カミカゼエクスプローラー 無のメティス   作:簾木健

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みなさん!!こんばんわ!!簾木健です。

今回は文量は少なめです。ここのほうが区切りがよかったのでここで切りました。

今回もみなさんに楽しめていただければ幸いです!!


簾木 健


日常2

makoto side――――

 

「今日もいい天気だな」

 

慶司が空を見ながら呟く。

 

「確かにいい天気だな。快晴だ」

 

おれが答える。

 

「秋晴れが続きますま~」

 

航平もにこやかに言う。本当に良い空だと思う。今日は静かな1日になるといいな。

 

「遅~い。もっと早く出てきてよ~」

 

あれ?この声は・・・・

 

「へ?ああ、まなみ。おはよう、なにやってんだ?」

 

そこには速瀬まなみが立っていた。・・・・・たぶん、慶司を待っていたんだろうな。

 

「おはよう。まなみ。慶司待ってたの?」

 

ちょっとした意地悪。それにまなみは真っ赤になった。

 

「え!?えっと・・・まぁ、転入初日なんで・・・・そういえば神野先輩これなんですけど・・・」

 

そう言ってまなみがおれにファイルをおれに渡そうとしてくる。それは、昨日沙織先輩に頼んだ書類だった。ファイルから出して確認・・・・・・うん。大丈夫だな。

 

「ありがとう。不備もないみたいだし・・・こっちで預かっておくね」

 

「はい!お願いします!!」

 

「おう」

 

本当に元気な子だな。

 

「コホンコホン。あー、慶司君、真君,こっちにきなさい。これは君たち、どういうことかね?」

 

「真はともかく、慶司はまだ転校したてである君が、男子寮の前で女子生徒を待たせている。しかもそれは同じクラスの沖原や姫川でもなく、同じクラブの祐天寺さんたちでもない・・・・・しかもかなりかわいい!しかも下級生!しかもおっぱいもおっきい!!その上おっぱいもおっきい!!」

 

「そこが大事なのか・・・・航平もぶれないな」

 

おれは呆れて笑うしかない。初対面の女の子にこんなことを言うからあんなに運動ができるのにモテないんだよ。

 

「なんでだよ!なんでそんなにモテモテなんだよ!モテ期か!?スーパーモテ期か!?スーパーモテ期国債ファンドなのか!?」

 

意味がわからないことを言って慶司の肩をつかみ航平が大声あげる。そんな航平に対し慶司は冷静に返した。

 

「まぁ落ち着け。モテ期じゃないし、そもそもこいつはそういうのじゃない」

 

「じゃあどういうの!?Do you know!?」

 

「結構いい発音だな」

 

「真もなんでそんなに他人事なんだよ。航平は意味わかんねーし。これは速瀬まなみ、俺の妹だよ。まなみ、こいつは俺のもう一人のルームメイト、浜北航平」

 

「お兄ちゃんのルームメイト!?」

「慶司の妹!?」

 

まなみと航平が大声をあげる。この二人、同時にいるとちょっと面倒かも・・・・

 

「ちょっと待て慶司!沖原という幼馴染がありながら、さらに妹だとっ!?あと真なんでお前が慶司の妹を名前で呼んでいるんだ?まさか運命の再開だったとか!?」

 

「昨日の夜会ってな。慶司と区別しにくいから名前で呼ぶことにしたんだ。運命の再開などなく、まだ出会って2日目だ」

 

おれは冷静に返す。

 

「てか航平、ありながらってなんだ!?幼馴染と妹が両方いたって別にいいだろ!?」

 

慶司は今回は激しく突っ込む。それ絶対に火に油だ。

 

「いいや、よくないね!沖原だけでも羨ましいのに、このまなみちゃんだって無茶苦茶かわいくて、おっぱいがおっきいじゃないか!」

 

「航平、妹は淫猥な言葉じゃないぞ」

 

「俺、前に妹いるって言わなかったっけ?」

 

「そこは覚えてな―――――ハッ、かわいい友達の妹・・・・・」

 

そこで航平は何かに気がついたらしく慶司から視線を逸らし、そこまで長くはない前髪をフッとかきあげながら、まなみに向きなおった。

 

「どうも失礼しました。俺、慶司のルームメイトで浜北航平っていうんだ。よろしくね、まなみちゃん」

 

「ど・・・・どうも・・・・」

 

いい笑顔でいまさら格好つける航平に対しまなみは少しずつ距離を取る。こりゃ完全に引かれたな。そう思っていると今度は慶司が航平の肩を掴んだ。しかもかなり力強く。

 

「――おい航平、誰に断ってうちの妹に色目使ってんだ?」

 

「ひっ!!」

 

慶司から少し殺気が漏れる。目も真剣そのものだ。―――シスコンなんだな慶司。

 

「なぁんてな!冗談だよ冗談!ハッハッハ、まなみのこともよろしくしてやってくれよ!」

 

「お、おお・・・・冗談だよな・・・・冗談・・・ハハ・・・・・ちょ、ちょっとだけびびったけどな・・・ちょっとだけ・・・」

 

航平はかなりびびったようでげんなりとしている。まぁ急にあんなことをあんな風に言われたらふつうの人なら怖いよね。

 

「も、もう、そういうつまらない冗談、やめてよねっ!」

 

まなみは顔を赤くしながら素直じゃないこと言っている。こりゃ内心かなり喜んでるな。

 

「ハハハ、ごめんごめん。じゃあ行くか」

 

「了解」

 

「うんっ」

 

それにいつも通り気づかない慶司。今日もいつも通り平常運転みたいだな。おれがそんなことを思いながら慶司とまなみの後ろから歩き出す。

 

「・・・・冗談・・・・だよな・・・・冗談・・・・・ハハハ・・・・」

 

この男は無視しても構わないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、まなみは二人部屋じゃないのか?ルームメイトは?」

 

登校途中慶司がまなみに尋ねる。そういえば、まなみの部屋のことおれ慶司に話してなかったな。

 

「わたし?一人だよ。二人部屋を一人で使えるから広くていいけどねー」

 

「あれ?そうなのか?」

 

「まなみが入った部屋は元々物置でな。そこを強引に部屋にリフォームしたんだ。寮は部屋が足りてなくてな」

 

「そうなんだ」

 

「確かに一人部屋は広くていいよな。ただ少しもの寂しいんだよな」

 

航平がそんなことを漏らす。

 

「あれ?航平は真と一緒に住んでたんじゃないのか?」

 

「慶司が編入してきたときはそうだったんだが、おれ1年の途中までは一人だったんだよ。だから、真や慶司が今では一緒でかなり楽しいぜ。ほんとに二人ともありがとうな」

 

「おう」

 

「アハハ、そいつはどうも」

 

サムズアップの上ウィンクとかされてもどう返していいのかわからないから適当に流しておくことに限る――普段はそれで済むのだが今回は3人ではない。4人いるのだ。

 

「―――ちょっと浜北先輩?お兄ちゃんをおかしな道に引きずりこまないでもらえますか?」

 

「ひっ!」

 

「女子がみんなホモ好きだと思ってるなら大間違いですよ!?」

 

「そ、そ、そんなこと思ってないよ!?」

 

・・・・航平まじかよ。てか慶司の妹だな、結構迫力あるじゃん。てか航平膝をガタガタ震わせているけど、それでいいのか・・・・航平を不憫に思ったのか慶司がフォローに入る。

 

「こらこらまなみ。こう見えても航平はスポーツ万能でいろいろな運動部に助っ人参戦してるんだぞ?ということはつまり、腐女子脳によるカップリング妄想の対象になりやすいわけで―――」

 

「慶司・・・・」

 

それはフォローじゃないだろ。

 

「慶司までなに言い出してんだ!?」

 

「ほらっ!」

 

ほら、まなみの航平を見る目がさらに鋭くなる。

 

「俺のせい!?」

 

完全にとばっちりである。はぁ・・・さすがにフォローを・・・そんなことを思ったとき・・・

 

「ずいぶん賑やかな登校ね」

 

聞きなれた声がした。そういや帰ってくるって言っていたな。

 

「この間ぶりだね」

 

「ええ。この間学食で会ったぶりね」

 

そこにはおれの保護者である薫子さんがいた。

 

「汀さん、おはようございます。申し訳ありません。すっかり転入の挨拶が遅れてしまって・・・・」

 

「汀先生、おはようございます。いろいろご迷惑かけちゃってすみませんでした」

 

転入組の二人が挨拶をする。二人とも薫子さんが全国飛び回って見つけてきたんだもんな。

 

「おはよう、二人とも。いいのよ、二人が澄之江に来てくれて嬉しいわ。それに、さっそく環境に馴染んでるみたいでよかった。フフ」

 

「おはようございます、薫子先生!!」

 

今度は航平が元気一杯挨拶をする。

 

「ああっ、今日も素敵なおっぱいだなぁ・・・。たまんない。このはち切れんばかりのおっぱいは本当にたまらない。こんなこと決して口には出せないけど、マジ顔うずめたいよぉ・・・・・っ」

 

「おい。航平」

 

「・・・へ?ひっ!!!」

 

これはシメていいよな。

 

「おれの保護者になに言ってんだよ」

 

「ええっと・・・あの・・・その・・・・」

 

まぁとりあえず一発入れとくか・・・・と思って拳を作って航平に近づこうとすると横から声がかかる。

 

「真、殴るのは感心しないわね」

 

さすがおれの保護者なにしようかはわかるか。

 

「いやでもよ、今のは航平が悪いでしょう」

 

「それでも暴力はダメ・・・・浜北くんもごめんなさいね。この子喧嘩っぱやくて」

 

「い、いえ!!全然!!全然大丈夫です・・・ほんとに・・・・・」

 

「ちっ!」

 

「真、舌打ちしない」

 

そんなやり取りをポカンと慶司とまなみは見ていた。

 

「真、汀さんとどんな関係なの?」

 

「え?慶司には話してなかったっけ?」

 

なんか話した気もするけど・・・まぁいいか、まなみもいることだし。

 

「薫子さんはおれの保護者だよ。おれが澄之江にくるまでは一緒に住んでた。母親代わりだな」

 

「「そうなんですか!?」」

 

慶司とまなみが驚きの声をあげる。

 

「ええ。二人とも真は普段どう?変なことしてないかきちんと見張っておいて、なんかあったら私に連絡してね」

 

「急になに言ってるだよ!?」

 

「だって真、あんまり私に色々話さないじゃない。こういうところから情報を仕入れないと」

 

「今度話すから勘弁してくれ」

 

はぁ、薫子さんも相変わらずだな。

 

「あ、いたいた。まなー」

 

おれがはぁとため息をつくと今後は後ろから声がかかる。今度のも聞き慣れた声だ。

 

「ほぇ?あ、琴羽ちゃん」

 

おれたちの姿を見つけて、琴羽と姫川が小走りで近寄ってくる。

 

「お、薫子先生も一緒だ。おはようございます。朝から会うとは珍しい」

 

琴羽が挨拶をする。

 

「みんなおはよ~。汀先生も、おはようございます」

 

続けて姫川も挨拶をした。

 

「はい、おはよう。沖原さんは自分がいつももっとギリギリなだけでしょう?」

 

「アハハ、まぁそうなんですけどねー・・・・・とはいえ、今日は早く支度したんですよ?まぁ、案内しようと思ったまなみがもうとっくに出ちゃってたわけですけど」

 

「それならそうと言ってくれればよかったのに・・・・」

 

まなみが申し訳なさそうにする。確かにこの時間なら琴羽にしてはかなり頑張って準備したよな。

 

「だから私はもっと早くって言ったのに、琴羽ちゃんが大丈夫大丈夫って・・・・」

 

「にゃははははは、そういうこともある!」

 

・・・・やっぱり琴羽は琴羽だった。というか・・・・・ここ完全に・・・・

 

「・・・みんなかなりヤバいよな」

 

さすがにおれも男ということで気になる。横もみると慶司も気になっているようで視線がその辺をうろついていた。航平にいたっては薫子さんのそれをガン視している。

 

「航平はあとでシメるとして・・・・やっぱり大きいよな」

 

みんな大きんだけど・・・・やっぱり気になるのは琴羽だ。まぁ何回か当たったり押し付けられたことがあるし普通に教室とかでも、そう思うことはあるが、こう・・・なんだ・・・・大きい人の中にいても破格だと思うんだからマジでヤバいくらいだよな。

 

「・・・・・なんというか、パラダイスだな・・・・」

 

横で慶司がポツリとそう呟いたのでおれはハッと我に返った。

 

「ああ・・・・おっぱいたまんないよな・・・・俺は・・・・俺はもう・・・・」

 

「確かにな・・・・」

 

おれはもう頷くしかないレベルだ。

 

「航平は見るな、うちの妹が穢れる気がする」

 

「にゃに!?真は良いのに!?」

 

「真は穢れる気がしないし」

 

「くっ、このシスコンめ・・・じゃ、じゃあなるべくまなみちゃんは見ないようにするからっ」

 

「んー・・・・それなら、まぁ・・・・」

 

「―――よっしゃ!!じゃあさっそく・・・・・」

 

「「――ざけんなよ?」」

 

おれと琴羽の声が被る。

 

「ヒッ!!!!!」

 

その声と殺気に航平はたたらを踏んだ。

 

「な、なんなの・・・・?今日は俺、ずっとこんななの・・・・?」

 

その後、航平は後ですごい報いを受けたのだがそれはあまりに凄惨なため、ここでは語れない。しいて言えば・・・・一定の女子は大喜びだったようなことをした。

 

「やっぱり速瀬くんもえっちな人だったんだ・・・・」

 

姫川が複雑そうな顔でそんなこと言う。この表情、完全にフラグ立ってるだろ。

 

「俺がえっちなのは否定しないけどさ、やっぱりみんなスタイルいいよな。どうしても目につくものは目につく」

 

「わっ、私はみんなほどじゃ・・・・」

 

姫川は今後は照れて顔を赤くする。まぁこういう表情の女の子はかわいいよな。うん、ちょっとドキッとしたのは仕方ない。

 

「と謙遜していますが、風花さんも充分大した物でです」

 

「うん。立派なもんだ」

 

「姫川はもっと自分に自信を持っていいと思うぞ」

 

「琴羽ちゃん!!速瀬くん!!神野くん!!」

 

「なんだよ、この対応の差は!!俺がぬけ〇く先生のようなエロい目で見てるのが悪いってのか!?」

 

「ちゃんとわかってんじゃん・・・」

 

「てかわかっててやってんのかよ・・・・もうちょい自重しろよ」

 

こいつは本当にキツイお仕置きだな。

 

「まなみさん」

 

そこで薫子さんが少し大きい声でまなみに声をかけた。

 

「へ?あ、なんでしょう?」

 

まなみは考え事でもしてたようだった・・・・まぁ察するに慶司と姫川のことだろ。さっきから姫川ちょこちょこ慶司のこと見てるし。

 

「ちょうどいいから、私と一緒に職員室に行きましょうって言ったの。フフ、考え事でもしてた?」

 

「は、はい・・・・。すみません、ぼーっとしてて」

 

「いいのよ。昨日引っ越してきたばかりだし、疲れもあるでしょう?ずいぶんと急いだものね」

 

「あ、やっぱり・・・・」

 

書類が来てから来るまでがすごい早かったんだよ。しかも昨日の慶司との会話もあるし・・・・・

 

「べっ、別に、特別急いだりはしてないですよっ!?」

 

「え?そ、そう・・・」

 

薫子さんがちょっと微妙な表情になる。こりゃだいぶ急かしたな。

 

「まぁいいわ。行きましょう?」

 

「はいっ」

 

「速瀬くんっ、私たちも行こう。教室案内してあげるっ」

 

「もう知ってるって」

 

「ふふふっ」

 

そんな二人の甘いやり取りをまなみは見て、しょぼくれてる。

 

「まなみさん?」

 

ただすぐに薫子さんの言葉で我に返る。

 

「は、はい、今行きますっ」

 

そういって二人は行ってしまった。

 

「おれたちも行くか。航平さっさと行くぞ」

 

「ううっ理不尽だ」

 

おれは歩き始めた航平は苦笑いを浮かべる。そして向き直り

 

「琴羽も行こうぜ」

 

「オッケー!!」

 

おれたちの日常はどうやらいつも通りに始まっていった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、この日おれの日常は急展開を迎えた。始まりはこのおれの言葉だった。

 

「悪い琴羽、それとって」




いかがでしたか?

次回かその次でいわゆる共通ルートは終わりです。長かったな・・・・

次回からお話しは急展開をしていくはずですwww

そして怒涛の個別ルートに突入!!!・・・・・・・できたらいいなぁ!!

今回も感想、批評、質問、評価のほうじゃんじゃん募集しているのでちょっとでもなにかあれば書いてくれれば私もうれしいです。

ではまた次で会いましょう。

簾木 健

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