緋弾のアリアに転生したら危険な姉から逃げないといけなくなりました。   作:レイアメ

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前回のあらすじ
何か、そりが合わないんだよね。


護衛と、手錠

―――キンジSide―――

 

 俺は今何故か教務科にアリアと潜入しないといけなくなってる。何故なら、

 

『 生徒呼出 2年A組 救護科 古明地燐

       2年B組 超能力捜査研究科 星伽白雪』

 

 という貼り出しを見たアリアがいきなり

 

「教務科に、潜入するわよ!」

 

 と言い出して今は通気口の中でアリアと一緒に会話を盗み聞きしている。

 

魔剣(デュランダル)、ですか」

 

 この言葉にアリアの眉がピクッと動いた気がした。

 周知メールで見ただけだが、俺もその名前は覚えてる。

 超能力を用いる武偵・『超偵』ばかりを狙う―――誘拐魔

 下の会話で燐も同じことを言っている。というか相変わらず仲悪いなあの2人。

 

「そーいうこと。だーかーらいいかげんボディガードをつけろってこと」

「おい、じゃあ俺は何で呼び出されたんだ」

「ああ、そうだった、そうだった」

「そうだったじゃねえよ。さっさと言え」

「あんたにもその魔剣デュランダルから狙われてるってこと」

「おい、それじゃあ俺の件でもあるじゃねえか。何が関係ないだ」

「ああ、別に攫われても問題ないだろ、クソがキ」

「問題ありまくりに決まってんだろ、ババア」

 

 今にもケンカが始まりそうで白雪が慌ててるが、ケンカが始まる前にアリアが通気口のカバーを外して、飛び降りたせいで俺も落ちてしまった。

 

「―――そのボディガード、あたしがやるわ!」

「何やってんだ、お前ら」

 

 燐が呆れた様子でこっちを見る。そこに綴まで加わってこっちを見てくる。

 

「なんだぁ。こないだのハイジャックのカップルじゃん」

 

 なんか薄ら笑いを浮かべて斜め上からこっちを見る。カップル言うな。

 

「これは神埼・H・アリア。―――ガバメントの二丁拳銃に小太刀の二刀流。二つ名は『双銃双剣(カドラ)』。欧州で活躍したSランク武偵。でも―――アンタの手柄、書類上ではみんなロンドン武偵局が自分らの手柄にしちゃたみたいだね。協調性が無いせいだ。マヌケぇ」

 

 綴はツインテールの片方を掴みながら言う。

 

「やる気ないよりマシだろ」

 

 わざと聞こえるように言う燐の言葉をフンッと聞き流しながら、思い出たように言う。

 

「確か、欠点は。そうそうアンタ、およ・・・・」

「そそ、それは弱点じゃないわ!浮き輪があれば大丈夫だもん!」

「自爆してるぞアリア」

 

 ほほう、なるほど。アリアは泳げないのか。綴、ナイスだ。

 

「で、こっちは遠山キンジ君」

「あー俺は・・・・」

「キンジ、同罪だ」

 

 燐が目で諦めろと言っている。いや、俺はただ巻き込まれただけで。

 そんな虚しい思いも届かず、綴によって俺の情報が次々出てくる。

 

「性格は非社交的。他人から距離を置く傾向あり」

「武装は、違法改造のべレッタ・M92F」

 

 燐が俺の武器情報をサラッと流しやがる。

 

「あー、そういや、そうだったな。3点バーストどころかフルオートも可能な通称・キンジモデルだっけ」

 

 くそう。そもそも知ってやがったか。

 

「あ、そういえばぁー。お前も違法改造の武器を使ってるんだってぇー」

「あ、何のことだ?」

「知ってんだぞ。装備科にも依頼したことは無いし、大方犯罪者のやつを勝手に使ってるんだろ。あんたは高校生にしては持ってる武器が多すぎるからねえ。是非とも此処に入る前に何をやってたか教えて欲しいもんだ」

「・・・・・・・・」

 

 燐は黙っている。確かにこいつは今までどんな風に過ごしていたのか情報が少なすぎる。何かヤバイことをしてたんじゃないかと噂で出回ってるらしい。

 

「まあ、別にいいけど。でえ、どういう意味。『ボディガードやる』ってのは」

「言った通りよ。白雪のボディガード、24時間体制、あたしが無償で引き受けるわ!」

「いやです!アリアがいつも一緒だなんて、けがらわしい!」

「え、俺は?」

「あんたは別に大丈夫だしょ。てか攫われても別にいいしぃ」

「あ?」

「お?」

「あたしにボディガードさせないと、コイツを撃つわよ!」

 

 何だこのカオス。しかもいつの間にか俺はアリアに撃たれかけてるし。

 

「じょ、じょ、条件があります!」

 

 今だ燐と綴が睨み合ってる中、白雪が叫んだ。

 

「キンちゃんも私の護衛をして!24時間体制で!」

 

 何故か俺も一緒に護衛をしないといけなくなり、さらに、

 

「私も、私も、キンちゃんと一緒に暮らすぅー!」

 

 と何故か俺の部屋に白雪が来ることになり、さらに唯一一緒に住んでいた男は、

 

「あ、何故かレキが俺の護衛をするらしい」

 

 と青ざめた様子でメールで見ながら言った。

 ああ、終わった。俺が最後に思ったのはそれだけだった。

 

―――キンジSideEND―――

 

「なあ、レキよ。何でお前は知ってたんだ?」

「私は何時でも貴方を見ていますから」

「...そう。なあレキ。これ(・・)をどうにかしてくれないか?」

「ダメです。いつ魔剣(デュランダル)が攫いにくるか分かりませんから」

「いや、別に俺には手錠(・・)をかけなくてもいいじゃん」

 

 凄く変な会話をしている自覚は俺にはある。でも多分レキにはないのだろう。俺の目の前で体育すわりをしてずっとこっちを見ている。

 今居るのは、女子寮にあるレキの部屋。何も無い殺風景な部屋だが、そこに柱はあるわけで。そこに繋がれた手錠に手をしっかり繋がれてる。しかもご丁寧に対能力者用(・・・・・)の手錠だ。この手錠には能力を封じる効果があるらしく、無意識は使えないがあの黒い力は使えるのだが、こんなところで奥の手を切る必要もないし、どうしよう。

 

「なあ、外してくれないか」

「嫌です」

 

 このやり取りは、アリアがレキの部屋に依頼をしに来るまで続いた。


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