緋弾のアリアに転生したら危険な姉から逃げないといけなくなりました。 作:レイアメ
番外編 その1
あれはまだ、俺が武偵になる前で、アリスから逃亡を続ける日々を送っていた時のことである。
6年前、つまり俺が11歳の時だ。あの頃の俺はまだ、ユングと名乗っていて、アメリカに不法侵入をし、放浪していた頃で、当時の俺は前世の記憶もあって、見た目と中身が合わない、某名探偵のような子供だったと思う。
そんな俺が会った、1人の友人について、そして俺が医療技術を得た理由を語ろうと思う。
番外編 ~今でも思うけど、人間って本当に不思議だよな~
「此処が、アメリカか」
カッコつけてるけど、ただの不法侵入なので偉そうに言えないが、前世でも行った事のない国なのでワクワクしている。最もアリスに追われてなかったらもっと楽しめていたと思うけど。
「腹も減ったし、何か食うか」
今の俺は、逃亡者(というかあの施設にいた時点でいろいろアウトだと思うけど)なのでお金が無い。そういう場合は、
◇◇◇
「うわああぁ!逃げろおぉ!」
「こんなもんか。もっとあると思ったんだけどな」
勝つ上げ、いや、カツアゲか。さっきチンピラから
「や、やめてください!」
・・・・典型的なパターン来ましたー。
ちらっと見てみると、俺と同じくらいの年の女の子の財布を、さっきと違うチンピラが奪おうと襲ってるようだ。別に助けなくてもいいんだけど、うまくいけば今日の宿が手に入るかもしれない。そうと決まれば、即実行。
まず、こっちには気付いていないみたいだし、不意打ちで気絶させられるだろ。
瞬時に作戦を練って、行動に移そうとすると、
「あ!あの助けてください!」
おい。何で言うんだよ。ほら、チンピラがこっちに気付いたじゃねえか。しょうがない。正面から潰すか。
「おい、此処は俺の縄張りだぞ、金寄越せyブフォ!」
殴った。顔を近づけてくれてとても殴りやすかった。こんな奴がリーダーなら手下も余裕だろ。
「おい、ガキ!ラードさんに何やってんだ!ぶっ殺すぞ!」
「おい、お前らも来い!このガキをボッコボコにすんぞ」
「ひっ!」
へえ、ラードって言うのか。興味ないけど。とりあえずボコる。
―――???Side―――
僕の名前はテム。テム=バーレン。おばあちゃんと一緒に住んでいます。お母さんとお父さんは事故で亡くなちゃって、おばあちゃんに引き取られました。貧乏だけど、とても楽しい日々です。でも、そんな日々は長くは続きませんでした。
ある日、突然おばあちゃんが倒れてしまいました。お医者様に見せたら、よくは分かりませんでしたが病気らしいです。手術が必要でとても高いお金が掛かるそうです。ウチは貧乏だから、お金が足りません。それでも頑張ってお金を貯めたんです。
それでお医者様に見せるために病院に行こうとしたら、ガラの悪い人達にお金を渡せって言われて、でもこのお金はおばあちゃんの手術のために必要だから、必死に抵抗しました。
その時、横目に誰かが居て、助けを求めました。よく見たら、僕と同じ年の男の子でした。でもその子は次々と悪い人達を倒してしまいました。
彼は、倒れた人から何かを採って、僕の方に近寄ってこう言いました。
「大丈夫か?」
―――テムSideEND―――
結構な数を倒したおかげで3万、さっきの奴らと合わせて合計5万、手に入った。 こっちとしてはホクホクである。
そういえば、あの娘はどうなったんだろうか?視線を向けると、ペタリと座りこんでいる。
「大丈夫か?」
「う、うん」
うわあ、めちゃビビッてる。そりゃそうだよな、いきなり目の前で乱闘が起きたんだから。この場合どうすればいいんだろうか。
「えっと、その、ありがとう」
「お、おう、気にすんな」
「「・・・・」」
何だ、この空気。
「えっと、それじゃあ、気を付けて」
「待って!」
「え、いや」
「お願い!助けて!」
何やら面倒事に巻き込まれた気がする。
この瞬間、俺は後に闇医者になる始まりであり、この世界で初の友達に会った瞬間であり、そして、
男の娘というものを初めて知った。