遊戯王ARC-Ⅴの世界に廃人がログインしました   作:紫苑菊

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受験が忙しい・・・。

さらに更新遅くなります。申し訳ございません。

そしてまたまた少ないデュエル描写。閲覧注意です。


第6話

 

 

前回のあらすじ 主人公、(メタられて)死す。(嘘)

 

 あのデュエルから時は変わってレストラン。

 

 前方にあるものを直視しないように窓の外を見ながら食後のアイスティーを飲む凪流。

 

 斜め向かい側の物体を見ないようにしながら口直しのサイダーを飲む香澄。

 

 横の奴を嘲笑しながら元ジャックよろしく、珈琲を飲む俺。美味しい。

 

 そして、負けて全員にご飯を奢るはめになり、白く燃え尽きた大牙。安心しろ、俺はそこまで高いのたのんでないから。リゾットとドリンクバーだけだから。俺は。

 

 うん。なんだかんだいつもの光景だったりする。だって、最初は『大丈夫かな?』って見ていたアルバイトの店員さんが、『あ、またこいつか、不憫だな。』って目になっているし。この前なんかは励まされてたし。若干涙目になってた時は流石に俺が代わりに奢った。神でも見るような表情をされてなぜか涙腺がウルッときた。

 

「元気出せって、大牙。あれは俺の手札が悪かった。そうじゃなきゃあ普通にやられてたさ。そもそも、今回の終世デッキは打点高いの多いから剣闘獣じゃ厳しいところもあったんだし。」

 

 そう、元気づけようと思い声をかけても「うるせぇ・・・。」としか返ってこない。メタって負けたのそんなに悔しかったのか。

 

「やめときなさい、菊。」

 

 香澄がそう言ってきた。いや、でもここまで落ち込まれると流石に鬱陶し・・・じゃない俺の良心が痛むんだよ。ウソだけど。

 

「はあ・・・仕方ないわね。」

 

 お、何とかしてくれるのか?そう思って席を香澄と交代する。

 

 そして香澄は・・・そのまま大牙に拳を振り下ろした。鈍い音が店に響く。

 

「いつまでうじうじしてんのよ!!そんな暇あったら私たちにさっさと飯おごって次のデッキでも考えてなさい!!」

 

 殴った。これ以上ないくらいにバイオレンス。それが香澄クオリティ。

 

「香澄、やりすぎです。大牙の首から嫌な音がしました。」

 

「大牙が死んだ!!」

 

「「「「「この人でなし!!」」」」」

 

 店中から突っ込みが来た。ノリがいい。数名このネタが分かってないみたいだけど。因みに香澄や凪流は何度かこの店で同じことがあったため、ネタなのは理解している。

 さて、あの時のデュエルについて一応回想しておこうと思う。

 

 以下、回想

 

 次元の裂け目、発動後・・・。

 

「俺は更にブラック・ホールを発動する!」

 

「チェーンはない。アスモディウスは破壊後にトークンを生み出すが、次元の裂け目の効果で除外される為、トークンは生まれない。」

 

「俺は剣闘獣ラクエルを召喚しバトル!ダイレクトアタックだ!。」

 

 剣闘獣の流れは大体わかる。おそらく、ラクエルのダイレクトアタック後、ベストロウリィを召喚し、その効果でヴァルハラか伏せカードを破壊しようとしたのだろう。

 

 戦略的には悪くない。いや、初動としてはかなりいい方だ。だが、残念なことに・・・。

 

 このデッキ、『終世』には、かなり大量に蘇生カードが入っているのだ。つまり・・・。

 

「罠発動、リビングデッドの呼び声、対象スペルビア。チェーンは?」

「え」

 

「チェーンは?」

 

「あ、その、ないです。」

 

 このように、リビデが3積みされているのだ。光と闇の竜や死者蘇生、ソウチャも含めれば、蘇生カードが8枚入っていることになる。

 

 リビングデッドの呼び声

 永続罠

自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

「なら墓地からスペルビアを蘇生。スペルビア効果で墓地のアテナを対象、チェーンは?」

 

「ない・・・です。」

 

「なら、墓地からアテナを蘇生。チェーンは?」

 

「ない!!分かってんだろうが!!」

 

 うん、知ってた。でも、幽鬼うさぎやサイクロンがないとも限らないし。次元の裂け目があるからサイクロンは兎も角、幽鬼うさぎは多分入れてないだろうけど。

 

 堕天使スペルビア

 効果モンスター

 星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400

このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、「堕天使スペルビア」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。その天使族モンスターを特殊召喚する。

 

アテナ

 効果モンスター

星7/光属性/天使族/攻2600/守 800

1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールド上に表側表示で存在する天使族モンスター1体を墓地へ送る事で、「アテナ」以外の自分の墓地に存在する天使族モンスター1体を選択して特殊召喚する。フィールド上に天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、相手ライフに600ポイントダメージを与える。

 

「・・・カードを3枚伏せてターンエンド。」

 

「俺のターン・・・地砕き、チェーンは?」

 

「・・・ない。」

 

 地砕き

 通常魔法

相手フィールドの守備力が一番高いモンスター1体を破壊する。

 

「ならそのラクエル破壊で。2体でダイレクト。」

 

「うぎゃあーーーーーーーーー!」

 

 TAIGA

 

  4000→0

 

 因みに伏せは戦車と激流葬と神宣だったそうだ。危ない危ない、てか怖い。

 

 回想終了。

 

 まあ、その後のことについて特筆することはないだろう。精々、凪流と俺とで心を折りにきたり、今日負けたからお前奢りな、と香澄からの死刑宣告が打たれたくらいだ。

 

 つか、初手で次元の裂け目とブラホ、ラクエルに激流葬に戦車に神宣が初手に来ている剣闘獣によく勝てたな俺。普通なら負けてるわ。羽根箒とかない限り。まあ、神宣と地砕きじゃあ釣り合わないよな。無効にしてもライフ2000失うし、どうあがいても負けか。

 

「まあ、頑張れ。今回はまあ残念だったが、次があるじゃないか。」

 

「お前、さっき『ねえねえ、どんな気持ちどんな気持ち?メタ貼りに来て3ターン目で負けてどんな気持ち?あんなドヤ顔しておいてこのざまかよ!許してくださいってかぁ?許してやるよぉ!』とか言ってた人とは思えない台詞だな!!」

 

「悔しいでしょうねぇ。」

 

「テメェ!!」

 

「つか、半分は俺じゃねぇじゃん。『ねえねえ、どんな気持ち?』のくだりは香澄だし、俺は配慮して安いのを頼んだぞ?そこまで言われる筋合いはない。」

 

「お前はな・・・。でもさぁ・・・。」

 

 その瞬間、店員さんがやってくる。手に持ったお盆にはそれなりにボリュームのある2つのパフェ。

 

「お待たせしました。抹茶のパフェとベリーのパフェでございます。他にご注文は?」

 

 いえ、大丈夫です。と凪流が答える。

 

「では、伝票失礼します。ごゆっくり。」

 

 店員が去って行ったあとに残されたのは一枚の紙(死刑宣告)。ここのパフェは中々にいい値段がするため、そこに書かれた金額はゆうに樋口さんを超えている。流石に諭吉さんまではいかないが。

 

「まあ、お前ならDPで払えるんじゃないか?ユースの公式戦でかなりDP増えたんだろう?」

 

「買いたいカードを諦めればな。そこまで必要ではなかったし、組み込んだら面白そう程度だったんだから別にいいんだが、それなりに痛いんだわ。」

 

 成程、確かに痛いな。

 

 因みにDPとは、ユースやジュニアユース、ジュニアなどの公式戦で勝ったときにこの町から支給されるポイントである。負ければ、相手の戦績やレートに見合った額が引かれ、勝てばもらえる。ユースは1回につき2000から3000が平均的な額になり、それを利用して、DPの使用できる店で買い物が出来るのだ。ユースの公式戦となると、それなりに見に来る人がいる。そういう人に対して、塾の宣伝やその他いろいろなところでメリットが生じるのだろう、詳しくは知らないが。因みにDPを現金で買うことは出来ても、その逆は出来ない。端末から端末へ移すこともできないので注意が必要だ。

 

 更に言うならプロにDPは支給されない。その代りに口座にギャラが振り込まれる。結構な額になったので、この前、家にお金を入れようとしたら父さんに怒られた、自分で使いなさいって。俺からしたら親孝行させてほしい。貰ってばかりだから。この前も今着ているコートと手袋も、この前のアメリカ大会でのベスト4入りのお祝いに貰ったものだ。柚子や遊矢、権ちゃんも一緒になって選んでくれたらしくとても嬉しかった。一生モノの宝物である。

 

「因みに何買うつもりだったんだ?」

 

「それは秘密。面白くないからな。」

 

「ケチ。マゾ。ホモ。」

 

「だれがホモだ腹黒。老け顔。」

 

「言ったな、人が気にしている事を言ったな?この年で大卒就活生に間違われるの気にしてんだぞ?!よろしいならば戦争だ!」

 

「上等だこの野郎!表出ろボッコボッコにしてやる!」

 

「やめなさいアンタら、店に迷惑でしょうが。」

 

 その言葉で渋々おとなしくなる俺たち。確かに大人げなかった。でも老け顔は許さない。なんでだろう、精神年齢に比例して老けてんのかな?確かに精神年齢だけなら前の世界合わせて24だけど。でも心は永遠の18歳。おっさんくさい?言うな。

 

「うるさいですよ?大牙、菊。せっかくの抹茶パフェが台無しです。」

 

 そう言いながら彼女は抹茶パフェのアイスを頬張り、満面の笑みになる。そして見られてることに気づいた凪流はこう言った。

 

「何ですか、あげませんよ。私の戦利品ですから。」

 

「いや、勝ったの俺なんだけど。」

 

「冗談です。食べますか?口をつけていてもよければ。」

 

「いや、いいよ。甘いものはいい。珈琲ゼリーなら貰うけどね。」

 

「カフェイン取り過ぎじゃないですか?いっつも飲んでるじゃないですか。アメリカに行く前にお腹下したの知ってるんですよ?胃が荒れてるじゃないですか。」

 

「大丈夫大丈夫。これでも制限してるんだから。」

 

 ならいいです、と彼女が笑う。

 

「まあ、たしかに菊は珈琲しか飲まないわよね。喰種か何か?」

 

「俺、さっきリゾット食ってたよね?喰種じゃねえわ。」

 

「それでもいつも飲んでるじゃない。この前なんか珈琲豆の焙煎機買ってたし。」

 

「珈琲好きなんだよ。甘いものにも合う、食後の口直しにもなる。何より美味しい。これ以上ないくらい完璧じゃないか。」

 

「だからって、もう3杯目だろ?それ。」

 

 うるさいなぁ。まあ、前に胃が荒れたから心配してるんだろうけど、やめない。なぜなら好きだから。

 

 まあ、こんな感じの何気ない会話がいつものことだったりする。友人たちとの何気ない会話。そんな中、1通のメールが届いた。父さんからか。

 

「へえ・・・。」

 

「どうしたんですか?」

 

「遊矢君、あと1戦でジュニアユース出場だって。」

 

「へぇ、嬉しそうだね。」

 

「まあね。」

 

 実際うれしい。弟の成長を見ているみたいで。前の世界では一人っ子だったけど。

 

「まあ、俺の弟や香澄の妹、凪流の弟はもうとっくに資格満たしてるけどな。」

 

「LDSコースの首席だって?凄いね。」

 

「あなたが言うと嫌味にしか聞こえませんよ?」

 

「だな。」

 

「そうね。」

 

 そうなのかな?とは思ったが、確かに自分の勝率や経歴を鑑みればそうなのかもしれない。だが、向こうも本気で言っているわけでは無いので軽く流す。

 

 だけど、俺はこの時、軽く流さずに食いついてでもいいから会話を続けるか自分で変えるべきだったと、のちに思うことになる。

 

「そういえばさ、知ってるか?いや、間違いなく菊は知らないだろうけどさ。」

 

「何がですか?」

 

「それってあれ?『LDS襲撃事件』」

 

 え、それってあれか、黒咲の事件。

 

 因みに黒咲とは、ARC-Ⅴの世界において、多くの名言(迷言)を残した偉人である。まだアニメの放送が終了してないにも関わらず、『瑠璃?瑠璃なのか。どうしてここに?!まさか、自力で脱出を?!(無言の腹パン)』や、『貴様らからは鉄の意志も鋼の強さも感じない』と言ってLDS3人組に対しワンターンスリィキルゥを叩きこんだ。彼の使うデッキ、『RR』の展開力は、OCGでも中々に侮れないカード群だと思う。まあ、RRカテゴリ出現当時の環境ではネクロスHEROクリフォートシャドール、更にその後にはプトレマイオスの出現によりテラナイトが頭角を現してきた為、中々に凄まじい環境だったためにほとんど大会での出番はなく、ファンテーマの域を出なかったが。ネクロスHEROクリフォートシャドールの環境は中々に魔境だった。まあ、現在の某ドラゴン族カテゴリや混沌を彷彿とさせる『魔術師』に比べればなんてことはないが。あれはもはやエンタメではなくファンサービス(隠語)である。もしくは満足。次の制限で慧眼が制限になりますように。あと、ドクロバットとペンデュラム・コール。サーチが3種類ある時点でストラク後の結果は見えていた。買わなかったけど。アロマージ好きだったし。

 

「そうそう、それ。なんでもやられたのは、あのマルコ先生なんだってさ。後は制服組の誰からしい。」

 

「あのって?」

 

「香澄の妹の恩師なんです。」

 

「へぇ。でも、それなら犯人はかなり強いんじゃない?制服組って確かプロ集団だろ?超エリートの。しかももう一人はLDS講師。LDSの講師ってことは元プロだろうし。」

 

「・・・。」

「・・・・・。」

「・・・・・・覚えて、ないんですか?」

 

「・・・え?」

 え、何この反応。俺、何かしたの?

 

「・・・大会優勝賞品だった、『ヘル・ブランブル』と『スプレンディッド・ローズ』。香澄に協力することになって、結果的にあなたが蹂躙した大会の決勝戦、その対戦相手です。」

 

「え?でもあれはシンクロモンスターじゃん。なんであの当時のプロが、それもあの子の恩師だったら融合軸だろ?」

 

「あの大会、優勝者にはパックが贈呈されたじゃないですか。それ狙いだったそうですよ?ねぇ、香澄。」

 

「ええ、後で本人から聞いたわ。若干おびえながら『あの子、LDSじゃないのかい?』って聞かれたときは、『ああ、またか』と思ったわね。因みに準優勝で無事、パックを入手して狙いのカードを当てたものの、次の日のプロ大会であなたの名前を見て辞退したそうよ?」

 

「因みに狙いのカードは?」

 

「砂の魔女だって。」

 

「なんでさ・・・。」

 

 謎である。ハンバーガーよりは優秀かもしれないが。因みにあの時使ったのは植物繋がりで『メタビアロマージ(ベルガモットもいるよ)』である。ライオウと1回休み、王宮の牢獄で特殊召喚を制限し、ジャスミンのドローとライオウ、ガナンガのパーミッション。そしてローズマリーで殴るだけの簡単なお仕事。たまにベルガモットとウリアがなぜか出る。ネタ枠である。先手で回せれば基本的に何もできないことが多かったりするので実際コワイ。

 

「その次の試合もあのデッキでしたね。死者蘇生もローンファイアもないのになぜあんなに強いのか・・・。」

 

「強いわけじゃないんだけどね。相手の妨害メインで戦ってるからそう思うだけで。」

「いや、十分強い。バーンじゃないだけマシだがな。」

 

「4000ライフは少ないよねぇ。チェーンバーンに。」

 

「あれは止めなさい、本当にやめなさい。」

 

 この中だけで3名にトラウマを出したチェーンバーン。皆も4000ライフでやってみよう。友達からのリアルダイレクトアタックを受けること間違いなしだ。要するに殴られる。

 

「それでLDS襲撃事件がどうかしたの?」

 

「・・・なんでも、モンスターがアクションデュエルでもないのに実体化したらしい。現場にはまるで大きな鉤爪でえぐったような跡があったらしい。」

 

「へぇ・・・面白いわね。」

 

「面白くありませんよ、人が行方不明になってるんですから。」

 

「へぇ、でもどうして急にそんな話を?」

 

「いや、この話、LDSの一部では有名なんだがそれ以外にはあまり出回ってないからな。お前らに注意するように言おうと思ったんだが・・・杞憂だよな、どう考えても。」

 

 ああ、そりゃあ、なあ。香澄はそこらのやからにやられるような奴でも、おとなしくしているような奴でもないし、凪流はなんだかんだでその辺は大丈夫だろう。デュエルに関しても、フルアーマー聖騎士や植物シンクロが負ける姿は中々に想像しがたい。あれ、1番心配なの俺じゃね?

 

「いや、それはないな。」

 

「ないわね。」

 

「ないです。」

 

 心を読んだ皆の信頼がやばい。泣いていいよね。

 

 そしてこの会話の後、お開きになり俺と大牙で香澄を送り、凪流はバイクで俺が送ることになったので大牙は先に帰った。

 

 そして、ここだ。ここで凪流が少し歩きましょうとさえ言わなければ、俺が無理にでもバイクで早く帰らせていれば。

 

 俺と凪流の会話を聞きつけたやつが、来ることはなかったかもしれない。

 

「貴様もLDSか?!」

 

 LDS絶対殺すマン、出現。

 

 この場に前の世界の友人がいればこう言っていただろう。

 

 『フラグ回収、乙。』と。

 

 

 




メタビアロマージで友人と対戦している時の友人の反応。

友人「俺そのデッキ嫌い!!なんもできねぇ!!」

俺はお前のクラブレライロが嫌いだよ・・・。

ちなみにウリアはサイドで入れて見ると面白いです。ADSではよく使います。

・・・魔術師は死ねばいいと思う。

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