遊戯王ARC-Ⅴの世界に廃人がログインしました   作:紫苑菊

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祝、お気に入り1000人越え。
こんな受験ストレスと深夜テンションから出来た駄作をお気に入り登録してくださった皆様、本当にありがとうございます!
まだ受験が終わっていませんが、嬉しすぎて思わず次の話を書いてしまいました。「おい、勉強しろよ。」という遊星の声が聞こえてきた気がします(笑)。
まだまだ至らないところもあるこの小説ですが、どうぞよろしくお願いします。


第8話

 

 黒咲さんとの邂逅から数日経ち、遊矢君の最後の試合の日。

 

 私、柊菊は応援に行くことが出来ませんでした。orz。

 

 いや、仕方ないんだよ。まさかこの日にも予定が入るとか予想だにしていなかったし。まあ、急な話で仕方なかったんだけどさ。

 

 見たかったなぁ、遊矢君の試合。彼がペンデュラムしているところ、ビデオとあの日の対戦以外で見てなかったから。いや、まあ今回の話は半分自業自得だし、仕方ないんだけどね。

 

 ああ、憂鬱。

 

「おい、貴様のターンだ!それとも何も出来ないか?!」

 

 うるさいなぁ、こっちは機嫌が悪いんだよ。

 

「・・・はぁ。」

 

 ため息ついたら対戦相手がわめきだした。いや、俺の態度が悪いんだけど。でも、仕事でもない、完全なフリーの日にデュエルを強制されたらこうなると思うんだ。しかももう20回目だし、今日のデュエル。

 

 因みに現在俺のフィールドには封印されし左腕が団結の力装備の状態で残されているのみ、手札は・・・2枚。

 

「俺のターン。ドロー。手札からアームズ・ホールを発動し、デッキトップを墓地に送る。その後装備魔法、月鏡の盾を手札に加える。死者蘇生発動。対象は封印されし右腕。蘇生。そして月鏡の盾を装備。手札のモンスターを墓地に送り、クイック・シンクロンを特殊召喚。そして墓地のレベル・スティーラーをクイックのレベルを下げて特殊召喚する。」

 

「レベル・スティーラーだと?!そんなカードいつ墓地に送った?!」

 

「3ターン前のワン・フォー・ワンのコストだ。いくぞ、シンクロ召喚、ジャンク・ウォリアー。効果により、俺のフィールドに存在する右腕と左腕の攻撃力が加算されるが、左腕の攻撃力は現在2600だ。つまり・・・。」

 

 ジャンク・ウォリアーの攻撃力が5100まで上昇する。

 

「ばかな?!」

 

「そして、月鏡の盾の効果は戦闘する相手モンスターの攻撃力、もしくは守備力のどちらか高い方の数値分、攻撃力が加算される。バトルだ。右腕でテテュスに攻撃。右腕の攻撃力が上昇し、2500になる。」

 

 RYUGA 2700→2600

 

「左腕で創造の代行者ヴィーナスに攻撃。」

 

 RYUGA 2600→2200

 

 オネストはない、か。警戒して損した。

 

「ジャンク・ウォリアーでダイレクトアタック。スクラップ・フィスト。」

 

「うわああぁぁぁ!!」

 

 RYUGA 2200→0

 

 ソリッドヴィジョンが解除され、あたりの風景が体育館に戻る。

 

「ありがとうございました。」

 

「こちらこそありがとうございました!柊先輩!」

 

 ああ、憂鬱だ・・・。

 

 

 

 時を遡ること2日前。俺は学校の先生に呼び出された。

 

「3-I、柊菊です。」

 

 部屋の奥から渋い声が聞こえる。

 

「どうぞ、入ってください。」

 

「失礼します。」

 

 中にいるのは初老間近のおじさん。そして俺を呼び出した張本人。

 

「どうぞ、おかけください。柊プロ。」

 

「今は生徒なんですが?校長先生。」

 

 そう、校長に呼び出されたのだ。最初は昨日の黒咲のことがあったばかりだからその件かと思った。だが、話を聞くにどうも違うらしかった。

 

「では柊君。二日後に開催されるうちの高校のイベントについては知っていますか?」

 

「・・・部活動体験会でしょうか?年に何回か行われる中学生向けのイベントですよ

ね?」

 

 うちの高校で行われる部活動体験会。いわゆるオープンキャンパスの部活動メイン版とでも言うべきか。

 

「ええ、そうです。君にはそれに現役プロとして出てほしいんですよ。去年まではこの町に住むプロの方にお願いしていたのですが、去年からはあなたが入ってきましたから。まあ去年は残念ながらあなたの試合の関係上、その話が入ることは適いませんでしたから今年こそはと思いまして。」

 

 確かに、去年のイベント時は試合が入っていたなぁ。丁度日本ランクベスト20に入ったばかりで試合数がえげつないことになったの思い出した。

 

 あの時はやばかった。普通、プロの試合は1日に3回行われれば大会でもない限り多い方なのだが、あの時は1日10件がざらにあった。学校に顔を出さなければいけない分、延期も重なり1日20件の時もあり、休憩時間がほとんどなかったのを覚えている。なにしろ試合→会場を移動→試合のループが起こっていたのだ。あの時はマジで社蓄精神で働いて学校に行くことの繰り返しだった。公欠扱いにも限度があることをあの時初めて知ったなぁ。2ヶ月分も学校に行けていたのかすらあやしい。アメリカの大会参加中はホテルでのんびりもできたけど。

 

 因みにうちの学校はプロデュエリスト以外にもデュエリストアイドルやらなんやらが所属する特殊なクラスがあり、通常の学校とは少し異なる。なのでプロ試合が公欠扱いになったのだが、だからといって必要出席日数が減るわけでもない。公欠扱いでも足らない場合はテストや課題が追加されるシステムになっているのだ。

 

 でも無理だ。その日は遊矢の試合がある。1回目も2回目も見に行けなかったから今回だけはどうしても見ておきたい。断ろう。

 

「ですがすいません、その日は用事がありまして「課題をチャラにします。」・・・え。」

 

 いま、なんていった?

 

「タダでとは言いません。今まで参加していなかった公欠扱いの授業分の課題提出。それをチャラにしてあげます。提出期限は明日でしょう?渡したのは確か五日前。その間にあの量の課題を、ましてや昨日も試合に出ているのに終わってるわけはありませんよね?」

 

 まったくもってその通りである。五日前に学校に行ったとき、まだ辞書の方が少ないんじゃあないかという量のプリントを渡され、来週までだからなと言われたときの絶望感はやばかった。二日間かけて三分の一程度が終わり、昨日は試合で1日無くなり、ああ、もう無理だなと諦めていたところだった。

 

「いやはや、なにせ去年一昨年に渡しきれていなかった分までありますからねぇ、一応今年は仮進級扱いですが、今回提出できないとなると・・・。」

 

 やばい、道理で明らかに1年生の分のプリントが混じってるわけだ。つかそんなもんせめて去年渡せよ。

 

「渡す前に君のアメリカ行きが決定しましたし、君の住所に連絡しても連絡が尽きませんでしたから。」

 

 そうだったね畜生。そういえば書類上まだ前の家に住んでることになってたんだった。苗字変えたのも入学してからだし、よくよく考えりゃあまだこっちに申請してなかった。それで連絡がいかなかったと。こんなとこで申請を後回しにしていたツケが来るとは。いや、申請する間もなく試合に出ていたのが原因なんだけどさ。

 

「さて、提案です。」

 

 それは俺にとっての死刑宣告。

 

「1年生に戻るか、1日潰すか、どっちか選べやクソガキ。」

 

 校長の台詞じゃねぇ。ヤクザじゃねぇか。怖いんだよあんた顔いかついから。マジもんみたいだから。

 

 まあ俺に選択の余地はなかった。こうして今に至るのである。

 

 

「・・・でも、この量今日中に捌けはないだろう。」

 

 俺の前にはプロと試合できると聞きつけた中学生たちやこの学校の生徒たち。決闘部(と書いてデュエル部と読む)のデモンストレーションは毎年有名なのに加えて、俺のファンや今までに対戦したリベンジに燃える人まで来て収集がつかないことになってる。なんで参加型にしてるんだよ。しかも中々にキャラが濃い人たちまでいるので俺のテンションが追いつかない。さっきの子なんか見た目かわいい系美少年だったのにデュエル始めてから口調変わるし。オデノメンタルハドボドボダ。いや、体もぼろぼろだけどさ。

 

 『12時になりました。お昼休みに入ります。』

 

 やった、休憩だ。とりあえず飯だけ食べに行こう。正直疲れた・・・。

 

 食堂に向けて歩いていると声をかけられた。

 

「あら、菊じゃない。イベント終わったの?」

 

 ああ、今は君がオアシスに見えるよ、香澄。

 

「香澄、助けてくれ。もう俺は限界だ、後は頼む。」

 

「逃げるつもり?出席やばいんでしょ?」

 

「ああ、そうだったね畜生!もういいよ、全員チェーンバーンで相手してやる!」

 

「ヤクザ先生・・・じゃない校長先生に言われてビートダウン以外禁止なんでしょ?それしたらあとで説教されちゃうわよ。」

 

「チキショーーーーー!!」

 

 マジでやってらんねぇ。疲れた。ソリッドヴィジョンのデュエルってずっと立ちっぱなしだから疲れるんだよ。もう3時間立ち続けだぜ?!いくらデュエリストでもかなりきついわ。

 

「・・・ほんとに大丈夫?あんたがそこまで発狂してるの何気に始めて見るんだけど。」

 

「大丈夫じゃない。足の裏が痛い、腕が痛い、頭が痛い。ついでに心が痛い。」

 

「・・・ほんとに重症ね。」

 

 ええ、そうですよ。スタンディングデュエルってずっと腕構えてるようなもんだからかなり腕がつるんだよ。最初はいいけどぶっ続け3時間はやばいわ。部活かなんかか。いや、部活なんだけどさ一応。何だっけ、自分が所属してる部活?やべぇ、忘れた。

「あんたが所属してるのは決闘部と剣道部よ、大牙や凪流と一緒ね。」

 

「うん、ナチュラルに心読むのやめてくれないかな?そうだったね、剣道部も入ってたね確か。」

 

「忘れないでよ、そんな事。・・・仕方ないか、あんたほとんど学校に来てないしね。そうそう、思ったんだけど。」

 

 ん?

 

「ほら、あんたが食堂行ったら目立っちゃうでしょ。上の階の予備教室で休んでなさい。購買で何か買ってきてあげるわ。」

 

 おおお。その提案は疲れてる俺にとってはまさに神の啓示!

 

「神よ、感謝します。」

 

「誰が神だバカ野郎。ほら、ちゃっちゃと休んできなさい。」

 

「ありがとう香澄!今度なんか奢るよ!」

 

「なら、今度ケーキでも奢りなさい。私と凪流にね。」

 

 マジで助かった。今ならいくらでもこいつに奢れる自信がある。なんで凪流にも奢らなければならないかは分からないがまあいいか。ただし大牙、テメーはだめだ。

 

 さて、上の教室で香澄を待つとしようか。

 

 

 

 無事に昼飯を食べ終えて、試合を再開することになったんだけど・・・。

 

「なんでここにいるの香澄?」

 

「いや、最近あんたとはやってなかったと思ってね、たまにはいいじゃない。」

 

 ダメだった?と香澄。

 

「いや、いいんだけどさぁ。」

 

「ならさっさとかまえる!来いよベネット。武器なんか捨ててかかってこい!」

 

「野郎ぶっ殺してやる・・・って誰がベネットだよ。武器(デッキ)捨てたらだめだろ。」

 

「冗談よ。それより行くわよー。」

 

 ああ、でもお前なら・・・。

 

「「デュエル!!」」

 

 お前なら、このデッキ使ってもいいよね・・・?もう、ストレスが限界なんだ・・・。

 

「私のターン。カードを2枚伏せて手札抹殺を発動。2枚捨てて2枚ドロー!」

 

「5枚捨てて5枚ドローする。」

 

 初手から手札抹殺。嫌な予感しかしねぇ。

 

「私は伏せていた思い出のブランコを発動し、ギガプラントを特殊召喚!」

 

 早々にでた香澄のデッキのキーカード、ギガプラント。手間はかかるがかなり優良なモンスターだ。俺もアロマージや蠱惑魔なんかのデッキに投入していた。まあ、デッキの相性もあり早々にリストラされたが。

 

 思い出のブランコ

 通常魔法

(1):自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

 ギガプラント

 デュアルモンスター

 星6/地属性/植物族/攻2400/守1200

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。●1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分の手札・墓地から昆虫族または植物族モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

「伏せたスーペルヴィスを装備しギガプラントの効果発動!墓地に存在するローンファイア・ブロッサムを特殊召喚。効果発動しデッキから2体目のローンファイアを召喚。ローンファイアをリリースしデッキから2体目のギガプラントを召喚し、再度召喚!」

 

 スーペルヴィス

 装備魔法

デュアルモンスターにのみ装備可能。装備モンスターは再度召喚した状態になる。フィールド上に表側表示で存在するこのカードが墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して特殊召喚する。

 

 スーペルヴィスを装備したことでデュアル扱いになったギガプラントとローンファイアから出てきたギガプラント。奴の効果は正直チートもいいとこだ。毎ターン植物昆虫蘇生ってどうよ。でもなんで3体目のローンファイアをデッキから出さなかったんだろう。

 

「ギガプラントの効果により墓地のローンファイアを蘇生し、ローンファイアの効果でローンファイアをリリースし、スポーアを特殊召喚。さあ、行くわよ!!」 

 

 あ、これまずい奴。

 

「レベル6ギガプラントにレベル1スポーアをチューニング!!現れよ、邪竜星-ガイザー!!更に装備されていたスーペルヴィスの効果でギガプラントを蘇生!!」

 

 よ、良かったDDBじゃなくて。DDBなら多分終わってたな、このターンで。DDBがこの世界では手に入りにくくて本当に良かった・・・。

 

 邪竜星-ガイザー

 シンクロ・効果モンスター

 星7/闇属性/幻竜族/攻2600/守2100

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「邪竜星-ガイザー」の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードは相手の効果の対象にならない。(2):自分フィールドの「竜星」モンスター1体と相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。(3):自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから幻竜族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

 

「墓地のローンファイアを除外してスポーアの効果発動!レベルを4にして特殊召喚!」

 

 あ、レベル10。ってことは・・・。

 

「レベル6ギガプラントにレベル4スポーアをチューニング、シンクロ召喚、神樹の守護獣-牙王!!」

 

 神樹の守護獣-牙王

 シンクロ・効果モンスター

 星10/地属性/獣族/攻3100/守1900

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードは、自分のメインフェイズ2以外では相手のカードの効果の対象にならない。

 

 出たよ耐性がめんどくさいモンスター2体目。

 

 「カードを1枚伏せるわ。私はこれでターンエンドよ!」

 

 KASUMI

  手札1

 

 フィールドには上級モンスターのギガプラントが1体。そしてシンクロモンスターの牙王が1体とガイザーが1体。この状況はかなりまずい。上級最上級モンスターあわせて3体のこの状況。先行でここまで展開するのは悪手だと思うが、何度かこいつにやったワンキル対策ならまあ納得がいくし、場持ちのいいモンスターだから次のターンまで残る可能性は高い。ギガプラビート相手に長期戦はまずいからだいたいワンキルかメタビを使ったせいか、これ以上ないくらいに展開してきた。牙王は兎も角ギガプラは処理しないと大変なことになりそうだ。

 

 いわば背水の陣みたいなもんである。・・・まあOCGならライトニングで即死ぬのだが。でも残念ながら

 

いかんせん『No』カテゴリは悪目立ちし過ぎる。出来れば使用は控えたい。原作のこともあるからどこまで世間影響するかわからないため今までもNoやシグナーのカード、三幻神などは一部を除き使用を控えてきたのだ、自重忘れたときもあったけど。こいつら便利だし汎用性高いからもっと使いたいんだけどなぁ。

 

「俺のターン、ドロー。」

 

 それにしても、さっきのドローの時から思ってたのだが、この手札からみなぎる殺意の波動を感じる・・・。というか殺意しか感じない・・・。

 

「俺は六武の門を2枚発動。」

 

 きました鬼畜カード2枚・・・。何が酷いって?そりゃまあ、うん。察しろ。

 

 六武の門

 永続魔法

「六武衆」と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを2つ置く。自分フィールド上の武士道カウンターを任意の個数取り除く事で、以下の効果を適用する。●2つ:フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」または「紫炎」と名のついた効果モンスター1体の攻撃力は、このターンのエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。 ●4つ:自分のデッキ・墓地から「六武衆」と名のついたモンスター1体を手札に加える。 ●6つ:自分の墓地に存在する「紫炎」と名のついた効果モンスター1体を特殊召喚する。

 

「さらに六武衆の結束を発動し、手札から真六武衆カゲキを召喚。召喚時効果で手札から六武衆の影武者を特殊召喚。召喚に成功したので武士道カウンターが門に4つづつと結束に2つ乗る。」

 

 六武衆の結束

 永続魔法

「六武衆」と名のついたモンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを1つ置く(最大2つまで)。また、武士道カウンターが乗っているこのカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っていた武士道カウンターの数だけデッキからカードをドローする。

 

 真六武衆-カゲキ

 効果モンスター

 星3/風属性/戦士族/攻 200/守2000

このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の「六武衆」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。自分フィールド上に「真六武衆-カゲキ」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力は1500ポイントアップする。

 

 六武衆の影武者

 チューナー(効果モンスター)

 星2/地属性/戦士族/攻 400/守1800

自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体が魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった時、その効果の対象をフィールド上に表側表示で存在するこのカードに移し替える事ができる。

 

 さて、満足させてもらおうか。

 

「門の効果発動。フィールドの結束のカウンターと門のカウンターを2つづつ取り除きデッキから真六武衆キザンを手札に加える。そしてフィールドに六武衆が存在するので手札からキザンを特殊召喚。またカウンターが乗る。」

 

 効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1800/守 500

自分フィールド上に「真六武衆-キザン」以外の「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。自分フィールド上にこのカード以外の「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で2体以上存在する場合、このカードの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。

「そしてレベル3カゲキにレベル2影武者をチューニング、シンクロ召喚。真六武衆シエン!シエンの召喚に成功したのでカウンターが乗る。門の効果で門のカウンターを4つ取り除きキザンを手札に加える。もう一つの門のカウンターも取り除き、六武衆の師範を手札に。」

 

 真六武衆-シエン

 シンクロ・効果モンスター

 星5/闇属性/戦士族/攻2500/守1400

 戦士族チューナー+チューナー以外の「六武衆」と名のついたモンスター1体以上

1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動する事ができる。その発動を無効にし、破壊する。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊する事ができる。

 

「結束の効果発動。このカードを墓地に送りカードを2枚ドロー。キザンを特殊召喚。カウンターが乗る。六武衆がフィールドにいるので師範は特殊召喚出来る。師範の召喚に成功したのでカウンターが乗る。」

 

 六武衆の師範

 効果モンスター

 星5/地属性/戦士族/攻2100/守 800

自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。このカードが相手のカードの効果によって破壊された時、自分の墓地の「六武衆」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える。「六武衆の師範」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

 

「六武式三段衝を発動。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。」

 

 ネタ枠で入れたカードをここで引くとは・・・。因みにヤリザ殿も入ってたでござるが、手札抹殺で墓地に行ったでござる。

 

 六武式三段衝

 通常魔法

自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが表側表示で3体以上存在する場合、以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。●相手フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを全て破壊する。●相手フィールド上にセットされた魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 さて、香澄よ。呆気に取られているお前にはこのセリフを送ろう。俺の大好きな某仮面ライダーの台詞を。

 

「さあ、お前の罪を数えろ。」

 

「あんたの方がよっぽど罪深いわ!!何よその展開!!インチキ効果もいい加減にしなさい!!」

 

 ブチ切れた、まあ仕方ないか。だがインチキ効果云々はお前が言うな。知っているんだぜ?お前が手札抹殺の時にローンファイアだけでなくグローアップ・バルブも墓地に送ってるの。

 

「知らん、そんなのは俺の管轄外だ。シエンで攻撃!!」

 

「聖なるバリア-ミラーフォースを発動!!」

 

 仕事しないことに定評のあるミラフォ。でも当たったら強いんだよなぁ。・・・当たれば。

 

「ところがギッチョン、シエンの効果により、ミラーフォースを無効にする!攻撃は続行!!」

 

「ミラフォ仕事しろおォォォーーーー!!」

 

 香澄の雄たけびがこだまする。 女の子がそんな声あげるんじゃありませんよ。まあ、これで伏せカードが無くなったわけで・・・。

 

「残りのモンスターで一斉攻撃!!」

 

「きゃああぁぁぁぁ!!」

 

 KASUMI 4000→0

 

 勝った、第三部、完!!

 

 俺が一人勝利の余韻に浸って≪答:コロンビア≫のポーズをとると香澄が対戦者側から走ってきた。手札の死者蘇生を握りしめて。てか最後の手札死者蘇生かよ、危ない危ない。次のターンで下手すりゃ負けてたな。

 

「何よそのデッキ!!何あのアドの取り方!!そんなデッキよく今日のイベントで使用許可出たわね!!」

 

 おいおい、何を言っているんだ?

 

「許可なんて出てないけど?」

 

「へ?」

 

 随分と間の抜けた返事が返ってきた。

 

「こんなデッキ、プロでもない奴にそうそう使うわけないだろ?お前だから使ったんだよ、お前だから。丁度いいデモンストレーションにもなったみたいだしね。」

 

 アリーナを見上げると見学席からの視線がやばいことになってる。皆ポカーンてなってヤンの。俺のせいだけどさ。まあ高校の部活のデモンストレーションでこの展開はないわなぁ。門はやっぱり1枚でちょうどいいです。こうなるから。

 

「じゃあそのデッキってプロ用の奴?」

 

「何言ってんだ。あたりまえだろ?お前ら相手ならこれくらいがちょうどいい・・・ってなんで嬉しそうなんだよ。」

 

 なんかキモイ。

 

「いや、ようやくあんたが私に本気出してくれるようになったなぁって思うとね。ほら、今まであんまり本気出されてた記憶ないからさ。」

 

 あ~成程。でも・・・。

 

「お前ら相手にはもうずいぶん前から本気用デッキ使ってるんだがなぁ・・・。」

 

「え、そうなの?」

 

 そうじゃないのにシャドールとか使いません。お前らエクストラデッキ大量に使うからネクロスは流石に自重したけど。

 

「そうなんだ~。これは皆に報告しないと。あんたも頑張りなさいよ~。」

 

 そして香澄はどこかに走っていった。

 

「・・・まあ、良かったのかな?さて・・・と。」

 

 香澄が行ったあと、俺は自分の前の列を見る。何人かがさっきのデュエルに引いたのか列からいなくなってたが、それでも多い。

 

 どうやら俺の仕事はまだまだ終わりそうにない様だ。

 

 

 

 

 『5時になりました。これにて舞網高校部活動体験会を終了します。』

 

「終わった・・・。地獄が終わった。」

 

 もう立つのが限界である。実質8時間もずっと立っていたわけだからいくらデュエリストでも限界である。でもここから歩いて帰らなきゃあならないんだよなぁ。

 

「いや、考えても仕方ない。帰ろう。」

 

 押し寄せるファンをよけながら荷物をもって校門まで歩く。この辺はマジⅣさんリスペクトっす。ああ、足が重い。

 

「お疲れさま。」

「お疲れさん。」

「お疲れ様です。」

 

 え?

 

振り向くと3人組がいた。てか大牙も凪流もここにいたんだ。剣道部の方に顔出してなかったからそっちだったのかな?決闘部には俺がいたから気付かないはずないし。

「いやさぁ、お前が帰るの待ってたんだよ。声かけようにもお前はファンやらなんやらに囲まれてたからな。仕方ないからここで待ち伏せしてた。」

 

 成程成程。それはそれは・・・。

 

「うむ、よきにはからえ。」

 

「ぶっ殺すぞ。」

 

 うん、やっぱりこいつをからかうのは愉しい。愉悦。

 

 まあ、大牙はいいとして・・・君らは?

 

「私たちはあんたにケーキ奢ってもらうために待ってただけよ。ね、凪流。」

 

「ええ、香澄。どうせなら駅前のあそこにしましょう。いつもよりもグレード高めで。」

 

 え、今から?・・・財布大丈夫かな?あ、ギリギリ足りそう。

 

「・・・お前たちとの友情には涙が出るよ。」

 

「あら、もっと感謝してもいいのよ?」

 

「嫌味が通じねぇ!」

 

 まあ、いいか。

 

 ・・・こいつらといるの楽しいし。ケーキくらい奢ろうじゃないか、それがたとえ1つ600円もするケーキだったとしても。駅前の方は本気で高いんだよなぁ。

 

「じゃ、そこにする?どうせだからそこで晩飯も食べちゃいたいんだけど。」

 

「何言ってんの?ケーキが晩御飯よ。」

 

「男の俺にはきついんで勘弁してください。」

 

「冗談よ。まあ、今日はいつもの喫茶店でも行きましょ?」

 

 あそこも何気に高いんだけど。

 

「・・・ドンマイ、菊。」

 

「・・・財布に金入ってたかな?軽いノリでかなり財布が軽くなりそうだ。」

 

「いざとなったら貸すぜ。」

 

「ありがとう大牙、今はお前の気遣いが身に染みるよ・・・。」

 

「やめろよ、きもい。」

 

 酷いやつだ。まあ、最悪ATMによればいいんだけどね。仮にもプロだからお金には余裕あるし。

 

「あ、でも・・・。」

 

 凪流がこっちをちらりと見る。ん?

 

「菊、今日って確か遊矢君の最後の試合の日じゃありませんでした?」

 

「うん、そうだけど。」

それがどうしたの?と聞く前に凪流が口を開いた。

 

「なら、もしかして家族で食べに行く予定とかあったんじゃ・・・。」

 

「・・・あ。」

 

 しまった。その可能性はまったく考えてなかった。慌てて携帯をみると着信が3人。父さんと柚子、それに遊矢君のお母さん。とりあえず父さんに連絡してみる。

 

「もしもし父さん?」

 

『ああ、ようやく終わったか菊。いまから権現坂君のところの道場に来れるか?』

 

「いいけど。道場ってことはもしかして最後の相手って権ちゃん?スマイリーさんも酷なことするねぇ。」

 

 だいぶぼやけて薄れてきた原作知識を引っ張り出して聞いてみる。

 

『ははは、まあね。今からご飯を食べに行くからお前も来なさい。とりあえず祝勝会だ。権現坂君もくるからさ。』

 

 やっぱりかと思って凪流たちの方を見ると全員行ってきなさいって顔をしている。本当にいいやつらだ。

 

 電話を切って凪流たちに謝る。

 

「ごめん、皆。またの機会でいいかな?」

 

 すると皆仕方ないって感じで、てかさっさと行ってこいって感じで送り出してくれた。

 

「行ってらっしゃい。そうですねぇ、埋め合わせとして私がユースで優勝して、その時の祝勝会は菊持ちで全額、それもお高いめのを奢ってくれるってのはどうです?」

 

「あ、俺もそれで。」

 

「私もね。だから気にせず行ってらっしゃい。」

 

「ワーオ財布が薄くなるね!ごめん、今度埋め合わせするよ!急ぐからこれで!」

 

 軽口を叩いて別れを告げた後、急いで道場に向かう。走ればなんとか20分くらいだろうか。足痛い。

 

 今思えば、ここでちゃんと原作を思い出すべきだったんだろう。

 

 ジュニアユースの大会であの事が起きて、ユースどころではないことを。

 

 その関係で大会が中止になることを、しっかり思い出すべきだったんだと思う。

 

 そうすれば・・・きっとあんなことにはならなかったと思うから。

 

 

 

 

 

 因みに、この後諸事情により俺はかなり遅れて道場につき、柚子にハリセンで叩かれることになったのは完全に蛇足である。頭いてぇ・・・。

 




それはそうとウィング・レイダーズが遂に発売されましたね。作者は学校の帰り道に2BOX買って、シングルも何枚か購入し、とりあえずRRは完成しました。超量も組んでみたいなぁ。

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