Black Bullet 〜Lotus of mud〜   作:やすけん

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第14話

『ジェリー、ジェリー、ねぇ、起きて』

 

完全に光から隔離された世界で、俺を呼ぶ声が聞こえる。

 

『ジェリー、ねぇってば。起きて』

 

この声、忘れるはずがない。

 

『ねぇ、ジェリー。起きてってば』

 

クリスティーナ……。

 

ゆっくりと目を開けた。部屋に差し込む眩い陽光。風にはためくカーテン。寝室には朝の空気が充満していた。隣には妻のクリスティーナがいる。瞬きをすれば音がするのではないかと思うほど長い睫毛。その奥に覗く碧い瞳。すっと通った美しい鼻梁。本能をくすぐるセクシーな唇。造形めいて整った容姿の、俺にはもったいない女性が太陽よりも眩しい笑みをこぼしながら語りかけてくる。

 

『あのね、驚かないでね。私たちに新しい家族が増えるわよ』

 

彼女は子供のようにピョンとベットに腰掛けると、そのまま胸板に飛び込んで来た。そしてイタズラっぽく上目遣いに覗き込んでくる。

 

あぁ。また、この夢か……。

 

「なんだ? ペットでも飼うのか」

 

『何言ってるのよ。神様がね、私たちに天使を遣わして下さったのよ』

 

知っている。だが夢の中の俺は間抜けな顔してこう答える。「……え?」と。

 

『ふふ。私たちの間にね、赤ちゃんを授かったのよジェリー。だ・か・ら、絶対に帰ってきてね、私の王子様。私は待ってるからね』

 

「……赤ちゃん…………。俺たちの?」

 

『もう、ジェリーはおバカさんね。他に誰の赤ちゃんなのよ』

 

そう言うと、クリスティーナは顔を近づけてくる。柔らかい感触が唇に押し付けられた。彼女の甘い吐息が脳を痺れさせる。

 

『なんて顔してるのよジェリー。もうお父さんになるんだからね、しっかり!』

 

子供か…………。

 

遠い、遠い昔の話だ…………。

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

焼きごてを押し付けられているかのような強烈な熱にジェリーは目を覚ました。

 

胸元をまさぐり、その熱の正体を確かめる。襟からチェーンを引っ張りだせば、ドックタグと共に吊るしてあるクリスティーナに渡した結構指輪が熱の正体だった。

 

「クリスティーナ……」

 

ジェリーは不思議な力を感じ、その正体を探るようにボソッと彼女の名を呟く。

 

「おやおやジェリー坊や、もうお目覚めかい?」

 

と同時にハングドマンのと思しきつま先が視界に現れる。かと思えば次の瞬間にはそれはジェリーの体にめり込んだ。

 

「がッ!」

 

体を丸め、ジェリーは痛みに悶絶する。

 

「あぁあぁロイヤルミスト。おうおうヴェーヌス。哀れなジェリー坊や。変な気さえ起こさなければそんな目にあう羽目なかったのに。悲しいね〜」

 

ハングドマンはジェリーの周囲を巡りながら語りかける。

 

「裏切り者の末路……知ってるよな?」

 

狂人の低い嗤い声が部屋に響く。

 

「だがな、昔からの(よしみ)だしな。お前にはスペシャルコースを用意してある。天国、地獄、超地獄。どれがいい?」

 

「ぐっ……う…………」

 

「おいおい。そんなに痛めつけたっけか? しっかりしろ〜!」

 

ハングドマンはジェリーの胸ぐらを掴み乱暴に揺する。それに対し弱々しい眼光で睨み返す事しかジェリーには出来なかった。

 

「なんだか辛そうだしな。いいや、超地獄コースで殺してやる」

 

荒々しくジェリーを突き飛ばすとパチンと指を鳴らすハングドマン。すると『バルドュール』構成員がクラリウスを連れてくる。

 

彼女はバラニウム製の椅子に同じくバラニウム製の鎖でもって繋がれ、自由を奪われた状態だ。猿轡を咬まされ喋る事もままならない。

 

「クラリウス!」

 

その姿を見てジェリーはやっと状況を思い出した。幸い自らに体を拘束する機器はつけられていない。即座に立ち上がり、クラリウスへ駆けようとする。

 

だがそこに躍り出る1つの影。

 

割って入るや激烈な拳をジェリーの顎を抉るように繰り出した。

 

視認するのと、拳を食らうのは同時だった。

 

的確に急所を射抜く打撃にジェリーは体の自由を奪われ頭から床に倒れた。

 

夢と現実の狭間。奇妙な浮遊感を得た中で、ジェリーは影の正体を見極める。

 

「……ヴィルヘルム…………」

 

ヴィルヘルムと呼ばれた細身の白人男性は靴底で床をにじる。その後、足を後ろに振り上げると、振り子のように前へと突き出しジェリーの腹部へ蹴りを叩き込む。

 

体をくの字に折り、壁まで吹き飛ぶジェリー。激突の衝撃で四肢が壁に張り付く。パラパラと破片がジェリーと共に床へ落ちる。

 

「お〜いクンペル(相棒)。怪我人を何て扱いするんだい」

 

「……」

 

ハングドマンはヴィルヘルムをクンペル–––相棒と呼んだ。

 

「ジェリー坊や。本名で呼ぶから蹴られるんだよ」

 

「……」

 

ヴィルヘルムの顔には表情と呼べる動きがない。さながらサイボーグのように無表情、虚無の仮面で佇んでいる。

 

ヴィルヘルム・クレスツェンツの五翔会におけるコードネームは『エクスバイエ(抜け殻)』。その鋼鉄のマスクに感情を晒す事なく、粛々と任務をこなすためにそう言われるようになった。そして同時に、ヴィルヘルムはグリューネワルト教授の最高傑作『アブグルント・カタストローフェ(根源的破局)』を備えた機械化兵士。斥力フィールドを防御ではなく、攻撃に特化させて駆使する。特殊戦技教導隊では『ゴールドリオネル(黄金の叛逆者)』として暗躍し、諜報の世界に激震を与えたその人だ。

 

ジェリーは部屋の隅から全体を見回す。ここに来てやっと状況を把握した。

 

ここはナン・ゴールディン(悪魔の遊び場)と名ずけられた拷問部屋だ。床や壁、天井に染み付いている多量の血痕。部屋に備えられている棚にはホルマリン漬けにされた人間の顔面や、血塗れの電動工具やペンチ、多種多様の針、何に使用するのかわからない複雑な構造の金属などがある。恐らくは濃密な血臭も漂っているだろう。パガトリーのナンバー1、ハングドマンにナンバー2、エクスバイエ。その他『バルドュール』の工作構成員。そして『スレイブドッグス』のラウンドナンバー『50』を冠するラークシャサこと五蘊盛苦(ごうんじょうく)の姿も確認できる。

 

「……什卧」

 

ラークシャサの足元には四聖什卧(ししゅうじゅうが)が横たわっている。

 

作戦は…………失敗した。

 

なんと呆気ない。ジェリーは虚無感に打ちひしがれる。什卧は、今何を思っているだろうか?

 

彼の大切な八重さえも巻き込み、クラリウスも囚われた。そして自分より上位の『バルドュール』戦闘員2人に睨まれ『ラウンドナンバー』も在室している。

 

絶望。

 

挽回不可能なシチュエーション。

 

だが不思議と、ジェリーの胸内に悔しさはなかった。

 

無。

 

何も感じない。特戦時代、どんな境地に陥ろうがジェリーは死に対する恐怖などは感じた事がなかった。冷静に状況を分析し、活路を見出し今まで生還し続けた。

 

ジェリーの瞳には消え入りそうだが確かにまだ光が灯っている。それをヴィルヘルムは冷ややかな目で見下ろした。

 

「ジェリーやジェリー。クソッタレのジェリー坊や。お前は対ゾディアックガストレア兵装を与えられた戦士だ。その役目は替えが効かないのによくもまぁ……」

 

ハングドマンはジェリーの脇腹を踏み躙る。

 

「まぁ……まぁ、ね。ま、いいか。お前が死んだとしても五翔会は揺らがないさ。戦力の増強も終わってるしな〜。あとは黒ビル組の働き次第なんだが……」

 

ハングドマンは足をどけると背を向け腕を組む。

 

だが、ハングドマンの思考を遮るようにヴィルヘルム–––エクスバイエが言を発する。

 

「ヴォルフ。俺は帰るぞ」

 

まるで電子音が発するように感情の篭っていない抑揚のない声音。

 

「おうさ。いいとも、帰りたまえ」

 

コツコツと靴底を鳴らし、エクスバイエは退室した。

 

「まったく、奴もさぁ。本名で呼ぶなよな〜」

 

ハングドマンは狂人の笑みを浮かべながらジェリーの顔を覗き込む。

 

「ひっひッ! 何を惚けた顔してんだよ〜。お楽しみはこれからだろう?」

 

ケラケラと嗤い声が部屋に木霊する。

 

ジェリーは意識して先のことを考えないようにした。

 

 

※ ※ ※

 

 

四聖什卧(ししゅうじゅうが)は部屋の状況を把握した。

 

自分は仰向きにこの悪趣味な部屋で寝転んでいる。そして、滅多にお目にかかれないような高級幹部がすぐ目の前にいる事。ジェリーも囚われ、奴の大事な少女も椅子に括り付けられている。

 

さきほどまでは意識がまるで泥沼の中に沈んでいたが、今になって視界も回復し事の仔細が観察出来るようになった。

 

何故こいつらは俺を拘束していないんだ?

 

まず率直に思ったのがそれだった。ナメてるのか?

 

什卧の反骨心が業火の如く燃え上がる。諦めの気概など皆無だった。

 

それにジェリーの顔を見て、什卧は怒りを覚えた。

 

目は(おぼろ)で生きる事を諦めたかのようにか弱い光しか放っていない。意識をなくしている間に何があったかは知らないが……。

 

何を呑気に寝てやがるんだ! クソッタレがッ!

 

グツグツと煮え返り、遂には噴火が如く什卧の体を激情が駆け巡る。

 

「おいクソガキ。汚ねぇ足を退かしやがれ」

 

什卧は自らの体に足を置くラークシャサに言った。

 

「あん? まだそんな元気があったかクソジジイ」

 

「まだ28だっつっただろうがッ!」

 

什卧はジジイ呼ばわりした少年に下から蹴りを放つ。

 

まさかこの状態で反撃をするとは予想しなかったのだろう。ラークシャサはそれを防ぐ事で精一杯だった。

 

鉄槌のような重い蹴りにラークシャサの体はたたらを踏んだ。

 

枷が外れた瞬間に跳ね起きる。

 

そして、間髪を入れずに追撃。

 

天穹式格闘術(てんきゅうしきかくとうじゅつ)剛式隷下(ごうしきれいか)–––

 

「『不還湧幻掌(ふげんゆうげんしょう)』ッ!」

 

下から捻り出す掌打をラークシャサの土手っ腹目掛け繰り出す。

 

狙い誤らず、掌打は深々と腹部にめり込んだ。ラークシャサは大量に胃液を床にぶちまける。

 

浮いた体に什卧は更に追撃を加えようとする。がしかし、ラークシャサは反撃をしてきた。

 

野生剥き出しに什卧の首筋へ食らいつく。

 

骨の内で最高の硬度を誇る歯が皮膚を貫通し筋繊維を断つ。

 

「ぐぅぅ」と犬のように唸るラークシャサに什卧は容姿なく機械化能力を発動させる。

 

「このッ、クソ犬が!『アーク・ハイフレクンシー(弧を描く高周波)』ッ!」

 

指先が眩い燐光を放ったかと思えば、掌から蜃気楼が立ち上る。

 

その首を跳ね飛ばしてやるッ!

 

什卧は迷う事なく腕をラークシャサの首へと振り上げた。

 

だが、腕は虚しく宙を切った。そして迸る激痛。

 

ラークシャサは噛み付いた箇所を起点に倒立。振り上げる腕と同角度に体を持って行き、必殺の手刀を回避したのだ。

 

肉を引きちぎられる痛みに什卧は歯を食いしばる。

 

自らの肩に噛みつき倒立する相手に対するマニュアルを教える武術などあるだろうか?

 

一瞬次手に転ずるのに遅れた。

 

だがラークシャサにとって、その一瞬は永遠とも言える絶好のチャンスだった。そのまま体を前に倒していき着地。遠心力を乗せて什卧を壁に放り投げる。

 

バック宙をするように体は後方回転をしながら壁に激突。什卧は一瞬呼吸が出来なくなる。

 

食い千切った肉片をラークシャサは貪る。

 

「やっぱ、ジジイの肉は不味ぃな!」

 

口の端じから垂れる血を拭い什卧に肉薄する。

 

勢いそのままラークシャサは剛直の拳を振りかざす。

 

それに対し、什卧は冷眼で迎え討つ。次に繰り出すは……。

 

天穹式格闘術、柔式隷下–––

 

「『磨我陀念珠琉輝(まがたねんじゅりゅうき)』」

 

什卧は木の葉が湖面に落ちるように迫り来る剛拳に手を添えた。

 

そして、流すのではなく、弾く。

 

『磨我陀念珠』の第2段階、『琉輝』。

 

相手の攻撃を捌くだけでなく、そのままダメージを返す。

 

最高のタイミング。最適な力の入れ具合。達人の絶技。

 

「ぐッ!! ぅぁあああ!!」

 

ラークシャサの捌きを受けた腕はクレーンに思いっきり引っ張られたかのように上へとつり上がった。

 

肩関節がありえないほど上ずったのを確認した什卧は、敵の右腕を1本使用不能にした事を確信する。

 

いける! 上位の『ラウンドナンバー』を越える!

 

今こそ、無敗の拳を。

 

天穹式格闘術・剛式奥義–––

 

「『萊號獅槌(らいごうしっつい)ッ!!』」

 

渾身の踏み込みで必殺の間合いに躍進する。その速度、まさに瞬間移動。そして繰り出すは上下捻唸麟(しょうかねんてんりん)を凌ぐ落雷の如き踵落とし。

 

取ったッ!

 

だが、什卧は忘れていた。ここにいる敵はラークシャサだけではない。

 

突如として頭蓋に衝撃が走ったかと思えば、視界が回った。そして衝撃。

 

痛みに呻く頃になって自分の体勢を理解する。

 

腕を捻りあげられている状態で取り押さえられている。さながら警察官に捕まった泥棒と言った感じだ。

 

「おいおい、誰の許可を得てはしゃいでやがる? 死にたいようだな。ん?」

 

ハングドマンが完全に相手の挙動を掌握下に置き冷徹に吐き捨てる。

 

「くッ!」

 

「お前らさぁ、マジでどうしたんだよ? えぇ? 死ぬと分かっててそんな事してんのかよ?」

 

「貴様には分からねぇだろうな」

 

「へへへ。分かりたくもないね下らねぇー。俺には身寄りがいねぇ。最初からこの世界で1人だった。誰にも必要とされず、誰からも相手されなかった俺が、こんな世界を守ろうと行動するわけ……ねぇだろバーカ」

 

「悲しいね。……ぐ!」

 

「このまま腕へし折ってやろうか? 貴様もあのジェリー坊やみたく諦めたらどうだ? ん? 」

 

ジェリー。相変わらず魂の抜けたような面をしてやがる。

 

「おいジェリー。テメェ! 目の前のその女の子は、テメェの守るべき者なんじゃねぇのか? おいッ! テメェは見殺しにしていいのか! どうなんだクソッタレッ!」

 

ジェリーは絞り出すようにボソッと言った。

 

「…………什卧、すまん」

 

「何……ッ⁈」

 

「ははは! あッはははははは! 聞いたか什卧? すまんだってよ」

 

「ジェリー。テメェ……!」

 

「おっと、そうだぞ什卧。お前にも教えておくことがあったんだよ忘れてた」

 

…………な、何だ?

 

什卧の背筋を、得体の知れないモノが駆け巡る。この、ナイフの切っ先を向けられた時のような嫌な感じ……。

 

「あー……お前のな。八重ちゃんだっけかな? 『ドッグス』のユダとクラウン・ジェスター、あとはドュルジが回収しに行ってるからな〜」

 

「……なッ⁈」

 

「驚きかな〜?」

 

予想はしていた。いや、確実に五翔会の魔手が八重に伸びる事は覚悟していた筈だ。ジェリーの仲間が八重を保護してくれるという話で什卧は協力している。だが、あの腑抜けようを見ると一抹の不安を感じ得ない。

 

だが、什卧に今できる事はジェリーの仲間を信じる事しかない。

 

「おいや? 意外と平気そうな顔だな」

 

「あぁ、平気だよクソ野郎」

 

「へ……へ。俺はそういう頑固な態度をとる奴が好きだぜ〜。いつになったらお母さ〜んって泣くのか気になっちゃうんだよね〜」

 

「顔もしらねぇ母親に助けなんざ呼ばねぇよ」

 

「…………お前も、可哀想になぁ〜」

 

什卧は必死に活路を探していた。正直にハングドマンと無駄話をしている訳ではない。

 

「悪党に同情なんざされたくねぇ」

 

「はははは! 悪党? 俺がかッ⁈ 一体何の物差しで測ったんだよ。何センチ以上は悪党になるんだよ? ええ?」

 

「小悪党は自分の事を悪い奴だと自覚して行動している。だが真性のクソ野郎は自分の正義を信じて疑わない。テメェのことだダニ野郎ッ」

 

「散々な言われようじゃねぇか。傷つくぜマジで!」

 

ハングドマンは什卧をリフトアップすると投げ飛ばす。ラークシャサは足を振り上げ迎撃の構え。腕を交差させて防御しようとする什卧。

 

お返しとはがりにスパァン! と振り下ろされた踵落としをクロスアームブロックで防いだが床には強烈な勢いで叩きつけられた。

 

「什卧、それにジェリー。お前たちともっと遊んでやりたいがな、なんせ俺も忙しい」

 

その言葉を合図とするように新たに全身タトューとピアスだらけの異常者がぞろぞろと工作員を従え部屋へと現れる。

 

ブルートー()。後は任せる」

 

「了解」

 

まさしく拷問担当という不気味な男は無表情で答える。

 

「それじゃあ、しばしの間、お別れだ。ラークシャサ、お前も来い」

 

「あいよ」

 

ははははは! っと言い残しハングドマンとラークシャサは帰って行く。

 

什卧は状況を整理する。新たに来た変態野郎と『バルドュール』工作員が10名。

 

ジェリーは完全に相手のマークから外れている。ハングドマンも居ない。今ならあいつがアクションを起こせば…………。ん?

 

什卧はここにきてやっと理解した。このハリウッドスター気取りめ! やってくれる。ジェリーもコクッと頭を垂れた。

 

そんな2人のコンタクトなぞ露知らず、変態野郎は指示を出している。

 

什卧は壁に磔にされ、ジェリーを少女の前で拘束させた。

 

変態野郎は無表情で棚にある様々な商売道具を眺めている。今日のフルコースメニューを考案しているようだ。

 

やがてペンチに針、ワイヤーカッターを持つとジェリーの前に立つ。

 

「ハングドマン様からはじっくりコトコト痛めつけろというオーダーをもらっている。そしてそれをお前に見せつけろというサイドも承っている。とことん追い詰めてやるぞヴェーヌス」

 

「…………剣を持つ者は、剣によって滅びる」

 

ジェリーは聖書からある一節を引用する。

 

「お前のような豚野郎は豚に喰われて本物のクソ野郎になんだよ」

 

それに什卧が合いの手を入れる。

 

「お前たちの機械化能力は把握済みだ。お前らの拘束具にはそれらを作動させないための装置が備わっている。お前たちに希望など無いんだよ」

 

「「…………」」

 

一同が黙し、部屋は静寂に包まれた。

 

「いいか? では–––」

 

変態野郎が作業を開始しようとしたがその時、扉の開閉音がそれを遮った。

 

「…………ヴィルヘルム」

 

扉の前には先ほど退室したエクスバイエことヴィルヘルムが再び現れた。

 

その鉄面皮には相変わらず表情と呼べるモノがない。

 

「エクスバイエ様。どうなさいました?」

 

「……」

 

変態野郎の質問になど答えず、エクスバイエはただ虚空を見つめている。

 

本当に何を考えているのかわからない。

 

だがしばらくすると、パチンと指を鳴らして帰って行った。

 

「一体、何だったんだ?」

 

変態野郎は心底わからない、と言った顔で訝しんでいる。

 

だが什卧とジェリーは互いに顔を見やって異変について確認しあう。

 

どういうタネがあるかはしらないが、確かに、エクスバイエが指を鳴らすと同時に拘束具の中の何かが壊れた。ごく小さなパキッという音が聞こえたのだ。

 

什卧はハイフレクンシーが使えるか微弱なプラズマを発生させてみた。指先は問題無く機能している。これなら拘束具から逃れる事など造作もない。

 

だがしかし、何故あいつはこんな事を……?

 

疑問に思ったのも束の間、今度は外で異変が起こる。

 

地震。

 

天然の地震ではなく、ゴウッと何か巨大なモノが地表に落下したかのような音と共に揺れが発生した。それはまるで(ひょう)が落ちているが如く連続して起こり、悪ガキがデタラメに太鼓を叩いているようにめちゃくちゃな爆音と激震を発生させている。什卧はジェリーの腕についてある時計の時刻が見えた。15時16分。

 

大きな謎は残るが、それよりも大きなチャンスに什卧とジェリーの目が輝く。

 

「什卧。愛する者の名を胸に刻め」

 

このジェリーの一言が嚆矢(こうし)となる。

 

什卧はその刹那に全霊を持ち応える。

 

「『アーク・ハイフレクンシー。カイザー・オブ・エクセリング(神すらも凌駕する力)』ッ!」

 

5指の間でプラズマが膜を張ったように展開。

 

部屋全体を閃光が呑み込む。

 

あまりの眩しさに部屋の全員が自らの目を庇う。

 

自身の拘束具を見る影もなく切り刻む、什卧は叫ぶ。

 

天穹式格闘術・剛式外伝–––

 

「『刃越紅塵煙(じんえつこうじんけん)』!」

 

機械化能力を生かした破滅の陣。

 

「はぁあああッ!」

 

什卧は両腕を振るう。するとプラズマが鞭のように伸び部屋中を舐め回す。

 

吹き付けられた箇所は即座に数万℃にまで温度が上昇し溶解される。

 

バターを斬るよりも鋭く、抵抗の余地など無く物は溶解され結果、切断されていく。

 

人も例外ではない。

 

ジェリーと少女を除くその場にいる人間はプラズマの餌食となり細分化されている。肉の断面は綺麗だった。

 

「ジェリー!」

 

什卧はジェリーの拘束具を解くと少女の拘束具も解いてやる。

 

「クラリウス! 大丈夫か?」

 

ジェリーは相手を突き飛ばさん勢いで詰め寄った。

 

「ええ、何とか……平気よ」

 

クラリウスはジェリーを安心させようと笑みを浮かべた。だが相当無理をしているのが一目で分かるほど、その笑みはぎこちなかった。

 

無理もない。治るとはいえ身体中を切り刻まれ、生理的に受け付けないバラニウムの椅子に括り付けられていたのだから。

 

そんな状況でもパートナーに心配させまいと強がるこの少女の健気さに、什卧は感動した。とても10歳やそこらのプロモーターよりも断然芯が強い。

 

だが。

 

「感動の余韻に浸っている暇はねぇぞ。蓮を救出に行く!」

 

時間は刻一刻と経過している。

 

「そうだ。クラリウス、立てるか?」

 

「大丈夫よ。行けるわ」

 

白磁の細い脚で床を踏みしめスッと立ち上がったクラリウスだったが、まるで目眩を起こしたようにフラフラと足元がおぼつかなくなったかと思えば、ストンっと尻餅を付いてしまった。

 

地震はずっと続いている。だがそれだけが倒れた理由ではなさそうだ。

 

「クラリウス、血を–––」

 

「–––いいえジェリー。あなたから貰う訳にはいかないわ。それ以上血を流せば、体を思うに動かせなくなるわ」

 

「そうか。くそっ!」

 

什卧には一体何の話をしているのか分からないが、この少女も瞳が赤い所を見ると『呪われた子供たち』のようだ。その戦闘能力に期待したい所なのだが。どうやらそう簡単に物事は進まないらしい。

 

「ジェリー。とりあえずここから移動するぞ。この騒動を生かさない手はない」

 

「そうだな。クラリウス、掴まれ」

 

「ええ」

 

ジェリーの差し出した手を力強く握りクラリウスは立ち上がった。

 

「よし! 行くぞッ!」

 

 

※ ※ ※

 

 

行く手を阻む『バルドュール』工作員。

 

だがそのことごとくが什卧のハイフレクンシーの前になす術なく細切れにされていく。

 

輪切りとなった人体がジェンガが崩れるように崩れ、そこかしこに累積していく。

 

什卧が切り開いた道をジェリーとクラリウスが付いてくる。

 

目的地である蓮が囚われている研究ラボにたどり着くのにそう時間はかからなかった。五翔会の上層部は内部で起こっている騒動よりも、外で起こっている地震について重きを置いて行動させているようだ。

 

ラボは巨大な装置類を大量に備えてあるため天井も高く面積も広い。大手の自動車工場より、恐らくはデカいだろう。

 

「……蓮」

 

そんなラボ内でジェリーと什卧は培養槽の中で大量のチューブに繋がれている少年を前に呟いた。

 

「おいジェリー。解除の仕方わかるか?」

 

「暫く時間がかかるがな。持ち堪えてくれるな」

 

「ああ。 ただし、出来るだけ早くしてくれよな。情けねぇが雑魚相手でも結構しんどい」

 

「わかっている」

 

ジェリーは培養槽に備え付けられている機械と携帯端末を接続した。淀みなくジェリーが端末を操作すると、蓮に接続されていたチューブが引き抜かれ傷口の治療が始まった。だが、その速度は早いと言えるものではなかった。

 

「おいジェリー。こんなチンタラやってたら危ねぇぞ」

 

「だが、これしか手はない。強制的にCMMPから現実へ引き戻すと植物人間になってしまう。そうだな。わかりやすく例えるなら、減圧症を防ぐために宇宙飛行士が外に出る前は減圧室に入るようなモノだ。その過程を踏まなければ正常な機能を発揮出来ない」

 

「…………いや、よく分からんが。洗濯機と一緒か? 脱水中でも脱水止めて取り出しても干しとけば乾く」

 

「全然違う! 俺の例えも微妙だったが、ズベコベ言わずに蓮を正常に連れ出すには避けて通れないプロセスなんだ」

 

「……そうか。なら、しょうがないのか」

 

「ああ。そうだ」

 

クラリウスが胡乱な目で什卧を見ているが、見られている本人は気にも留めていないようだ。だがふと、顔を入り口の方へ向ける。

 

「ちッ!」

 

琉染霞解津(るせんかげつ)により迫り来る邪気にいち早く反応した什卧は舌打ちをした。

 

「どうした?」

 

(やっこ)さん共、ちょっとヤバい奴を遣わせたな」

 

「……くそ」

 

「ジェリー、あとどれくらい掛かりそうだ?」

 

「…………10分。いや、7分だ」

 

「7分か……俺の命を、その7分。全力で燃やそう」

 

ジェリーは哀愁漂う眼光で什卧の顔を覗き込む。

 

それに「ふっ」と什卧は微笑んだ。

 

同時にそーっと入り口の扉が開く。するとそこからヌッと異様な巨人が現れた。

 

その巨人は頭部を鉄の仮面で覆い、肩に巨大なスパイクが付いたロングコートを羽織っている。

 

ジェリーや什卧が子供に見えるほどに図体のデカい刺客は仮面の奥で光る冷酷な瞳で室内を見渡している。

 

「何者だ、一体?」

 

ジェリーも什卧もこの刺客の存在を知らなかった。

 

「俺は産まれた。殺すために」

 

やがて、巨人はそう言った。天使の歌声という例えがあるが、それを言うなら悪魔の声音と例えて問題ない底冷えするような声で巨人は喋る。鉄仮面でくぐもる事により不気味さが増長している。

 

「俺はセリアンスロウププロジェクト(獣王纏身計画)が生んだ破壊の聖者、クリストハルト・ガブリエル。コードネームはヒメーレイーシュ。お前たちを殺す者の名だ。覚えておけ」

 

セリアンスロウププロジェクト。それを聞いたジェリーの眉根に力がこもる。

 

立ち消えたはずの計画が、ジェリーの知らぬところで進行していて、それがしかも完成していた……?

 

ハングドマンが言っていた言葉を思い出す。

 

『戦力の増強も終わっているしな』

 

そういう事だったのか。

 

ならば幻と消えたプロジェクトケルベロス(3つ首計画)や、エヒトプットオペレーション(真の奏者作戦)も完成しているのか…………?

 

「クラリウス。奴には絶対に近ずくな! 什卧、油断するなよ。もし奴が本当にセリアンスロウププロジェクトの成功例なら–––」

 

背後で動き。ハッとしてジェリーは前を見た。視界がスローモーションで動いている。既に巨人、ヒメーレイーシュはすぐ間近にまで迫っており、鉄拳を後ろに引き絞っている体勢だった。前腕にはガントレットと一体型のメリケンサックが付いているのを確認した。それを食らえばひとたまりもないだろう。

 

咄嗟にインフィニティアイギスを駆動。斥力フィールドを形成、防護壁とする。蒼白の球体に包まれたジェリーに触れる事は設計上不可能だ。

 

かの対ゾディアックガストレア兵装、『アブソリュティズム・アーマメント』の『マキシマムバースト』も防ぎきっている。

 

その硬度は折り紙付きだ。

 

ぶち当たったイーシュの鉄拳。だが、メリケンサックでの丸太突きもインフィニティアイギスの前に虚しく弾き飛ばされた。

 

1歩反動で退くイーシュ。だが構わずに即座に二の手を講じてくる。

 

同じく鉄拳による拳打。

 

こいつ、学習能力はないのか……?

 

ジェリーは什卧とアイコンタクト。弾いたならば斬り伏せろ!

 

力強い光を宿し什卧は頷いた。

 

凄まじい勢いで迫る鉄拳。什卧のタイミングを見計らう息遣い。鉄槌が如く振り下ろされたイーシュの拳打によりアイギスが眩い燐光を放つ。

 

……今だ!

 

仰け反るであろう直前、ジェリーは心の内で叫んだ。だがそれに応えたのは什卧ではなく、目の前の巨人だった。

 

真紅に染まるイーシュの瞳。それは、『呪われた子供たち』や『ガストレア』と同様ウィルス保菌者の著名な特徴だった。

 

「『変異体現、豪陸羅(ゴリラ)』!」

 

ボコボコとコートの表身を押し上げる筋肉。ブチッと音を立て生地が裂ければ、下からは漆黒の剛毛を宿した腕が現れた。

 

ジェリーも什卧も、目の前の出来事に固唾を呑む。

 

……本当に完成していたのか! 人体にガストレアウィルスを宿させ、特定の生物のDNAを体に表現させられる様になる魔改造を。

 

アイギスの強力な斥力と拮抗する膂力(りょりょく)

 

ならばとイーシュは更に上手を目指し変異を続ける。

 

「『二重体現、下入(サイ)』!」

 

また1回り大きくなるイーシュの巨体。だが今度は更に鉄仮面を押し破りサイの角が現れた。

 

弾かれそうになるイーシュだが、角を突き刺しアイギスを破ろうとする。

 

その光景や異様。

 

人の形をした人ならざる者。

 

「グルガァァアアアアッ!!」

 

人外の雄叫びを上げ怪力で斥力フィールドを突き破ろうとするイーシュ。

 

だが、その作業に専念しているため、什卧がノーマークだ。

 

雷の瞬きに似た閃光の中を什卧は駆ける。イーシュの懐に忍び込み繰り出すは必滅の掌打。

 

天穹式格闘術・剛式隷下–––荒魔如幻掌(あらましきげんしょう)ッ!

 

アーク・ハイフレクンシーも付加されたこの掌打を防ぐ事は人間には不可能だ。

 

そう、人間ならば…………。

 

什卧をもって会心の一撃だったが、掌は相手の体表で止まり、ただの掌打となっている。

 

ジェリーも驚愕の色を顔に浮かべる。

 

什卧の機械化能力が通用しない?

 

確かに什卧の掌からは蜃気楼が立ち上り、ハイフレクンシーを発動させている事がわかる。通常ならば、掌はふれた箇所を溶かしていき体内へと入っていくはずだ。

 

イーシュは自分の胸板で什卧が見えなかったのか足元を見て驚いたように目を見開いたが、すぐに悪巧みを思いついたような不吉な光を眼光に宿した。

 

「残念だったな『ドックス』。俺の体には極限環境微生物のDNAも組み込まれている。メタノピュルス・カンドレリという微生物は122℃の高温の中でも繁殖を続ける。分かるか? 微生物サイズでその耐熱性。人間サイズの、しかも俺のようなサイズに置き換えればその限度は計り知れない」

 

什卧は今1つの顔をしているが、ハイフレクンシーが通用しないという事だけは理解しているようだ。

 

「巨顔野郎が! 要は素手でお前を倒しゃいいんだろッ」

 

天穹式格闘術・剛式隷下–––『綴螺栓血(つづらせんけつ)』ッ!

 

貫手による連撃。腕が無数に見えるほどの高速の突きによりイーシュの胴体は瞬く間に蜂の巣ように穴だらけに穿たれる。穴からは噴水のように血が吹き出している。

 

だが。

 

「ははははは! そんな攻撃では俺はいつまで経っても殺せんぞ。三重体現・躯魔(くま)!」

 

即座に傷口が塞がったかと思えば更にガッシリと肉厚となるイーシュの体躯。今度は指先に大きく湾曲した鉤爪が備わった。

 

「さぁ、『ドックス』。本物の攻撃とは何なのか教えてやろう」

 

ジェリーのアイギスから手を離したイーシュは万歳の格好で両手を上げた。そして抱きつくように腕を畳み鉤爪により什卧を八つ裂きにしようとする。

 

それを股を潜り抜け回避した什卧。空振りとなった鉤爪が大量の火花を散らしながら床を切り裂いた。

 

「おら! デカブツ野郎が! 追って来やがれ」

 

振り返るイーシュに身構える什卧。

 

イーシュは屈んだかと思いきや跳躍。凄まじい質量で持って上から叩きつけるように鉤爪を振り下ろす。

 

什卧は腰を落とし利き腕を前へともっていく『雲集霧散の構え』で迎撃する。

 

天穹式格闘術・柔式隷下–––緋点(ひてん)焫零(ぜつれい)

 

入り身で鉤爪のキルゾーンより深く入り込み手首をキャッチすれば捻りながら一本背負いを敢行する。

 

骨が粉砕する音。筋が断裂する音。関節が外れる音の三拍子が1つとなり部屋に響いた。

 

更に什卧は相手を肘から床に叩きつけた。手首、肘は捻り上げられ見るも耐えない有様に変貌している。

 

「どうだ木偶の坊。こうゆう柔の技はお前にも効果的なようだな」

 

「…………」

 

無言のままノッソリと立ち上がるイーシュ。

 

「俺は人をして人を超えた存在。ゾディアックをも超えるネオ生命体。そんな小賢しい手をいくら弄そうとも、俺は殺せんぞッ! 『ドックス』ッ」

 

赤眼を更に輝かせ捻じ曲がった腕を薙いだイーシュ。すると、まるで逆再生のように捻られた方向とは逆に腕が回転しだした。時間の巻き戻しのように、イーシュの腕は元どおりに再生した。

 

「…………チートすぎんだろ」

 

正に什卧は八方塞がりの状態となった。打撃で傷は与えられても再生し、柔術で体を捻り上げても即座に再生してしまう。おまけに『ハイフレクンシー』も通用しない。

 

什卧はジェリーをチラリと見やる。まだ作業は続きそうだ。

 

「7分…………か」

 

目を細め、何かを決心するように、または何かを諦めるように什卧は呟いた。

 

「『アーク・ハイフレクンシー。カイザー・オブ・エクセリング(神すらも凌駕する力)』ッ!」

 

再び什卧はハイフレクンシーの極みを発動させた。

 

「ははははは! 『ドックス』。それは俺には通用しないと言っただろう」

 

「ふん。アホが」

 

イーシュの嘲りにそう吐き捨てた什卧は一気に駆けた。

 

チカチカと什卧の両掌が明滅する。視界を断続的に奪うことでイーシュに正確な距離を測るのを許さない。

 

「ち! 猪口才(ちょこざい)なッ」

 

感のみで振るわれた鉤爪は手前10センチの空間を切り裂き床に突き刺さった。什卧はそれを足場に腕を駆け上りイーシュの頭を跨ぐ形で両肩に立った。

 

これ(ハイフレクンシー)はお前用じゃない」

 

伸びるプラズマを床に縦横無尽に疾らせ什卧は–––

 

「お前に邪魔はさせない。地獄まで付き合ってもらうぞ」

 

崩れる床にイーシュ共々巻き込まれ階下へ落ちた。

 

あの一瞬で何層の床を切り裂いたのか?

 

床が崩れる音は段々と聞こえなくなるまでラボ内に届いていた。

 

「…………バカ野郎が」

 

ジェリーはそう一言だけ什卧を罵り、作業を再開した。

 

 




お久しぶりです。

次回はもう地上へ出て行く予定です。

15時16分と言えば原作第3巻のケツの話ですね。

そことリンクします。

話は一切関わりありませんが、時間軸的に言うとモノリスが崩壊した当日ですね。前話で時刻を表示したのはちょっとした伏線でした。

これからは外に出てからが本番ですね。

どう逃げ切りどうやって石動達と合流するのか?

まだまだ五翔会サイドでは出て来てないキャラが沢山いますからね。

読者様からしたら毎話新キャラのオンパレードで誰が誰やねん状態かと思いますが……。

お付き合いお願いいたします。

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