名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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短いです。あと、蘭フラグは大胆に折ることにしました。

注意:原作既読推奨。所々端折ってます。

一言: 原作なんてポイッ!
※投稿箇所間違えました。File05が次話になるよう並び変えました。



File04 開幕

 

 

 帝丹祭当日。蘭が所属するクラスの出し物――シャッフルロマンスが上映される体育館は、大勢の観客たちで賑わっていた。

 その中には無事に退院したコナンの姿と、その母親である江戸川文代の姿もあった。彼らは出番前の蘭の元に集まり、談笑していた。

 

「この子の世話は大変でしょう? よく事件に首を突っ込んでいるそうじゃないですか。何処かの推理バカたちの影響なんでしょうけど……もう少し落ち着いて欲しいものだわ。今回の怪我も階段で転んだなんて言ってたのに……哀ちゃんに教えてもらわなかったら知らないままだったわ」

 

「あ、あの……」

 

「あ、ゴメンなさい。新一君の彼女の前で推理バカはないわよね」

 

「か、彼女っ!? そんな、私たちはただの幼馴染で……」

 

「あら、そうなの? コナンちゃんから、蘭姉ちゃんは新一兄ちゃんの話ばかりって聞いていたから、てっきりそうなのかと」

 

 文代の言葉を真っ赤になりながら否定する蘭。そんな蘭と文代のやり取りを黙って見ていたコナンが口を開く。

 

「じゃ、ボクたちは客席で見てるから。ほら、お母さんも行くよ」

 

「もう、ママって呼んでって言っているのに……それじゃ、劇頑張ってね?」

 

「あ……」

 

 そう言うと去っていくコナンたちに、思わず手を伸ばす蘭。引き止める言葉を探していた蘭に、園子が話しかける。

 

「あの人がガキンチョの母親かぁ……。普通のおばさんって感じだったわね」

 

「……そうだね」

 

 園子の言葉に、適当に相槌を打つ蘭。その内心は、文代の存在に対する疑念で一杯であった。

 

(コナン君と新一は同一人物の筈……。じゃあ、あの人は誰なの? 本当にコナン君の母親だとでも言うの……?)

 

 そんな蘭の思考を遮ったのは、大阪からわざわざ見に来た和葉の声であった。

 

「らーんちゃん! 激励に来たでー!」

 

「和葉ちゃん……」

 

「あ、園子ちゃんもおるやん。で、工藤君は? 来とるんやろ? 自分の学校の学園祭なんやし」

 

「やっほー、和葉ちゃん。新一君なら来てないよ。おおかた蘭と新出先生のラブシーンが見たくないのよ」

 

「新出先生? その人が蘭ちゃんの相手役なん?」

 

「そ。ほら、彼処にいるイケメンが新出先生。元は演劇指導だけをお願いしていたんだけど、私が怪我しちゃったからね。急遽代役を頼んだのよ」

 

「へー。確かに男前やな~」

 

 園子が指し示す先には、女生徒に囲まれている男性――新出の姿が。その姿を確認した和葉が新出の容姿を褒めると、園子はニヤリと笑いながら和葉に言葉をかける。

 

「でも、和葉ちゃんは服部君がいいんでしょ?」

 

「なっ!?」

 

「そういえば服部君は?」

 

 言葉を失う和葉に、蘭が平次のことを尋ねる。その言葉で、平次の不在に気づいた園子も周囲を見回すが、確かに平次の姿はない。

 

「……劇が始まる前に飲み物買ってくるって、売店の方行っとる」

 

「そうなんだ……って、ヤバッ! 蘭、そろそろ着替えないと!」

 

「え、もうそんな時間!? あ~、どうしよう! まだ、心の準備出来てないよ!」

 

「じゃ、ウチも席行くわ。蘭ちゃん、頑張ってな!」

 

 和葉は蘭に激励の声をかけると客席へと向かう。それを見送った蘭と園子は、足早に準備へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 その頃、客席へ向かったコナンたちは空いている席に着き、あとは上映を待つばかりとなっていた。そこに、器用に飲み物を三つ持った男が声をかける。

 

「ほら、飲み物買ってきてやったぞ。しっかし、バレないもんだな。服部ともすれ違ったが、気づいてなかったぜ」

 

「あら、気が利くじゃない」

 

「どれもコーヒー。オレとコイツはブラックだから……蓋の上にミルクとガムシロップがのっているヤツを取れよ」

 

 そう言うと男は、文代とコナンにコーヒーを渡しコナンの横の席に座り、コナンたちに問いかける。

 

「で、蘭たちのとこに行ったんだろ? どうだった?」

 

「園子ちゃんは、この人がって感じだったけど、蘭ちゃんは江戸川文代の存在を忘れていたのかしらね? かなり動揺していたわね」

 

「ま、コナン=新一だと考えている蘭にとって、江戸川文代は正しく謎の人物だろうしな」

 

 何処か可笑しそうに言う男に、コナンが口を開こうとしたとき、照明が消され劇の開始を告げるアナウンスが流される。

 

 

 ――只今より、二年B組の「シャッフルロマンス」を上演いたします……

 

 ――ごゆっくりご鑑賞ください……

 

 アナウンスの終了とともに舞台の幕はあがり、ドレスで着飾った蘭がその姿を現すのであった。

 

 

 

 

 

 順調に劇は中盤へ。現在のシーンは、蘭が演じるヒロインが敵国の兵に襲われ、そこを新出演じる黒衣の騎士が救うという一番の見せ場である。

 

「蘭ちゃん、空手や空手!! そんなん()てしもてー!!」

 

「ちょ、おい和葉! これは芝居や!」

 

 途中、一部観客の声で劇が止まりかけたが、気を取り直した生徒たちによって劇は続いていく……筈であった。

 

 観客席から悲鳴が響き渡るその時までは……

 

 

 




 原作なんてポイッて感じです。あと、男の正体は秘密です。ええ。わかりきってますが。

 江戸川文代の再登場。服部平次が普通に観賞している。
 これらは作中設定です。

 関連活動報告は【コナン】。
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