デイダラに成り代わったようですが生きていける気がしません。   作:龍田

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ビッグロックは犠牲になったのだ

突然だが、ここは演習場。

そして目の前には五メートル程の高さがある岩。

 

「デイダラ、教えた通りにやってみて」

「はい!」

 

ガリさんに説明された通り拳を岩にくっ付ける。ここからはひたすらに集中だ。もし失敗したら岩ではなく自分の腕を爆発させてしまう可能性があるからである。拳にチャクラを集めるイメージをする。大丈夫だ、ゆっくりでいい。成功することだけを考えろ。そう自分に言い聞かせる。

 

「くっ…」

 

どうやら集中しすぎて拳にチャクラを込めすぎたようだ。手が痛い。確かこう言うときはチャクラを一度戻した方がいいとガリさんは言っていた。一度チャクラを込めるのを止めて、またチャクラを込める。

 

…長い時間が経った気がする。いや、もしかしたら一、二分しか経っていないかもしれない。とにかく、拳に集めたチャクラはもう充分だろう。一気にチャクラを外に放出するようにイメージする。そう、まさに爆発するような。

 

「はっ!」

 

ボンッ!!

 

岩の内側から爆発が起きる。岩は大きな音をたてて崩れたが、まだまだデイちゃん特製起爆粘土よりも爆発の威力は小さい。もっと大きめの爆発だったら素晴らしい芸術と言えるだろう。

 

「…凄いな。たったの一日でここまで出来るとは…天才という噂は本当だったのか…」

「ガリさん。次の指示は…?うん」

「!あ、あぁ…すまない。じゃあ次は中くらいの十メートルの岩を壊してみてくれ」

「はい。…ってデカ!」

 

その岩にさっきと同じように拳を当て、爆発させる。しかし、岩には小さな亀裂しか入らなかった。なにこれ硬い。

その後、何回も何回も爆発させたのだが、本当に小さい一ミリくらいの亀裂しかこいつは受け入れないようだ。そうかそうか、そこまで美しい芸術になりたくないというのか。ならばお前を芸術に変えるまでニックネームで呼んでやろうこの『ビッグロック』め!そのまんまだけどお前にはお似合いだコノヤロー!うおー覚悟しろー!

 

・・・

 

ガリさんが爆遁の修業をつけてくれる様になって二週間。

私の爆遁は実戦でも充分活躍出来るほどになっていた。今までずっと苦戦していたあのビッグロックも簡単に壊せるようになったのだ。その次に現れた野生のビッグロック2もビッグロック3も全部「必殺…火竜の鉄拳!」で一瞬の美へと変わっていった。実に美しい。お前はいい奴だったよ。

 

「…もう二週間か」

「早いですねー…うん」

 

座っているガリさんが時間ってはえー!的な事を言って水筒の水を飲む。私もちょうど休憩中だったので、隣に座って一緒に水を飲む。うまし。

 

「天……ちゃ…!」

「うん?」

 

何だかとっても聞き覚えのある声が聴こえて咄嗟に後ろを振り返る。

…あれ?気のせい?

 

「?どうしたんだいデイダラ」

「いや…やっぱ気のせ…」

「天使ちゃーん!」

「ごめん気のせいじゃ無かった。うん」

 

今度ははっきり聴こえたお母さんの声。いつの間に帰ってきていたんだろう。帰ってくるんなら娘に一通の手紙くらい送ってくれ。

 

「天使ちゃん、元気だった?粘土食べちゃったりしてない?」

「してないよ!?うん!」

 

お母さんが抱きつきながら絶対に私がしなさそうな事を聞いてくる。その後ろからひょっこり現れるお父さん。久し振りのガリさんとの再会であまり笑わないお父さんが微笑んでいる。笑わないのにあの手紙のテンション…なにこのギャップ。

そのままお母さんに抱きつかれていると、お父さんとガリさんが近づいてきた。あ、こう見ると似てるわこの二人。お父さんの髪形はサイヤ人じゃないけどね!

 

「デイダラ、兄さんに聞いたんだが…もう爆遁を完璧に使いこなせるって本当か?」

「…完璧にって程じゃ無いだろうけど…まぁ少しは、うん」

「ちょっと父さんに見せてくれないか?」

「え」

「あ!それ私も見たいわ。天使ちゃん、お願いできる?」

「え」

 

もう私は何も言うまい。そんなにニコニコな笑顔で言われて断れる訳がないだろう?くそう何て卑怯な…。とにかくコクりと頷いてからビッグロックの前に立つ。すまないビッグロック、私の為に犠牲になってくれ。私の拳が岩に触れる。その瞬間、凄まじい爆発と共にビッグロックは芸術となった。お前の事は忘れない。

 

「凄いじゃないかデイダラ。流石俺達の子だ」

 

そう言って頭を撫でてくるお父さん。やはり兄弟か。ガリさんの撫で方と全く同じと言っていいほど似てやがる。

 

「天使ちゃん凄いわ!かっこよかったわよ~」

「ちょっとお母さん…いきなり抱きつくのは止めて?うん」

 

え~、とお母さんは言っているが、けっこうキツイんです。分かってくださいお願いします。そんな光景を見てガリさんは何を思ったのか、

 

「…俺も早く結婚しないと」

「ガリさん!?」

 

真面目な顔でそう呟いていた。

 




今までガリさんはあまり好きじゃ無かったのに、書いていくにつれて好きになりました。今では鬼鮫と同じくらい好きです。勿論オリキャラ達も大好きです。特にユリさん。

《作者の好きなキャラランキング》
一位:デイダラ
二位:うちはイタチ ←ユリさんここ
三位:干柿鬼鮫 ←ガリさん,イワキさんここ
四位:飛段
五位:うちはシスイ ←ドロマ先生ここ

私がNARUTOの中で好きなキャラは全員あの世へ旅立っていってしまいました。
…あ、飛段生きてんのかな。何か腐ってそうですよね。

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