絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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六九話

双夜

 

 

 

あの後、病魔に犯されたプレシアの身体を治した俺は猫耳娘の謝罪を受け入れて今は海鳴市のテスタロッサ潜伏場へと来ていた。町周辺に、俺の使い魔であるフレール君を配置して状況の観測と時空管理局の干渉を見張らせている。

彼女達の魔法……サーチャーでは、時空管理局に見付かる恐れがあるので俺の使い魔を使う事になった訳だ。

アリシアの肉体と魂は、人外魔法での保護と死者蘇生の発生系統で細胞を活性化させつつ生命維持をする魔法で、緩やかに死滅仕掛けていた細胞等を修復している。

これで、アリシアが目覚めても直ぐに活動を再開できるだろう。最初は、前回と同様の車椅子生活だけどリハビリすれば直ぐに立って歩けるようになる。

目標は、蘇生して一ヶ月以内だ。

前回は、危険物に過敏に反応した俺がサクッとジュエルシードを回収して事件を開始30分程で解決してしまったが……今回は、なのはママとフェイトちゃんが集めきるのを待っている。まさか、こんなにも時間の掛かるものだったとは……中々に面倒臭いモノだ。

しかし、これが本来のJS事件に掛かる時間なのだろう。

なのはママが、魔導師として成長をしていく過程を踏まえた最初の物語。フェイトちゃんと出会い、友達になるまでの日々を描いたモノだと聞いている。

だが、ハッキリ言って何でバドらないとイケないのか意味不明過ぎた。現在、なのはママとフェイトちゃんがジュエルシードを巡って睨み合っている。デバイスを展開して、BJを纏い……さあ、ヤリ合おうと身を低くした所でクロノ・ハラオウンがママとフェイトちゃんをバインドで拘束して割り込んで来た。身分証明書を提示して、それぞれに戦闘体制を解除するように命令している。

そこへ、フェイトちゃんから助力を求める念話が送られて来た。まあ、要するにどうしたら良いのか判断出来ないから助言を求められている。同行したアルフからも、似たような念話が来ているから即決で逃げる様に返答した。

フェイトちゃんは、ジュエルシードの確保を優先してクロノ・ハラオウンから攻撃されつつアルフと共に離脱していく。

その際、なのはママがクロノ・ハラオウンを止める様な発言をしている場面があった事を告げておく。

その後、ママと鼬は時空管理局の次元航行艦へと転送されて行き……フェイトちゃん達は、その日の夕方に戻って来た。

管理局の追跡をかわしていたから、こんな時間になってしまっていたらしい。

 

「どうするつもりですか!?管理局に楯突かせるなんて……フェイトやプレシアを貶めるつもりなんですか!?」

 

「まあまあ。フェイトちゃんは、管理局の局員証書見た事あるかい?今まで、管理世界に行った経験は?」

 

「知らなかった事にする気なんですか……」

 

「辺境の管理外世界で生まれた魔導師が、管理世界に行った事もないのにソンナモノを見て本物かどうかなんて判断付かないだろう?双方共に無知だったって事だよ……」

 

「ジュエルシードを集めている事に関してはどうするんですか!?あれは、ロストロギアなんですよ!?」

 

「そんな危険なモノ、放置して平和に暮らせるか?封印して回る事は、平和に暮らす上では必須事項だろう?」

 

「それは……そうですが…………」

 

「あちらは、理由も聞かずに問答無用で攻撃して来たんだ。こっちは、攻撃も妨害もしてないんだからロストロギアに群がってきたどこかの犯罪者だと思ったと言い張れば良い」

 

「貴方という人は……これから、どうするのですか?」

 

「ママが、管理局と手を組んで行動するのはわかっているから……僕達は、今まで通り危険物を回収して回れば良い。その後、別ルートでプレシアが管理局にロストロギアを提出したいと申し出ればOKだ。違うか?」

 

そうすると自動的に、近くにいる次元航行艦アースラにお鉢が回って来るだろう。ロストロギアを受け取る様に、本局からお達しがあればこちらが犯罪者だなんて言われる事はない。

 

「…………ついでに、文句を言っておくんですね?」

 

「まあ、そうだな。クレームを進言しておくのは今後の展開にも良い影響をもたらすだろう。プレシアだけは、管理局を知っている訳だから……それ以外は、知識だけって事にしておくといい」

 

「知識があるのなら、今回の事に対しては……」

 

「知識と経験は違うよ。そういう組織がある……って知識と、見た事がある経験とでは大きく違うだろう?」

 

「ああ。成る程……厭らしい程に、頭が回りますね……」

 

「……………………」

 

遺恨という訳ではないのだろうけど、猫耳娘との間には溝があるように思われる。謝罪、受け取らなければ良かったかもしれない。少し、猫耳娘と☆O☆HA☆NA☆SHI☆する必要性がある様だ。

例えば、G蠢く奈落に落とすとか……一匹程度で目を回すのだから楽しい事になるのは間違いない。俺は、ニヤニヤとそんな事を考えていた。

そこへ、ディアーチェから通信が来る。

出てみると、管理局の連中が秘密基地の周辺に出没しているらしい。そう言われて、インスタント・ハウスが準・ロストロギアだったのを思い出した。管理局のジュエルシード捜索にインスタント・ハウスが引っ掛かったのかも知れない。

全く、次から次へと面倒な話である。

対策としては、人払いの結界を強化する事くらいだが……その程度で、アイツ等が諦める事は無いだろうから……大規模結界の光学式迷彩で、風景から何から全てを偽るべきだろうか。だが、それだと上空から見た地上風景と地上から見た周辺風景が異なる事がある。その辺りの細かな調整は、普通の結界魔法と違うから面倒で難しかった。

いっそうの事、神社の拠点を引き払ってテスタロッサ家に転がり込むのも良いかもしれない。だがそれは、フェイトちゃんとなのはママが友人関係になるまでの話だろう。

二人が友人関係になったら、俺達は次の事件を解決する為に行動を開始する必要がある。つまりは、幼い八神はやての状況確認とディアーチェの関係性と未来風景等の様子見をしなければならないという事だ。

 

「ユーリの事もあるから、大っぴらな事はできないか……」

 

俺がユーリに施した擬装も、もう少し強化する必要があるかもしれないから一度拠点に戻って周囲の妨害措置を強化する必要が高まっている。

仕方がないので、立ち上がって猫耳娘に一旦拠点に戻ると告げた後、妖精転移でユーリ達が待つ拠点へと転移した。

ほぼ、強制的に拠点内部へと転移アウトした俺はディアーチェに挨拶をしながら、外に展開している結界魔法の起点に魔力を流して更なる強化を開始する。

 

「大丈夫なのか?」

 

「何がさ?」

 

「結界を強化すれば、余計に目立つと思うが……」

 

「そうだね。でも、今はディアーチェの存在を悟られたく無いんだよね……」

 

「ム……我をか?」

 

「ディアーチェは、自分の存在がどういう事を示唆して…………なんで、存在しているのかを理解しているかい?」

 

「…………わからぬ。お主は、わかっておるのか?」

 

「そうだね……仮説はあるよ?でも、その場合はやっぱり八神はやての凍結封印の可能性が出てくるんだけどね」

 

「なのはちゃんがおるのにか?」

 

「…………そうだね……フェイトちゃんにプレシアやアリシアがいる事が、どれだけ物語に影響を与えているか予測しきれて無いからなのかな?もしくは、『これから』八神はやてに何らかのイレギュラーがあるとか……全くもって、面倒な話だよ……」

 

「……【転生者】の介入か……」

 

「前回の世界は、僕の介入で三期までの物語を一つにして三ヶ月程度で終わらせたけど……本当なら、10年程の年月を掛けて少しずつ解決していく事柄だったはずだ」

 

「最終的に、お主がミットチルダを焼き払っておったからなぁ………」

 

「ただの、ストレス発散だよ」

 

「ぶっちゃけおったな!?」

 

「TAKE1で、真面目にやる必要は無いってわかったからね……ああ、TAKEっていうのはーーーーー」

 

やり直し現象の説明をして、前回のあの世界と今いる世界がやり直しじゃない事に気が付いたけどディアーチェが何も言わなかったので無かった事にする。

 

「成る程のぉ……つまりは、『高町』がいなかった世界といる世界に別れたのだな?それで今は、様子見と?」

 

「ママがいる訳だから、物語はママ達に進めて貰うとして、僕達は不測の事態に備えて様子見をしているって訳だ!!」

 

「フム。それで、差異はあるのか?」

 

「さあ?わからないっていうのが現状……」

 

「ダメではないか!?」

 

「だって、アースラの武装隊員を現在確認中だけど……前回の世界しか比較対照が無いから、難航しているんだ……」

 

「仕方ない、見せてみろ……とは言え、昔の記憶だから役に立つとは言い難いが……」

 

「ああ、前例がもう一つあった訳か……初めて、ディアーチェが役に立っているような気がする……」

 

「やかましいわっ!!……と、そんな事をしておる場合では無かったな……どれ……」

 

ディアーチェが、アースラの武装隊員の情報を読み進めて行く。比較対照としては、僕を拾って育ててくれたなのはママ(本人)達と一緒に仕事をしていた頃の記憶。希に、武装隊員と協同した事があったという事で、その時の記憶を元に確認して貰う事になった。

なのはママが撃沈され、非魔導師となった後も含まれるので……その記憶が確かであるならば、有力な手掛かりになるはずだ。というか、ディアーチェは前回の世界とこの世界のみ上書き現象を体験している訳だから記憶の優位性は疑わない。これが、数回の上書き現象の後であったならボケたな……とか言って、弄り倒せたはずだ。モッタイナイ。

そして、ディアーチェが一人の女性隊員の情報をこちらへ送ってきた。

 

「この人?」

 

「ウム。我の記憶にもない人物だったのでな……まあ、多少の誤差があるようだが……我が知るアースラの武装隊に女性はおらんかったはずだ」

 

「名前は、レン・K・ヴォルフラム……珍しい、古代ベルカ式の使い手か……」

 

「なんやて!?っていうか、バリバリの黒やないか!!」

 

「ものスゲー、美女だな……ってか、目立ち過ぎだろう!?」

 

金髪を靡かせた美女が、写真枠内にガッツリ写っている。

というか、顔と制服と金髪のみの写真なんて初めて見た。

何これ?

 

「アカン。モロバレや!これでよぉ……武装隊員に成れたなぁ……」

 

「素行に難有りか。ここら辺が、平隊員の理由じゃないか?」 

 

「平隊員止まりになる程の素行って……どんな、素行やねん!?」

 

「…………うはっ!スゲー!マジか!?にゃはははは!!」

 

「なんや?そんな、笑えるような素行なんか?ちょ、私にも見せてぇn……ブハッ!あははははは!!」

 

笑い転げる俺を押し退けて、情報端末を除き込んだディアーチェもまた腹を抱えて笑い転げてしまった。

因みに俺達が見ているのは、本局のデータベースから拝借した正規局員情報に+使い魔が調べてきた情報である。で、問題となっているのは使い魔が調べてきた情報で備考欄に『自身に恋した超絶ナルシスト』と記載されていたからだ。

『自身に恋した』って、どうしてそうなったのかは不明だがその後の『超絶ナルシスト』の方は証拠映像と共に見ると納得だった。むしろ、笑いが加速する。

 

「ディ、ディアーチェ……こ、これ……プククク……」

 

「ちょ、や、止めて……あははははは!!」

 

そこには、武装隊入隊時の記録映像が映し出されている訳だが、内容としては鏡に見惚れたレン・K・ヴォルフラムが局員を瞬殺後、クネクネしながら自分の身体を抱き締めているというモノ。更には、口舌に尽くされた賛辞が自身に送られているという具合だ。

 

「そ、双夜……け、消してぇ……」

 

腹を抱えたまま、ピクピクと痙攣しているディアーチェ。

 

「ほ、ほら……見ろよディアーチェ……レン・K・ヴォルフラムじゃなくて、他の隊員の顔を……ブクッ!にゃはははは!!」

 

「グホォッ!!?あは、は、ははは……死ぬ、死ぬぅっ!!」

 

レン・K・ヴォルフラムのナルシストっぷりに、ポカーンと口を開けたまま影を引き真っ白になっている他の隊員がこれまた笑いを誘う。更には、その時呟かれた言葉を使い魔が拾っていたのがイケない。

 

『ちょっと、好みだったのに………………絶望した……』

 

「あははははは!!止め、止め、てぇ!!」

 

「殺るつもりだな!?笑い殺す気なんだな!?つ、使い魔めぇえぇぇぇ!!」

 

散々笑って、漸く落ち着いた俺達は帰ってきたユーリに介抱されつつ今後の身の振り方を考える。

 

「明らかに、アレが今回のイレギュラーだろう!?」

 

「ブフッ……そ、そうやろな…………アカン!壺やぁ!!」

 

「ディアーチェ!?」

 

「もしもの時は……(ニィマァ)僕が介入する!」

 

「双夜、顔がスゴイ事になってますから!?」

 

「だってなぁ……あんな、弄りがいのありそうなの見たら……なぁ?ディアーチェ……」

 

「せやな!人の話を聞かんタイプみたいやから、カリム程や無いにしろ遊べそうや!!」⬅直感

 

「武装隊員、待っていろよぉ!」

 

「我と双夜で弄り倒したるでぇ!!」

 

「あ、本人じゃないんですね……」

 

『人の話を聞かないタイプがいる場合は、その周囲を弄るべしっ!!』

 

「あはは……お手柔らかにですよ?ディアーチェ、双夜……はぁ……」

 

ポジション的に、ユーリは俺達の良心的存在になりつつあるようだ。中々、厄介なポジションだとは思うが頑張って貰おう。

 

「とは言え、アレがどういう風に関わって来るかだよな?」

 

「どうって……どう関わったら、我が生まれて来るのだ?」

 

「戦闘中に超絶ナルシスト化……したところで、リインフォースに撃沈されるイメージしか沸かない……」

 

「そうだな……そんなイメージでしかないが……特殊な能力が、あるのでは無いか?」

 

「一応、使い魔達が調べて来てくれて……はあ!?」

 

「どうした?何かわかったのか!?」

 

「あ、いや……魅了スキル《ニコポ・ナデポ》を予想。ただし、他人ではなく自身に効くタイプらしい……」

 

「《ニコポ・ナデポ》ってなんや?」

 

良くわからないまま、ディアーチェに《ニコポ・ナデポ》の恐ろしさを赤裸々に語って聞かせる。それを理解した時、ディアーチェの反応は『神崎、殺す!!』というモノだった。

ついでに、霧島も持っていた事を教えると『ラグナロク・ブレイカー』を叩き込むと物騒な事を言っていた。

しかし、霧島は霧島『さん』になったのでディアーチェには映像と共に説得して必要ない事を理解させる。

なんとか理解させて、殺るなら神崎だけと念押しした。

 

「しかし、ハーレムとか……馬鹿では無いのか?」

 

「特典に精力増強……的なのが無い事から、特典以外の特性的な何かとして付与されているんじゃないかな?」

 

「お主は……幼児後退化だな……」

 

「ん?ハーレム以前の話だよね!」

 

「ははは……すまん。そう殺気を向けて来ないでくれ……」

 

「まあ、今のディアーチェでは……幼児後退化なんてしないけどね!!寸胴体型じゃぁ……」

 

「言いおったな!?」

 

「おんやぁ~?脱ぐのかい!?ここで、脱ぐのかい!?ち、痴女で露出狂化するのかい?」

 

「ぬぐぐぐ……き、貴様ぁ!!」

 

〔ディアーチェ!〕

 

ディアーチェを弄って遊んでいると、偶々視界の端に魄翼を展開してソファーを持ち上げているユーリが目に入った。

瞬間、ディアーチェにアイコンタクトを取り話題を別方向へと進めて行く。ユーリの怒気に気が付いたディアーチェの協力を得て、何事も無かったかのように話題は進んでいく。

ユーリが、突然真面目な方向に話題がシフトした事を疑問に思っているみたいだが……魄翼と粗大物は、反則である。

 

「ま、冗談はさておき……ディアーチェ、アレを目の前にして笑わない精神は持ち合わせているか?」

 

「…………アレをか!?無理だろう!?」

 

「アレを……目の前で?」

 

「笑いを堪える……」

 

『何か言われたら持たない!!』

 

「シリアスブレイカー所の話じゃねぇ!?」

 

「存在事態が、シリアスブレイカーとは……なんて恐ろしい……自画自賛が始まったら、終ると断言出来てしまうのではないか!?」

 

「僕自身も大概だと思っていたけど、あのレベルがいるとは……世界は広いという事か……」

 

「お主とアレは、別であろう……最悪、SLBで亡き者にできれば良いが……難しそうだ……」

 

「アースラを落とすとか?」

 

「誰を犯罪者にする予定だ!?」

 

「ギル・グレアム……とか……」

 

「……それはアカン。おじさんには、『私』が管理局で働けて行けるまで『足長おじさん』でおって貰わな元が取れへんやん……」

 

「財布かよ……」

 

「財布やな!」

 

「だから、狸って言われるんだよ……」

 

「誰が狸や!?」

 

「お前だよ、腹黒狸」

 

「何か変なもんまで付いてきたでぇ!?」

 

喚くディアーチェをそのままに、俺は立ち上がりユーリの元へ行き紫天の書を預かる。

それを持って、俺は作業室へと篭った。

そして、やるのは紫天の書のロストロギア偽称改造である。

まあ、紫天の書そのモノをどうにかする訳ではない。

紫天の書に被せてある、カバーの方を強化するのである。

やり過ぎると、カバーにまでロストロギア反応が出てしまうからギリギリの所で止めないといけない。

偽称度を引き上げて、闇の書とは似ても似付かないカバー(表面)をそのままに紫天の書に被せた。

 

「まあ、こんなものだろう……」

 

作業を終えて、部屋から出ると何故かユーリが扉の横で寝ていたので抱き上げてソファーに連れていく。

 

「待て、何故ユーリならば良くて我は駄目なのだ!?」

 

「何の話だ?」

 

「ユーリに聞いたのだ。時間転移後、我は抱き上げられずユーリに魄翼で運ばせたと聞いたぞ!?」

 

「……言われたいのか?それとも、言わせたいと?」

 

「…………聞こう!」

 

「重い!」

 

「死ねぇ!!」

 

飛び掛かって来たディアーチェだったが、ユーリの魄翼でペチッ!と叩き落とされた上に掴まれて圧が掛けられる。

それで、ディアーチェは意識を失った。

 

「…………守って貰った……って事になるのかな?」

 

それにしても、ディアーチェ……弱くなって無いか?

どうやら、本体の闇の書が無いからという可能性もあるが……今一、ディアーチェの存在がわからないからという可能性もある。魔力の補充をするべきかも知れないが、この秘密基地内に留まっていれば問題ないハズなので現状維持とした。

とりあえず、ディアーチェは床に放置したままユーリをソファーベットの上に降ろしてやる。ついでに、俺もそのままユーリと共にソファーベットに身をゆだねた。

 

「お休みなさい……」

 

「……?はぅわ!?あわあわあ……ふきゅう…………」

 

「…………?ん、ムニュ…………zzz」

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

………………。

 

 

 

 

 

翌朝、何故かディアーチェに叩き起こされて女児と一緒に寝ていた事を叱られるという体験をした。まあ、それは良いのだが……ディアーチェが、微妙な顔をして視線をずらしている。それはきっと、俺の隣で凄く不機嫌なオーラを放出しているユーリが原因だろう。

良くはわからないが、ディアーチェが口を開く度にユーリの不機嫌度が上がっていく様な気がする。

そうこうしていると、唐突にアラートが鳴り響く。

 

「ム!?な、何だ!?」

 

「警報かな?……海上で、高次魔力流を確認。魔力パターンは……フェイトちゃんか……」

 

「フェ、フェイトちゃんは、何しとんの!?」

 

「海中にあるジュエルシードを強制発動させて封印する気何じゃ無いかな?リニスもアルフもいるし……問題ないかな?」

 

「助けに行かんのか!?」

 

「んー。ヤバそうなら、干渉するけど……」

 

「……お主が、そう言うと何故か安心してしまう自分の心が意味不明だ……」

 

「実力を知っているからだろう?知らなければ、そんな気分にはならんさ……あ、なのはママが来た……」

 

「ユーノくんもおるみたいやな……」

 

「…………ナルシーは、出て来てないみたいだけどな……」

 

「ナルシー?……ああ、ナルシストか……何でやろなぁ?」

 

「……自室の鏡の前で、ポーズ取って『やっぱり、私ってふつくし……』とか言ってたり……(ニタァ)」

 

「ブホォッ…………ちょ、や、や、止めてぇなぁ……」

 

「『あっはぁあぁん……』とか?」

 

「ブフッ…………あ、あははははは!!」

 

ちょこっと、しなを作って見せるとディアーチェは笑いの海に沈んだ。そのまま、ピクピクと痙攣しているので脱するまで時間が掛かりそうだった。

その後、なのはママと協力してフェイトちゃん達はJSを七つ全部一度に封印してクロノ・ハラオウンの妨害があったけれどその場から離脱して行った。

因みに、ジュエルシードは四つクロノ・ハラオウンがGET。

アルフが、三つGETとなりその場から離脱した。

これにて、地上・海共に全てのJSが封印されたという事になる。ついでに言うなれば、なのはママとフェイトちゃんが出会う為の切っ掛けが無くなった事にもなる訳だ。

 

「僕、この後の話……知らないんだけど……」

 

「……た、確か……なのはちゃんがフェイトちゃんとジュエルシードを賭けて決闘するんや無かったかなぁ?」

 

「決闘!?それ、どうやって友達になるんだよ!?」

 

「確か、なのはちゃんから友達になりたいって申し出があったって言うとったなぁ……」

 

「…………どんな状況なのか、サッパリわからん」

(><;)

 

「まあ、普通に聞いた我でもわからへんから、気にせんでええんちゃうか?」

 

「……そうか。まあ、とりあえず……ディアーチェには、僕が保有するシャマル先生のスンゴイ味をプレゼントするね?」

 

「えっ!?ちょぉっ!!!」

 

「『時の庭園』に行って来ます!!」

 

ディアーチェの絶望した顔を見て満足した俺は、JSが全部回収されたこのタイミングを逃すべきではないと判断。

アリシア・テスタロッサ蘇生の為、『時の庭園』に飛んだ。

入り口周辺にジャンプアウトして……そこからは、短距離転移でプレシアの元へと移動して見れば、椅子に座ったまま寝ているプレシアちゃんがいた。こう、無防備に寝ていると悪戯をしてみたくなるんだけど……我慢して、睡眠の魔法で更に深い眠りへと誘う。

 

「さあ、サプライズの時間だ!!」

 

という訳で、アリシア・テスタロッサの肉体のみを転移魔法でお取り寄せして、補完していたアリシアの【魂】を肉体に定着。要点固定で、肉体の中に押し込めて【魂】と【肉体】を繋ぐ精神を構築。回復系魔法の奥義、蘇生を実行した。

数分後、アリシア・テスタロッサは目を覚まし……俺が用意していた車椅子に移して、プレシアの目の前に連れていく。

 

「プレシア?」

 

「………………zzz」

 

「ママぁ……?」

 

「お休みみたいだね……」

 

「……そだね……ところで……貴方、誰?」

 

「んー、如月双夜……双夜で良いよ?」

 

「ソーヤ?ソーヤは、どうしてここにいるのぉ?」

 

「君の治療をしていたからだよ?僕は、治療のエキスパートだからね」

 

「そうなんだ……私と同じくらいなのに、スゴいんだね!」

 

「あ、そうそう。君には、妹がいたよ?」

 

「え!?本当?」

 

「プレシア本人に聞くと良いよ。コウノトリさんに頼み過ぎて、大きな妹になっちゃったみたいだけどね」⬅意地悪

 

「???」

 

「ぅんん…………」

 

「あ、ママ!?」

 

「…………ぅん?……アリ、シ、ア、?……………………………………………………………………………………アリシア!?」

 

目を覚まして、アリシアの姿を確認したプレシアを見て俺はアリシアから離れた。案の定、プレシアがアリシアにガバァっと抱き付いて全力で抱き締めている。

アリシアが、目を白黒させて驚いているが俺の役目は終わったので、このまま行方を眩ませても良い感じだ。

闇の書事件まで、行方不明でも良いかなと思い始めた頃になってプレシアが俺にも抱き付いて来た。

 

「ありがとう……ありがとう、双夜……!!」

 

「あー、うん。とりあえず、フェイトちゃんに紹介しないとだね……あ、頼んだ用事、済ませてくれた?」

 

「管理局への通報よね?ええ。済ませてあるわ……」

 

「ここに?」

 

「いえ。フェイトの潜伏先によ?」

 

「あ、一波乱ありそうな予感……とりあえず、直ぐにフェイトちゃんの元に行ける?」

 

「え?ええ、行けるけど……何かイケなかった?」

 

「行けば、わかるよ……ああ、思いっきりヤっちゃって良いから。問答無用で♡」

 

「???」

 

プレシアとアリシアが、揃って首を傾げる。そんな風に、キョトンとした顔で似たような仕草をされたら可愛く感じるじゃないか。虐めたくなるじゃ無いか……。

その後、フェイトちゃんの潜伏先に転移したプレシアは……デバイスを展開し、わがまま顔で部屋を物色する局員を見て最初はキョトンとしていたが段々とキレ始めた。

 

「フェイト?」

 

「ム!?時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。少し、話をーーー」

 

「私のフェイトを何処へやったの!?」

 

「あ、え?や、話をだな……」

 

「邪魔よっ!!」

 

『ギャアアアアァァァーーーーー!!!!』

 

俺の予想通り、局員達を凪ぎ払うと同時にフェイトちゃん達を探し始めるプレシア。

 

「フェイト……フェイトっ!?……リニス!アルフっ!!何処?何処なの!?フェェイトォォォ!!!!」

 

瓦礫を払い除けて、時には魔法で吹き飛ばし血相を欠いて泣き叫びながら探す。その様子を、ステルスモードで眺めつつ、ドン引きしているクロノ・ハラオウンを盾に局員達の恐怖体験を妖精魔法で煽った。

 

「貴方達……私の可愛いフェイトを何処へやったの!?」

 

「……うっ!?……こ、ここに来た時には、もういなかったんだ!!」

 

クロノ・ハラオウン、激怒するプレシアに怯んで一歩下がる。しかし、言い訳はプレシアの耳に届かなかった。

 

「どうして、私と可愛い娘達との幸せな生活を邪魔するの!?あの、ロストロギアにしても……貴方達にしても……っ!……私の邪魔をしないでェ!!」

 

ザックリ説明で、ロストロギアとの非関係性を断言してプレシアは、俺の計画通り『娘を奪われて激怒する母』を殺りきってくれたので良しとする。

そして今、事態は面白い方向へと流れていた。

プレシアが娘を返せと激怒する中、クロノ・ハラオウン達は『知らない』とか『逃げた』とかの一点張り。

会話は平行線のまま、プレシアは聞いていない上にブチ切れているから周りも見えてない。

最終的に、時空管理局所属次元航行艦アースラの切り札であるクロノ・ハラオウンが撃沈されて武装隊も全滅。

条件付きSSを敵に回して、ただで済む訳が無かったという事だろう。その後も、激怒したままのプレシアと次元航行艦アースラ艦長リンディ・ハラオウンの間で話の噛み合わない交渉が続いて……決裂。プレシアは、『もう、良いわ』と怒ったまま『時の庭園』へ。俺は、周辺を捜索させていたフレールくんに呼ばれてフェイトちゃん達の元へ。

一応、プレシアにはフェイトちゃんが無事だった事を告げておいた。ついでに、フェイトちゃんからなのはママに友達になりたいと言われていた事を教えて貰う。

 

「え!?い、いつ、何処で!?」

 

「海のジュエルシードを封印した時だよ?」

 

「ええ!?あの時ぃ!?そんな間が、あったんだ……」

 

アルフとクロノ・ハラオウンに気を取られていて、気が付かなかったらしい。そんな、ショックを受けたりと楽しい時間が過ぎて行って……なのはママから、広域念話によってフェイトちゃんに決闘の申し出があったりした。

 

「あれぇ?このフラグ、へし折った気がしたのになぁ……?」

 

「ど、どうしたら良いのかな!?」

 

「そこは、フェイトちゃんが決めなよ。アリシアに紹介できる自慢の友達を作れば、プレシアがアリシアに怒られる状況は回避出来る訳だし……」

 

「わ、私が決めて……良いのかな?」

 

「良いんだよ。これは、フェイトちゃんの人生なんだから……プレシアの人生は半分、僕が歪めちゃったみたいだから干渉したけど……フェイトちゃんは、フェイトちゃんの望むままにすれば良いよ……」

 

「……そうですよ、フェイト。これは、貴女が決める事です」

 

「フェイトは、どうしたいんだい?」

 

「……あの子と、友達に、なりたい……かな……」

 

「なら、ぶつかって来なよ。友達になりたいんだぁー!ってさ……」

 

「…………うん!」

 

満面の笑顔で、答えたフェイトちゃんは慌てたように待ち合わせの場所へと転移していく。それを見送って、俺は言い様のない不安にかられた。

 

「……………………フェイトちゃん、言葉通りに受け取って無いよね!?『ぶつかって』って言ったけど、アレ比喩だよ!?」

 

「流石に、それは無いんじゃないかい?」

 

「そうですよ。フェイトでも、流石にそれは……」

 

『……………………』

 

しかし、俺達のその不安は現実のモノとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プレシア、親バカを発揮するの巻。
フェイトちゃんが、脳筋化してるけど……なのはの影響だと思ってね?双夜は、暗躍中w時空管理局を、段々と脇に寄せているように感じるw

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