絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

536 / 591
五ニ〇話

Re:

 

 

その後、お友達から始める事になった彼等はそれぞれの生活に戻って行った。ただし、女性達は例の馬鹿に復讐する気満々で奴が来るのを今か?今かと、首を長くして待っているらしい。らしいって言うのは、それを教えてくれたのが早々に恋仲になったという転生者の一人だったからだ。

てか、この数日で何があった!?確認すれば、電撃結婚した奴の一人だったからわからないでも無いんだけど……早すぎだろう!?まさか、こんなにも早く恋仲になる奴が出て来るとは少し焦ってしまう。俺も、もっと早く翼と恋仲になった方が良いのだろうか?ぶっちゃけ、この手の話は自分のペースで行うモノだと思ってはいるけど。

周囲で、そういう人達が増えて来ると自分も……と、ジリジリとした圧が伸し掛かって来る気がして焦るのだ。実際には、そんな圧力なんて存在しないのだけれど。

これが、婚礼期を逃した者が感じるという周囲の圧力か!?全く、年は取るモノじゃないな。

そんな、年齢ネタを挟みながら何時もの日課をこなしていると石が飛んで来た。ソレは、俺にまでは届かなかったものの足元を転がりその存在を主張する。視線を石が飛んで来た方へと向けると、何度か俺に噛み付いて来た転生者がこちらを睨んでいた。そう言えば、アイツ……この間の暴露話の時も、何かと言ってこちらに噛み付いて来ていた奴だよな?

何が、そんなに気に食わないのか師匠をも含めて俺達の存在を否定しようとする奴だった。まあ、気にするまでもないので放置していた訳だけど。ここに来て、少し気になり始めた。その上、今はこちらを睨みながら石を投げ付けて来るとかあからさま過ぎで逆に不思議に思えて来る。

そこまで、不審を買った記憶は無いんだけどな?

だから、ちょっとした出来心で《瞬動術》を駆使して背後へと移動した。すると、慌てた様子で周囲を見回し俺が背後にいる事に気が付くと驚愕の表情を浮かべ後退りをする。

 

「何やってんだ?お前……」

 

「ひぃ!?」

 

その行動が、ちょっと……いや、余りにも不審者過ぎたので声を掛けると相手は悲鳴を上げて尻餅を付いた。いや、ビビり過ぎだろう!?そこまで、怯えられる様な事なんてしたか?してないよな?少し、過去を振り返ったがそこまで怯えられる様な事なんてした記憶は無い。というか、出会ってまだ数日の間柄だぜ?そりゃ、長く付き合いがあるのならまだしも近日の話なので『忘れた』なんて事は無い。

 

「何をビビってるんだか……」

 

「う、うるさい!ひ、卑怯者なんかに、ビビる訳がないだろう!?ふざけた事を言ってるんじゃねぇよ!?」

 

「は?卑怯者……俺が?どういう事だ?」

 

「ひ、卑怯じゃないか!あんな……どうせ、コネを使って都合の良い様に取り入ったんだろう!?」

 

「…………意味がわからない。どういう事?」

 

「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!お前みたいな卑怯者が、幸せになれるなんて思うんじゃねぇぞ!!絶対、化けの皮を剥がしてやるからな!!」

 

そう言って、噛み付いて来た転生者は俺の前から逃げ出して行った。つか、俺が卑怯者?てか、コネって何の話だ?

 

「おやおや、兄様は卑怯者だったのかの?」

 

「居たんですか、師範代……」

 

「もちろん、兄様が《瞬動術》で彼奴の後ろに移動するのも見たの?それで、彼奴は何を言っておったのだ?」

 

「さあ?今時の転生者が、考える事なんて知りませんよ」

 

「…………今時の……クックックッw。歳を取ったの?」

 

確かに、歳を取ったとは感じないけれど。

それでも、流れていく時間は感じられるもので……あの頃(最初の転生)から比べて、随分と時間が経ったとは感じている。師匠との出会い……と言っても、出会い頭に脚を掴まれて天井と床を往復させられた――多分、それが最初。

それから、三つ首の化け物に追い回された日々を思うと中々に酷い人生を送っていると思う。その後は、切磋琢磨と己を磨き修行に次ぐ修行でシグナムと結婚にこぎ着けた。八神はやてのやっかみも凄かったけど。

つか、疑似ハーレムを夢見て頑張ったよw。この結婚の初夜で、俺が二度目のインスタント・ソウル化させられたらしいけど。今の記憶では、その時の話が曖昧だ。

多分、オリジナルや最初のインスタント・ソウルとの融合で最も強い想いが上書きしてしまったのだと思われる。

つまり、オリジナルの俺と第一インスタント・ソウルの俺が、存在的に薄れ希薄になった実験体の俺を別の強い魂で埋め尽くしたのだろう。まあ、それは良いんだ。希薄だった俺がちゃんと俺として確立したんだから感謝こそすれ恨む事なんてない。それに、その間共に居たインスタント・ソウルな翼の記憶が消えてないから俺としては全然OKだ。

 

「OKOK。大丈夫、大丈夫。誰が、何と言おうと俺が俺である以上はなんの問題もありませんよ?」

 

「それは、まるで自分が自分でなくなったら許さないと聞こえるのだがの?」

 

「ええ。例え、師範代でも俺が俺である証拠を消したら許しませんからね?師匠の場合は、要相談ですが……」

 

というか、勝てる気がしない。道順ですら、思い浮かばないので力尽く云々ではどうしようもないので泣き落としに行く予定。多分、師匠の恋人さんを引き合いに出せばわかって貰える気がするんだ。むしろ、俺の記憶に手を出した奴の存在が心配になる気もするけど。今は、それで良いと思ってる。

 

「何やら、良からぬ事を考えておる気がするの?」

 

「ハハハ、生き残れると良いですね?」

 

「待つがよい!兄様。何を持って、その様な発言に至った!?是非、説明をして頂けないだろうか!?」

 

「大丈夫。オルタの事は、忘れないよ?」

 

「全然、大丈夫では無い!それでは、我が存在しないではないか!?待て、我はどうして兄様の中から消えた!?」

 

「テオルグさん……惜しい人を喪った……」

 

「ちょ!?兄様、兄様よ!待つのだ!ええぃ、待たぬか!」

 

ちょっとした、からかいを交えながら日課を終えた俺は秘密基地へと戻って行く。その時には、噛み付いて来た転生者の事なんて忘れてしまっていた。本当なら、師匠に相談するなりしてもう少し詳しくあの転生者を調べるのだけれど。この時は、師範代との交流が楽しくてうっかり頭の中から消え去ってしまっていたんだ。だから、師範代があの転生者をどう見てどう扱うかなんて考えてさえいなかった。

後日、師範代が『彼奴は、処置しておいた』と言われるまで俺は自分の浅はかさを呪った事はない。俺はもっと、細かに対応するべきだったんだ。

 

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

「まさか、こんな事になろうとは……」

 

「すみません。師匠……今回は、いつもの処置が使えないとはわかっていたんですけど。まさか、こんな事になろうとは思ってなくて……」

 

「いや。僕も、油断していたよ。まさか、言葉の通じない転生者を【処置】したら、周囲から反感を買うとは思わないじゃないか……まあ、過去の記録を引き摺り出した時点で予想するべき事態ではあった事だけど……」

 

その後、師範代から意味不明な事を言って噛み付く転生者を処置したと報告を受けた。一瞬、何を言われたのかわからなかったけれど。彼の恋人?嫁さん?だった女性から、処置された転生者を探して欲しいという嘆願書が届き【事】が発覚することになる。しかし、既に消滅してしまった転生者を今一度戻す事なんて出来るはずもなく。

その事で、他の転生者から不信感が噴き出して居るのは間違いなかった。

しかも、他の転生者からは消滅してしまった転生者が良く勘違いで問題を起こす奴だと教えられてからは、早まった事をしてしまったと思っている。というか、俺は放置で良かったんだけれど。こちらの意を汲まずに、サッサと消滅の手筈を整えてしまった師範代に非難が殺到する形になってしまっていた。てか、報連相は何処行った?

 

「まさか、本当に喪う結果になるとは……」

 

「ぅグググッ……」

 

「しかも、あの手の人間はそこそこ居るんですから放っておけば良いモノを……メインからの降板ですかねぇ?」

 

「フム。それも、視野に入れるべきかも知れぬな……」

 

深刻そうな声音で、勝手な行動をしたオルタを俺と師匠が詰めて行く。その周囲を囲む様に、今回訴えを言い出した転生者達が囲んで居るけど気にはしない。というか、アカシクックレコードから誰が何処へ行ってしまったのかを確認した俺達は、その呆れ果てる様な転生者の勘違いへ至るまでの思考にドン引きしている面が強かったからだ。

 

「つか、何をどうしたらこういう話に結論が飛ぶのかねぇ?てか、思考が跳び飛びしてるんだけれど……こういう奴だったの?というか、コレほぼ思い付きなんじゃ……」

 

本来であれば、アカシックレコードには消滅した転生者の記録なんて残っていないんだけれど。ちょっとした裏技を師匠が使って、その考え方処か思考や思想までもが駄々漏れ状態になっていた。

つか、俺が師匠に膨大なお金やコネ?で取り入って人外へと転生した的な結論が彼の中で核心の持てる話となっていたのが不思議だ。その『コネ』というのは、どこからどこへ通されたのか?意味がわからない。

 

「いや、うん……まあ、その、まさか、こんな思い付きみたいな思考をしているとは思ってもなくて……」

 

「まあ、本当なら誤解を解いて仲直りの道順なんだけれど…?というか、人外にコネなんてあると思う?」

 

「いやー、その、まさか、神崎さんが実験体だったなんて……ねぇ?しかも、コピーを更にコピーするとか……」

 

「希薄過ぎるだろう!?というか、魂の壊れ具合がヤバい」

 

魂の異常な継ぎ接ぎ具合に、文句を言ってた女性ですらドン引きしている。というか、既に消滅してしまった転生者よりも俺のインスタント・ソウルを更にインスタント・ソウル化する工程が一番話題に上がっていた。

最早、消滅した奴の事を問題にするより俺の転生方法についての話をした方が良い様な流れですらある。コイツら、早々に噛み付いた奴を切り捨てて次の話題に飛び付いている様子だった。

 

「有耶無耶にしたいのはわかるんだけど、今は馬鹿やった転生者と早まった使い魔の話が先じゃねぇの?」

 

「……そう、言われても……もう、戻って来られないんですよね?なら、アイツの事は諦めて別の話をしませんか?」

 

「なら、事の言い出しっぺである恋人さんに聞いてみるか?ほら、言い出しっぺの法則ってあるよね?」

 

「ええ、私ですか!?えっと、私的には、その……確かに、最初は慌てましたけど。アレを見た後じゃ、ねぇ?」

 

言って、アイツの思想や考え方を暴露したアカシックレコードに視線を向ける。でも、直ぐに視線を逸してとても嫌そうな顔で困った様な姿を見せた。

 

「ええっと、消えてくれて良かった?」

 

「「……酷い!」」

 

気持ちは、分からないでもないけれど……だからって、未来の旦那様を早々に切り捨てた彼女にドン引きする。そりゃ、一緒になるにはあの思想や思考は面倒臭く感じるだろうけど……一度は、結婚しているんだからもう少し理解を示した方が印象は良い。だと言うのに、彼女はアカシックレコードを見て直ぐ彼が居なくなった事にホッとして居る様子だった。

 

「というか、人外にコネってどうやって通すんだ?」

 

「そもそも、知り合いが居ないと成り立たないよな?」

 

「つーか、人外にそんな影響力のある人間とか居なくね?」

 

そりゃ、人間なんて直ぐに死ぬしあっという間に世代交代して居なくなる代表格だからな?そんな存在が、永遠を生きる人外にコネなんて持っているはずもなく。膨大なお金の方が、まだ信憑性があるというモノだ。まあ、だからといって……問題は、問題のままなんだろうけど。

 

「では、改めまして師範代の自由行動に対しての裁判を進めまーす!師匠、お願いします!!」

 

「ギルティ!!お前は、降板だ!!」

 

「ガーン!!」

 

「いやいや、そうじゃなくて!なんで、即降板!なんて話になるんですか!?そこは、どうしてそういう行動に至ったのかとか理由を聞く所でしょう!?」

 

幼馴染みぃズの茶番並みに、酷い判決が行われてしまったので慌てて止めに入る。

つか、コレ……冗談だよね?てか、もしコレがまかり通っていたなら師匠ってばヤバいッスよ?

ワンマンどころか、パワハラで訴えられるレベル。

 

「もちろん、冗談だ。それに、テオルグから聞くのはその行動に対しての判断基準のみだな。それ以外については、フレールくんの記憶と使い魔の統合記録から照合するだけだ」

 

そう言って、一冊のファイルが俺に手渡された。

師匠は、既にその内容を把握しているのか見向きもしない。

つまり、後は俺が確認したらコレはデータ化されて破棄されるだけの紙媒体という事になる。もしくは、既にデータ化は終えていて後は俺が確認したら捨てるだけの物かも知れないけど。そう、思いながらファイルを開く。

 

「………………師範代。一つ、聞きたいのですが……転生者を処置する判断基準はなんですか?」

 

「もちろん!その転生者の行動と、過去に何をしていたのかという実績に基付いて処置するかしないかを判断しておるの。今回の転生者は、過去に己の欲を満たす為……」

 

師範代の視線が、一瞬迷ったかの様に彼の恋人であった女性の方へと動き止まる。だが、意を決した様子で話を続けた。

 

「何人もの者達を、社会的に抹殺しておった。その中には、転生者でも無い一般人も含まれておる。ただ、原作人物に近付いたと言うだけで排除され。今尚、引き篭もりをしておる者達が居ったからの……」

 

「……確かに、表に出られない様な傷を持つ巻き込まれた者が数人居るみたいです。その内、三人が自害。彼らを含めれば二桁ですね?」

 

「え!?ちょ、うそ、よね!?」

 

「……アカシックレコード、《過去視》、【真実の瞳】を使って三重の確認はしている。間違いでは無いようだ……」

 

そう、その三つのスキルを合わせて使うとアカシックレコードに記憶されない転生者でも、その過去を暴く事が出来るのだ。しかも、【真実の瞳】には視えるモノを共有する機能まであるから誰にでもその事実を伝える事が出来た。

ぶっちゃけ、チートにチート過ぎる能力だよな〜?

その上で、事細かな詳細を重ねて視る事が出来るって言うんだから恐ろしい。アカシックレコードは、世界が記憶している記録だから書き換えが出来ない。《過去視》は、その名の通り過去を幻視する能力だ。ただし、ソレでわかるのはこの世界の原住民についてのみ。そこへ、【真実の瞳】が加われば誰が転生者にチョッカイを掛けられたかっていうのがわかるって仕組みだ。そう、《過去視》で気が付けなかった違和感を捕らえるのが【真実の瞳】。過去の記録から、誰が何処へどうして居なくなったのかを洗い出し、ソレに転生者の介入があったのか無かったのかを調べるという地道な作業。

いやー、アレ、エゲツないッスよ?俺も、参加した事がありましたが……サクサク見付かって、サクサク誰が何の目的でどうして居なくなったのかがわかるんです。恐怖でしたね。

 

「その為、一部機能不全を起こしているモノもありますね?本来なら、そこに引き篭もりの原住民が入る予定だったのが別の原住民で賄われ能力値が足りずに混乱しているみたいです。一応、表面上はなんとかなっていますが……倒産も時間の問題でした。しかし、今回、師範代の独断専行で機能不全は解除。社会が、スムーズに動き出しています」

 

「その会社って、アリサ・バニングスの所の新事業だったよな?下手をしたら、アリサ・バニングスが路頭に迷う所だったのか……何とも、恐ろしい」

 

「ひぇ!?ちょ、ソレって……原作崩壊って奴じゃ……」

 

「あっぶねぇ!俺、何もしなくて良かったぁ!!」

 

「つか、小学生の頃の暴走が未来に影響する範囲広くねぇ?メッチャ、怖くなって来たんですけど!?」

 

「俺、何もしてないよな?」

 

等と、不安に思い始める奴が多数。まあ、過去にやらかした事が今になって多大な影響を及ぼす事になればソウなるのも無理はない。しかも、この世界に関われば関わる程おかしな事態を招く事になるからなぁ?そりゃ、怖くなる。

 

「一応、ヤバいやらかしは無いよ?でも、そっかーアリサが路頭に迷う所だったのか……アリサ・バニングスは、大企業の御令嬢だから彼女が潰れたらそこに務める人とかその家族とかにも影響があるから何万人が路頭に迷うか……」

 

「…………勘違いで、やって良いレベルを遥かに越えていたのか……一瞬、死んで当然と思ってしまった……」

 

「俺も。友人だったはずなのに、そんな話を聞かされたら居なくなっても致し方ないと思っちゃうよな?」

 

「でも、どうする?そんな奴を庇っても……って思うんだけど?それでも、許される話じゃ無いぞ?」

 

「転生者は、消えたら歴史の修正が行われるから引き篭もりだった彼らも今は何事もなかったかの様に社会復帰してたりするんだよなぁ?」

 

「OK。アイツの事は、やらかし過ぎたって事で……」

 

「ちょっと!そんな簡単に済ませていいのか!?」

 

「だったら、どうしろって言うんだよ!?アイツを生き返らせろとでも言う気か!?この中に、蘇生能力を持ってる奴はいるとでも言うのか!?」

 

そんな事をのたまう転生者に、スッと手を上げる師匠がなんとも言い難い顔で言い合いをしている奴らを眺めている。それを、これまた何とも言い難い表情で見詰める彼女さん。

デスヨネー?その気持ち、良くわかるよ。

しかし、師匠に気が付かなかった転生者達はヒートアップを始める。

 

「それに、アイツが居ない方が世界は順調に回り続けるんだろう?なら、そっちの方が良いじゃないか!」

 

「でも、こんなポッと出の奴らの言う事を真に受けて受け入れるとでも言うのかよ!?そりゃ、確かにさ、アイツの勘違いはとても迷惑だったけれど……だからって、死んで良いなんて事はないだろう!?」

 

確かに、ポッと出の存在だけれど……固い絆で結ばれた?彼らからして見れば、俺達との信用なんてゴミみたいなモノだろうけど。それでも、誰かが死んで『良かった』という声があるのはちょっと解せぬ。それだけ、迷惑な奴だったのだろう。というか、その迷惑な奴の彼女さんが微妙な顔をしているのはどういう理屈か?てか、付き合った記憶や結婚した後の記憶って引き継がれて無いんだよね?

俺的には、その付き合った記憶と結婚後の話の方が気になるんだよなぁ?なので、ソレ等が無いのかと未だ手を上げ続けている師匠に尋ねた。すると、『あるよ?』と言われてとあるファイルを渡される。あるんかい!?とは思ったものの、内容が気になったので細かい事はスルーした。

 

「うわぁ……これは、嫌だ……」

 

簡単に纏めると、付き合い始めは普通だったが段々と恋人を疑い始め疑心暗鬼に陥り、最終的には疑念と独占欲の塊へと進化?して行く様が書かれていた。なので、とりあえずソレを彼女さんに見せてみた所……すごく嫌そうな顔で、ドン引きしていた。

 

「…………こんな、人、だったんだ……」

 

「高給取りでは、あったみたいだな?でも、興信所まで使って独占欲を隠そうともしないとは……」

 

つか、ここまでして己の疑心暗鬼を解消しようとするとかどんだけヤバい思考で暴走しているんだよ?彼女さんも、ドン引きしているし良くぞここまでバレなかったものだ。あ、いや……バレて喧嘩してるわ。大喧嘩というレベルでは無いけれど、それなりの規模で物を壊したりしているのでかなりの大喧嘩だった模様。

しかも、その理由が自分を殺して保険金を騙し取ろうとしているという訳のわからないモノ。

これが、浮気とかだったら話は簡単だったんだけれど……何故、保険金殺人事件を疑ったのか訳がわからない。

つか、そんなに信用出来ないのなら結婚しなきゃ良いモノを。

 

「私の作る料理が不味いからって、こんな……」

 

「……………………」

 

理由、判明。成程、飯不味が理由でそういう結論に至ったという事か……いやいやいや、飯不味で毒殺云々の発想が出る辺り訳がわからん。後、高給取りなんだから高々数千万程度の保険金でその後を過ごさなきゃならない彼女の事考えてる?それなら、高給取りのお前をATMにして日々を過ごす方がまだゼレブな生活が出来るんだけど?ナニコレ!?

 

「アイツ、どんな幼少期を過ごせばこんな思想に至るのか意味不明なんだが……誰か、知ってる奴は居るか?」

 

「つか、さっきから何を見て居るんだよ?お前ら……」

 

「ちょっと、貸してみろ!」

 

言って、俺の持っていたファイルを引ったくるとその内容に目を通し始める。そして、何故か恐ろしいモノを見る様な目で居なくなった転生者の彼女に視線を向けると『財産狙いだったのか!?』とか言い出した。

コイツ等も、相当頭がおかしい分類の奴等でしたか。

 

 

ああ、もう!面倒臭いなぁ!!

 

 

 

 

 




ちょっとした問題と、ちょっとじゃない問題。
物語を改変するに当たって、どうしても出てしまう問題が原作崩壊というヤバいヤツ。
まあ、良い改変なら誰もがニコニコと受け入れられるんだろうけど…悪い方の改変になると、全員が難しい顔をして固まるんだよなぁ。しかも、バニングス家の崩壊とか地球に居残りしている奴等には避けて通れない程に己の未来にも直結する。それで、原因がわかると一気に不満が噴き出して問題を起こした馬鹿に凸る奴も出て来る始末。
だって、友人になれば一生困らないかも知れない系の雇用者だからな。それが、折れていたかも知れないとなれば、その系列で働こうとしていた奴は路頭に迷う事になっていただろう。ぶっちゃけ、小学校の生徒と言えども適当に流しておかないと後々面倒事になりかねないという例を上げてみた。特に、それ程関わり合いにならないだろうと思っていた奴が重要ポジションにいたというオチ。学生だった時は、何の変哲もないただのモブだけれど…大人になれば、どうなっているかなんてわからないレベルの話し。
こういうのって、アニメじゃ結構あるある話しだから。エキストラだろう?とか、奴はモブだ!とか思っていられるのは最初だけの話なんだよ。
社会がある以上、人にはその人を中心に添えた物語があって山の様な結末が作られている。その中でも、アニメの冒頭に出てくる様な存在は重要ポジションに置かれる事が多い。その言葉を信じるなら、例えモブ的な存在であれど最終的に重要ポジションを担っていてもおかしくは無いんだよなぁ?それが、今回はとある会社の一社員だった訳だけれど…彼が抜けた結果、バニングス家が倒産の危機に瀕していたという話し。まあ、倒産に至らなくても事業を縮小することにはなっていたかも知れない。
特に、世界の複製をやり過ぎて飽和しつつある現状で変な改変を加えたらどうなるかというとマイナス方向に傾く可能性もある訳だ。これまでなら、プラス方向へ傾くのが当たり前だったかも知れないけれど。今は、土台の大きさよりも上に建てられた建築物の方が大きいと来たら…どうなると思う?作者は、常々バランスってのは大事なんだぜ?と言ってる人だぜ?『成功の箱』には、溢れんばかりの成功した世界が詰まっていて失敗や現状維持の箱はスカスカなんだ。ここまで言えば、どうなるかなんて言うまでもない。今までは、原作人物であるならば成功するのが当たり前の世界だったとしても『成功の箱』には溢れんばかりの成功した世界が詰まっている。対して、現状維持や失敗の箱には何も入っていないとなれば…普通なら、成功へ転がるモノでも現状維持や失敗に落ちる可能性は高い。
そんなイメージで、物語を書いてる作者なんて少数派なんだろうけど…残念ながら、この物語の作者はそんな事を考えて書く人なんだよなぁw 結果、頭のおかしい奴がおかしな行動を取って暴走の果てにドロップアウト。原作そのものに関わる事はなかったけれど、末端でもあるバニングス家や月村家には関わっている事は出来るからその系列の職場に就職する奴が多い。今回の転生者達は、大体がそういう原作系の職場に就職した奴等の集まりだった。
だから、そのどちらかの職場が無くなると共倒れになるんだよなぁ。それが、バニングス家となれば路頭に迷う大勢の中に彼等の半数も含まれるのだ。故に、転生者達が二分されているという話しw。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。