そんなわけで平成悲恋シリーズ開幕
高嶋友奈 1
空から視線が降り注ぐ。
なんで僕はこんな所で倒れているんだ?
そう思って体を動かそうにもまるで自分の体ではない、まるで糸の切れたマリオネットの様だ。
まるで死んでいるみたいだ。
そんな視界の中に数枚の桜が舞ったように声が聞こえてきた。
「暁人君!」
この声は誰の声なんだろう。
「嫌だよぉ、約束したよね」
約束?
僕は誰と何を約束したんだ。
駄目だ視界が真っ暗になっていく。
体は動かなくても口は動くと思い声をだす。
「君は誰?」
何を言ったのか分からないけど何かが空から落ちて肌にあたり弾ける。
「嘘だよね! 私だよ高嶋友奈だよ」
駄目だ何も聞こえない。
そうか僕はこのまま死ぬのか、そして僕の視界は闇に染まっていった。
「兄さん、起きてください」
誰かが僕を起こしている。
でも僕を起こそうとする人物は一人しかいない。
「ひなた、起こすのをやめてくれ僕は眠たいんだ」
「何を言ってるんですか兄さんも若葉ちゃんと一緒に戦うんですよ」
そう、僕はなんでかこの世界で敵と戦うことのできる唯一の男らしい。
「僕はやりたくないって言ってるんだ! 戦うなんて脳筋の若葉一人でいいだろ!」
僕は戦いたくない。
戦うくらいならここに引き籠る。
ここにはゲームもPCもある。
不満と言えば妹のひなたがいることだ。
「頑固な兄さんですね! アレが攻めてきたときに剣を振っていたのは誰ですか!」
「あれは死にたくないから適当にやってただけで僕は動きたくないんだ!」
ここまでくれば徹底抗戦だ。
「特訓は参加しなくとも授業には参加してください」
僕は布団から指だけを出してパソコンの画面を指さす。
「大丈夫、最低登校表作ってるから」
僕は年齢的には高校2年生だ。
だけど今の僕は授業を受けている時間なんてない。
敵が何時来るから分からないのだから、だから大人は戦うための戦力の育成に力を入れる。
戦力を増やすのではなく、今いる人員で何とかしろと言うのだ。
「そんな無駄なもの作ってないで早く行きますよ」
そう言ってひなたは僕が指を出していた布団の隙間に腕を入れて僕を布団から引きずり出した。
こいつ、何時の間に握力ゴリラになったんだ!
「やめろ、僕はここから出たくないんだァー」
「子供みたいなこと言ってないで行きますよ」
僕は寝巻のまま部屋から連れ出されて教室まで連行された。
ねぇ、君のお兄さん土だらけなんだよ? しかも寝巻のまま教室に連行とか鬼畜の所業じゃないの?
そしてここま教室だ、僕の苦手としている娘が笑顔でやってくる。
「暁人君、おはよう」
僕はこの高嶋友奈が世界で一番苦手だ。