絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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スランプ中w
筆が進まないwww……さて、どうしたものか……wwww

9月上旬分までは書いてあるので問題なしwwww
だが、ストックが……wwww
何故、こうなった!?wwwwwwwwww


四四話

凍真

 

 

 

一瞬、頭から血を流しているのかと思った。

だけどそれは、血を連想させる程の鮮やかな鮮血色の髪の毛で、そいつは負傷すらしていない。

 

 

「【鮮血の】……暇なら、変わってくれない?」

 

 

「よぉ!……って、無理。この後、スパ○ボの世界に行かないとイケないし……科学技術系は、大体僕が担当にされたので……超忙しい……」

 

 

前回見た時よりも、更に血に近い色をしている。

日の光に照らされて、輝いているようにも見えた。

 

 

「何しに行く気だ!?技術、流出させるなよ?」

 

 

「させないよ!?する訳、無いだろう!?何が楽しくて、僕の技術を流出させるか!それ、世界に滅べって言ってる様なモノじゃないか!!」

 

 

そして、瞳は本当に輝いているのか、ゾッとする程黄金だった。ジェイル・スカリエッティも、金色の瞳をしているが……この赤い髪の少年は、本当の意味で黄金だ。

 

 

「滅ぼすな!ってか、そんな危険物造るなよ……ついでに、流出させたんだろう?【時空消滅弾】……」

 

 

「うーん……どうなんだろうね?現物、見てみないとわからないけど……違うんじゃないかなぁ……」

 

 

その上で、上から下まで真っ黒な服を着ている。

だからなのか、赤い髪がとてつもなく目立つ。

 

 

「木端微塵にされて、冷静になったのか?」

 

 

「うん。一度死んで、頭が冷えた。で、もう一度確認して……違うかもって思ったので、【風紀委員】に連絡して謹慎解いて……貰ってる所……」

 

 

っていうか……こんな、不特定多数の人々が往来する場所で何て会話をしていやかるんだ!?キョロキョロと、周囲を見回して誰もいないことに気が付いた。

 

 

「暇なんだな?それ、間違いなく暇だよな!?」

 

 

「暇な訳あるか!」

 

 

「暇だよ!!!」

 

 

ガン!と足を踏み鳴らして、存在をアピールする何者か。

何処にいたのか……いや、何処から出現したのか……どう見ても世紀末な親分デブが、何かのキャラクターのTシャツを着てリュックを背負いキモイ姿で赤い髪の少年の隣に立っていた。

 

 

「「ロック・ウォー!?」」

 

 

「フフフ……探しましたぞ?ハル殿。【風紀委員】の目を誤魔化せても、このロック・ウォーの目は誤魔かせません!!さあ、帰りましょう!!」

 

 

【風紀委員】?って事は、こいつもチビッ子達の仲間か……。しかし、その奇抜な姿は整った顔を見続けて来た俺には厳しいモノがあった。

 

 

「今、暇って言って無かった?」

 

 

「暇だよ!って、足を踏み鳴らしてた!」

 

 

揚げ足を取りに行く二人。

話に聞いていたよりも、大分仲が良さそうにみえる。

 

 

「ええ。暇ですとも!ハル殿の事ですから、とんでもない場所に居られるのではと色々行きましたのに……双夜の元に居られるとは……このロック・ウォー、何の面白味もなく不完全燃焼気味です!」

 

 

「なら、俺とかくれんぼする?」

 

 

キモデブの発言を受けて、チビッ子がにこやかに遊びに誘うが……キモデブは、一貫して断り続ける。

 

 

「いいえ。しません……したくありません!」

 

 

「影の中に入られたら、絶対見つからないもんなぁ……」

 

 

【影の中に入る】というのが、わからないけど……チビッ子とのかくれんぼは、かなり難易度が高いらしい。

 

 

「お前、スパイ任務どうしたんだよ……」

 

 

ええっ!?この人、スパイなの!?

人を見掛けで、判断してはいけないと言うが……本当だったみたいだ。

 

 

「今は充電中ですので、部屋に引きこもり用の使い魔を残して放置しております!きっと今頃、誰が見てもドン引き間違いなしなエロゲーに語りかけつつ『俺嫁!俺嫁ぇぇ!!』と叫んでいることでしょう!!」

 

 

「ああ、誰も入って来ないね。それ……」

 

 

「誰もが、見て見ぬ振りをする鉄板パターンだ……」

 

 

「キモヲタデブの部屋を、一々覗きに来る輩もいませんので……今は、自由に移動したい放題!やりたい放題です!!」

 

 

まさか、キモヲタデブの特性を逆利用したスパイだったとは……凄まじいまでの、ギャップ性を利用した活動内容だ。

うっかり、目から鱗を落としてしまった。

 

 

「ふーん。暇なんだ……」

 

 

「「……………………」」

 

 

暇と聞いたチビッ子が、何か悩んでいるみたいだった。

キモヲタデブと赤い髪の少年が、チビッ子をジッと見詰めている。

 

 

「うん。帰れ、俺は暇じゃ無いんだ。手伝わないなら、目障りだから消えて?」←(『帰れ』を選択したw)

 

 

アッサリ、そう告げたチビッ子が晴れやかな笑顔を二人に向けている。きっと、考えるのが面倒になったのだろう。

 

 

「一瞬、僕達をコキ使う算段をしていたはずなのに……」

 

 

「帰れと来ましたよ?この僅な時間の間に何が!?」

 

 

流石、チビッ子の事を良く知っている事だけはある。

キモヲタデブと赤い髪の少年が、驚いた様子でチビッ子の心配(?)を始めた。

 

 

「うるさいなぁ……メリットとデメリットを秤に乗せたら、排除した方が良いことに気が付いただけだ!」

 

 

「「ふーん……」」

 

 

何故か、つまらなさそうに「ふーん」とだけ言って引き下がる二人。酷く、恐ろしく感じた。

 

 

「つーか、出来ることがありすぎて……訳がわからなくなった……そもそも、【鮮血の】はどれぐらいの戦力持って移動中なのさ?」

 

 

「……【王家の船】一艦だけだけど?」

 

 

スパ○ボって事だから、ぶっちゃけ無双できますよね【王家の船】で乗り込んだら……それどころか、ありとあらゆる敵が雑魚扱いになる。ちょっとだけ、そこに【転生】した者達が哀れに思えた。

 

 

「……………………………………………………内側を広げられるだけ、拡張したら……艦隊を収納できるよね?」

 

 

「ああ、戦艦駆逐艦空母その他諸々合わせたら数千万って所かなぁ……」

 

 

話を聞けば聞くほど、【転生者】達が無惨に虐殺されるイメージしか思い浮かばない。ってか、チビッ子の言う通り【王家の船】の中を拡張出来るだけ拡張すれば、艦隊を収納可能である事を思い出した。

 

 

ーーこの人、スパ○ボに何しに行く気なのだろう?

 

 

「予想以上の数……何しに行くんですか!?」

 

 

「……戦争?」

 

 

「戦争にならないでしょう!?虐殺の間違いじゃないですか?」

 

 

「スパ○ボの世界へ、虐殺に行くんだ?」

 

 

「違うよ!?違うからね!?」

 

 

話を聞く限り、ロボットメインの世界にそんなモノ持ち込んで何する気だ!?と思うのは事実。

どれだけ否定されても、俺はこの赤い髪の少年の行動が信じられなかった。もしかしたら、あの世界で『敵役』にでも成りに行くのかもしれない。

 

 

「ロボット戦メインの世界で、艦隊戦をする気満々なハル殿にドン引きです!!」

 

 

「情けも何も無く、ビーム砲やミサイル弾薬の雨霰が叩き込まれる訳だね?このキチガイめぇ!!」

 

 

「ちょ!?何で二人で、協力して潰しに来るのさ!?」

 

 

これが『敵』だった場合、誰も勝てそうに無いんだが……大丈夫なのだろうか?例え、【転生者】であっても雑魚キャラよろしくプチッとされる。そんなイメージを得た。

 

 

「え?【鮮血の】のキチガイプリに、バランス取っておこうかと……」

 

 

「ハッキリ言いますと……誰が聞いても、同じ様な事しか言われないと思いますが……」

 

 

「辛辣!辛辣過ぎるよ!?」

 

 

「だって……なあ。俺ら一人で頑張っているのに……こんなチート見せられたら……なぶりたくなるじゃん!!」

 

 

人の事は言えないくらいチートなはずのチビッ子が、『チート』と言う様は中々に滑稽である。

 

 

「ちょっと、良いかい?」

 

 

「ん?なんだよ、変態?」

 

 

三人の会話に、ジェイル・スカリェッティが割り込んだ。

ここから、変態ドクターが会話に参戦?って、待って欲しい。そんな事になったら、誰が会話を……そのボケを突っ込まなければならないんだ!?俺?俺なのか!?

 

 

「そちらの赤い髪の少年が、君の言っていた【鮮血の小悪魔】さんなのだろう?紹介、してくれないのかい?」

 

 

「……って、言われてもなぁ……まだ、試練クリアしてない奴を紹介する訳にも……」

 

 

「実力者なら言葉を介しても良いよ?」

 

 

「Low Technology C Rank……」

 

 

「……なら、言葉を介するまでもない。失せろ、無能!」

 

 

「だって……ゴメンね?コイツら、超実力主義者なんで実力者じゃないと口も聞いてくれないんだ……」

 

 

「フム……残念だ……仕方がない。今回は諦めて、実力を着けてからもう一度挑むとしよう……」

 

 

まさか、あのジェイル・スカリェッティがアッサリ引き下がるとは……この赤い髪の少年は、何者なんだ……。

 

 

「【神域の科学者】……それが、世界がコイツに与えた二つ名だ。君達の手が届く様な存在じゃ無いよ……」

 

 

「あ、忘れてた。はい、これ……そろそろ、ストック無くなり掛けてるだろうって大兄が言ってたから……」

 

 

三つのバットケースが、赤い髪の少年から手渡さられる。

それを軽々と受け取り、中を確認して影から出て来た手にそれを渡したチビッ子。って、影から手が出てきたよ!?

アイツの影は、一体どうなっているんだろう。

以前、隔離世界がどうの言っていたが……どこかの世界と繋がっているのだろうか。

 

 

「じゃあ、僕はもう行くね……謹慎が解けたんなら、仕事しなきゃ…………アイツ等の思う壺だし……」

 

 

ニコニコしていた赤い髪の少年が、段々殺気立ってくる。

何を思い出したのかは知らないが、額に青筋が浮き上がっているのを見る限り怒っているのは間違いなかった。

 

 

「いたちごっこだからな……」

 

 

「ロック・ウォーは……………………いないし……」

 

 

「無駄に有能……無駄に早い……図体デカイのに、なんで『壁』じゃないんだ……」

 

 

「まあ、“元代行者”だからね……仕方がないんじゃない?」

 

 

「【代行者】……かぁ……まだ、会ったことない職種だ……」

 

 

「……そうだね。でも、アイツ等が起こすのは《奇跡》だから、双夜には縁がない。……必要無いだろう?」

 

 

「ーーーーーだな……」

 

 

赤い髪の少年は、何やら複雑そうな顔ですがるようにチビッ子を見上げて……チビッ子は、チビッ子で何を考えているのかわからない表情をしていたけど、赤い髪の少年に同意した。色々と複雑なナニカがあるみたいだけど、きっと俺達には関係の無い話だろう。

それよりも、俺的にはさっきまでいたキモヲタデブの方が気になっていた。目の前にいたはずなのに、ちょっと気を反らした瞬間にいなくなってしまったのである。

あのスピードに、チビッ子達の会話から相当できる存在らしいと言うことだけは理解できた。

 

 

「……………………しかし……あれで、既婚者だって言うんだから……世の中、おかしいよな……」

 

 

「ええっ!?」

 

 

「ナイスバディの嫁が、三人もいるんだぜ!?世の中、マジ舐めてるよな!!」

 

 

「ええっ!?」

 

 

既婚者な上、嫁が三人!?

あのキモヲタデブに、ナイスバディの嫁が三人も!?

 

 

「まあ、ウチは超実力主義なんで……顔が良いだけの男よりも、有能な奴の方がモテるんだ。あ、僕にもいるよ?嫁!」

 

 

「ああ、いましたね。病んデレの奥さん……」

 

 

「ヤンデレじゃ無いよ!とっても可愛くて、器量の良い嫁だよ!!全く、独り身だからって……他人の嫁を、悪く言わないでよね!!」

 

 

一瞬、停止していた思考が……赤い髪の少年の蒼白な顔を見て再起動する。器量の良い嫁であるなら、なんでそんなに悲壮感漂う顔で全力否定するのだろう。

とても、不思議だった。

 

ーー…………嘘です。その顔見ただけで、チビッ子が言っている事が真実である事は理解しました!!

 

右側から掛かる体重と暖かな温もり、そして軟らかな感触が二人の会話で強まる。ギュッと込められた力が、今後の自分の将来を暗示してる様で……否、清楚で可憐な彼女の温もりと、軟らかな感触に明るく幸せな未来を夢想した。

 

 

「依存症気味の奥さんがいると、大変だよね!」

 

 

「依存気味じゃないよ!とても、なつっこい子犬みたいに可愛い女性だよ!!」

 

 

その通りである。俺のすずかは、とても可憐で清楚な女性だ。全く、裏表の無い可憐なお嬢様である。世情にも通じていて、頼りがいがあるけれど……それらを含めて、愛していると宣言しておこう。

 

 

「現実は、直視しておいた方が良いと思うよ?」

 

 

「何言っているんだよ?僕は現実を、ちゃんと直視しているとも!」

 

 

「真実の瞳で?」

 

 

「……あ、当たり前じゃないか!し、し、真実のひ、瞳でちゃ、ちゃんと見て、いる、る……ともさっ!!」

 

 

「昔は、本当になつっこくて子犬みたいに可愛かったのに……ねぇ?」

 

 

「…………………………い、今も、か、か、可愛いんだよ!!」

 

 

知り合った時より、ちょっと意外なところもあったけれど……積極的で俺好みの女性だ。な、何も問題は、ないっ!!

 

 

「…………ま、良いか。あんまり、突つきすぎても籔から大蛇を呼び出すだけになりそうだ……」

 

 

「はっ!?」

 

 

あのキモヲタデブに、ナイスバディの嫁が三人もいるなんて……そんなとんでも話に、意識が何処かに飛んでいた様だ。

隣を見ると、俺の腕に抱き付きニコニコと笑っているすずかがいる。その様子を見て、俺はホッとした。

そう……まだ、大丈夫。いや、このままずっと大丈夫だろう。

 

 

「涙ぐましいよな……」

 

 

「尽くし切れ、少年……そうすれば、覚醒イベントなんて起きないから!」

 

 

赤い髪の少年の助言を胸に刻みつつ、すずかに微笑み掛けてその頭を撫でる。そうしてやるだけで、すずかは幸せそうに目を細めた。それだけで、俺も幸福を感じられる。

 

 

「じゃ、双夜……次に会う時は、良い返事が聞けると願っているよ……」

 

 

「狂った様な目で見上げられて、ゾッとした事のある【鮮血の小悪魔】。それを、自己暗示で自己洗脳。うちの嫁は、可愛い女性なんだと自分を騙している……」

 

 

「何を言っているのか、全くわからないなぁ……」

 

 

カタカタと身を震わせながら、赤い髪の少年が空中ディスプレイを展開。震える指で、画面を操作して転送準備を終える。

 

 

「ほら、見て見て!捏造した、お前の浮気写真だよぉ?「ちょ、何してくれやがるんですか!?」アッハハハ!申し訳無いねぇ……既に、奥さんに送っておいたから……「グフッ!!」帰って来た時が楽しみだね……」

 

 

「なんで、僕達の仲を裂こうとするのさ!?」

 

 

「さあ?面白そうだから?」

 

 

「鬼、悪魔!人でなしぃっ!!」

 

 

「俺にとっては、誉め言葉だよ!じゃ、お疲れ様~♪」

 

 

「お、お疲れ様~♪……じゃないよ!?な、なんで、こんな事……」

 

 

赤い髪の少年が、チビッ子に詰めよって抗議している。

しかし、チビッ子は困った様な暗い笑みを浮かべて言った。

 

 

「笑ったじゃん……」

 

 

「え?」

 

 

「『俺』が、人生やり直してる事……とっても、面白かったんだろう?《ママ》って、言ってたのが壷だったんだろう?」

 

 

「……あ……いや……」

 

 

「大笑いしてたもんなぁ……?馬鹿にしたみたいに……俺の“事情”知ってて大笑いしてた元・孤児の天才様?」

 

 

「ーーーーー」

 

 

「それで、良い返事とか言えた口じゃ無いよね?」

 

 

「ご、ゴメン……」

 

 

「良いよ?謝らなくて。俺の『自由時間』が延びただけだから……わかるよね?」

 

 

「……………………はい」

 

 

「じゃ、いってらっしゃい。【鮮血の小悪魔】さん?」

 

 

完全な蒼白な顔色で、赤い髪の少年はフラフラと離れていくと青白い光に包まれて消えて行った。

チビッ子が、それを見送って大きなため息を吐く。

少しだけ、肩を落としている姿を見る限り……彼等とは、ノリで仲良くしているだけの様にも思えた。

 

 

「さてと……どう?フェイトちゃん。ジェイル・スカリェッティの死刑求刑……なんとかなりそう?」

 

 

「ちょっ!私は死ぬ気はないよ!?」

 

 

「えー……じゃ、全力戦闘で殲滅して良い?今、ちょっと八つ当たりしたい気分なんだ……」

 

 

「……………………」

 

 

見ているだけで、背筋がゾワゾワと悪寒が走る。

なんで、このチビッ子はこんなに邪悪で殺気まみれなんだ。

しかも、その場のノリと閃きで人を貶めようとするし……これなら、目的がハッキリわかっているジェイル・スカリェッティの方がマシである。悪人呼ばわりされて喜ぶし、まさかとは思うけど悪人に成りたがりの厨二病ってヤツなのだろうか?

 

 

「そういえば、スカさんの目的って……衛生軌道上から、『聖王のゆりかご』をメテオストライクさせて、ミッドチルダを地獄絵図に変えて見せる事だったっけ?」

 

 

「め、メテオストライク?ってなんだい?」

 

 

「超質量を隕石に見立てて、衛生軌道上から都市密集地にストライクさせて地表をまとめて凪ぎ払う方法の事だよ?宇宙で活動すると、地上で生きる馬鹿には見付からないし……計画ギリギリまで、バレないからやりたい放題できるんだよね!直径1キロレベルで、ミッドチルダぐらいなら……都合、数百年は生き物が生息できない土地に変えられるよ?」

 

 

世界を滅ぼすなら、何千本の核兵器を造るよりかは低コストなんだそうだ。まあ、大き目の岩を衛生軌道上に配置して軌道計算して落とすだけの簡単な作業だからな……。

コスト的にも、惑星的にもクリーンなやり方だろう。

 

 

「……………………私の目的は、自分が造り上げた兵器の力を証明し、不遇な技術者達の恨みを晴らすことだよ!」

 

 

実に、不明瞭な動機だった。

確か、アニメでも似たような設定だったのを思い出す。

 

 

「ああ!ウチの使い魔達にアッサリ叩き潰されたあげく……ロストロギア級のテクノロジーに、ドン引きしてたジェイル・スカリェッティさん?……そうそう!自称天才様は、ロストロギア程度を自作できない上に、人間の身体に機械を突っ込んで『私の技術力は最高だ!!』なんて……レベルの低い技術で満足しちゃってたもんね?そんな、程度の低い満足プリに哀れ過ぎてうっかり涙しちゃったよ!」

 

 

「……………………」

 

 

「僕が思い付く限りで、ナンバーズレベルの戦力を造るなら……人工的に人間造って戦闘用に調整した後、生態強化を施し経験と知識を記憶転写して……一定期間訓練させた上で、ロールアウトって所かな?下手に機械を埋め込むよりも強いし……コストも低く量産しやすい……」

 

 

「……………………」

 

 

「戦闘機人一体に、どれだけお金掛けているのさ?戦闘用の人工生命体一体、約18万クレジットで造れるんだよ?生態強化だって、大体10万前後なのに……なんて、効率の悪い……」

 

 

「………安い……」

 

 

「知ってる?人間でも、生態強化受けられるんだよ?人間が、生態強化を受けた場合……超人レベルの肉体とちょこっと寿命が伸びるんだ……そう、普通に1000年くらいは生きられるようになるのかな?」

 

 

「せ、千年!?」

 

 

「うん。なのに、生存させるだけで大金が掛かる戦闘機人と……普通の人間レベルの収入で維持できる生態強化を比べたら、君の技術なんて低レベルの道楽だよね!」

 

 

「……………………(泣)」

 

 

「ぶっちゃけ、スカさんさ……無能だよね!」

 

 

残酷な一言が、ジェイル・スカリェッティのハートを木端微塵に砕き切った。ニッコリ爽やか笑顔で、猛毒を吐くチビッ子が悪魔の様に見え始める。

 

 

「まったく……スカ「双夜、どうしよう!」んん?」

 

 

唐突に、赤い髪の少年がチビッ子の腕に抱き付いた。

つい先程、スパ○ボの世界へと旅立って行ったはずの赤い髪の少年がまだいる事実に俺は驚く。

チビッ子も驚いていたみたいで、頭の上に『!?』マークを乱舞させて赤い髪の少年を見上げていた。

 

ーーってか、あれは幻か何かですか?

 

「お前……まだ、いたんだ……?」

 

 

「双夜……どうしよう……無くしちゃった……」

 

 

「……って、何を?」

 

 

「………………………………………………妖刀・水月華……」

 

 

「ーーーーーーーーーー」

 

 

チビッ子の顔色が、青から蒼白へと変化していく。

珍しい、このチビッ子もあんな顔するんだ……等と、この時俺はそんなことを考えていた。

後で思えば、もっと深く考えるべきだったのだ。

『あの』チビッ子が、顔面を蒼白に変えてしまう程の事態が現在進行形で起きている事に。そして、即行で走り出していれば、あれ程の被害になる事は無かったはずだ。

 

 

死者800人超。負傷者5000人以上の大惨事である。

 

 

その内、死者の約六割が地上管理局の局員だって言うのだから目も当てられない。

事態に気が付き、終息に尽力した局員の大半が死亡。

巻き込まれた通行人やその他諸々は、チビッ子が全力をもって死守した。

ただ、ドゥーエとクアットロがこの騒動の最中死亡してしまう。っていうか、ドゥーエとクアットロの遺体を見たけど……綺麗に真っ二つになっていた。どうやれば、あそこまで綺麗に切れるのか……意味不明である。

 

 

「つーか、専用武器をうっかり忘れるとか……世界を滅ぼしたいのか!?あいつは!!」

 

 

その『専用武器』なるモノの説明をチビッ子に聞いたが……俺の頭では理解できるようなモノではなかったとだけ告げておこう。

 

元々は神刀で……それを妖刀にする為だけに、巫女と呼ばれる乙女の命を10万人切り捨てて造られた人工妖刀なんだそうだ。しかも、それをした理由がふざけている。

妖刀の造り方を確立させる為だそうだ。

 

俺は、チビッ子に怒った。

大声で怒鳴り付けて、思いっきり頬を引っ張っ叩く。

だが、引っ張っ叩いた衝撃で倒れたチビッ子が起き上がりつつ冷静に言った。

 

 

「怒鳴る相手が違う……」

 

 

「何だと!?」

 

 

「よっこらせ……」っと、爺臭い一言を言いながら立ち上がるチビッ子。そういえば、見た目に反してかなりの御老体だったのを思い出した。

 

 

「妖刀の造り方を確立させようとしたのは10万年以上昔の話だよ。僕が、あの【組織】に至る前の話で……【鍛冶屋】が、【大魔導師】や【魔導兵器】に申告して承認された結果……造られた武器だ」

 

 

パンパンと衣服を払って、砂や埃を払い落とす。

その淡白な発言に、俺は冷静でいられなかった。

 

 

「同じ組織の仲間なんだろう!?なら、お前も同罪だろっ!!」

 

 

「厳密に言えば、僕はあの【組織】に所属していない。まだ、スカウトの段階なんだ。今も尚、所属するかは見送り中だよ……」

 

 

「……そんなの関係無いだろう!?現に、たくさんの人が傷付いて……たくさん、死んだんだぞ!?」

 

 

「ああ、知っているよ。それを調べたのは僕だからな。だけど、僕がその人達に言える事は『不運だったな……』だけでしかない」

 

 

「なっ!?」

 

 

「何故なら、僕達は裏側の存在で……役者が、舞台で自分のストーリーを演じられるようにするのが僕等の役割だ。だから……」

 

 

「それが、免罪符になるとでも!?ふざけるなっ!!お前達のせいでーーー」

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

……………。

 

 

 

 




言い争い中に物語強制終了(笑)

原因は、【鮮血の小悪魔】が忘れた《妖刀》の起こした事件のせいだけど……かなり、無茶が過ぎた結果でもある。
まあ、作者的にTAKEを潜るのかこのまま終わらせるのかで迷っていた訳だけど……ロック・ウォーが出てきた辺りで、存続よりも終了が大きくなって……【鮮血の】を出した辺りから、終了一択となっていた(笑)。バッドエンドです!!

ロック・ウォーは、《神殺し》をサポートする戦士(前衛)なので未経験者。【鮮血の小悪魔】は《神殺し》そのものなので経験者。それだけの違いで、天と地程に扱いが違います。
因みに、【鮮血の】が大艦隊を持って移動中なのはゲームの影響かと思われ。資金集めで、繰り返し繰り返し同じステージをやり直したからでは無いかなぁ……?だから、取り敢えず戦艦を大量に持ち込めば良いだろうという考えの元。

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m(_ _)m

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