絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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五七話

双夜

 

 

翌日、シャマル先生のPKと俺のMKで生まれた、不思議と不味くは無いのにエライ美しい虹色のカレー(?)ルーを使って味付けした、高級部位ゴチャ混ぜ肉山を食いきったリーゼ姉妹が目の前で白目を剥いて気を失っている。

時折、ピクピクと反応しているので死んではいないみたいだ。とりあえず、ピクピクしているその口にガッシュとエリクサーと神水と千年樹の蜜でMKしたシャマル先生のPKを一滴垂らす。瞬間、クワッ!と目が開きロッテが元気に走り出した。もう一匹の方も、元気印を垂らす。

結果、クワッ!と目を開き飛び上がる様に元気になった。

 

「それちゃう。元気になったんやないと思うで?」

 

「ディアーチェ、そろそろ言語を統一しろよ……関西人なのか、王様なのかわからないぞ?」

 

「王様言うなっ!」

 

「じゃ、中二病?」

 

「グハッ!!」

 

「せやけど、なんやなぁ……」

 

「何が?」

 

「双夜達が来て、一週間もせん内に賑やかになったわ……」

 

八神はやてが、寂しげな笑顔で遠くを見上げるように呟く。

だから、影を使ってリーゼ姉妹を捕まえディアーチェに抱かせる。捕縛された瞬間悲鳴を上げて、散々文句を言っていた二匹だったが……「ディアーチェに抱かれていると浸食されるぞ?」と、捏造したら全力で驚いて暴れて部屋の隅へと逃げて行った。

 

「そんな事、するか!?」

 

「わからないぞ?お前に関しては、まだ何もわかっていないからな……はてさて、どんな体になっているやら……」

 

「……………………はっ!【真実の瞳】で、わかっとるはずやろ!?嘘ゆうても、アカンよ!?」

 

「にゃははは。ディアーチェ、更にPK追加される……」

 

「ぐあぁぁぁーー!!」

 

「ちょっと驚いたり、動揺すると元が出ちゃうんだなぁ……こちらとしては、楽しいことこの上ないが……そろそろ、学習しような?」

 

「ぬぐぐぐ……」

 

悔しそうに、拳を震わせるディアーチェ。

 

「前から思ってにゃんだけど……それ、何しているんだ?」

 

「口調をおにゃしくしているように見えるけど……」

 

「ただでさえ、八神はやてが二人いるんだ……世界の法則的にヤバくないか?この状況……で、別人認識させる為に口調を変えさせてみた……」

 

とは言え、ディアーチェは八神はやてと同一人物とは言えない。リインフォースと完全に融合した上に、ナハトヴァールの暴走浸食体とのトリプル融合体だ。それを、現代の八神はやてと同一視することはできないだろう。

はっきり言うと、完全な別人である。

しかし、ディアーチェは【八神はやて】でもある訳で……現代の八神はやてが、闇の書の主となり凍結封印された未来の姿でもあるのだ。

 

「おい!それ、無茶苦茶ヤバイんじゃにゃいか!?」

 

「……って言うか、ロッテ喋り方が変ににゃってるわよ?」

 

「アリアこそ、変ににゃってるぞ?」

 

『……………………』

 

「アレの副作用かな……」

 

視線を遠くに投げ掛けて、物思いにフケッているように語る。それに、ビビった様に反応するのはリーゼ姉妹だけだ。

 

『副作用!?』

 

虹色のヤツか、ガッシュで神水な千年樹のエリクサーなヤツか……どっちかの副作用かと思われる。

 

「やっぱり、小動物には使っちゃいけなかったか……」

 

「ちょっと待て!そんにゃモノを私に使ったにょか!?」

 

「解除薬は、にゃいの!?」

 

「別に良いじゃん。高々、獣に戻っただけなんだから……それよりも、もうすぐアースラが来るからハラオウンに僕達を紹介してくれない?」

 

ぶっちゃけ、リーゼ姉妹がただの猫になったところで俺にはどうでも良いので話題を変える。すると、顎が外れるんじゃないかと思うほど大きな口を開けて、リーゼ姉妹が全力で驚きの表情を作っていた。

 

「にゃ!?アースラ!?」

 

「ハラウオンって……クロノが!?にゃんで、そんにゃ事がわかるにょよ……」

 

「にゃははは。ただの未来知識だよ……未来で、クロノ・ハラオウンとはちょこっと関わっただけだけど……でも、エイミィさんからはそこそこ情報を貰えたから……」

 

「エイミィの名前まで……そう、未来知識……」

 

「君達が、まだ知らない情報を僕は握っている……聞きたい?聞きたい?協力してくれるなら、いくらでも教えて上げるよ?」

 

「ふ、フン!知りたくにゃいやい!」

 

ロッテが、顔を背けた。しかし、説得力はない。

何故なら、耳がこちらを向いているので興味はあるらしい。

 

「クロノ・ハラオウンか……今、14歳だっけ?」

 

「フム。私が9歳ならば、確かに奴は14歳だな!」

 

「じゃあ……クロノ・ハラオウンが、後4年程すると身長が170㎝以上にまで伸びる……って言ったらどうよ?」

 

「170以上!?嘘、あのチンチクリンが!?」

 

「ロッテ!!」

 

リーゼロッテ、超反応。もはや、思う壺状態。

アリアに叱られて、ハッ!?としたようにまた顔を背ける。

だがしかし、アリアですら一本釣り出来るネタをこっちは掴んでいるのだよ!!……という訳で、クロノ・ハラオウンを生け贄にリーゼ姉妹をこちら側に引き込んでみる。

 

「クロノ・ハラオウン、18歳の時…………エイミィ・リミエッタに…………………………………………食われる」

(・`ω・)✨

 

『その話、詳しくっ!!!!!』⬅超思う壺。

 

結果的に言えば、クロノ・ハラオウンに紹介するだけなら協力してくれる事になった。ただ、問題になったのはリーゼ姉妹が二人揃ってこの地球にいるという事柄に関して。

そこは、俺の進言でグレアム提督のお使いで偶々地球に来ていた所にロストロギアと思われる魔力反応を感知。

現地協力者を得て、鋭利捜索中だったという言い訳にする事となる。

 

「ちょっと、弱いか?」

 

「うーん……そうだにゃ……」

〔アリア、アリア!アースラに便乗して逃げるにゃ!!〕

 

「そうね……お父様のお使いってだけじゃ、弱いわね……」

〔そのつもりよ。早く、お父様に失敗する事を伝えて凍結封印以上の対策を考えないと……〕

 

「フム。なら、アリアかロッテの恋人探しって理由を付け加えるか?」

〔そもそも、なんで凍結封印なんて発想になったんだ?〕

 

「却下!!そんな事柄にしたら、せっかく手にしたクロノの弱味が意味無くにゃるじゃにゃいっ!!」

〔ロストロギアによって生み出された被害者達が募る会があるにゃ。通称【悠久の翼】。そこからの圧力にゃ……?〕

 

「そうよ!そんな事になったら、クロノを弄れないでしょう!?もっと、他の言い訳無いわけ!?」

〔凍結封印が、一番有効だって言われたにょよ??〕

 

念話回線に侵入されている事に、漸く二匹が気が付いたもよう。でも、残念。回線ジャックは、君達がここに連れられて来た時からなんだ。

 

「買い物とか。地球でしか手に入らない嗜好品みたいなのがあれば……後、ちょっと今回は一人では持てないくらい大きかったとか……?」

〔魔力で構成された物体が、凍結封印で何とかなると?〕

 

「ああ、それ(嗜好品)にゃらあるにはあるにゃ……」

〔………………あれ!?回線に侵入されてる!?〕

 

「でも、小さいモノだから……一人で、十分にょ……」

〔う、嘘っ!?いったい、いつからっ!?〕

 

「そこはそれ、嘘も方便って感じで……」

〔ずっと前から♪ 気が付かれないから、楽しかったよ?〕

 

驚愕の表情(猫なのに器用)で、俺を見上げるリーゼ姉妹。

段々、青くなっているようにも見えるのでこっちは【真実の瞳】効果だと思われる。

 

「ぶっちゃけ、未来知識では魔力のみで構成された物体は……凍結封印程度では、普通に動くし攻撃してくるよ?魔力云々を封印したいなら……Anti Magilink-Fieldで囲んだ方が良くない?」

 

「……そうか。凍結封印は、失敗したにょか……AMFは、未来知識かにゃ?」

 

「私達まで、対抗手段を失っちゃうから却下されたわ……」

 

「AMFに関しては、ジェイル・スカリエッティを捕縛した時に、どうやってキャンセルしたのかとか聞かれたから……作った本人に講義して貰った」

 

『ジェイル・スカリエッティを捕縛ぅ!?』

 

「知ってんの?スカさんの事……」

 

「知ってるも何も、広域次元指名手配犯じゃにゃいか!!」

 

「それを捕縛したって言ったわよね!?何処で?どんな状況で!?」

 

「……捕縛に関しては、企業秘密です。そうか、あいつこの時代でも広域次元指名手配犯なのか……時空管理局の闇。最高評議会がアルハザードの技術で人造した、アルハザードの異児……開発コードネームは、アンリメデッドデザイアだっけ?」

 

『にゃんだってぇー!?』

 

とんでもないネタバレに、リーゼ姉妹が硬直する。

流石に末端の局員では、その辺りの事情に疎いようだ。

 

「あれ?知らなかった?ジェイル・スカリエッティは、時空管理局の最高評議会が生み出した存在だよ?確か、本人から聞いたし……最高評議会の奴等も言ってたよ?あ……これ、知ったら殺される情報だったかな?じゃ、オフレコって事で……」

 

『……………………』

 

真っ青を通り越して、もはや蒼白な状態のリーゼ姉妹。

可哀想だけど、事実なのでフォローもできない。

 

「まさか、自分達が所属する組織が一番危険な組織だったなんて……頑張って、貝のように口を閉じててね?じゃないと、管理局の精鋭が君達を殺しに来るよ?ふふ。御愁傷様♪」

 

「聞きたくなかったわよ!!」

 

「うわーん!どうしたらいいの!?お父様ぁ!!」

 

頭を抱えて、混乱を始めたリーゼ姉妹。

自分達だけでは、判断できない上に管理局全体の問題にすら発展する内容に困惑する。

 

「管理局内では、口にしない方が良いんじゃないかな?」

 

「はぅあ!?そうだった!口にしたら、殺されるんだった!」

 

「いやぁー!誰に相談したら良いのかすらわからないって、何この悪夢っ!!最悪な情報よぉっ!!」

 

「クロノ・ハラオウンやリンディさんは、大丈夫だよ?」

 

『本当!?』

 

救いの糸を垂らし、リーゼ姉妹を釣り上げてやる。

だけど、何処に最高評議会の手の者がいるかはわからないので、仲間を集めるにしても慎重に慎重を重ねないといけないだろう。

 

「うん。リンディさん達は大丈夫。あ、でも……地上管理局のレジアス中将は、最高評議会の手足だから相談しない方が良いよ?」

 

『にゃ、にゃんだってぇー!?』

 

釣り上げた上で、切り捨てた。

 

「ふふふ。…………海と地上、とても仲が悪いんだってねぇ?とりあえず、敵は強大だから……管理局内での戦争に成らないように……ガンバ♪」⬅鬼

 

『嫌ああぁぁーーー!!!』

 

闇の書事件が、厄介な方向へとシフトしていく。

まあ、そうしたのは俺だけど……リーゼ姉妹に関しては、この情報流出で封殺することができる。ついでに、闇の書の裏に関しても情報を流しておく事にした。

 

「あ、そうそう。最高評議会で思い出したけど……闇の書を作ったのって、あの人達だよ?」

 

『え……』

 

「だ☆か☆ら♡、闇の書を作ったのは最高評議会の方々だよって言ったの!」⬅鬼畜

 

『にゃ、にゃ、にゃんだってぇー!?』

 

「今から、160年程前だったかなぁ……当時、管理局の前身組織が完成直前の闇の書……まだ、浸食暴走とかしていなかった頃の話ね?……を当時の闇の書の主と共に、自爆消滅させようと企てていた訳よ。あの頃の闇の書は、蒐集しないと主のリンカーコアを蝕んで主を殺し。改善しようにも、防衛プログラムが邪魔をして書き換えは不可。完成させても、力を制御出来ずに主共々自滅する程度の魔導書だったんだけど……まあ、それでも迷惑甚だしい魔導書であった事には間違い無かったかな?」

 

『……………………』

 

因果律に干渉して、アカシックレコードの閲覧許可を得る。

八神家のリビングが、遺跡の様な場所に変化して大きな水鏡の元へと俺達を移動させる。それと同時に、ミッドチルダのアカシックレコードを呼び出して当時の光景を水鏡に映してリーゼ姉妹を含む全員にソレを見せる。

 

「そんな魔導書にとどめを刺したのが、当時の時空管理局前身組織。成功していれば、後の悲劇は生まれなかったはずなんだけど……ま、言わなくてもわかるよね?完成させて、しばらくは防衛プログラムも大人しいから……その間にプログラムを書き換えしようって事になった。そして、完成させてすぐ魔導書のプログラムの改変が始まったんだ。だけど……完了直後、暴走が始まって……見ての通り、この暴走で古代ベルカの技術を伝えていた者達も皆死んでしまった」

 

『あ……ああ……ああ……』

 

「この水鏡は、世界の記録。世界が生まれてから、終わるまでを記録した情報の貯蔵庫。無限に広がる可能性を記録した、巨大かつ強大な人外技術ってところかな?使用制限があるから、誰にでも使える訳じゃないけど……ま、厄介ネタの一つでもある……」

 

『……………………』

 

映像有りで説得したら、何かを訴える様な目で俺を見上げるリーゼ姉妹が更なる絶望を得た頃、許容オーバーした八神はやてが目を回して気を失った。

 

「つまり、お前は人間じゃないのか……」

 

「うん。この世界から見て、高位次元って呼ばれる所から派遣された《神殺し》……それが、僕の正体だよ。リンカーコア排出……コア・ブレイク!リンカーコア生成……魔力データ抽出……守護騎士・湖の騎士シャマル。データダウンロード……リンカーコア・シンクロ、イン!!クラールヴィント、セットアップ!!」

《Ja!》

 

他人のデバイスで、セットアップを果たし……他人の魔法を使って証明してみたところ……リンカーコアを生成した時点で、リーゼ姉妹の許容量がオーバーしてパタリと気を失ってしまっていた。

 

「って、貴様!シャマルのデバイスが使えるのか!?」

 

何故か、ディアーチェにまで驚かれる。

俺の記憶が正しいなら、破損したリンカーコアを修復した所を見せたはずなのだが……まさか、記憶の一部が破損しているのだろうか?

 

「リンカーコア生成魔法は、見せた事あるだろう?」

 

「それは、知っておるが……他人のデバイスで、セットアップ出来るなんて知らぬぞ!?」

 

「色々、出来るんだよ。【真実の瞳】で解析して、アレンジ魔法で再現して……さあ……」

 

「なんて、便利な存在なんや……」

 

呆れるディアーチェを横目に、今後の方針を固めて行く。

とりあえず、時空管理局が闇の書と闇の書の主をどうしようとするのか……高みの見物と洒落込む事にした。

もしも、全ての責任を八神はやてに擦り付けて凍結封印するようなら……時空管理局との全面戦争もやむ得ないだろう。

俺の帰る場所になってくれた、この世界の八神はやてに害を成す存在だ。手加減も何も必要無く、完全に滅ぼしてやろう。そのせいで、管理世界が暴走するなら彼等も同罪だ。

 

「全力全開手加減無しで、滅ぼしてあげるからね?クックックッ……」

 

邪悪な笑みを浮かべ、ソレを心に誓う。

とりあえず、目下の問題はフェイト・テスタロッサをどうやってこちら側に引き込むかであるが……別に、原作を注視する必要もないので何度か襲撃して、ある程度会話が出来るくらいの関係を作るとしますか。

 

「…………そう言えば、顔色……悪かったなぁ……」

 

一度、接敵した時にチラッと見ただけだけど……何故か、すごく顔色が悪かったのを思い出す。アルフが側にいながら、まさか病気のまま放置している訳ではないだろうけど……心配だ。

 

「今度、様子を見に行って見ようかな……」

 

今度と言わず、今すぐでもOK?

フェイトちゃんを監視しているフレールくんの視線をジャックして、様子を伺い問題無さそうなら適当に見繕った薬膳料理でもと考えていた。しかし、あちらも食事中だったらしくフェイトちゃんが何かをモクモク食べている。

 

「……………………」

 

良く見れば、それは冷凍食品。

レンジでチンしただけのソレを、モソモソと一人で食べている。アルフは、適当にソファーに寝そべって見向きもしていなかった。

 

「ーーーーー」

 

適当に、八神家の冷蔵庫から材料を拝借。

モードリリースして、リンカーコアを排出。ブレイク。

フェアリー・サークルを使って、フェイト・テスタロッサの真横に転移。即行で、冷凍食品を取り上げた。

 

「え……」

 

「アホかぁ!!そんな、疲れた顔をして冷凍食品とは何事か!?貴様は、身体を壊したいのか!?早死にするだけだぞ!!ああ、もう!!ちょっと、待ってろ!今すぐ、身体に良いもん作ってやるから!!」

 

驚いた顔のまま硬直しているフェイト・テスタロッサを放置して、台所を漁るがロクな調理器具が無い。

 

「お、お前っ!?どこかーーー」

 

「お前、料理とかしないのか!?一応、コイツの使い魔なんだろう!?つーか、何でここは調理器具の一つも無いんだ!?ハッ!まさか、自分はドックフードで済ますからって主人の食事を放置していたのか!?」

 

「うっ……」

 

胸ぐらを掴んで引き寄せた上で、一気に捲し立てて黙らせる。突き放して、更に食事の大事さを語りつつ食材を魔法で調理しながらお説教開始。問答無用で、アルフにもフェイトにも一言も発言させないように小言を続けた。

 

「あり得ないだろ!?お前、この子の使い魔なんだろう?なら、体調管理ぐらいしてやれよ。見たところ、あの子は料理なんて出来そうに無いんだから、身体の大きいお前の仕事だろう?違うのか?ただ、心配して声を掛けるだけが方法じゃ無いだろう?ずっと、お前等を監視していたけど『食べなきゃダメだ』とか『休もうよ』だけじゃ何も変わらないだろう?そこんところ、ちゃんと考えたのか?苦手なんて、言い訳にもならないんだぞ!?」

 

「ううっ……」

 

「あ、えっと……その……」

 

フェイトちゃんが、口を挟もうとガンバっているけど無視。

もう少し、黙ってて欲しいのでお説教を続ける。

 

「倒れてからじゃ遅いんだ!主が、ちゃんと出来ないのなら使い魔のお前が考えて行動するしか無いんだぞ!?だって、側にいるのはお前だけなんだから!!別の誰かが現れて、お前の代わりに料理を作ってくれる訳でも無いだろう!?違うか?なら、料理ぐらい作ってやれよ!どう見たって、冷凍食品なんか食って良い状態じゃ無いじゃんか!顔色は悪いままで、疲れてる人間の胃袋はそれほど頑丈って訳じゃ無いんだ!できるだけ、胃に優しい流動食を食べさせた方が良いに決まってんじゃんか!!それを、冷凍食品!?ふざけてんのか?そりゃ、半分も食べられんわ!!!」

 

言いたい事を全部言い切って、スッキリした俺は漸く黙った。アルフは、耳を垂らしてショボーンと落ち込んでいる。

 

「つー訳で、ほら!これを食べろ!!」

 

魔法で調理された、流動食をフェイトちゃんに差し出す。

ちょっと、警戒されているけど無視。ニッコリ笑いかけて、ゴーレム操作技術でフェイトちゃんの身体を乗っ取った。

 

「食べないなら、無理矢理にでも食べさせる。拒否権は無いから、安心してね?」

 

「え……ええっ!?ちょ、」

 

椅子に座らせて、スプーンを握らせる。

困惑するフェイトちゃんに、問答無用で食事をさせた。

口に入れてから、咀嚼して飲み込むまでを操作する。

操作されている当人は、目をグルグル回しながら抵抗も出来ない状況に半泣きで挑むこととなった。

 

「おい!」

 

「はっ……」

 

数人の使い魔を出して、ゴミ溜めになっている部屋を掃除させる。埃が舞い上がらない様に、魔法制御するのを忘れない。ついでに、アルフには『猿でもできる料理基本本』を渡しておいた。それを見たアルフが、何か言いたそうだったけど『料理出来ないんだろう?』と言って黙らせた。

 

「あ、そうだ……JS、僕が全部回収したよ?」

 

「ええっ!?」

 

フェイトちゃんの代わりに、アルフが驚愕の顔で反応する。

デバイスを起動。21個のJSをレイジングハートから出して、空中に浮かべて見せた。そして、直ぐにレイジングハートの格納領域に戻す。アルフが、目の色を変えてガタン!と立ち上がる。

 

「それをこっちに寄越しなっ!!」

 

「……後、半日もしない内に時空管理局がやって来る。ぶっちゃけ、アイツ等が来る前に君達の事は片付けたいんだよね……」

 

「っ!?」

 

アルフが、勘違いして更に警戒し始めた。

だけど、そんな事で時間を取られる訳には行かないのでザックリ簡潔に説明を開始する。

 

「ああ。片付けると言っても、力づくでって訳じゃない……君達が、抱えている問題をこちらで処理したいだけなんだ……」

 

「…………どういう事だい?」

 

困惑するアルフ。

しかし、話に着いて来れなくても進める。

 

「僕は、10年後の未来から来たんだ」

 

「……………………はあ!?」

 

「君達の事も知っているし……プレシア・テスタロッサの事も知っている……」

 

「なっ!?」

 

食事を無理矢理に終えたフェイトちゃんが、口元を押さえながら驚愕の意を示した。プレシアの名前を出した事で、更なる警戒を感じるが……知った事ではない。

俺は、俺のヤりたいようにヤるだけだ。

 

「フェイト・テスタロッサ。君には、26歳年の離れた姉がいる。それに関して、君は知っていたかい?」

 

「……姉……?」

 

「そうだ」

 

「そんな話、聞いた事もないよっ!!」

 

アルフが、フェイトちゃんの代わりに答えてしまうが……出来るならフェイトちゃん自身に答えて欲しいので、ちょっとアルフには黙っていて貰うことにする。

 

「アルフ、悪いけど……黙ってて♡《ウィート》」

 

「アルフ!?」

 

アルフが、突然倒れて寝息をたて始めた。

それを見て、慌ててフェイトちゃんが駆け寄るがちょつとやそっと揺すったり叩いた所でアルフが目覚める事はない。

 

「大丈夫。眠っただけだよ……さて、先程の質問に答えてくれるかな?君は、姉の事を知っているかい?」

 

「…………知らないっ!」

 

「そうか……じゃあ、会いたいとは思わないかい?」

 

「……………………思わない。私は、母さんに笑っていて欲しいだけだ!他の事は、どうでも良いっ!!」

 

「……ダメだよ、フェイトちゃん。そんな風に言っちゃぁ……君は、まだ始まってさえもいないんだから……スタートラインには立っているけど、まだ一歩も前に進んでいない……だから、その一歩を始めようか?その為に必要な事をしてあげる……そして、一生懸命幻影を追い掛けている彼女を……現実に帰してあげないと……君も始まれないだろう?」

 

アリシアの名前も、クローンの話も出来ないこの状況でプレシア・テスタロッサを動かす事は難しいだろう。

だけど、後半日で全てを片付けないと……面倒事が、わんさかと溢れて来てしまう。その為には、まずプレシア・テスタロッサの元に俺を連れて行って貰わないといけない。

 

『マスター!』

 

「ん?アルカリアか……どうした?」

 

『プレシア・テスタロッサの居城を発見いたしました!!』

 

「はあ!?そんな事、頼んだっけ?」

 

『いえ?頼まれてませんよ?』

 

「……………………」

 

『……………………』

 

段々、ウチの使い魔が理不尽の権化と化しつつある今日この頃。まあ、サクサク物語が進むのであえて何も言わない事にする。

 

 

 

 




クロノを生け贄にリーゼ姉妹が、一本釣りにされるw
【悠久の翼】は……どっかで聞いた話をうろ覚え。なんだったかな?誰か、知ってる?後は、ネタバレw多分、もっと早く片付けられる可能性が出てきたw

それにしても、【転生者】が出て来ない。
なのはちゃん、死亡がこんなに響くとは……作者も思って無かった。まあ、最悪ディアーチェが主人公になりますw

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m(_ _)m

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