絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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五四八話 報告書

???︰

 

 

No.990007-x1

 

作成者  カラッツォ

 

題《堕ちる人、人生の謳歌者》

 

最近の転生者…元々、人格的に良いと言える者は居なかったけれど。今は、質も悪くなってきている様に思える。もちろん、能力的なモノでは無く人格や性格面の悪質化が後を絶たない。もっと、単純で単細胞な奴で良いんだ!!

だっていうのに、陰湿さが増し粘着性も上がっているのは頂けない。そんな、陰湿ストーカーな執着野郎と共に戦わなければならない住人達が可哀想過ぎる。

中には、住人を人と思わない転生者も居て…何をしても、己の罪にならないとでも思っているのか暴虐不尽に振る舞う者もいた。まあ、何時もの事と言えば何時もの事ではあるけど。それでも、目に余る行為は日に日にエスカレートしていき今では見るに堪えない醜悪な糞餓鬼へと退化して来ていた。しかし、今回の転生者は格が違っている。一体、どんな特典を願ったのか…何をしても、咎められる事が無い。だから、不思議に思って調べて見てみればその転生には『何をしても問題にされない』的な特典が組み込まれていた。

つまり、この転生者はどんな罪を犯しても罪として認識されないという特典だ。そりゃ、そんなモンが組まれていりゃぁ犯罪を犯しても罪に問われる訳がない。だが、他の転生者がその罪に問われない転生者の真似をして罰を2倍分受けていたのは哀れだった。その後、2倍の罰を受けた転生者は罪に問われなかった転生者を怨み復讐に燃えていたのは当然だろう。その気持ちは、わからないでもないんだけれど…空回り気味に、暴走を始めるのは勘弁して欲しい。最終的に、周囲を巻き込んで罪に問われない転生者を殺害していたけど。

罪に問われない転生者が消失後、殺害した転生者がミッドチルダから消失したのには驚いた。彼が、その後原作人物に関わる事は無かったけれど。ああいう転生者も居るんだ…と、知って少し消失した転生者に焦点を向けた。

 

すると、その2倍の罰を受けた彼は魔法を趣味にしている転生者である事が判明する。こちらの任務は、彼が対象を殺害した事によって終わっているので他の使い魔仲間が仕事を終えるまでの間、ひm……その転生者を監視する事にした。

その間、サボりとか思われたく無いのでその彼の行動でも報告書に纏めてみる事にする。一応、ね?転生者は、基本的に皆監視対象だからな!そんな訳で、彼の監視を開始した。

始めて直ぐ、彼の異様さに驚かされる事になる。

彼は、他の転生者が原作人物と呼ばれる存在に群がっている間、自らが構築した交友関係の中で活動する人物だった。まあ、その交友関係も女絡みではあったんだけど。それでも、過去に報告の無い人物達に囲まれて楽しそうに人生を謳歌していたんだ。その様子からは、嫉妬や猜疑心で他者を蹴落とす様な感じではなく…前監視対象を殺した時の様な殺伐とした様子でもない。まるで、こっちこそが本来の彼であるかの様に日々を面白おかしく生きているみたいだった。否、『みたい』ではなくこっちこそが彼の本来の人生なのだろう。

他の転生者が、原作だ!ヒロインだ!と女の尻を追い回して居るに目も向けず、この人物だけは楽しげに魔法を趣味として生きているのが……目立っていた。いや、『目立っていた』というには語弊がある。だって、基本的に地味な容姿で普通の人に紛れて生活して居るんだから目立つ訳がない。

ただ、魔法を使って人を除けているのが()()()()()()という意味で目立つだけなんだけど。それにしても、あんな風に魔法を使う転生者もいるんだな?というか、他の転生者達とは異なる使い方で日々を面白くする事に全力投球というか…何というか。監視を始めて、ここまでハラハラドキドキさせられる監視対象も珍しい。つか、観てる方も楽しくなってくるとか……これは、優良転生者なのかも知れない。まあ、ちょっとエ口を求める辺りが男の子らしいけど。

概ねは、普通の好青年でしかない。観客も、そこそこ増え始めたから、な!?えっと、サボってた訳じゃないよ?え、わかってるって?そ、そう……なら、次の世界に行く?え、アレの監視を続けないのかって?続けて、良いの?え、良いの!?続行!?続行なの!?なんか、許された!?

 

□月○×日02:33 継続。

 

 

 

No.990349-01

 

作成者  エフォクッオ

 

題《転落人生回避術?》

 

嗚呼。面倒臭い!担当になった転生者が、面白味に欠ける転生者でとても楽しくない。まあ、大半の転生者が面白味に欠ける輩しか居ないんだけどな。というか、どいつもこいつも女の尻を追い回すことしか興味が無いのか…と辟易させられる。もっと、観ていて面白い人材を送り込んでくれればこちらも融通するというのに…神って輩も、頭のおかしい輩しか居ないんだとわかる。低能というか、無能というか…転生者が、その人生を転がり落ちる展開に何の面白さを求めているのか意味がわからない。他にも、恋人を寝取られて腐って行く様子とか誰得なんだか?意味がわからない。そんなモン観て、喜ぶ様な使い魔は一人も居ないっていうのに…周囲を見渡せば、死んだ魚の様な目をした使い魔達が緩慢な動きで報告書の作成をしている。わかる、わかるぞぉ?つい、昨日まで辟易とさせられる馬鹿の監視をさせられていたっていうのに今度はそれを纏めて報告書にしなきゃならないんだもんな?そりゃ、死んだ魚の様な目にもなるってもんさ!

さて、そんな職場の様子を報告させて貰った私は本題へと話を勧めて行く。とはいえ、他の報告書とそれ程変わらない内容の報告でしかないんだけどな?だって、転生者が女の尻を追い回して居たっていうだけの報告だぜ?そんなん、誰が読んで得をするのか…訳がわからない。大体、自分が担当した転生者は複数の女の尻を追い回して結局誰一人として得られず他の転生者に油揚げを掻っ攫われた馬鹿でしかなかった。

まあ、掻っ攫った転生者も他の転生者に殺されて消滅しちゃったけど。だからと言って、監視対象の転生者に女が戻ったという事もなく。監視対象の転生者は、最終的に引き篭もりのゴミクズへと退化した。否、元の木阿弥に戻ったというべきか?まあ、目の前で他の転生者が《堕ち神》化したのを目撃すれば大体そんなモンだろう。しかも、その転生者には何故か世界の理も通用しないってオチだったからなぁ?

多分、外れ者だったんだと思われる。とりあえず、《堕ち神》のメカニズムは教えておいてやったから引き篭もりになった転生者が今後、他の転生者に絡むなんて事はしないと考えられた。なんせ、《堕ちる》と教えてやれば酷く怯えていたからだ。殺しても、殺されても限界を迎えた魂が至る結末があんなものだと知れば転生者の行動は二種類。突っ走って堕ちるか、全力で回避する為に身を引くかのどちらかだ。

監視対象の転生者は、後者で全力で回避する方向に舵を取った。まあ、賢い選択ではあるものの何れはまたその選択肢を突き付けられるだけだろう。その時も、逃げれば何とかなるかも知れないけれど。殺生与奪を他人に握られている以上、彼の人生が良くなる事はないと言い切れる。何時かは、堕ちる選択をせざるを得ないだろうけど…今は、祝福しておく。

 

△月□○日16:53

 

ー追記ー

 

二度目の選択肢も、逃げ延びる。

 

 

 

No.991593-a1

 

作成者  トバラッハ

 

題《報告書》

 

ゴミクズが、女に振られ堕ちて暴れて名字持ちに屠られた。

 

×月○○日20:16

 

 

>>リテイク!

 

なんで!?

 

>>書き直し!

 

 

No.991593-b1

 

作成者  トバラッハ

 

題《報告書》

 

ゴミクズが、女に振られ…以下略

 

×月○○日21:03

 

 

>>そういう事じゃない!

 

面倒臭い

 

>>やり直し!!

 

ちぇっ。

 

 

 

No.991593-c1

 

作成者  トバラッハ

 

題《報告書》

 

原作ヒロインをストーキングしていた転生者が、ヒロイン達にこっ酷くフルボコにされてブチギレし堕ちて暴走開始。

名字持ちが来て、堕ちた転生者を屠って問題解決!以上。

 

×月○○日22:05

 

 

>>だから、そうじゃないんだ!

 

知らんがな。

 

>>だれか、コイツに指導を…

 

やらないよ?やらないからね!?

 

 

以下、続く。

 

 

 

No.993912-b1

 

作成者  リュクレフォ

 

題《疑心暗鬼の確信者》

 

面白味に欠ける転生者。

代わり映えのしない行動パターン。

なので、根気良く茶々を入れてみた。

結果、転生者がガチギレする。

最初の茶々は、ちょっとした些細なモノだった。

本人の知らぬ所で、熱烈なラブレターをお目当ての女性に出す。理由は、良くわかっていないみたいだったけれど。

ラブレターの返答を貰った転生者はガチ凹みw。

その様子が、とても愉しかったので次も機会があれば本人のわからない所で色々やろうと心に誓った。そして、余りにも転生者が鈍感だった為に徐々にエスカレートしていく工作を重ね…ついには、大々的な工作とも言えない工作をやる事になってしまう。ここまで来ると、流石の転生者もおかしいなぁ(違和感程度)?から、コレはおかしい(確信)!になって…それら全てを敵対する転生者のせいにした。つまり、俺の悪戯はバレず全てが敵対する転生者のやらかした工作に成り下がってしまったのだ。

 

――違う!そうじゃない!!

 

そんな事を言った所で、監視対象の転生者は既にこれまでの工作行動を他の転生者が行った工作だと確信しているので、それを覆すには我々が姿を現して公開しなければならないという結論に至った。こうなると、こちらが姿を隠したまま証拠を提示しようが何をしようが転生者は信じないだろう。転生者は、思い込んだらそれしか信じない存在だから。多少の違和感は、神様特典という反則を知っているが故に無視される事は言われずともわかっていた。本来であれば、多少の違和感があると突き詰めるんだけど。なまじ、神様特典なんて反則を体感しているが故にオミットされるのは過去の経験則でわかっていた。話が通じない系は頑固者が多いから、ね?

結果、犯人の見付からない犯人探しが始まって…手当たり次第に『犯人はお前だ!!』を連呼する馬鹿が出来上がる。

言うまでもないけれど、そんな数撃ちゃ当たる的な事をしても我々が出て行かない限り見つかる事もない。ただ、己を信じ疑わないモノを排除すれば自ずと答えは見付かりそうなモノだが…目が、曇り切っている転生者達には酷な話なのかも知れない。というか、本当に数撃ちゃ当たる策戦の様で顔を合わせる転生者全員に同じ様な事を宣告するつもりの模様。

面白いので、黙って観ているけど…次から次へと、宣告し捲くっているせいで妙な噂が回り始めた。とりあえず、それはそれで利用できそうなので使わせて貰うけど…罠じゃないよね?何となく、地雷臭がするんだけど?まあ、早々バレる事は無いからサクッと新たな悪戯を実行する。

 

疑心暗鬼に陥りながら、他の転生者も巻き込んで自らを監視して貰う事にしたらしい監視対象の転生者は、大枚を叩いて自らに人を付けた。そうする事で、自らの潔白を証明し更にはアリバイを構築する為だ。郵便受けすら、自分で開けない転生者は己の付き人となった転生者に全てをやらせている。

まさか、ここまで徹底的に周囲を動かそうとする奴も珍しい。だが、同時に正しかった。下手に動けば、自作自演を疑われるから。ポストを覗く雇われ転生者に、疑心暗鬼な転生者が自作自演でない事を捲し立てる。しかし、監視者の目は雇い主である転生者が色々と疑わし気の様だ。まあ、真っ先に疑われた容疑者だもんな?何なら、自作自演の極地を見せてやろうか?という訳で、簡易トラップによる連動式を魅せてやんよ!!結果、監視対象の転生者が怪我をしてしまう。

それによって、自作自演を疑われていた転生者がフリーにはならなかったものの他の転生者達に自作自演ではないのでは?という疑念を与えてしまった。逆に、大きな怪我を負ったせいで自作自演を主張する一派が確信するに至る結果をも齎したんだけど。だが、一部に『違うんじゃないか?』という一派が派生したのは間違いようのない事実。これが、もう少し小さな怪我であれば…いや、たらればの話はよそう。

こうなっちゃったのは、こちらの不手際なんだから敢えて認める方向でその上で自作自演になる様に全てを誘導してやれば良いだけの事だ。もう、手加減はしないぞぉ☆!!

そんな訳で、フレールくんと他の使い魔にも協力を仰ぎ全力で自作自演方向に誘導した結果……何もかもを、監視対象である転生者のせいに誘導する事に成功する。

メッチャ、叱られたけど!!

 

☆月△△日4:44

 

担当から、外されちゃった☆www!

 

 

 

No.996844-01

 

作成者  クヴァックツォ

 

題《敗北者?》

 

登場人物…監視対象の転生者。その転生者の信奉者(女)?

神様特典で付けられた付き人(女)?現地の特殊な登場人物(女)。そして、敵対する転生者、A、B、C。

 

 

最初は、監視対象を取り巻く状況に戸惑ったけれど。

ある程度、状況を飲み込めればその複雑な関係性もちゃんと見えて来た。とりあえず、監視対象の転生者にはその彼を慕う信奉者と特典によって付けられた付き人が居る事が判明する。それから、現地民…特殊な状況から生まれた存在と言えば良いのか?とある物語の登場人物とでも言えば良いのか…良くわからない。有り体に言えば、砕けぬ闇の一欠片という存在らしい。俗に、『シュテル』と呼ばれる個体がその特殊な現地民だった。監視対象の転生者は、己のハーレムの一人として特殊な現地民を受け入れては居るけど…何処となく、疑心暗鬼に陥っている。上手く行き過ぎて、逆に疑っている彼は小心者なのだろう。その特殊な現地民を巡って、敵対する転生者達と監視対象の転生者が争っている訳だ。奪い合っていると言っても過言ではない。何でも、《ニコポ・ナデポ》が上手く発動しないんだそうだ。つか、それって…表面上の変化だけで恋愛フィルターが全てを覆い隠す類の特典じゃなかったか?つまり、監視対象の転生者もその少女を厳密には確保して居ないという事になる。ハーレム要員とか言ってるけど、その根拠は恋愛フィルターによる幻なのだ。

何とも、憐れな結論ではあるけど…その少女が、ハーレムを目論む転生者の所で匿われているのは間違いない。

そして、その少女を巡って監視対象の転生者とその彼に敵対している転生者達が居るっていうのもまた事実。本当に、複雑な状況に陥っていた。何なら、そこへ原作人物達も投入してやりたい気分ではあるけれど。余計に場が混乱するので、それは最後の手段として取っておく事にする。

とりあえず、現状からは手も足も出せないって訳じゃなかったけれど。一先ず、どういう関係性になっているのかを確かめる為に静観する事にする。その結果によっては、どう介入しどういう結末にするのかを考えねばならない。一番、面倒が無いのは原作人物達を投入し原作側に『シュテル』を回収して貰う事がベストだろう。しかし、現状からはそのベストが使えない可能性もあったので様子見する事にした。

結論から言うと、とても面倒臭い状況に陥っていたとだけ言っておこう。ぶっちゃけ、転生者はどうでも良いけど…信奉者と付き人が厄介だった。流石、神々が付けた付き人。

中々に、厄介な存在の様だ。見えては、居ないみたいではあるけれど…フレールくんの存在に気が付かれた模様。

そもそも、空気と一体化しているというのにフレールくんに気が付くとか空間把握系の能力が飛び切り高いのかな?なので、風では無く土のフレールくんを出しておいた。流石の付き人でも、土のフレールくんまでは感知できないだろう?

つか、土のフレールくんは主様でも時折見逃す隠密特化型の使い魔。もし、見分けられればあの付き人は主様以上の存在という事になる。でも、まあ…流石に、土のフレールくんは無理だろうという判断だ。空間把握系の能力でも、地中までは把握できないはずだろうから。というか、他の使い魔ですら土の中からどうやって外を見ているのか…とても、疑問だったりする。普通に考えて、土の中から外が見える訳がない。だっていうのに、土のフレールくんはソレが見えるって言うんだから意味不明の存在だ。そもそも、地中をどうやって移動しているのかさえわからない。だっていうのに、そこから更に地上を見たり壁から周囲を見渡したりできるんだぞ?意味不明だろう?でも、土のフレールくんとはそういう存在だ。地中からでも、壁の中からでも周囲が確認できるという使い魔だ。そのフレールくんを使って、監視対象の転生者を監視して貰って見れば直ぐに家の中の状況ですらこちらには筒抜けだった。てか、音響反射?魔法を使わねば、宙に浮く事すらできない人間なら超音波を聞き分けるなんてできないか…付き人も、これには対応してない模様。まあ、土のフレールくんでわかるのは人の立ち位置ぐらいなモノか?

と、思っていた頃がありました。まさか、声ですら音響反射の対象だとか思わないじゃないか!だから、話している内容ですら出て来た時には度肝を抜かれた。土のフレールくん…怖い。でも、そのお陰でどういう状況なのかまでもがわかりとても助かった。ぶっちゃけ、三角関係ならぬ多角形関係というヤツだ。付き人や信奉者も、転生者を慕っていて…その転生者は、『シュテル』や他の原作人物達も狙っている。

更に、その上で敵対する転生者達が『シュテル』を狙っているのかと考えていたがそれも違ったらしい。より正確には、元々敵対者と仲が良かった『シュテル』をこの転生者が《ニコポ・ナデポ》で奪ったのである。仮に、敵対転生者Aがその『シュテル』と仲が良かった転生者だったとしよう。転生者Aは、監視対象の転生者から『シュテル』を取り戻す為に監視対象と敵対しているらしい。なら、他の転生者B、Cが何なのかというと敵対転生者Bが信奉者の元恋人で敵対転生者Cは敵対転生者Bの友人という関係性だった。つまり、信奉者も敵対転生者Bから奪われた存在という事になる。

ぶっちゃけ、他人の恋人を寝取って己の取り巻きにしているのが監視対象の転生者という事だった。他にも、多数の被害者がいる様で目に見える範囲にABCが居るものの…実際には、監視対象の転生者には多くの敵対者がいるらしい。

なら、この監視対象の転生者をサクッと殺したら全てが上手く行くのかというと…そうでも無さそうだから、頭が痛い。

なので、他の使い魔と手分けをして魅了系の能力持ちを調べて見れば…この監視対象の転生者以外に後三人は魅了系の能力を持っている転生者が居るみたいだった。機能しているのは、監視対象の転生者だけの様だけど。ただし、直ぐに手が出せる様になる程に強い能力という訳じゃないらしい。

要は、相手の想い人を自分とすり替える程度の能力でしかないらしい。即ち、相手の関係度が深まっていない限り奪った所で肉体関係すら持てないという事だ。そして、奪った転生者には現状を維持する事はできても関係を深める事はできない模様。まあ、要するに恋愛下手という事だった。

何という、間抜けっぷりだろう?当人も、他人からお相手を奪ったまでは良かったもののそれ以上の関係になれなくて頭を抱えているらしい。一瞬、これは放っておいても良いんじゃないか?とは思ったけれど。魅了系の能力を見過ごす訳にも行かなくて憐れにも思ったけれど介入する事にした。

ぶっちゃけ、魅了系能力を失わせたらどうなるのかねぇ?という訳で、主様の《ルール・ブレイカー》をお借りしてサクッと魅了系能力を持つ転生者達からソレだけを削除させて貰った。すると、翌日には監視対象の転生者が正気に戻った少女達にフルボッコにされて捨てられるというイベントが起きていて少し笑ってしまう。つか、魅了系能力が無ければ少女達を手元に留めていられないとか…どうなんだろうね?

その後、元の鞘に納まった少女達だったけれど…敵対転生者達は、再度奪われる事を恐れてか監視対象を殺そうとして……失敗していた。まあ、監視対象には神々が付けた付き人が居たから、それで逃げ切れた様なモノだけど。以降、舞台はミッドチルダに移って話は進んで行く……ハズだったのだけれど。魅了能力を失った監視対象は、そのままミッドチルダとは異なる世界へ移住して残された日々を付き人と過ごして行く。原作人物に絡みに行く事も、ハーレムを形成しようとする事もなく日々を謳歌するみたいだった。

とりあえず、監視は続けるものの、以降はただの日常を消化するだけの様なので報告は以上とする。

 

△月○○日02:13

 

 

No.997249-01

 

作成者  ヤクォリツォーク

 

題《神様特典に振り回された者》

 

性的な能力を付与された転生者の……転落人生について語る報告書。私の監視対象となった転生者は、何を思ったのか恋人すらいないのに性豪とか絶倫とか精力増強とかの性的な能力を神様特典に選び、この魔法少女の世界へ転生してきた者である。ぶっちゃけ、転生して数年程でノイローゼ気味になり小学生にも関わらず精神科へ通院する憐れな負け犬と化していた。まあ、常時フルバースト状態だから部屋から出られないし…出られたとしても、表を歩けば通報待ったなしな彼は常にコソコソと怪しい動きで通院している状態だった。

余りにも、可哀想な状況に我々も監視していて辛かったのでサクッと《ルール・ブレイカー》で原因となっている性的な特典をバッサリ切り捨ててしまえば……何の能力も残らなかった転生者は、陰鬱な日々を捨てる変わりに爽やかな日々を手に入れたのだった。最初こそ、喜んでいた彼は成長と共に失われた特典に絶望していたけれど。直ぐに、外に出ても通報されない事に涙するのだった。

これは……どうなんでしょうね?彼にしてみれば、どちらが良い選択だったのだろうか?だが、普通の日常を過ごせる事に喜びを噛み締めるその姿からは特典を失った事に対する絶望だとか、怒りだとかそういう感情だけでない事が見て取れる。それに、膨大ではないけれどそこそこの魔力を持っているから趣味程度には楽しく魔法が使えているので、それ程まで絶望している様には見えなかった。ぶっちゃけ、特典に苦しんでいる時よりも充実した日々を過ごせているのが現状だ。むしろ、特典を失った方が楽しそうに見えるんだけど?それでも、失ったモノに想いを馳せる姿はチラホラ見受けられた。というか、もっと他の特典があれば…とそういう意味で後悔しているのかも知れない。とりあえず、私が担当した転生者は日々を面白おかしく過ごしている様なので報告は以上とする。また、何か変化があれば筆を取ろうと思う。以上!

 

□月○□日11:39

 

以降、報告に追加が加えられる事は無かった。

 

 

 

 

 




久々の報告書回。使い魔達が、自ら動き出したり出さなかったりする変化を加えてみた。大体、名前の長い使い魔は面倒くさがりが多いのでそこら辺を全面に出してみたら面白くなったw。ただ、まあ…個性を豊かにすると、監視対象の転生者が困る事になるのでそこらへんは控えめに。
とりあえずは、こんな感じに仕上がりました…と。次があれば、名前の短い奴らで報告書を作った方がもう少し楽しめるかも知れません。

ぶっちゃけ、個性的な使い魔達からの報告書www

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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