緋弾のアリアに転生したら危険な姉から逃げないといけなくなりました。 作:レイアメ
だが、言わせてくれ。
GER、楽しかったです。
恋は盲目という言葉がある。
その言葉はまるで彼女のためにあるようなものだった。
彼女は恋い焦がれていた。一度、それもただ彼女が陰から見ていただけだが―――敵を圧倒し、周りに屍を積み重ねるその姿。彼を一目見た時から、彼に憧れを抱いた。それこそ、彼以外に何も見えないくらい。
彼に会うためなら何でもした。狂信的なほどに焦がれるゆえに、人殺し、犯罪を犯そうが、何も何も感じることはなかった。ただ
足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない。
分からない。一体何が足りないのか、何が欠けているのか、何故―――此処まで切ないのか。
きっと彼女が普通の少女であれば気付くことが出来たのだろう。だが、盲目な彼女には見ることは出来なかった。例えるなら、アイドルが好きな熱狂的なファンだろう。それは恋ではない。好きではあるが、愛ではない。彼女はそれを知らなかった。
だが、彼に会った時、胸に宿るそれを感じた。名も知らぬ感情を知った。だから欲しくなった。その全てを愛したと思った。
「だから、私の全てを与えよう。だから私にお前を愛させてくれ」
彼女は何も知らない。見えない。聞こえない。感じない。彼だけを除いて。
彼女はただ純粋に無垢に―――盲目に彼を愛していた。
◇◇◇
「くっそ、見なきゃよかった―――!」
そう言って彼―――俺は顔を赤くさせ、叫ぶ。
さっきまでのはジャンヌの無意識を能力で覗かせてもらったが、あそこまでピュアだと思わんかった。それに無意識ということは偽りを許さない。つまり、100%の本心だということ。
こいつは俺に対して好意しか向けていないのだ。敵である俺に対して、いや、こいつは最初から俺を敵だなんて思ってなかったのだ。
だからやりずらい。俺は自分の事を善人だとは思ってはいないが、好意を向けてくる相手を殺そうなどと出来る筈もない。
未だ関節技で意識を持っていこうとしているが、一向に落ちる気配もない。つまり此処からはキンジやアリア、白雪達が来るまで持ちこたえさせないといけないのだが、何故かそれでいいのかと、訴えかけてくる。良いも何もそれが最適なのだが、自分の手でこの事件は終わられないといけない気がする。誰なのかわからないが、そう言っている。
という思考を遮るように、
「はぁ!?」
驚く間もなく、更に一発。無意識に腕が動き、ナイフで銃弾をはじく。その代わりナイフが弾かれる。まだ仲間が居たのかと驚くが、俺だけでなくジャンヌまで驚いている。つまり、この銃弾は完全なイレギュラ―――!
銃弾が飛んできた方向を睨めつける。そして俺は驚愕する。
「―――レキ!?」
「はい、助けに来ました。それと”それ”を殺すために」
ああ、知ってた。レキからは逃げられないんですね、分かります。―――いや、そうじゃなくて、は?
一瞬思考が固まる。瞬間、レキがドラグノフをこちらに向けて―――正確にはジャンヌに向かって撃つ。それを俺が能力の反射行動で弾く。そしてそのせいでジャンヌの拘束が外れる。
「しまっ―――!」
発砲。
それをジャンヌは超能力を使い、氷らせる。俺はその行動を横目にレキの近くに近寄り、止めるように諭す。
「レキ、やめろ。こんなところで銃を使うとか、火に油注ぐもんだぞ」
正確には爆薬に銃弾だけど。
俺の言葉にレキは此方を見ているかどうかも分からない、ハイライトが消えた瞳で俺を見つめる。
「何故ですか?あれは殺すべきです。貴方にあんなにも近くにいたんですから」
レキは虫を叩き潰すのと同じように、殺して当たり前、そう本気で思っている。
「あ、あれはしょうがないだろ!それにお前は武偵だろ、殺しは厳禁されていることを知っているだろ」
「―――何故?何故あれを庇うんですか?あれは敵で、私は味方。何故あれの味方をするんですか?」
「いや、そういうことじゃなくて―――」
その時、俺の言葉を遮るように氷の刃が俺とレキに迫る。それを俺がレキを突き放して剣の間合いから外し、俺はその反動で避ける。
「私から目を離すな。言っただろ、私のものにならないなら殺してでも、と」
前門のジャンヌ後門のレキ。神様、これは何の試練でしょうか。
軽く現実逃避しそうな頭を切り替えて、考える。俺が今なすべきことは何かを。
まず、ジャンヌを捕らえる。これがまず第一にやること。そして、それをするのにレキがジャンヌを殺さないように妨害。更にジャンヌに殺されないようにする。
つまり、俺はレキに強くて、レキはジャンヌに強くて、ジャンヌは俺に強い。
......無理じゃないかなぁ。何で三つ巴になってるんだよ。くそぅ。
「ああ、もう面倒くせぇ!全部捨ててかかってこいやぁ!」
◇◇◇
そして2話くらい戻って、キンジが見た光景に戻る。まあ、彼が見たのはジャンヌを殺そうと銃をぶっぱするレキと、それを阻止しながらジャンヌを抑えている燐と、2人を殺そうとガチのジャンヌだった。明らか燐の負担が多すぎるが、誰も気にしない。
空気が殺伐としすぎて、逃げだしたくなるが、何とか恐怖を抑えつけ燐のもとに駆け寄る。
「燐!大丈ぶ―――ぐはぁ!?」
殴られ、吹き飛ばされるキンジ。
「大丈夫なわけあるかぁーー!遅いんだよ!何回か死にかけたわ!」
「いつつ、いや、それはほんとすまんかった。そ、それより白雪は何処に居るんだ?」
それに答えたのは燐でもなく、ジャンヌであった。ちなみにレキはアリアに羽交い締めされている。
「ああ、白雪ならば倉庫の隅に眠っている。私の本命はあくまで燐だからな」
「殺す」
「ああ、レキ待って!こんなところで死にたくないのぉ!」
キンジはその言葉に安堵する。レキとアリアに対しては全力でスルーした。燐は何かを決意した顔でキンジに声をかける。
「キンジ、白雪を助けてこい。ジャンヌの相手は俺がするから。アリアはレキを押さえておいてくれ。いや、そんな絶望したみたいな顔すんな」
「いや、でもだな燐」
「いいから、行って来い。これは俺が解決しなきゃいけない問題なんだよ。それに武偵が超偵に勝てるかよ。―――大丈夫だ、問題ない」
「いや、それダメな奴!」
一見ふざけているように思えるが、燐の顔つきは真剣そのもの。だから、キンジはそれを信じて走り出した。それを見ることなく、燐はナイフを構える。それはゴムではなく、鋭い金属で出来た刃のものだ。
燐はジャンヌに対して、その想いに対して言葉を返す。
「俺にはやらないといけないことがある。命よりも大事な事だ。だから俺はお前の気持ちに返すことも出来ないし、お前のものにもなれない」
「なら、殺す。殺して私の中の永遠になってもらう。―――勿論力づくで」
「やれるもんなら、やってみろ」
燐とジャンヌはお互いの武器を構え、距離を詰める。まるで先程の焼き増しのように。しかし、先程と違い2人の間に明確な
◇◇◇
ああ、やっぱ思ってたよりやりずらい。向こうも本気で殺す気なのか、超能力を遠慮なく使ってきやがる。冷気で体温を奪いつつ、腕や足を凍らしてくる。しかも、無差別だ。
「そろそろ、きついんじゃないのか?」
「うっせぇ!そっちこそ動き鈍ってんじゃねえか!」
お互い軽口を叩くが、どっちも動きが悪くなっている。ジャンヌはおそらくさっきの関節技が効いたのだろう。いや、どっちにしろ今のままじゃ千日手だ。どうするべきか。
「―――私なら何とかできます。キンちゃん、見ててね」
そして、視界が炎で満たされた。
これからはちょくちょく時間が取れるので更新も早くなると思います。だから広大な心で待っていてくれると嬉しいです。
リメイクも同時進行していきますので、よろしくお願いします。