特殊部隊員がホグワーツに!?   作:ゆっくり分隊長

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訓練

 

 

パチュリーから魔法を教わるようになってから1年近く。

 

簡単な魔力の放出などの魔法は出来る様になっていた。

 

 

・・・尤も、パチュリーにはまだ遠く及ばないため、魔法の教授と称してボコボコにされた仕返しは出来ていないが。

 

 

「・・・・巫女、ですか?」

 

準は上司から今度の任務の説明を受けていた。

 

 

「あぁ。なんでも親が短期間その娘を家に置いて、仕事に出掛けるらしい。

だから巫女であるその娘を我々で護衛兼身の回りの世話をしてほしい、と。」

 

「何で我々がそんな事を・・・」

 

「何でも、その親がウチのお偉いさんと繋がりがあるらしい。その上過去に命を狙われかけた事があるから守ってほしいそうだ。まぁ、これも〝訓練〟だと思って頑張れ」

 

 

「はぁ・・・。一応理解しましたが・・・その娘の名前は?」

 

 

「霊夢。

 

 

   博麗 霊夢だ。  」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

黒髪で特徴的な巫女服を着ているのは、今回の任務の護衛対象である、博麗霊夢だ。

 

 

彼女の母親は神社関係の事をしているらしい。それと関係しているのか、娘の霊夢からは神聖な雰囲気が漂っていた。

 

逆に父はJSBUの様なグレーな仕事をしており、それによって過去、霊夢ごと命を狙われたらしい。

 

(霊夢に父親譲りの怖い性格が移って無いと良いけどなぁ・・・)

 

霊夢を前に、準は早速不安を抱いていた。

 

「・・・何?そんなにジロジロ見て」

 

「いや、何でもないよ・・・それより、疑わないの?」

 

「・・・何が?」

準の質問にコテンと首を傾げる霊夢。どうやら

本当に疑問を抱いていない様だ。

 

「いやだってさ・・・僕って子供だよ?きちんと護衛出来るか不安じゃないの?」

 

 

「そんなの一切無いわよ。貴方は実力者だって私の勘が言っているもの。」

 

「か、勘って・・・」

 

あら、私の勘は凄いのよ?と言う霊夢。

 

試しに準の誕生月を聞いたら、ものの見事に当てられてしまった。

 

 

「それにしても、〝お父さん達〟の〝子供〟と同じ月に産まれたのね。」

 

 

「・・・え?どう言う事?」

 

「あれ、知らされてなかったの?お父さん達は本当の親じゃないわよ?」

 

「・・・そ、そうなんだ・・」

 

「産まれた時から親は居なくて、代わりに今のお父さん達が引き取ってくれたの。

ただ2日に1度どちらか、場合によっては両方が顔を出すだけで、後は家政婦さん

が私の世話をしてくれていたの。」

 

 

「ふ、複雑な家庭環境ですね・・・」

唐突に始まった重い話(霊夢は自覚無し)に、準は改まった話し方になってしまう。

 

 

「そう?来た時はいつも美味しいご飯を作ってくれたり、遊園地とかに連れて行ってくれたから楽しかったわよ。」

 

「ふ~ん・・・」

 

「今回は両親と一緒に家政婦さんも行っちゃったから貴方たちに頼んだって訳。」

 

 

「理解しました(半分理解できてない)」

 

「・・・貴方、半分くらい理解できてないでしょ」

 

「ハハハ、ナンノコトデスカ」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「で、どうするの?」

唐突に霊夢は話を切り出す。

 

「何が?」

 

「学校」

 

「へ?」

 

「今何時だか分かってる?」

霊夢はプンスカ怒った様子で準に詰め寄る。

 

「何時って今は朝・・」

 

「今9時、普通に遅刻よ?全く、貴方が話を速く終わらせてれば遅刻しなかったのに・・」

 

「学校行ってるんだ」

とここで、準が素直に思った疑問を口にする。

 

「行ってるんだって、当然学校は義務きょ・・・貴方まさか」

 

「ん?」

 

「学校行って無いの?」

 

「当たり前じゃん。任務に支障でるし、そもそも大学レベルの事は頭に入ってるから学ぶ必要無いし」

霊夢の質問に、平然と答える準。

これには流石の霊夢も呆れた。

 

「そんな事言ってもねぇ・・・あぁもう、今から急いで着替えて学校に行くからついて来なさい!」

 

「は?」

 

「は?って貴方護衛なんだから、兎に角来なさいよ!」

完全に話の主導権を奪った霊夢は、準を無理やり学校へ連れて行こうとする。

 

「えぇ・・・・というか何で巫女服だったの?」

 

「早朝に祈祷してたの。ほら、さっさと行くわよ」

 

なんとか話をずらそうとした準だったが、霊夢に見破られてしまう。

 

「いやだって家事しなくちゃいけないし・・・」

 

「子供は学校に行って無きゃいけないの!私より年下の子供が一人家にいたら私が変な目で見られるじゃない!」

 

「そ、それに生徒でもないのに学校に行くのは・・・」

 

「良いの!私がなんとか言いくるめるから!貴方はいつも訓練してるんでしょ?

これも一種の〝訓練〟だと思って!」

 

「そんな無茶な・・・」

 

 

こうして、本来ありえない時間に2人の子供が学校目指して全力疾走していた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

10分程全力疾走して着いた小学校は、授業中と言う事もあってか物静かだった。

霊夢の下駄箱に準の靴も一緒に入れ、霊夢が以前履いていた学校指定の(女子用の)

室内履きを履いて霊夢の後をついて行く。

 

誰も居ない廊下を音を立てない様に静かに歩き、霊夢の在籍しているクラスの前に

辿り着く。

 

中はテスト中なのか、殆ど音は無い。

 

成るべく迷惑にならない様に後ろの扉から入っていく霊夢。

 

準も持てる力を最大限に発揮して気配を消し、霊夢の後ろをついて行く。

 

幸い霊夢の席は一番廊下側の一番後ろだったため、すぐに霊夢の席に辿り着けた。

 

「(ムグゥ!?)」

 

「(良いから、静かにしてて)」

霊夢は突然準の頭を掴むと、自らの机の下に無理やり押し込む。

 

そして何もなかったかのように平然と席に付き、机の上にあったテストを解き始める。

 

「(狭い、狭いって!)」

 

「(ちょ、くすぐったいから頭の位置を変えなさい!)」

 

机の下では大波乱が起きながらも、平然とした顔を装ってテストを解き続ける霊夢。

 

「ぇ・・・?」

 

「ぁ・・・」

 

そんな中ふと準は男子を挟んだ3列目の一番後ろの席の女子と目が合ってしまう。

 

彼女は一瞬驚いた顔をした後、準に向けて先生に見えない様に指先だけで軽く手を振る。

 

「(・・・どゆコト?)」

 

そんな事があっても尚、平然とした顔を装っている霊夢。

それにカチンときた準は、

 

 

ツン、

 

「・・・・」

 

目の前にある霊夢の柔らかい太ももの内側を突っつく。

 

それでも無反応の霊夢に対抗心を持ってしまった準は、

 

 

ツン

 

今度は更に奥の方を突く。

 

「ッ!?」

 

すると今度は反応があり、ビクンッと体を軽く跳ねさせた。

 

それに調子付いた準は、

 

ツンツン、

 

 

「~~ッッ!?!?///」

 

ガシッッ!!!

 

「(ウガアッ!ガハッ・・・)」

 

調子に乗って一番奥近くを両人差し指で突いた準。

 

霊夢は激しく身体を跳ねさせ、顔を真っ赤にした・・・・が、

 

 

すぐに普段の冷静な顔に戻ると、机の下の準に本気の膝蹴りをする。

 

脇腹に刺さった準は、模擬戦でJSBUのメンバーに殴られた時と同等以上の痛みが発生する。

 

「(カ・・・カハッ!ァ・・・ッァ・・・・!)」

準は余りの衝撃に我を忘れて叫びそうになるが、なんとか抑えて周りに気付かれない様に呼吸をする。

 

幸いテストの終了前の為解きおえて寝るか、まだ終わらずに必死の形相で解いている人が殆どの為気付かれる事は無かった。

 

余りに深く入ったため呼吸もままならず、何とかして呼吸をしようと必死になっていた。

 

(やりすぎた・・・ってかJSBUのメンバーと同等以上のこの馬鹿力は一体何処から・・・?)

 

 

ふと横をみると、先程の子が心配そうにこちらを見ていた。

 

「(ア、アハハ・・・)」

 

痛みを堪えながら今出来る精いっぱいの笑顔を見せると、向こうも笑顔で答えて来た。

 

(ァーもう何が何だが分かんねぇ畜生)

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

休み時間。

 

霊夢は準の存在を先生方に説明して来る為、職員室へ向かった。

 

対する準は未だに机の下で気配を消していた。

 

周りも他人の机の下を見る余裕が無いのか、それとも友人達との会話に夢中なのか、全く気付く様子が無い。

 

「♪」

ただ一人先程の少女は霊夢の席に近づき、物を拾うような仕草をして準に近づく。

 

 

腰を折り、準の顔と同じ高さに目線を合わせた少女は、ニコニコ笑いながら準を見つめる。

 

そして、まるで犬に餌をやるかの様に、本来持って来ては行けない筈の飴を準に渡す。

 

 

(あぁ・・・確かに僕はまるで犬小屋(机)の中に入って居る犬・・・ってうるさいわッ!!)

 

一人ツッコミも虚しいので、準は素直に飴を受け取る事にする。

 

その時、先生方と話をつけて来たらしい霊夢が戻って来た。

 

飴を渡そうとしている少女と受け取ろうとしている準を見て微妙な顔を一瞬浮かべた霊夢は、机の下から素早く準を引き出すと、急いで教室を出る。

 

 

 

「い、一体何を・・・」

 

「そりゃ先生に挨拶するに決まってるじゃない」

 

「え?あぁ、・・・分かった」

 

短期間の転入生として転入し、特別処置として霊夢と同じ学年、クラスになった準。

 

 

「一体どうやったの・・?」

 

「私と私の家族にある程度関わりがある先生に『護衛役』って説明したの。元々その

先生は私の観察を親に頼まれた事がある人だしね。」

 

 

「へ、へぇ・・・霊夢の所ってかなり特殊な家なんだね・・・」

 

「だから何度もそう言ってるじゃない。第一貴方を護衛に付けることが出来る時点で

それ位分かるでしょ?」

 

「スミマセンデシタ」

 

「別に謝って欲しい訳じゃないのよ」

 

「ハイ。(これから先更に振り回されそうだなぁ・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

~準の居なくなったJSBUの基地~

 

基地では、パチュリー、レイ、麗華が倒れていた。

 

「ク、クソ・・・・ッ!」

 

「・・・失ってから、初めて気づくなんてね・・・」

 

レイと麗華は悔しそうに言葉を口にする。

 

三人が倒れている理由は準が居なくなった事であった。

 

「この気持ちにもっと早く気付くべきだったわ・・・」

三人の準に対する気持ちは同じであった。

 

 

「「「準が居ないせいで弄り役が居なくなった・・・」」」

 

「なーどうする?」

レイが未だに倒れたまま二人に聞く。

 

「居ないのはしょうがないんだから、帰って来たときの事を考えるべきじゃない?」

麗華も未だに倒れたままだ。

 

「そうね・・・準が帰って来る時が楽しみだわ」

例の如くパチュリーも倒れたまま言う。

 

 

「「「クックックックックックック・・・・・」」」

 

 

少年少女三人が倒れたまま邪悪に笑う光景が、そこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回からは急ですが霊夢との学校生活タイムです。

・・・こうやって話を増やして、一体いつ物語が完結するのだろう・・・

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