絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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六五話

ディアーチェ

 

 

幼い私の誕生日が、後一週間に迫ってきた頃……双夜の様子が、少しおかしいと思う様になった。

それは、はやてにもユーリにもわかるレベルでだ。

はやてが、私にこの世界に残って欲しいと告げた頃から双夜は忙しそうにしている。ずっと展開し続けている、たくさんの画面を見詰めながら溜め息を吐いたり……頭を抱えたりと、してる行為が……その全ての行動が真剣で本気なのだ。

余裕がない、と言えば良いだろうか。

それは、ただ見ているだけでこちらにも伝わってくるくらいで、私達は双夜に話し掛ける事すら出来なくなっていた。

あの双夜が、冗談も捏造話もしないという異常事態だ。それが、どれ程の異常事態かわかっていただけるだろうか?

時折、私達をジィーと見ている事もあって何かをしているのはわかるのだが……その話をさりげなく振ると、「何でもない」とか「問題ない」としか言ってはくれない。

そして、はやての誕生日を一週間前に控えた今日……双夜は、私達の前に姿を現さなかった。ただ、はやての携帯にメールで『しばらく、遺跡に籠る』と送って来て連絡が取れなくなってしまう。所謂、音信不通である。

部屋に行って、扉を開けてみたりもしたけど……部屋は遺跡などには繋がっておらず、普通の部屋のままだった。

それにより、完全に音信不通となってしまったのである。

一体、何がそこまで双夜を追い詰めているのか私達には全くわからなかった。世界の調整関連なのは、ユーリが言っていたから納得できたのだが……それ以外の事が、全くわからない。完全にお手上げ状態であった。

 

「情報が不足しておる……」

 

「せやな。双夜はもう、私等の家族や……困っとるんなら、相談してくれたらエエのに……力になれんでも、一緒に考える事は出来ると思うんよ」

 

「ウム。全く、何を考えておるのやら……少しは、我等を頼りにしてくれれば良いものを……」

 

「その通りです!はやてさんは、良いことを言いました!」

 

「あははは。止めてぇな、照れるやん?」

 

「何を恥ずかしがる必要がある?はやてがいった事は、当たり前の話だ……」

 

だが、双夜との通信が回復した訳では無いので状況が変化する事はなかった。そうして過ごすは、怠惰な日々。

ただ、時間だけが過ぎていく。だけど、その怠惰な日々は思っていた程長くは感じなかった。きっと、フェイトちゃん達が何度も遊びに来てくれたおかげだろう。ただ、フェイトちゃん達の目的の人物は常におらへんかったんやけどな。

不在である事がわかる度、少し肩が落ちるので最終的にはみんなに弄られる存在へと変わってしもとった。

フェイトちゃん的には、自分を救ってくれた双夜を特別な存在と見ていた訳や無いとかゆうとったけど……誰が見ても、フェイトちゃんは恋する乙女や。本当なら、なのはちゃんがそのポジションにおった訳やけど……と考えて、私は出口の無い迷宮に迷い込んでしまった様な気分になった。

もし、『そう』であるなら……フェイトちゃんは、なのはちゃんに【恋】していたって事になる。事実は不明だ。

現状、なのはちゃんは不在でフェイトちゃんが見ているのは双夜だから………双夜だから……………どうしよ?深みにはまってもうた。

 

「……百合か…………百合の花が…………ハッ!!」

 

アカンアカン!変な世界への扉を開けてまうところやった。

頭をブンブン振って、気分を変えて行く様に努力する。

こういう時は、全く別の事を考えて忘れてしまうのがエエ!

双夜との通信方法は、紫天の書からレイジングハートに送るメールのみ。通信に出てくれるなら、万々歳だが通信が通る様子はない。だが、それでもと日に何度かは呼び出しを掛けるだけの日々。

それ以外は、何ともマッタリとした平和な日々であった。

時空管理局の横槍も、襲撃もない日々が続き……幼い私の誕生日が、目前にまで迫っていた。

 

「ここまで、音沙汰がないと逆に不気味になってくるな……」

 

「何か、とんでもない悪戯の前準備に思えてなりません!」

 

「なんで、そんな反応になるねん……まあ、かくいう私も双夜が悪戯の前準備しとるんやないかとか思い掛けてるけど」

 

「そう言えば、昔。あ、いや……未来での出来事なのだが。シャマルと一緒に……ああ、シャマルというのは闇の書から出てくる守護騎士の一人なんだが。シャマルは、幾ら練習しても料理が改善しなくて『ポイズン☆クッキング(PK)の天才』と呼ばれておる。其奴が作ったPKを奴が食べられる猛毒に変えてな?酷い目に遭わせられたことがあった……」

 

「ツッコミどころ満載な話やなぁ……ってか、食べられる猛毒ってなんやの!?」

 

「××料理人ですね!髪の毛がピンク色なら、もっと良かったと前に双夜が言ってました」

 

××料理人と言われ、更にピンクの髪と聞いた瞬間……ピンク髪であるシグナムの顔が頭に浮かんだ。

しかし、シグナムが料理をしていた記憶はない。

だけど、これだけはハッキリと言える。

そのピンクの髪の××料理人は、ポニーテールであると……!

理由は不明。ただ、そんなイメージがあるのであった。

 

「ピンクの頭の××料理人?なんやろ、聞いた事あるわ……」

 

「デザートだけは、美味しいそうです!」

 

「なんのネタだ!?まあ、良い。当時は、それを食べる者などいなかった訳なんだが……双夜の奴が、冷凍保存しておってな?」

 

「食べたんやね!?」

 

「食べる物が無くなったからな……」

 

「なんで、そんな状況に?」

 

「全次元世界が消滅して……次元航行艦内で、生活していた。結果的には、人類が生存できる可能性を持つ次元世界へ到達できず、物資が底をついた結果……我等は、餓死してしまう……そういう事だ」

 

「嫌な未来を聞いてもうたわ……」

 

「安心するが良い。そんな未来は、決して来ん……いや、来させはしない!!」

 

「そんな事、私達がさせません!!」

 

「…………ほんま、ありがとう……な?」

 

「……ウム。今後、双夜が戻ったら口にするモノには気を付けておいた方が良いだろう」

 

「そうですね!それが、賢明だと思います!!」

 

そんなくだらない話をしつつ、迎えた西暦2005年6月4日金曜日0時00分。私は二度目で、幼い私は初体験の闇の書起動イベント。問題が起きた時の為のユーリも居て、私達は守護騎士達を迎えた。

 

 

 

……………………。

 

 

 

結論だけを言うと、幼い私の側にいた私達を不審者扱いした守護騎士達と不審者扱いされた私達による戦闘を経て今はリビングで寛いでいる。そして、私達の目の前には、ユーリにギッタンギッタンのボッコボコにされてしまった守護騎士達が延びていた。

 

「ぶっちゃけ、我は何もさせて貰えなかった……」

 

「ユーリ……強いんやねぇ……」

 

「双夜には、及びませんがそこそこ強いと自負しています!」 

 

むん!と両拳を握って、ガッツポーズをするユーリがとても可愛く思えた。その発言に、双夜の戦闘力が上方修正される。ってか、本人が言っていた通り、チート認識になりつつあった。

 

「それにしても、守護騎士四人がかりでも無双状態とは……ユーリは、本当に強かったのだな。聞いていた以上に……」

 

「えっへん!」

 

「ほへー……そうなんか?普段の事を考えると、なんや狐に摘ままれとる感じや……」

 

「我も似たようなモノだが、実際にこの目で見た以上……信じないという選択肢はないな……」

 

「ディアーチェの目が、節穴やったりしてな(笑)」

 

「……それだとはやても節穴になるが……」

 

「…………せやった。ディアーチェにいうと、ブーメランなんやなぁ……ううっ……」

 

「…………一応、双夜にはメールを打っておきましたから、今日はもうおやすみしましょう!」

 

「そうだな……」

 

「そやね……おやすみぃ~」

 

「おやすみなさい」

 

「ウム。また、明日……」

 

守護騎士達が気を失っている以上、これ以上の進展は無いと判断した私達は問題を棚上げにして眠りに就くのであった。

そして、翌朝。

目が覚めて、リビングに降りて来ると双夜がいて「バンサクツキタ…」と片言で何かを呟いていた。

 

「おおぉ?戻ったか、双夜よ……」

 

「……ディアーチェか。で、紫天の書へ移る気になったか?」

 

「ならん!」

 

「そうか……了解だ……」

 

双夜は、それだけを聞いて部屋に戻って行った。

リビングから出る前に、チラッと守護騎士達を見て何やら憂いのある顔をした後、何かを覚悟したような顔で部屋に戻って行く。その背中が、何時もより一回り小さく見えてしまう。幼い私ではないが、双夜はもう家族なんだからもっと頼ってくれても良いはずだ。だけど、双夜は私達を頼らず一歩身を引いた場所からこちらを見ている。そんな感じがした。

それから、守護騎士達を説得して私が未来の【八神はやて】である事を……そして、闇の書が壊れて暴走している事を事細かに説明した。

幼い私の足が悪いのは、闇の書からの侵食が原因で調べて貰えればわかると説明。湖の騎士シャマルが、それを確認して闇の書が不具合を起こしている事を自覚させた。

その結果、シグナムが闇の書を完成させれば幼い私の足が治ると断言して守護騎士全員がデバイスを持ち出した所で幼い私が怒って止めさせる。それでもなお、渋るシグナムを再度説得しようとしたところで双夜が降りてきた。

 

「何やってんの?」

 

「シグナムが、闇の書完成させるゆうてな……今、説得してるところや!」

 

「…………はあ。闇の書に洗脳され切ったアホが、まともな判断出来る訳無いだろう?」

 

「馬鹿な!?我等の闇の書が、我等を洗脳だと!?ふざけるのも大概にしろっ!!」

 

「ディアーチェ……君の夜天の書を……」

 

「ん?これをか?」

 

「なっ!?闇の書が、もう一冊だと!?」

 

私が、夜天の書を呼び出すと驚いた守護騎士達がデバイスを展開して身構えた。双夜は、その様子を伺いながら私から夜天の書を受け取り開く。そして、私ですら知らなかった事を平然と言い出した。

 

「管理者権限発動……」

 

「はあ!?なんで、双夜が夜天の書の管理者権限なんて持っとんねん!?」

 

「うるさい。夜天の書に戻した時に割り込んで登録しておいたんだよ!……守護騎士システム起動。ならびに、守護騎士システムの切り離しを実行……出でよ!」

 

双夜を中心に魔法陣が展開して、私の守護騎士達が出現した。それと同時に、不可解な事が続く。現れた守護騎士達が、幼い私の守護騎士達とそれぞれ一つ……融合して行き、融け合ってしまう。

 

「はい。終了……」

 

「ちょ、え?なんで!?」

 

「説明して、説得して、納得させるよりも簡単で簡潔な方法を取っただけさ……元々は、同一で同じ存在なんだから召喚して夜天から切り離してやれば、同じ存在同士で引き合って同化するのは当たり前だ」

 

「……そうなんか?」

 

「これを、上書き現象という……さて、後は闇の書を直して魔力を蒐集させてやれば、万事OKだ……シグナム、説明は必要か?」

 

「いや。問題はない……ただ、私が私になったという状況がまだ…………すまない。上手く言えん……」

 

「構わないさ。まだ、混乱しているんだろう……次は、闇の書を修復して……ディアーチェを見送れば、解決だ!」

 

これにて、一件落着や。

【闇の書】を【夜天の魔導書】に戻してしまえば、今後闇の書による悲劇は起こらへん様になる。闇の書の基礎構造を、夜天の書の基礎構造に直す事でリインフォースの生存も可能や。つまり、ハッピーエンドとゆう訳やな。

 

「ん?今、なにか変な事を言わなかったか?」

 

「…………なんだ。変な事とは?」

 

さも当たり前の様な、首を傾げて私を見る双夜に言い様のない不安が込み上げて来た。

 

「今、私を……『見送る』とかゆうてへんか!?」

 

「ああ。その事か……その事なんだが、お前は紫天の書へ移る以外に未来は無かったんだ……」

 

「はあ!?ちょぉ、待てや……どういう事やねん!?」

 

「……いや、紫天の書へ移ったとしても、お前が存続できる可能性は天文学的数値になるんだ……」

 

「ど、どういう事なん!?ディアーチェが、いなくなってまうん!?」

 

「いや、いなくなる訳じゃないよ?」

 

「???なら、どういう事や!?ちゃんと、説明して!」

 

「はあ……とんでもない勘違いをしているようだが……ディアーチェ、君はこの“幼い八神はやてがバットエンドを迎えた【未来】の八神はやて”である事を忘れてないかい?」

 

「……………………え?」

 

「いや、だから……幼い過去の君が助かれば、凍結封印された未来の君が消滅するのは至極当然の成り行きじゃないか。その肉体は、幼い八神はやてが時空管理局……しいては、ギル・グレアムの手で凍結封印された結果の未来のモノだ。過去が変われば、未来も変わる……そんなところだ……」

 

『ーーーーーーーーーー』

 

それを理解した瞬間、私の頭は真っ白になってしまっていた。双夜が、まだ何か言っているけど私の耳には届かない。

力が抜けて、私はペタンと尻餅をついてしまった。

 

「つまり、私が助かるとディアーチェは消えてしまうって事なん!?」

 

「そうだ。だから、紫天の書へ移らないか?と持ち掛けた訳だが……それも難しくなってしまった」

 

「なんで!?紫天の書へ移ったら何とかなるんちゃうの!?」 

 

「刹那に等しい数値が、チョビット向上するだけだ」

 

「じゃあ、なんで『みんな助かる』みたいな事ゆうたん!?ディアーチェが助からへんのやったら、同じやないやないか!?」

 

「同じだよ」

 

「何処が、同じやねん!?」

 

「何にせよ、君達の記憶から僕とディアーチェの記憶は消えて無くなるんだ……その上で、みんな『ハッピーエンド』だよ?」

 

『はあ!?』

 

私達全員が、同時に疑問の声を上げた。

そして、幼い私も私自身でさえ双夜の言葉に沈黙せざるを得なった。幼い私が助かると、私と双夜の記憶がみんなから無くなってユーリで補完されてしまうらしい。

ユーリ・エーベルヴァインという、稀代の魔導師によって闇の書の闇は払われてハッピーエンドになるんだそうだ。

 

「わ、私がですか!?」

 

「そう。君が救世主扱いで……みんなの記憶で補完される。フェイト・テスタロッサを救ったのも……八神はやてを救ったのも、全部ユーリ・エーベルヴァインがした事だとね?」

 

「ちょ、そんなんハッピーエンドとちゃうっ!そんなん……ハッピーエンドやないやんか!!」

 

「『ハッピーエンド』だよ。そりゃ、ディアーチェが生存出来るみたいな事を言って悪かったとは思っている。同じ時間軸に存在できるんだから問題無いと当初は考えていたからね。でも……世界は、御都合主義で出来ている訳じゃない。同一人物が、同時に存在出来る訳が無いんだ。ま、人の【輪】から外れたならば可能だろうけどディアーチェが【輪】から外れているようには見えないなぁ……」

 

「せやけど……そ、そうや!ディアーチェは、一度死んでるんやろ?リインフォースと融合して、そんで別の存在になっとるんとちゃうんか!?」

 

「……じゃあ、その融合の原因を取り除いた時……ディアーチェが、タイムパラドックスに巻き込まれない自信があるかい?世界の修正力……歴史が変換され、『失われた未来』が存続できる理由を述べてみてよ……」

 

「……………………それは……そんなん……っ!!」

 

「ここ三週間、ずっと考えたよ。ディアーチェが存続して……八神家の一員として、存在できる方法を。でも、思い付かなかった。完全敗北だ。ぶっちゃけ、世界のシステムに負ける事は良くある事だけど……ここまで、『現実』が残酷だとハッピーエンドと胸を張っては言えそうにない……」

 

「何も……残らへんのんか?」

 

「残らない。それが、『現実』というものだ……」

 

「……………………っ!!」

 

幼い私と双夜の言い合いが止まり、私は呆然としたまま二人を見上げている。このまま、闇の書を夜天の魔導書に戻すと私は消えて……誰の記憶にも残らずに、この世から去るらしい。実感は無かった。自分が消えてしまうと言われても、全く全然一ミリたりとも実感がもてへん。何かの夢物語を聞いているような、そんな感じやった。

 

「さて、ディアーチェ……君の夜天の魔導書には、時間というシステムから切り離した上で闇の書に戻って貰う。ただし、これは存続させる為の方法じゃない……八つ当たりの時間を残す為の方法だ!」

 

「……………………八つ当たり?」

 

「ああ。今現在、この世界は……管理局の身勝手な判断により、切り捨てられる事が決定している……」

 

「……………………なんで?」

 

「助けるよりも、吹き飛ばした方が楽だからだろう?こちらで、勝手に助けると主張したところ……『証拠』が無いから。『根拠』が無いから信じられない……との事だ。この地にアルカンシェルを叩き込み、無かった事にするらしい。この話には、管理局の最高評議会が一枚噛んでいるらしくてな……ギル・グレアムでは、対処できなかったみたいだ……」

 

「…………闇の書を作った責任は?」

 

「取りたくないそうだ。次元空間で、俺の使い魔が艦隊戦を殺りながら時空管理局の先攻部隊を退けているよ……」

 

「…………この地に、アルカンシェルを叩き込む……やて!?」

 

「そんな事をしたら、フェイトさんもすずかさんもアリサさんもみんな死んじゃいますっ!!」

 

「そんなん、全然ハッピーエンドやないやんか!!」

 

ユーリと幼い私が、アルカンシェルの話を聞いて騒ぎ出す。

それは、私自身に取っても許せない事柄だった。それでなくても、『私』は未来の友人だったなのはちゃんとユーノくんを失っている。これ以上、誰かを失うのは嫌だった。

 

「……………………八つ当たりかぁ……せやな。今やったら、管理局に八つ当たりの一つくらいできそうや……」

 

「お前が、闇の書として出向けば……この世界を襲う理由も無くなる……その為に、この世界の【八神はやて】には一芝居うって貰う事になりそうだけどな……」

 

「な、何させる気や!?」

 

「君には、聖王教会で夜天の書の主として名乗りを上げて貰おうと思ってる……その間に、僕達は地上管理局に宣戦布告して大暴れって筋書きだ!君のアリバイを作りつつ、管理局の闇を叩き潰す!どうよ?」

 

「……………………なんや、双夜が暴れ足りないから暴れたいって言うとるみたいな話やなぁ。まあ、エエわ。乗ったる!!私も段々頭に血が登って来たところや!!」

 

段々、時空管理局の理不尽さにブチ切れ始めた自分を押さえる事ができそうにない。高々、魔導書一つに世界の命運を掛けるとか正気の沙汰やあらへん。

それが、管理局の闇とかいうモンの仕業やゆうんやったら、管理局の査察官として……一局員として、表に晒して裁いたる!!そんな気分になった。

 

「つー事で、ユーリは夜天の魔導書と共に幼い八神はやてと守護騎士とで聖王教会で名乗りを上げて来て♡僕の戦力はわかっているだろうから気にしなくてOKだ」

 

「それだけで、良いんですか?」

 

「物足りないかと思うけど、知略戦はそういうものだ。場所は、ミッドチルダ中央。地上管理局がある場所で、僕とディアーチェが無双してくるよ!ついでに、芋づる式でジェイル・スカリエッティも付いて来る!!」⬅捕まえた(笑)

 

「ああ。それは、エエなぁ……今後の憂いも断てて、過去の私に明るい未来を示せるなら……最大の贈り物になるっ!!行くで?双夜!!手始めに、世界を救うんや!!」

 

「おうよ!殺るなら派手に……そして、徹底的にブチのめす!!管制通信。全軍に告ぐ!リミッターの解除を許可する。管理局のアホゥ共に教えてやれ……誰に喧嘩を売ったのかって事をなぁ!!そして、《ルール・ブレイカー》!!」

 

双夜の叫びと共に、【未来の闇の書】に虹色に輝く剣が突き刺さった。更に、双夜がクナイの様なナイフサイズの虹色に輝く刃を多数展開して【過去の闇の書】にザクザク突き刺して行く。こんな事をして、守護騎士達が何も言わないはずが無いって言うのに……気が付けば、まだ与えられていないはずのBJを展開してデバイスを持っている守護騎士達の姿があった。一瞬、疑問に思ったけれど……もう、なんでも有りな双夜を見とったらどうでも良くなった。

私はもう、双夜の能力を疑ってはいない。

双夜は、私が会った誰よりも心強い魔導師や。そう思った時、私の脳裏に『史上最強』という言葉が浮かんだ。

その後は、次元空間に跳躍して次元航行艦アースラを乗っ取った。クロノくんやリンディさん達には悪いとは思うたけど、ミッドチルダへと爆進していく。

通常空間に出て直ぐ、アルカンシェルの洗礼……集中砲火を受けるが、双夜が「対アルカンシェルフィールド!!」とか言って展開したバリア(?)によってアルカンシェルを防ぐ。

そして、アルカンシェルを撃った無防備な艦隊を双夜の使い魔が撃沈していく。僅か数分で、数十機いた艦隊が全滅してアースラはそのまま大気圏に突入した。

 

「さあ、誰に喧嘩を売ったか管理局に……いや、全次元世界に教えてやるよ!!にゃーはははは!!!」

 

大気圏突入後、地上管理局の真ん前に出た私達は転移魔法でアースラの側面に出てデバイスを展開した。大人モードの双夜は無差別通信で管理局に宣戦布告をする。これから、管理局を潰して地上管理局の真下。地下に隠れ潜んでいる最高評議会を表に引きずり出し全次元世界に晒す事。そして、彼等が犯した闇の書誕生の責任を小さな少女に押し付けようとした事に対しての報復とその他モロモロの八つ当たりをさせていただくと宣言した。

レイジングハートが、エクセリオンモードになってBビットを展開した所で私は一時的に呆然となる。

そこに現れた、大量のビットに言葉を失った。

それと、ブラスターモードが安売り状態でBビットに至っては完全に大安売りだ。それらが、航空武装隊を一瞬で凪ぎ払うと双夜が地上管理局に向かって飛んで行く。

戦闘が始まった。その間も、時空管理局の前身組織が行ってきた事柄と最高評議会が行ってきた犯罪の数々が全次元世界へと発信されている。もちろんと言うかなんと言うか、双夜の辛辣かつ猛毒のコメント付きでだ。

いや、もう何というか……私が現役局員であるなら、心がポッキリ折れてしまうような猛毒である。残酷を通り越して、完全に残虐なコメントをであった。双夜が放った、ディバインバスターが地上管理局の側面を掠める。

そうこうしている内に、管理局のエースともおぼしき魔導師達が集まって来て……でも、双夜のあり得ない魔法によって撹乱各個撃破されていく。そんな中、一撃では倒されなかった槍を手にしたベルカ式の局員が双夜のデバイスと鍔迫り合いをして彼の行く手を阻んだ。だけど、それも一瞬で一旦下がった双夜がシューターを含む砲撃魔法で撃破。その後ろから、昔……いや、私がいた未来で一緒の部隊にいたスバルに良く似た女性が大きく振りかぶって双夜に突っ込んで行く。

しかし、別方向からのディバインバスターによって凪ぎ飛ばされて行った。その戦う後ろ姿を眺めていた私の『史上最強』が、『絶対無敵』に変わるのに時間は掛からなかった。

圧倒的な魔法と、圧倒的な戦闘力。そして、無敗の戦力が彼にはあった。理不尽で、もう笑うしかない様な戦闘が目の前で行われている。

 

「ふふふ。あはははは!アカン、笑が止まらへん!!」

 

馬鹿げていた。五万機のBビットからのディバインバスターってなんだ!?

 

「条件、万事OK!行っくよぉー?」

 

魔力が収束していく。帯状の魔法陣が、収束する魔力を囲んで一気に収束を加速させて行った。

 

「って、SLB!?ちょ、殺りすぎはアカンよ!?」

 

「知るかよ!これは、ただの八つ当たりだ!!そこに、遠慮も配慮も必要ない!全力……全開ぃーっ!!」

 

双夜の宣言後、ノータイムで掻き集められた魔力が地上管理局本部に叩き込まれた。

もう、地上は完全な大惨事だ。SLBにより、凪ぎ払われていく地上が……ピンクの閃光に呑まれて行く。

人も街も呑み込んで、全てを無へと変えていくその姿は……見上げれば、最高の笑顔で吹き飛んで行くそれらを見送り……再度、ディバインバスターで撃ち漏らしを潰していくその姿になのはちゃんが重なって……恐怖に似た感想を得る。

 

「…………あれぇ?」

 

かつて、次元航行艦内で生活していた頃の記憶にそんなモノは無かったはずなのに、この光景を見ているとそんな記憶が掘り起こされる。

私が呆然と立ち尽くしているのに無事なのは、双夜の使い魔が私をフォローしてくれているからだが……それ以上に、局員達が双夜によって撃破されていく方が速い。

そして、一時間もしない内に空制権をGETした双夜が地上に向けてディバインバスターを撃ち始めた。

呆れた様に見ていると、私を捕らえる様に誰かのバインドが絡み付いて来る。

 

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ!これ以上の暴挙、今すぐ止めて貰うぞっ!!」

 

「…………クロノ・ハラオウンさんですか……今、全次元世界に管理局の闇を暴露している訳ですが……良いんですか?」

 

「何を言って……ハッ!ま、まさか……」

 

「ええ。そのまさか、です……良いんですね?」

 

「……………………」

 

双夜の使い魔の一人が、邪悪にニヤリと笑う。

それで私も、その使い魔がやろうとしている事に思い至った。魔女っ娘…じゃなかった、『魔男の娘☆マジカル☆クロノン♡』。クロノに扮した使い魔を使って、全力全開でCGを駆使し造られた30分に及ぶ恥ずかしい映像の物語。それが当人の目の前で、巨大ディスプレイに放映され始めた。

それを見たクロノ君が、絶叫を上げながら喚き始める。残念やけど、それは第97管理外世界のネットで拡散されている創作映像や。既に、何万人の人が閲覧しとる。

そこそこ、人気の創作映像だ。ヤンチャウブを見ると良い。

 

「次に地球に来る時は、覚悟しておいた方がエエよ?」

 

町を歩けば、確実に声を掛けられるのは言うまでも無いだろう。ネットヒロイン……もとい、ネットヒーロー☆男の娘♡マジカル☆クロノン♡。現在進行形で、邁進中です☆!

 

「あれって、私らと同じ様に消えるんやろか?」

 

その辺り、凄まじく疑問だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クロノン動画は、消えません☆!!

双夜が、仕事をしている!!ああ、因みにこの世界の調整は【真実の瞳】を共有した使い魔100万体でサクッと片付けてしまいましたのであしからず。

××料理人の話は、TOF関係のお話しですw
ディアーチェから、『ディ』を取ったら……そのまんまだよね。から来てますw

そして、『お祭り』の時間だ!!!!!

最近、双夜の物語を突っ込むかで迷い中。
正確には、双夜の両親と親族(分家筋)を転生させるか否か。
突っ込んだ場合、胸糞・鬱展開は間違いない。ちょっとだけ、ストーリーを構築したけど…増長した親共が、作者的に『滅びろ!』的な感じに仕上がったw
原作人物にも、多大な影響が出そうだし、止めておいた方が良いと判断するが尚迷い中。
出したとしても、【if】の【没話】扱いになるかと思われ。
内容は、魔力を持たないまま【神様転生】で超増長。
自分こそが、【神】とでも言いたげなレベル。
魔力を持たないのは、彼等に取って魔力を持つ者=化け物の認識だから。でもって、『神様に選民された存在』的なゲスが誕生してしまう。構築した作者は鬱になりました。
ザックリ設定だけなら、増長した踏み台の方が100倍マシ!!アレと比べたら、凌辱系転生がまだ善良に思えてならない。目的が、単純で明解だから。そんなオチに、マジで鬱と化す。書く度にぶちギレ。進まない…止めようと思うだけだった。いや、ホント…どうしたものか…。

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m(_ _)m

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