緋弾のアリアに転生したら危険な姉から逃げないといけなくなりました。 作:レイアメ
手錠って。そこまでしなくてm
ダメです。
......そうですか。
「ねえ、レキ頼みたいこと...が...」
「何でしょう?」
「・・・・・・・・」
此処はレキの部屋。此処には何も無い。家具もカーペットも、あるのはカロリーメイトの空箱だけ。いや、少し違うか。付け足すなら、そこには俺が手錠を着けられてることくらいだろう。多分、アリアもそこに驚いているのだろう。
「な、何してるのレキ?」
「何もしていませんが?」
「・・・・・・・・」
驚いた顔をするアリアと対象的にレキは無表情に返す。ちなみに俺はトラウマでアリスに捕まった後のことを考えたりした時、同じシチュエーションがあったので、この姿でいると段々嫌な想像が出てくるため、目が死んでると思う。
「ああ、そういうことですか。アリアさん、燐さんのことは気にしないでください。これは
「あ、な、何か燐が凄い目をしてるんだけど」
「答えになってませんが?」
「ご、ごめんなさい」
驚いた。まさかあのプライドの高いアリアを即答で謝らせるとは、それだけオーラがやばいのか。まあ分からなくもない。だってこんな状況で凄まれたら誰でも逆らえないよな。
「あ、あのね。た、たまにでいいから白雪を見張りをしてほしいかな~って」
「はい?」
「ひっ!」
見張りをしてくれないかとアリアが言った瞬間、レキの顔がさらに怖くなった気がする。アリアも超ビビッてる。しょうがないので助け舟を出してやることにしてやった。
「受けてやれよ、レキ。俺は切り札もあるし、襲われても大丈夫だと思うし」
「り、燐!?」
「......燐さん」
アリアからはキラキラした目を、レキからは元からの無表情に加え光の無い目を向けてくるからすげー怖い。
「レキ?」
恐怖を押さえこみ、諭すように声を掛ける。あ、声が震えてる。何だか命乞いしてるみたいになってる。
「・・・・ふっ。分かりました。その依頼受けましょう」
黙っていたレキは本来無表情な筈の顔が一瞬、本当に一瞬だが笑ったように見えた。そして、まるで良い事がありましたと言わんばかりの無表情顔で言った。アリア、同情の視線をありがとう。
その後、アリアは逃げるように帰っていった。そしてまた俺とレキの2人に。誰か、助けて。
◇◇◇
あれから俺はずっと部屋に手錠で繋がれている。ここで重要なのは
生だ。授業にも出ないといけない。故にここに
「ダメです。
と言うためしぶしぶ―――ではなく、
「いいですか?」
「......はい」
この時、俺は逆らってはいけない者の存在を知った。
というわけで俺はずっとこの部屋に居るのだが、暇でしょうがない。なので、
「脱出しようと思います」
誰に言ったわけでもなく、独り言として呟く。ちなみにレキは学校で授業を受けているはずだ。
でもまあ、脱出と言ってももう
「ふう。ピッキングも楽じゃないな」
俺がやったのは普通のピッキングだ。確かにこの手錠は対能力者用だろうが、普通の手錠なのだ。ピッキングくらい出来る。かといって俺はそっち方面はそこまでうまくないので、あくまで柱との手錠が外れただけで、手首にはまだ手錠がついている。
「さて、どうするか」
手錠が柱から外れて一時的な自由を手に入れた俺は今後の予定を考えていた。
このまま
まず、手錠を外した意味が無い。
却下。
学校
レキとエンカウント。即連行。
却下。
町
レキは学校に居るから来れない。
これしかない!
この考えに至った時、俺は走り出していた。
「おい、あれは何だ?」
「あれは、たい焼きだ。それくらい知っとけ」
何でこうなったんだろう?そう思う俺は現在、綺麗な銀髪とサファイアのような目をした女性に逆ナンされていた。しかもちゃっかり腕組みされてる。
遡ること、数分前。
俺はレキから逃げ出せたことに浮き足立っていると、後ろからいきなり声を掛けられた。
あ、手錠は速攻で外しましたけど何か?
「少しいいだろうか?」
「はい?何でしょうか?」
振り返るとかなりの美人が居た。ちょっとドキッとしたぜ。
「君は古明地燐でいいのだろうか?」
「......ああ」
少しの間を空けて答える。それと同時に警戒レベルを上げる。すると、
「ああ、警戒しなくていい。私はただ君に会いたかっただけなんだから」
「誰だ、お前?」
警戒するなと言われてもそんなの怪しすぎて、信じられるはずがない。とりあえず名前だけは聞いてみる。
「私はジャンヌ・ダルクといい。分かりやすく言うと
―――
魔剣。その言葉だけで十分だった。まず、手刀を首に当てようとして、気付いた。
「何で、避けようとしない」
「言っただろう、警戒しなくていいと。私はお前に何もするつもりは無い」
「いや、そんな事を言われても信じる奴が居るわけ無いだろ」
「確かにそうだが、私は今お前の手刀を避けなかっただろ。それが証拠だ」
そう言われると信じざるを得ない。警戒レベルはそのままで手刀を首から外してやる。
「で、何の用だ?」
「何、ただ会いたかっただけだよ。それに此処に来るのは初めてだからな、案内でも頼もうと思ってな」
「案内?」
そして今に至る。
「なあ、結局何がしたいんだ?」
「まあ、もう少し待て。それより、あれが食べたいんだが」
「分かったよ。金は出してやるから買ってこい」
「いいのか!では買ってくる!」
目をキラキラさせながら屋台に駆け寄るジャンヌの姿を見て、今更ながら俺は何やってんだ、と思った。
たい焼きを持ってこっちに戻ってくるジャンヌを見て俺はため息を吐いた。
◇◇◇
もう日が落ちて綺麗な夕焼けになっている時間まで町を案内した俺とジャンヌは近くの公園のベンチに座っていた。
案内するに当たってこいつは色々な物を食べ歩いた。たい焼きから始まり、焼きそば、お好み焼き、クレープ、ワッフル、マーボー豆腐、ラーメン、から揚げ、チャーハン、スパゲッティ、ハンバーグ、サラダ、ステーキ、パフェ、寿司、焼肉、等々、食いすぎだ。ちなみに全部俺の奢りである。諭吉さんが何枚か消えたぜ。
「で、あれだけ食っといて何も無いですじゃないんだろ?」
「当たり前だろう。これからその話をしようと思っていたんだ」
「なら、早くしてくれ。もう時間がヤバイ」
具体的には携帯のバイブが鳴り続いてるくらいにヤバイ。
「そうか、なら単刀直入に言おう」
「・・・・・・・・」
夕日をバックに此方を見るジャンヌ。銀の髪が光を反射して幻想的に見える。それに相まってジャンヌの真剣な顔がより綺麗に見える。
そしてジャンヌは何拍か空けて、言った。いつかのアリアと同じように。しかし此方はアリアと違い、
「私の者になってくれないか?」
とプロポーズのような言葉だった。それに対して俺は
「・・・・は?」
マヌケな声くらいしか出なかった。
アリア帰宅後
「何処に行ってたんだアリア?」
「・・・・・・・・」
「ど、どうしたアリア?そんなに震えて」
「き、キンジ?」
「ああ、どうしたんだ?」
「き、キンジィィイイイイ!!」
「うおっ!ほんとにどうした!」
「ウワアアァァァンンン!!!」
こんなやり取りがあったとかなかったとか。