カミカゼエクスプローラー 無のメティス   作:簾木健

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ちょっとは早く投稿できた・・・・・・かも・・・・・・

今回は少し雑な気もするが・・・・・・

ただ、話が進まない。すっごい進まない。

まぁのんびりとお付き合いください。

では今回もお楽しみいただければ幸いです。


簾木 健


答え合わせ

manami side

 

「おー」

 

常若寮に着くとさっそく部屋に案内された。一階の一番端っこの部屋だった。

 

「なになに、まな一人部屋なの?」

 

「1年生のお部屋、今ここしか空いていないんだって。というか、物置になってたのを無理矢理空けたとかさっき聞いたけど」

 

寮に入って案内してくれたのは2年生の姫川風花先輩。どうやら琴羽ちゃんのルームメイトらしい。かわいらしくて、しっかりしてて、その上・・・・おっぱいもなかなか大きい・・・・。お兄ちゃんのクラスの委員長もしてるそうなんだけど、無茶苦茶お兄ちゃんの好みのセンいってる気がする・・・・。

 

「あはは、裏口のすぐだからね」

 

「なにか起こったらすぐに逃げられるね」

 

「あんまりそういうことは起こってほしくないですけど・・・・・」

 

「そりゃそうね、アハハ」

 

屈託なく笑う琴羽ちゃん。なんか笑う度に胸がこう・・・・ゆさってして、つい目がいってしまう。っていうか、琴羽ちゃんもちょっと見ない間にバージョンアップしすぎなんじゃいの?わたしもかなりがんばっておっきくしたつもりなのに、なんなのよ!この非常識なボリュームはっ!!!

 

「アハハ、そうだね。ごめんね、まなみちゃん」

 

「い、いえっ・・・・」

 

うっ・・・・。か、かわいい・・・・。女のわたしから見てもすごくかわいい・・・・・。仕草の一つ一つが『かわいい女の子』してる・・・・。眩しすぎるっ。

 

「ファイト、まなみ・・・・・っ」

 

「でも、びっくりしたよ~。速瀬くんから妹さんがいるってお話は聞いてたけど、すぐとから来るなんて聞いてなかったから」

 

お兄ちゃんからわたしの話がッ!?

 

「あ、それは慶司も知らなかったみたいよ?まなみ、内緒にしてたの?」

 

「内緒って言うか・・・・急に決まったことだったから、ちょっと忘れちゃってて」

 

「忘れる?まなが慶司への連絡を?」

 

「な、なによ、琴羽ちゃんっ。別にわたし、お兄ちゃんとそんなにマメに連絡なんて取ってないからねっ」

 

「ん~、そうかにゃ~?」

 

「ほ、ホントだもんっ」

 

「だ、だって・・・・あんまりしつこくメールとかして、お兄ちゃんに『うわ、また妹からだ。うぜぇ』とか思われたくないし・・・・」

 

「まなみちゃん、お兄ちゃんのこと大好きなんだね。でも大丈夫、速瀬くんはそんなことで鬱陶しがったりしないと思うよ」

 

「!!?」

 

「え、な、なに?」

 

「こ、琴羽ちゃん!琴羽ちゃん、ちょっと!」

 

「はいはい」

 

琴羽ちゃんを引っぱって、ぐいっと部屋の隅へ。

 

「ど、どういうこと?あの姫川先輩って、お兄ちゃんとは会ったばっかりなんでしょ?なんでそんなにお兄ちゃんのこと知ってるの!?」

 

「あ~・・・・ちょっとしたことがあってね、風花は慶司に対する信頼度が当社比50%アップくらいしちゃってるっていうか・・・・」

 

「ちょっとしたこと・・・・・?ま、まさか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう。ここが澄之江か」

 

速瀬慶司はある目的のため澄之江にやってきた。そこに・・・・・

 

「キャーーーーー」

 

「逃がすな!!追え!!!!!」

 

「な、なんだ?」

 

そこで慶司は何者かに追われる少女・姫川風花と出会う。慶司はその風花を助け次々に襲いくる刺客を知恵と勇気で振り払っていく。終わりのない逃走の中、二人の間に育まれていく信頼、そして愛情。だが、冷酷なる運命が二人を引き離す。

 

風花が追われる理由とは?慶司に隠された秘密とは?そして、アメリカ全土を巻きこむ大いなる陰謀とは!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、だいたいそんなようなことがあってね」

 

「あったの!?っていうかツッコミどころ総スルー!?」

 

「陰謀とか刺客とかはないけど、風花が慶司に助けられたのは本当。ま、助けられたのは風花だけじゃなかったけどね・・・・・」

 

「そ、それで・・・・す、好きに・・・・・なっちゃたり・・・?」

 

「・・・かもしれない」

 

「~~~~~~~っ」

 

「・・・・まなみ?」

 

「す、スペック!姫川先輩のスペックを教えてっ」

 

「風花のスペック?う~ん、顔とかプロポーションとかは自分で見て判断すればいいね?あたしや慶司のクラスの委員長で、真面目で責任感は強いし、その割には堅くないから信頼は厚いかな。成績もかなりよくて学年で上位20位以内にはまず入ってる。常に予習復習を欠かさないで成績を保つタイプね。そしてなにより特筆すべきはそのメティス!《学園最強の盾》!《絶対防御》!無敵の《アイギス》の使い手!」

 

「が、学園最強・・・。わ、わたしのメティスは・・・鉛筆を硬くするだけ・・おお・・・・ぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

そこでわたしは崩れ落ちる。そんなハイスペックなんて・・・・・

 

「琴羽ちゃん?私のこと話してる?」

 

「アハハ、ごめんごめん。まなが風花のことどんな人かって聞いてきたから」

 

「そんなの私に直接言ってくれればなんでも教えるのに」

 

その時、入り口のドアをノックする音が聞こえた。誰だろう。まだ澄之江には琴羽ちゃんと姫川先輩以外知り合いはいないはずなのに・・・・。

 

「・・・・はい?」

 

「夜分にごめんなさい。今日入寮した方ですね?」

 

わ、なんかすごく雰囲気のある子・・・・。わたしと同じか、それよりちっちゃいくらいだけど、1年生ってことはない気がする。

 

「あ、はい。速瀬まなみです。よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。私は3年A組の宇佐美沙織、風紀委員をしています。学園内だけじゃなくて寮内の風紀の監督もしているので、なにか困ったことがあったら相談してください」

 

「あ、沙織せんぱーい」

 

「こんばんわ」

 

「あら、風花?沖原さんも、もう自室に戻っていなければいけない時間ですよ」

 

「あっ・・・・ごめんなさい」

 

「あの、姫川先輩は、わたしを部屋に案内してくれたんです。わたしの到着自体遅かったんで、それで・・・・」

 

「そう、だったら謝らなくてよかったのに」

 

「風花はそういう時、まず謝っちゃうからねぇ」

 

「ふふ、それが良いとこなんだけど・・・・それで、沖原さんは?」

 

「げっ。え、えっと、それはですね・・・・その・・・・」

 

「琴羽ちゃんは、『どれどれ、どんな部屋~?』って覗きにきただけです」

 

「ちょっ、まな!?」

 

「琴羽ちゃんはそういう時、まず謝っちゃった方がいいと思うよ?」

 

「風花にまでっ」

 

「はいはい、事情はわかったから、二人も自室に戻ってください」

 

「速瀬さん、寮生活でわからないことがあったら、私や先輩たちに遠慮なく聞いてくださいね。ルームメイトがいないから大変だと思うけど―――」

 

「・・・・・?」

 

「・・・・速瀬・・・・さん?」

 

「はい」

 

「・・・・速瀬・・・・慶司とは・・・・?」

 

「あ、先輩もお兄ちゃんのこと知ってるんですね・・・」

 

「妹?」

 

「妹です」

 

「妹、妹」

 

「うぅ、お兄ちゃん、ここにきたばかりのはずなのに・・・女の子の先輩まで仲良くなって・・・・」

 

「な、仲良くなんてなってないですからっ!」

 

「ひぇっ!?ご、ごめんなさいっ」

 

急にびっくりした。すごく怖い・・・

 

「あ・・・私こそいきなりごめんなさい。でも、お兄さんと違って妹さんは礼儀ただしそ―――」

 

「速瀬くんは礼儀だってちゃんとしてますっ!」

「お兄ちゃんは礼儀正しいです!」

 

私と姫川先輩が同時に叫ぶ。

 

「――――――っ!?!?」

 

「ぁ」

 

「ぅ」

 

「ぅわ・・・・・・・」

 

「えっと・・・・速瀬さん。神野真くんという2年生の先輩を知っていますか?」

 

「えっ?あ・・・はい。さっきあったので」

 

宇佐美先輩がなんとか持ち直し話を続ける。

 

「会ったんですね。じゃあよかった。こちらの書類を今度彼に提出してください」

 

私に書類の入ったファイルを宇佐美先輩が渡してくる。それを私が受け取ろうとした時・・・

 

「にゃーーー」

 

急に猫の声がした。

 

「わわ・・・」

 

その声に宇佐美先輩が焦る。

 

「あれ?どこかで猫の声が聞こえる・・・・沙織先輩の仔?」

 

「ち、違うの。あれはその・・・・また勝手に入ってきちゃったのかな・・・・うぅぅ」

 

なんかぶつぶつ言ってる・・・

 

「と、とにかく、今日はもう遅いから、速瀬さんもゆっくり休んでね。あとその書類よろしくお願いします」

 

「はい」

 

「じゃあ、おやすみなさい」

 

「沙織先輩おやすみなさい」

 

「おやすみなさ~い」

 

宇佐美先輩は慌ててながら行ってしまった。

 

「・・・なんか慌ててたみたい」

 

「なんだろうね」

 

「さぁ?でも、沙織先輩の言うとおり部屋に戻ろ?まなみちゃんもお部屋の片づけ進まなくなっちゃうよ」

 

「確かに。風花、ちょっと先に戻ってて」

 

「ん?わかった、早くね~」

 

「は~い」

 

「姫川先輩おやすみなさいっ」

 

「おやすみ~」

 

そして姫川先輩も部屋に戻っていった。残った琴羽ちゃんと私は部屋に入る。

 

「・・・・さて、ちょっとだけ、まなに超お得情報」

 

「なによその怪しげな情報は・・・・」

 

「まぁ聞きなさいって。慶司の話」

 

「――――ッ!?」

 

「今日慶司と話しててわかったんだけど・・・・」

 

「・・・・・ごくり」

 

「あいつ、いまだに恋愛についてなにも考えてない」

 

「え・・・・」

 

「たぶんね、今はまだここにきたばかりで、メティスっていう事象が面白くて仕方ないんだと思う」

 

「なんでそんなこと・・・・・」

 

「あいつって興味あること見つけると目の輝きが違うじゃない?」

 

「うっ、確かに」

 

「恋愛に関しちゃ、あいつはまだがキって言っていいと思う。自分でもそう言ってたし。ま、あたしの胸とかちろちろ視線は向けたから、えっちなことはそれなりに考えているとは思うけどね」

 

「結局胸の自慢なの!?」

 

「違うって。それにまなみも結構おっきくなってるじゃない」

 

「これはものすごく努力した結果で・・・・っていうか、琴羽ちゃんあっさりその数倍になってるし」

 

「数倍ってどんだけ大きいのよ・・・・」

 

「そんなことより、お兄ちゃんの話。それ、確かなの?」

 

「まなみが一番近くにいたんでしょう?わからなかった?」

 

「・・・・わかんないよ。お兄ちゃん、自分の気持ち隠すの上手だもん」

 

「・・・・そっか、うん。あ、そういえば祐天寺美汐って名前に心当たりない?」

 

「ゆうてんじみしお?祐天寺ってここの親企業だっけ?」

 

「ふむ。その様子じゃ知らないか。昔会ってるかも知れないって慶司が言ってたから、まなみなら覚えてるかと思って」

 

「ううん、全然知らない・・・・と思う。祐天寺財閥の人なの?」

 

「まなみと同じ学年にいる正真正銘のお嬢様だよ」

 

「祐天寺の・・・・お嬢様・・・・」

 

「そっかじゃあ慶司はどこで会ったんだろう・・・・」

 

「わかんない。まぁ実際に会ってみたらわかるかも知れないけど・・・・・」

 

「そっか。じゃあもう一つ、これも情報なんだけど・・・・」

 

「うん。なに?」

 

「・・・・あたし、もう慶司のこと好きじゃない」

 

・・・・・・え?

 

「いや、そういう意味じゃなくて、友達としては好きだよ。すごく良いやつだし。でも、もう恋愛感情は抱いてない」

 

「・・・・どうして?」

 

「まな、あたしね・・・・新しく好きな人ができたの」

 

「えっ!?」

 

琴羽ちゃんに新しく好きな人!?

 

「うん。だから、もうあたしはライバルじゃないかな」

 

「・・・・・そっか」

 

琴羽ちゃんが恥ずかしいそうに笑う。なんかちょっと複雑な気分。

 

「で?その人は誰なの?どんな人?」

 

「えっ!?・・・・いや、今日まな会ったよその人と」

 

今日会った人?お兄ちゃんじゃないとしたら・・・・・

 

「まさか、姫川先輩!?駄目だよ!!琴羽ちゃん!!いくらなんでも女の子は!!!」

 

「ばっ、違うわよ!!」

 

「じゃあ、宇佐美先輩なの!?」

 

「だから女の子じゃないって!!」

 

まぁこれくらいからかうのはいいだろう。これ以上すると怒られそうだけど・・・

 

「・・・・なるほど。神野先輩か」

 

「・・・・うん」

 

うわっ、琴羽ちゃんの顔真っ赤だ。

 

「ふーん。確かにあの人なら、なんか納得」

 

「えっ!?珍しいね。まなが慶司以外の男の人を認めるなんて」

 

琴羽ちゃんが驚いた声をあげる。確かにあんまりお兄ちゃん以外の男の人をこんな風に受け入れられたことは私少ないかも・・・っていうか初めて・・・かも・・・

 

「うん。初めて会ったけどすごく優しかったし、良い人だなって思ったもん。それにあの人、すごいオーラ纏ってる気がした」

 

今思い出してもお兄ちゃんと比べても遜色ないくらいいい人かもって思える。

 

「うわーさすがね。よく見てるというか・・・・慶司の妹だね」

 

「でも、お兄ちゃんの観察眼はもっとすごいと思うけどね」

 

そういえば、お兄ちゃん今なにしてるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

keizi side―――――

 

俺の頭は真っ白になっていた。そんな俺を見ながら真っ白にした本人は確信を得たように笑った。

 

「慶司のメティスは、人のメティスをコピーするメティスだろ?ただコピーするのにも条件がある・・・・予想だがそれはメティスパサーと接触することでコピーするんだろうな」

 

完全に見切られている。俺が今さっきメティスネーム得たばかりなくらいだ。まだ誰にもばれていないと思っていたのに・・・・・

 

「・・・でもなんで・・・・」

 

「なんで・・・まぁ最初に慶司が『アイギス』を使ったからかな」

 

説明を始まる。

 

「メティスっていうのは前にも言ったが感情がそれを作り出していることが多い。姫川の場合、『なにかを守りたい』。沖原の場合だと『自由に泳ぎたい』。そんな風に強い感情がメティスを生み出しているっていうのがメティスの発現の最も大きな原因だと言われている。でも、おれには慶司がメティスを・・・・・『アイギス』を使った時、そこまでの強い意思を感じなかった。むしろ、なにかに気付いたような感じに見えた。これがまず理由の一つ」

 

ここまででもうほとんどばれているようなものだ。でも、これでまだ終わりではない。

 

「次に、実はメティスは今まで同じメティスを発現したメティスパサーはいないんだ。でも、結果が同じものは多くある。例えば、『アイギス』だがあれは空気を圧縮して盾を作るものだが、同じように空気を圧縮して盾を作るメティスは存在する。でもメティスネームまでは、同じなことはまずない。なぜなら、メティスネームというのは、個人のイメージが基になっているからだ。全く同じ思考回路の人間なんて存在しないだろ?それと同じで結果は同じでも考える過程は異なってくる。ズレた過程で考えられたメティスネームがしっくりくることなんんてまずないよ。だから、慶司のメティスは『アイギス』であるはずはない。他にも細々した理由はあるが主にこれが慶司のメティスが『アイギス』ではないと思った理由だ」

 

完璧な答えに俺はなにも言い返せない。圧倒的に負けている知識と細かい観察に俺はぐうの音も出ない。

 

「そうなると、次の疑問が湧いてくる。じゃあ、慶司のメティスはなんであるかだ。もちろんさっきの理由から『アイギス』ではない。では、『アイギス』を使うことができる。全く同じことを違うもので起こすのではなく、全く同じことを同じように起こすとなると、それを奪いかコピーするしかないだろ。でも、奪うというには少しおかしい。奪ったのなら姫川は『アイギス』を使えなくなるはずだから・・・・でも結果はつかえている。ということはコピーするというのが、慶司のメティスなのではないかとおれは思った。ただ信じられなかったから、偶然とはいえ試してみたんだよ今日」

 

 

「えっ!?・・・・あっ!!」

 

俺はそれをどこで試されたのかすぐにわかった。

 

「俺が琴羽とプールに隠れたとき・・・・・」

 

「さすが慶司。頭の回転が速いね。そこで慶司は全く問題なくあの時間内、プールに潜り続けることが出来ていた。そこでほとんど気付いていたんんだけど、ダメ押しに沖原が髪の毛をメティスで乾かしたと聞いたときに沖原のメティスをコピーしようとした。これで85%くらいだったものが100%になった。しかも、コピー条件はメティスパサーへの接触というのもここでわかったわけ・・どうかな慶司、どれくらい正解?」

 

その質問に俺は乾いた笑いをもらしてしまう。

 

「ははっ。まさかそこまでばれてるなんて・・・・・」

 

「まぁ、慶司はかなりポーカーフェイスが上手いし、そういった目で観察されなきゃバレることはないだろう。おれは色んなメティスパサーを見てきたから気付けたんだ・・・・・・・・・・隠すんだろ?」

 

「ああ。気付いてるように、このメティスはばれたら対策される。ストックしておけるのは一つだけみたいなんだよな。制約が多いよ」

 

「確かにな。ただ、制約が多い分能力の幅も広いし、突破力も高い・・・・・・・多くのメティスを見てきたけど最強のメティスの一つだとおれは思うよ」

 

最強・・・・この目の前にいる男。この男こそ、この澄之江ではその名を冠するにふさわしい男だ。でも、その男が最強というのならたぶん本当にそうなんだろう。

 

「・・・・ただ慶司一つ言っておく」

 

その男の目がいままでにないくらい鋭く俺を見た。俺の身体が警告を発している気がする。

 

「おれのメティスはコピーするな。するとしてもかなりのメティスコントロールが身につくまでは絶対にやめろ」

 

「・・・・『フィーネ』か」

 

メティスパサーを破壊するメティス。しかもその破壊は文字通り破壊。メティスパサーを殺すメティスであり、この目の前の使い手の大切な人を奪ったメティスでもある。

 

「慶司が今、このメティスを使えばたぶん最悪のことが起きる。それはどうしても避けたい。だからまだおれのメティスはコピーするな。なにか間違いがあってコピーしたのなら、すぐに破棄するか、使わないようにしてくれ」

 

「それはどんな危機的状況であってもなのか?」

 

「自分の命が本当に危険に陥った時なら使ってもいいけど・・・・・まずそうならないようにする必要があるだろ」

 

「・・・・わかった」

 

「ああ。頼む」

 

そういって俺に笑いかけてくる。その笑顔には少し諦めたような悲痛の表情が滲んでいた。




どうでしたか?

新しく評価をくれた方ありがとうございます。

感想、評価じゃんじゃん募集していますのでよろしくお願いします。

では、また次回。

簾木 健

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