットPSY、何度やってもえげつないよなぁ。スピリットモンスターはエンド時に手札に戻るからPSYと相性いいなぁ、とか思って作ったんだが、先輩の酒に絡まれ、酔った俺が暴走して酒癖の悪い人たち全員をこれでねじ伏せた結果、それを見ていたプロの先輩やマネージャー、挙句の果てにはスポンサーにまで使用を制限されたこのデッキをついつい使ってしまった。

 

 このデッキ、強いし趣味に合ってたからたまに使える機会がないかなとか思って持ち歩いていたが、まさか相手が泣いてしまうのは予想外だった。やりすぎたかなとは思うが、これに懲りて二度と彼女が他人をカードにしようと考えないようになってほしい。

 

 それはそうと、北斗君?なんでそんな目で見てるんだい?照れるじゃないか。

 

「・・・外道。」

 

 酷いなぁ。OCGならもっとひどい環境なんだよ?あれに比べればマシだって。

 

「・・・いえ、失礼しました。助けてくれてありがとうございます。」

 

 あ、ちゃんとお礼言ってくれた。なら助けた甲斐があったというものかな。

 

「あ、それはそうと実はこれを渡しに来たんだ。」

 

「え?」 

 

 とりあえず渡しておかなきゃね。元々こっちが目的だったんだし。

 

「君のお姉さんから渡されたんだよ。ポケットに入ってたんだって。」

 

「・・・菊さん。」

 

「なんだい?」

 

「これ、姉さんに使ってほしくて渡したんですよね。」

 

「え?」

 

 え、どういうこと?

 

「姉さんのデッキでも、このカードは使えますから。」

 

 そこまで聞いて気付いた。そういうことだったのか。

 

「ああ、餞別のつもりだったんだね。」

 

「ハイ。」

 

 なら、悪いことしたなぁ。あれ?

 

「なんか裏に貼ってある。」

 

「え?」

 

 北斗君が裏を確認する。俺も裏までは確認しなかったから気づかなかった。まあ、透明なスリーブに入ってたし感触ではわからないのは仕方ないんだが。

 

「・・・姉さんらしいな。」

 

「え?どれどれ。」

 

 メモには『私のことは気にしないで頑張りなさい。』って書いてあった。なんだ、気付いてたのか凪流。さすが姉弟だなあと思う。俺と違って血が繋がってるからなぁ、少し羨ましい。

 

「・・・頑張りなよ?」

 

「・・・そうですね。全力で、臨みます。」

 

「そうそう、あいつのことなんて心配するだけ無駄さ。」

 

 実際あいつは強い。特にあいつの切り札は決まってしまえばトリシューラでも出さない限りそうそう負けることはない。

 

「・・・菊さんは、姉さんが勝つと思いますか?姉さんの次の相手は去年の準優勝者なんです。そんな人に勝てるのかって。去年は姉さん、大牙さんに負けてベスト8で終わったから今年こそは勝って、夢だったプロへの最短切符を手にしてほしいんです。」

 

 ・・・そうか、北斗君は心配なんだね。姉さんの最後のチャンスだから。

 

 プロになるには、どこからかの企業のスポンサーを得なければならない。ベスト8やベスト16で終わったら企業からスポンサーを得るのは難しくなる。せめてベスト4にさえ入れればプロ試験の時にまだ目に入るかもしれないが、そうでなければたとえプロ試験に合格したとしても、スポンサーがつくのはかなり難しくなる。やはりそこで重要視するのは大会での実績だからだ。

 

 だが、凪流はその実績が足りない。高校1年の時にはベスト4に入っていたが、去年は大牙に負けてベスト8。プロになるには最高ベスト4だけでは少し心もとない。

 

「・・・だからって、大会ならマイアミチャンピオンシップじゃなくても」

 

「姉さんがなりたいのは、アクションデュエリストなんですよ。」

 

「・・・そうか、ならここが最後なわけだ。」

 

「ハイ。」

 

 アクションデュエルが盛んなのは、舞網市だけ。むしろ他の町ではアクションデュエルよりもスタンディングの方が戦略性があるからと人気だ。アクションデュエルの第一人者である遊勝さんの海外ツアーが実現さえしていれば話は違ったかもしれないが、残念ながらその前に彼は行方不明になってしまった。

 

 だから北斗君は姉に自分のカードを託そうとしたのだろう。自分の姉に、勝ってほしいから。プトレマイオスで出せるプレアデスなら、彼女のデュエルを有利にできるかもしれないから。

 

 自分のフェイバリットが、彼女をプロへ進ませられるかもしれないから。

 

「でも、これを言われちゃ何もできないですね。」

 

 どことなく笑みに力がない。でも、これだけは言わせてほしい。

 

「・・・北斗君、凪流は大丈夫だ。」

 

「なんでですか?」

 

 そんなの決まってる。

 

「彼女は、俺の弟子だぜ?去年の準優勝者?あいつがそう負けるわけない。なんせ・・・」

 

 俺の本気に勝ったのは、3人の中じゃあいつだけなんだから。

 

 そういうと目が点になるまで驚いた後、ほんの少しだけ笑顔が戻った。

 

「・・・ありがとうございます。」

 

「なに、これも先輩の役目さ。」

 

「・・・行ってきます。」

 

 そう言って彼はスタジアムに向かって走り出す。丁度のタイミングで、凪流からメールが届いた。

 

 『勝利!!菊は財布の心配でもしていてください。絶対奢らせますからね!!』

 

 しかもピース写真付き。あいつが送った写真の奥にはまだソリッドヴィジョンが消えてなかったのか聖騎士の姿が映っている。初手フルアーマーアルトリウスでも決めたか?まあ、北斗君。無駄な心配だったみたいだよ。

 

 とりあえず、返信しないと。文面はこれでいいか。あんまり長々と書くのは趣味じゃない。

 

 『了解、覚悟しておく。』

 




Fateのイベント、黒髭が安定すぎて夜中に爆笑しました。ディルムッドは説得力がありすぎて腹筋がやばいことに。

作者のバレンタイン?うちのクラスそもそも男子しかいないし学校以外にかかわりがそもそも皆無に近いのにどうしろと?仲のいい女子はいないことはないけれど、まず学校休みの日だし。

???「少年よ、これが絶望だ・・・。」

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