絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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五〇一話

Re:

 

 

「神埼さん!あの後、ジークリンデ・エレミアがキャンプしている所へ行ってチキンレース……あー、や、肝試しやって来ました」

 

ん?……チキンレース!?こいつ等、何やった?

 

「……まあ、経緯は聞かないで置いてやる。それで、結果は?」

 

「ジークリンデやヴィクトーリアと仲良くなりました!!」

 

「お、おう……そうか。お嬢様と、仲良くなったのか……」

 

どういう経緯で、そうなったかはわからないがハキハキした様子で報告に来た彼はずっとニヤニヤしていた。けれど、段々表情が暗くなって行く。話を聞けば、その上で今後どうしたら良いのかと聞かれたので彼女達の鍛錬法を聞いてそれを参考に自らも鍛錬すれば良いんじゃないか?とアドバイス。後、神様特典を失っているからちょっとやそっとじゃ強くなれない事も告げたら一瞬驚いた様な顔をしてから苦笑いされた。『いつの間に!?』と言われたが、大体察してはいたらしい。何でも、コイツだけは何かを失った様な気がしていたのだそうだ。それが、神様特典である事がわかり笑ってしまったのだという。

まあ、昨日の今日で神様特典を削除された事に疑問を抱けるだけ報告をしに来た彼の感性はそれなりなモノである事が知れたので、頑張れば未来予知までは行かなくともソレに近い直感くらいは得られるかもな?と言ってみる。

 

「直感、ですか?」

 

「ああ。俺も、似た様な感性を持っていたからな。後は、命の危機迫る状況でもあれば直感が開花するんじゃないか?」

 

「命の危機迫る状況って、何ッスかw?」

 

「そうだなぁ……例えば、こんなのはどうだ?」

 

言って、殺気を叩き付ける様に彼に向けてみる。瞬間、彼の肌が鳥肌状になったのが見て取れた。直ぐに、殺気を消して苦笑いしてみると何故か逆にスゲーと目をキラキラさせて言われる始末。

 

「これが、殺気ってヤツッスか!初めて感じました!!ヒョへー!これが、殺気かぁ〜。ゾワッとしたッス!!」

 

その後も、色々言っていた彼だったがまた機会があったら殺気を当てて欲しいと言われたので物好きだなぁ等と思いつつ了承して追い返した。まあ、殺気と言っても師匠にくらべたらゴミレベルなんだけどね。それでも、ああいう平和に生きてる奴には調度良い程度ではある。

ただし、師匠には飛ばさない様にせねば!!

瞬間的に、殺される可能性が高いからな!!

それこそ、飛ばした瞬間に首が胴体からバイバイしちゃう感じで……恐ろしい。それはさておき、喜びを顕にする彼は他の幾つかを報告してから去って行った。その『幾つか』に、気になるモノがあったけれど……そうか。

ジークリンデ・エレミアは、暫く屋外での活動は自粛するそうだ。フッ……悪い事をしたな?やはり、日本の心霊現象(サブカルチャー)はお気に召さなかった模様。

まあ、そのサブカルチャーは転生者達にもクリティカルヒットしたらしくジークリンデが野宿している場所でチキンレース状態になってしまった。つか、どいつもこいつもアレを見てから外灯のない暗い森の中に居続ける事が出来なくて、腰が引けた感じで今にも逃げ出しそうな状態だったらしいw。

それで、ジークリンデ・エレミアに見付かった瞬間!!

恐怖と混乱で、全員が発狂状態に陥って寄せば良いのにジークの身を危険に晒してしまったというのだから笑えない。結果、ジークがあの力に覚醒して全員を蹴散らしてしまったそうな。

その後の話は、搬送先でヴィクトーリアから聞かされた話らしいのだが……その間の事は、当人達が気を失っていて覚えて無いと言っていた。全く、だから気を付けろとあれ程忠告したのにw。とりあえず、全員をブチのめしてしまったジークはその後正気に戻って倒れた伏した彼等を見て途方に暮れたとのこと。

そして、どうにもならなくなった彼女はヴィクトーリアに連絡を入れて救急車を手配して貰い共に病院へと移動した。その時に、全滅させた相手が見た事のある人物達である事に気が付いたらしいが律儀に気が付くのを待ってくれていたという。

その後、馬鹿共が気が付いた後はあそこで何をやっていたのかという話になった訳だが……例のDVDを見せて、チキンレースが開催されたという話になるとヴィクトーリアが呆れた様子で馬鹿共を見ていたらしい。男っていうか……コイツ等、馬鹿だろう的な?ただし、呆れた様子だったのはヴィクトーリアのみである。

ジークリンデ・エレミアはというと、俺が貸したDVDのせいで暗い場所を出歩けなくなってしまったらしい。

まあ、普通の感性を持つ女の子がアレを見たらジークリンデの様な反応になるのは間違いじゃない。つか、アレを見て平然と夜な夜なトイレに行く美愛みたいなタイプは余り俺の好みでは無いんだけどな?だけど、その結果……ジークが、キャンプ地に戻れなくなるというハプニングが起こる。いや、まあ、ハプニングというか予想されていた事ではあるんだけどw。すると、ヴィクトーリアが怯えるジークを自然な形で自分の家へと誘って連れ帰ってしまったとのこと。それを見送って、唐突なキマシタワーにはしゃぐ転生者達。因みに、転生者達は怪我の状態もあって入院コースだったらしい。ここに報告へ来た転生者は、比較的に軽傷だった一部の奴だ。当人曰く、運が良かったとのこと。

 

「だからと言って、今までの事が消し飛ぶなんて事は無いんだけど……あのコミュ障共、マジで大丈夫かなぁ?」

 

一応、こちらにアドバイスを求めて来るから大丈夫だとは思うんだけど……過激な奴は、おかしな行動に出やすいから気を付けねばならない。とはいえ、先程のアドバイスも今一的を得ないモノではあるからどうなるかな?しかし、ここで距離を置けとか見守れ的な事を言うとストーカー状態になるから何も言えなかった。

いやーぁ、もう本当に面倒臭い奴等である。出来れば、原作人物達はある程度までソッとして置いてやって欲しいのだが……奴等は、直ぐに自分アピールを始めるのでウザったい。まあ、ライバルを出し抜きたいのはわかるんだけど、下手にガツガツしていると女の子に警戒されるだけだというのに……全く、バカめ。

 

「あのぉ……行きましたか?」

 

「ああ。見事な擬態だったよ?高町さん。次は、流れる様に擬態出来ると良いね?まあ、いずれ回収される魔導具だとしても魔力操作が使えないと無意味だからねぇ?」

 

とは言ったものの、リンカーコアを持つ身で魔術回路に魔力を流す手法の魔力操作を教えた師匠は鬼畜だと思われる。というか、魔力出力を最低まで絞って体内を循環させろとか……ウチの師匠は、とんでもない事を考える人物であった。つか、それで他の魔法や魔術が行使可能になるとか思いもしないじゃないか!!

そもそも、【リンカーコア】は高出力の魔力を放出する事を前提としたシステムで、微弱な魔力を扱うモノでは無いと俺は進言して居たのだがそうではないと言い切られる。

リンカーコアは、確かに高出力の魔法を扱い易くはしてくれるけど、微弱な魔力が完全に使えないって訳では無いとのこと。要は、精密に魔力を操作し制御する必要があるだけで難易度はランクAAの魔法と変わらないそうだ。それを聞いて、俺は納得した。ついでに言うと、魔力ランクが大きければ大きい程《魔力操作》や制御は難しくなるらしい。そりゃ、魔力ランクが高いって事は魔力が多いって事だからコントロールするのはかなり難しいだろう。

それでなくても、膨大な量を扱う魔導師はデバイスを用いないと魔力を十全に使い切れない。各言う、この世界の主人公である高町なのはなんて高出力魔力を穿ち放つだけの砲撃師だからな。

そういう観点から言えば、汎用性が高く様々な魔術を扱うウチの師匠はかなり上位の魔導師に分類される。《魔力操作》だけを見れば、普通に周囲に居る誰よりも魔力のコントロールに長けているからな。そんな師匠は、ヴィヴィオのリンカーコアに封印を施して放出できる出力を絞った上で格闘訓練をさせる始末。最終的に、最低魔力出力でそれなりに戦えれる様になるのが目的だと語っていたけれど……この世界で、ソレは普通にチートと言いませんか?実際、ソレが出来る師匠と簡単な模擬戦をやってみたのだが勝つ事も負ける事も出来なかったよ。永遠と戦って居られる師匠に、マジで恐怖したのはその状態で《神威》を使われた瞬間である。アレって、魔力でゴリ押ししてたんじゃなかったんですね?

 

「ふふふ……アレには、マジで洒落にならんかったよなぁ……」

 

あんな、低出力の魔力で《神威》が使えるってのも脅威だったけれど。その状態で、何十時間も戦えるって事の方が《神威》以上に恐怖だった。だって、《神威》を使ったまま延々と戦えるとかありえないと思ってた奴に現実と実力の差を見せ付けるのは頂けない。どう、考えても届かないと思ってしまうじゃないか!

 

「それで、どんな感じだい?リンカーコアが、フルの状態で魔力を絞って使う感覚っていうのは?」

 

「あー……ジッとしてたら、使えるんですけどね……」

 

ヴィヴィオは、未だリンカーコアに振り回されているみたいだけれどコツは掴んでいるみたいだった。但し、ジッと集中している間だけは。戦いになると、そっちに意識が持って行かれるらしく動きながらの魔力操作は酷いモノであった。

 

―――俺も似た様なものだけれど。

 

俺の場合は、魔力操作よりも魔力循環の方が今一で肉体強化は出来る癖にその他の応用魔力運用がダメダメなんだそうだ。完全に、脳筋仕様な自分に凹み捲る事はあるけれど最初は皆ソウなんだと言われてもちょっとピンと来ない。だって、【組織】に居る大半が魔力と呼ばれるエネルギーに親和性を持ち、転生してから魔力に触れた俺達みたいな奴等は基本少ないという。だからと言って、ここで投げ出すと師匠の隣には立っていられないので頑張るしか無いんだけれど……全てが、己の感覚に依存するモノなのでコツを掴むのに時間が掛かって居る。つーか、魔力循環は出来るんだけど爆発的な回転を加えろとか無理だから!イメージは、出来るけど実際に動かそうとすると一定以上に成らないのである。

 

「エンジン……アクセル……全開……」

 

言うのは簡単だが、己の感覚に機械の様な加速を求めるのは不可能だと思うんですが!?そりゃ、《神威》については知っているけど……それはそれ。これはコレでしょう?ヴィヴィオの訓練風景を横目に、自分の鍛錬をやる俺は御膳を組んでひたすらに魔力を循環させる。てか、ヴィヴィオを見といてっと言われてもどう見れば良いのかがわからない。なので、ヴィヴィオの傍に侍りつつ己の鍛錬も同時進行で行うという事をやっていた。時折、俺の索敵範囲内に転生者と思しき魔力持ちが入り込んで来るけど……それ以上の存在に、サクサク屠られている事から使い魔さん達が仕事をしているのだという事がわかって草が生える。

 

―――いや。ホント、お勤め御苦労様です。

 

因みに、黒龍巽は掲示板に名前を上げたら浅上兄妹がアッサリ回収に来て拉致って行ってしまった。だから、今はある程度平穏であるとだけ言って置こう。もしかしたら、《神殺し》に転生した黒龍が戻って来るかも知れないけど。ああ、それと……報告する必要は無い事だけれど、黒龍が翼と邂逅した時の話に俺へと宣誓布告したなんてモノもある。だけど、アレは黒龍の気の迷いだ。

翼は、見る者によってはその美貌によって強制的な魅了状態にする事があるという。多分、黒龍はその《魅了》にやられたんだと思われた。まあ、アレは事故みたいなモノだ。俺は、気が付かなかったけれど。特に、心……精神的に弱い者は、翼と顔を会わせる時に少しだけ心構えをして置かねばならないらしい。

 

「つまり、俺は精神が強いって事なんですかねぇ?」

 

「兄様が、何やらおかしな事を言い出したぞ?」

 

「まぁまぁ、オルタ浸らせて上げて下さい。兄様も、何か一つくらい自慢出来るモノが欲しいお年頃なのでしょう」

 

「フム。成程のぉ?ただ、単純にソレ以上のモノを見た後だからとは考えぬか……」

 

「Masterを見た後で、姉様の魅了にかかる訳がありませんけど?」

 

「我等が主様は、強烈な邪神の様なお方だからの」

 

そこまで言われて、俺が強いのでは無く師匠の邪悪さに殺られた後だったのだと理解する。そりゃ、魅了なんて掛かるハズもありませんわ。師匠の邪悪さを思い返すだけで、身が引き締まる気がするもの。ついでに、精神も引き締まっているから魅了程度では俺をどうこうする事は出来ない。(回想終了)

とりあえず、師匠の話では未だ危機的状況を脱して無いから早急に問題となっている転生者を発見しリソースを食らう特典の破壊を行わなければならないとのこと。それと同時に、原作に執着させられている転生者の洗脳を開放し正常な精神に戻さないと……結果の《堕ち神》化も心配をせねばならない。まあ、原因であるデメリット特典さえ排除出来ればその心配もしなくて良くなるんだが……そっちは、既に数人の被害が出ているらしく名字持ちの使い魔達が対応しているという。

それと同時に、原作人物にそれ程執着しない転生者も少からずは居る模様。執着しない転生者達は、現状【魔法少女リリカルなのは】の世界でやりたい事をやっているらしい。つまりは、原作には関わらないけどソレに近い場所で好き勝手に生きているという。

好き勝手に生きてる彼等は、この世界の魔法や他の世界の魔法等を使いながら其々に自分が面白いと思う事を実行していると報告書には書いてあった。例えば、ヴィヴィオ世代でありながら地球の原作には出て来ない地方で周囲に迷惑を掛けないレベルで特典を使い倒す(時空管理局から干渉されない様にしている模様)とか?

大規模な魔法を行使はするものの、現象が起こる前にキャンセルして自分が得た力を確認する様な行動を取っているとのこと。

まあ、その行動についてはわからなくも無いけど……その後、得た能力で適当に稼ぎつつ目立つ行動をしないという何ともおかしな事をしているらしい。多分、原作に関わる予定が無くただこの世界の設定下で様々な能力を使って楽しみたい【エンジョイ勢】だと思われる。さて、どうしたものか?

もしかしたら、そのエンジョイ勢の中に俺達が探す世界の根幹に影響を齎す能力者が居るかも知れない。だとすれば、干渉せざるを得ないのだが……下手に干渉すると、後々面倒な事に成りかねない可能性がある。例えば、『別に原作に迷惑を掛けて居る訳じゃないんだから問題ないだろう?』とか『非現実を楽しみたいだけなんだから邪魔するな!』言われそうだ。そうなると特典を削除した場合、次に出て来る言葉は【将来の保証】とか【能力の賠償】なんだが基本的にそういうフォローは存在しないんだよなぁ。

最悪、【外】へ一度サクッと出て直ぐに戻って来るパターンを繰り返す事に成りかねない。まあ、それでも良いんだけど。その場合、ヴィヴィオが師匠に何と言うか考えるだけでも恐ろしい。なので、師範代に頼んでエンジョイ勢共を相手にしている使い魔さん達へととある指令を伝達して貰った。

その内容は、【接触せずに、問答無用で永続系&改編系特典を削除せよ】というモノだ。これによって、こちらの存在がエンジョイ勢に悟られる事なく問題となる特典が排除出来るというモノ。

下手に関わろうモノなら次から次へと賠償だ!保証だ!アレもコレもクレクレと群がって来るだろうと説明した。例え、そうならなかったとしても事ある毎にクレームを投げられるのは目に見えている。そうでなくても、原作に執着する転生者がワンサカと居るって言うのに……ここで新たな勢力とか要らないから!!

というか、原作に執着する転生者は基本的に原作に関われるなら神様特典が無くても良いって奴等だ。しかし、エンジョイ勢は神様特典で楽をしつつ楽しむってのがこの世界で生きるの原点なので神様特典を取り上げたら将来の保証や能力の賠償を求めて来ると思われる。そうなれば、ただのクレクレモンスターになるだけなので今以上に面倒臭い事になるのは予想出来た。そんな訳で、エンジョイ勢の特典に関しては何の説明も無く問答無用に削除する事が決まった。削除した後のクレームは、彼等を転生させた神様に向かうだろうからこっちはガン無視を決め込む予定だ。とは言え、転生者と神の接点は転生前の白銀に染まった空間のみ。

例え、クレームを神々に向け様ともそのクレームが伝わる訳じゃ無いから関わりさえしなければどうとでもなる。

多少、卑怯な気もしないでも無いけど。

彼等との、面倒なやり取りを考えたら気にもならなくなった。

もしかしたら、師匠が何か言い出すかも知れないけれど。気にしたら、負けだと思うので気にしない事にする。つか、一つは残して貰えるのだからとやかく言われる筋合いは無いと断言出来る。

ただの人間に、戻される訳でも無いんだから文句を言わないで欲しい。とは言え、俺が何も知らないその立場だったら散々文句を言った挙げ句に別のモノに八つ当たりするんだろうなぁ?

そんな事をすれば、どんな結果を齎すかは考えるまでも無いけれど。つか、今だからこそ言える!【前科】持ちになるんですね?

 

「…………これくらいの予想なんて、簡単に思い付くのに転生直後の俺はいったい何を考えていたのやら……」

 

霧島白亜も、そうだったけれど。最早、黒歴史と化したかつての軌跡……もしかしたら、泡と消えた過去かも知れないけれど。俺達が、人として生きた最後の時間。まあ、最後と言っても物語の登場人物達と共に歩んだ日々の記憶でしか無く。今や、俺達以外は誰も知らない儚い夢だったモノ。

少し、感傷的な気分になったのでちょっとばかし中二チックな思考で綴ってみたが……寒イボが出来た。ヤバい!何が、ヤバいかって?昔は、ポンポン出て来ていたポエムが形にする度に背筋をゾワゾワ冷やしに来るんですけど!?転生仕立ての時なら、全く気にもならなかったソレ等が今では拒絶反応に近い感情でしか捉えられない。つい、ポエムってる間に俺の本体(肉体)は頭を抱えて悶絶してしまった。アカン。ポエム耐性が、無くなっとる!!

というか、黒歴史所か暗黒歴史や黒色無双歴史等数多くの伝説を立ち上げて来た俺が今更何に恐怖すると言うのか!?

 

――……いや、うん、まあ、全部怖いけど?

 

「そう言えば、調整した世界も消えてしまうんですよね?なら、調整とか要らなく無いですか?」

 

フと、とある疑問が思い浮かんだのでヴィヴィオが訓練している場所とは真逆の空間に話し掛けてみる。すると、驚愕風の顔をした師範代(オルタ)が顔()()を出して話し掛けて来た。

 

「必要だの。例え、消えてしまうとしても敵に甘い汁を吸わせる気にはならん。あくまで、我等の敵は《旧・神族》であるからの」

 

とのことだ。そう言えば、そんな存在も居ましたね?

転生者の事だけでも、頭が痛いって言うのにその背後にはまだまだ頭を抱えなければならない存在がいたのだった。余りにも、面倒臭い存在だったが故に記憶から削除しちゃってたよ。まあ、転生者は雑魚だから戦力的には問題にならないけど《堕ち神》は危険だし無視は出来ない。そんな者を転生させる神々は、逃げ出さなければ見習いの《神殺し》(俺よりも十二分に強く巧みな存在)達がサクッと殺してくれるので問題外。《旧・神族》には、まだ接触はしてない(艦隊戦はしたけど)から今一自覚に乏しく放置状態。【組織】の内外に、アンチ勢なんて者が居るけどそっちは気にしなくて良いと師匠に言われているから問題外。今の所は、こんな感じなのに……ここに来て、原作に執着しないエンジョイ勢なる勢力が出て来る始末。これ以上、問題を起こさないで欲しい。

 

「大きなブーメランじゃな?兄様」

 

「グフッ!…………【己が身から出る錆】とはこのことか……」

 

「兄様なれば、【我が身振り返れ】ではないかの?」

 

間違いなく、違うとは思うものの似た様な意味なのでは無いだろうか?ただし、どちらも自業自得様な気がしないでも無い。前者は、己の行動から生じた災いで、後者はお前の行動でこういう結果になったんだから反省しろ!的な内容だったと思われる。

 

――心当たりが、有り過ぎて辛い!!

 

例え、それがホンの少しの期間だったとしても俺がそれをやり過ぎる程にやり過ぎていたのは事実。それによって、原作人物達が迷惑を被ったのも事実だ。それ以外に、俺の行動範囲によって原作には出て来なかった人物達も迷惑を被っている。その罪は、切り捨てられた未来だとしても俺が覚えている以上償わなければならない。それが、転生者達の面倒を見る事だと言われたら諦めて見るけど……俺も、こんな、だったのかあああぁぁぁぁ!!!!

辛い。凹む。心が痛い。すいません。本当にごめんなさい。まさか、己の身を持って体験するハメになってからこんなに辛いモノだったと知るとは思いもしませんでした。メッチャ、面倒臭い。

過去の自分も、こんなだったのかと恥ずかしくて悶絶するばかり。

ヤバい。顔が熱くなる。恥ずかしい。こんな……こんなっ!!

何故、生きていた頃の俺は我が身を振り返らなかったのか!?と、何度も後悔させられた。こんな、こんな……恥ずかしい事を人前で、永遠とやり捲くっていた自分の正気が疑われる。羞恥心崩壊。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

「兄様。兄様。唐突に、発狂を始めるでない。何事かと、預かり子がこちらを見ておるぞ?」

 

言われて、発狂を瞬時に止めた俺は驚いてこちらを見ているヴィヴィオに『何でも無い』と言い含ませて頭を抱える。クソぉ……オルタが、居てくれなかったら俺はまた己の恥を撒き散らす所だった。それと同時に、オルタに見られた事でこの話が師匠に伝わるのも確定する。それはそれで、寿命が減った様な気もしないでも無いけれど。羞恥心を、崩壊させるよりかはマシなので良しとした。つか、何もしなくて良い時間ってどうしてこうも余計な事を考えてしまうんだろうな?出来る事なら、何も考えず身体を動かし続けていられたら良かっただろう。そう、何も考えず無心で。

 

「師範代。ちょっと、身体を動かしませんか?」

 

「フム、思考放棄かの?まあ、やるのは吝かではないが……」

 

「ストーカーが心配なら、テオルグさんに戻っても良いですよ?」

 

「ほぉ……成程。男になれば、出回っておっても問題ないと?」

 

「え?ええ…………ひぃあ!?」

 

瞬間、足元を何やら冷たい風の様なモノに撫で上げられて驚いてしまう。そして、目の前にはかつて見た鋭い目付きのヒョロリとした青年が立っていた。そうそう、師匠が初めて彼を呼び出した時のままの彼がそこに顕現。そんな彼が、つい先程まで『のじゃロリもどき』をやっていた少女だとは誰も思わないだろう。

 

「フム。どうやら、お前は思考の中でなら相手を馬鹿にしても問題ないと思っておる様じゃの?良かろう、先ずはその根性を叩き直すとしようか?」

 

「( ゚д゚)ハッ!!ま、待って!話せばわかブッバハッ!!」

 

顔に出てしまったのか、真っ先に顔面をドストレートで穿ち抜かれてソレは唐突に始まってしまった。とは言え、師範代を前に不謹慎な事を考え耽っていた俺が悪い。

だって、実戦に【礼】なんて無いもんな?出会ってしまえば、殺るか殺られるかの世界で【礼】や【構え】を悠長に待ってくれる敵は居ないって事だ。鍛錬を願い出て、ボーと呆けている俺の自業自得というヤツだな。

とりあえず、咄嗟に後ろへ飛んだけれど顔面にドストレートは効いた。目が、覚めた気分だ。直ぐに、体制を立て直し前へ出る。ここで、後ろへ逃げるなんて選択肢を取ったら『ヒヨッてんのか!?』と罵声が飛んで来るからな。いやはや、テオルグさんに戻ったとしてもオルタはオルタのままだった。まあ、当人だもんな?

そりゃ、そのまんまだろうさ。

なにはともあれ、先ずはワンセット。

俺が、気絶させられるまでやってみますかねぇ?

 

 

 

 

 




肝試しという名のチキンレース!
怪談は、やるもんじゃ無いよ。聞くもんだよ。
聞いた方が、呪いとか憑依とか起きないからねぇ…起きても、又聞き扱いだから編集者辺でオミットされるから楽。
ほぼ、雑音扱いで聞いてるのもあるけど。

最近、2chで怖い話をやってた事を知りました。それまでは、何の集まりなのか知らなかったけどね。今は、5chって改名したらしい。入った事は無いけどw。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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