Black Bullet 〜Lotus of mud〜 作:やすけん
第10話
煉獄を英語では、
そのパガトリーを施設名として与えられた五翔会の研究施設。
『中央制御機構』、通称”黒ビル”と呼ばれるビルの地下にそれはあり、B1からB46までの規模で居を構えている。
パガトリー全体で1つの循環環境を形成し、外部からの補給無しに永久活動が出来るように設備が整えられている。
様々な人体実験により培った技術力を随所にフィードバックさせたパガトリーは楽園のように住み心地がいい。
各要員は自らの居住スペース内に制限がなく、好きにカスタムしていい。中には研究ラボと一体化させる程熱心な者もいる。
だがこのパガトリーは、実験や研究のためだけに存在しているのではない。
戦闘員。特に狂人揃いの五翔会でも最狂と恐れられる『バルドュール』と『スレイブドッグス』が拠点を置くアジトだ。
トレーニングルーム。射撃場。それらも完備され、中でも最下層B46はまるまるフロアが演習場となっているなど自らの技量を遺憾なく磨けるようになっている。
(B46の演習場はDuring Baptism–––『洗礼の間』と呼ばれている)
そして今、その『洗礼の間』にて–––。
※ ※ ※
五翔会構成員、ジェリー・ペレロは演習のためにB46の『洗礼の間』にいた。
白亜の空間。一面を白く塗り潰されたその空間では、正確な距離感を測ることは難しい。
間近か彼方か。対面の男は好戦的な目で、まるで争いこそがこの世の全てだと言いたげな危うい眼光をたたえ接近する。
人間離れした巨躯。それだけで十分脅威たり得るが、ワイルドに千切られている袖口から飛び出している腕はブラッククロームの義肢だ。
『
その名の通り、絶対的な力でもって全てを粉砕する。対ゾディアックガストレア戦を想定され開発された兵装だ。強力な破壊力に自らが破損してしまう難点を克服し、やっと日の目を見る事ができた。
対するは、スタイリッシュな白人の男性––ジェリーだ。
プラチナブロンドの頭髪をラフに伸ばしたハリウッド俳優も顔負けの美丈夫なジェリーは、スーツ型
その実は『
こちらも同等、対ゾディアックガストレア用に開発された兵装だ。だが前者と違うのは、こちらは”防ぐ”事を目的としている事。
内臓のほとんどをバラニウムの臓器に入れ替え、斥力フィールドを形成。そのバリアをもってゾディアックガストレアの攻撃を防ごうと言うのだ。
対をなす2人はこれからその能力をぶつけ合う。これはダブルエースの能力試験。『
「おい
ジェリーの五翔会におけるコードネームは金星の意味を持つヴェーヌスだ。
「遠慮せず打ってこい
野生の虎。そうコードネームに付けられる程に対面の巨漢は粗暴でタチが悪く、好戦的だ。
「あぁ〜あぁ。そうですかいッ」
そして短気。
ヴィルデスティーガーと呼ばれた巨躯の男は右腕を弓に番えるように引き絞る。
「『アーマメント・シングルショット』ッ‼︎」
途端、凄まじい轟音と
驚異的推進力を得た巨大な拳が、ジェリーの胸部へ炸裂する。第3者が見ればそれは確実だった。
だが、次の瞬間には両者を隔てる蒼白の壁が出現。ヴィルデスティーガーの拳はその壁にぶち当たる。衝撃がジェリーを起点にV字に展開。それは白亜の床に深裂な傷を刻みながら遥か後方まで奔っていく。同時に上からも豪雨のように大量の破片が降り注ぐ。衝撃は四方へと至りどこまで続いているのかわからない頭上の壁にまで被害を
ドラム缶が跳ね回るような音を立てながら転がる空薬莢。超大口径のそれは、ヴィルデスティーガーの腕から飛び出したカートリッジだ。炸薬をもって拳に補助動力を与える。それが『アブソリュティズム・アーマメント』の正体だ。
本来セクション22で造られた炸裂式義肢。それはステージIVガストレアの装殻を破壊する目的で造られた。
対となる斥力フィールドはステージIVの攻撃を受け止める絶対防御。その出力は対物ライフルの弾丸を弾く程だという。
蛭子影胤テロ事件の際に両者の戦闘は行われた。結果は炸裂式義肢の勝利。この結果から義肢の1発は、対物ライフルよりも強力である事が分かる。恐らくは戦車砲と同等の威力を有しているのだろう。
ならばこのヴィルデスティーガーの1撃はどうだろう。戦車砲1発では床面に一文字の傷を刻む事は出来るだろうが、V字や天井にまで被害を及ばすというのは不可能だろう。
これがゾディアックガストレアを粉砕するために開発された炸裂式義肢。ガストレアの進化の枠外に存在するゾディアックを撃滅するために造られた叡智の結晶。
そしてもう1つ。その1撃をもってしてもビクともしない『インフィニティ・アイギス』も人類が生み出した魔具に他ならない。
『よし2人共。テストは終わりだ。戻ってきたまえ』
演習場に木霊するアナウンス。本来はダブルエースの全弾同時照射も試す予定だったが、上層部は施設の被害を鑑みこれで終了とするようだ。
ジェリーはすぐさま構えを解くが、巨躯のヴィルデスは尚も上から相手を睨み付けている。
「おいヴェーヌス。勝ったつもりか?」
「これに勝ち負けはないと俺は思うが……」
「ヴェーヌス。俺の1撃で消し飛んでりゃ良かったんだよ。そんなみみっちぃ兵装与えられてお前は嬉しいのか?」
「……何が言いたい?」
「どっちが上か決めようぜってッ」
ヴィルデスは言い終わらない内に脚部カートリッジを撃発。強烈な加速に任せ回し蹴りを放つ。
足の裏から噴射される圧が地面を大きく穿ち、振り回す脚が軌道上の床を粗方吹き飛ばす。ヴィルデスから半月の形でクレーターが出来上がる。
そんな尋常ならざる蹴りをフィールドで防ぐジェリー。
蒼白の壁が脚を押し返そうと眩い燐光を放つ。
「『アーマメント・
「バカ野郎がッ‼︎」
ジェリーは瞬時にアイギスの出力を全開にする。フィールドを介しても耳朶を引き裂かんばかりに吼えるカートリッジの発火音。光さえも吹き飛ばすのか、周囲を一瞬深淵が飲み込む。
次の瞬間ジェリーを支配したのは内臓を引きずり出さんほどのG。どの方向からかかっているのかもわからない全身をすり潰す程のGだ。
ジェリーが歯を食いしばっていると衝撃。フィールドがどこか演習場の壁か天井に接触したのだろう。その衝撃が幾度か続き、目が開けられる程に弱った頃にはどこか別次元にワープしたかのように演習場の風景は様変わりしていた。
地層–––最早そこは、巨大な地下空洞になっていた。
「はんッ! まだ生きてやがるかクソ白人」
「ヴィルデスティーガー。勝手なマネは許さんぞ」
「ほう。許さんのならどうするんだ?」
「排除する」
ジェリーは冷酷に吐き捨て突撃。
ヴィルデスは再び腕を引き絞る。カッと活眼し、腕部内のストライカーを起動。カートリッジ底部を殴打させ、炸薬を爆発させる。
振り抜く腕は確かにジェリーを捉えたように見えた。いや、確かに拳はジェリーの体に当たっている。だがホログラムのように手応えなどなく拳はすり抜け、ヴィルデスは激烈の拳に自らが振り回され体制を崩してしまう。
「残念だったなヴィルデス。あの世でその直情的な性格を治してこい」
背後にそっと指が添えられるのをヴィルデスは感じ、瞬時に身を翻す。
「『
ジェリーはフィールドを1点に収束させ、ヴィルデス目掛け展開。蒼白の壁が円錐のように鋭利となり苛烈に標的へと伸びていく。
ヴィルデスは赤子のように丸まりブラッククロームの四肢を持って防御に徹した。全身がバラバラになるのではないかと言うほどの衝撃。全霊を持って四肢を密着させ胴体を死守する。少しでも油断しようものなら隙間から神をも殺す槍が容赦なく心の臓を射抜くだろう。勢いそのままヴィルデスの背が壁に押し付けられてもなお魔槍の勢いは止まらず、四肢を無理やり引き剥がそうと回転を始める。
「ぬおおおおおおッ‼︎‼︎」
ヴィルデスは生命の危機を感じ全力で脇を締め、肘を固め、脚を密着させる。魔槍の穂先がガリガリと義肢の表面を削る。体がどんどんと壁にめり込んでいく。絶対防御を戦術思想として開発された『インフィニティ・アイギス』に防戦を強いられている。自らが絶対攻撃を戦術思想としている機械化兵士でありながらその実、盾に圧倒されている。
「こんなはずじゃない」「俺はこの程度ではない」恐らくヴィルデスはそう考えているだろう。そしてその意地だけで、峻烈の攻撃を防ぎつづけているのだろう。だが人間には限度という物がある。物にも、限界はある。マキシマムバーストを放った右脚義肢と生身との境界線。接合部に生じた僅かなズレ。そこを押し開くかの様に魔槍の螺旋力は弱点を徹底して追い込む。しばらくすれば、右脚義肢はそこから切り離される形で吹き飛んだ。
全霊をもって均衡を保っていたのだが、脚を1本失った事により戦況はガラリと変わる。ヴィルデスは不利な状況から、挽回不可能なほどの絶体絶命に陥った。
「クッソがぁぁあああッッ‼︎」
断末魔か否か。力の限り叫ぶヴィルデス。
だがジェリーはそこで、フィールドを引っ込めてやる。
ドンと床に落下し、肩で息をするヴィルデスを見下ろしながら、ジェリーは語る。
「お前の敗因は2つ。俺を相手に全力を注がなかった事だ。殺るんだったら、お前も命を懸けてこい。それと、力に慢心するな。使われてどうする? もっとよく考えるんだな。次は殺す」
項垂れるヴィルデスを残し、ジェリーは踵を返した。
※ ※ ※
全く、問題児が多すぎる。
ジェリーが率直に思ったのはそれだった。集まってくる人材は大抵が戦闘狂の
3度の飯よりも人殺し。睡眠や休息より戦技訓練。そんな手合いが『バルドュール』には大挙している。
こんな組織……。
ジェリーは虚空を見つめ、物思いに耽る。
何分そうしていただろうか。ふとジェリーはデスクの上のコーヒーカップを手繰り寄せると、口へと運ぶ。
ワインのような酸味に豊かなコク。安定した風味。相変わらず、彼女の淹れるコーヒーは美味い。
あっという間に飲み干すとジェリーは隣で本をパラパラとめくっている少女に話しかける。
「クラリウス、悪いがお代わりを貰えないか?」
すると少女–––クラリウス・ツェペッツェはキリッと鋭い炯眼でジェリーを見返す。
白磁の肌に映える
だが–––
「–––何よ。それくらい自分でやってくれない?」
性格はあまり良くない。
「あぁ、そうだな……」
不承不承、ジェリーは立ち上がりキッチンで湯気を立てながら待機しているコーヒーをポットからタンブラーに移し替え席へと戻る。
そして再びジェリーは思考の世界へと退いていく。
最初こそ『真に平和な世界を創る』という思想に同意し五翔会に入ったが、蓋を開けてみればそれに至る過程は武力による制圧、弾圧だ。平和の押し売り。エゴの押し付け。本当にこんな手立てで真に平和な世など創れるはずも無い。その先にあるのは独裁以外考えられない。
ジェリーは組織の方針に疑問を禁じ得ない。だが同時に自分がどれだけ無力かも知っている。
今更正義感を振りかざし抗ったところで、何も出来やしない。
この五翔会には、既に手が付けられない程に強力な機械化能力を有した戦士が大勢いる。そして五翔会そのものの規模も大きく、到底1人でどうこう出来るという物ではない。
「どうかしたのジェリー? 妙に真剣な顔なんかして」
ふと気付けば、クラリウスの赤く燃える双眸が目の前にあった。吸い込まれる程の美貌に、ジェリーはしばし現実を忘れ魅入った。
「ああ。いや……何でもない」
「何でもなくないでしょ? あなた最近そうやってボーッとしてること多いわよ」
「……」
ジェリーはどう言ったものかと思案するが、上手く言葉に表せるか自身が無かった。このジレンマを。本当はこんな組織から抜け出し真に信じられる道に殉じ使命を全うしたい。だがそうすれば、クラリウスも同様に裏切り者として処刑されるだろう。この組織–––五翔会における失敗や離反はそのまま死を意味している。どんな手を使ってでも、地球の裏側だろうと刺客を放ち処刑を執行するだろう。
単身ならば、自らの流儀に反する行為など死んでも行わない。刺客など、全て殺して送り返してやる。最後の血の1滴まで自分は戦い続けるだろう。
だがジェリーには、クラリウスが全てだった。彼女の存在こそがジェリーの存在意義だった。
その彼女の存在を脅かす行為を自らに課すことが、ジェリーには出来なかった。
熾烈な闘争に彼女を巻き込む事が、ジェリーにはどうしても出来ない。
クラリウスには、普通の、1人の人間として、女としての幸せを感じて欲しい。
身寄りもない彼女を救えるのは、自分しかいない。
「クラリウス。お前の事がこの世界で一番大切だ」
「はッ‼︎ な、何よ。いきなり……」
クラリウスは頬をポッと朱に染めると、目を泳がせ狼狽の色を見せる。
「なぁクラリウス。この五翔会のやり方を、お前はどう思う?」
いつに無く真剣に問うジェリーに、クラリウスも事態の深刻さを理解したのか一瞬にして鉄仮面を付けたように無表情になる。戦士の顔だ。
「え?……そうね。私は産まれた時から戦技を叩き込まれて来たから何も思わないけど、この本とかに出てくる”正義の味方”は五翔会のやり方を良しとしないでしょうね」
クラリウスはそう言って手に持っている本のページをパラパラとして見せる。
「そうだクラリウス。そういう物語に出てくる正義の味方の思想や行いはこの世界で多くの人間の共感を得る事が出来る」
「そうなの……じゃあその正義の味方を現実社会で滅多にお目にかかれないのはどうしてかしら?」
「人の為に何かをするのは、勇気が要るんだ。特に、我が身も省みずに人を守るなんて事は、そうそう出来ることじゃない」
「ふ〜ん」
クラリウスはさも興味なさげに–––脚の届かない高い椅子に座り、脚をプラプラと振りながら–––話を聞いている。
「クラリウス。俺はこの五翔会のやり方を、享受する事が出来ないんだ」
突然のカミングアウトにクラリウスの眦が裂けんばかりに見開かれる。
「……ジェリー。あなたそれ、本気で言ってるの? もし本気だとしたら、自殺志願者としか思えないわ」
「俺の過去を覚えているかクラリウス?」
「ええもちろん」
「俺は今まで国の為に身を捧げて戦ってきた。任務で日本に来て、その時にガストレア戦争が起こった–––」
「–––そして重傷を負い、グリューネワルト翁と取引し機械化兵士となった」
「そうだ。俺の信念は何時だってブレなかった。偽善者だと言いたければ言えばいいが、俺は本当に平和の為に戦ってきた」
「平和の為に戦う、ね」
「妄信的かもれない。本当は悪い事だったのかも知れない。間違っていたのかもしれない。気付けば俺にはもう、人を殺す事でしか平和を求める事が出来なくなっていた」
「じゃあ、何で五翔会のやり方に疑問を抱くのよ?」
「俺の事は良いんだ。クラリウス。お前は今、幸せか?」
「幸せ?」
クラリウスは
「だめね。私にはその幸せってのが何なのか全く想像もつかないわ」
「お前のような子供がそんな事を言うこの世界は間違っている」
「なら、子供は何て言って過ごすのが適当なのよ?」
「夢を語れ。そうだクラリウス、お前の夢はなんだ?」
「夢……? 分からないわそんなの。私には今しかない。先の事なんか想像すら出来ないわ」
ジェリーはクラリウスの瞳を覗き込む。今の発言に嘘は無いか? 虚言ではないか? その可能性を求め、ジェリーは瞳の奥を見据えようと目を凝らす。
だが残酷にも、今までの訓練で身に付けたスキルが、クラリウスは嘘を言っていないという結論を弾き出した。
「確信した。お前が人並みの幸せを得るためには、世界を敵に回す必要があるようだ」
「……」
「安心しろクラリウス。俺は何処へも行きはしない。引き返すにはもう、遅すぎたからな……」
ジェリーはそう言うとクラリウスに背を向けた。
※ ※ ※
B20に設けられた研究室。
幾つも並べられた培養槽の前に、ジェリーは佇む。
この子が、あの瀧華仁が命を賭して守った者か。
緑色に発光している培養液の中に、『スレイブドッグス』ナンバー”57”こと瀧華蓮はいた。
後頭部には幾つも束ねられたチューブが挿入されており、全身にも多数の管が張り巡らせられている。
当初ユダが連行してきた時はそれこそ何度も車に撥ねられたようなグチャグチャの状態だった。
それを即日五体満足にまで回復させる五翔会の技術力。
もう既に蓮は機械化手術も施され、後は『条件付け』をするだけであると聞いている。
条件付け–––五翔会の思想を深層心理に埋め込む事。スレイブドッグスの場合は戦技一般、心理思考プログラミング等戦士として必要な全てをこの培養液の中で培う事になる。
今蓮はどんな
脳に直接接続されたチューブは、圧倒的なリアリティーを供給し続ける。蓮は夢の中で、与えられた環境で延々訓練を繰り返す事になる。脳は電気信号を各筋肉群に送っているため、実際に行動を行った時と同じ効果が現実でもフィードバックされている。メキメキと筋肉は成長し、心肺機能も飛躍的に向上する事になる。
要は想像妊娠と同じだ。脳の勘違いにより生じる肉体的変化。それを強制的に行わせるのが無数の管達の仕事だ。
短期間で効果的なイメージアップが図れるため、ジェリーも幾度か使用したこともある。生々しいほどの
その世界で、拒絶とは即ち精神崩壊を意味する。ありのままを受け止め、受け入れない事には正気を保っていられなくなる。
強制的に押し付けられる現実に適応しなければ、未来はない。
だがその過程を過ぎてしまえば、自ずと生まれるのは狂人だ。
人を殺す事に何の躊躇もしない機械。または人を殺すことに快楽を感じるシリアルキラー。いづれも道徳心の欠片もない悪魔が誕生する。
あの仁–––タキ・ラージャがその身も省みずに助けた少年は今、奇しくも五翔会に囚われてしまっている。
恐らくは素晴らしい教育をこの子に施してきただろう。人として必要な思いやりの心や良識。マナー、モラル。当たり前の事を当たり前のように教わったのだろう。だがその子は今や
ジェリーも慕った人格者、瀧華仁。彼の意思を無駄にしないためにも……。
クラリウスが1人の人間として普通の幸せを得るためにも……。
ジェリーには1人だけ、心当たりがあった。
世界を敵に回すと言っても、恐らくは2つ返事で答えてくれる
共に特殊戦技教導隊で技術を学び、アメリカの統合特殊作戦コマンド隷下の作戦にいくつも参加した生粋のソルジャー。
彼なら、力になってくれるに違いない。
ジェリーの脳内で起死回生の作戦が出来上がった。
以上が9話です。
新しいキャラばかりで
皆さんなんのこっちゃ感ハンパないと存じますが
これからの2章はジェリー中心でお送りします。
あとはその戦友さん。
その戦友さんは一応日本人ですので。
モデルは実在している私の上司ですが……
物凄くストイックでカッコいい漢を
感じて貰えたら嬉しいです。