絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四八九話

双夜:

 

 

「出直して来い!」

 

そう、目の前で伸びている馬鹿に告げて俺はリングから降りた。

全く、どいつもこいつも俺がヴィヴィオと共に居ると直ぐ喧嘩を売って来やがって……お陰で、たった一週間で日数の倍以上の戦闘を繰り返している。コッチは、やる気が無いのに向こうは俺を殺す気で飛び掛かって来るからちょっとだけ手加減をして転がす程度にしていた。

まあ、転生者はソレで全然構わないんだけれど。

もう一方の方は、とてもノリ気で俺との模擬戦を何度でも強請って来る。一方的な戦闘になるんだけどね?それに加えて、ヴィヴィも加わって来るので色々面倒な気分になっていた。

 

「お疲れ〜。やっぱり、お兄ちゃんは強いね!」

 

「所詮は、烏合の衆だからな。あんなのが、束になろうが障害にもならんよ。で?まさかとは思うけど、まだヤるのか?」

 

「当然です。是非とも、お手合わせをお願いします」

 

「脳筋に加えて、格闘馬鹿とでも付け加えようか?」

 

「まあまあ……というか、お兄ちゃん全然疲れて無いよね?」

 

「あんな程度の低い戦闘を繰り返させられると逆に疲れるんだが?もっと、こう……濃密で実りのある戦闘を望む」

 

言って、その場に居たチビッ子達に視線を向けると大人共も一緒になって視線を逸しやがった。流石に、デモンストレーションとして使い魔とガチ戦やって見せたら……この調子である。それでも、嫉妬で挑んで来る転生者共は馬鹿としか言い様が無い。

 

「何なら、そっちのナンバーズでも相手にしようか?」

 

「いいッス!私等は、見学だけで十分ッス!ね、姉貴!!」

 

「う、うん……双夜は、ヴィヴィオ達の練習に付き合ってあげて……その方が、ヴィヴィオ達も喜ぶから……」

 

こんな風に、全力でお断りされる始末である。

それはもう、力いっぱいお断りされるので稀に追い駆けっこで追い詰めてやったりしていた。

俗に、『ストーキングオバケ』。

彼女達のセンサーでは、俺の存在を捉え切れないので背後からワザと音を立てて付け回したり……唐突に姿を現して脅かす様な真似をしていた。なので、この怯えっぷりだ。

流石に、己の目やセンサーで捉えられないと色々と怖くなるらしい。今でも、俺の仕業だと知ってても怯える始末。

更には、全力で戦っても負け戦確定だとわかっちゃったらしく今では俺との対戦を避ける様になってしまった。

ちょっと、センサーに引っ掛から無かっただけでこの反応。コイツ等、幽霊とか駄目なタイプなんだな?

お陰様で、悪戯と妄想が捗る捗るw。

 

「今度、肝試しとかやったら楽しそうじゃない?」

 

「もう、お兄ちゃん!ノーヴェ達をイジメないで!!」

 

「そういうヴィヴィも、怖がりだよな?なんなら、聖王のゆりかごでも持ち出して俺の真上に落としてみるか?」

 

「絶対、勝てない戦いになるよね?って、お兄ちゃんがそんな攻撃で倒せるなんて思ってないよ!?」

 

「あの質量なら、イケるんじゃ無いか?」

 

「むしろ、逆にゆりかごが真っ二つにされる気がする……」

 

良くお解りで。例え、今聖王のゆりかごがこの場にあったとしても俺個人の一撃で破壊する事は可能だ。だから、ヴィヴィのツッコミにニッコリ笑顔で返して置いた。

 

「恐ろしいッス……何で、こんな怪物がいるっすか!?」

 

「ヴィヴィが、見付けて来たんだぜ?どうだ、自分達の王様は?」

 

「陛下、素晴らしい慧眼です……」

 

「ちょ、お兄ちゃん!?って、ウェンディ達まで!?」

 

「マジで、スレ違い様に確保されました……」

 

「もう!なんで、そういう事いうの!?」

 

「事実だからな……致し方無い。それはもう、コイツだ!!って感じだった。逃げる間もなく捕まえられたよ。HAHAHAw」

 

ホント、青天の霹靂だったとも。

まさか、中身が()()ヴィヴィだなんて思いもしなかったからな。というか、どういう理由で『ヴィヴィオ』が【ヴィヴィ】になった経緯とやらはまだ確認出来ていない。

だが、転生者共が色々やらかした結果がこのヴィヴィなんだと思われる。流石に、秘密基地へ戻る事は色々不味いので『ヴィヴィオ』がヴィヴィになった理由はこのまま放置だ。それよりも、さっさと【約束】を取り付けてコッチ側に引き込みたい所。

なんなら、ユーリも呼んで遊ばせてみても良いかも知れないな?まあ、ユーリを呼ぶ時は八神家の奴等が居ないと面白味が無いんだけど。てか、神崎はユーリ達を出してくれているのだろうか?出してくれてないと、後々俺が面倒事に巻き込まれるんだけど?

ぶっちゃけ、テオルグ達が居るから出してくれて居ると願って置こう。もし、出してくれて無かったら……諦めるか。というか、翼を出さないなんて選択肢はありえないだろうから問題無いと思われる。でなければ、無理やり出て来るだろうしなぁ?

 

「さて、ヤるかぁ……」

 

「!では、対戦願えますか!?」

 

「はいはい。じゃ、覇王っ娘からだな……ヴィヴィ達もやるか?」

 

「んー……私は、また今度。今、新技の練習してるからそれが終わってからかなぁ?」

 

「あ、私も今日は止めときます!」

 

「あたしは、お願いしまーす♪」

 

「はいはい。じゃ、覇王っ娘。胸を貸してやる。来い!」

 

「はい。お借りします!」

 

言って、覇王っ娘が踏み込んで来るがソレを適当にズラしながら腕の外側を叩いて弾く。ぶっちゃけ、片手で足りる程度の強さなんだよなぁ。例え、魔技が使われたとしても全然問題にもならない。なので、この世界の魔法格闘戦は俺からするとスポーツの域を出ない。ただ、それでも人を殺す事は出来るので古代ベルカで戦争に使われていたっていうのには納得している。してはいるけど、非殺傷設定が戦いを温くしているのは間違い無いだろう。だからこそ、覇王っ娘がおかしな勘違いをしているのは致し方が無いと思われた。しかし、行き過ぎれば例え問題無いとされるモノでも人を殺せる武器となるのは歴史が証明しているので彼女の勘違いは正した方が良い。だけど、それを正すのは俺じゃ無いのでソレに関してはヴィヴィに一任する。

とりあえず、覇王っ娘が魔技を放とうとする度に殺気を飛ばして動きに制限を掛けてやっている訳だが……まだ、気が付かないのか。こりゃ、先が思いやられるなぁ?本人は、今一なにが起きているのかわかってないみたいだけれど……段々、ソレが己の内から生じるモノでない事に気が付きつつある様だ。まあ、ナンバーズでさえも最初は気が付いて居なかったから経験の浅い覇王っ娘では致し方無い。だからといって、手を抜く気は無いんだけどな。

因みに、ヴィヴィには言った。

瞬間的に、殺気を当てる事で動きを鈍らせる事が出来る、と。それを聞いたヴィヴィは、凄い凄いとはしゃいでいたけど……やり方を聞いて、とても難しいという事を本能で理解した模様。

なので、ちょっとばかしヌルい殺気を1分ほど当てて見せたら諦めてくれたので今は殺気に慣れる練習を重ねている所だ。それを知ったノーヴェに、メッチャ注意されたけど。でも、人間って言うのは感情を持つ生き物だ。理不尽な理由で、逆恨みしてくる輩も居るので必要な事だと言って納得させた。

 

「……くっ!覇王!!」

 

その時、何に焦ったのか覇王っ娘が魔技を使った拳を繰り出そうと踏み込んで来たのでこっちも同じ技で対抗する。

つか、解析完了。技法は、やはり発勁を組み込んだ技。

それに加えて、氣の代わりに魔力を練り上げ拳に乗せて放つが故に魔技と考えられているのだろう。これなら、確かに非殺傷設定を組み込む事が出来て相手を殺さずに無力化出来るだろうけど……また、無茶な設定だなぁ?それに、ヴィヴィ達と一緒に成長して行くのを想定されているからか、魔力の練り上げに無駄があるので浸け込める隙は多い。そういうのは、もっと緻密にした方が威力は上がるんだぜ?

 

「断空拳!!」

 

放たれる拳を、両腕をクロスして受け止める。そこを起点に、打ち込まれる衝撃と魔力を利用して身体全体で円を描く様に全ての力を右脚へと伝達する。左脚は、足裏から魔力の根を地面に突き刺して食い込ませた。それを、全力で踏みしめイメージするは大地に根を張る巨木。

さあ、喰らえや!!

 

「覇王、断 空 脚 !!」

 

「え!?」

 

覇王っ娘の土手っ腹に、右脚を食い込ませる様に捻り上げてみた。結果、己の力と俺の力の両方を受け止めた覇王っ娘が空に打ち上げられる。とりあえず、回復魔法も叩き込んで置いたので内蔵が破裂してても回復するだろうけど落ちる場所へと急行した。

オーライ、オーライ……はい、キャッチ。

ズッシリとした、覇王っ娘を受け止めてゆっくりと地面に横たえると、気絶したのか覇王っ娘が本来の姿へと戻ってしまった。

 

「あー!!ちょっと、何してるのお兄ちゃん!!」

 

「不可抗力、不可抗力。ちゃんと、回復魔法も付けたから問題は無い。まあ、気絶しちゃったけど……」

 

「おいおい、勘弁してくれよ?一応、あたしが預かってる大事な子供なんだから、余り無茶な事はしないで欲しいんだけど……」

 

「いやぁ……覇王拳返しをしただけなんだけどなぁ……」

 

「いやいや、覇王脚とか言ってたじゃんか!?」

 

「拳で出すモノを、足で出しただけだろう?そりゃ、足の方が威力が出るとは思うけど……不可抗力だって!!」

 

「つか、本人はまだ右拳でしか出せないモノを脚で出したのか?」

 

「出しましたが、何か?てか、アレだけ見せられたら普通に打てるって。まあ、当人の素養とかあるけど……元々、似た様な技法が使えるんだぜ?何なら、タックルでも出せるぞ?」

 

「マジか……いやいや、そうじゃなくてだな!回復魔法が、必要な程の攻撃を子供に出すなと言っているんだ!!」

 

「見ろ!僕だって、子供だぞ!?」

 

「45歳って言ってなかったか!?」

 

「昔は昔。今は今だ……12歳で、登録されているぞ?」

 

「ああもう!!兎に角、必要以上の攻撃は禁止だ!禁止!!」

 

「なら、ディエチで手を打ってやるぞ?」

 

「……良いだろう。ディエチ、相手してやれ!!」

 

「ちょ、勝手に人を売らないで!?」

 

何故、ディエチなのかというと気質的な好みで彼女が一番合って居るからである。能力的には、セインが良いんだけど……彼女は、悪戯仲間なのでこういうのには向かない。

 

「つかよ、お前も使えたんだな?アレ……」

 

「正確には、発勁だな。地面に付けた爪先から生じるエネルギーを脚から拳へと魔力を練り上げながら移動させて放つのが断空拳。でも、僕の場合は魔力の根を地面に突き刺して大地の力も加えて穿つから爪先よりも強いエネルギーを生み出せる」

 

「おいおい、聞いてないぞ!?」

 

「発想の転換。魔力って、使い方によってはエゲツない事が出来るからなぁ?ほーら、足裏から木の根っこみたいな魔力が……」

 

言って、足裏を見せつつジャキっ!とスパイク状の魔力刃を出して見せたらノーヴェが頭を抱えて蹲ってしまった。いやー、コレを習得した時はまだ人間でさ……足の痛覚が無くなっちゃってずっと浮遊している様な感覚になっちゃったんだよねw。あの時は、ホント気持ち悪かった。歩いていても、地面を踏んでる気がしなくて無駄に地団駄を踏んでは脳に言い聞かせていたから。

因みに、今は普通に感覚があるので問題ない。

 

「後は、攻撃的なプロセスを組み込んでは居ないけど……魔力そのものを引き出して、物を掴んだり投げたり出来るぞ?」

 

要、《魔力操作》の強化が必須だけれど。出力を下げれば、目にも見えなくなるから《サイコキネシス》とか呼んでいる技術だ。

 

「その場に居ながら、割と遠くのモノを持ち上げたり振り回したりも出来る。間夜中に、人影が無くても物が勝手に動いたりするのはこんな技術があるからなんだろうな?ポルターガイストw」

 

瞬間、ナカジマ家の面々が何かに気が付いた様な顔をする。

 

「お前か!?お前なのか!?」

 

「家の外から、室内のモノを動かしてビビらせてみた?」

 

「お前かよ!!クソぉ……!!」

 

ビビるナカジマ家は、本当に楽しかった。ちょっと、小刻みにモノ音を立ててみせただけなのにスバルもギンガも超怯えててさ。

 

「アレは、最高でしたね!!」

 

高々、一週間。されど、一週間。その間、俺は自由に行動が許されていたからなぁ?ええ、とても濃密な一週間でしたとも!!

 

「ナカジマ家は、ビビリが多いからとても楽しかったよ?」

 

「酷いッス。あの後、暫く一人でトイレも行けなかったのに……」

 

そりゃ、残念。そうと知っていたならば、もっと沢山イジメて上げたモノを。それこそ、二度と一人では真夜中に動けなくなるくらいに恐怖で雁字搦めにしてやれれば溜飲も下っただろうな?

高町家に居候し始めた際、一番絡んで来たのがナンバーズだったからとても面倒だった。しかも、俺の経歴が辿れないからと色々チョッカイを掛けられてはヴィヴィに注意されていた彼女達。

ならば!と、模擬戦を申し込んでナンバーズを蹂躪してみせれば触発された八神家が参戦して来て大騒ぎ。最終的に、お疲れ様でした!から汗を流そうという流れになって俺の苦手なモノがバレ……その上で、調子にノッたウェンディ達によって模擬戦の報復を受ける事となった訳だ。ソレの報復の報復が、ナカジマ家での幽霊騒ぎである。全力で、挑ませて頂きましたとも!!

カッターンコロコロ……から始まる幻影魔法のコンボは余程堪えたらしい。定番と言えば、ドアのパタパタや引き出しの出し入れとかも定番だな?カターンコロコロドバン!ドバン!!とか、ネタバレする前にやってみても良かったかも知れない。

因みに、俺にリンカーコアが無いのは最初の段階でなのはさんに伝えていたんだけれど。俺が、魔法を使えるという事をヴィヴィがバラしてくれたので容赦なく叩き潰させて貰っている。

 

「《幻影魔法》から、始まる悪夢のホラーコンボがそんなに気に入ったのかい?なら、もっと陰湿で拗れたヤバいのを披露しなければ……是非、報復の報復を受け取ってくれたまえ……」

 

「いらないッス!!」

 

「大丈夫。今度は、君達の目にも映るヤツだから!!」

 

うっすぅらと、手に掴めそうで掴めない幻でふわっとした幽霊とか楽しそうで良いじゃない。遠くから見たら、ぼんやり人の顔に見える系の幻影とかも面白そうだ。近くだと、白いモヤみたいなモノに成り下がるけど。全員が、固まって生活している訳じゃ無いから人によっての見え方という味があっても良い。状況を把握出来る奴、把握出来ない奴が居て当たり前なんだから見え方は多方面で良いのだ。因みに、なのはさんにはまだヤッてない。

そういう事が出来ると伝えた時点で、顔を真っ青にして怯えていたから下手をすると面倒な事になりそうなので今はナカジマ家で我慢している所。

 

「因みに、なのはさんに仕掛けると魔法を乱射しそうなので控えてる。流石に、魔力が尽きるまでディバインバスターの雨霰なんて見たくも無いからなぁ?恐怖と混乱で、発狂状態のなのはさんとか見たい?」

 

「「「いや、ムリムリ!!」」」

 

「懸命な判断だ。あ、と……スバルには、教えるなよ?一緒になって固まりそうだしなぁ?」

 

「「「あー……」」」

 

実際問題。ホラー展開で遊んだら、マジ泣きで頭を抱えて布団に包まっていたからなぁ。それをフォローしようとして、一緒に怯えていたギンガも幽霊怖い派だったみたいなのでその時は直ぐに手を引いた。何故なら、ターゲットはナンバーズであってスバル達では無いからだ。下手に、トラウマを植え付ける訳にも行かないので致し方なく手を引いたのである。ここで、暗闇に恐怖を覚えさせると任務とかに支障が出そうだったから。なので、セインとかウェンディとか緊急時以外で出動する気のない奴等にトラウマを突っ込んでいる所。さあ、恐怖と混乱に身を焦がそうか?

 

「それに、スバルとかなのはさんって追い込み過ぎると逆にヤバそうだしなぁ?発狂からの覚醒で、魔法乱射とかしそう……」

 

「…………言われてみたら、そんな感じがするッス……」

 

イメージ的な話ではあるけど、あの手の人種は追い込み過ぎると逆に危険な場合がある。そりゃ、ボルテージが最高潮になったら気が抜けて気絶するっていう感じの人種なら問題無いんだぜ?

だが、最高潮から反転して暴走に走る人種が居るので見極めが必要な場合がある。多分、なのはさんやスバルはそういう系統の人種だ。スバルは、若干気絶方向に傾いている気がしないでも無いけれど……手が、出そうなんだよなぁ?こう…物理的に殴って追い払う的な?感じがするんだ。

 

「それで、助けようとした人物をボコるんだぜ?」

 

「あー……何となく、わかる。確かに、殴って解決しそうだ」

 

「なのはさんもスバルも、思い詰めるタイプだろう?フェイトちゃんやはやては、周囲に相談するタイプだし……」

 

「……良く、見てるんだね?」

 

「ただ、フェイトちゃんの場合は状況によって抱え込みそうな感じもあるから、逆に周囲が構ってくれてるから問題無さげ?」

 

「ホント、良く見てんな?」

 

まあ、フェイトちゃんにはエリオとキャロが居るから大丈夫と言えば大丈夫なんだけど。はやても、守護騎士達が居るからガス抜きは可能。問題なのは、なのはさん……一人なんだよなぁ?

ヴィヴィが居るとはいえ、出来れば年上の頼れる兄貴的な存在が居ればもう少しゆとりが生まれるんだが……周りは、問題児だらけと来たもんだ。俺は、どう頑張っても見た目がお子様から抜け出せないので不可能だし?だからと言って、ユーノ・スクライアやクロノ・ハラオウンでは今一役不足。全く、窮地に立たされ易いったら無いね……主人公。態々、追い詰める様な設定を…。

 

「今すぐ、どうこう出来るモノでも無いし……僕は、用事が終われば居なくなる。打てる手は、神崎くらいだが……神崎を残して行く訳にも行かないし?トーマじゃ、まだ不安がある」

 

手詰まりだった。トーマが、もう少し成長していればなんとか出来なくも無かったけど。しかし、トーマ一人で全ての平行世界をフォロー出来る訳も無いから意味がない。だからと言って、ここだけをどうにかしたとしても五万とある平行世界が放置となるなら価値も無い。ホントに本気で、手詰まりだった。

 

「良くぞまぁ、ここまで一人を追い詰められるモノだ……」

 

そんな事をブツクサ言っていると、俺の袖をくぃくぃと引っ張ったヴィヴィが『私が居るよ?』とか首を傾げながら主張してきたけど……役不足なんだよなぁ。まあ、『今は』と頭に付くけど。

 

「…………今後に期待する。今は、役不足」

 

「うぐっ!……わかってた。わかってたけど!お兄ちゃんって、辛辣……」

 

「なら、なのはさんと一対一で戦って勝って?」

 

「…………鬼ー!悪魔ー!!」

 

ダッと、逃げて行くヴィヴィ。だが、それが出来ればなのはさんの心はまず折れなくなる。確実に、自分が駄目になってもヴィヴィが居れば何とかなると思えるだろうからな。まあ、高町なのはが負けるイメージは浮かばないけど。それでも、支えにはなれるだろう。

ただし、今はインターミドルチャンピオンシップが目前に迫っているのでヴィヴィ達チビっ子組は訓練に調整と大忙しだ。今も、個別指導が終わって戻って来たアインハルトと俺が対戦していた所。普通に戦っても、覇王流を使っても俺の勝ち越しが確定している。というか、メッチャ懐かれてしまった。

いやー、あの手のこの手を使っても倒せない存在が居ると燃えるだろうからねぇ?ヴィヴィ達、チビっ子組は俺とナンバーズ共との戦いを見ていたので避けられているけど。戦いというか、蹂躪?

まあ、八神家やなのはさんですら避ける様な存在になってしまったのが運の尽きだろう。この調子だと、俺と手合わせするのはアインハルトのみだ。ちょっと、やり過ぎた感はある。

 

「ホント、ズルいッスよね?転生って……」

 

「……過去の王様の記憶が、継承されているってのも似た様なモノだけどね。だが、記憶があるからと胡座を掻いてる馬鹿は雑魚のままだよ?」

 

つか、強くなる為にはそれ相応の鍛錬と訓練が必要不可欠。だから、ズルい云々は余り関係なかったりする。

どちらかというと、俺みたいに何千年も生きている存在の方が反則だと思われるがね?ただ、今回はそういう話を省かせていただいたので彼女達は俺が生前の記憶を持って生まれた転生者だと言って置いた。

しかも、人を殺した経験のある【魔導兵器】であるとも。

正確には、【人造魔導兵器《神殺し》】という分類に分けられる。

 

人……人?

んー……いや、アイツ等は人なのか?いや、人外だ!

 

何でも良いけど、【組織】の連中が無断で俺を魔改造した結果生まれた【人造の魔導兵器】なんだけどね?だから、【始まりの魔法使い】みたいな【神造の魔導兵器】と違い精度は落ちてる。

【魔導兵器】とは、【神】を殺す事を目的とした兵器で……元々は、【神の写身】である【闇の王】を排除する為に神が造り上げたと言われていた。だが、実際には材料となった人間が神の力を得て【疑似・神の写身】となり【神の位】を得る方法に該当する。

それと同時に、【神の位】に至れた人間はその者が持つ性質から特殊な能力を得てそれを神格とするらしい。

例えば、【創造と破壊】という如月双夜(仮)が得た表裏一体型の神格や【始まりの魔法使い】が得た【魂奪者】等……その存在の性質によって、様々(ランダム)な神格が得られるという。

因みに俺は、【希望と絶望】という表裏一体型の神格を得ている。コレは、相手が希望を持っても絶望しても己の力になるという鬼畜な神格だ。しかも、自分が其れ等を得ても力になるって言うんだから相対者には同情するね。

ある意味、反則チートで卑怯な神格だ。

まあ、コレを得た理由は推して然るべし。

なにはともあれ、【魔導兵器】というのはそういう存在を造り出す為だけに創り出された魔法であり、魂という根源に近いモノを変質させる技法である。本来であれば、神の消失と共に失われるハズの技法であったが……【始まりの魔法使い】が、己を調べ尽くして復活させた挙げ句、神々を屠る為に適合者であるパラレルワールドの同位体に施した事により技術体系が確立してしまったという訳だ。全く、とんでもないモノを復活させよってからに……最終的に、抹消しなければならない者の身にもなって欲しい。

それでなくても、抹消しなければならない技術や魔法が山の様にあるって言うのに……面倒臭い事で。

 

「それで、お前も参加するのか?」

 

「……何に?」

 

「インターミドルチャンピオンシップに、だ!」

 

「ああ。もちろん、参加させていただくよ?」

 

「「「ええっ!?」」」

 

「他の転生者共を潰す予定……僕に当たったら、運が無かったという事で。諦めろ……メロン、食いたいなぁ……」

 

「おい!?」

 

 

 

 

 




時間軸としては、インターミドルチャンピオンシップの前辺りに該当します。とりあえず、足裏から魔力刃を出せる下りについて神経が逝っちゃったとか言ってますが元から壊れていた双夜なのでどこまでが事実かは不明。つか、骨がおかしなくっつき方をしていたんだからそれを治した時には神経がマトモに通ってなさそうなんだけれど?切れてなかったの?とは思った。でも、虐待で痛覚神経が切れた的な話は聞かないから問題無かったのかも知れない。
最終的に、コロナが試合でやったゴーレム操作で外部から肉体を操作する様な状態になっていた双夜。ほぼ、筋肉で肉体を動かせなくなっていたから魔力を封じられたら無力化される運命だった。胸から下が不随だったんだよ。下半身不随といえば良かったかな?なんで、肉体をゴーレム操作みたいな魔法で動かしていたんだよね。なのに、反応は普通。というか、IQが高かったから処理能力も速かったんだよ。なんで、ほぼほぼ常時神速状態を維持してたのかな?まあ、誰にも気が付かせない悟らせないガチ勢だったのは間違いない。後、双夜は【天才】では無い。IQは高いけど、頭の回転…しいては、処理能力が優れているだけでそれ以外は今一。まあ、幼少期がアレだったので知能は魔術系に傾倒しているし、魔工技術もあれだけ超技術がある【組織】にいる癖に(仮)と同等レベルだ。
(仮)なんて、兆単位で存在しているのにソレと同等だからな?もし、(仮)が【組織】に居て一万二千年も活動出来ていれば魔工技術レベル5や6くらいにはなっていたと思われる。(仮)は、一人カツ手探りで模索している強者だぜ?それでも、時間を掛けてレベル3相当になっていると言うのに…双夜と来たら、ねぇ?

しかも…しかも、だ!

(仮)は、兆単位生きててもまだDTだからw。
称号【塩漬けされた至高のDT】持ちだぜ?
HAHAHAw!!おっと、余計な情報だったかw?

ネガティブな話になったので、無理やりコメディ風にしてみた。それで、(仮)の設定の一つを開示するのはダメだったかな?まあ、奴は【異性から嫌われる】呪い持ちだから致し方なし。生殖系を完全に封じられているからな?一個の生命体としてはほぼほぼ完成してるけどw。

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m(_ _)m

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いつも、読んでくれてありがとうございます。

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