絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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五五八話

???:

 

 

衛星砲を撃ち墜とした主様は、一呼吸置いてから結界の中へと戻って行った。とは言え、もう主様にできる事なんて主謀者の妨害くらいで……他は、何も無い。

 

前回の世界軸で、聖王のゆりかごと融合したナハトヴァールだって主様がサクッと消し飛ばしちゃったから……原作人物達と、接触する前に逃げ出すはめになったんだけど。

アレは、痛快でしたねw。呆然とする主様の顔とか、後ろから主様を刺した馬鹿とか色々……てか、膨大な魔力を操ってる時に後ろから刺されたら驚いて暴発しちゃっても仕方がないですよね?こればっかりは、主様でもどうする事もできないらしくて……蒸発したナハトヴァールを呆然と眺めてる主様に代わって、我々は粗相をした転生者を処理して《時渡り》を実行。

 

お陰で、安全を確認する前にこちらに移動した為に転移直後に魔力砲撃で撃たれるなんてオチになりましたw。

そして、海に落ちる所までが我らが主様のクオリティ。なんで、あの方は海に墜ちるのでしょうね?いえ、海だけではありません。川とか、湖とか、水辺に行けば確実に落ちるのです。

そりゃ、昔は目がほぼ視えていなくてそういう場では水が上手く魔力波で認識できなくて落ちてましたけど。

 

しかし、主様に聞いてみれば……曰く、『呼ばれている』とのこと。詳しく説明をお願いすると、白い腕が何百と海面から伸びて手招きしているとか言い出しました。一体、どんなホラーですか?と何度かツッコんだ事か……というか、そんなモンがおいでおいでしているなら近づかないで下さい!!

 

兎に角、我らが主様と水辺の相性は最悪と言って良いです。ま、溺れたりしないだけマシなんだけど?落ちるのは、どう足掻いても変わらない結末なのです。

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

所変わって、結界内部。

丁度、黒幕と思しき男性が東京駅の上でイリスコピーの陣頭指揮を執っている場面。そこへ、アミティエがバイクに乗り突撃してきて黒幕がフィル・マクスウェルである事を暴く。

 

そうですか……漸く知り得た黒幕の名前は、『フィル・マクスウェル』というのですか!!神崎さんの説明では、『惑星再生委員会の所長』としか教えてくれなかったので不明なままだったんですよね。

 

ま、本気で知りたければ【組織】の居残り組に問い合わせてWikiで調べて貰えば簡単に得られる情報ではありますけど。でも、それでは我々の情報収集能力が育たないので基本は現場にいる間に自分達で調べるのが常識になっています。

 

なので、前世の記憶が曖昧になりつつある神崎さんの供述の裏付けがかなりの困難となっていました。それ以上に、平行世界に含まれる特定の概念が面倒な結末を引き当てるらしく……色んな勢力が四苦八苦している模様。

 

しかも、それが何に反映されるか……完全なランダムになっていた。

それ故、その世界軸では無かったイベントが生じたり生じなかったりするので、我々が神崎さんの供述にあった人物と出会える確率は平行世界分のあった世界だけである。

 

等と言った所で、我々が何の事を言っているかはわからないでしょう。ならば、言葉を尽くして説明せねば!!

 

例えば、『人』であれば『生まれた』……もしくは、『生まれなかった』事による周囲への『与えられた/与えられなかった影響の変化』がもたらすモノは歴史に直結する。

 

要は、生まれた事で周囲に与える影響はその人物の人生を描くモノと同等とされ……逆に、生まれなかった事で周囲に影響を与えなかった事に対する弊害など様々な『影響』が生じるというものだ。これが、平行世界の概念の一つで……それによって、多重する平行世界との差別化を図るのだけれど。それが、パラレルワールドと呼ばれる由縁でもある。

 

つまり、あっちはあっち…こっちはこっちの歴史が積み重ねられるという事だ。歴史を創るのは、生きとし生けるものだけだから……と言いたい所だけれど。この世に存在するモノであれば、どんなものでも歴史を刻む事はできる。でも、それを認識できるのは知性体くらいだけなんで『生きとし生けるもの』と称しているけれど。アカシックレコードに刻まれるならば、ありとあらゆるモノが該当する。

 

そして、転生者が居る魔法少女の世界は……概ね全てが、同じ歴史を進んでいた。そりゃ、多少の変化は見られるけれど……しかし、それ程大きくもない世界の変化は世界と他平行世界の融合消滅する可能性が高い。

 

なので、我々は出来得る限り乖離性を求める様にしていた。その方法として、転生者を出来る限り排除して歴史を原作に近付ける様に一つに纏めるという方法が一つ。もしくは、歴史に食い込んではいるけど……それ程、重要では無い主要人物を一人消して原作から完全乖離させるという手法を取っている。とはいえ、人一人を消すという手法は各方面に多大な影響を及ぼすので前者を選ぶ事が多い。ほら、人間は一人で生きて行けないって言うだろう?

 

それが、例え引き篭もりのニートであっても馬鹿に出来ないんだ。だって、引き篭もりくんは周囲に何の影響を与える事ができなくても、その引き篭もりくんを世話している者が周囲に影響を与えないなんて事はないからね。

 

特に、引き篭もりくんが一人で生きるのは無理があるだろう?生きて行くには、収入が必要になるからソレをしてくれる人が居なければ成り立たない。引き篭もり程、周囲に多大な影響を与える存在を我々は知らないよ?当人が、どれだけ『自分は一人で生きているんだ!』と思っていても……人と人との繋がりが、最も強く出るのはそういう生活をしている者くらいなモノだろうからね。

 

むしろ、社会に出て普通に働いている者の方が人との繋がりが薄い者が多い。俗に、『ボッチ』と言われる者達がソレに該当する。

 

全く、理不尽なモノだよ。

社会という、コミュニティは……話を戻そう。

 

【転生者を出来る限り排除して、歴史を原作に近付ける様に纏める方法が一つ。もしくは、歴史に食い込んではいるけど……それ程、重要では無い主要人物を一人消して原作から完全乖離させる】という手法に関しての話だったかな?

 

元々、居ない存在である転生者を削るだけの作業だから大きな影響が出る事は無い。彼らは、居ても居なくても問題ないけど絶対的に必要という訳でもないからサクッと消してしまえば世界の修正は完結できる。というか、転生者が居なければ世界は正規ルートに吸収されて消失するので問題はない。

 

それに、親の居ない転生者は死亡と同時に最初から居なかった者として扱われるので楽だった。問題になるのは、親の居る転生者だけで……その場合は、事故死に見せ掛けて殺す。

子供が死ぬのは、悲しい事だけれど。世界の歪みになるのならば、世界も協力的になるので偶然を装いやすい。

 

後者の場合は、【アリシア・テスタロッサの蘇生】や【リインフォース・アインスの生存】を促してやるだけで十分乖離させる事はできる。ただし、アリシア・テスタロッサの健康状態には一手間かけるけれど。目が見えないとか、身体の一部が動かないとか……そんな変化でも、他者に与える影響は多大なモノになるので選択肢としては一考に値する。

 

今まで、そうやって世界の差別化を図って来たんだ。これからも、同じ様に関わった者を不幸にして同一世界の乖離を目指して行く事になるだろう。それが、最善である事はわかっているんだ。それでも、誰かを消すのではなく誰かを生かす事で世界を差別化する事は少なからず救いがある様に思えるだろう?こちらの都合で、誰かの人生を狂わせるくらいなら誰かを生かす事で世界の安定化を目指す方が断然良い。

 

――例え、お前達こそが悪だと断じられても……。

 

なんせ、我々は人々の思惑で動く訳じゃないから。善悪の関連性もなく、ただ舞台(世界)の安寧の為に活動する存在だ。

そこに、人の評価は関係ない。どれだけ、非道に見えてもそれ以上の非道を避ける為に日夜活動するだけである。

 

そんな、取り止めないことをツラツラ考えている間にも話は進み……今は、高町なのはとフィル・マクスウェル所長の一騎打ちの様な状況が出来上がっている。因みに、高町なのはのアクセラレータは発動済みだ。全く、一番の見せ場がスルーされる事になるとは神崎さんが頭を抱えてしまっても致し方ない。それにしても、かなり激しい戦いだな……あ!?

 

そんな、一進一退の激しい攻防に遅れてやって来たと思われる転生者が割り込もうとして来た。瞬間、意表を突かれた高町なのはが硬直して隙が生じる。どこの馬鹿だ!?とは思ったものの、唐突に転移して来て高町なのはの目の前に割り込んだ馬鹿をどうやって止めろと!?

 

割り込んだ馬鹿は、状況を理解していないのか高町なのはに振り返り『助けに来た(ニコッ)』と歯を輝かせてホザいている。

 

コラ(怒)!声を掛けるんじゃない!!

 

集中力が、散霧するだろう!?って言ってる傍から、高町なのはが戸惑って混乱している様が見て取れた。馬鹿かぁ!?

 

そうこうしている間に……というか、その一瞬で正気に戻ったフィル・マクスウェルは口角を吊り上げて楽しげに武器を振り上げた。

きっと、チャンスだと思ったんだろう。

ま、自分でもそんな状況にカチ合ったらフィル・マクスウェルと同じ事をするだろうけど。

相手の気が逸れた瞬間なんて、最高に美味しい反撃のチャンスじゃないですか!!

 

それを引き起こしたのが、転生者で……自己アピールの為にコンマ1秒でも惜しい瞬間に高町なのはの行動を不能にするのは致命的だった。フィル・マクスウェルは、目の前の馬鹿を横殴りに吹き飛ばすと最高の笑顔で手に持った武器を振り下ろす。

 

 

 

でも、勝った!と思った瞬間が一番危険なんだぜ?

 

 

〈Standby,ready.〉

〈Set up.〉

 

ほぼ、一瞬の出来事だったけれど。

瞬間、高町なのはとフィル・マクスウェルの間に黒い閃光が割り込んで行った。

ガキん!と、フィル・マクスウェルの武器を黒いバリアジャケットを纏って、青銀の刃で受け止めたのは我らが主様。バルディッシュのザンバーモードで、フィル・マクスウェルの一撃を受け止めた上に弾いて振り下ろす姿はフェイト・テスタロッサ以上に素早かった。

 

「バリアジャケット、パージ」

 

外装を消して、身軽な姿になった主様はバルディッシュを双剣状態にして突っ込んで行く。そのスピードは、アクセラレータを使う者達よりも速い。ま、《神威》を使う我らが主様ならそんなチャチなモノより疾く動けるから障害にもならない。あっという間に、追い詰められたフィル・マクスウェルは逃げ出そうと藻掻く。

 

しかし、主様がソレを意に介した素振りすら無い。主様の攻撃に、フィル・マクスウェルは焦りを隠せなくなって行った。というか、自分が手掛けた技術を遥かに超える動きで抑えられる事に苛立ちを感じている模様。流石、研究者。

自分の手掛けた技術に、絶大な自信があったらしい。

 

しかし、主様は問答無用で相手の先を行くので戦いの流れを自分側に傾けたいフィル・マクスウェルに取っては辛い戦闘となっていた。

まぁ、プライドが高く何でも自分の思い通りにしたい者に取って主様の戦闘能力は無視できないモノだ。

 

「クソっ!アクセラレータ・オルタ!!」

 

ところで、何故あの手の馬鹿はあんな風に技名を叫ぶのでしょうね?ワザワザ、相手に何をするかを伝えるなんて……倒して下さいと言っているようなモノだ。稀に、転生者の中にも自信満々で己の魔法名を叫ぶ馬鹿が居ますけど……全く、理解不能です。きっと、転生者的にはカッコイイとか思っているんでしょう。だけど、完全に自己満足カツ美的センスが明後日の方向に振り切れてますよね?

 

我々なら、恥ずかしくてそんな技名なんて口にできません。ま、主様も我々と同じなのであんな恥の上塗りなんてしませんけど。

 

偶に、レイジングハートを使っている時にボソボソと『ディバイン…』とか『スターライトぉぉ…』とか言ってますが呟く程度の音量なのでアレ等とは異なります。というか、羞恥心とかないんですかねぇ?あんな、大声で叫ばなくても発動はするでしょう?アレが、中二病というヤツですか……いたたれません。あ、痛たたたたぁ!?

 

悪態をついた後、主様の背後へと回り込んだフィル・マクスウェルでしたが武器を振り下ろす。しかし、その時には主様はフィル・マクスウェルの背後へと回り込んで背中を蹴り飛ばしていた。ハッキリ言って、フィル・マクスウェルは主様より圧倒的に遅い。

 

フィル・マクスウェルが、移動後に主様の姿を確認して攻撃しようと行動するんだけど……その行動を起こす前に主様が、相手の動きを察知しつつ相手が移動した後に動き出すので後の先を取っている様に見える。けれど、アレ……主様が、その気になれば相手の動きを封殺できるっていう意思表示ですよね?全然、相手に伝わっていないので戦闘が続いているけど。

 

ぶっちゃけ、遊ばれてますよ?

 

攻守が入れ替わり、息を吐く間も無く戦いが続く中……原作ヒロインである高町なのはは、割り込んで来た転生者と共に呆然としていた。

ウチの主様が、フィル・マクスウェルを上回る速度で翻弄している間に援護をしてくれればもう少し余裕のある戦いができるんだけど。

意識外の救援に、意表を突かれて頭が真っ白になってしまっているんだと思われる。

 

しかも、主様が使っているデバイスがバルディッシュ(メイン)で周囲を飛び回るビットがレイジングハートのモノと知れば言葉もなく呆然と眺めてしまうかも知れない。とは言え、飛び回っているビットは【外の船】に乗っている《神殺し》見習い達が暇潰しに作り上げたスタイリッシュなビットだ。

 

それを見て、レイジングハートが関わっているビットだとは高町なのはでもわかるまい。それでも、バリアジャケットの形状はフェイトが纏うソレそのモノ……一応、色は黒で統一してあるから多少見た事があっても全然違うバリアジャケットに見える……はず。

 

多分、フィル・マクスウェル以上に疾く動けているから驚いているだけなのかも?

 

とりあえず、援護をしてくれなさそうなのでチョコっと近付いて耳元で『援護オナシャス』と呟いてみた。瞬間、ハッとした高町なのははレイジングハートを構えて《ディバイン・シューター》を撃ち放つ。混戦状況に、そんな魔法をブチ込んだら普通は戦況が崩れる事になるんだけれど。ウチの主様は、その程度で崩れる方では無いのでドンドン撃って下さい!!

 

転生者とは、違うのだよ!転生者とは!!

 

一瞬、己の判断ミスに慌てた高町なのはだったけれど。飛んで来るシューターを、上手く使って戦況をより良く有利に進める主様に超笑顔で『すごい!すごい!!』と喜んでいた。

 

お陰様で、こっちがゾワッとしたわ!何、あの子…怖いんですけど!?え、まさか…そのまま、援護射撃を続行ですか?隣で見ている転生者が、高町なのはの歓喜ぶりに少し引いているんだけど……気が付いてます?

 

ま、今までが転生者達の熟練度が低過ぎた為にストレスのある戦いを余儀なくされていたんだろうけど……ここに来て、そんなストレスを感じさせない熟練度の前衛が現れて歓喜している模様。その為、その後の援護は容赦ない魔砲の雨あられだった。

 

それでも、我らが主様は問題なく戦闘を続けている。シューターであれば、剣戟を交わしながら来るタイミングを計り受け流しの応用でバレットを壊さず魔力刃で軌道をズラして相手に当たる様に調整する。

 

砲撃が来れば、その時だけ一歩離れて直撃後すぐ距離を詰めて魔力刃を振るう。熟練の魔導師が、最高の連携で相手を追い詰める様に主様が誘導しているんだけど。それがわかる者が、今この場にどれだけいるか……それを見て、羨むだけの転生者ではわからないだろう。

 

その内、フェイト・テスタロッサが援軍として来たけど。主様の高速戦闘に、呆然と立ち尽くしていた。

 

「…………あ!フェイトちゃん!!」

 

「ハッ!なのは!?」

 

「あの子、すごいよ!!」

 

「う、うん。それに、凄く疾いね……」

 

えへへ〜と、笑い合う原作ヒロイン達。

いやいや、和んでいる場合じゃなくて援護!援護して下さい。もしくは、サッサと決めちゃって下さりませんかねぇ!?《ブラスト・カラミティ》辺りで!!

 

じゃないと、ウチの主様がサックリ倒しちゃいますよ?等と、言っている間にもウチの主様は段々と加速して行く。フィル・マクスウェルも、何とか間に合わせていた斬撃が段々加速して行く主様に着いて行けず身体中を切り刻まれ始めていた。

 

最早、フォーミュラの処理速度も役に立たないゴミと化しており苛立ちが表情に滲み出てフィル・マクスウェルは苦々しい顔をしている。《アクセラレータ》でも、相手に追いつけなくなる様な高速戦闘。その上、主様は流れて来る魔導の力を巧みに誘導してフィル・マクスウェルのダメージを蓄積させて行く。敗北は、最早時間の問題だった。

 

そして、ついに主様が決断してしまう。

何を思ったのか、剣戟を交わしていたはずの主様はソレを終わらせて一定の距離を開けたのである。

 

「はぁ!はぁ!はぁっ……くっ、未だだ……」

 

「フィル・マクスウェル。残念ながら、君は僕に勝てない。良く頑張ったよ……でも、ここからが本番だ!モードチェンジ。レイジングハート、エクセリオンモードで!!」

 

〈All right. Master.〉

 

〈Get set.〉

 

指示を出した瞬間、何時もの白く青のラインが入ったバリアジャケットに変化する。手には、杖に戻ったレイジングハート(エクセリオン)が握られていた。

 

「…………A.C.S.を……投稿する意思はあるか?」

 

「……最後に、笑っていれば良いのさ。この、僕がね!!」

 

翼は展開されず、ただ濃い魔力刃がジャキン!とニードル状に突き出る。その矛先を、フィル・マクスウェルに向けて主様はその意志を確認した。

 

それと同時に、フィル・マクスウェルが突っ込んで来たので主様は問答無用で《神威》を使用してフィル・マクスウェルを滅多刺し(比喩)にして行く。縦横無尽に振り回される刃は、真っ先に武器を持つ両腕を斬り飛ばし、両足を両断し、顔を削って、腹部から下を斬り落とした。

それも、ほぼ一瞬……誰にも視認できない速度で斬り刻む。最後は、ディバイン・バスターで地面に叩き付けられていた。そこまでが、主様のお仕事。

 

既に、衛星砲は存在しないのでこの後の交渉はフィル・マクスウェルの戯言として処理される。存在しないモノで、取り引きなんて誰もやらないからね。ソレを知らないのは、フィル・マクスウェルただ一人。まさか、切り札が真っ先に墜とされるとは誰も考えないだろう。

当然、フィル・マクスウェルもソレがあるモノとして管理局と交渉をしようと考えていた。

 

しかし、結界で衛星軌道上との連絡は遮断されていて衛星砲の存在を確認できない。それでも、かなり強気で交渉を仕掛ける辺り、フィル・マクスウェルは最高のピエロだった。

それをフェイト・テスタロッサが、適度に相手をして打ち上げられた中継シャトルで漸く衛星砲が存在しない事を知ったフィル・マクスウェルは『何故』を繰り返すレコードと成り果てる。

 

その中継シャトルも、大気圏外で活動していた使い魔達によって処理され、己の計画の全てが潰えた事を理解したフィル・マクスウェルはもう何も語らないガラクタと化した。ま、黙秘を続けた所で主様による鬼畜な魔法で強制的に語らさせられるんだけどね。

 

《正直者の陣》は、やっぱり便利だなぁ?

 

それと共に、【転生者】という名の変態と馬鹿共も纏めて処理される。やり口は、簡単。夢の中で、疲れ切って眠ってしまった彼らを自宅のベットに戻し放置するだけで事は成った。

目が覚めて、自宅を出た彼らはヒロイン達に会いに行って夢の中と同じ様に()()()()()とする。

 

その結果、彼らはただの性犯罪者となり魔力封じをされて留置場に拘留された。彼らは、その事に声高々に不満をブチ撒けていたけど……犯罪者落ちした彼らに、耳を傾ける者は居ない。

 

こうして、ただ一人を残して転生者達はどう足掻いても監視付きの生活から抜け出せなくなった。なんせ、裁判中も散々自分達がどれだけ()()()()()いるかを語り続けていたからね?更には、()()()()()()()のに今後の計画まで語り続けてくれたので更生の余地無しとして監視される事になる。

 

それ以外にも、余罪がポロポロ出て来て表に出られなくなった者まで出た。こうなると、短期間で自由は得られなくなるので暫くの間は大人しくしておくしか無い。とは言え、そこは我儘で自己中な転生者クオリティ。

 

即行で、接近禁止命令の出ているヒロインに会いに行って捕まり留置場に出戻りする事となった。ザマァwww。

 

それから、最後の転生者に至っては主様が接触して神様特典にはデメリットがあるという事を伝えていた。しかも、その転生者には伝説の『ハーレム体質』という特典があって……下手をしたら、相手が病ンデレ化して浮気した瞬間に滅多刺しにされる事を忠告する。

 

その代わりに、その特典が発動しない様にする方法も教えていた。その方法とは、本命を一人に絞って浮気せずに過ごせば良いのだと主様は言う。一途に、一人だけ攻略をしている間は依存症状態でイチャイチャできるけど、浮気がバレた瞬間に滅多刺しにされるぞ?と脅していた。今の所は、他の転生者達の妨害があってか誰一人として攻略していなかった彼はその話を聞いて震え上がっていた。

 

ま、滅多刺しは誰でも嫌な事件だから誰もが避けようと行動するだろう。もし、『それでもハーレムを夢見るのであれば、その特典を消してしまっても良い……』と、主様は悪魔の囁きさえされていた。

 

転生者は、一度頭を抱えた後に『考えさせて欲しい』と言って主様の前から去って行ったけれど。しかし、神様特典はこの世界にとっても転生者達にとっても絶大な効果をもたらすモノだ。それを、デメリットが嫌だからと言って手放せるかと問うたら……人は、『はい。どうぞ』と言って差し出せるだろうか?

 

 

 

 

 

 

答え……彼は、逃げ出した。

 

 

 

 

 




神様特典✕3つ、デメリット特典✕2つ。
基本、2つはデメリット特典で相殺される特典
実質、神様特典は一つしか得られない。
しかも、先に願った特典が最も強く後に告げた特典は弱体化していく。①強×1.5②×1.0③弱×0.5くらい。更には、得られた特典の特性によっては全体的に弱体化する様なデメリット特典を贈られる。例えば、世界レベルで改変される類の特典は以下がその代表例だろう。
御都合主義、運命改変、覇運、常識改変、11eyes(デメリット無し)、デスノート、∀ガ◯ダム等等。

自己完結系なら問題なし。
最強第六感、ロックオン(ゴルゴ)、超能力、属性変更、平和属性等等。
(読者様からの提供物)

使い勝手でいうと、中々使えそうで使えなかったりするんだけどね?例えば、最強第六感なんて疑問全てがコレ一つで解決できる的な内容だったけれど…神様の好みから言うと論外なんだよなぁ。神様は、自分が愉しむ為に転生者を送り出そうとしているのでソレがバレる様な特典を転生者には付けないんだ。ロックオンなら、まあ使えるけど…ソレを願うよりも、恋愛系の能力を求める奴の方が多そうだ。
例えば、『滑らかな口』とか?女性を口説く時に発動する能力で、女性が好みそうな言葉を恥ずかしげも無くスラスラ言えるとか?
コミュ障には、必須能力だろうww?乙女ゲーの攻略対象が囀る感じの言葉がスラスラ出て来ると思ってww。

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれてありがとうございます。

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