注意:原作既読推奨。所々端折ってます。
一言: 原作なんてポイッ!
※投稿箇所間違えました。File05が次話になるよう並び変えました。
帝丹祭当日。蘭が所属するクラスの出し物――シャッフルロマンスが上映される体育館は、大勢の観客たちで賑わっていた。
その中には無事に退院したコナンの姿と、その母親である江戸川文代の姿もあった。彼らは出番前の蘭の元に集まり、談笑していた。
「この子の世話は大変でしょう? よく事件に首を突っ込んでいるそうじゃないですか。何処かの推理バカたちの影響なんでしょうけど……もう少し落ち着いて欲しいものだわ。今回の怪我も階段で転んだなんて言ってたのに……哀ちゃんに教えてもらわなかったら知らないままだったわ」
「あ、あの……」
「あ、ゴメンなさい。新一君の彼女の前で推理バカはないわよね」
「か、彼女っ!? そんな、私たちはただの幼馴染で……」
「あら、そうなの? コナンちゃんから、蘭姉ちゃんは新一兄ちゃんの話ばかりって聞いていたから、てっきりそうなのかと」
文代の言葉を真っ赤になりながら否定する蘭。そんな蘭と文代のやり取りを黙って見ていたコナンが口を開く。
「じゃ、ボクたちは客席で見てるから。ほら、お母さんも行くよ」
「もう、ママって呼んでって言っているのに……それじゃ、劇頑張ってね?」
「あ……」
そう言うと去っていくコナンたちに、思わず手を伸ばす蘭。引き止める言葉を探していた蘭に、園子が話しかける。
「あの人がガキンチョの母親かぁ……。普通のおばさんって感じだったわね」
「……そうだね」
園子の言葉に、適当に相槌を打つ蘭。その内心は、文代の存在に対する疑念で一杯であった。
(コナン君と新一は同一人物の筈……。じゃあ、あの人は誰なの? 本当にコナン君の母親だとでも言うの……?)
そんな蘭の思考を遮ったのは、大阪からわざわざ見に来た和葉の声であった。
「らーんちゃん! 激励に来たでー!」
「和葉ちゃん……」
「あ、園子ちゃんもおるやん。で、工藤君は? 来とるんやろ? 自分の学校の学園祭なんやし」
「やっほー、和葉ちゃん。新一君なら来てないよ。おおかた蘭と新出先生のラブシーンが見たくないのよ」
「新出先生? その人が蘭ちゃんの相手役なん?」
「そ。ほら、彼処にいるイケメンが新出先生。元は演劇指導だけをお願いしていたんだけど、私が怪我しちゃったからね。急遽代役を頼んだのよ」
「へー。確かに男前やな~」
園子が指し示す先には、女生徒に囲まれている男性――新出の姿が。その姿を確認した和葉が新出の容姿を褒めると、園子はニヤリと笑いながら和葉に言葉をかける。
「でも、和葉ちゃんは服部君がいいんでしょ?」
「なっ!?」
「そういえば服部君は?」
言葉を失う和葉に、蘭が平次のことを尋ねる。その言葉で、平次の不在に気づいた園子も周囲を見回すが、確かに平次の姿はない。
「……劇が始まる前に飲み物買ってくるって、売店の方行っとる」
「そうなんだ……って、ヤバッ! 蘭、そろそろ着替えないと!」
「え、もうそんな時間!? あ~、どうしよう! まだ、心の準備出来てないよ!」
「じゃ、ウチも席行くわ。蘭ちゃん、頑張ってな!」
和葉は蘭に激励の声をかけると客席へと向かう。それを見送った蘭と園子は、足早に準備へと戻るのであった。
その頃、客席へ向かったコナンたちは空いている席に着き、あとは上映を待つばかりとなっていた。そこに、器用に飲み物を三つ持った男が声をかける。
「ほら、飲み物買ってきてやったぞ。しっかし、バレないもんだな。服部ともすれ違ったが、気づいてなかったぜ」
「あら、気が利くじゃない」
「どれもコーヒー。オレとコイツはブラックだから……蓋の上にミルクとガムシロップがのっているヤツを取れよ」
そう言うと男は、文代とコナンにコーヒーを渡しコナンの横の席に座り、コナンたちに問いかける。
「で、蘭たちのとこに行ったんだろ? どうだった?」
「園子ちゃんは、この人がって感じだったけど、蘭ちゃんは江戸川文代の存在を忘れていたのかしらね? かなり動揺していたわね」
「ま、コナン=新一だと考えている蘭にとって、江戸川文代は正しく謎の人物だろうしな」
何処か可笑しそうに言う男に、コナンが口を開こうとしたとき、照明が消され劇の開始を告げるアナウンスが流される。
――只今より、二年B組の「シャッフルロマンス」を上演いたします……
――ごゆっくりご鑑賞ください……
アナウンスの終了とともに舞台の幕はあがり、ドレスで着飾った蘭がその姿を現すのであった。
順調に劇は中盤へ。現在のシーンは、蘭が演じるヒロインが敵国の兵に襲われ、そこを新出演じる黒衣の騎士が救うという一番の見せ場である。
「蘭ちゃん、空手や空手!! そんなん
「ちょ、おい和葉! これは芝居や!」
途中、一部観客の声で劇が止まりかけたが、気を取り直した生徒たちによって劇は続いていく……筈であった。
観客席から悲鳴が響き渡るその時までは……
原作なんてポイッて感じです。あと、男の正体は秘密です。ええ。わかりきってますが。
江戸川文代の再登場。服部平次が普通に観賞している。
これらは作中設定です。
関連活動報告は【コナン】。
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