絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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前話の『でも残念、それを起動させるには【神格】も必要だし……その上、女性専用のアーティファクト・レプリカなんだ。』この部分に、誰もツッコミを入れてくれなかった件。
女性専用って書いてあるのに、双夜が使える理由に誰も反応してくれない。

まさに、残念無念。←答える気皆無。


四〇話

双夜

 

 

 

という訳で、ハラウオン家のお隣にあるテスタロッサ家にやって来た。途中、U-Dに泣き憑かれてしまったが、仕方が無いので仲間に入れてやる。

 

 

ーーU-Dが仲間になった。

 

 

そんな感覚を得つつ、呼び鈴を押す。

返事をして、出て来たのはアリシア・テスタロッサだった。

俺を見て、「あ、戻って来たんだ」発言はマジドッキリだったとだけ言っておこう。なんでも、闇の書事件からずっと覚えていたらしい。疑問に思っていたのだが、プレシア・テスタロッサは覚えていなかった事である仮説が立った。

U-Dもアリシアも、本来であるならば存在しないし生きていない者だ。だから、環から外れているのかもしれない。

円環の理から外れてしまった者は、そのシステム外の存在だから世界のシステムからの影響を受けにくいのかも……という仮設だ。

ただ、これは憶測の域を出ない仮説なので……確信を得たいのであれば、【悠久】からのメール解読を進める必要がある。段々、面倒になってきたのでそういうこともあるんだなぁ……程度にしておくべきかもしれない。

 

 

「お久しぶり、プレシアちゃん。どうだい?その後の日々は……デンジャラスでハッピーな生活かい?」

 

 

「ええ、それで……アリシアの事なんだけど……」

 

 

「ああ、本当に生き返って貰おうか……ぶっちゃけ、そろそろ【神通力】が目障りになってきた所だよ……とりあえず、得体の知れない存在に生かされているのも気持ち悪くなってきたんじゃないか?」

 

 

「ええ、全くだわ!私のアリシアが、誰かの玩具だなんて冗談……ハッキリ言って、胸糞が悪いわ……」

 

 

プレシアちゃんの発言が、段々悪い方に酷くなっていく。

顔も、心なしか悪人面になっているようにも見えた。

それもそうか……と納得する。その気になれば、アリシアを人質に俺と殺し合いをさせる事ができるのだ。

まあ、プレシアちゃんもリンディちゃんも聡明なので了承はしないだろうけど。誰かわからないモノに、手綱を握られているという状況はプレシアちゃんに取ってもおもしろくない話なのだろう。

 

 

「OK。なら、さっさとやってしまおう!」

 

 

言って、世界を因果律に転身してマンションの一室から遺跡の様な場所へ。そこから、アカシックレコードを閲覧する為の水鏡へと繋げる。

 

 

「死者を生き返らせるのに必要なモノってなんだと思う?」

 

 

「肉体と記憶じゃ無いって事は、もうわかっているわ……」

 

 

「いや、肉体ってのは合っているよ。後一つ、必要なモノがあるんだ……まあ、君達の魔法は科学の一端扱いになってるから、一生を掛けてもわからないだろうけどね……」

 

 

「記憶では無いのでしょう?…………わからないわ……」

 

 

自嘲気味の苦笑いをしながら、今にも泣きそうな顔をするプレシアちゃん。自分の間違いが、何なのかもわかっていないのだろうけど……ずっと、考え続けてはいたのだろう。

 

 

「必要なモノは、肉体と……そして、【魂】だ……」

 

 

「肉体と魂……」

 

 

「そう。肉体という名の“器”に、【魂】という名の命を吹き込んで、肉体と魂を《精神》という【糸】で繋ぐのが……死者蘇生という禁呪だ。神秘という奇跡の魔法だな……」

 

 

「神秘という奇跡の魔法……そう、科学では救えなかったのね……アリシア……」

 

 

「技術が足りなかっただけだよ。その気になれば、魂ですら捕まえられる技術だって科学で作れる訳だし……」

 

 

「……………………そう……」

 

 

精神生命体だった俺が、実際に捕まえられちゃった訳だからなぁ……あの【組織】の科学技術に。【鮮血の】の科学技術に……だ!全くもって、腹立たしい事この上ない。

あれにさえ、捕まらなければ……こんな、面倒臭い事にはならなかったかもしれない。今更、グダグダ言っても仕方が無いので全身全霊を掛けて八つ当たりをさせて貰おう。

 

 

「ほら、水鏡を見てごらんよ……」

 

 

「……………………これは?」

 

 

水鏡に映っているのは、以前プレシア・テスタロッサが開発していた新型の魔導炉だった。そして、魔導炉の暴走が始まる。それを確認して、水鏡の場面をアリシア・テスタロッサに変え、釣竿を持ち出す。

 

 

「さて……じゃあ、釣り上げるか……」

 

 

「釣り上げる?」

 

 

「そ、釣り上げるんだよ……魂を、ね?」

 

 

アリシア・テスタロッサが、ベランダから逃げてくるのを見計らって竿を振って針を巨大な魔導力で吹き飛ばされてしまったアリシアの魂に引っ掻ける。そのまま、引っ張り上げた。

 

 

「アリシア・テスタロッサの魂、ゲーット!」

 

 

「「こんなやり方あーー!?」」

 

 

アリシアとプレシアの声が重なる。

何故か、超不満げな二人に首を傾げた。

 

 

「って言われても……過去への干渉は、最小限に抑えたいじゃないか……重りと針と釣糸だけで、済むんだよ!?」

 

 

「そうだとしても……釣竿ぉぉぉ……!?」

 

 

「こ、こんな……こんな……あ、あんまりだわっ!!」

 

 

アリシアとプレシアが、orzの状態でうずくまってしまった。

虹色の剣を展開して、アリシアを生かしている黒い操り糸を切り払う。次の瞬間、アリシアの瞳から光が失われ更に操り人形の糸が切れたかの様にパタリと動かなくなってしまう。

プレシアが、こちらの様子に気が付く前に……先程釣り上げたアリシアの魂をアリシアの肉体に突っ込んで、精神が再構築されるのを待つ。アリシアの周りには、たくさんの魔法陣が展開され彼女の肉体を包み込んでいた。

しばらくして、アリシアの瞳に光が戻りはっ!?とした様子で立ち上がる。

 

 

「どうだ?生き返った感想は……」

 

 

「え?えっと……今一、良くわかんない……」

 

 

「ま、普通はそうなんだよ……わかったら、ビックリだ!」

 

 

「ちょ、ちょっと待って!……まさか、もう終わったの!?」

 

 

「うん……」

 

 

慌てた様に、プレシアちゃんが俺の両肩に手を置いて前後に揺する。なんで、こんなに慌てているのだろう?

 

 

「こう……すぐに、わかる様なエフェクトは!?」

 

 

「無いよ?」

 

 

神秘や奇跡を、どんな風に捉えてどんな風に考えているのか丸わかりの発言だった。

 

 

「なのはちゃんのSLBみたいな……音とか光とかは!?」

 

 

「いや、無いよ?」

 

 

エフェクトと同じ意味が、繰り返される。

余程、死者蘇生の魔法が見たかったのか慌てているらしい。

でも、残念。死者蘇生の魔法は、基本的に地味で派手さは一切ないんだ。効果のみを追及した、純粋な神秘の魔法。

それが、死者蘇生という奇跡を成す為の魔法だ。

きっと、凄い光や神聖な光景が見られると期待していたのだろうが……そんなものは無い。

 

 

「お疲れ様。じゃあ、俺は世界の調整をしないといけないから……この辺で、おいとまさせていただくよ……」

 

 

遺跡状態だった部屋を、元のマンションの一室に戻して俺はプレシア・テスタロッサに声をかけて外に出ようとした。

 

 

「…………待ちなさい……」

 

 

ゆらり……と、幽鬼めいた動きで一歩踏み出すプレシア。

こうなってしまったプレシアちゃんは、何を言ってもなにがあってもガンとして人の話しを聞かないので面倒臭い。

たから、スルーしたかったのに……だけど一度外したはずの手が、再度俺の両肩を掴む。

 

 

「見せてくれるって、言ったじゃないのっ!!」

 

 

一言も言ってない。

だが、当人が納得しないのはわかっているので別の事で誤魔化す。

 

 

「だから、君がいる目の前でやったじゃないか!見てない君が、悪いんだろう!?」

 

 

「う……っ!ひ、一声掛けてくれたら問題無かったのよ!!」

 

 

「はあ!?こっちは、善意でやってるのに……そこまで面倒みられるか!!見逃した奴が悪い!それとも、やり直しでも要求するのか!?アリシアをもう一回殺して!?」

 

 

「うぐっ……そ、そんな事、させる訳無いでしょう!?」

 

 

「だったら、スッパリ諦めろ!見てない君が、悪いんだから!!」

 

 

「ううっ……」

 

 

アリシア・テスタロッサを人質に、プレシアちゃんには死者蘇生魔法見学を諦めて貰った。そもそも、彼女にアリシア蘇生を見せなかった理由は……必ず、一度はアリシアに死んで貰う必要があったから。と言っても、僅か数十秒程度の“停止”だ。その数十秒という時間、アリシアが停止するのを見たプレシアちゃんが、取り乱す可能性が否定できなかったからでもある。

アリシア・テスタロッサという個人に、あそこまで執着するプレシアちゃんの事だ。頭で……理性で、それを理解していたとしても、感情が納得しないだろうと判断した結果。

彼女には、アリシア・テスタロッサ蘇生の瞬間を見せない方が良いという結論に至ったのである。

 

 

「じゃあ、僕は翠屋にいく……逝くから、また今度ね?」

 

 

「うん。ママは、私に任せて!」

 

 

アリシアの力強い言葉を聞いて、俺はプレシアちゃんに関してを全てアリシアに丸投げした。

そして、大人しく待っていたU-Dを連れて、行きたくは無いけれど行かねばならない翠屋に誘う。

 

 

「じゃ、任せた!ほら、行くぞ。U-D!」

 

 

「U-Dじゃないです!ユーリですぅ!」

 

 

「どっちでも良いから……」

 

 

「良くありません!私は、ユーリ・エーベルヴァインです!」

 

 

「はいはい。レーベルバイン、行くぞ」

 

 

「エーベルヴァインです!ワザと間違えないでください!!後、ユーリで良いです!」

 

 

リビングから廊下、廊下から玄関に至るまでの間にU-Dと名前の話しで盛り上がる。(盛り上がってません!)

 

 

「レーゲルンヴァインな」

 

 

「エーベルヴァインです!なんで、同じ様な間違いを続けるんですか!?」

 

 

靴を履き、玄関を出る。

 

 

「お前こそ、なんで名前を呼ばせたがるんだ!?」

 

 

「なのはさんが、言ってました。名前を呼び合ったら友達になれるんです!私、友達100人作るんです!」

 

 

「はあ!?将来、事業でも起こす気か?」

 

 

「え?じぎょう?」

 

 

階段を降りつつ、質問したら首を傾げられる。

足を止めて、U-Dに向き直り確認した。

 

 

「将来、大きくなったら会社創るんだろ?100人も人脈を揃えるって事はそういうことじゃん?」

 

 

「いえ、遊び相手をですね……」

 

 

「ああ、友達100人な。ってか、なのは、さん達だけでは足りないのか?」

 

 

「え?そんな事ありませんよ?」

 

 

「なら、それくらいにしておいた方が良いぞ。浅く手広くよりも、少数で深い方が……友達の上位ランクの、“親友”ができるからな」

 

 

歩みを再開した。

背後から、U-Dの声が聞こえる。

 

 

「……“親友”、ですか?」

 

 

「ああ。友達が多いと、付き合いが適当になっちまうからな……それなら、友達を少数にしてシッカリじっくり仲を深めた方が100倍良い」

 

 

「……………………」

 

 

無言になったU-D。

何を考えているのかはわからないが、たくさん友達を作るのか……それとも、人数を絞って“親友”を作るのかで迷っているのかもしれない。

マンションを出て、駅前の方向へ歩く。

 

 

「友達と親友って、なにが違うんですか?」

 

 

「友達は、ただの遊び仲間。親友は、それ以上の存在……そう、考えれば良い。それでもわからないなら、なのは、さん辺りに聞いてみると良い……」

 

 

「……………………双夜には、いたんですか?」

 

 

「……………………さあ?どうだろうな……」

 

 

5分程歩いて、すぐ翠屋に着いた。

テラスを見回し、大きな溜め息を吐く。

チラッと、中に通じる扉を見て覚悟を決めた。

 

 

「では……いざっ!」

 

 

「???」

 

 

カラ~ンとベルを鳴らしながら、翠屋の中へと進む。

「いらっしゃいませ~」と、野分が営業スマイルで振り返り、段々顔を嫌そうに歪めていった。

 

 

「なんだよ……」

 

 

「あ、うぅん。戻って来たんだなぁ……って……」

 

 

「はあ……ぶっちゃけ、嫌々して良いなら……僕の方が、嫌なんだよね……依頼料10倍って言葉に乗ったら、それ以上の事をさせられて踏んだり蹴ったりだ」

 

 

空いていた席に座り、憮然とした態度で話す。

 

 

「貴方がここにいるのって依頼だったんだ……」

 

 

「そ、神々のアホ共が、娯楽認識で転生する者に【特典】なんて付けるから、今上の方で超問題になっていて……【組織】の通常業務すらできないくらいてんてこ舞いさ……」

 

 

「通常業務って?」

 

 

「《旧・神族》の監視。きっと今頃、監視の目が緩んだぜ!とか言いながら、悪巧みの最中だろうさ……」

 

 

もしかしたら、陥落した世界へヒャッハーしに行っているのかもしれない。壊れた世界に関しては、俺の場合は切り捨てか完全消去が可能だ。

つまり、《旧・神族》の手には【絶対落とさせない!】をモットーにしている。それ以上の歪んだ世界なら、調整や修正して元の形に納めてしまえば良い。

 

 

「君達、【転生者】のせいで……こっちは、超大変だよ」

 

 

もう一度、大きな溜め息を吐いてU-Dの方を見た。

U-Dは、ケーキケースの前でケーキを楽しそうに選んでいる。うーんうーん、唸っているので悩んでいるのだろう。

 

 

「楽しそうだな……」

 

 

「……ユーリは、いつもあんな感じよ……」

 

 

「そうか……で、バーゲルワインは、最終的にどこに落ち着くんだろうな?」

 

 

「エーベルヴァインよ!……どこにって、彼女が望む場所にでしょうね……」

 

 

「望む場所ねぇ……」

 

 

「あら!いらっしゃい~♪」

 

 

ビィクゥッッッッ!!と身体が反応した。

野分を盾に、そぉーっとカウンターを見れば、モモちゃんの姿。今、近くに味方はいない。あ、詰んだ。

 

 

「貴方、本当にお母さんの事……苦手よね……」

 

 

「徹底的にトラウマを突き上げられたからな……」

 

 

こそこそと喋る。

ぶっちゃけ、見付かりたく無い。だから、透明化の魔法で逃げるか迷っていると「あー!」と叫ぶなのは、さん出現。

いよいよ、逃げられなくなってしまった。

 

 

「漸く、捕まえたの!」

 

 

「いや、捕まえたのじゃないから……」

 

 

ガシッ!と服を掴まれて、本当に逃げられなくなってしまう。焦って、なのは、さんの手を外そうとしている間にモモちゃんに補足された。

 

 

「あらあら、双夜くん♡」

 

 

「ギャアアアァァァァーー……!!」

 

 

超至近距離で名前を呼ばれ、恐怖の余り絶望の叫びを上げてしまう。いつの間に、接近したの全くわからなかった。

偶々、近くにいたなのは、さんに抱き付いて盾にする。

 

 

「え……えっと……」

 

 

「なのは……どいて♡」

 

 

「嫌!嫌にゃ……なのはマぁマぁ……」

 

 

ほぼ、半泣きでなのは、さんを見上げた。

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

結果だけを告げよう。

なのは、さんに【息子】認識されてしまった。

今は、野分が呼んでくれたアリちゃママにテラスにあるテーブルで抱き締められている。

アリちゃは、何故か【アリちゃママ】だった。

野分に話しを聞いた所、【原作】に注視し過ぎたよ……よ……?馬鹿達が、偶々そのイベントを忘れていて二人が誘拐されたという話を聞いてから助けに行った結果が、【アリちゃママ】らしい。

 

 

「モモちゃんが、虐めるんだ……」

 

 

「ああ、うん。大丈夫……大丈夫……」

 

 

アリちゃママが、苦笑いしながら頭を撫でてくれる。

 

 

「えー……私、双夜くんを虐めてないわよ?」

 

 

「ひぃっ!!」

 

 

「もう、お母さんっ!サボって無いで仕事してください!」

 

 

「はいはい……」

 

 

なのは、さんに背中を押されてお店の中へと押し込まれるモモちゃんを見送って俺はホッと安心した。緊張で入っていた力を抜いて、アリちゃママに身を預ける。

 

 

「……………………僕、変な電波発しているのかなぁ?」

 

 

「???……どうして?」

 

 

「助けを求めたら、なのは、さんに【私の子】認識されたみたい……」

 

 

「なのはマァマァ……とか、涙目で言ってたわね……」

 

 

野分の指摘に、顔が熱くなる。

蒸し返さないで欲しい。それに誰だって、目の前に恐怖の存在がいたらああなると思う。

 

 

「モモちゃん、恐い……」

 

 

「平行世界で、お母さんに何されたのよ?」

 

 

「一人で、大丈夫って言ってるのに……お風呂に連れてかれた…………」

 

 

「双夜、女性の【裸】にトラウマがあるのよ……」

 

 

「なんで、そうなるのよ……どんなことした訳!?」

 

 

「宗教国家に天使の格好で降り立ったら……ハーレム押し付けられた。しかも、【神の使いと子を成した者は一生を(金銭的に)保証する】的な告知がされてたらしくて……欲望に支配された【裸】の女性達が、暴動と化して襲って来るという体験を…………」

 

 

「…………最悪なハーレムね……」

 

 

「馬鹿?なんで、そんな事をした訳?」

 

 

「当時のマイブームが、白い服と翼の魔法だったので……」

 

 

「「……ただのファッションかっ!?」」

 

 

「ズズッ……」と鼻を鳴らす。

ファッションというよりも、当時の【組織】から支給された衣服がそういう色合いだっただけだ。初心者用の色分けされた制服みたいなモノで、初心者だった頃は白い制服を渡されていた。まあ、気に入っていたのは事実だけど。

今は、白黒の混合服を受け取って放置している。

 

 

「その時は、女性恐怖症になって……克服したら、限定的なトラウマになった……」

 

 

「女性恐怖症を克服して、何故そうなるのよ……」

 

 

「知らない」

 

 

野分とアリちゃママが頭を抱えて、大きな溜め息を吐いた。

きっと……憶測でしかないが、【組織】の誰かによる【魂の改竄】だと思われる。魂に刻み込むタイプの洗脳魔法か……後催眠……ではないだろうか。こんな悪質な改竄、【鮮血の】には思い付けないだろうから【魔導兵器】か【創世の湖】辺りの奴等だろう。全く、最悪の悪戯である。

解除しようにも、魂の改竄の方法を知る者が最低三人は必要だし……施設も確保しなければならないので、現状解除不可能な状態だ。

 

 

「アリちゃママが、ママなら月村家確保したの無駄になっちゃった……」

 

 

「そうね……でも、これで良かったんじゃないかしら?今度は、【縁】が結ばれているけれど……双夜は私が引き取る方が自然だわ」

 

 

「…………やっぱり……ちょっと、おかしいかなぁ……」

 

 

アリちゃママの記憶が、継続状態になっている様子が伺える。つまり、【転生者】達の意識だけ過去に送る魔法を使う前のアリちゃママと、今ここにいるアリちゃママの記憶が改竄前から継続状態にあるみたい。

解辛いなら、改竄前の記憶→改竄している間で一度〆→過去・誘拐され、絶望したアリちゃに一度〆られた記憶を上書き継続しているって事だ。

だから、アリちゃママは僕が月村家を拠点として確保していることを知っている、というおかしな事になっている。

過去が改竄され、壊れたはずの【縁】が無かった事になっているはずなのに、その事もアリちゃママが覚えていた。

 

 

「はてさて……フム……」

 

 

継続しているって事は、アリちゃママはTAKE2状態な訳だ。だけど、アリちゃママはその事に気が付いていない。

過去に意識を送って、上書きする魔法の影響を受けている?でも、アリちゃママはその魔法使用時に側にいなかった。

だから、影響を受けるはずがない。

こっそり、見ていたなんて事は……【人払いの結界】を解除した時に、不可能であることは解りきっている。

あれは、魔力を持たない人間がスルーする事は絶対にできない結界だ。一定量の魔力がない限り、あの結界は感知する事すら叶わない。

 

 

「うーん……」

 

 

これはやっぱり、【悠久】のメールを解読する必要があるようだ。あの数ギガバイトある専門書を解読しなければ成らないとか……最早、拷問でしかない。

せめて、専門用語を簡訳されていれば……もっと、話は簡単だったんだ。【悠久】も忙しいからって、専門用語オンリーの専門書レベルのメールを送って来なくても良いのに……。

 

 

「面倒臭い……」

 

 

「双夜、さっきから何ブツブツ言っているの?」

 

 

「んー……色々、わからない事が多過ぎるなぁ……って……」

 

 

「そうね……私も、知らない事ばかりだわ……」

 

 

そう言って、アリちゃママは俺の頭を撫で撫でする。

「にゃー♪」とアリちゃママの手に頭を押し付けて、撫で撫でをもっと求めてみた。アリちゃママは、それが嬉しかったのかニッコリと笑いワシャワシャと頭を撫でてくれる。

さて、それじゃ……馬鹿共が犯した愚行を……そして、俺がさせた無茶の後始末をやりますか!

 

 

 




U-Dが仲間になった……w DQ風に書いてみた……公式チートと如月双夜が共に行動しているのを見て……どう思う?
デート?軍行?どちらにしても、『え?』でしかない。

さあ、御仕事の時間だ。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

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