デイダラに成り代わったようですが生きていける気がしません。 作:龍田
…すいませんやっぱ無しで。
黒ツチ達と勉強会をしてから一週間。
言っていた通り宿題は全て終わらせた。アカデミーの子供達にとって、最低最悪最大の敵『宿題』を無事に倒すことが出来たのだ。今の私は喜びという感情に入り浸っている。
例えるのならば、FFやドラクエをクリアした時のあの感動に似ている。とにかく嬉しい限りだ。これで夏休みは存分に遊べるだろう。勿論、修業も欠かさないが。
自分の部屋でゆっくり寝ていると、窓にリュックを背負った鷹がとまる。確かこの鳥はお父さんが連絡に使っている口寄せ動物だったはずだ。名前は…なんだっけ、三日月だったか。由来は額に三日月形の模様があるから、らしい。何とも単純な名前の付け方だ。
「キー!」
「あぁ、ごめんごめん。すぐ取るから少し待ってくれ…うん」
三日月がナルトスなどで犠牲になった何処かの鷹のように鳴く。
リュックの中身を確認すると、少し分厚い封筒が一つ。それを取ると三日月は仕事が終わったと言うばかりにすぐ飛びさってしまった。
勉強机の椅子にドカッと座る。お父さんとお母さんは大丈夫だろうか。もう十日は任務に行ったままで、怪我してないか心配である。…医療忍者であるお母さんがいるので心配無いと思うが、やはり大事な人を心配してしまうのは人間の特徴と言えるだろう。
「はてさて、何が入っているのやら…うん」
ハサミで封筒の上の部分を切り、中身を机にぶちまける。少々荒いとは自分でも思うが、この方が手っ取り早いのだ。綺麗に取り出す時間があったら他の事に時間を活かせと私は思う。
でだ、入っていたのは一通の手紙と大量のお金。多分お金は生活費に使えという意味だろう。半分は食費で後の半分は粘土を買おうそうしよう。お金と共に入っていた手紙を見てみると、このような事が書かれていた。
『デイダラへ
元気にしているか?俺は…自分で言うことではないが、母さんと一緒に任務で活躍しているぞ。
ご飯はちゃんと食べているか?お前の事だから、きっと新しい粘土を買ってばかりだろうな。リビングにはお前の作品がまた増えているんだろう。楽しみだ。
…さて、本題に入るぞ。実は、八日に俺の兄、ガリが九年ぶりに家に帰ってくるんだ。兄さんはすごい爆遁使いでな。次はいつ帰ってくるか分からないから、色々と修業をつけてもらうといい。兄さんにこの事はもう頼んでるから後はよろしく。
父さん達はあと二週間後くらいに帰るぞ!
イワキ・ユリより』
「ふぅ…」
読みおわって、何故かため息が無意識に出てきた。二人が帰ってきたら聞きたい事がたくさんある。兄がいるとか今まで知らなかったぞ、父よ。そしてそれを何故教えてくれなかったんだ、母や。
とにかく、手紙には八日にガリさんが来ると書いてある。そして今日は七日。明日じゃねぇか。
「…忍具一式とか揃えた方がいいのか?…うん」
幸せ気分だったというのに、一瞬にして不安に押し潰されそうになってしまった。
・・・
コンコン
八日の朝早くにノックの音が響く。私はまだ寝ていたので部屋は静かだ。そのせいでいつもよりノックの音がよく聴こえる。
コンコン
「はいはーい…」
のそのそと自分の体温でほのかに温かくなった布団から出る。夏といっても朝は少し肌寒い。ハンガーにかけてある黄緑色のパーカーを羽織る。ノックしているのは恐らく、昨日手紙に書いてあったガリさんだと思う。にしても、ちと早すぎやしないか?時計ではまだ午前五時なのだが。なかなかの睡眠妨害である。
コンコン
「今開けますよ!…うん」
ガチャリ、と玄関の扉を開ける。そこには、170cmはあるであろう、黒髪ツンツンの男の人が立っていた。…地味に某ヘタレ王子の髪型に似ている。
「…お、君がデイダラか?」
「…そうだけど。誰だアンタ、うん」
ガリ?さんが膝を折って私と目線を合わせる。何だか子供扱い(実際子供だ)されているみたいで少しきつい言い方になってしまったが、ガリ?さんは優しく答えてくれた。
「あぁ…すまないね。俺はガリ、君のお父さんイワキの兄だ。手紙に書いてなかったか?」
「…あなたがガリさんでしたか」
「俺は君に修業をつけてほしいとイワキに頼まれてね。暫く住み込みで居させてもらうから、よろしく」
「は?え、うん!?」
そう言うなり、ずかずかと家の中に入っていくガリさん。
ちょ、部屋まだ汚いんですがそれでいいんですか?というかお父さん、住み込みとかどう言うことだ。
帰ってきたら問い詰めなければ、ともう一度決心するデイダラであった。
ガリさんキターー(゜∀゜)ーー!!
というか初の1800字突破。いつまでたっても文字数が安定しない。頑張らなければ(使命感)
3/28 スカスカとのご指摘を頂きましたので、一話から六話まで書き方を変えさせていただきました。評価・感想、お待ちしています。