名探偵コナン~選ばれた二人の物語~   作:雪夏

15 / 82
家庭訪問編その2。
前半は家庭訪問関係ないですが。


File04 日常 家庭訪問編 その2

 

 

 

 

 

 

 

帝丹小学校1年B組は先程の学活の時間を利用して学芸会の出し物を決めていた。

学芸会とは六月末に合唱や劇などを舞台上で行う帝丹小学校の行事の一つである。

各学年で二つないし三つの出し物を行うことになっており、合同で実施するクラスと単独で実施するクラスとある。

 

そして、コナンたち1年B組は単独で劇を行うことになっており、演目と配役を決め終えたところであった。

 

「皆さん静かに!出し物は仮面ヤイバーに決定しました。

内容は光彦君が中心になって考えてくれた、え~と……。

正義の味方と悪の組織を裏切った……ねぇ?これホントにやるの?」

 

「そうですよ、先生」

 

「もうちょっと、内容どうにかならないかな~って。こう……ね?

もっと子供らしくっていうか……その」

 

「わかってないですね、先生。いいですか?童話など従来の劇はリアリティがありません。

 その点この物語はですね、ただのヒーロー劇ではないんです。

悪を裏切り正義の味方を愛してしまったという自分ではどうすることも出来ない心。

それに主人公の正義の味方としてかつて悪であった彼女を許せない気持ち。

一人の人間として彼女を好ましく思う気持ち」

 

「光彦君?もういいから、ね?座って?」

 

「そんな二人の苦悩を題材に入れることでですね……」

 

「光彦君!分かりました、リアリティあるのは分かったから!」

 

「……はい」

 

突如席を立ち、いかに劇の内容が優れているかを得意気に言いだした光彦。

小林先生に止められなければ、そのまま語り続けていたことだろう。

発言を止められた光彦は少々不満そうな顔で座りなおす。

それを見届けた小林先生は続いて配役について決定したことを話し出す。

 

「コナン君が仮面ヤイバー、灰原さんが相手役の女スパイ。

 怪人役が、元太君に……」

 

「……監督は光彦君にお願いしますね。これで今決まってるのは全部ですね。

あとは必要な小道具とかは明日から作り始めましょうね。」

 

学芸会についての話し合いが終わるとそのままホームルームへと移る。

諸連絡と帰りの挨拶を終えた小林先生が哀に近づく。

 

「ごめんなさいね、灰原さん。他の親御さんの都合で何度も変更してもらって」

 

「博士もいつでもいいと言ってましたし、気にしないでください」

 

「そう?今日の最後だからコナン君のところのあとになるわね。行く前に連絡するから」

 

「わかりました」

 

会話が終わる頃を見計らってコナンが呼びかける。

 

「帰るぞ、灰原。じゃあ先生またあとで」

「ええ。それじゃ先生また」

 

「二人ともさよなら。また後で会いましょう」

 

哀とコナンを見送った小林先生は今日の家庭訪問のことを思いながら、

支度を整えるために職員室へ足早に向かう。

 

「コナン君のところが最後だったら事件のこととか聞いてみたいんだけどなぁ。

それは流石に問題かしら。それにしても相変わらず仲いいわよねぇ。

それに二人とも大人っぽいし……とても他の子と同級生には見えないのよね。

光彦君のところもそうだったけど本当のことを言ってもお世辞って思われそうで困るのよねぇ」

 

独り言の内容は徐々に愚痴っぽくなっていき、顔もうつむいていく。

職員室に着く頃には、同僚に心配されるほどになっていた。

 

 

 

 

少年探偵団はいつもの別れ道で別れようとしていた。

普段ならこのあとの待ち合わせ場所などを話すのだが今日は違っていた。

光彦が劇のことについて話をしているのだ。

 

 

「じゃあコナン君、明日から演技の練習しますからね!」

 

「おいおい。まだ、セリフも決まってないだろうが」

 

「ある程度はできていますよ。それにコナン君の役は仮面ヤイバーなんですから、

 変身や必殺技なんかは練習できます」

 

「あらあら、大変ね?江戸川君?」

 

「灰原さんもですからね。お二人のセリフは多くなりますから少しでも練習しないと」

 

「あらあら、大変ですこと。灰原さん?」

 

「……うるさいわね」

 

「お二人とも今日が家庭訪問でなければ今日から練習したんですけど。

まぁ、しょうがないですね。あっ、待ってくださいよ、元太君!歩美ちゃん!

それではお二人ともまた明日!」

 

「ああ。また明日な」

「さよなら」

 

 

歩美と元太に置いていかれそうになった光彦は慌てて二人を追う。

その様子を苦笑しながら見送ったコナンと哀はいつもより足早に帰路につく。

家庭訪問の予定時間まで時間は十分にあるのだが、早く家についておきたいようだ。

 

「じゃ、先生を引き止めたりしないよう博士に気をつけてくれよ。

滞在時間が長いと他のところから文句言われることもあるらしいからよ」

 

「あら、詳しいのね?調べたのかしら?」

 

「まぁな。おっちゃんに負けてられるかよ」

 

「あらあら、探偵さんは負けず嫌いだこと」

 

「いいから、博士に釘さしとけよ。博士おしゃべり好きなとこがあっから」

 

「はいはい、わかっているわよ。先生に迷惑をかける訳にはいかないもの」

 

 

そのころ見た目小学生な二人に気遣われている先生はというと……

 

「っくしゅん!うう……そろそろ出かけないと。なんで最後があの二人なのよ……

 結局ありのままを話すしかないんだけど、絶対お世辞って思われるわよ……。

 どうしよう……。大体あの二人が異常なのよ、ってダメよ澄子。

子供たちのことをそんな風に思っちゃ。ああ、でも……」

 

……いろいろと気苦労が絶えないようである。

 

 

 

 




家庭訪問編その2でした。……訪問してないですが

次こそは訪問します。それと次の更新でその他原作の方に移動しようかと思っています。
出戻りするかもしれませんが。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。