今回、「月光黒羊」のペンデュラムに関する効果を抜きました。これはまだセレナがPカードを持っていないからと思ってください。のちに社長の手によってエラッタされるでしょう。
それはそうと最近Fate/GOにハマってます。無課金ですが運よくSSRのジャンヌが当たったから地味に少しづつやってたのですが最近孔明さんと玉藻がうちにやってきました。その前からいるオリオンさんも併せてSSR4枚になったぜやったね。まあ、うちにはアタッカーになるサーヴァントが居ないんですけどね・・・。だれかフレンドになってください・・・。
それにしてもどうしてうちに来るレアキャラはキャスターとアーチャーばかりなんでしょう?
結論から言うと、俺がいた意味はほとんどなかった。
精々が戦おうとする素良君を腹パンでおとなしくさせたと思ったらいつの間にか消えてるし、かといってなんか髪型がバナナでナスな彼らのデュエルを観戦してすげぇとか思ったら遊矢までシンクロしてハッスル(隠語)しちゃうしで、特に意味はなかった。
結果として俺は、倒れた遊矢のタクシー替わりとなっただけでした、まる。
まあ、遊矢が倒れた時はほんとにパニクったが、幸いにも柚子が取り乱した分冷静を保てたと思う。
さて、遊矢が目を覚ますまで一緒に付いていたかったが、仕事もあって中々付きっ切りというわけにはいかず、ここ数日はほんとに落ち着かなかった。まあ、無事目を覚ましたみたいでほんとによかったと思う。
それよりも火急だ。先ほど、ある人が命の危機にあると香澄から電話がかかってきた。俺自身は大して関わり合いがないのだが、だからと言ってその事態を知って見て見ぬふりはできない。バイクを飛ばせば一瞬なので、その人物の命が残っていることを祈ろう。
10分ほどたっただろうか。目的の場所についた。もう扉の前から明らかに嫌な予感がするが、覚悟を決めなければいけない。SOSが来たのはこの先からなのだから。
意を決して扉を開ける。中から若干黒い煙が出てきて、苦いにおいが充満する。くじけそうな心を保って、呼びかける。
「北斗君!!凪流!!無事か?!」
「き、菊さん、どうしてここに・・・。」
「しゃべるな北斗君!!この事態は香澄から聞いた!!凪流は!!無事か!?」
「ね、姉さんは台所に。」
やっぱりか。この事態は一刻を争う。
「とりあえず北斗君は家の外に!!俺は凪流を!!」
「分かりました・・・。」
ま、まさか帰国して1ヶ月でこんな事態に遭遇するとは・・・。とりあえず凪流を止めないと・・・。
大急ぎで台所へ向かうとやはりそこに凪流がいた、エプロン姿で。
ああ、お前は・・・。
「料理をするな凪流-----!!!」
「ひゃあぁ?!?!」
驚くんじゃねぇ!!俺としてはこの現状ならぬ惨状に驚きだわ!!せめて換気扇回せや!!おかげで北斗君一酸化炭素中毒一歩手前!!
「どうしたんですか、菊。ここは私の家ですよ?」
「そうか、じゃあお前はいま何してた?」
「何って、料理ですよ。北斗の試合が見たいからって父さんも母さんも昨日の晩から働きづめですからせめて料理をと思いまして・・・。」
そうか、お前はその黒い煙を放つ物体Xをあくまで料理と言い張るのか。
「ちなみに、何を作っているんだ?」
「見たらわかるじゃないですか。」
分かるか。俺が見てるのは変わった形の炭だけだ。いや、この形は・・・魚の切り身だよな。もう原型ないからわからないけど。
「・・・魚のステーキか?」
「いえ、ムニエルです。」
ムニエルはこんなに焦げねぇよ。炭じゃねぇか。バーベキューで使えそうですね。木炭の代わりとして。つか朝からムニエルとか重たいなオイ。
「なぁ、凪流。」
「なんですか?」
「ムニエルは強火でやるもんじゃないぞ?」
「え?」
いや、それぐらい分かれ。
「でもこの前やったとき全然火が通らなかったのですが・・・。」
それはじっくり焼かないからだよ。むしろ黒い煙を発生させてなお火を止めないお前の脳はどうなっている。
「・・・とりあえずこれは捨てよう。」
「え、もったいないじゃあないですか。」
もったいないのはお前の使い方が悪かったせいですけどねぇ?!
いや、いっそこれ食わしてみるか。
「凪流。口開けろ。」
「え?」
とりあえずまだ切り身としてかろうじて残ってる部分を口の中に放り込む。瞬間凪流の顔色が悪くなった。そりゃあ比較的マシとはいえそこでも腸より苦そうですもんね。
「・・・捨てるぞ。」
「・・・ハイ。」
「・・・お前は換気した後北斗君を呼んで来い。玄関にいるはずだから。」
「・・・菊はどうするんですか?」
「後片付け。焦げだけでもフライパンから取っておくよ。」
テプロン加工はダメになってるかもしれないがな。
「・・・ありがとうございます。」
「そう思うなら親から教われ。」
3年前よりかはマシだから。見込みはあると思いたい。あの時は酷かった。今回がムドならあれはムドオン通り越して死んでくれる?って感じだった。間違いなくアリスが召喚されてただろう。残念なことに呪殺無効を持ってなかった俺らは速攻沈んだ。あの時ほど花村の気持ちが分かったことはない。
それにしても、香澄の手が離せないからってまさか俺のほうに来るとは。こういうのはどっちかっていうと大牙の役目だと思っていた。まあ、大牙も香澄も今日試合だったはずだから来れないのは仕方ないか。
さて、片付けよう。フライパン、汚れの貯蔵は十分か?!
◇
さて、どうしましょう。
いや、台所は片付いたんだよ。
「・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「菊・・・。」
「なに?」
「・・・朝ごはんどうしましょう。」
いや、知るかよ。
現在午前8時。今日の試合は9時半から北斗君のがあるらしいのでそれに間に合わせなければならない。北斗君か凪流のどちらかがバイクを持っていればここから少し離れたところにある朝からやってる定食屋に連れて行くところなのだが、歩いていけば間違いなく間に合わなくなる。
「姉さん、道のコンビニでなんか買っていくからいいよ。」
いや、ここは・・・。
「なあ、凪流。」
「はい?」
「台所、借りていいか?」
「ええ、かまわないですが・・・。」
そうか。とりあえず片付ける時に見た冷蔵庫には・・・。うん、これならいける。
「凪流、台所に来い。料理教えてやるから。」
「え?!菊が料理?!」
失礼な。これでもアメリカでは自炊してたんだぞ。料理なんて基本レシピと家庭科の教科書通りにやっていけば簡単なんだから。
さて、とりあえず白菜と豚肉を和風だし・・・はないから鰹節から取るか。そっちの用意もしないと。出し取ってる合間に卵を出して・・・ついでだから出し巻きに変更するか。 朝だから魚は・・・あ、みりん干しがある。これ焼けよお前は。じゃあこれグリルに突っ込んで、火にかけとこう。あ、沸騰しそう。急いで鰹節取り出して、っと。卵といたやつに出汁と水入れて。あ、凪流大根おろしは作れる?OKなら大根を皮剥いて、はい。これおろしてね。さて、じゃあ出汁取ったやつに白菜と豚肉入れて蓋をして、これは卵焼いてる合間にできるな。これならって凪流、白菜は強火でやっちゃダメ。水分飛ばしすぎて焦げるよお前なら。そうそうそんなことにならないだろうけど、お前ならやりかねない。失礼?朝の惨劇を見たらそんなこと言えないんだよ。ほら、北斗君困ってるじゃないか。出し巻き卵は・・・よし凪流お前やってみるか?こうやってこの卵をヘラを使って巻いていくんだ。そうそう、よし。そんな感じであと2、3回やってみ?その合間にみりん干しの方は・・・もうちょいかな?ならお米の方を盛り付けておこうかな。あ、凪流できた?ならそれを皿に盛り付けて・・・大根おろしもそれに盛り付けて、完成。あ、切ってなかったね。北斗君お願い。凪流は器取ってきて。白菜盛り付けるから。さてさて白菜は・・・出来てるね。じゃあこれ盛り付けて。あ、北斗君お皿持ってきてくれたんだ。ならコップとお箸用意して。俺の分?食べてきたからお茶だけ貰うね。さて、さすがにみりん干しもできたかな?うん、出来てる。朝だからこれぐらいでいいかな。
「さ、食べて食べて。」
「は、はい。」
「あ、ありがとうございます、柊さん。」
「菊でいいよ。今リンゴ剥いてるから食後にヨーグルトに入れて食べようか。シナモンもあるしね。」
とりあえず食べてる合間に終わらせよう。何気に難しいんだよね、皮むき。大根とかならまだ楽なんだけど、リンゴみたいな球のやつは個人的にやりにくい。
「納得いかない・・・。」
ん?もしかして不味かった?
「いや、美味しいです。それもかなり。」
「あ、ならよかった。」
「そうじゃなくて、どうしてこんなに料理できるんですか?!」
「なんでって言われても、うちの家父さん以外に作れる人いなかったから負担を減らすために遊矢の母さんに教わって。当時まだ小さかった柚子にご飯作らせるわけにはいかなかったから、自然に。最近は柚子も料理してるみたいだよ?お菓子作りが好きみたい。」
だからかお土産にいくつか甘味料をあげたら喜んでくれた。まあ、本場のカナダ産メープルシロップとかそんなもんだけど。あれは美味しかった。
「まさか私よりも料理が出来るなんて・・・。」
お前より出来ないやつのほうが少数派だよ。いや、あのスレッドの人間以外は、だな。あのスレッドの加害者はやばい。書かれてる料理もやばい。
「なんか納得いきません・・・。あ、美味しいこの白菜。」
「ほんとに、本当にありがとうございます柊さん。正直命をあきらめるかどうかの瀬戸際でした。」
お、おう。そんなにか北斗君。
「・・・次からは母親についてもらうか、香澄か俺に頼ってくれよ凪流。」
第二第三の被害者を増やすさないために。3年前のあの惨劇を忘れたか。D(誰が)D(どう見ても)B(ぶっ壊れ)ならぬD(誰が)D(どう食べても)B(爆死)なチョコレートを食わされた俺や大牙、そしてクラスのみんなに謝れ。
俺の目が本気だったのだろう。彼女は素直に頷いてくれた。
「さて、ここにヨーグルトがあります。お好みでシナモンとお砂糖をかけて召し上がれ。」
「ううう、女子力で男に負けるなんて・・・。」
まあ、俺は一応家事一通りできるから確かに女子力は高いかもしれないが。あ、流石に裁縫はキツイ。ボタン止めぐらいなら出来ないことはないが服を作るのは無理だな。
「あ、ありがとうございます柊さん・・・。ほんとに、本当に・・・。」
な、泣き出しちゃったよ北斗君・・・。ふ、不憫だ・・・。ま、まあ今朝からSOSメールを仲間に送ってたってことは多分覚悟決めてたんだろうなぁ。それが巡り巡って俺にまで回ってくると北斗君は思いもしなかっただろう。
でも甘いよ北斗君、これでもマシになったほうだし。2年前の飯盒炊爨の時は香澄が横につきっきりになって被害を抑えにかかってたから。おかげでほとんど学校にいないせいで犠牲者として同じ班にされた俺と道連れにされてた大牙が苦労した。メインは俺が作って、大牙がサポートに入る形で作ったんだっけ。ああ、俺が作ると激辛になるからスパイスの加減は香澄がやったんだったな。
んでちょっとした隙にチョコレート入れるとおいしいらしいからココア入れても大丈夫だよねみたいな感じでミロ突っ込もうとした凪流を止めるのに四苦八苦した覚えがある。いや、不味くはならないかもしれないけど普通入れないから。個人的にはチョコレートどころかハチミツもダメなのに。ちなみにハチミツ入れる派の香澄とはそれで少し揉めた。結果はあんたが作ったら辛すぎるってことで香澄が勝ったが。辛党の俺と大牙は不満だったなぁ。まあ、激辛派の俺が市販のルー以外にナツメグとカレー粉、鷹の爪にガラムマサラその他もろもろ突っ込んだので結果はマイルドな辛さになりました。香澄が辛いのダメなのをそこで初めて知ったなぁ。まあ、食べれない辛さではなかったみたいでよかったです。
「美味しい・・・。」
「姉さん、ドンマイ・・・。」
「いつか、いつか追い抜いてやる・・・。」
追い抜くのはいいけど仕留めるに変わらないようにお願いします。切実に。
◇
さて、無事に朝ごはんもすみ、会場まで北斗君と凪流と行動することになった。遊矢からは無事に試合が出来そうだと柚子からメールをもらった。いくら何でも倒れたんだから体調に異常はないか心配していたが杞憂だったらしい。そのことを凪流に話したらまだ弟が謝りに行ってなかったことを思い出して今北斗君がネチネチ責められてる。ごめん、北斗君。非力な私を許してくれ・・・。
まあ、会場に入ったら凪流とはお別れなんだけどね。ジュニアユースとユースは会場は同じだけど場所が若干遠いし、ニコさんたちがいる控室はユースの試合場の真反対だから、会場に入ったら逆側に行かないといけない。
まあ、そんなの関係なしに今はユースのところにいるんだが。いや、大牙や香澄に会いたくってさ。とりあえず全員3回戦まで勝ったから激励みたいな感じで。
「あ。」
ん?どうした?
「いえ、ポケットの中になぜか弟のカードが・・・。」
「え?」
見てみるとセイクリッド・プレアデスのカード。やっぱ強いよな、これ。てか大丈夫なのか?2枚以上持ってるだろうけど、1枚ないかあるかでセイクリッドはだいぶ違うぞ?
「ちょっとこれ、渡してきますね。」
「いや、今から言ってたらお前は今日の開会式に間に合わなくなるぞ?」
「かまいませんよ。必ず出る必要があるわけではありませんし。これを忘れて北斗が試合に負けるというのは忍びないですしね。」
いや、そうかもしれないけどさぁ。あ。それなら。
「俺が渡してくるよ。それならお前も間に合うし一石二鳥だろ。」
「え?でも・・・。」
「お前が式に出れて、なおかつ北斗君にカードを返せるならそれに越したことはないだろ?それに、控室はジュニアユース側の方にあるからどのみち行かなきゃならないんだし。」
「なら、お願いしますね。」
「ん、了解。大牙と香澄に頑張れって伝えておいて。」
「あら、私にはないんですか?」
「もちろん、お前もさ。俺はお前らと遊矢達しか応援しないよ。それ以外にする気もないしね。」
「それはそれでどうかと思いますが・・・。」
「人なんてそんなもんさ。」
そういって笑いあった後、とりあえずカードを受け取り北斗君のところまで走る。
しばらく歩いただろうか。どこからか悲鳴が聞こえてきた。しかも、この声は・・・北斗君?!
でも、この方角って確かアリーナから少し外れたところだよな?なんでまた?いや、考えてる暇はない。走って確認しなきゃ。
◇
どうして、どうしてこんなことに・・・。
最初は軽い気持ちだった。だから彼女にデュエルを挑まれたときも即座にOKした。幾分か訝しいところはあったけれど、これからの試合の準備運動ということで柊柚子からの試合を了承した。
だが、結果はどうだ。正直楽な相手だとは思ってはいた。だが、この状況。切り札の攻撃力は無力化され、伏せは手札に戻され、もう打つ手はない。これは本当に柊柚子なのか?
いや、カテゴリの違うカード、更には髪の色で彼女が柊柚子ではないことは途中からわかっいた。だがそれとこれとは話が別だ。今の状況、これは何だ。アクションデュエルでもないのにダメージがある?しかもこの痛みはまるで・・・。
まるで、LDS襲撃犯じゃあないか。もしかしてこの子がマルコ先生を・・・?いや、あの傷跡とは攻撃の種類が違う。じゃあ一体何なんだ?一体こいつは何者なんだ?
「バトルだ!!月光舞猫姫でセイクリッド・プレアデスに攻撃!!」
「せ、セイクリッド・プレアデスの効果発動!!フィールド上のカードを1枚手札に戻す!これで月光舞猫姫はエクストラデッキに戻る!!」
「無駄だ!!墓地の月光紅狐の効果発動!!このカードを墓地から除外することで「ムーンライト」モンスターへの効果を無効にし、お互いに1000ポイント回復する!!」
これで抵抗のすべを失った。1000ライフを回復したといっても、あの月光舞猫姫の効果で5000のライフは間違いなく消し飛ぶ。
負けた・・・。
「月光舞猫姫は攻撃宣言時に100のダメージを与える!さらにこのカードは特殊召喚されたモンスターに2回攻撃できる!!これで終わりだ!!」
2400の2回攻撃、それに合わせて200のバーンダメージ。ああ、ジャストキルだなと思った。場違いながらとは思うが。
だが、デュエルが終わって冷静になって思ったことがある。
(もしかして、俺もマルコ先生みたいに行方不明になるんじゃぁ・・・。)
そう思った瞬間、急に背筋が凍った。さっきのダメージ。それも含めると最悪の創造しか浮かんでこない・・・。
「や、やめろ・・・。」
思わずそう言ってしまった。
「・・・情けない。ほんとに貴様デュエリストか?」
そう言ってくるが正直頭に入ってこない。頭の中は走馬灯のように駆け巡っている。
「まあいい。貴様はここで終わる。」
そう言ってデュエルディスクを向けた。何をするつもりだろうか?でも、本能でわかる。あれからは逃げなくてはならない。
思わず逃げ出した。追いかけてくる音がする。とりあえずこの先は大通りだ。急いで人目に付くところに出なきゃ・・・。
「往生際が悪いぞ!!」
だが、逃亡空しいかな、アリーナから外れたこの路地で追い詰められた。
ああ、ここで終わるのか。まだやりたいことがあったのに。負けたあいつらのためにも勝ち上がってやりたかった。どうせならこのままユースまで昇進して、あいつらに悔しい顔させてやりたかったなぁ・・・。姉さんはどうだろう。俺がいなくなっても気付くかなぁ。あれでいて天然だし。今日だって菊さんがいなかったらどうなってたか。そういえばあの人はいったいどうしてうちに来たんだろう。他にもいろいろ話してみたかったなぁ。なんせ現役プロだ。面白い話が聞けたかもしれない。
そんなことばかり考えていたからか。もしかしたら祈りが通じたのかもしれないけれど。
目の前に、あの人が現れた。
現役プロ、アメリカのI2リーグベスト4。準決勝でのすさまじい試合から実質の世界2位とまで称されたプロデュエリスト。
「その子から手を放してくれないか?融合次元のデュエリスト。いや、オベリスク・フォースと称すべきかな?」
「何者だ!!」
柊柚子によく似た少女が声を荒げた。
「通りすがりのデュエリストさ。覚えなくていい。」
『軍師』柊菊。本人が立っていた。
「ふざけるな!!」
「ふざけてないさ。なんならかかってくるといい。俺が負けたなら俺もそこの彼もカードにしてくれてかまわないよ。」
何を言っているんだこの人は?もしかしてこいつの正体を知っているのか?いや、それよりもカードにする?どういうこと?
「安心して、北斗君。助けに来た。まあ、詳しい話はこいつを倒してからでいいかな?」
「・・・随分となめられたものだな。いいだろう!!さっさと構えろ!!」
「ああ、その前に言っておく。」
そう言って彼は、デュエルディスクにデッキを差し込んだ。
「本気でかかってきなさい。ライフを1たりとも削れると思うな。」
「フン、そんな強がりがいつまで通じるかな?」
そう言って、互いに挑発しあう。あの雰囲気、間違いなく彼は本気だ・・・。
「「デュエル!!」」
デュエルが始まり、あたりの様子がソリッドヴィジョンにより若干変わる。
「先行は譲ろうか?」
「そんな口車に乗せられるとは思うなよ?私は後攻を選択する!!」
「親切心だったんだがなぁ。俺は手札からPSYフレーム・サーキットを発動。」
KIKU
手札5→4
「更にカードカー・Dを召喚し、カードを2枚伏せる。カードカー・Dの効果で自身をリリースし2枚ドロー。同じくカードカー・Dの効果で強制的にエンドフェイズに入る。」
カードカー・D
効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻 800/守 400
このカードは特殊召喚できない。このカードの効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。(1):このカードが召喚に成功した自分メインフェイズ1にこのカードをリリースして発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、このターンのエンドフェイズになる。
KIKU
手札4→1→3
「私のターン!ドロー!手札の月光黒羊の効果発動!デッキから融合を手札に加える!」
月光黒羊
効果モンスター
星2/闇属性/獣戦士族/攻 100/守 600
(1):このカードを手札から捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。●「月光黒羊」以外の自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を選んで手札に加える。●デッキから「融合」1枚を手札に加える。(2):このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合に発動できる。「月光黒羊」以外の自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を選んで手札に加える。
SERENA
手札6
「融合サーチか。優秀なカードだ。」
「言ってろ!!私は手札から月光白兎を召喚!自身の効果で「おっと、それにチェーンして手札のPSYフレームギア・γの効果を発動する。」なんだと?!」
手札からモンスター効果だって?!
「こいつは通常召喚こそできないが、こいつの効果は相手がモンスターの効果を発動したとき、自分フィールドにモンスターが存在しなければ発動できる。その効果を無効にして破壊、更にデッキ、手札、墓地からPSYフレーム・ドライバーと共に特殊召喚できるカード。月光白兎を破壊し、デッキからPSYフレーム・ドライバーと手札のPSYフレームギア・γを特殊召喚。」
「く、だがまだ「更にこの時、フィールド魔法PSYフレーム・サーキットの効果発動。」相手ターンで発動だと?!」
「フィールドにPSYフレームモンスターが特殊召喚されたときにフィールドのPSYフレームでシンクロを行える。レベル6PSYフレーム・ドライバーにレベル2PSYフレームギア・γをチューニング!シンクロ召喚、PSYフレームロード・Ω!!」
PSYフレームギア・γ
特殊召喚・チューナー・効果モンスター
星2/光属性/サイキック族/攻1000/守 0
このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。
(1):自分フィールドにモンスターが存在せず、相手モンスターの効果が発動した時に発動できる。手札のこのカードと自分の手札・デッキ・墓地の「PSYフレーム・ドライバー」1体を選んで特殊召喚し、その発動を無効にし破壊する。この効果で特殊召喚したモンスターは全てエンドフェイズに除外される。
PSYフレーム・サーキット
フィールド魔法
(1):自分フィールドに「PSYフレーム」モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。自分フィールドの「PSYフレーム」モンスターのみをS素材としてS召喚する。(2):自分の「PSYフレーム」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に、手札の「PSYフレーム」モンスター1枚を捨てて発動できる。その戦闘を行う自分のモンスターの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するため捨てたモンスターの攻撃力分アップする。
PSYフレームロード・Ω
シンクロ・効果モンスター
星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。(2):相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に戻す。(3):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。
KIKU
手札3→2
「攻撃力2800か・・・。私は手札から死者蘇生を発動!!」
「その効果にチェーンしてΩの効果発動。このカードと君の手札を次の俺のスタンバイフェイズまで除外する。チェーンは?ないならチェーン3で仁王立ちを発動。まあ、このターンは意味のないものと思っていてくれ。」
仁王立ち
通常罠
「仁王立ち」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの守備力は倍になり、ターン終了時にその守備力は0になる。(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。このターン、相手は対象のモンスターしか攻撃できない。
「・・・いったい何がしたい。仁王立ちは自分フィールドのモンスター1体の守備力を2倍にし、そしてエンドフェイズ時に0にする効果だ。確かにΩに対して打った後エンドフェイズまでに除外すればデメリットを回避できる。だがこのタイミングで使えばただの意味のないカードでしかない!」
「その通りだ。だがこれはこれで考えがあるんだよ。」
「・・・まあいい。死者蘇生の効果で黒羊を特殊召喚。更に融合を発動!!手札の月光紫蝶と黒羊を融合!!」
出る、彼女の切り札が!
「漆黒の闇に潜む獣よ!紫の毒持つ蝶よ!月の引力により渦巻きて新たなる力と生まれ変わらん!融合召喚!現れ出でよ!月明かりに舞い踊る美しき野獣!月光舞猫姫!!この時黒羊の効果で墓地の白兎を手札に加える。更に墓地の紫蝶の効果発動!!」
月光舞猫姫
融合・効果モンスター
星7/闇属性/獣戦士族/攻2400/守2000
「ムーンライト」モンスター×2
(1):このカードは戦闘では破壊されない。(2):1ターンに1度、自分メインフェイズ1にこのカード以外の自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体をリリースして発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。(3):このカードの攻撃宣言時に発動する。相手に100ダメージを与える。
まだ効果があったのか!!さっきはあれの手札誘発でやられたが、他にもあるとは・・・。
「紫蝶は墓地から除外することで手札の月光モンスターを特殊召喚できる!手札から月光モンスターを特殊召喚!来い、月光蒼猫!!更に蒼猫の効果で舞猫姫の攻撃力を倍にする!」
月光紫蝶
効果モンスター
星3/闇属性/獣戦士族/攻1000/守1000
「月光紫蝶」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から「ムーンライト」モンスター1体を特殊召喚する
月光蒼猫
効果モンスター
星4/闇属性/獣戦士族/攻1600/守1200
「月光蒼猫」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、「月光蒼猫」以外の自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで元々の攻撃力の倍になる。(2):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスター1体を特殊召喚する
まずい!!この攻撃が通れば菊さんは負ける!!
「バトルだ!月光舞猫姫でダイレクトアタック!!この瞬間、舞猫姫の効果により100のダメージ!!合計4900のダメージで貴様は終わりだ!!」
舞猫姫の攻撃により土煙が沸き上がる・・・。そんな、あの菊さんが負けた・・・?
「ふん、あれだけ大口を叩いて所詮この程度とは、情けない。」
「おいおい、随分と酷い言い草じゃあないかい?まだデュエルは終わってないのに。」
「なに?!」
菊さん!!よかった。でもどうして?
「俺が発動したのはさっきと同じPSYフレーム・γ。攻撃宣言時に100のダメージを与える効果を無効にし、そのカードを破壊したのさ。」
KIKU
手札2→1
「そんな、月光舞猫姫が!!」
「更にPSYフレーム・サーキットの効果で今現れたPSYフレーム・γとPSYフレーム・ドライバーをシンクロさせる。現れろ、メンタルスフィア・デーモン。」
現れたのは悪魔のような姿をしたサイキック。香澄さんが使っていた時から思っていたがなんでサイキックなんだろ?見た目完全悪魔族なのに。
メンタルスフィア・デーモン
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/サイキック族/攻2700/守2300
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。また、サイキック族モンスター1体を対象にする魔法・罠カードが発動した時、1000ライフポイントを払って発動できる。その発動を無効にし破壊する。
「・・・私はターンエンドだ。」
SERENA
手札6→1
「俺のターン、ドロー。この瞬間、さっきのターンに除外されたΩが帰還する。」
KIKU
手札1→2
SERENA
手札1→2
すごい、あの攻撃をかわしたどころかもう破壊した。
「カードカー・Dを召喚してリリースし、2枚ドロー。ターンエンドだ。」
KIKU
手札2→1→3
そんな、攻撃しない?!なんで?!
「・・・なぜ攻撃しない?」
「する必要性がなかったから。強いて言えばその蒼猫の効果を使わせたくなかったからかな。」
「成程、こいつの効果を知っていたか。」
え?あのカードには他にも効果があるのか?!
「月光蒼猫は戦闘、効果で破壊されたときにデッキから月光モンスターを特殊召喚できる効果を持っている。だが何を警戒していた?」
「強いて言うなら蒼猫をリクルートさせてからの月光紅狐かな?あいつを融合素材にされたらΩはともかくとしてメンタルスフィアデーモンの攻撃力が0になってしまうから。手が無いわけでもないがリスクは減らすのが定石だろ?」
「成程、手の内はお見通しというわけか。」
凄い、そこまで読んでいたなんて・・・。僕だったら間違いなく攻撃させていた。
「なら私のターンだな、ドロー。手札から融合回収を発動。墓地の融合に使用した融合と黒羊を手札に加える。」
融合回収
通常魔法
自分の墓地に存在する「融合」魔法カード1枚と、融合に使用した融合素材モンスター1体を手札に加える。
SERENA
手札2→3→4
「ならΩの効果を発動。そっちの手札1枚とこのカードを「そんな効果は分かっている!!黒羊の効果でデッキから融合を手札に加え、白兎を召喚する!!」・・・まあ、いいか。遮ったのは君だからね。俺はちゃんと効果を説明しようとしたから、卑怯とは言うなよ?」
SERENA
手札4→3
む、向こうはすごい剣幕だ・・・。まったく動揺していない菊さんもすごいが。
「その辺は香澄や君のお姉さんに鍛えられたんだよ。特にあのチョコレート事件でね。」
心を読まないでください。というか姉さん、あれやっぱりあげたんですね・・・。人の性格まで変えるチョコレートって・・・。
「無駄話している暇があるのか?白兎の効果で墓地の月光舞猫姫を特殊召喚!白兎のもう一つの効果で、そのフィールド魔法と伏せカードを手札に戻してもらう。」
これで菊さんは守る術を失った!!
「融合発動!!月明かりに舞い踊る美しき野獣よ!月光に映え躍動する兎よ!月の引力により渦巻きて新たなる力と生まれ変わらん!融合召喚!現れ出でよ!月光の原野で舞い踊るしなやかなる野獣!月光舞豹姫!」
そんな、まだ切り札があったのか!!
SERENA
手札3→4→1
KIKU
手札3→5
「こいつは相手モンスター全てに二回攻撃できる!!今はその悪魔しかいないが戦闘破壊はできる!!行け、月光舞豹姫・・・どうした、なぜ攻撃しない!!」
あれ、どうして攻撃しない?・・・いや、出来ない?
「・・・墓地の仁王立ちの効果さ。」
「何?あのカードがどうし・・・まさか?!」
え、何がどうなっている?
「仁王立ちはこのカードを墓地から除外することで攻撃対象を1体のみにすることができる。少々特殊なんだが、この対象に選んだモンスターが場を離れた場合でもその効果は継続される。」
成程、そうだったのか。相手も理解したようだった。苦々しい表情で声を荒げる。
「そうか、あのΩを対象に効果を発動していたのか!!」
「そういうこと。」
成程、つまりこのターン攻撃はできないのか。それにしても中々に強力だな。採用も検討してみようか。
「あ、北斗君の場合は安全地帯をお勧めするよ。安全地帯は永続罠だからプレアデスでの使いまわしができるからね。同じ理由でデモンズ・チェーンも考えてみるといい。」
「だから心を読まないでください。」
「いや、君が読みやすいだけなんだけど・・。」
え、嘘マジ?!
「いや、嘘。」
「菊さん?!」
「・・・貴様ら、随分と余裕だな。」
ヒィ?!
「いやはや、なんせこのデッキはプロですら、泣いて許しを請う勢いでサレンダーしていくデッキだからね。存分に使える滅多にないチャンスだからついテンションが上がってしまうのさ。」
「・・・見たところ、そんなに強力な効果で統一されているわけでもないだろう。随分と貧弱なんだな、このスタンダードのデュエリストは。カードを1枚伏せてターンエンドだ。」
SERENA
手札1→0
「・・・好きなだけ言っておきなさい。」
そのうち、このデッキの恐怖が分かるから。
そうつぶやいたあの人は・・・。
「俺のターン、ドロー。スタンバイにΩが帰還。メインフェイズにフィールド魔法PSYフレーム・サーキットを再度発動。」
実に、いい笑顔をしていた。
SERENA
手札0→1
KIKU
手札5→6→5
「バトルだ、PSYフレームロード・Ωで月光舞豹姫に攻撃。」
「相打ち狙いか、迎い打て!月光舞豹姫!!」
「いや、死ぬのはそっちだけさ。フィールド魔法PSYフレーム・サーキットの効果発動!!」
「何?!まだ効果があったのか!!」
ほかに効果があったのか?!あのフィールド魔法強いな!!
「手札からPSYフレームと名のついたモンスターを墓地に送って、その攻撃力分、攻撃力をアップさせる。手札から攻撃力500のPSYフレーム・αを捨てて攻撃力を500アップ!!」
KIKU
手札5→4
これでPSYフレームロード・Ωの攻撃力があの融合モンスターの攻撃力を完全に上回った!!
「だが、この瞬間罠発動!!月光輪廻舞踊!!モンスターが戦闘・効果で破壊されたときデッキから2枚の月光を手札に加える。デッキから月光白兎と月光紅狐を手札に加える。」
月光輪廻舞踊
通常罠
「月光輪廻舞踊」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスターを2体まで手札に加える。
「・・・成程、手札に加えられたのならもうリクルートを警戒する必要はないな。メンタルスフィア・デーモンで月光蒼猫を攻撃。」
「月光蒼猫の効果でデッキから月光紅狐を特殊召喚。」
「だがこれでメンタルスフィア・デーモンの効果が発動。月光蒼猫の攻撃力、1600分ライフを回復。メインフェイズ2、手札から魔法カード強欲で謙虚な壺を発動。デッキから3枚めくり、その中の1枚を手札に加える。・・・ようやく来たか。」
強欲で謙虚な壺
通常魔法
「強欲で謙虚な壺」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。
何か引いたのか?
「俺はこのカードを手札に加える。」
そう言って菊さんはカードを見せた。あれは・・・鳥?いや、烏か?
「カードを2枚伏せてターンエンド。」
KIKU 5600
手札4→2
「私のターン、ドロー!!」
SERENA
手札2→3
「この瞬間、PSYフレームロード・Ωの効果発動。ゲームから除外されたカード1枚を墓地に戻す。仁王立ちを墓地へ。」
「「・・・は?」」
え、仁王立ちってさっきのカードだよな。
「そしてΩの効果で手札1枚と一緒に除外。更に仁王立ちの効果でΩを対象として発動する。チェーンでDDクロウやエネミー・コントローラーなんかがあれば防げるが、どうする?」
「・・・チェーンはない。それよりもちょっと待て。まさかこれは。」
「ああ、お前は攻撃できないってのとほぼ同義だ。それがどうかした?チェーン処理、仁王立ちの効果を発動し、Ωが除外される。」
どうもこうもないです。酷い、酷すぎる。実質バーンカードがなければ負け確定みたいなものじゃないか。
「・・・私は融合を発動。手札の月光紅狐とフィールドの紅狐で融合する。融合召喚、月光舞猫姫!!月光舞猫姫は戦闘破壊されない!!これで何とか・・・。」
「あ、激流葬で。」
「・・・。」
「・・・。」
「どうした?笑えよ。」
いや、無理です。ここまでひどいのか、軍師の本気は。
「・・・ターンエンド。」
「え?声が小さくて聞こえないな?」
「ターンエンドだ!!」
「知ってた。」
SERENA
手札0
あ、悪魔だ。悪魔がここにいる・・・。煽らないでやってください。もう可哀想でしかない。自分がされた恐怖抜いても。
「俺のターン。ドロー。Ωがまた戻ってくる。」
KIKU
手札3
「・・・だがPSYフレームは通常召喚できないのだろう?なら次のターンで・・・。」
「そうか、次のターンに何ができるんだろうな。八汰烏を召喚しバトル。八汰烏でダイレクトアタック。」
八汰烏
スピリットモンスター
星2/風属性/悪魔族/攻 200/守 100
このカードは特殊召喚できない。召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
「通常召喚できるモンスターも入っていたか。ック!!」
「Ωで攻撃はしない。エンドフェイズ、八汰烏は手札にもどる。さあ、よからぬことを始めようじゃあないか!!」
菊さん、顔が怖いです。笑顔がトラウマになりそう・・・。でも八汰烏ってどんな効果だ?ネットで調べて・・・え?
◇
「社長。」
「どうした?」
「3時間前、強力な融合召喚反応を感知したのですが・・・。その時に。」
「何があった?」
「・・・これです。」
「これは?!」
セレナ、スタンダードに来ていたのか!!それにどうしてあの人が・・・。
・・・ん?泣いてないか?
『・・・ヒック、ヒック。』
『どうした?まだライフは3000もあるじゃないか!!あきらめるな!あ、八汰烏召喚してダイレクト。これでまたドロー出来ないね。』
『やめてあげてください!!もう彼女のメンタルは0です!!止めさせたでしょう?!』
『・・・ターンエンド。』
『菊さん!!』
『・・・北斗君。』
『え?』
『精神攻撃は基本だよ?』
『ダメだこの人、早く何とかしないと・・・。』
『・・・わだじのだーん。』
「あ、Ωでその手札除外で。一応仁王立ちを戻して発動させておこうか。』
『いっそごろぜぇーー!!』
『菊さん!!』
・・・なんだこれは。いや、状況は分かる。だが・・・。
「・・・これは?」
「3回ほど融合反応を検知したので記録したのですが・・・。」
「どうやらデュエルしているようですが、なぜ彼女は泣いているのでしょう?」
「中島・・・。」
そうか、中島はデュエリストではなかったな。優秀なやつなんだが・・・。そして報告してくれた彼女はそういえば元デュエリストだったな。だからこの惨さも分かるのか。
「・・・流石菊様。」
前言撤回、このスタッフはそういえば菊先輩のファンだったか。ならむしろ受けてみたいのかもしれないな。あの人のファンクラブ全員、その・・・キャラが濃いから。
とりあえず、今度セレナにあったら労わってやろう。同じデッキを受けた者同士、前よりは仲良くできるかもしれない。思い出したら胃痛が・・・。
いやぁセレナは強敵でしたね(すっとぼけ)
え?なんでこんなにいじったか?泣き顔ってそそりません?(手遅れ)
感想待ってます!!(ついでに同志も)