名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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久しぶりの日常編。今回は導入。


第6章 クリスマスな2人
File01 日常 クリスマス その1


 

 

 

 

 蘭の疑惑を上手く交わすことに成功したコナン。当分の間、蘭の前で新一と言う名前が禁止ワードに設定されると言うこと以外は、以前と変わりない日々を送っていた。

 

 そんな中コナンは、蘭へのご機嫌取りを兼ねたクリスマスの贈り物に頭を悩ませていた。

 

 

「くっそー、どうすっかなぁー。何を贈れば機嫌直すんだよ……」

 

「随分と悩んでおるようじゃのぉ、新一のヤツ」

 

「放っておきなさい。自業自得なんだから。すぐにフォローをいれてれば、それほど問題はなかったでしょうけど、誤魔化せたことに浮かれて今まで連絡の一つもせずに放っておいたみたいだから」

 

 

 頭を抱えて悩むコナンを心配そうに見守る阿笠。それに対し、雑誌に目を通しながら放置を決め込む哀。

 フォローを怠ったコナンに呆れているのもあるが、自分の目の前でうだうだと悩むコナンにイラついているのもあるようで、先程から徐々に目尻が上がってきているのを哀は自覚していた。

 

(そんなに悩むなら電話の一本でもして、本人に聞いたらいいじゃない。大体、贈り物はどうやって渡すつもりなのかしら。まさか、手渡したいから解毒剤の試作品をもう一度とか言わないでしょうね……。)

 

 このままでは、自分の精神によくないと感じた哀は雑誌をテーブルに置くと、気持ちを落ち着けるためにコーヒーを淹れに席を立つ。

 

「あ、オレにも淹れてくれ。ここらで気分転換してぇし……って、何だよ」

 

 コナンを一度鋭く睨みつけると、不機嫌を隠そうともせずキッチンへと向かう哀。それに対し首を傾げていたコナンは、すぐにまた悩み出す。

 ますます不機嫌になった哀に、阿笠はその原因であるコナンを恨めしく思うのであった。

 

 

 

 

 

「で、博士はクリスマスプレゼントどうすんだよ?」

 

 哀に淹れてもらったコーヒーを一口飲んで落ち着いたのか、コナンは阿笠に話を振る。何故なら、つい先日優作(有希子)の協力のもと初恋の人――フサエ・キャンベル・木下――と連絡をとることに成功したのである。当初はメールのやり取りだけであったが、フサエがイベントで来日する日に、会う約束を取り付けたのであった。

 

「わ、ワシのことはいいじゃろ! 大体、フサエさんと会うのはクリスマス前じゃし……当日でもないのに渡すのは変じゃろ?」

 

「クリスマス前と言っても、三日位ならちょっと早いって言えば問題ねぇよ。それに、博士が用意してなくとも、フサエさんが用意してたらどうすんだよ」

 

「う~む、それは考えておらんかった……。どうすれば……」

 

 頭を抱えて悩み出した阿笠を愉快そうに眺めるコナン。同じ悩みを抱える同士が出来たことで、幾分か心が晴れたらしい。

 そんな男どもを哀は冷ややかな視線で眺めるのであった。

 

 

 

 

 

 結局、プレゼントが決まらないまま時間だけが過ぎていき、普段コナンが帰宅する時間が迫っていることに気がついた哀がコナンに話しかけるまで二人は悩んだままであった。

 

「お、もうこんな時間か。じゃ、オレは帰るな」

 

「気をつけて帰るんじゃぞ? そう言えば新一は蘭君にどうやってプレゼントをやるんじゃ? 手渡しって訳にはいかんじゃろ」

 

「そんなの郵送するに決まってんだろ? だから、早めにプレゼント決めとかないと……」

 

 再び頭を抱え込むコナンであったが、帰宅の時間が迫っていることもありすぐに頭をあげると、阿笠と哀に挨拶をして去っていく。

 

「郵送するのね……。私はてっきり、解毒薬の試作品をくれって言い出すんじゃないかと思ってたわ」

 

「流石にそれはないじゃろ。長くて一日、しかも一度は発作を伴うとなれば迂闊に服用は出来んし、その間江戸川コナンは何処に行ったと言う話しにもなるしの」

 

 コナンが工藤新一に戻りたがるのではないかと内心思っていた哀は、意外に思うが阿笠の言う通りだとすぐに納得する。

 ただ、今の今までうじうじ悩んでいた阿笠に諭されたことに少々イラついた哀は、阿笠に少しの意地悪をすることにした。

 

 

 

「それにしても、博士も大変ね。フサエさんのプレゼントに、子供たちとのクリスマスパーティーの準備。どちらもおろそかに出来ないものね。私は手伝わないから博士が誠心誠意選ぶのよ。あ、そうそう。彼と私へのプレゼントも忘れずにね」

 

 

 

 

 




 クリスマス編です。
 EFではなく、本編なのは新蘭、コ哀両フラグに関わるからです。あと、博士も。


 阿笠とフサエ関連。
 これらは作中設定です。

 関連活動報告は【コナン】。
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  作中に登場する人物、企業、建物、団体はフィクションです。

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