カミカゼエクスプローラー 無のメティス   作:簾木健

5 / 20
やっとできた・・・・・本当に皆様お待たせしました。

早く次が読みたいというメッセージ本当にうれしかったので頑張ろうとしたのですが、ここ最近リアルが忙しすぎてですね・・・・

これからはどんどん更新していこうと思うので今後ともこの作品とこんな作者をよろしくお願いします。

簾木 健


日常 1

―――――makoto side―――――

 

「おはよー」

 

「おーす」

 

おれと慶司が一緒に教室に入る。なんだか慶司は横でげんなりとしている。確かに慶司が転入してからというもの色々なことが起きすぎてるしな・・・・・

 

「おはよう、速瀬くんと神野くん。浜北くんは一緒じゃないんだ?」

 

「航平はトイレが長そうだったから置いてきたんだ」

 

おれが答える。

 

「そっちこそ琴羽のやつは?」

 

「琴羽ちゃんはいつもギリギリだよ。私の方は委員の仕事があるから早く来ることが多いの」

 

「ふぅん。あんまり朝が弱いタイプじゃなかったと思ったけど・・・まぁ、それくらい変わるか」

 

「琴羽ちゃん、起きる時間は私と大して変わらないよ?でも琴羽ちゃん、朝のオシャレに結構時間かけてるから」

 

「朝のオシャレ・・・・・?」

 

「うん、髪の毛も長いし大変みたい。手伝いたいんだけど、私そういうセンスなくって、逆に琴羽ちゃんに髪の毛直してもらったりしてるんだよね・・・・。トホホ・・・・」

 

「まぁ確かにあの髪なら大変だろうな」

 

「それに沖原はこだわりが半端ないしな」

 

「そういえば、神野くん。琴羽ちゃんがそろそろお願いしようかなって今朝言ってたからもしかしたらお願いされるかもよ?」

 

「そういやそろそろしたほうがいいかもな・・・・」

 

そういや今日道具持ってきてるな

 

「うん?琴羽なにを真にお願いしてるんだ?」

 

「え?ああ・・・髪の毛だよ」

 

「髪の毛?」

 

「ああ。沖原の髪はおれが切っているんだ」

 

「・・・・・真。お前そんなこともできんのか?」

 

「ああ。慶司も切ってほしいなら切ってやるぞ?」

 

おれがそういうと慶司の顔が完全に引きつる。おれなんか変なこと言ったか?

 

「速瀬くん、速瀬くん。そこは気にしないほうがいいと思うよ?」

 

「ああ。姫川の言う通りだな。もう気にしないことにするよ」

 

?なにを気にしないようにしたんだ?

 

「うぃーす」

 

「おはよう、浜北くん」

 

「おー」

 

「おー航平どうだった?」

 

「いやぁ、出た出た。危うく詰まらせるところだったぜ」

 

「二人とも朝から汚い話すんなっての」

 

「にゃっはっはっはっは。自然の摂理、自然の摂理」

 

「そうだぞ。慶司」

 

「ったく」

 

「浜北来てるー?」

 

「んー?おー、池田。どうした?」

 

航平はその声に呼ばれてカバンだけを机に置き廊下に出て行った。池田だったな・・・・今日はサッカー部かな・・・・

 

「航平は男子にモテモテだな」

 

慶司がその様子を見ながら呟いた。

 

「あれだけ運動できるんだから、女の子にモテてもいいのにねぇ」

 

「・・・・まぁ航平は仕方ない」

 

てか完全に姫川は航平は眼中にないみたいだな・・・・・

 

「ふぁふぁっ・・・・」

 

その時慶司が不意にあくびをした。

 

「ふふっ、おっきいあくび。こっち来てから大変なこと続きだもんね」

 

「それもそうなんだけど、昨日の夜は航平と話しこんじゃって・・・・ふぁあっ」

 

「そういえば結構は時間まで話してたな・・・・確か航平が助っ人してたときにあったメティスパサーの話しだったよな?」

 

「ああ。なかなか興味深い話だったよ・・・そういえば真は昨日はずっと机に向かってたな。なにしてたんだ?」

 

「慶司の転入書類の確認」

 

「・・・・なんか悪いな」

 

「気にすんな。仕事だ」

 

慶司が本当に申し訳なさそうにしている。本当に気にしなくてもいいんだけど・・・・

 

「おっはよー」

 

その雰囲気を完全にその声で消し去ってしまった。

 

「おう、琴羽」

 

「おはよう琴羽ちゃん」

 

「よう、沖原」

 

「うん。おはよー。そうだ、真。今日の放課後空いてない?」

 

「うーん・・・・部活にもよるがたぶん大丈夫だ。髪だろ?姫川に聞いた」

 

「うん。今回は少しすくくらいなんだけどお願いできる?」

 

「わかった。祐天寺たちには休むっていっておくよ」

 

「なんかごめんね」

 

「いいって」

 

おれは携帯を取り出し、菜緒さんに連絡を入れる。あの人に言っておけば間違いないだろう。ついでにいつも借りてる店に連絡もしとくか。

 

「よし。オッケー。じゃ忘れんなよ」

 

「忘れないわよ」

 

軽く沖原がおれを小突く。それを慶司が不思議そうに見ていた。

 

「?どうした慶司?」

 

「いや・・・二人ってかなり仲いいよなって。どうやって知り合ったんだ?」

 

「「えっ」」

 

おれと沖原の顔が同時に赤くなる。あの時の話はねぇ・・・・

 

「そういえば琴羽ちゃん、神野くんとの出会いの話私にも話したことないよね。私も聞いてみたいなぁ・・・」

 

やばい、姫川まで乗ってきた。・・・・おれと沖原は顔を見合わせる。

 

「うーん・・・・」

 

「・・・・正直おれはあんまり話したくない」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。ちょっとな」

 

後で沖原から聞いた時かなり恥ずかしいこと言ってたんだよな・・・・あんまり公にしたくない。そんなことを考えているとチャイムが鳴った。

 

「あ、鳴っちゃった。みんなー、席についてー」

 

ここは姫川に助けられたな・・・・おれはふうと息を吐いて自分の席に着いた。

 

「おおっと、いけねぇいけねぇ」

 

航平も廊下から戻ってくる。そこで朝比奈先生が教室に入ってきた。

 

「起立、礼」

 

「おはようございます」

 

「着席」

 

「おはよう。浜北は遅刻でいいのか?」

 

「か、勘弁してください!」

 

相変わらず先生、航平のやつ大好きだな

 

「うん、勘弁してやるから、これからは気をつけろ」

 

「はいっ!」

 

先生、今日はご機嫌みたいだな。

 

「さっすが洋子ちゃん。胸は小さくても心は広いぜ!」

 

「バッカ・・・・」

 

おれは航平の発言に悪態をつき横の沖原も苦笑いを浮かべた。

 

「浜北、遅刻・・・・と」

 

「あれぇっ!?」

 

「さて、今朝の連絡事項だが――――」

 

先生が笑顔で航平を完全に無視して続ける。

 

「あれ?ちょっと待って!?もう遅刻確定!?俺チャイムより前に来てましたよ!?」

 

「浜北、黙れ」

 

航平のやつ完全に墓穴掘ったな。先生にその話はだめだろうよ。

 

「じゃ気を取り直して今朝の連絡事項だが――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上だ。あー、速瀬、おまえはちょっと来てくれ」

 

「はい」

 

慶司が先生に呼ばれて一緒に廊下に出ていく。

 

「あれ?慶司のやつなんかしたの?真知らない?」

 

「うーん・・・・特には思いつかないな。」

 

「そっか・・・まぁでも先生も怒ってる風ではなかったみたいだしなにかの連絡かな?」

 

「そうかもな。あまりにも馴染みすぎてわからなくなってるかもしれないけど慶司って転入してまだ二日しかたってないからな」

 

「確かに。まぁそこが慶司のすごいところなのかもしれないけどね」

 

「まぁな・・・・って戻ってきたな。やっぱり連絡だけだったな」

 

「そうね。あっ先生も来ちゃった」

 

そうして今日の学園生活は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?慶司実技いかないのか?」

 

次の授業はメティス実技なのだが慶司はどうやら実技室には行かないのか椅子に座ったままだった。

 

「ああ。俺のメティス、一回使えてからそれから一回も使えてないんだ。だから教室で発言講習を受けることにしたんだ」

 

「へぇー・・・・・」

 

おれはその言葉に軽く目を細める。

 

「うん?神野くんどうかした?」

 

慶司の横にいた姫川がおれに聞いてくる。

 

「少しおかしいと・・・・いや珍しいと思ってね」

 

「珍しい?」

 

姫川が首をかしげる。

 

「ああ。ふつうメティスが一回使えたなら多くがその感覚でメティスを使えるはずなんだ。でも慶司はそうなっていない。もしかしたら慶司のメティスにはなにかしらの発動条件があるのかもしれないな」

 

「ほとんど同じことを朝比奈先生にも言われたよ。メティスはもう一本の腕だって。その腕がリンゴをつかめないことはあっても腕が伸びないなんてことはないって。だからなんらかしらの条件があるんだろうって」

 

「うん。その通りなんだよな」

 

「ってことで姫川と真は琴羽と一緒に実技に行って来いよ。おれは航平と一緒に講習を受けるから」

 

「わかった。うんじゃ姫川行くか」

 

そこで少し姫川の顔が曇る・・・・こりゃどうやらそういうことなのかもな・・・・・

 

「うん。わかった・・・ってそういえば琴羽ちゃんは?」

 

なんとか気分を変えようとしてるように聞こえるが、まぁ突っ込まないほうがいいだろ

 

「トイレだってよ。でもそろそろ戻ってくるんじゃないか?」

 

「そっか。じゃ廊下で待ってようか。それじゃ速瀬くん行ってくるね」

 

「ああ。二人ともメティスが使えるようになったらそっちに行くからよろしくな」

 

おれたちは二人で廊下に出る。するとすぐに沖原が戻ってきて3人でメティス実技室に向かう。

 

「そっか。慶司は講習のほうにしたんだね」

 

「うん。大丈夫かな?」

 

「風花心配しすぎだよ。ねぇ真」

 

「ああ。航平もいるし大丈夫だろ」

 

「うん。なら良いんだけど・・・・・」

 

そういって姫川が少し顔を曇らせる。これは本当に重症かもな・・・・

 

「・・・・」

 

それより今は姫川のことよりも慶司のことだ。・・・・・慶司のメティスの能力・・・・それはたぶん慶司の能力はメティスのコピー、もしくはそれに準じる能力だ。というかそうでなかったのなら慶司の能力は果てしないことになってしまう。それでも十分反則級だがな。そしてその能力は何らかの条件でメティスをコピーしそれをたぶん使い捨てる。

 

「・・・・・たく」

 

おれは悪態をつく。今まであった中でおれにとって一番質の悪い能力だな。もしそれをおれに使われておれのメティスがコピーされてそれを慶司が使ったとしたら・・・・・

 

「っ・・・・」

 

本当に質が悪い・・・・どうやらなんとかして手を打つ必要があるな。

 

「こりゃ話すしかないかもな・・・・」

 

そうしなければ最悪・・・・・

 

「澄之江学園にいるメティスパサーのほとんどを殺すことになるかもしれないからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて・・・・・おれはなにするかね」

 

授業が開始されると同時にメティスの実技の授業ではメティスを実際に用いて、メティスの操作や強度を高めるトレーニングを行うのだが、おれがメティスを全力で発動するとおれ以外の人のメティスは使用不可になるのでおれはトレーニングを行うことはできないのだ。

 

「ちょっと身体でも動かすか」

 

おれはのんびりと立ち上がり実技室の隅に移動して構える。集中し相手を作り出す。ぼんやりとしていた影が形をなしていきそしてその影がおれの姿をなした。

 

「さって・・・行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

-----kotoha side

 

 

真のやつなにしてるんだろう・・・・・さっきまで座って暇そうにほかの人がメティスを使っているのを見ていたはずだった。でも私が風花に練習に付き合っているうち真は部屋の隅のほう移動して・・・・・なにかと戦っている。相手はいないはず・・・・でも私の眼には見えている。真が誰かと戦っている姿が・・・・・

 

「神野のやつ、相変わらずすごいことをやってるな」

 

「洋子ちゃん・・・・真はなにをしてるの?」

 

「なに、難しいことは一つもしてない。ボクシングなんかでよくシャドーとか言われているやつだ」

 

「えっ!?でもそれって・・・・」

 

「普通は相手をイメージして行うトレーニングだな。ただそれをやるのが武術の達人クラスになるとああやってこっちから見ても相手のイメージがわかるくらいのレベルになるんだ」

 

達人。本当は何十年もの月日を一握りの天才が訓練やトレーニングを積んで至る領域。私も水泳をやっていた時に何人か天才と呼ばれる人にはあったことがあるがみんな真のようになんとういうかあんな風にどこかにい至っている人はいなかった。当たり前だ。そんなの世界中でも一握りであるはずだ。

 

「・・・・先生」

 

「うん?」

 

「真って何者なんですか?」

 

「・・・・・・・」

 

朝比奈先生は言い難そうに私から視線を外す。

 

「言えないんですか?」

 

「・・・・・・すまん」

 

「そう・・・・・ですか・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----makoto side

 

「ふぅ・・・・・」

 

なんとか自分を撃退した。

 

「中々だな・・・・でも弱くなってるな・・・・こりゃ本格的に錆落としないとな」

 

「真!」

 

その声におれは振り返る、そこには青く長い髪をした子が立っていた。

 

「沖原か。どうかしたか?」

 

「いや、真なにしてるのかなって思ったの」

 

「ふつうにシャドーをしてただけだ」

 

「それが少しふつうに見えなかったんだよ」

 

「?そうなのか?」

 

おれおかしなことしてたか?

 

「そうそうそれと風花が来てってよ」

 

「姫川が?なにかしたのか?」

 

「うん。今日こそ真に勝つって」

 

「ほお・・・・」

 

姫川のやつ大きくでたな。そりゃ全力でやらないとな。

 

「まぁ・・・とりあえず全員メティス使うのやめさせないとな」

 

「あんまりやりすぎないようにね」

 

「ああ」

 

おれは沖原とともに姫川のもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう・・・・・」

 

姫川が膝を地面について悔しげにおれを見ていた。

 

「まだまだ『アイギス』のコントロールが甘いな。もうちょいそこんところ詰めろよ」

 

「っ・・・・・」

 

でも出会った時よりはいい硬度になったもんだ。

 

「・・・・・この世で真くらいよね」

 

「なにがだ?」

 

「・・・・・・・刀でアイギスを切り裂くなんて」

 

「簡単だぞ。沖原もやってみるか?アイギスの空気の密度が薄いところを切り裂けばいいんだ」

 

「無理。聞いてもできる気がしない」

 

「そうか。今度教えてやるよ」

 

「相変わらずだな神野」

 

「・・・・だいぶ落ちてるよ」

 

「そうか?私から見たら昔より強くなっていると思うぞ?」

 

「そりゃないな。あの時あの瞬間のほうが・・・・・」

 

「それは違うぞ神野」

 

「っ・・・」

 

朝比奈先生がおれの肩を掴む。

 

「お前はあの時を最強としているのかもしれないが・・・・・」

 

「最強だったよ。おれはあの時あの瞬間が」

 

「神野・・・・・・」

 

「でも・・・・・・今も結構良い線いってるとは思うけどね」

 

「・・・・そうか」

 

そういって笑うと朝比奈先生ゆっくりと手を放す。その笑顔に安堵が混じっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うまいな」

 

おれは学食でとんこつラーメンをすすりながら呟く。おれと同じテーブルにはさっきの授業の流れで沖原と姫川というが一緒に座っているためさっきから男子から嫉妬と羨望の視線が痛いが気にしない。気にしても仕方ないしな。

 

「相変わらず真はラーメン好きだね」

 

沖原もその視線を気にしてないのかいつも通りなのだがその横にいる姫川はなんだか落ち着かないようでそわそわとしていた。

 

「風花?どうかした?」

 

「えっと・・・・・なんだかさっきからすごく見られてない?」

 

「そうだな。まぁおれはともかく二人はこんな視線には慣れてるんじゃないのか?」

 

「えっと確かに琴羽ちゃんと一緒にいると視線は感じるんだけど・・・・」

 

「それは私だけじゃなくて風花も視線集めてるんだよ?」

 

「えっ?」

 

姫川が沖原の言葉にキョトンとする。それに沖原とおれは苦笑いを浮かべた。そしてその顔のままおれの向いた。

 

「それに真のもだよ」

 

「おれ?」

 

「うん。結構聞くんだよ。真のこと尊敬してたりする後輩のこと」

 

「そうなのか?でもおれって後輩にそんな風に尊敬されるようなことしたか?むしろ『メティス喰い』のせいで怖がられてるじゃないか?」

 

『メティス喰い』。かなり好きではない呼び方だが、おれの意思とは別にその名は学校中に広がっている。そんなおれを尊敬するなんて・・・・

 

「確かにその二つ名はかなり恐れの対象だよ。メティスを使って色んな悪さをしてる人たちにはね。普通の生徒からはそういった人から守ってくれるヒーローみたいなんだって」

 

「私もそれ聞いたことある。一緒に聞いてた沙織先輩はすごく複雑そうだったけど」

 

「かなりくすぐったいな」

 

「でも、あたしも感謝してるよ。そのヒーローみたいなところ」

 

「「あっ」」

 

「私はそのおかげで助かったんだしね」

 

「・・・悪い沖原。嫌なことを思い出させたな」

 

「いいよ。終わったことだし。めっちゃ感謝してるんだよ」

 

「そうだよ。あの時に神野くんが助けてくれたから、琴羽ちゃんが今こうしているんだから」

 

「うん。風花のいう通りだよ」

 

「・・・・・」

 

おれはあの時のことを思い出す。確かにあの時はやばかったと思う。というかあの日は珍しく取り乱したよな。というかあいつら・・・・マジで・・・・・・

 

「真・・・・」

 

「うん?」

 

「いや・・・・なんかヤバい雰囲気が出てたから」

 

「えっ・・・ああ。悪い」

 

どうやら殺気が滲み出てしまったみたいだ。うーん・・・・やはり感情のコントロールは難しいな。

 

「あっ汀先生」

 

「あら、みんなご飯?」

 

姫川がある人に気が付いて声をかけた。

 

「あっ薫子先生こんにちわ」

 

「こんにちわ。沖原さん、姫川さん。それに真くんも久しぶりね」

 

「そうだね。またスカウティング?」

 

「ええ。今回はかなり個性的な子でね・・・・」

 

汀薫子さん。CSCの出向されている先生でおれの保護者にあたる人だ。おれが日本に来てここに入学するまで薫子さんの家でお世話になっていたのだ。おれの日本の親代わりにあたる人だ。

 

「じゃまた転入生が来るんですか?」

 

沖原がそう聞いた時に薫子さんがハッとして固まってしまった。

 

「・・・・もしかして機密事項だった?」

 

「ええ。どうも真の前だと気が緩むわね」

 

薫子さんがはぁとため息をつく。

 

「なんかごめんな・・・・・そういえば慶司、面白いな」

 

「あら?そういえば真や沖原さんや姫川さんと同じクラスになったんだったわね。彼どう?」

 

「面白いよ。沖原は知り合いみたいだったし、姫川もすごく気に入ったみたいだしな」

 

「あら?そうだったの沖原さん?」

 

「はい。昔馴染みの腐れ縁なんです」

 

「そうなのね。姫川さんも気に入ってもらえてよかったわ。ぜひ仲良くしてあげてね」

 

「はい。わかりました」

 

「じゃ私は行くはね。真くんまた連絡するから今度食事でも行きましょうね」

 

「わかった。楽しみにしてるよ」

 

「ええ。私もよ。じゃ三人ともまたね」

 

そういって薫子さんはどこかに行ってしまった。

 

「なんかまた面白いやつが来るみたいだな」

 

「うーん・・・・ちょっと心当りがある気がする」

 

「そういえば、神野くんっていつから薫子さんと暮らしていたの?」

 

「中学1年生の時からだ。アメリカから帰ってきてから澄之江学園に来るまでの間だ。すごくお世話になってしまったよ」

 

おれはゆっくりとラーメンのスープを飲み干した。

 




感想・ご指摘じゃんじゃん募集しているのでお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。