今日も目立たず地味に日銭を稼ぐ   作:商売繁盛

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第16話

 

仕事を休んで、情報収集に1日を費やした日の…、翌日、翌朝、早朝。

 

宿の一室で、目を覚ました男。フレン……。

 

ベッドから起き上がり、部屋の木窓を開けて、空気の入れ換え、毎朝の日課となっている。

 

朝の身支度をするため、宿の3階にある自室から、宿の1階にある洗面所へ向かう。

 

面倒な移動だが、宿泊客たちは共同で利用するのが、この世界では普通のことだ。もちろん、男女別には、なっているが…。

 

顔を洗い、歯を磨き、トイレを済ませる。そして、着替えるためにも、3階の自室に戻ろうとしたが、宿の受付カウンター前に、3名の男女を発見。宿の店主と、その妻の女将、そして緊急事態だった為、この宿に一泊した、ディアナ……。なにやら、話し合っているようだ。

 

3人もフレンに気付いたようだ。

 

「おはようございます…。ディアナも、おはよう。気分はどうだ?」

 

3人に近づき、店主、女将、ディアナに朝の挨拶。ディアナの顔が若干、あかいとフレンは感じた。

 

「////////// おッ、おはよう、フレン………」

 

フレンを見て、ますます、顔があかくなるディアナ…。おはようございます…、っとフレンに挨拶をして、離れて行く店主と女将…。その顔は2人揃って、ニヤニヤしてる。

 

フレンは、そんな2人を視界から外し、目の前のディアナに話し掛ける。

 

「大丈夫か?、まだ顔があかいぞ。お酒が抜けてないのか?、昨日の事は、覚えてるか?、仕事、行けるか?」

 

 

矢継ぎ早に問いかけ、覗き込むようにディアナの顔を確かめるフレン…。そしてディアナも反応し返事をする。

 

「///// だッ、大丈夫よ!、今は、少し恥ずかしくて……。すぅ~、はぁ~、よし!!。…昨日は、ゴメンね…。女将さんが起こしてくれて、ちゃんと事情は聞いてるわ。昨日の事も、少し覚えてるの…。迷惑かけちゃったね……」

 

慌てたあとに深呼吸をして、落ち着きを取り戻す、ディアナ…。

 

「言う程の迷惑じゃねぇよ。それよか、落ち着いても、落ち込むなよ……。ディアナは笑ってる方がいいぞ。………昨日みたいにな、クククククッ…」

 

フレンなりの、気遣いなのだろう。だが、おちょくってる様にも見えるが…。

 

「/////~~~フレンのバカッ、もう~、何てこと言うのよ!」

 

 

別の意味で、あかくなるディアナ…。

 

そんな彼女に背を向けて、口と腹を押さえ、笑いを堪えるフレン。そんな彼の背中を文句を言いながらも、ポンポンと叩くディアナ…。

 

離れたところで見守る、店主と女将…。ニヤニヤが止まらない。

 

早朝から、妙~な雰囲気の宿屋。これも、平和の証(あかし)なのだろう…。

 

「ククッ、その様子なら、仕事にも行けそうだな……。一旦、家に帰るだろ?、昨日は風呂に入れなかったし、それ狙って女将さんに、早朝に起こすように頼んだけど、もっと寝てる方が良かったか?」

 

ひとしきり笑ったあとに、まともな話しを始める、フレン。

 

「いいえ、とても助かるわ。ありがとう、フレン」

 

いきなりの切り替えに、毒気を抜かれたディアナは、素で返答した。やはり、彼女は真面目なんだろう。

 

「んじゃ、俺は着替えたら、そのまま仕事に行くから、ここで、失礼するよ。またな…」

 

そう言って、ディアナの横を通り抜けるフレン。

 

「えっ?、こんなに早くから!?」

 

驚いた声をあげ振り返る…。通り抜けたフレンの背中を見つめてると…。

 

「仕事ん時は、こんなもんだろ~、お先に~~」

 

背中越しに片手を上げて、気だるそうに手を振る、フレン……。ヤル気があるのか無いのか、判らないわね…、っとディアナは思ったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもの早朝より、少し遅れて宿屋を出たフレン…。今日の予定としては、港町シーズビントに1日かけて、馬車便で行くつもりでいた。

 

しかし、早朝からグダグダな笑い話に、自ら飛び込んだため、外は陽も登り、明るくなっていた…。港町シーズビント行きの馬車便は、もう出発しただろう。

 

そんな理由もあり、本日の予定を変更し、いつもの職場(地下洞窟)に出勤することにした。

 

きっちりと装備品を身に付け、まずは弁当屋に向かい、二食分の弁当と飲み物を購入した…。朝食の食べ歩きをして、常駐スタッフへの挨拶を済ませ、今日も、地下洞窟の隠し部屋に直行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隠し部屋に到着したフレンは、軽く装備品をチェックする。その時、自身にとって重要アイテムとなっている、魔力回復の薬草を買い忘れてることに気付く…。

 

やっちまった…、っと1人つぶやき…、まぁ、いっかぁ…、っで片付ける。ある程度レベルが上がっていた為、無理をしなければ十分に戦える自信があるのだった…。

 

チェックを一通り終えたフレン…。早速、転移魔法陣で広間へと移動する。

 

こうして、本日も、ボーナス・ステージが開幕する…。

 

 

ボーナス・ステージの初戦は、ただの一方的な蹂躙である。フレンによって、新たに、開発・改良された風魔法で、次々と蜂の巣にされていく、気の毒な魔石獣たち。その数、50体…。

 

フレンによって、新たに開発・改良された風魔法は、従来の突風エネルギーを凝縮した不可視の弾丸を発展させたものである。

 

今までは、一発ずつを10連射して、そこに、前回改良した貫通力を増強させた風魔法の弾丸を使って蜂の巣にしていた。

 

そして新型は…。三発ずつを五連射することが可能になった。一息での総弾数も大きく増えて、割りと使い勝手がいいのだ。頭、胸、腹。それぞれを同時に撃ち抜くことが出来るのだ。

 

低レベルの時は、一息で一発を三連射までが限界であった。その頃に比べれば、かなり進歩したと言えよう。

 

いまや、フレンの代名詞と言える、足止め突風も安定の代物となっていた。

 

これだけの、好条件が揃っているのだから、フレンの勝利は揺るぎないものとなっているのだ。

 

 

 

 

 

そして、ボーナス・ステージの初戦終了。転移魔法陣で広間から隠し部屋に移動し、すぐさま、広間へと再転移をする。

 

ボーナス・ステージの第2戦を開始する。

 

第2戦といっても、立ち上がり以外は変わらない。この第2戦から出現する4体の新種の魔石獣を、まずは、速攻でボコる…。内容としては、今まで通りに足止め突風魔法の強化版“暴風域”で足止め。そして、そのエネルギーを凝縮した不可視の弾丸でボコる…。

 

この“暴風域”系の風魔法は、まだ使いこなすには至ってない。単純に、その域までレベルが届いてないのだ。今は、なんとか特典のチカラでカバーしてるに過ぎない。

 

だが、それでもフレンの優位性は揺るがない。サクッと新種の4体を倒したら、さっさと暴風域を解除して、いつもの足止め突風を展開し、残りの通常魔石獣を、これまた蜂の巣にしていく。

 

 

「ほい、終~了~。とりあえず、一回目は、こんなもんだな…。さて、戦利品さ回収して休憩にすんべ!」

 

 

そう言って、広間から隠し部屋に転移していくフレン…。

 

この男は、気付いていなかった。自身の異常性に……。いくら魔法を使っての戦闘だとしても、魔石獣100体を無傷で、たった1人で、さも当然のように倒しているのだ。

 

同じような事が出来る人間が、この世界にどれだけいると思っているのか……。

 

フレンは、まだ、自身の異常性に気付いていない……。

 

その思考が…。

 

その戦闘能力が…。

 

自身の願望…。その行く手を阻んでいることを…。

 

フレンは気付いていない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しっかりと休憩をとったフレンは、ボーナス・ステージ 連続挑戦記録をリセットするため、一度、隠し部屋から外(地下洞窟の通路)に出て、再び、隠し部屋に入る。

 

これ(リセット)により、本来ならボーナス・ステージの第3戦に挑戦するところなのだが、もう一度、初戦からの挑戦となる。なってしまう…。

 

一度、その仕組みを理解したら、それを、とことん利用するのがフレンのやり方だ。その思考、その行為に何の疑念も持たない…。それが何より都合が良いことだと、フレン自身が解っているから…。

 

「んじゃ、二度目のボーナス・ステージ。開幕しますか~!」

 

 

 

 

 

改めて始まった、ボーナス・ステージ。雑魚キャラ同然な魔石獣たちを、スーパー蜂の巣タイムで殲滅していく…。

 

 

一度目の初戦、第2戦と同様に、今回も問題無く終了…。

 

そして、尚も繰り返す…。魔力回復の薬草が無いため、しっかりと休憩をとって、リセットしてからの三度目のボーナス・ステージを迎える。

 

 

 

 

 

「よし、今日は、こんなもんだな…。そろそろ、いい時間帯だろうし、帰るとするか」

 

二度のリセット機能を利用し、三度目のボーナス・ステージを終了させた、そして今日の成果が…。

 

「魔石獣300体で、戦利品の魔石が31個、レベルが2つ上がって、23だな」

 

帰り仕度をしながら、今日の成果を確認する。

 

「これで、キープしてる魔石が98になったな。解っていたけど、このままだと、本当に宝の持ち腐れになりそうだ…。早いとこ、対策たてねぇとなぁ…」

 

隠し部屋から外(地下洞窟の通路)に出て、地上に向かい歩き出す。

 

(はぁ~、地上に出てから、考えよう…)

 

パッと良案が思い浮かべばいいのに…、などと、ため息を吐きつつ考えては、歩を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事に地上に戻ったフレン。常駐スタッフに言葉は不要と言わんばかりに、片手を挙げて帰還を伝えると、食堂に向かう。

 

(魔石を換金してぇなぁ、でも、あの店(魔石買取専門店)に行くと面倒くせぇことになりそうな雰囲気がするからなぁ~)

 

今回も、魔石買取専門店には行かないようだ。フレンの中では、《店に行く=面倒事》の図式が成り立っている。確証はないのだが……。思うところはあるようだ。

 

そんなこんなで、食堂まであと少しの距離で、なにやら町の人たちがざわついているのを、フレンは感じとった。

 

嫌な予感がする…。フレンは直感的にそう思った…。本音を言えば、何も知りたくない…。だが、このざわつきの原因は知っておかなければならない…。っと、フレンは感じとっていた。

 

食堂の手前にいる人だかりに近づき、スッと聞き耳をたてる。

 

『お城から捜索の兵士が出たらしいぜ』

 

『やはり、誘拐されたのか?』

 

『大貴族のお嬢様って噂よ』

 

『無事だといいわね』

 

『もう、外に連れ出されたんだろ?』

 

 

『お金が目当てなら、まだ望みはありますよ』

 

『なんにしても、怖い話だな』

 

『そうですね』

 

『まったくだな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

※フレン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うぁ~、マジかよ…。ここで、この展開かぁ。そういえば、こんな感じで面倒事に巻き込まれる小説があったなぁ……)

 

町の人たちが、物騒な会話をしているというのに、フレンは割りと落ち着いていた。

 

(まぁ、ホントかどうか分からねぇし、事実だったとしても、俺にゃ関係ねぇだろ……)

 

最近、色々ありすぎて、若干ドライになっているフレン…。

 

(主人公になんざ、興味は無ぇよ。異世界イベント関連だとしても、当然、ここはスルーだろ…)

 

自身の中で、ある程度の見解を出し、無難な対応を決める。

 

(さてと、メシでも食いますか!)

 

そして、何も無かったかのように目の前の食堂へと入って行く。

 

 

 

 

 

 

フレンの方針はブレない…。

 

面倒事が発生しても、我、関せずでスルーしまくる。

 

面倒事に巻き込まれたら、全力で逃走する。

 

上手くいかなかった事もあるが、これが、フレンの基本方針である。

 

ここまでしなければ、この世界では、やっていけない…、っとフレンも、最近、解ってきたのだ。自身の望み、計画を遂行するためにも…。

 

 

 

 

 

食事を済ませて宿に戻ると、宿の主人が話し掛けてくる…。

 

「お帰りなさいませ、お客様…。あの~、今朝の女性とは、お逢い出来ましたか?」

 

なにやら神妙な面持ちでフレンに語り掛ける、宿の主人。

 

「はい?、今朝の女性ですか?、(ディアナのことかな…)何かありましたか?」

 

意味が解らず、聞き返すフレン…。

 

「いえ、つい先程まで、こちらでお客様の帰りをお待ちしていたのですよ。なんでも、昨夜と今朝の御礼がしたいのだと、言ってましたね」

 

どうやら、ディアナを長いこと待たせてしまっていたようだ。

 

「あぁ、そうでしたか…。彼女には悪いことしたかな?」

 

真面目なディアナは義理堅い…。フレンからすれば、御礼など、どうでもいいのだが、ディアナにしてみれば、それでは納得できないのだろう。

 

(そういや、初めて逢った時も助けた御礼とかで、メシをご馳走になってたもんな…)

 

数日前の出来事を思い出し苦笑する、フレン…。

 

そんなフレンに、宿の主人は、強力な爆弾を投下する…。

 

「あのお嬢さん…、なんだか、すごく怒ってましたよ……」

 

これが、宿の主人の神妙な面持ちの原因なのであろう。

 

「はぁ?、なんで怒ってるんですか?」

 

フレンには怒られるような記憶は無いのだが……。

 

「それがですね、食事の準備をして、ずっと待っていたようで……。私も、その間、延々と愚痴を聞かされてました…」

 

なんとも悲痛な話のようだ。店主にしてみれば、ヒドイ、とばっちりである。

 

「えぇ~~、理不尽すぎるやろ…。別に食事の約束なんか、してへんがな…」

 

フレンもフレンでうなだれる…。

 

「とにかくですね、うまいことフォローして下さいよ。切実に…」

 

ため息を吐きながらフレンに語る、宿の主人…。この人は完全に被害者である。

 

「えぇ~~、俺が悪いのかなぁ?」

 

なんだか、納得できないフレン…。

 

「女性は怒らせると、後が恐いですよ…。傷が浅い内に誤った方が身のためです、絶対に…」

 

真剣に謝罪を薦める宿の主人…。この人も、色々あったのかな…、っとフレンは思った。

 

「う~ん、まぁ、そういうなら、とりあえず明日にでも、誤っときますよ…」

 

「はい、そうして下さい」

 

一連の会話が終了したことで、フレンは自室に行こうとしたが、ここで思い出す。

 

「あッ、ヤバイな…。明日は朝イチで遠出する予定なんだった…」

 

明日は夜明けと共に馬車便で港町シーズビントへ行く予定である。

 

チラッと店主をみるが、背中を向けて、両耳を左右の手で塞いでいる…。

 

(俺が不穏な言葉を発したから、何も聞いてない…、っと逃げるつもりだな…)

 

「はいはい、分かりましたよ。自分でなんとかしますよ」

 

これまで、味方かと思っていた店主の裏切りにより、孤立無援となったフレン…。半ば自棄になりつつも、宿の自室へと歩を進める。

 

 

 

 

宿の自室に戻り、装備品を外すと、ラフな服装に着替えて、風呂場へと赴く。

 

入浴することで、1日の疲れを十分にとり、明日に備える。

 

再び自室に戻り、ベッドの上で胡座を組むと、恒例の反省会である。

 

 

 

 

反省会スタート。

 

 

(う~ん、とりあえず、明日の予定を整理しておくか…)

 

明日は朝イチで、馬車便に乗り込んで、港町シーズビントに行く…。んで、そっから定期船に乗り替えて、隣国の港町ソルギートに渡る…。でもって、そこから馬車便を使って、ベイタスク王国領の中心地、王都ベイタスクに向かう…、っと、こんな感じかな…。

 

移動には、およそ10日前後かかるだろう…。シーズビントに着いたら、色々と買い込む必要があるな…。

 

片道分の代金しかないから、一度ベイタスク王国に入ったら、すぐに引き返すことも出来ないだろう…。

 

まぁ、それでも、行く価値があるんだし、構わないよな。なにせ、このアルファス王国は危険すぎるからな…。

 

魔石買取専門店の店主は、なんか探って、面倒事を押し付けるような感じがするし、考えられるのは、冒険者ギルドが有望な冒険者を選抜して、特別・魔物討伐依頼でも、出す気だったんじゃないか……。勘違いしてたとはいえ、俺も変な実績つくっちまったからな…、ギルド職員でもある、あの店主に目ぇ付けられたっぽいし。適当にあしらって、スルーしてるけど。

 

何かが起こる前に、とんずらかますっきゃねぇだろ…。

 

今日も今日で、誘拐事件みたいのが起きてんだろ…。ったく、冗~談じゃねぇよなぁ。この国を出ようと画策してる時に、この事件だもんなぁ。

 

思い違いや、自意識過剰なら、それに越したことは無い。それでも、このタイミングには悪意を感じる。

 

嫌だねぇ、まったく…。マジであんのか?、異世界イベント?……。考えるだけ無駄か…。攻略本があるわけじゃねぇし。今んとこ、そういうこともあるよね…、ってことで済ましてるけど、俺視点からだと、すげーわざとらしいからな…。実際のところ…。

 

ファンタジーだから。で片付けたいんだけど、なんかしっくりこないんだよなぁ…。

 

異世界……。便利な言葉だな。皮肉込めんなら、まさに、魔法の言葉、転生者ならではの感想だな。

 

魔石買取専門店の店主にしても、ホントかどうか判らん誘拐事件のお嬢様にしても、この国を出りゃ、俺が関わることはない…。

 

さて、こんなとこかな…。

 

 

 

 

反省会終了。

 

 

「あっ、ディアナのこと忘れてた…」

 

 

再び思考モード。

 

 

どうすっかなぁ、宿の店主によれば、さっさと詫びいれろ…、ってことらしいが、明日は朝イチで出掛けるからなぁ。

 

この国を出りゃ、もう、ちょくちょく逢うこと無いだろうし、もしくは、二度と逢わないってことも有り得るのか…。

 

まぁ、それなら、それで仕方無いだろ…。宿の店主に伝言……は失礼か…。何度かメシ食わしてもらってるからな。手紙でも書いて、訪ねて来たら、渡して貰うように宿の店主に頼んでおけばいいだろ…。

 

 

思考モード終了。

 

 

(んじゃ、手紙を書くかな…。って紙とペンがねぇよ…)

 

無いもんは、しょうがないと、自室を出て宿の店主に紙を貰い、ペンを借りてくる。

 

準備万端とばかりに、備え付けの椅子に座り、机に向き合う。

 

「さて、何書くかな…。え~っと。」

 

 

 ディアナへ

ちょっと、ベイタスク王国に行ってくるぜ。元気でな。

 フレン

 

 

 

「これでいっか…。よし、後顧の憂いは絶った、カンペキだな」

 

ツッコミどころ満載のフレンのディアナへの手紙…。

 

(ほんじゃ、明日は新天地を求めての旅行だな…。早く寝ちまおう)

 

ディアナと再会した時は、血の雨が降るかもしれない。フレンの……。

 

 

(おやすみ~)

 

 

今だけは、いい夢を…。

 

 


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