空母ヲ級運用指南 ~蜃気楼の海~   作:mafork

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【あらすじ】

 東シナ海に生まれた深海棲艦の大群は、翔鶴らによって追い詰められた。
 だが敵の本隊は、一度建設した拠点を捨て、石垣島に向かって南下を開始。
 熊野達は石垣島近海の司令船、そして輸送船回流丸を守るため、敵本体の迎撃に出撃する。
 その中には、人類に友好的な深海棲艦、空母ヲ級『サラ』の姿もあった。
 一方、台湾の南端『馬公泊地』は、思惑をついに実行に移す。

 東シナ海を巡る海戦で、最後に笑うのは誰か――。

(描写がスッカスカだったので、少し改稿 8/7)




5-3.夜戦

 日     時:8月16日01:25(明石標準時刻)

 作 戦 領 域:石垣島 北方20海里地点

 コンディション:風南2、積雲1、視程93、海上凪

 

 

 月が出ている。海は凪いでいる。

 だがそれは嵐の前の静けさだ。何らかの予感を孕んだ海の鼓動を、月光がなんとか押さえつけているようにも見える。

 そんな海面を白波で割きながら、熊野達は北西へ針路を取った。

 敵艦隊の進撃経路を遮るためだ。

 

「熊野」

 

 熊野達は4隻で、単縦陣で進んでいる。先頭は青葉、続いて川内、熊野、最後に空母ヲ級――今の呼び名でいうところの、『サラ』という順番だ。

 旗艦の川内は、すぐ後ろの熊野を振り返って続けた。

 

「ちょっといいかな? 旗艦を、熊野に移譲したいんだけど」

 

 熊野は眉をひそめた。指揮権の話など、本来は出撃前にやっておくべきことだ。

 

「あら。なぜですの?」

 

 川内は前を向き直り、少し笑った。

 

「しぶとそうだからね。さっき、私は青葉と熊野を離しちゃったけど、熊野は青葉離さなかったし」

 

「別に気にしてないんですけどー」

 

 青葉から、見損なうなという声が来る。

 熊野もそう思ったが、川内の言葉には続きがあった。

 

「それにさ」

 

 その時、月の光の中で、何かが空を通過した。

 川内の夜間偵察機だ。

 偵察機は川内の周囲を旋回し、操縦者の妖精が川内に何事か告げている。彼女の笑みが深まった。

 

「やっぱりだ」

 

 佐世保鎮守府の秘書艦。艤装の改装をすでに二度経験し、数々の駆逐隊を率い、提督からの信頼も篤い彼女は、熊野達では感じ得ない何かを察していたようだった。

 

「15海里先で、砲撃戦を確認」

 

「砲撃戦?」

 

「艦娘が2隻いるみたい。多分――」

 

 第1艦隊にいた、陽炎と不知火かもしれなかった。第1艦隊の旗艦『翔鶴』は司令船が危険と判断、足の速い駆逐艦を敵本隊の足止めに向けたのだ。

 

「でも、敵の拠点はずっと先ですよ?」

 

 青葉が疑問を口にした。

 確認した戦闘位置は、翔鶴らが今まさに戦っている泊地化した海域からは離れた位置だ。

 

「敵の本隊が、泊地を離れたからかもしれない」

 

 川内がそう分析した。海域の長がいなくなったため、一部の深海棲艦が、拠点を離れて不規則な行動を取り出しているのかもしれない。

 鎮守府の近海に現れるような『はぐれ』の深海棲艦が出現した、ということだろう。

 

「サラ」

 

 慣れない呼び方に戸惑いながらも、熊野は空母ヲ級――『サラ』にも確認した。

 

「あなたの偵察機は?」

 

「おなじ。まえに、てき」

 

 最後尾のサラが応える。艦隊は速力を上げた。

 確かに、だんだんと砲撃の音が近くなる。

 戦闘の緊張感で肌がぴりぴりし始めた。

 

「第二戦速」

 

 熊野は艦隊に増速の指示を出した。

 当然、無線は封止。抜き足、差し足で近寄るようなものだ。

 耳元では夜風が鳴っている。砲声はさらに近づき、おぼろげな響きから、空気の揺れそのものになる。一つの波を蹴り破るたびに、体は揺れ、ややもすると跳ね上がりそうになる。

 川内が、言い聞かせるように言った。

 

「この海域にいるのは、空母だけじゃないみたい。なら、水雷屋の私は前衛に特化した方がいい。ヲ級――っと、サラの指揮をやったことがある熊野の方が、全体の指揮を執るべき」

 

「なるほど」

 

 納得した熊野に、川内はさらに付け加えた。

 

「それにさ、もっと。もっと言うと――」

 

 彼方で、光る何かが打ち上げられた。照明弾だ。

 艦隊は時速30ノット近くで前進している。おぼろげ光は徐徐に閃光に近づき、砲撃の炎がはっきりと視認できるまでになった。

 やはり誰かが、深海棲艦と撃ち合っているのだ。

 砲撃音は、駆逐艦娘がよく使う連装砲そのものだ。

 川内が待ちきれずに叫んだ。

 

「今は夜! つまり」

 

 熊野と青葉は、あ、と察した。

 川内が海面を蹴る。オレンジの服と、白のマフラーが、ふわりと満月の中に浮く。

 

「夜戦は!」

 

 右足から着水、加速。

 

「軽巡の!」

 

 左足が着水。両足の靴のスクリューが、唸りをあげて水を掻いた。

 

「華なのよ!!」

 

 白波の幕を生み出しながら、川内が交戦海域に突っ込んだ。まるで意思を持った魚雷だ。

 探照灯が照射される。照らし出された先には、深海棲艦の重巡洋艦、リ級がいた。

 そいつは丁度、川内とは別方向に照準していたところだった。

 人間に近い、でも青白いシルエット。それが突如現れた光によろめく。

 周囲にいた深海棲艦も気づいた。鯱のような駆逐艦が慌てて川内へ砲を向ける。

 だが川内は、あっという間に敵の船列を突破していた。敵にしてみれば、真後ろへ回り込まれたようなものだ。

 川内が、スケート選手のように体を傾けて回頭する。そのスピードは、駆逐艦や重巡洋艦の、砲塔の旋回速度に勝っていた。

 

《魚雷!》

 

 距離が空いたので、川内の声は隊内電話に切り替わっていた。ノイズ交じりの無線機から、魚雷準備完了のブザーが鳴り響く。

 

《てぇ!》

 

 直後、巨大な爆炎が吹き上がり、重巡洋艦はその中に消えた。

 熊野達は、呆気にとられていた。とんでもない早業だが、敵の隊列を突き抜けるなど、無茶もいいところである。

 

《なに!?》

 

《じゅ、重巡が消えました》

 

 無線には、困惑する少女の声が乗ってくる。距離が近づいたため、彼女達の隊内電話の会話も拾えるようになってきたのだろう。

 音質はよくないが、おそらくはやはり駆逐艦『陽炎』と『不知火』であろう。

 矢継ぎ早に川内の報告が来た。

 

《敵艦残り5! 編成、駆逐2、軽巡2、重巡1!》

 

 川内が大きく回頭し、陽炎と不知火に水しぶきで援軍の到着を告げる。

 熊野は息を整えた。

 隊が2つに分かれた形となる。すなわち、川内と陽炎、不知火からなる前衛の水雷戦隊。そして、熊野、青葉、サラからなる後衛。興味深いことに、あつらえたように艦隊の基本人数である6名が揃っていた。

 まるで、これで決着を付けろというように。

 前衛3、後衛3、つまりは複縦陣である。

 熊野は声を張り上げた。

 

「こちら、艦隊旗艦――」

 

 熊野は、一瞬言いよどんだ。自分が旗艦をした時の、最悪の失敗を思い出しかけたからだ。

 だが、すぐに思い直す。

 任務を果たし、仲間と共に生還する。その決意が胸を熱く焦がしていた。

 それは覚悟だとか、自信だとか、そういった確固たるものではない。もっと自然で、緩やかで、けれども力強い衝動だった。

 熊野は、自分の中のギアを引き揚げる。

 

 鈴谷、あなたはここにはいないけれど。

 あなたがいなくとも、あなたに胸を張れるように、やってみます。

 

「――艦隊旗艦、熊野! これより、駆逐艦『陽炎』、『不知火』を編入、艦隊の指揮を執ります!」

 

 了解の応答が、無線機から次々と来た。熊野は次の指示を出す。

 

「水雷戦隊!」

 

《はい!》

 

「同航戦を維持! そのまま続行、敵の針路に照明弾を!」

 

《了解しました!》

 

 陽炎の元気な声が来る。さすがに熟練の駆逐艦で、急な状況の変化にも対応できていた。

 

「サラ」

 

 熊野は、サラに呼びかけた。

 

「わたくしたちと、敵を追撃します。恐らくこれは敵本隊の、別働隊。空母を伴った部隊が、今も司令船『日笠』を目指しているはず」

 

「わかった」

 

「沖田さん?」

 

 熊野は無線封止を解いて、遥か後方の沖田に呼びかけた。

 どうせ熊野達の位置は、水雷戦隊との接触で敵の空母へ通報されている。

 

《了解――した》

 

 沖田の声が来る。かなり音質がざらついていた。

 回流丸は司令船『日笠』に随伴して、いつでもサラへ指示が出せるように準備をしていたのだ。

 だが、これからはそうもいかない。

 サラは熊野達と一緒に、敵の本命とぶつかるのだ。支援艦隊に入るのとはわけが違う。

 深海棲艦の電波妨害もあるだろうし、ずっと交信を続けていては『日笠』と同じように回流丸もいずれ標的になってしまう危険がある。

 ここからは、サラは艦隊の指揮だけを当てにして、1人でやらなければならない。

 沖田が熊野に頭を下げたのは、きっとこういうことだろう。

 

「じゃあね、しゃちょ」

 

 サラが言った。

 沖田の通信が来る。

 

《いいか、ぜったい死ぬなよ。着艦場所間違えるなよ? 君ときたらウチの甲板に艦載機でヘッドスライディング決めたこともあるんだからな。燃料にも気を付けろ。君の中には、わざわざ回流丸から一番いいのを積んである。それはできれば重たい雷撃機に積むと》

 

 社長もういいっすか、と無線の向こうで声がする。

 なげーよ、とか、心配性すぎるだろ、とかそういった突っ込みをされている。青葉が苦笑し、熊野も言った。

 

「沖田さん」

 

《なんです》

 

「あの、そろそろ」

 

「しゃちょー」

 

《なんだ》

 

 サラは、少し言いづらそうに溜めてから、言った。

 

「ちょ、ちょっと、かほご」

 

 過保護。

 沖田に不意打ちが綺麗に決まったらしかった。

 無線機が沈黙する。その先で、船員達の爆笑が聞こえた。

 

《か、かほご》

 

 青葉が吹き出す。熊野も続きそうになったが、慌てて気を引き締めた。

 敵が熊野達にも注意を向けつつあった。

 敵の駆逐艦が反転、迎撃に移らねば。

 

「沖田さん。難しいかもしれませんけれど、わたくし達を信用してくださいませんこと?」

 

 無線機の奥で、ちょっと間があった。

 商船と海軍の間には、無数のわだかまりがある。

 失言だったかも、と熊野は心配になった。

 だが返答は意外なものだった。

 

《信じております》

 

 熊野は思った。

 やはり、彼には何らかの変化があったのだろう。

 それは些細な変化かもしれなかった。しかし、海軍と一隻の輸送船の間を、きっとサラが取り持ったのだ。

 熊野は、拳をぎゅっと握った。

 無線の向こうで、「伝えますか」、「いや、いい」といったようなやりとりがなされていたが、もう通信に割ける余裕はなかった。

 交信終了、戦闘開始。

 熊野達は駆逐艦に砲を向けた。

 その横目で、熊野はサラの目に青い光が燃え上がるのを確認した。

 

 

     *

 

 

 サラは意識を集中させた。

 すでに放った艦載機。それが飛んだ軌跡を追って、意識の触手を伸ばす。

 夏の海を越えて、高度を上げて、雲を抜けて。

 そう、そこだ。

 次にサラが目を開けると、そこが雷撃機のコクピットだった。

 満点の星と、煌々とした月が簡素な計器を照らしている。

 円形の枠の中を、上下に青と茶で塗り分けた垂直情報指示器は、その色の境界を丁度枠の真ん中に持っていた。機体は水平飛行している。

 その他のメーターも、小刻みに針を動かし、正常に動作していた。

 サラは操縦桿を操作、過給機の動作を確認、ペダルを踏んで機体を左周りに下降させる。夜の海は暗く、まるで黒い壁のように立ちはだかっている。

 だが、ある時そこに光が生まれた。

 照明弾だ。

 駆逐艦陽炎、不知火、ないしは川内から放たれた光の玉は、敵艦隊の進行方向に落とされた。薄暗い夜空に、敵の姿が影絵のように投影される。

 

《サラ》

 

 熊野の声が来た。

 航空官制の大部分は読み通りサラの独力でなんとかなりそうだったが、熊野も念のため戦況を教えてくれることになっていた。熊野自身も、少し前に翔鶴から航空管制の手ほどきを受けたらしい。

 

《まずは、小手調べに。雷撃機で、敵艦隊を攻撃して》

 

 サラは高度をさらに落とす。

 それに率いられ、4機編隊の列機も同様に高度を落としていく。

 いきなり大編隊を組むのは戦術的にも、サラの負担的にもよくないので、今回飛ばしたのはこの4機だけであった。

 黒い海は、まるで奈落のように機体のすぐ下に控えていた。外洋の波は、さながらその穴へ手招きする巨大な手のようだ。

 艦載機の恐怖が伝わる。

 

(こわがらないで)

 

 念じながら、操縦桿を通して艦載機の心を支配する。雷撃機は、高度を下げなければならないのだ。

 やがて、夜の海に沈み込んでしまうかと思うくらいの、低高度に達する。

 敵はまだこちらに気づいていない。川内達に気を取られている。

 散発的に撃ち出される照明弾は、狙うべき敵の影を夜闇から切り出してくれている。

 大まかな距離、そして移動速度から針路を少し修正する。

 また、雷撃のセオリーとして、サラは少しだけ高度を上げる。隊長機は列機より少し上を飛び、敵の距離認識を幻惑するのだ。

 やがて、雷撃位置に到達した。

 距離よし、針路よし、機体もしっかり水平だ。

 

「とうか」

 

 言うと、列機も魚雷を投下した。

 余裕を持って離脱している間に、笛のような落下音が響く。それはやがて着水音に変わった。

 サラは機体をバンクさせ、海面を観察する。

 雷跡が、進んでいく。

 月明かりに照らされる白い線が、敵艦隊の未来位置へと突き進む。

 

「やりぶすま」

 

 戦果は、確認するまでもなかった。

 

 

     *

 

 

 日     時:8月16日01:45(明石標準時刻)

 作 戦 領 域:琉球諸島 最西部 沖の北岩 南西80海里

 コンディション:風南2、積雲2、視程95、海上凪

 

 

 司令船『国崎』から命令が飛んできたのは、僚艦の『天津風』が敵の回頭を告げた頃だった。

 

《対空戦闘用意!》

 

 駆逐艦『綾波』は、確かに司令船からその無線を聞いた。

 明るい夜だった。

 水平線はいまだにぼんやりと見えているし、雲の白さもちゃんとわかる。だが敵にとっては好都合だろう。

 

(対空戦闘?)

 

 綾波が腕に持った連装砲や、高角砲の動作を確認する。海水に濡れた砲身が、月光で青白く照り輝いていた。

 彼女は、司令船の直援を担う駆逐艦娘だった。

 その第一の任務は司令船を守ることなのだが、今は少し状況が変わっている。

 僚艦の天津風が移動する敵の本隊を見つけていたのだ。夜闇に紛れて、天津風は辛抱強く敵の艦隊を追跡しその動向を司令船へ伝えていた。

 綾波の今の任務は、劣悪な電波状況の中で、艦娘の力を用いて天津風からの通信を中継し続けることだった。

 

《もう無理! もう無理!》

 

 無線から、天津風の泣き笑いが聞こえる。

 敵も一秒でも時間が惜しいのか、敵艦隊は遠方にいるだけの天津風を半ば無視して進んでいた。どこかで命令を無視して遊弋している、『はぐれ』の深海棲艦にでも対処を任せたいらしい。だがついに痺れを切らしたのか、空母が艦載機を発艦した。天津風は戦艦に砲撃さえされたらしい。

 

《撤退、撤退するわ!》

 

 天津風の声が、無線から聞こえる。だが、奇妙にも思った。

 天津風からの音声はかなりクリアで、艦載機に群がられている様子はない。

 これに先ほどの、司令船の対空戦闘用意の警報を加えて考えると――。

 

(敵が、こっちに?)

 

 綾波は緊張する。月明かりを頼りに、敵が来るであろう水平線を見つめる。

 彼女はセーラー服を着た、頬のふっくらとした愛らしい少女だ。だが、その時の綾波は口元を引きつらせ、恐怖と緊張を全身にみなぎらせていた。

 やがて、その耳が虫の羽音を捉える。

 水平線の少し上、月の光を浴びるようにして無数の敵がやってくる。

 海の上では、身を隠す場所がない。

 生き残るためには、あれを撃ち落さなくては。

 

《撃て!》

 

 司令船の言葉に、綾波は対空戦闘を開始した。

 だが艦娘一人の高角砲など、この数には何の効果もない。ほとんどの敵は駆逐艦娘など素通りし、司令船『国崎』に向かった。

 その姿は、巨大な哺乳類にたかろうとする蠅の群れを連想させた。

 深海棲艦は習性として艦娘を優先して狙うが、知能のある個体が事前に目標を指示していれば、この限りではないのだ。

 しかし、『国崎』も無防備ではない。

 『国崎』のあちこちから猛烈な勢いで煙が吹き上がった。そして無数の光弾が夜空に打ちあがり、敵艦載機の鼻先で閃光と轟音を打ち鳴らす。

 深海棲艦の艦載機に、艦娘を介さない攻撃は効果的ではない。

 そのため、このような無数の幻惑効果で、敵の攻撃が不発に終わる確率を上げるのだ。

 複数の艦載機が海に突っ込んだり、投弾タイミングを誤ったりした。それでもその半分、少なくとも何十機かは国崎に殺到した。

 無造作に放り込まれる爆弾に、海を走る魚雷。悲鳴があがり、司令部の怒鳴り声がする。

 

《綾波何やってる!》

 

(うわーん……)

 

 叱責が来るが、それは無茶というものだ。司令船に駆逐艦娘が残るのは、対潜哨戒のためという意味が強い。

 しかし、今の状況はまずい。

 このまま第2、第3波を受けたら、さすがに被害で足も遅くなるだろう。

 追いつかれて、中の司令部ごと狩られてしまう。

 

《綾波ィ! 方位0-6-5に駆逐艦! 偵察かもしれん、距離20海里!》

 

 心なしか、バンバンと机を叩いている音まで聞こえた。

 

「うわーん!」

 

 綾波は遅滞戦闘のため、その方向へ向けて主機をいっぱいにした。

 耳には、天津風の悲鳴がまだ続いている。陽炎と不知火に鍛えられているのだから、あと30分は平気かな、と綾波は勝手に勘定をしていたが。それでも司令船がこうして空襲を受けた以上、彼女も遠からず戻ってこざるを得ないだろう。

 敵は、とりあえずうっとうしい駆逐艦を引っぺがす目的は達したということだ。

 だがふと、無線機が微かな信号を捕らえる。

 周波数を調整すると、それはモールス信号だと分かった。司令船が、劣悪な電波状況の中でも通じる信号を、どこか遠くへ向けて発信しているのだ。

 

(この状況で……?)

 

 敵に司令船の位置を露呈するリスクを冒してまで、なにを送信しているのだろう。この空襲は、無線で敵を呼び寄せてしまったのが原因ではないか、とさえ綾波は邪推した。

 

「『国崎』、遠距離用の無線は危険と思われますが……」

 

《なに、無線?》

 

 司令船から、まるで覚えがないような声が来た。

 まさか、勝手に誰かが無線機を弄っているわけでもないだろうが。

 いずれにせよ、よほど大事な通信があったに違いない。

 綾波は勝手にそう結論付けて、天津風と合流するため、そして近づいてくる敵を叩くため、舵を切った。

 

 

     *

 

 

 敵艦隊を葬った熊野達は、再び単縦陣へ移行していた。

 

「陽炎、不知火。貴方達の状況を報告して」

 

 先頭を進む熊野は、不知火と陽炎にそう声をかける。2人はそれぞれ傷を負っていたが、元気に応えた。

 

「北方の諸島内から、敵本隊の足止めのために派遣されました。損害は小破、魚雷と、連装砲の残弾が少し心もとないです」

 

「不知火?」

 

「不知火も、同じく」

 

 熊野は考えた。

 

「最後に、敵本体の位置が報告されたのは――」

 

 これには、青葉が答えた。

 

「ここより、80キロ北方の地点ですね。そこで、駆逐艦の天津風も、追跡を断念してます」

 

「天津風……褒めてやんなきゃね」

 

 川内が頷いている。

 頭に叩き込んだ海図を思い出す。

 敵本隊の位置が報告されたのは、すでに一時間近く前だから、すでにその位置情報はあてにならないと言っていいだろう。直前の位置情報と、その他の情報を組み合わせて、敵艦隊の位置を推察しなければならない。

 この戦いは、台湾と、石垣島、そしてその北方の諸島を結んだ三角形の中で起こっている。敵の第1目標は、間違いなく石垣島にいる司令船の『日笠』だ。

 敵はその目標を変更していないと考えていいだろう。先ほど別の司令船『国崎』からの無線を聞いた限りでは、『国崎』は第1次攻撃を受けて以降、これといった襲撃を受けていないらしい。石垣島が目標だからこそ、『国崎』に拘泥せず、攻撃を続けなかったのだ。

 敵が無差別な破壊を始めるのは、通商破壊という本願が完全に打ち砕かれた後だろう。

 

「青葉」

 

「はい」

 

「対空電探は?」

 

「不発ですねぇ」

 

 熊野は人差し指を口に当てた。

 青葉の対空電探も、先ほどから不発のままだ。敵の艦載機が高空を飛ぶようなことがあれば、対空電探で捕まえられるのだが。艦娘の電探は発信点が低いため、電波が地球の丸みで阻害されやすく、低空の索敵がとにかく不得手なのだ。

 

(でも、これだけ動きがないのは……)

 

 熊野は、一つの仮説を立ててみた。

 敵が、敢えて艦載機の使用を控えているというのはどうだろう。

 敵の空母ヲ級は、その気になればすぐにでも全ての艦載機を動員して、司令船を攻撃することも、ずっと追跡していた天津風を引きはがすこともできたのだ。

 

(艦載機を、温存?)

 

 艦載機の消耗を嫌うのは、恐らく翔鶴が諸島の待ち伏せを抜けて、日の出とともに戻ってくるのを警戒しているからか。

 

(いえ、それだけじゃない)

 

 熊野は、艦隊の最後尾を進むサラを見た。

 彼女は真っ直ぐ前を見て、確かな意思で進んでいる。

 彼女の存在を、敵の空母ヲ級が意識しているとしたらどうだろう。夜間攻撃が可能なもの同士、サラを沈めないことには、敵も全ての艦載機を放つのはリスクが高すぎると見ているのではないだろうか。

 熊野達が、先ほど敵艦隊と一戦を交えたことで、敵の本隊も石垣島から迎撃の艦娘が出てきたのを察しているだろう。

 そして、敵が艦娘側の動きを警戒している可能性を考慮すると、敵が取りうる選択肢が一つ増える。

 

(どこかで、待ち伏せをしている?)

 

 敵は襲撃から、索敵しているこちらを待ちかまえることにしたのかもしれない。

 熊野はその考えに傾いた。

 

「陽炎、不知火。ソナーで、海中を探査。巡洋艦は、索敵機を――」

 

「あ」

 

 ふと、青葉が言った。

 艦隊は未だに高速で航行している。耳をなでる風音に、青葉の声が乗る。

 

「偵察機が、電波を捉えました」

 

「電波? 電探ですの?」

 

「かもしれませんが、なんか周波数が……無線じゃないし、近距離用? にしては、中途半端ですねぇ」

 

 続きを引き継いだのは、サラだった。

 

「ゆうどうでんぱ、かも」

 

 サラの声は、緊張のためか僅かに上ずっていた。

 陽炎が訊く。

 

「誘導、電波?」

 

「そう たぶんまいごになった かんさいきがいる」

 

「敵の、誘導電波ってこと?」

 

「そう わたしもできるから わかる」

 

 夜間の艦載機の着艦は困難を極める。夜間偵察機を出すのとはわけが違う。移動する敵を追尾して、その間も自機の位置を間違いなく観測し続けなければならない。でなければ、戻るときの航路計算を間違える。そして戻る先の空母も移動するのだ。

 目視が制限される上、空母も移動するためある意味では名人芸的な要素も求められるという。

 熊野は現在の時刻を確認した。

 『国崎』が襲撃報告をしてから、すでに1時間は経っている。確かに空母なら相当な距離を移動できてしまう。

 もっとも夜間ということを考えなければ、空母を見失うことなど考えられない距離ではあったが――。

 

「私たちに気づいて、艦載機の収容を焦ったのかもね」

 

 川内からの具申。それも一理あった。

 熊野は艦隊を電波の方向に向かわせた。針路を20度東へ傾け、主機の回転は維持する。

 やがて夜闇の中に、金色の光が見えた。

 青葉の逆探が、敵の電探の電波を探知する。今度こそ間違いなく、水上艦索敵用の電探だった。人類の敵の視線が、今間違いなく熊野達に注がれていた。

 さらに注視すると、金色の光の中で、空母ヲ級が艦載機の着艦作業に追われていた。夜で、敵が近くにいるというのに船灯を煌々と灯し、周囲の艦載機を帽子の口の中に呼び込んでいる。

 まるでスズメバチの巣だ。

 

「着艦作業中だ」

 

 近づきながら、川内が言う。陽炎が具申した。

 

「止まってる。すぐやりましょう」

 

「待って!」

 

 言いながら、熊野は主機の速度を緩めた。

 陽炎が言いたいことも分かる。すごく、よく分かる。発艦作業中の空母は無防備だ。殴るなら、今しかない。

 敵の空母ヲ級は、金色の相貌でこちらをじっと見つめている。

 『お前たちの敵はここだ。さぁ、撃ってこい』。

 そう言っているようにすら感じる。

 だが違和感もあった。これほどの標的が一人でいるはずもない。

 

「陽炎、不知火。ソナーで海中を探して」

 

 熊野は2人に指示を出した。

 

「潜望鏡は、見えないですけどね」

 

 青葉が周囲を見回しながら言った。熊野も、足の速い空母に潜水艦が随伴する可能性の低さは感じていた。

 だが、相手が深海棲艦である限り、潜んでいるのが潜水艦だけとも限らない。

 

「あ」

 

 不知火が言った。

 熊野は肌が粟立つのを感じた。

 

「ソナーに、反応あり。潜水艦じゃありません。これは……」

 

 空母のすぐ近くで、海がはじけた。紫色の光が生まれ、中から黒いセーラー服の少女が姿を見せる。

 駆逐棲姫だ。

 その周囲には、軽巡と駆逐艦が混成の水雷部隊。そして1体だけだが戦艦ル級もいた。

 このまま空母に向けて直行していれば、潜んでいた駆逐棲姫らから魚雷の槍衾に遭っただろう。急速で進めば、その分転舵は難しい。

 

「駆逐棲姫……」

 

 熊野は呟いた。

 鈴谷をやられた相手。そして、バシー海峡で自分を一度沈めた相手。

 戦意が猛然と燃焼し、熊野の中にかつてない熱を生んだ。まるで、自分そのものの中にタービンが埋め込まれたかのようだ。

 艤装の記憶が流れ込んでくる。

 敵の空母と、水雷戦隊。

 艤装は、この組み合わせの敵に痛い目を見た記憶を持っていた。

 

「熊野さん」

 

 青葉が、心配げに言った。

 熊野は先頭にいるため、顔を見られる心配はない。それが救いだった。

 

「サラ、急いで艦載機の発艦を。敵の空母から、こちらを守って」

 

 最低限の指示を出し、熊野は叫んだ。

 

「砲雷撃戦用意!」

 

 駆逐棲姫と熊野のスタートは、奇しくも同時だった。

 

 

     *

 

 

 日     時:8月16日02:15(台湾現地時刻)

 作 戦 領 域:馬公泊地

 コンディション:  ―

 

 

 無線機とデスクだけが置かれた、薄暗い部屋だ。

 男は、最後のカードを、海軍が通常使用する無線機で切ることにした。

 

《瑞鶴です》

 

「馬公泊地より、瑞鶴へ。佐世保鎮守府の同志から、敵艦隊の比較的正確な位置情報が来た。速やかに、出撃を」

 

《馬公泊地、艦載機による攻撃は艦娘の目視がなければ効果的とは言えません》

 

「それでも、十分に価値がある。至近の入電によれば、その海域で君の姉の翔鶴が窮地に陥っているらしい」

 

《翔鶴姉が!?》

 

 反応があった。やはり、艦娘にとって姉妹艦は特別なものだ。

 

「そう。幸い、ウチには備蓄があったから、君の艦載機には十分な燃料が積まれている。現地に艦載機が到着さえすれば、翔鶴の零戦隊が指揮を代行するだろう」

 

 うまくいけば、だが。

 男の望みはむしろその逆で、瑞鶴の艦載機が先に空母ヲ級を見つけ出し、敵と判断、撃沈することだった。

 佐世保鎮守府は、ありとあらゆる泊地に、すでに鹵獲した空母ヲ級をこの海戦に投入していることを告げている。予め鹵獲の情報を公表していたのは、この裁量の伏線とするつもりだったのだろう。

 佐世保の赤松。

 本土の提督は、やはり食えない連中ばかりだ。

 だがあくまで提督間の間でのみ交わされたやりとりなので、瑞鶴は、まだその事実を知らない。

 

《あの》

 

 無線の先で、微かに戸惑う雰囲気があった。

 聡い娘だ、と男は不快に思う。

 

《佐世保鎮守府は、このことを?》

 

「当然、知っている」

 

 彼は嘘を吐いた。

 それに感づいたわけではないだろうが、瑞鶴の声はさっきよりも苛立っていた。

 

《ですが、指示が曖昧すぎます。途中までは地文航法で行けますが、海に出てからは明確な目標の指示が必要です。数時間前に発見された目標に、500キロは離れたここからアウトレンジしろというのですか?》

 

「それを索敵するのが、艦載機の役目ではないのかね」

 

 少し、間があった。

 

《……分かりました》

 

 諦観に似た色があった。

 艦娘は命令に逆らえない。特に空母艦娘である彼女は、その能力に期待され、無茶な命令をされることにも慣れっこなのだろう。

 

「特に注意すべき目標は、空母ヲ級だ。最優先だ」

 

《数は?》

 

「2隻。一隻は、君と翔鶴が取り逃した空母ヲ級と思われる」

 

《MI作戦の、直前の?》

 

「そうだ。君らはそれを、絶対に逃がすべきではなかった(、、、、、、、、、、、、、、)と思うがね。オワリ」

 通信は終わった。

 話していた男が独り言をつぶやく。

 

「あの空母ヲ級の魂だけは、絶対に手に入れる」

 

 男はそうしながらも、しきりに時計を気にしていた。あの深海棲艦が激しい戦いの中でどれだけの間持つのか、確証がないために不安なのだ。

 

(あの空母ヲ級は、人間に近づいている)

 

 鎮守府の同志からの情報で、そこまでは掴んでいた。

 だが、深海棲艦は人間、つまり艦娘とは根本的にあり方が異なる。

 艦娘も深海棲艦も、海に沈んだ艦船や人間の思いを原動力にしているのは同じだ。この海を支配している力学では、海に沈んだ思念は、重油や石炭のようにエネルギーに換えられる存在だ。

 だからこそ、思いを燃焼させる側の個性が問題となる。

 

 深海棲艦に自我はなく、個性もない。

 個性がない深海棲艦は、いわばどんな思いも受け入れ可能ということだ。色がないからこそ、どんな色にも調和する。そこにあるエネルギーを貪欲に摂取し、嵐や津波のように破壊をまき散らす。

 一方で、艦娘は違う。

 当たり前だが、人には個性がある。それが背負う思いもまた、特定の艦のものだけが集められ、魂と呼べるほどの個性を獲得している。だからこそ、艤装とうまくやっていける艦娘と、そうでない艦娘が分かれるのだ。

 

 艦娘の艤装開発者として、艦娘と深海棲艦の、マシンとしての性質の違いに言及するならば。

 艦娘と深海棲艦の存在は、高価な実験機と、前線向けの量産品との関係によく似ている。

 深海棲艦は、前線向けの量産品だ。

 海に沈んだどんな思いでも原動力にできるという点は、いわば粗末なオイルや、得体の知れない燃料でも動く、大量生産品に似ている。それは多種多様な派生と、コピー品にも耐えうる。

 一方で、艦娘は違う。

 それ専用にあつらえた、艦の魂という燃料を与えられる。そしてそれを背負える特殊な娘が現れた時にだけ、正常に動作する。専用の燃料と、専用のパーツが与えられた、一種のワンオフ機だった。

 艦娘『熊野』なら、艦としての重巡洋艦『熊野』の思いしか、力にできない。艦娘『不知火』なら、艦としての駆逐艦『不知火』の思いしか、力にできない。そういうハンデを、艦娘本人という触媒で補完しているとも言えた。

 今を生きる少女の意思が、思いの燃焼にさらなる指向性を与えるのだ。

 

(あの空母ヲ級は、今や明確な名前を手に入れている)

 

 空母『サラトガ』を示す、『サラ』という名前。

 深海棲艦が、怨念に命じられるまま彷徨い続ける存在だとすれば、彼女は明らかな異端者だった。

 すでに自分が何者であるか、そしてそのルーツを知っている。

 遠くへ遊びに行っていた子供が、ふと我を取り戻すように。

 海が飲み込んだ有象無象の思いなど、もはや拾い上げることはできないだろう。

 いわば、燃料の取り込み口に蓋をされたようなものだ。

 一時的な強化くらいはするかもしれない。

 だが、いずれ、確実に限界は来る。

 

「思ったより、持たんかもしれんな」

 

 暗い部屋で、馬公泊地の男はそう呟いた。

 彼は佐世保鎮守府にこの事実を明かして、彼女の出撃を辞めさせる案を、もう一度吟味した。だが、それをしたところで、馬公が身柄を押さえられる保証もない。

 その中の魂を、可及的速やかに手に入れるためには、今回の方法は乱暴だが成功の期待値は高かった。

 佐世保の赤松提督の動きがもう少し遅ければ、違った展開もあり得たのだが、今となっては栓のない話だった。

 

(しかし、艦娘は)

 

 もっとも、その限られた燃料でも、艦娘は深海棲艦と互角に戦っている。それは艦の魂と、艦娘の意思がしっかりと噛み合い、核連鎖反応のように指数関数的な力の増加を生み出すからだ。

 だから、あのサラにおいても、艦の魂と完全に同調すれば、あるいは――

 

(まさか、佐世保の赤松提督は、それを狙って)

 

 深海棲艦を実戦に投入することで、試金石と、その覚醒を兼ねている。

 

(いや)

 

 男は首を振った。

 まず、あり得ない話だ。

 艦娘でさえ、艤装とうまくやっていくのに苦労しているのだ。

 あの空母ヲ級とよく関わった熊野にしても、僚艦の損傷を切っ掛けに、艤装の力を全く引き出せていなかったと聞いている。

 男には、もはや空母ヲ級の撃沈報告だけが楽しみだった。

 サラトガの艤装の制作は終わっている。どの国に着任させるのか、お偉方の采配が楽しみだ。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

登場艦船紹介

 

 翔鶴型航空母艦2番艦『瑞鶴』

 

 

 全長:258メートル 水線幅:26メートル

 排水量:32,105トン(満載時)

 速力:34ノット

 乗員:1,660名

 

 兵装:常用機72機

    補用機12機

    40口径12.7cm連装高角砲8基

    25mm3連装機銃12基

 

 

    1939年進水。

    真珠湾攻撃から参加し、ミッドウェー以降の戦線を支え続けた歴戦の空母。

    翔鶴と共に、かつての海軍の主力であり続けた。

    珊瑚海海戦、南太平洋海戦と敵機動部隊と幾度も砲火を交え、

    少なくない空母を撃沈、又は撤退に追いやった。

    第二次ソロモン海戦では、サラトガに航空隊を出撃させている。

    しかしマリアナ沖海戦の以降の戦況の悪化に伴い、

    最終的にはエンガノ岬沖で囮として運用された。

    この戦いを最後に、真珠湾攻撃に参加した空母は全て撃沈されたこととなり、

    海軍の機動部隊はその歴史に幕を閉じることとなる。

 

    なお、艦娘としての彼女もまた、翔鶴と同等の実力を持つ猛者である模様。

    姉からの手紙の多さが最近の悩み。

 

 




次回で、本編は最終話でございます。
その後はエピローグとか幕間劇とか。

ところで、書いている途中に「断固として」と書くところを「ダンケとして」と誤変換する一幕があったのですが、これはドイツ艦のケジメ案件ではないでしょうか。


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