絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

507 / 591
四九一話

Re:

 

 

「ちょo「それは、俺のだああああぁぁぁぁ!!!」

 

「寄越せええええぇぇぇぇ!!!!」

 

「はいよぉーっ!!」

 

唐突に、転生者の一人がセットアップして突っ込んで来た。まあ、分かっていた事なのでサクッと師匠の前に出て叩き潰す。だが、一人倒した所で次の奴が『紫天の書』に手を伸ばして突っ込んで行くんだけどね。合計、三人の転生者が目的のモノを得ようと発狂を始めた。

だが、『紫天の書』に手を伸ばしたソイツはユーリが魄翼で絡め取りもう一人はすずか様がセットアップして拘束してしまっている。いやー、過剰戦力じゃありませんか?

 

「私の邪魔をする者はみんな消えてしまえば良いのよ!!!」

 

「それよりも、そうニャ成分を……」

 

いや、ホントに……とても、怖いです。闇堕ちしたすずか様が、ホントに邪魔する者を殺し兼ねないんですが!?後、ユーリも闇堕ち仕掛けていませんか?もしかして、すずか様の真似かな?まあ、その、うん。会場が、一気に賑やかになって大混乱ですねw。いやー、草が生えて大草原になりそうだ。チラッと原作組を

見れば、目を点にして固まっている姿が見えた。その様子が、余計に笑いを誘う。というか、俺のツボにストライクだったらしく湧き上がる笑いから抜け出せなくなった。

 

「ブハッ、ハハハ!!ヤッベ、メッチャウケる!!」

 

「「ソーニャー(くん)〜〜!!!♡♡」」

 

ツボにハマった俺の背後で、闇堕ちした二人が師匠に突撃してそのままガッシリ捕獲。三人で、倒れたまま動かなくなった。そう言えば、お預け状態でここに連れて来られましたもんね?

そりゃ、我慢の限界を超えていてもおかしくは無い。

 

「とりあえず、俺で答えられるなら答えますが……質問ありますか?ああ。因みに、こちらのアリサ・バニングスさんと月村すずかさんは本物の当人なのでクローンとか言わないで下さいね?」

 

何なら、過去の思い出とか語り合って貰っても良いですよ?こっちの世界のすずかやアリサが、魔導師に拉致られてその記憶や人格を複製されているって言うのなら話は変わって来るけど。原作でも、二人は平和の象徴的な存在だから事件に巻き込まれた事は無いだろう。無いよな?ちょっと、不安になる。

 

「…………と、とりあえず、説明して貰えないか?こちらとしては、何がなんだかサッパリなんだが……」

 

「あー、うん、まあ、そうなるよねぇ……じゃぁ、日本の国民的アニメドラ○もんの知識を持ち出しまして『もし○ボックス』……つっても、わからないか。パラレルワールドって御存知ですか?もしくは、平行世界でも良いですけど」

 

師匠が、今現在使い物にならなくなってしまったので俺が代理に。あちらもあちらで、硬直したまま戻らなくなってしまった彼女等に代わりクロノ・ハラオウンの質問に答えて行く。

 

「平行世界……」

 

「そそ。時空管理局は、並列世界……あー、世界観の違う世界への行き来は出来ると思いますが、同じ世界観で歴史とそこに生きる人々が違う世界へは行けないですよね?」

 

「同じ世界観で、歴史と住まう人々が違う世界……そんな世界が、存在するのか!?」

 

ええ、存在します。例えば、ハラオウン家が『闇の書事件』に巻き込まれなかった世界とか、ね?探せば、実在すると思われるぞ?

 

「我々は、次元漂流者ではありますが……漂流の仕方が、並列世界から並列世界への行き来ではなく平行世界から平行世界への行き来になります。なので、見ての通り同一人物が居るので色々と面倒なんですよねぇ……まあ、同一人物ではありますがリンカーコアの有無もありますので、その、なんですかねぇ?世界に混乱をもたらしちゃうんですよ」

 

「…………その技術は、こちらに提供して貰えたりするのかな?」

 

んん?ああ。クロノが言ってる技術ってのは、平行世界への行き来が出来る《時空石》の事だろう。だが、コレを提供すると世界が混乱する事になるだろうから決して提供する事は無い。

 

「止めといた方が良いですよ?下手をすると、世界と世界がゴッツンコとか天体が重なって同空間で現界。膨張起爆します」

 

「…………膨張起爆……」

 

「膨張起爆した場合、数万の次元世界で空間が割れます。次元断層が、可愛く思える様になりますね。ええ、あんなもんお菓子の袋を開けた様なモノです」

 

「………………その例えは、納得しかねるが……」

 

「マジで、次元断層がゴミレベルの災害になりましたね。実際に体験したら、子供の玩具としか思えなくなりました」

 

「……………………」

 

いやー、マジで心が死ぬかと思ったわ!!ホントに、不老不死で良かった。そうでなければ、あの疑似体験の時点で人生終了のお知らせだったからな?因みに、実際には体験して無いけどVRでは何度か体験させて貰っている。

見た方が早いって言われて、教育VRでソレの体験をさせられた。結論、アレはアカンヤツだ。疑似体験だっていうのに、何故か世界が割れる瞬間を見たら精神が引き裂かれる様な感覚に陥った。実際には、引き裂かれる事があったらしいけど……アレは、引き起こすべきではない現象だ。

というか、次元が()()()と表現するべきか()()()というべきか……実際には、()()()()()()()()()が正しいだろう。内側から、空間が膨張する様に膨れて引き裂かれる現象を見た時は『次元?空間?何それ、美味しいの?』と言えてしまうくらいにはとんでもない現象だった。『次元が裂けた』では無く、正に『爆散した』と言っても過言では無い現象だ。

 

「悪いけど、技術提供は出来ない。アレは、旅する程度なら良いけど……交流するのは、マジでオススメしない。それに、交流するとなれば人の出入りも視野に入れるんだよな?今でも、困窮しているのにそれが単純に倍になるんだぞ?」

 

「…………ああ。人員不足が、加速する上に問題が二倍になるのか……それは、駄目だな。すまない。聞かなかった事にしてくれ」

 

「まあ、それで済めば良いんだけど……世界と世界を隔てる境界を越えるという事自体が禁忌だから。それと、別の脅威が現れる可能性もある。それこそ、魔法の通じない物理的にも現在の科学力では到底傷すら付けられないガチにヤバいのが居るらしい。俺は、見た事はないけど……師匠、見た事はありますか?」

 

「概念モンスターか?もしくは、次元モンスターかな?」

 

「概念モンスター……って、あのスライムですかね?物を融かす、分裂して増える、されど命の概念が抜けちゃった死なない化け物ですよね?次元モンスターは、ちょっとわかりかねますが……概念モンスターは、そういう何かしらの概念が抜けてる怪物を指します。因みに、俺も倒せません」

 

なので、概念モンスターの場合は虚数空間に押し込む対策が主流になってたりする。つか、命の概念が抜けちゃってるスライムとか増えるだけ増えるので、あっという間に惑星くらいなら食べてしまうという。体力や、HPなんて概念も無いからノースパンで無限増殖する。なので、見付けたら増える前に虚数空間へ捨てるのが対応策だった。《旧・神族》ですら、避ける概念モンスター。

アレは、手を出すべきでは無い怪物だ。《堕ち神》ですら、何も出来ずに喰われるらしいからな?《神殺し》でも、倒せない危険生物。師匠なら、『ルール・ブレイカー』でそのモンスターに死の概念を叩き込めるので倒せるらしいけど……そこまでしないと倒せないとか頭おかしい。

 

「兎に角、運が悪ければ世界が終わります」

 

「……………………」

 

これは、知らなくても良い知識ではあるけれど……こういうのが居ますよ〜って言うのを先に示す事で、管理局の興味を逸らすのが目的なので容赦はしない。師匠も、ノリノリでヤバそうな奴等を上げてくれているしここは乗っかる場面だ。ただ、概念モンスターに関してはスライムだけじゃ無いんだよ。アレ等は、人間が想像出来るモンスターであればどれにでも当て嵌まるからかなり厄介な存在である。モンスターの特徴はそのままに、死の概念が抜けていたりするので宇宙空間でも活動出来る奴等がいるから気が抜けない。例えば、『蜂』とかが代表的だ。なにせ、奴等は惑星を『巣』にして増え捲くった。そんな、『蜂』型モンスターが居たんだよ。俺的には、『女王蜂を倒してしまえば何とかなりそうだなぁ?』と思ったんだけど……女王蜂を倒しても、次から次に女王蜂が乱立するっていう概念モンスターが。

 

――現実って、世知辛いなぁ。

 

しかも、活動範囲が宇宙までも含まれるから数多くの惑星が『巣』にされてそこに住むありとあらゆる物が奴等の栄養となった。

奴等は、『食事』を求めて多方面の惑星を占拠し宇宙の食い潰しに掛かった故に【組織】との全面戦争にまで至ったって言うんだから頭おかしい。教育VRで観た限り、宇宙戦艦ヤ○ト2202というアニメで見た以上の大艦隊で殲滅戦をやっていた。そんな、歴史記録を見せられた時は意味不明過ぎて中々呑み込めなかったよ。

その後で、当時の記録を観戦せられ漸く受け入れられたけど。現実とは、思えなかった。もう、お腹いっぱいです。

それを見て思ったのは、宇宙戦艦ヤ○ト2202で見た土星戦。数多の宇宙戦艦が、ワープして来て砲撃戦をやっている様な感じ。ただし、アレ以上の泥沼戦だった。

もう、【組織】の生産力をフルで使って無人戦艦&戦闘機を大量に送り込むだけの戦いだった気がする。最終的に、【組織】がゴリ押しで押し切った形だったけれど。アレはもう、地獄以外の何物でも無かったね。

今では、ウチの師匠が《ルール・ブレイカー》で奴等の活動範囲を惑星内に押し留めてくれる様になったから殲滅戦が機能する様になったらしいけど。それまでは、本当に物量で押し切るだけの戦いをやっていた模様。

 

――概念モンスター、ガチでヤバ過ぎるんですが!?

 

流石、《旧・神族》も避けて通る存在である。アレ等に関しては、《旧・神族》も手を出せないらしく一切関わろうとしないらしい。

まあ、ただの殺戮者だからなぁ?理性も知性も無いというから、どうにもならない危険物という認識とのこと。出会ったら、即その世界から逃げ帰るという。で、下っ端が【組織】に連絡して倒させるんだと。その間は、何処かに雲隠れして出て来ないそうだ。

それを聞いた時は、『は?』と頭が真っ白になったけど実際問題アレと遭遇したら誰でも似た様な態度を取るんだそうな。それ程までに、危険視される概念モンスター。

ガチで、ヤバ過ぎる危険物。

 

注意:概念モンスターは生物ではありません。

 

「もし、見掛けたら我々が所属する【組織】に御連絡あれ。最高の戦闘力で、次元諸共消し飛ばすから……まあ、見掛けた時点でその世界は終わりなんだけどね。世界終了のお知らせですw」

 

「おい!!そんなにヤバいのか!?」

 

「ヤバいっていうか、攻撃がほぼ通用しない。魔法なんて、効かないし?通常兵装……質量兵器のレベルなんて、現在の地球レベルに毛が生えた程度。唯一、アルカンシェルでワンちゃん?掠り傷でも付けられたら良い方かな?」

「アルカンシェルで、掠り傷……そんな、危険なモンスターがいるのか!?」

 

「だから、平行世界を行き来するのはオススメしない。ぶっちゃけ、俺等みたいな存在は知る必要性のない者でしか無いからな。ああ、因みに……俺等の場合は、師匠のレアスキルでサクッと倒せるから問題無しだ。ウチの師匠、最強なんで概念モンスターなんざ雑魚だよ。雑ー魚w」

 

「……………………」

 

「こんな、チビっ子な姿なのに一万二千年も生きてる不老不死さんです!ええ、武術も凄ければ能力もヤバい存在です!!」

 

「一まn……まさか、そんな馬鹿な話があってたまるものか!?」

 

「ガチです。因みに、俺もそろそろ百五十歳を越えそうです」

 

「え、百五十歳!?」

 

ええ、ホントにそれくらいの時間を過ごしています。

その原因は、ほぼ移動時間。師匠の世界調整の為に、あっちこっちを行ったり来たりしているのでホントにそれくらいの時間が経ってしまいました。いやー、ホント恐ろしい話ですよね?こんな見た目なのに、もう百五十年もフラフラしていたなんて思いもしませんでした。

 

「元は、コイツ等と同じイレギュラーな転生者だったのに師匠にスカウトされて転生者共を取り締まる側になってからはあっという間でした……」

 

「…………てん、せいしゃ?」

 

「はい。俺、人間(?)の人生三度目なんですよ。最初は、とある世界で一般人として生きてたんです。その世界で死んで、この世界に転生する事になりまして……その時、神様に出会って三つの特典――レアスキルみたいなモノを頂いて生まれ変わったんです」

 

「神様?レアスキルを三つ、だと!?」

 

「正確には、とある物語のキャラクターの能力と容姿。SSS+ランク並の魔力。そして、魅了能力の三つを貰って転生。魅了能力に関しては、そこにいる高町なのはや八神はやて。今、ここにいないフェイト・T・ハラオウンを含む美少女&美女を自分のハーレムに加える……そんな自分勝手な願いの為に行動してました」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「まあ、最終的に俺が結ばれたのはシグナムただ一人ですけどね」

 

「「「「「は!?」」」」」

 

「シグナム、お前が好きだ!魔法無し、剣術のみで模擬戦をして俺が勝ったら結婚して欲しい……ってのを条件に戦って見事勝ちました。当時、25歳くらいでそれから90歳くらいまで一緒でしたよ?その後に、今の自分に再転生しまして今に至ります」

 

「…………なんや、凄い話を聞いてる気分や……」

 

「実際、とんでもない話ではあるんですが……俺の人生は、そんなモンです。で、まあ……君達、イレギュラーだよな?」

 

とんでもないネタを暴露して、足元に転がる馬鹿共に話掛けてみた。すると、クロノ達原作大人組がガラリと雰囲気を変える。先程まで、俺の暴露話に驚愕していたのに子供達に迫る身近な脅威に緊張が走ったのだろう。まあ、今更な話ではあるんだけれど。

 

「ヴィヴィオ達を『俺の嫁』とか言って近付いているんだ心当たりしか無いだろう?実際、俺もなのは達を『俺の嫁』とか言って『ハーレムを作る!』と宣言していた口だ。だが、それは神々が面白おかしく暇潰しをする為にイレギュラーに刷り込んだ意識で……要は、お前等……洗脳されているだけなんだぜ?」

 

「「「え?」」」

 

「何故なら、転生者たるイレギュラーは『神々の娯楽』と呼ばれる存在だからな。なんで、ぶっちゃけとくと手に入れられないぞ?彼女達は。だって、この転生は神々が神々の為に暇を潰すのが目的で用意された娯楽だからな!お前等のモノになってしまったら、面白く無くなってしまうじゃないか。だから、デメリット特典つーマイナス特典を与えて絶対にお前等の望みが叶わない様に調整されているんだぜ?知ってたか?」

 

「「―――――う、そ、だろ……」」

 

「―――――マジ、か……」

 

「マジマジ。実際問題、俺は師匠にスカウトされた後平行世界を回って色んな転生者を見て来たけど……誰一人として、己の望みを叶えた奴を見た事が無い」

 

トーマは、除く。

アレは、自分で望んだ訳じゃ無いからな。

 

「どいつもこいつも、踏み台状態で自滅しまくっていたよ。その上、転生者の中には時限式の爆弾が埋め込まれている。発動条件は、転生者同士で殺し合いをする事。二人も殺せば、起爆する」

 

「「「ちょ!?マジで!?」」」

 

「マジだ。実際に、起爆して理性なき黒い獣となった転生者を屠った事があるからな?負の感情と呪いで、真っ黒な獣となった転生者は最終的に周囲を巻き込んで自爆する。その際、原作人物が巻き込まれると癒えない怪我を負ってしまえば、いずれ死に至る」

 

「「「……………………」」」

 

「―――と、そこまでが神々の娯楽だ。お前等は、原作人物を殺す為の道具なんだよ。他人の不幸は密の味ってな。神々は、悲劇と絶望を世界に満たしソレに翻弄される人間を見ていたいのさ」

 

「…………悪辣過ぎやしませんか!?」

 

「悪辣だよ?そもそも、この世界は確かに君達の為に用意された世界だ。つっても、君達を主人公にする為の世界じゃないぞ?君達がこの世界に影響を及ぼし、それによって翻弄される人々を眺めるのが神々の娯楽。ぶっちゃけ、神々が面白いと感じられるなら、それで良し!君等が、幸せになろうがなるまいが知った事じゃねぇんだよ!!そもそもな話。この世界には、悲しみと痛みが溢れているだろう?高町なのはが挑む物語は、そういうモノなんだってお前等は知っていたハズだ。魔法少女リリカルなのはって物語は『悲しみと痛みと最後の希望』がテーマとなっている物語なんだから、ここ程神々の娯楽に適した世界も無い」

 

「「「…………oh。それ、言ったらアカンヤツや……」」」

 

そう言って、両手で顔を覆った転生者達は頭を抱えて蹲ってしまった。そして、原作人物達はこの世界が物語の世界で更には複製されたコピーである事に頭を抱える事となる。いやー、ぶっちゃけ過ぎましたかねぇ?クケケケケ。

 

「知っているとも!だが、言わなきゃわからないのが人間と言う生き物だ。言わせたのは、君達なんだよ?わかっているかな?……いやー、暴露楽しいなぁ!!」

 

「「「「「「「「「おい!?」」」」」」」」」

 

転生者含む、その場に居た大人全員からのツッコミ。

 

「HAHAHAHA……」

 

師匠が良く、暴露話を楽しそうにやってる意味が良くわかる瞬間だった。いやー、コレ本当に楽しい説明だよね!こんなに楽しいなら、これからも俺が暴露話を担当してみたい所。しかし、師匠が俺を睨んで来ているので次は師匠にパスして置かないと鍛錬が更にキツくなりそうだ。いずれにしても、鍛錬が無くなる訳でも無いのでこの話は終わりとする。

 

「じゃ、後は師匠にお任せって事で……よろしくお願いします!」

 

「お前……丸投げして来るんじゃねぇよ!?」

 

とりあえず、原作組に視線を向けて困惑しているのを確認した後、振り返って師匠に話題をパスした。何故なら、これ以上の話が俺には無いから次に何を語って良いかがわからない。

なので、師匠!お願いしゃーす。

 

「…………全く。面白い部分だけ説明しやがって……さて、概ねここまでの話は良いか?じゃ、転生者諸君。君達のレアスキル……もしくは、神様特典と呼ばれるソレを今ここで破棄しようか?」

 

「え、えええぇぇぇぇぇ!?」

 

「まあ、破棄と言っても能力値の引き上げだったり物品的な話であれば安心すると良い。何故なら、其れ等は今更破棄した所で問題にもならないからな?例えば、神崎みたいにSSSランク並の魔力とかなら既に増えているからその特典を消した処で引き上がってしまった能力値を元に戻す事は出来ない」

 

そもそも、底上げされた能力値が特典の有無で下がるなんて現象が起こっていたら、誰も能力値を上げようとは思わなかったハズだ。ぶっちゃけ、一度上がった能力値は転生後に破棄してもそのままだったりする。というか、余程の理由が無ければ能力値が下がるなんて事象は起こり得ない。そりゃ、事故で片腕失ったとかなら能力値の低下は否めないけど。そうでないなら、現状維持だ。

 

「因みに、高性能なデバイスを特典として願っていても現在この世界で使用されているデバイスよりちょっと上程度の性能だ。一度でも、デバイスマイスターに見せてしまえば真似されて全てのデバイスが同等になるだけの話だからメンテナンスまでの間だけの優位性だ」

 

「ファ!?マジか、そういうオチなのかよ!!」

 

「神崎。なんで、お前が驚く?そんなのは、当たり前の世界だろう?そもそも、時空管理局でさえ有能な技術があればそれに群がって力尽くででも手に入れようとするんだ。そんな世界のデバイスマイスターに高性能なデバイスを見せたら技術を盗まれるのに決まっているだろう?」

 

「…………言われてみれば、その通りでした……」

 

「だから、それを見据えた上で神々からの技術提供という事になるんだろうが……被害は、微々たるモノに納められる。つまり、どれだけ『高性能なデバイス』を願っても現状から少しだけ上の技術程度で済ませられるんだ」

 

「汚っ!神様、汚い!そこは、惜しみなく技術を投与しろよ!?」

 

「その場合、僕のデバイスの様に現行の技術者では全くわからない意味不明なモノとなって……ロスト・ロギア扱いで、管理局に奪われるんだろうな?」

 

「はっ!?ちょ、特典の意味が無いじゃないですか!?」

 

「上手く出来ているだろう?この世界は、本当に神々に取って都合の良い世界なんだよ」

 

何、それ……結局、転生者に取って都合の良い転生なんて無いって事じゃないですか!?わかっては居ますけど、それでも夢を見せてくれたって良いじゃないですか!!

 

――なのに、この仕打ち。どこまで……っ!!

 

「後は、神崎の魅了能力についてかな?多分、そこが一番気になっている所だろう。なぁ?特に、標的とされた女性諸君?」

 

「使えませんでした!!」

 

師匠に問われて、八神はやてが口を開き掛けたが俺はそれを言わせるつもりも無かったのでバッサリ真実を話す。つか、同じ転生者の中に似た様な特典持ちが居たら使えないとか思わないから。

 

「はぁ。先に言われてしまったが……これには、理由がある。転生者の中に、似た様な特典持ちが居ると其れ等が干渉し合って使えなくなるんだ。神崎の場合は、身近に同じ特典を願った転生者が居てそのせいで使い物にならなかったんだ。で、ここからが笑える話でな?使い物にならなくなったソレはそれでも機能しようと働く訳なんだが……」

 

「ちょ、師匠!それは、言わなくて良いと思います!ちょ、マジで言わないで下さい。お願いだから、言わないで下さいぃ!!」

 

「喧しい!黙ってろ!!《沈黙》……何とか、相手に魅了能力を通そうとした結果。表面上は、惚れている様に見える()()な能力に成り下がったって訳よ。そう、表面上惚れている様に見える、だけ!!って事にw」

 

「…………表面上?」

 

師匠の説明に反応するのは、八神はやて。まあ、一番、気になる人ではあるんだろうけど……やめて!!理解しないでぇ!!

 

「うん。つまり、神崎が対象に近付くと神崎からは相手が自分に惚れている様に見えるんだ。しかも、相手が嫌悪感MAXで神崎を罵っていてもまるで恋人が愛を囁いている様に、感じるんだ!」

 

「ちょ!?それって……何の意味も、あらへんやん……」

 

「それをコイツは、信じてたんだぜ?完全に、道化だよな!!」

 

酷い!!

師匠が、とても酷い嫌がらせをして来るんですが!?

黒歴史の暴露に、恥ずかし過ぎて顔を上げられず心痛め泣いていると何故か転生者の一人が顔を青くして俯いていた。それをボゥと眺めていたら、ある可能性に行き着いてしまう。まさか、お前も……持っているのか!?《ニコポ・ナデポ》を?いや、まさか、そんな訳……俺の視線に気が付いたのか、その転生者がこちらを見る。

そして、スッと視線を逸した。

 

「うぉい!?」

 

「………………フッ……」

 

同じ痛みを知る同士よ!!

 

 

 

 

 




概念モンスターについては、作中で説明されたので良しとする。アレは、存在する生物の大まかな特性を形にした物体という設定。生物ではない。だが、モデルとなっているモノが生物なので食事として周囲にあるモノを食べるんだよ。必要無いんだけど、元となったモンスターが…ああ、いや。概念の方が、モンスターの元になっているから逆なのか。兎に角、その特性を一つの塊にした物体という認識でOK。まあ、生物では無いので死という概念が無いんだけどね。それだけの怪物という物。

だが、次元モンスターについてはかなり昔に説明を書いたと思うんだが…違っていたらアレなので、ここで説明を。次元モンスターとは、概念モンスターと違って実体を伴わない高次元精神生命体の事。要は、何かに宿って周囲を攻撃する怪物。倒されても、次から次へと他の物に乗り移って暴れ続ける幽霊モドキ。悪魔とも言えるソレは、直死の魔眼で倒せます。概念モンスターは不可。そもそも、死という概念が無いからな。でもって、コイツ分裂とかはしないけどちょっとやそっとじゃ死なないし、宿った主物を変質させてより攻撃的により強大に進化して行きます。最終的には、手も足も出ない惑星級の怪物になって惑星を砕く迷惑な存在になります。なので、最初に直死の魔眼辺りでサクッと倒してしまわねばなりません。もしくは、魂を破壊する攻撃とかが有効。

いずれにしても、クソッタレなモンスターの話でした!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。