絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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五一一話

双夜:

 

 

「……っ!?っっっくちゅn!ずずっ……」

 

唐突に、鼻がむず痒くなってクシャミが出る。どうやら、誰かが俺の噂をしている様だ。まあ、この世界に来たばかりだから神崎やトーマ辺りが不在になった俺がどこで何をしているのか疑問に思って囀り合っているのだろう。

全く、まだまだ親離れ出来ぬお子様共よ。

 

「ま、直ぐに離れられても困るんだがな……」

 

勉強する機会も、経験を積む場所も組織にはちゃんと用意されているのだから俺の元にずっと居る必要は無いんだけど。それでも、【始まりの魔法使い】みたいな放任主義者が居るので保護したトーマくらいはシッカリと育てて行きたいモノだ。まあ、当人は一度『隠鬼』としての教育を受けているからと訓練や鍛錬から逃げているが……『戦鬼』と『隠鬼』では、やる事が違うので初心に帰って学んで欲しい所。その為、彼の妖精にもう一度トーマの教育をお願いした訳だが果たして彼女は受けてくれるだろうか?

最悪、トーマはまた組織の方に預ける事になるかも知れない。その時は、『セイビア』では無く軍部の戦闘特化型な『セリュウ』辺りに引き取って欲しい。彼の方が、『戦鬼』としての経験や質が高いってのもあるが……セイビアは、基本的に万能タイプの『戦鬼』だから教育方針が【オールラウンダーの育成】となっているんだ。だから、何かが突出している特化型とかは他の『戦鬼』に頼む他ない。

そりゃ、万能型の『戦鬼』や『隠鬼』が欲しけりゃセイビアに頼むのが手っ取り早い事ではあるんだけど。

今、俺が欲しているのは戦闘特化の『戦鬼』であって万能型は要らないのである。

そして、それはトーマに取っても良い転換期となるだろうと思っていた。彼は、『戦鬼』になった今でも自分は《神殺し》になる気が無かった……言わば、被害者だと思っている。それは、間違いでは無いんだろうけど……今後は、そのままでは困るんだよ。『いずれ』とか、『いつかは』とかでは多分間に合わない。近々(ドラゴンの時間感覚)、《旧・神族》との戦闘がある様な気がするのでそれまでに自衛くらいはできて貰わないとこちらの脚を引っ張るだけになるだろう。だからこそ、俺は俺と相性が最悪な妖精に彼の尻を蹴る役目を押し付ける事にした。

 

「ホントに、最悪なんだぜ?僕と妖精の相性って……」

 

俺が、《妖精魔法》を使えるからって相性抜群!だと思ってる奴が多いけど。実際には、《妖精魔法》が使えるが故に相性が最悪になっている。なんせ、妖精達が使う《妖精魔法》に対抗できる唯一の存在だからな。これまで、《妖精魔法》に対抗できる存在なんて居なかったから《対・妖精魔法》が使える俺は妖精達に敵視されている面があるんだ。まあ、これは俺が個人的に創った特殊魔法ではあるんだけれど……妖精達には、大変不評でメチャクチャ逆ギレされた事がある。

 

「ま、普通に考えたら創らねぇ魔法だよなぁ?」

 

悪戯大好きな妖精が、それをキャンセルする様な魔法を創るはずが無く。また、一度掛けた魔法を解除したり弱体化したりする俺をガチで嫌っていたりする。殺るなら徹底的に、何の妥協も容赦も無く追い詰める事を旨とする妖精と……それを解除したり弱体化したりする俺は、マジで敵対関係にあった。とは言え、アイツらと来たら俺が創った強化系の魔法はサクッと覚えやがったんだぜ?

更には、呪いへと進化したヤツとか……自分達の強化になりそうな魔法は積極的に取り入れていやがるんだ。だから、稀に複雑化した妖精魔法を見付けたりするけど……解除できなかった事は無い。

昔は、単調だったのに今はかなり難解で複雑な魔法を扱いやがる。それでも、俺以上に魔術や妖精魔法に詳しい存在も居ないからまだまだ対抗できているんだけどな?

そんな訳で、トーマに付き添っていた妖精が俺の依頼を受けてくれるかは……正直、わからないって言うのが俺の結論。

もし、受けてくれるならそれなりの礼はする予定であるが……使い魔と喧嘩しなきゃ良いけど。前科がある。

俺を信仰するまでに酔狂している使い魔と、俺を嫌悪の対象として嫌っている妖精は時としてガチ戦争をやらかしてくれるからちょっと心配だ。理性ある奴ら(側近)なら、まだ我慢してくれるんだけど……末端の使い魔に至っては、ちょっと煽られただけでマジギレする奴が多い。

まあ、それは妖精にも言える事なんだけれど。トーマの教育係だった妖精は、そのガチ戦争で先頭を切って殺り合ってた奴なんだよなぁ。

普段の何気ない日常が、殺伐とするのが目に浮かぶ様だ。

 

「……だからと言って、既にオファーを出した後だからなぁ?後の祭りなんだよなぁw」

 

さて、面倒な事を考えていた俺はこの世界の歪みへと視線を戻す。眼下には、地球が見えていて俺はとある起動衛生の上に立っている。やはり大気の表面に何やら薄い膜の様なモノがあって地球を覆い隠しているようだった。

これが、昼間のカンカン照りでも薄暗い理由なんだろう。

多分、吸血鬼等の夜にしか活動できない存在が昼間でも活動できる様になっている理由がコレなんだと考えられる。

なので、コレを斬り捨ててしまえば吸血鬼共は昼間から活動できなくなるはずだ。

 

「しかも、コレが歪みの一つなんだよなぁ……」

 

できる事なら、アチラ側と事を争いたくは無いんだけれど……俺がこの世界に呼ばれたのは世界の歪みを解消する為である。だから、コレを切り捨てるのは正当性が認められるモノであり決して不当性のある行為では無いはずだ。はてさて、どうなる事やら……そんな事を思いつつ、俺は虹色に輝く剣を出現させ目に見える範囲全てを切り刻んでしまう。

 

「ああ……やっちまったぁ……」

 

だって、これが一番手っ取り早いんだ。これで、世界の歪みの一つが解消された。それと同時に、吸血鬼共が昼間に活動できなくなってしまう。コレが、世界情勢を大混乱へと貶める行為であったとしても致し方ない。現に、世界各地で唐突に自然発火現象を引き起こし燃え上がる吸血鬼が多数。かなりの混乱と、阿鼻叫喚が始まっているのだから笑えない。

 

「まあ、なんだ……これで、アチラ側への干渉権をGETしたって事で良いのかな?原因が、僕だって事に目を潰れば概ね予定範囲内ではあるのかねぇ?」

 

何なら、《ルール・ブレイカー》を振り回していたら偶々地球を覆っていた膜を切り捨ててしまって、この大混乱が発生してしまったという体にしても良い。考えれば、言い訳なんて幾らでも出て来るんだから問題なかったかも知れない。

 

「HAHAHA!!後の祭り、後の祭りw」

 

神埼に言った手前、これ以上はこちらからのアクションは起こさないでいれば何とかなる。じゃ、俺はミッドチルダへ行きますかねぇ?この世界の歪みは、解消されたから次は別の歪みが在る場所へ向かわねばならない。後は、神崎達に丸投げで俺は魔法少女達の歪みを解消しに行こうか?ハハハ。

 

「さて、行くか?」

 

「…………ドナドナドーナ♪」

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……閑話休題……

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

Side 神崎:

 

 

ゾワッ!?ちょ、なんだ!?今の悪寒は!?

何か、とてつもないレベルのヤバい事が行われた気がするんですが!?これ……まさか、師匠が何かやらかしたんじゃねぇだろうな!?唐突に、背筋に走った悪寒に俺はありえそうな原因を考える。だが、待てど暮らせど何かが起こる気配は無く気のせいなのかなぁ?と思い始めた所でフレールくんから吸血鬼炎上の知らせが来た。吸血鬼炎上ってw……なんて笑いつつ、世界情勢を確認してみると世界がヤバい事になっていたんだ。ナニコレ、笑えないんですけど!?

 

「阿鼻叫喚地獄が、始まっているんですが!?」

 

「うわぁ……これ、何したらこんなことになんの?」

 

「知らんがな!!つか、コレガチで師匠が何かやらかしただろう!?ちょ、何やったんスか!?師匠ぉ〜!?」

 

ちょっと前まで、太陽の下でも普通に歩けていた吸血鬼達が燃え上がっている。多分、本人達も何が起こっているのかわかってないみたいなんだけど……ちょぉおおぉぉぉ!?

だが、これでストブラの積み上がった問題に関わる事ができる!これだけ、混迷しているんだ。原作人物達に、転生者のデメリット特典を教えるだけでも多少の混乱は収まると思われる。思い立ったが吉日!今直ぐ、行動を起こせば被害を抑える事もできるだろう!そう、考えて立ち上がった。

 

「駄目ですよ?兄様」

 

「ああ!?早くしないと、もっと大混乱が――」

 

「だから、行ってはならぬ」

 

何故か、オルタがトーマの隣に居て俺の横にはリリィがニッコリ笑顔で腕を取る。というか、ガッ!と拘束されてしまった。えっと?と、首を傾げているとリリィは立ち上がった俺をソファーに押し付けて座らせる。いや、その力の強い事。

わかっていた事ではあるが、スペックからして俺はまだ師範代達の足元にも及ばない様だ。これでは、逃げられん。

 

「いいですか?兄様。今は、まだ動いてはイケない時です」

 

「なんで!?早くしないと、誰も居なくなっちまう!?」

 

「だから、こちらからは動けぬのだ……」

 

「は?いやいや、双夜さんが何かをしたから吸血鬼達が燃え上がっているんでしょう?なら、俺達も動けるのでは?」

 

「動けません。今、動いたら依頼を受けていない物語にこちらから干渉したと認める様なモノです。あくまで、我々に課せられた依頼は魔法少女の世界で発生する歪みを取り除くこと……それ以外は、害悪と判断されてしまいます」

 

「例え、我らが主様が何かをしたんだとしても我らが動いては面倒なヤツらが沢山湧きます」

 

言われて、愕然とした。何で、そんな制約があるの!?とは思ったものの、説明を受けてみればやや納得は行かなかったけど正当なモノだった。そうだ、俺達は魔法少女の世界を正常な状態に戻す為にここへ来たのであってストブラの異常を解除する為に来た訳じゃない。今すぐにでも、ストブラに蔓延する病巣を排除しに行きたいが……それは、ファン心理であって《神殺し》としての仕事じゃない。わかってはいるんだ。わかっては……でも、転生者達の動向がカオス過ぎて焦る。早く、何とかしないと世界の情勢が更に窮地へと追いやられる様な気がするのだ。いや、マジで洒落にならない。

 

「ああ。それと、主様から『聖女は、任せた!』という伝言を預かっておる。アレは、兄様が何とかすると良いそうだ」

 

「ほほぉ?つまり、誑し込めと師匠さんは言うんですね?」

 

「「それは、(無い)ありません」」

 

トーマの戯言は、スルーして聖女(笑)をどうするか考える。師匠が、こちらにアレを任してくれたという事は俺達だけでも何とかできるということだ。その『何とか』が、どういうことかはわからないが排除すれば良いんだろう?

つか、守銭奴聖女?

 

「あ!?」

 

まさか、俺の《黄金律》で堕落させろとかそういうことか!?簡単に生活費が得られるなら、聖女活動をしなくても良くなる訳だからなぁ?だったら、ちょこっとばかし用入り(¥)が必要になってしまう。まあ、ちょっと頑張れば幾らでも得られるとは言え……真っ当に頑張ってる人に、申し訳が立たないので最近では使わなくなってしまった死にスキルだった。というか、普通に使わなくても生活できるのが秘密基地の特徴だから。貢献ポイントで、十分な生活ができる様になったのも大きい。ぶっちゃけ、もう働かなくても師匠にアドバイスしているだけで貢献ポイントがそこそこ稼げるというオチ。間違った知識を訂正したり、新たな物語の情報を教えてるだけで普通に溜まる様になった貢献ポイント。

 

「……直接、お金に変えても問題無さそう……」

 

「それは、止めて置いた方が良いぞ?兄様」

 

「そうですよ!いつ、何時、何に必要になるかわからないモノがありますからね?貢献ポイントは、置いておく事をオススメします」

 

「じゃ、この1k金貨を交換して換金した方が良いのか?」

 

「そうですね。そこから、兄様なら幾らでも増やせるでしょう?必要になったら、また金貨を引き出せば良いのです」

 

それも、何となく心苦しいというか……何とも言えないモヤッとした気分になった。そもそもが、反則っぽい人生――巨大組織のバックアップが在る状態――になっているから普通の真当な人生を歩んでいる方々に申し訳なく思ってしまう。極、一般的な人々には何の後ろ盾も無い上に一切の保証すら無いのが人生だ。なのに、まだ見習いの俺が何の不自由もなく生きて居られるのは師匠と組織のお陰だったりする。

それが、何かとてつもないズルをしている様でちょっと後ろめたく感じ始めていた。師範代達は、『仕事なんですから気にする必要は無い』と言ってくれるが……俺は元々、小市民なんだ。だから、至れり尽くせりの生活は肌に合わない。

転生直後は、そんな事を考える間も無かったけれど……最近は、余裕ができて来たからか少し考える様になった。

 

「じゃ、ちょっと換金して増やして来ますね?」

 

適当に口座を作って、換金したお金を貯金して遣り繰りするだけの簡単なお仕事ではあるんだけど。とりあえず、とても悪い事をしている様でおっかなビックリの動きになってしまう。それを見た師範代達が、『兄様?』と声を掛けてくれるが俺は『なんでもない』とだけ告げて秘密基地を後にした。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

さて、どこで換金してどこで口座を作ろうかねぇ?

その後は、楽しい楽しい《黄金律》を使ったマネーロンダリングだ!とりあえず、俺にとっては間違いなくマネーロンダリングに該当する話である。犯罪なんて犯して無いけど、真当な方法で得たお金じゃ無いから似た様なモノだろう。

 

「……兄様が、兄様が厨二病を発症してしまった!!」

 

「あれ程、気を付ける様に言っておったのに……兄様が、厨二病に……まるで、悪を気取っておる様だ……」

 

「……………………」

 

付いて来やがった!しかも、ポツリと呟いた言葉を拾い上げて追撃までしてくる始末。止めて!そんな目で、厨二病厨二病と言わないで!心が……心が、苦しくなるっ!!

 

「マネーロンダリングですってよ?」

 

「やぁねぇ?真当な方法で得たお金じゃないみたいだの?」

 

「それを、まるで悪人の様に使われるみたいでしてよ?」

 

「あらあら、兄様は悪びれたいお年頃なのかの?」

 

「止めて下さい。もう、それ以上は勘弁して下さい」

 

これ以上、続けられたら人通りの多い場所でも同じ事を繰り返されそうだ。ならば、ここらで謝って勘弁して頂こう……等と、本音を隠していたからか師範代達の罵りは留まる所を知らず、泣きが入るまで続けられた。グスン(泣)。

 

「全く、兄様が愚かしい事を呟かねばこの様な事にならんかったのに……愚かだの?」

 

俺は現在、街中のド真ん中で土下座をしている。だって、師範代達と来たら延々と厨二病を患っている患者みたいに俺の事を指し示して背後に忍び寄って来るんだモノ……1ミリたりとも忍んでなかったけど。その結果、周囲の視線が何やら生暖かいモノを含んでいるみたいで俺は居た堪れなくなった。その結果、天下の往来で土下座をするはめになっている。それと同時に俺は、恥くらい幾らでも掻ききってやる!と妙な覚悟まで決めてしまっていた。追い詰めて来たのは師範代達だ!なら、連帯責任って事で師範代達も巻き込んでやる!!そんな気持ちが、湧き上がって来て俺はオルタの脚に縋り付いてみた。

 

「え!?ちょ、兄様!?」

 

「頼んます!頼みますから、もう、勘弁して下さい!!」

 

珍しく、慌てた様子のオルタに俺はノリノリでしがみ付く。

普段、幼馴染達と茶番を繰り広げている俺だ。この程度で、怯んだりはしない。問答無用!全力全開で、オルタの脚にしがみ付きそれなりの音量で謝りつつその脚にしがみ付き号泣しながら止める様に告げる。ついでに、宣告もしておいた。

 

「堕ちる時は、一緒だよ……(‹o›_‹o›)フフフ」

 

「ひぃ!?あ、兄様!?……わ、我が、悪かった!!は、離しておくんりゃせぇ!!」

 

「あ、ああ。あ、兄様が、闇堕ちしてしまった!?」

 

「俺は、厨二病なんかじゃない!厨二病なんかじゃないんだからっ!!そうだろぉ?なぁ……おるたああぁぁぁ!!」

 

その後、誰かが通報したのかポリスメン?が来て引き離されるまで俺の茶番は続いた。HAHAHA、これで師範代達も同じ穴の貉だ。次からは、巻き添えにしてやるからな?

天下の往来で、俺と師範代がやらかした茶番の結果……何人かの転生者も釣れたので良しとする。まあ、恥の掻き捨てで釣りができたのなら、それは無駄では無かったのだろう。

そんなこんなで、俺達は金貨をお金に換えて師範代が獲得していた住民票を使って口座を作り帰路に付いた。というか、俺ってば住民権とかその辺りのシステムの事をスッカリ忘れていたよ。口座を作る場面になって、その事を思い出すと少し責任の無い生活に慣れ過ぎていたらしい。だが、これでストブラの積み上がった問題にテコ入れができるかと思うと少しだけ心が落ち着いた。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

数日後。

待てど暮せど、転生者達は俺達に接触してくる所か姿形すら見なくなった。あちらに、監視され始めた当初は色々気を使ったモノだったが今では遠巻きに監視する者すら居ない。

初日こそ、こちらの姿が消えたら近場を探し回った転生者だったけれど。数日もすると、監視すら無くなってしまい今では気にも止められない状態が続いている。

そりゃ、街中に出掛ければ股間に手を添えた変態が背後から着いて来る事もあるんだけれど……一定の距離を置いて着いて来るだけと化していた。もう、訳がわからない。

アイツらは、一体なにがしたいんだ!?その後も、薄気味の悪いストーキング行為や待ち伏せが続いたが奴らは一向に手を出して来なかった。

 

「何なんスか!?アレ……」

 

「一応、フレールくんに監視はして貰っていますが……」

 

どいつもこいつも、仲間が居る訳じゃないから終始無言で何が目的なのかわからないままだった。

とりあえず、誰かに凸らせて質問責めにしてみたいがこちらからは手が出せない。

なんとも、歯痒い時間だけが過ぎて行った。

まあ、その間も俺はセッセとお金を増やしていたんだがなw

いやはや、かなり儲けさせて頂きました。ある程度のお金を稼いだら、ちょっとラスベガスに行って一気に十倍にしたったわ(ドヤ顔)!!余りにも、増えるんで一日で何軒も梯子して出入り禁止になったくらいである。

いやー、笑いが止まりませんなぁ?途中、如何にもな黒服に追い回されたりもしたけどサクッと返り討ちにしてドロン(逃亡)してやったw

そして、現在。埒が明かなかった現状は、翼の申し出によって変化しようとしていた。それは、翼が師範代達と共に外へ出てショッピングに興じるからである。これは、翼本人が言い出した事であり俺は一切なにも言って居ない。というか、俺は翼が囮役をするのに反対だ。師範代達が居ると言えど、何が起きるかわからない現状で翼を危険な場所へ送り出すのは許容できない。だから、俺は翼を説得しようとした。

 

「翼が、囮役を買って出る必要は無いんだって!」

 

「でも、私だけ何もしないままのほほんと暮らしては行けないよ。ちゃんと、貢献しないと生活も大悟くん任せになっちゃうんだよ?」

 

「別に、俺はそれでも構わない!いや、俺がお前を養っても良いとさえ思っている!だから、考え直してくれよ!?」

 

「でも、私は……」

 

「何なら、霧島を呼び戻して……そう言えば、アイツどこ行った?つい、この間までここに居たはずなんだが……」

 

「クロエなら、主様に連れて行かれましたよ?」

 

「なんでも、魔法少女には魔法少女を宛てがうのが一番だと言っておったの?まあ、粗方魔法少女と絡みたくなかったのであろうよ」

 

「前回の事を引き摺ってましたからね……」

 

そうか。霧島は、師匠に拉致られたのか……まあ、それはそれで大変だろうから良いとしてそうなると翼以上の起爆剤が無い事を俺は理解した。だから、心配そうに翼に視線を向ける。師範代達が居るとは言え、翼が無防備に外へ出掛けるのはかなり不安だ。ただ、実際には無防備とは言えないくらい厳重だったけれど。つか、護衛役に加えて周囲を囲むフレールくんや現地に散っている秘密基地在住のにゃんこさん達が居る訳だし?あるぇ……全然、大丈夫な気がして来たんだが?寧ろ、俺が護るより厳重だった件に苦笑い。これで、師範代達が出し抜かれたと言うならそれは相手が巧み過ぎたという事だろう。つか、出し抜けないだろう!?転生者に、師範代達を出し抜いた上に撒くなんて不可能なんじゃ……?

 

 

 

 

 




ドナドナを歌ってるのは……霧島白亜でしたーw!
彼女は、多分今回の被害者です。可哀想に……。

因みに、双夜と妖精の相性はガチで最悪です。当人達の気質的な相性もあるのですが…双夜は、妖精魔法を無害化する魔法を開発しているので妖精からは本気で嫌われています。妖精は、基本的に悪戯大好きで永続する魔法を好みます。しかし、双夜はそれを解除してしまえるのでメッチャ嫌われていたりするんだよ。しかも、妖精の無力化までできるから本気で敵対関係になってたりもする。
だって言うのに、双夜は妖精の魔法を唯一使える魔術師なので全力敵視されるってオチに。まあ、妖精魔法のエゲツなさを知っている方々であれば、この敵対は予想が付いただろうけどね。なので、トーマの監視役の要請はホントに青天の霹靂だったんだよw。

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m(_ _)m

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