名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

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あのお話をコ哀色強めにお届けします……きっと
今回は短いです。


File01 白い影

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、どんな罠が仕掛けられていようと気にしない。

 

 

それは、音もなく降り立ち、獲物を仕留め、影すら掴ませずに去っていく。

 

 

それは、如何なるモノの追跡も振り切り、やがて幻のように消える。

 

 

 

 

「追えー!今日こそは逃がすんじゃなーい!警察の威信にかけてヤツを捕らえろ!!」

 

「中森警部!ヤツがあのマンションのベランダに!!」

 

「よーし、チャンスだ!ヤツが再び飛び立つ前に包囲網を!!」

 

 

 

 

闇夜を飛翔する鳥のようにも見えるその姿は、まさに“白い影”という言葉がふさわしい。

 

 

その全身を包むのは“白”

 

 

白いスーツにシルクハットにマント、そして右目にはモノクル。

 

 

変装術と声帯模写で他人に成りすまし、決して人を傷つけず鮮やかに獲物を盗んでいく。

 

 

 

まるで稀代の怪盗紳士アルセーヌ・ルパンを彷彿とさせるその人物の名は――

 

 

 

「今日こそヤツを捕らえるんだ!あの気障なコソ泥を!!」

 

 

 

 

国際犯罪者番号(シークレットナンバー)1412号――通称“怪盗KID(キッド)

 

 

 

八年前に一度行方をくらまし、今再び世間を賑わせている現代の怪盗紳士である。

 

 

 

 

 

「ふぅ。ったく中森警部もしつこいっての」

 

 

マンションのベランダの手すりに立ち、眼下の警察車両を眺める青年。

彼こそが二代目怪盗キッド……黒羽快斗である。

 

 

「目当ての宝石でもねぇし。……ん?」

 

 

彼の背後にある窓が空く気配を感じ振り返った先には少女の姿。

 

 

「あなた誰?ドラキュラさん?」

 

 

その可愛らしい問いかけを微笑ましく思った彼は、少女の手に口づけを落とし答える。

 

 

「……ただの魔法使いですよ。お嬢さん」

 

 

その瞬間、少女――吉田歩美――の視界は光に包まれた。

 

 

 

 

彼女が視界を取り戻した時、彼の姿はベランダにはなかった。

彼女が次に見た彼の姿は、その白いマントを広げ東京の闇夜を飛翔していく姿であった。

 

 

 

 




新章です。今回は導入ということで短いです。スミマセン
章タイで分かる通りあのお話をコ哀増でお送りします。

あと、今話のみキッドの表記が英語、カタカナ両方あります。
今話以降はカタカナ表記で統一していきます。

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