空母ヲ級運用指南 ~蜃気楼の海~   作:mafork

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【前回までのあらすじ】

 バシー海峡での襲撃を生き延びた熊野だが、守った輸送船の積み荷は人類に友好的な深海棲艦という前代未聞のものだった。
 佐世保鎮守府に帰着した熊野は、その深海棲艦を含んだ計3隻の艦隊を編成し、鎮守府の別艦隊と演習、その戦闘力を立証せよという命令を突きつけられてしまう。




2-3.作戦会議

 

『提督ですか? はぁ、ご用件は――いえ、兵站課のものは全て会議に入っております』

 

『そのようなものは、在籍しておりません』

 

『秘書艦の那珂ちゃ――那珂です。申し訳ありませんっ、提督は、今、どうしても外せない会議が――え? ちょっと待ってください? はい、ずーっと会議ですっ』

 

 

 

「どう考えてもおかしい」

 

 沖田は鎮守府の電話スペースで、軍用電話のでかい受話器を置いた。

 

「準備が良すぎる」

 

 周りには、回流丸の船員が屯している。軍の施設の中で、そこだけツナギ姿がずらりと並ぶ異様な眺めとなっていたが、大規模作戦で人影がまばらなせいもあってか、見咎める者はいなかった。

 

「横須賀に連絡が取れない。船籍発効してくれたリンガにも。おまけに演習場の準備まで、しっかり明日。しかも丁度人払いされる時間帯」

 

 沖田はうろうろしながら、靴のつま先で床を突きまわした。

 

「バシー海峡で、我々の積み荷がばれたのが、四日前。これだけの準備、どう見積もっても時間的におかしいぞ」

 

「こりゃ、あれじゃないっすか」

 

 船員が煙草をふかしながら、呑気に言った。

 

「ずっと前から、ばれてたんじゃないっすかねぇ」

 

「そんな馬鹿な」

 

 沖田は言うが、知らず自分を慰めるような口調になっていた。

 別の船員が言う。

 

「赤松提督いうたら、地獄耳で有名ですよ。鎮守府には、鎮守府のネットワークがありますし。どこぞで僕らの噂でも聞いてたのかも」

 

「それで、目の前を通るのを待っていた、か? バシーで」

 

「そこまでは。ただまぁ、いつでも動ける準備くらいは、してたんじゃないですか?」

 

 沖田はバシー海峡でのやりとりを思い出した。

 赤松はその時、『空母クラスの深海棲艦』が海域にいたことを仄めかしていたが、今思うとそれからして怪しい。当時のスコールでは、深海棲艦の艦種まで断定できるほどの情報を、佐世保の艦娘が入手できるとは考えづらい。

 

(カマ、かけられてたのか)

 

 今の時代、鎮守府ほど情報が早い組織はない。無線を用いた通信は、深海棲艦の存在で大きな制約を受けているし、他方で有線の通信に必要な資材は、艦娘にも使う戦略資材なので、自然と軍の権限が大きくなる。

 海底敷設されたケーブルにも海軍の防衛ラインを設置しなければならない。このため、この点でも通信に関する軍の権限は大きい。

 通信インフラを押さえることによる、間接的な情報統制。これが深海棲艦の出現以降、一貫して軍、特に海軍が強みを持っている分野だった。

 そんなネットワークの中で、空母ヲ級を従えた輸送船の存在が、全く影も形もなくなる、というのは確かに希望的な観測だろう。

 だからこそ、色々と沖田も気を付けていたのだが。

 この結果を沖田の失点と見るか、赤松の方が一枚上手だったと見るかは、微妙なところだろう。

 

「リンガでも、けっこうゴタゴタはありましたからねぇ」

 

「あのドイツの子達、どうなるんでしょうね。護衛任務、解かれちゃってるけど」

 

「日本に着任予定なんだし、そのうちどっか行くんでしょ。日本語ペラペラだったぞ」

 

 船員の話が脱線しかけたので、沖田はパンパンと手を叩いた。

 

「あー、やめましょう。それより考えましょう。演習は、明日です。どうにかしなければ」

 

「どうにかって……」

 

 若い船員ほど胡乱げだ。

 

「提督はああ言ってますけどね。深海棲艦に艤装付けて、艦娘と殴り合いさせるなんて、非常識っすよ。呉じゃ、大規模な作戦やってるそうじゃないっすか。演習なんて、形だけでは?」

 

「いや」

 

 それを遮る声があった。

 壁にもたれている、大柄な女性、ハナだ。名目上は沖田の秘書だが、そうしていると他のどの船員よりも親方的な貫禄がある。

 

「赤松はやるよ」

 

 船員から視線が集まったので、沖田は首肯しておく。

 軽く頬を掻いて、口を開く。

 

「佐世保にいた頃、商売で世話になったこともあります。合理主義の塊みたいな軍人です。自分の目で見ない限り、どんなものも信じない」

 

「でも、自分の庭で、自分の部下を深海棲艦にぶつけます?」

 

 船員の話を、ハナが引き継いだ。

 

「必要であればね。部下も容赦なく切ることでも、有名ね。泣いて切られた馬謖の数は、一人や二人じゃないみたい」

 

 場に、やりきれない空気が漂った。

 やっとここまで運んできたのに、こんな仕打ちを受けるとは。誰も心はそんなところだろう。

 渦中のヲ級はというと、今は提督が指定した技術者と、回流丸の船員の立ち合いの元で演習弾頭の装着を試験されている。この場にいれば、いつもの落ち着き払った態度で、多少の清涼剤にはなっただろう。

 なんだかんだで、すっかり回流丸に馴染んでいるのだ。

 

「……考えましょう」

 

 沖田は言った。

 

「勝てる方法を。向こうにもプライドはある。どんな形であれ、勝利と名がつく形で戦いを終えれば、向こうもこちらの言い分に聞き耳を持つ。そう信じましょう」

 

 どんな形であれ、と沖田は繰り返した。

 勝利。

 今必要なのはそれだけだった。

 敗者の言葉が耳を傾けられることはない。勝つことでしか守れないものがあるのだ。

 

「ここで負ければ……」

 

 沖田が言い淀む。船員達が聞き耳を立てる。

 

「ヲ級のやつは佐世保が接収。最悪、そのまま実験台。つまり……」

 

「つまり?」

 

「あれだ……」

 

 空気が微妙な緊張をはらむ。

 

「横須賀から後金がもらえない! 創業以来の欠品になるぞ!」

 

 そっちかよ、と船員が漏らすが、沖田は気にしない。

 話題を変えるように、誰かが言った。

 

「しっかし、お嬢ちゃんには驚いたなぁ」

 

「提督に食って掛かったんだろ?」

 

 沖田は頷いた。

 

「うん。どーも、やっぱりよほどしっかりした人みたいですねぇ。高貴なる義務を地で行くというか。海軍でも珍しい」

 

「喋り方も、独特っすよねぇ」

 

「由緒ある感じの」

 

「艦娘やってるってことは、軍人の家系とかなんですかね?」

 

 さてねぇ、と沖田は答えを濁した。

 そこに、ふと艦娘が通りかかった。長い髪に、袴と胸当て。姿勢よく歩む姿は、彼女の周りだけ世界を一変させている。

 一同が思わず目で追ってしまうほど、美しい娘だった。

 だがその手には弓が握られている。

 艦娘に多少でも詳しいものなら、彼女の艦種に気づくはずだ。

 その遭遇は一瞬のことで、彼女は部外者に微かに注意を向けた後は、足取りもそのままに廊下の先へと歩き去っていった。

 

「……今の」

 

 しばらくたった後、船員の一人が漏らす。

 艦娘の情報は鎮守府が一手に握っているため、詳細が明らかになることはない。だがある程度戦果を挙げた艦娘などは、人づてに噂が広まることもある。

 今通りかかった艦娘は、まさにそんな一人だった。

 場には、小舟でクジラに遭遇してしまったかのような、やり場のない緊迫感が現れ始めている。

 彼女が残した鼻をくすぐる微香も、今や災厄の予兆でしかない。

 

「明日の演習で出てくる空母って、今のっすかね?」

 

「ははは、まさか」

 

 沖田の声は、乾いていた。

 

(た、頼みますよ、熊野さん……!)

 

 

     *

 

 

 日     時:8月7日13:24(明石標準時刻)

 作 戦 領 域:佐世保鎮守府 工廠

 コンディション:風南5、散在する積雲5、視程50、海上僅かにうねり

 

 

 くしゅん、と熊野はくしゃみを堪えた。

 幸いなことに、目の前の人物は作業に集中していて、熊野の粗相には気づいていないようである。

 

「派手にやりましたねぇ」

 

 熊野が工廠に艤装を持っていくと、担当の艦娘に苦笑された。

 工廠は鎮守府の建屋とは少し離れた場所にあり、地上3階立ての建屋には階層ぶち抜きの整備工廠があり、地下には様々な研究、実験設備が置かれている。

 熊野が訪れたのは、その地上部分、クレーンと旋盤、そして資材が密林のようにひしめく艤装整備の区画だった。機械油のすえた匂いが、湿気を帯びた夏の空気に交じっている。

 

「これ、少しお時間いただいちゃうかもしれないです」

 

 そう言って、工作艦『明石』は微笑を向けた。

 背が高く、桜色の髪を持っていて、勝気そうな顔立ちをした人だ。見ての通り職人肌な艦娘で、その台詞にもからりとした親しみがある。

 

「機関にもちょっと水が入ってますし……寿命が縮みますよ、これ。まぁ私はいっぱい弄れるからいいんですけど」

 

 明石は靴のような主機や、艦尾を模した機関をあちこち弄りながら言った。

 ここ数日の酷使を思い、自然と頭が下がる。

 

「お、恐れ入りますわ」

 

「いつまでに直せばいいですか?」

 

 明日の演習を考えると、熊野は無理なスケジュールを言わなければならなかった。

 

「遅くとも明日の朝一番には。もしできれば、今日中に」

 

 明石は頬を掻き、柱にかかった予定表を見つめた。

 

「うーん、できなくはないですけど……お急ぎですか?」

 

「ええ。実は明日、提督のご命令で、演習が組まれることになりましたの」

 

 明石は首を傾げた。

 

「演習? でも、第7戦隊は――」

 

 明石は、熊野が所属する戦隊名を口にした。最上型の艦娘が所属する戦隊だ。

 熊野の微妙な空気を察し、明石はそれ以上口にしようとはしなかった。

 

「すみません、変なこと言って」

 

「いえ」

 

「分かりました。明日の朝一番ですね!」

 

 空気を換えるように、明石はにっこりとほほ笑んだ。頬についた黒い油が、照明の光でてかっている。

 

「ところで、艤装の調子はどうでした? 航空巡洋艦に改造してから、けっこう経ちましたけど」

 

 熊野は、複雑な思いで首を振った。

 

「特には……」

 

 熊野は数か月前、航空巡洋艦への改装を受けていた。

 規定の練度を満たしたのと、戦隊の旗艦であったことが理由であったが、熊野自身の強くなりたいという希望もあった。だが重巡洋艦から航空巡洋艦への改造は、思ったほど甘くはなかった。

 

「そうですか」

 

 明石は問診する医者のように、感情を排して言ってくれた。

 

「艦種が変わるので、通常の改造とは違います。焦っちゃだめです」

 

「ええ」

 

「艦娘の艤装は、ただの機械じゃありません。古い艦の記憶が詰まった一種の擬似人格なんですから。嫌いになったら、艤装も力を出してくれなくなりますよ」

 

「うーん」

 

 熊野は口元をもにゃもにゃさせた。

 言いたいことは分かるのだが、戦っている身としては、イマイチ実感が沸かない。

 艦娘は人間の少女が、それまでの名前を捨て、艦の名を襲名することで誕生する。艤装にも独自の意思が込められており、同じ名前を背負うことで、その力を引き出すという理屈だ。

 

「車や、機械と同じです。どういう時にやる気を出すか、艤装にも『クセ』みたいなのがあるんですよ。どんなやつか、早く分かるといいですね」

 

 励ましてくれた明石に礼を言って、熊野は工廠を後にした。べたつく潮風と、容赦のない夏の日差しが襲い掛かってくる。

 どんなやつか分からない、その最たるものにこれから会いに行かなければならなかった。

 思考が不安の方に転がりそうなのを、慌てて諌める。

 

(しっかりなさい)

 

 愚痴で逆境は越えられない。

 最上型重巡洋艦4番艦、『熊野』。これしきで嘆いては名が廃るというものだ。

 理不尽であろうとも、命令は命令だ。

 

(勝利を)

 

 久しぶりのシンプルな目標に、熊野は静かに闘志を燃やした。

 

 

     *

 

 

 そもそも、演習とは。

 模擬的に艦娘同士が戦い、お互いの練度を高めるという訓練課程である。弾薬が模擬弾であることを除けば、内容はまさに実戦そのもので、艦娘達は座学や遠征の成績と同じくらいこの演習成績に拘る。

 このため、各鎮守府は、専用の『演習海域』というものを持っている。これは各鎮守府ごとに個性があって、例えば呉であれば瀬戸内海の小島が散在する地形、横須賀であれば無人の離島を挟んだ哨戒と艦隊決戦の向けの地形であった。

 他方、佐世保鎮守府の演習海域は、佐世保湾を出て2時間ほど航海した先の、全く何もない大海原のど真ん中だった。海域に障害物は何もなく、また広さも大体50キロ四方と鎮守府の中で最大である。そこは航空機の射程と索敵力が活かされる、空母対決向けの海域だった。

 時間が経過し、水平線に陽が沈む間際。

 熊野が艤装の点検と書類整理を終えて、港へやってくると、輸送船『回流丸』は翌朝にその佐世保の演習海域へ向かうための最終準備を行っていた。

 西日を浴びながら、熊野は回流丸へのタラップを上がる。手には資料室で集めてきた資料の袋を持っている。

 甲板では船員が積み荷のコンテナを下ろしたり、偽装用の煙突を解体していたりした。ちょっと角度を変えて覗き込むと、偽装用の煙突の中にはテレビのアンテナを巨大化したような受信機や、レドームが隠されていた。

 熊野は、バシー海峡の夜に、沖田達がヲ級を正確に指揮できた理由が分かった気がした。

 

(この船、何なんでしょう)

 

 思っていると、背後から声をかけられた。

 

「お嬢ちゃんかい」

 

 回流丸の船長だった。灰色のツナギを着ており、声を出すと大きな腹が揺れる。

 

「悪いな。今、社長はヲ級と換装作業中だ。先待っててくれや」

 

 そう言って、熊野を回流丸の会議室に案内した。

 回流丸の会議室は、10人ほどが入れるように大きな丸テーブルが置かれていた。電気をつけると、洒落た形の照明が机と赤絨毯を照らす。元は海軍が所有していた船だというし、かつては士官室か何かだったのだろう。

 先に待っている人はおらず、船長が退出すると、いるのは熊野だけ。

 嘆息し、熊野は手に持った紙袋から、海域の地図や資料を机の上に並べた。

 資料の付箋を貼ったページを開いて、海図とにらめっこをし、ああでもない、こうでもないと戦況をシミュレートする。人が揃うまでは、こうやっているつもりだった。

 手に持ったペンをくるくると回す。

 

「難しい、ですわね……」

 

 それでも彼女が1人で悩んでいるのは、今回の演習での作戦は、彼女が考える他にないからだ。沖田とヲ級は今も演習弾頭をヲ級に積み込むのに四苦八苦しているようだし、もう一人参加する不知火には、空母を含む艦隊での旗艦経験などない。

 本当は鎮守府の資料室でやりたかったが、目立つと困るのでここにしたのだ。

 

(いったん、原点に戻りましょう)

 

 熊野は気合を入れ直し、現状を整理した。

 『演習』――つまり模擬戦という性格上、演習には攻撃側と防衛側が存在する。

 熊野達は防衛側、相手側は攻撃側を割り振られた。

 泊地の襲撃や、前衛部隊の迎撃といったテーマが演習に付与されると、攻撃側と後衛側で作戦目標が異なるようになり、この区分けが意味を持ってくるのだが、今回の演習はそういう類ではない。

 3隻から成る、小規模な機動部隊同士のぶつかり合い。

 作戦目標は相手の殲滅。

 防衛側と攻撃側の区分けは、ここでは赤組、青組、程度のものだ。

 ではその編成だ。

 防衛側、つまり熊野達の編成は、まず重巡洋艦『熊野』、駆逐艦『不知火』、そして――航空母艦『空母ヲ級』だ。

 一方、攻撃側、つまり敵側の編成は、軽巡洋艦『川内』、駆逐艦『陽炎』が現時点で決まっている。川内が見せた笑みの理由は、きっとこれだろう。

 『かかってきたまえ』。

 そんなところか。これに航空母艦1隻が追加される予定だったが、具体的な艦名は不明のままだ。

 勝敗の決め方は色々あるが、基本的にはポイント制だ。敵を沈没に近づけるほど大きなポイントが入る。特に旗艦のポイント配分は大きく、旗艦を撃沈しているかどうかで勝敗が分かれるケースもままあった。

 

(旗艦を狙えば、指揮系統の混乱も狙える。実際の艦隊戦でも、旗艦の役割は大きい……)

 

 その旗艦だが、敵の旗艦は、間違いなくまだ見ぬ航空母艦だろう。

 こちら側は熊野が行う。不知火も無理、ヲ級もきっと無理、となれば消去法でそうなる。

 熊野は手に持ったペンで、ぺちぺちと頬を叩いた。

 次は戦力についてだ。一隻ずつ比較してみる。

 駆逐艦の陽炎と不知火は、ほぼ同等の実力だ。呉で精鋭第2水雷戦隊に所属していたこともある。敵にいると怖いが、こっちにもいるのでお互い様だ。

 重巡洋艦の熊野と、軽巡洋艦の川内だが、砲撃戦では熊野に分があり、雷撃戦では川内が有利だろう。練度としては互角――と思いたい。

 あとはヲ級と、敵の航空母艦の戦力次第だ。

 熊野は気が重くなってくるのを感じた。

 バシー海峡での戦いのとき、ヲ級が発艦に手間取り、頭の帽子をガンガンと叩いていたのを思い出したからだ。あれを見る限り、十分な練度とは言えそうにない。

 

(まぁ、さすがに提督も、あまり強い艦は出してこないと思いますけど)

 

 何せ、こっちはいきなり組まされた艦隊で、ろくに艦隊運動の練習もしていないのだ。

 

(でも、たとえ軽空母の胸をお借りしても……)

 

 ここに来る前、空母ヲ級について少ない資料を当たってみたが、艦の能力自体はどんな空母にも負けていないことがわかった。問題はむしろ、どうしても判断力や練度で後れを取ることだ。

 

(沖田さんが、航空戦を指揮してくれれば)

 

 ふと思ったが、すぐにその考えを頭から追い出した。

 バシー海峡での回流丸のように、艦娘に随伴する船舶が、艦隊に指示を出すのは珍しい話ではない。演習でも認められている。

 だが、彼はあくまでも素人だ。鎮守府の空母の指揮と、実力を比べるべきではない。

 ヲ級の艦娘への打撃力はある程度捨てて、制空権の確保のみに役割を絞る方がいいだろう。戦闘機の指揮は艦娘が操作する部分が少なく、爆撃や雷撃を行うのに比べ易しいと言われていた。深海棲艦もそうかは不明だが、あれもこれもと任せてしまうよりずっといい。

 それに、ヲ級が確実に制空権を取ってくれるなら、熊野の方にも策がある。

 

「……まぁ、これで恰好を付けましょう」

 

 安堵と疲労の入り混じった声で、熊野は呟いた。

 船旅の間に体の傷は癒え、艤装はすでに修理を受けているが、心労はまだ残っているらしい。ちょっと気が緩んだ隙にぼうっとしてしまう。

 だから、自分のすぐ傍に人がいるのに気が付かなかった。

 

「熊野さん」

 

 声をかけられ、熊野はびくりとしてしまった。

 見ると、すぐ傍に不知火が立って、熊野を見下ろしていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

 愛らしい顔つきだが、無表情。熊野は恥ずかしくなった。慌てて机の上を片し、ゴホンと咳払いをする。

 

「大丈夫ですわ」

 

「明日の作戦ですか。もう決められたのですか?」

 

 不知火も椅子を持ってきて、机の向かいに腰かけた。この時間に作戦会議をすることは、すでに約束してあった。

 

「ええ、もちろん……」

 

 言ってみたが、半分は強がりだった。重巡は駆逐艦を嚮導することもあるから、情けない姿は見せられない。

 

「やはり、航空戦が主体に?」

 

「そうなりますわ。最初はわたくしも艦載機を飛ばして索敵。ヲ級の敵艦への打撃力はある程度捨ててでも、制空権を落とさないようにした方がよいと思います」

 

「着弾観測射撃」

 

「そうです」

 

 付き合いが長いだけあって、不知火は熊野の意図を察しているようだった。

 

「ヲ級の艦載機運用能力は、鎮守府の正規空母と比べても、そん色のない水準。着弾観測射撃ができる程度の制空権は、確保できると思いますわ。敵もまた艦娘である以上、空母といえど砲撃戦の距離に入らないわけにもいかないはず」

 

 艦娘の攻撃は、かなりの部分で目視に頼っているため、空母であってもある程度までは標的に近づかなければならない。

 熊野の作戦は、そうして近づいた敵空母に、重巡洋艦の火力で手早く痛打を与えたいというものだった。もっとも、そんなことは相手も想定しているだろうが。

 不知火はじっと熊野の顔を見ていた。

 熊野は首を傾げた。

 

「どうかしまして?」

 

「いえ、お見事な作戦ですが……」

 

 不知火は珍しく言いよどんだ。その顔に不安が過ぎる。

 熊野は察した。彼女の不安は作戦ではなく、演習そのものに対してだろう。

 

「……そうですわね。深海棲艦と、演習なんて」

 

 不知火は無言だったが、目の動きで同意を示した。

 しばらくの間があって、不知火が尋ねる。

 

「熊野さんは、どう思いますか?」

 

「わたくし?」

 

「はい。不知火は、正直困惑しています」

 

 熊野もそれは同じだった。

 ただ不知火と違い、熊野は旗艦だから、あれこれと考えている暇がないというのもある。それに、ヲ級と何度か話していることもあるだろう。

 

「例の深海棲艦は、遠目に見た程度ですが……まだ信じられません。空母ヲ級に、友好的なものがいるなんて」

 

「そう、ですわね」

 

「演習をさせるということは、佐世保で戦力化を狙っているのでしょうか」

 

 不知火は、珍しく突っ込んだ言い方をした。それだけ現状が不可解ということだろう。

 熊野は肩を竦めるに留めた。

 

「不知火は……」

 

 不知火が言いかけたところで、沖田が部屋に入って来た。彼のスタイルなのだろう、今日もスラックスとシャツという、船にはそぐわないビジネスカジュアルだった。

 その後ろには、大柄な女性ハナと、空母ヲ級が続く。空母ヲ級はすでに体にぴったりと張り付く戦闘服を身に着けている。ただし、彼女の艤装である、あの大きな帽子は持っていない。さすがに鎮守府も警戒して、帽子だけは歩哨の監視下に置かれていた。

 ただそれでも、深海棲艦であるのは一目でわかる。

 不知火の顔に、緊張が走るのがわかった。

 ヲ級が部屋全体をぼうっと見回し、最初に熊野に気づき、軽く頭を下げる。

 次いで、不知火がいることに気が付き――かっと目を見開いて、てててと駆け寄った。

 

「かんむす!」

 

 ヲ級の白い腕が、不知火の方に伸ばされた。鉄面皮がいっそう固くなる。

 ヲ級はそれに構わず、不知火の頬や肩を無遠慮になで回した。

 困惑とぬるぬるした触感の気持ち悪さで、不知火の顔がみるみる引きつっていく。熊野もバシー海峡で艤装を装備したヲ級に触ったが、彼女は装備を付けると、魚のように全身にぬめりを纏うようだ。

 触られ心地は、さながら巨大なイカの触手である。

 

「おっさんかお前は!」

 

「ほら離れて! おさわり禁止!」

 

 沖田とハナが、かなり苦労してヲ級を不知火から引きはがした。

 沖田がヲ級を壁際に立たせて、ハナが必死に謝りながら不知火の顔を拭いている。

 不知火は今ので完全に毒気を抜かれたようで、驚き半分、困惑半分、といった面持ちで棒立ちしていた。

 

「えー、遅参失礼」

 

 気を取り直した沖田が、やがて言った。場には、何とも言えない空気が漂っているが、沖田が話すうちに引き締まって行った。

 

「鎮守府の皆さんにはご苦労おかけします。ただ、我々としても譲れない部分はございます。私事に巻き込んでしまい恐縮ですが、どうかこいつと戦っていただきたい」

 

 熊野は頷いた。

 不知火も曖昧に頷いた。

 

「作戦をご説明しますわ」

 

 熊野は立ち上がって、考えた作戦を説明した。机に広げたままの地図に、持ってきたカラフルな駒を配置していく。

 丸テーブルの海図を、艦娘2人と、深海棲艦と、輸送会社の社長が囲むという世にも奇妙な構図ができた。

 

「演習の設定は、本土近海にやってきた機動部隊を、同じく機動部隊で迎撃するというもの。わたくしたちは海域の南から演習を開始、逆に、向こうは北から開始します。お互いの詳細な位置は伏せられておりますので、最初は索敵機を飛ばして敵の位置を把握することになりますわ」

 

 言いながら、熊野は指を一本立てた。

 

「天気予報では、明日は曇り」

 

「厄介ですね」

 

 沖田が言った。熊野も同意する。

 

「ええ。曇天で、海面に浮かぶ艦娘を探すのは結構な骨ですわ。通常の艦船と違って、私たちは海の上では豆粒のようなものですから」

 

 だからこそ深海棲艦は見つけづらく、ゲリラ的な跳梁を許すことになっているのだが。

 

「不躾かもしれませんけれど……彼女に、索敵の心得はありまして?」

 

 沖田は肩をすくめた。

 

「ええ。長旅での哨戒は、こいつの役目でしたから」

 

 ヲ級も、こくりと頷く。

 

「めは いい」

 

「けっこう。では、索敵後ですが、恐らくは一度は空襲があると思います。それを抜けて、砲撃戦に移行。わたくしと不知火が主に敵と撃ちあうことになりますが、ここで制空権が維持できていれば、着弾観測を十分に行い、敵艦隊に痛打を入れる機会があります」

 

 沖田が頷いた。

 

「戦闘機を多めに入れろ、ということですね?」

 

 ヲ級の指揮をしてきたからか、彼の察しはよかった。

 そこで、不知火が手を上げる。

 

「不知火に質問が」

 

「どうぞ」

 

「陣形はどうしますか? そのお話だと、その……ヲ級は一番後ろになるかと思いますが」

 

 熊野は、不知火の心配を察した。

 艦隊は、3隻以下だと一列(単縦陣)になって進むが、この時速度や進行方向などは各艦が先頭に合わせなければならない。でなければ、列からはみ出して射線を遮ったり、酷いときには衝突したりする。

 不知火は、最後尾のヲ級が自分に追突することを心配しているのだ。

 

「ぶつからないぞ」

 

 と、これはヲ級。不知火はじとっとした目でヲ級を見返すが、この目つきは彼女の生まれつきのものだけではないだろう。

 さっきべたべたにされたばかりだ。

 沖田がフォローした。

 

「深海棲艦も、艦隊を組んでいるでしょう。元からある程度できます」

 

 熊野も、そこは同意しておいた。

 

「……まぁ、単横なら難しいでしょうけど。単縦陣であれば、わたくしもなんとかなると思いますわ」

 

「そうですか」

 

 不知火もそれ以上突っ込んではこなかった。

 当たり前だが、心の距離を感じる。

 沖田がばつが悪そうに頬を掻いた。

 

「あー、ただ、体を動かす分には問題ないのですが、指揮連絡のやりとりは、ご注意を。聞いての通り、まだ日本語の会話が不慣れで」

 

「まぁ。最低限、方位と、艦種と機種が言えれば……」

 

「どうだ?」

 

 沖田が、ヲ級に問いかけた。

 青白い肌の少女が、ちょっと首を傾げて思案する。

 

「だいじょぶ たぶん」

 

「……北は?」

 

「0-0-0」

 

 沖田がテストすると、ヲ級は淀みなく応じた。

 

「南」

 

「1-8-0」

 

 大丈夫そうである。これができないと話にならないので、熊野は一先ず安堵した。

 その後、熊野達は作戦の詳細を詰めた。

 ヲ級は爆撃機を20機だけ積み込み、残りの約60機に戦闘機と索敵機を積むことにした。爆撃機を予定より多くしたのは、ヲ級の爆撃機が頑丈で、運動性もそこそこで、爆弾を捨てれば対空戦も可能という判断からだ。

 深海棲艦の爆撃機の性能は、熊野の知識とも一致していたので受け入れた。

 また、沖田は不知火に可能な限り被弾しないようにという注文を付けた。ヲ級の艦載機の収納が不安定なため、ヲ級が退避する間の遅滞戦闘、及び煙幕の展開に駆逐艦が必要であるらしい。不知火はそれを認めた。

 気づくと2時間があっという間に過ぎていた。

 

「社長」

 

 長い間黙っていた、大柄な女性ハナが言った。

 

「そろそろ、ヲ級の艦載機の給油が終わります。様子を見に行くべきかと」

 

「給油か」

 

 沖田が、ふと気づいた声を出した。

 窓の外を見ると、すっかり暗くなっていた。

 

「そう言えば、リンガで小耳に挟んだのですが、最近、航空機燃料が高いようですね」

 

「……初耳ですわね」

 

 熊野は聞いたことがない話だった。不知火も怪訝そうにしている。

 

「高オクタン価の燃料が、スマトラで精製された後の輸送が滞りがちらしいです。この間のバシー海峡でも、一隻タンカーがやられてましたし」

 

 輸送会社のネットワークがあるらしく、沖田はそんな情報を話した。

 気になる話ではあったが、演習との関連性が見えない。

 不知火が促す。

 

「それが、何かあるのですか?」

 

「明日の演習では旧型の艦載機が出てくるかもしれません。これも噂なのですが、確か新鋭機には高品質の燃料が必要なのでしょう? 一時期は練習機の油にも事欠いたとか」

 

 確かに、その通りだった。

 烈風や紫電といった新鋭機には、発動機の関係で高品質の燃料が要る。艦娘や艦載機のサイズは、実際の艦船に比べて小型だが、給油の際に特別な精製をかけるので、実際に必要とされる燃料は意外と多い。

 そのため輸送にはタンカーが必須だし、各鎮守府は慢性的な資源不足に悩まされることになる。

 

「なるほど。期待のしすぎは危険ですけれど、覚えておきますわ」

 

 熊野は作戦を総括した。

 

「では、作戦はお伝えした通りということで。序盤は索敵と航空攻撃からの防御に専念。その後、着弾観測の下で砲雷撃戦を行い、敵の艦船を攻撃。敵の航空攻撃の第二波を受けた段階で、追撃か撤退の判断をします。索敵と、砲撃と、撤退、3段階に分けた作戦ですわ」

 

「最優先の標的は、敵の旗艦で構いませんね?」

 

 沖田の言葉に、熊野が応えた。

 

「もちろんです」

 

 なにせ旗艦撃沈が、一番ポイントが高いのだ。

 作戦会議は以上だった。

 それぞれが目線を交わしあい、言い残したことがないことを確認する。

 そこで声を出すものがいた

 

「あ」

 

 ヲ級だった。沈黙の中に響いた自分の声が、予想以上に大きかったようで、数瞬目をしばたかせた。

 

「しゃちょう」

 

「どうした」

 

「まけると どうなる」

 

 沖田が苦笑した。

 

「言っただろう。演習、練習だ。死にはしないし、怪我もしない」

 

 ヲ級は首を振った

 

「その あと」

 

 沖田が笑みを消した。ヲ級はその後を続けない。いつもの無表情だが、少し上目づかいで、青の瞳は深い海のように色濃く見えた。

 沖田は言った。

 

「君は殺される可能性がある」

 

 熊野も不知火も凍り付いた。そこまではっきり言わなくてもいいだろうに。

 ヲ級はあっさり頷いた。

 

「そうか」

 

「あっさりだね」

 

「らくご」

 

「うん?」

 

「してた いつも」

 

 沖田はしばらく首を傾げ、笑った。

 

「『覚悟』じゃないか?」

 

「それ!」

 

 熊野は気を引き締めた。見ると、不知火もヲ級を見る目から、幾らか警戒や戸惑いを消していた。

 深海棲艦は敵だ。

 だがこの空母に関しては、変なやつだが、悪いやつじゃない、と思う。

 敵意もないし、毒気もない。そのくせ妙に達観しているというか――人に頼らない、高貴なところがあるようにも感じた。

 

「かてば かいぐん」

 

「『官軍』」

 

「ほう」

 

「……まぁ。頼りにさせていただきますわ」

 

 熊野は苦笑を隠すように、そっと指先を唇に当てた。

 沖田が頬を掻いて言う。

 

「それでは、準備に入りましょうか。熊野さん、後で編成表を渡してください。明日の9時までに、提督に旗艦と随伴艦の申告をする手はずになってます」

 

 そこで、会議室のドアが乱暴に開いた。紙を持った船員が、転がるように入って来る。

 

「社長! 敵の編成が決まりました!」

 

 書類には、『編成の件』と達筆で表題が書かれ、同じような筆跡で、『1番艦 陽炎』、『2番艦 川内』と続いている。赤松提督の字だった。

 

(3番艦……空母は誰?)

 

「見せてっ」

 

 熊野は身を乗り出して、船員から紙をひったくるようにしてテーブルへ置いた。

 三番艦は――。

 体が硬直した。

 

「え」

 

「え」

 

 不知火と熊野の声が重なる。

 沖田が瞠目し、眼精疲労にかかったように目を覆った。

 ヲ級が紙にぐっと顔を近づけ、首を傾げる。

 

「かで、くる?」

 

「そんな字じゃないだろ」

 

 沖田がため息とともに言う。

 演習開始は明日の朝一番。

 『宜敷お願い致します』。赤松提督の闊達な筆跡が、編成表の末尾に踊っていた。

 

 

     *

 

 

 沖田はその日の夜、もう一度、鎮守府の資料室を訪れた。

 沖田達は便宜上、貴重な物資をもって鎮守府に係留している商人となっており、待遇は客人である。輸入物の酒などを渡して(税関は通してある)仲良くなった兵士に、資料室に案内してもらった。

 歴史ある鎮守府だけあって、資料室も下手な図書館より大きい。

 沖田がその中で探すのは、軍規や隊則を記した書物だった。

 沖田は該当する書架を見つけ、一番新しいものを探し出す。

 目次を開く。

 『演習』に関する細則の項。最終更新は、4年前となっていた。

 彼の顔に、安堵の笑みが浮かぶ。

 一応本文にも目を通してから、沖田は本を閉じた。

 

「変わっていないな」

 

 漏れた息には、窮地を救われた者の安堵が確かに込められていた。

 

 

 

「うーん」

 

 熊野も、沖田と同じく資料室にいた。

 しかし巨大な資料室の反対側にいるので、彼が気づくことはない。

 彼女も気づかないだろう。彼女は眠る間際の、最後の集中力をかき集めて、深海棲艦に関する文献を読んでいた。

 『艦娘と深海棲艦は、コインの表と裏のような関係であり、海に沈んだ記憶の負の部分が濾されたものが深海棲艦で、正の部分が濾されたものが艦娘である、という見方が主流である』

 『しかし、実は艦娘と深海棲艦の大きな違いは、むしろ自我の有無に起因しているようにも見える』

 『艦娘には固有の名前があり、それを人間が襲名することで、艦の記憶を取り込み、艦娘の力が発現する。人間の体はハードウェアであり、艦の記憶や力はソフトウェアにあたる』

 『対して、深海棲艦はその無機質さや冷徹さをとっても、自我はなく、ありようは嵐や津波といった災害に近い』

 『もし自分が何者かを名乗れる深海棲艦がいた場合、そこには艦娘に対するものと同様に、理解や話し合いが存在できるかもしれない』

 名前か、と熊野は小さく呟き、本を閉じた。

 

 

 

「すぃ、らぬい?」

 

「不知火です」

 

 2人と離れて、空母ヲ級は回流丸の甲板にいた。そこには、赤松提督が見張りとして配した駆逐艦『不知火』もいる。作戦会議の後、そのまま見張りに入った格好だ。

 ヲ級は普段着にしている安物のワンピースに着替えており、艦娘を伴って甲板に出る許可は出されている。

 何度言っても名前を間違えるヲ級に、少女は当初の気味の悪さも忘れ、ため息を吐き出した。陽炎、早く来てください。そんな声が聞こえそうな顔つきだ。

 夜空にぽっかり浮かんだ夏の月が、そんな彼女らを照らしている。

 

 

 

 夜が更けていく。

 時間が月を押しのけて、やがて太陽を昇らせる。

 そして朝になった。

 

 

 




次回はようやく二度目の戦闘シーンです。
嫁艦を書くのはテンションが上がりますね。


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