絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四八七話

Re:

 

 

翌朝。何故か、フレールくんに叩き起こされた。

俺には、師匠と違ってフレールくんが何かを訴えているのはわかっても何を言っているかまではわからないので師範代に通訳して貰う。すると、秘密基地の外がエラい事になっているという話を聞かされる。いやいや、昨日の今日でそんなエラい事になるハズが無いので半信半疑だったけど……外の様子を見せられてドン引きした。

 

「ナニコレ……」

 

いや、うん。ちょ、マジかぁ……外は、サーチャーで溢れかえっていた。何を言っているかわからないと思うけど、地上管理局の局員が総出で警戒する程にサーチャーがわんさかと街中を飛び回る光景が映し出されている。

これ……転生者が、犯人なんだろうなぁ?だが

、ここまでして何を探して……俺達か!!

 

「どうしますか?兄様」

 

「今、表に出ると狙い撃ちされるだけだな?まあ、出なければ地上管理局に迷惑が掛かるだけだが……今回は、関係すら結んで無いし放置でも良いんじゃないか?」

 

「では、暫くは秘密基地に籠もるのかの?」

 

「まあ、そうなりますね。娯楽は、山の様にありますから退屈はしませんが……鍛錬は、【船】に戻るしか無いでしょう」

 

「もしくは、一度【外】に出るかの?」

 

「師匠の許可なくですか?」

 

「この様子では、我々の活動も阻害されかねません。それならば、リスクを取るより一度【外】に出る事をオススメします」

 

「師匠には、メールだけでOK?」

 

「ウム。それで、問題ないと思うがの」

 

「しかしなぁ……それだと、逃げた事になりませんか?」

 

「我々が、動けない事よりも世界の歪みの方が優先されます。これは、戦略的撤退です。逃げるではありません」

 

それは、その通りではあるんだけど……それなら、師範代達だけが【外】に出れば良いんじゃない?俺は、【外】に出ずこのまま残り馬鹿共の相手をする。そうすれば、師匠の負担も軽減出来て良い様な気もしないでもないんだが?それを伝えて見れば、師範代達は渋々納得してくれた。

何故、そこまで抵抗するのかはわからないが最善策は尽くさないと不味い。そとそも、俺は囮なんだぜ?それなのに、逃げて記憶から消えるとかあり得ない。

 

「とりあえず、師範代……一度、ストーカー系転生者がどんなに恐ろしい生き物なのか知る為にちょっと秘密基地を出てみませんか?多分、一度体験したらわかると思うんですよねぇ……」

 

そう言って、師範代達を見るとキョトンとした顔で首を傾げている。やはり、師範代達にはストーカー系転生者がどれだけ恐ろしい存在なのかを体験して貰っわなければならない様だ。なので、師範代達には一度あのサーチャー郡に見付かって貰いストーカー系転生者がどれだけ異常な存在なのかを体験させてみる事にした。

 

「…………構わぬが、本当に我等だけで良いのか?」

 

「ええ。ついでに、ちょこっとサーチャーの前に身を晒して貰ってもよろしいですか?戻って来る時は、《妖精転移》を使ってしまえば問題ありませんし……」

 

サーチャーを撒けなくても、【外】に出てしまえば忘れられる存在だ。なので、当人達のトラウマにさえならなければ、そのまま【外】へ出て貰って転生者達の記憶から消えて貰えば良い。

 

「あ、私は行かないよ?行かないからね?」

 

「ああ。白亜は、ストーカーの恐ろしさを知っているだろうから行かなくても良いぞ?あくまで、師範代達にストーカーの恐ろしさを体験して貰う為にした提案だからな?」

 

「…………そんなに、恐ろしいモノですか?」

 

「体験すれば、嫌でもわかる。まあ、余り脅威を感じなければ放置でも良いけど……脅威的に思えるなら、婦女子達の恐怖も理解出来よう。ホントに、奴等から逃げ惑う女性も多いんだ」

 

「それは、聞いた事がありますが……我々は、使い魔ですよ?」

 

「まあ、一度体験してみて下さい。そして、ストーカー撲滅を宜しくお願いします。奴等は、害虫ですから……」

 

師範代達は、『良くわからない』という顔をしながら秘密基地の外へと出て行った。その間に、白亜には一度【船】へと行って貰って秘密基地へと戻らせる。これで、白亜に関しては問題無いだろう。いやー、翼達が召喚される前で良かったぜ。下手に、飢えた転生者共の前に出ていたらどんな目に併せられていたかわからないからな?まあ、師匠には青天の霹靂だっただろうけど。

 

「まさか、ヴィヴィオにネタバレされるとは思わなかったからなぁ?つーか、師匠は生きてるかなぁ?」

 

まあ、その心配は無用の長物なんだけどさ。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

秘密基地の外に出た師範代達は、速攻でサーチャーに発見された。その上、直ぐに様々な角度から観察されている模様。というか、アレは【視姦】されていると言っても過言ではない。途中からは、師範代達が抵抗しないのを良い事に転生者達のやりたい放題となった。てか、スカートの中を堂々と覗くのはどうなんでしょう?

そもそも、師範代達を見付けた大半のサーチャーがローアングルに陣取ってジリジリと近付いて行くのが見て取れて気持ち悪いんだけど?流石、転生してもその変態性を失わず保ち続けている馬鹿共が操作するサーチャーである。

ハッキリ言って、キモ過ぎて直視していられない。

直ぐ様、警察に通報したい所。そう、思っていたら次に画面が切り替わった瞬間……転生者のキモい笑顔が、ドアップでウィンドに表示された。見た目、物凄く美少年なのに浮かべている笑顔が変態のソレで……余りのギャップに、胃の中身が迫り上がって来る。いやぁ、この顔はマズいでしょ?完全な変態じゃぁありませんか!!ニマニマとか、そういうレベルではなくてどう見ても『ニチャァ…』とかいやらしい笑みを浮かべている。完全に、犯罪者レベルの変態的なヤツじゃないですか!?

どいつもこいつも、女と見れば直ぐに性的な対象と認識しやがってまともな奴は居ないのか!?……とは言え、俺もコイツ等と似た様な事をしていたので余りディスる事も出来ない。

 

――しかし、ちょっとだけ吐きそうな感じが……うぷっ。

 

自分は良くて、他人は駄目と言う訳じゃないけど……これは、精神的嫌悪感が隠せない。薄暗い部屋の中で、サーチャーから送られて来る画像の光が部屋を照らす。そんな中で、その画像に見入りながらニタニタ笑い欲望に染まるギラギラした目で食い入る様に見詰めているコイツ等が気持ち悪い。見た目が、美少年やイケメンと呼ばれる程の奴等から余計にホラーチックな光景が展開されているんですけど!?色んな意味で、怖いわ!!

 

「くっ……あの画像をマッチョに変えてやりたい……」

 

例えば、『ハプシエル』とかにしたらどんな反応が返って来るのかちょっとだけ興味を唆られた。だが、ソレは妄想の中だけに納めて置く。そんな、妄想が口を突いて出かけたけど俺は口を閉じた。なんせ、ソレが出来る権限を持つのは師匠くらいだけだ。

なので、近くに居たフレールくんに土下座してこっちへは画像を送らない様にして貰った。今回は、師範代達にストーカー系転生者がどれだけ厄介な存在なのかを知らしめ警戒させるのが目的である。とりあえず、今こちらに流れて来ている画像はそのまま師範代達の方へも流す様にフレールくんへお願いしておいた。

 

「んあ!?今度は、クレームが来る様になったんですけど!?」

 

「……………………」

 

先程から、とても静かになってしまっているけど隣を見れば使い魔を抱き締める白亜が蒼白な顔で固まっている。

コッチはコッチで、トラウマを刺激されたらしくストーカー共の恐ろし過ぎる様子に何も言えなくなっている模様。

コイツも、ああいう変態の被害者だからなぁ?これ程、怯える様を見ればどれだけ付け回されたのか伺い知れるというモノだ。てか、青を通り越して蒼白とは余程怖い目にあったらしい。

 

「大丈夫か?顔色、真っ白だぞ……」

 

「うぅっ……満男ぉ、師範代の背後に一人居るんだけど……」

 

言われて、師範代達が映るウィンドを確認すれば……ホントに、ストーカーが一人師範代達を付け回す様子が映し出されていた。ヤバい。気が付かんかった!でも、まだ犯罪行為には至っていないのでホッとする。

あ、いやいや……それじゃ、転生者共の犯罪行為を待っている様じゃないか。普通に……普通?最初から、気に入った女性を付け回して居る時点で普通じゃ無かったか。

つか、声を掛け(ナンパ)れば良いモノを何故この馬鹿共はストーキングから始めるんだ!?サーチャーで、様子を見るのは良いとして……その後が、ストーキングなのが頭が痛い。

 

――声掛けろよ!?

 

現在は、見た目が良い美少年&イケメンなんだから声を掛けられるだろう!?生前は、駄目だったかも知れないけど今なら普通にナンパすればイケるかも知れないんだぞ!?まあ、師範代達がそのナンパに答えてくれるとは思わないけど……ナンパすれば良いんだよ!!とは言え、そんな事をする勇気がある訳も無く馬鹿共は師範代達から一定の距離を保ったまま近付く事も離れる事もしない。典型的な、ストーカーである。

 

「普通に、声を掛ければ良いモノを……」

 

「……………………」

 

「生前ならいざ知らず、現在はイケメンで美少年なんだろう!?ほら、近付いて声を掛けるんだ!つか、ナンパしろ!!」

 

「…………ナンパ?」

 

「健全だろう?まあ、それで玉砕するも良しだ」

 

「…………そう。ナンパ、かぁ……それが出来れば、あんな風にはなってないと思うけど……」

 

「ヘタレだな。もしくは、コミュ障なのか?」

 

師範代達を目の前にすると、口が回らずにドモリが出てしまうとかならまだわかるんだけど。それすらせずに、ただ近付く事も無く離れる事もないその姿は明らかに犯罪臭のする行為でしか無い。

だからと言って、奴等が自ら行動を起こすには別の起爆剤が必要になる。まあ、その起爆剤を使ったら拉致監禁とか始めるので一緒なんだけどさ。何で、この馬鹿共は極端な行動を起こしやすいのか。意味がわからない。普通に、声を掛ければ済む事だろう?

 

「あー……使い魔の誰か。イケメン風の男に化けて、ちょっと師範代達をナンパして来てくんない?それで、状況は変わると思われる。ああ。師範代達は、そのままウィンドショッピングでもしててくれ。ストーカー共の本性が見れるハズだ」

 

そんな感じで、直ぐに戻りたがる師範代達を抑えていた訳だが……余りにも、行動を起こさないのでこっちから突く事にした。結果的には、蜂の巣を突いた様な状況になってしまったけど。

 

「つか、あの使い魔……ナンパの仕方が古いなぁ……」

 

「『ヘェイ!そこの可愛子ちゃん達ぃ、俺とお茶しない?』って、メッチャウケるんですけど!?w」

 

「言いたい事はわかるんだけど、何故そのセリフを使おうと思ったのか……それとも、ネタに走ったのか!?」

 

「ネタでしょう?ネタとしか、思えないんですけどw」

 

だが、師匠の使い魔だからな……どこまで、本気なのかネタなのかわからないというのが本音だ。中には、ガチでヤバい者も居るのでノーコメントを貫くしかないんだけれど。そんな考察をしている間にも、師範代達はストーカー気質の転生者によってヌルネバ(比喩)執着の嵐を受けていた。最初こそ、余り何もわかって居なかった師範代達だが……流石に、ストーカー気質の執着がヤバいモノだとわかって来たらしくかなり必死に逃げている。というか、かなり制度の高い先読みが出来る転生者がいる模様。

もしかして、予知的な能力者が混ざっているのか?

その為、師範代達が行く先々に先回りしている同一人物がマジでキモがられていた。つーか、予知能力者がストーキングとか逃げられないじゃ無いですか。絶対、ストーカーにしちゃイケない輩がストーカーって……御愁傷様です。

まあ、師範代達が本気を出せば逃げられなくは無いだろう。だけど、その場合はこの場所が発見されるかも知れない。なので、師範代達には予知能力者の排除をお願いして置いた。メッチャ、嫌がっていたけれど。まさか、この短期間でここまで嫌われるとは……流石、ストーカー系転生者は格が違うなぁw。あの師範代達に、ストーカーの恐ろしさを理解させられるとはヤバ過ぎる。ついでなので、対話が出来ない苛立ち等も教えてくれると有り難いんだけど……少し、そう願っていたのもありますがまさか実現するとはこの時の俺は考えてなかった。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

暫く、師範代達と転生者の攻防を眺めていると漸く師範代達が予知能力者の特定が出来たらしく一人の少年に突撃して行く。それによって、その突撃された少年は『僕を選んでくれたんだね』とか訳のわからん事を言っていたけど対話する事無く斬り捨てられた。スゲー……何が、スゲーかって?斬り捨てた後で、師範代が鳥肌の立った腕を擦りながらストーカー系転生者の脅威を呟かせた事が凄い。

いや、うん、わからないでも無いんだけれどあの師範代に愚痴を溢させるとか凄くない?普段、澄ました顔をしている師範代が顔色を青くさせて鳥肌まで立たせているんだぜ?

 

「ヤベーな?あの師範代達に、ストーカーが脅威であると教えられる存在に至っていたとは驚きだ」

 

「褒めてないよね!?それ、絶対褒めてないよね!?」

 

「当たり前だろう?あんなん、どこを褒めれば良いんだ?」

 

力無き、か弱い婦女子を付け回して恐怖と絶望を与えるストーカーをどう褒めろと?排除こそすれ、養護する必要性すら感じないゴミ野郎共を何故褒めねばならない?

 

――意味が、わからないんだけど?

 

でもまあ、十分にその役割を担ってくれたので彼等にはこの辺りで退場願うとしよう。別働隊の使い魔達に、GOサインを出してストーカー系転生者を全て排除して貰った。それじゃぁ、師範代達には【外】へ出て貰おうか?

 

 

 

…………閑話休題…………。

 

 

 

師範代達は青い顔色のまま、俺を残して【外】へと一時避難して行った。それにより、師範代達の情報は人々の記憶から消失する。すると、世界が壊れたブラウン管テレビの様にノイズが走り外に溢れていたサーチャーが消滅する。それと同時に、ピリピリとしていた局員達が普段と変わらない気の抜けた様子へと変化した。

フムフム。やはり、俺以外の奴等だけで問題は無かった模様。ついでに、トーマも【外】に出したので別働隊として即使える様になった。とは言え、トーマには聖王教会へ潜入して貰うだけなのでそれ程大きな改変は無いと思われる。また、転生者共に惨殺されても身を引かせて大人モードで再度潜入させれば問題にはならないだろう。

ホント、その点だけは師匠に感謝だな?

 

「戻りました。どういたしますか?兄様」

 

「おかえり。サーチャーは、消えたから昨日決めた通りトーマに聖王教会へ行って貰おうと思う」

 

「惨殺されたら、直ぐに戻って来ますからね!?」

 

「ああ。その次は、大人モードで潜入だな?」

 

「ちょ、惨殺されたのに大人状態で再潜入ですか!?」

 

「頑張れ〜!トーマ!!遊撃隊の辛さを思い知れw」

 

「遊撃隊って……まあ、言葉にすればその通りなんですけど」

 

「お前だけは、普通に面が割れてないからな。諦めろ……」

 

「クソォ!俺も、キャラモノにして置くべきだった!!」

 

お子様モードで、孤児院へ行かされるトーマ。それで、失敗したら大人モードで騎士団に入団させられるって言うんだからトーマも大変な役割だったりする。

 

「お前は、上手く動けば転生者と絡まないルートで良いじゃんか。俺なんか、転生者共の中に突撃しなきゃならないんだぞ!?」

 

「まあ、そうなんですが……それはそれで、中々苦労させられるので余り良いとか楽とか言えないんですけど?」

 

「…………それは、もう頑張ってとしか言い様がない」

 

前回は、全力で原作人物のパシリをやらされていたトーマだからなぁ?シスター・シャンテに絡まれなければ……等とも、思ったけれど。そもそも、この世界は原作と転生者が絡むのが前提の世界。どれだけ、原作人物を避けていたとしても問答無用で原作と絡められる事になるのが確定しているらしい。だからこそ、余程ソレ等から関係無い場所にでも行かない限り原作からは逃れられない。その点で言えば、俺の幼馴染み達はここまで見付からないとなると上手く原作から離れられたのだろう。ホント、探す方の身にもなって欲しい。まあ、奴等の目的はわかっているから無人世界を中心に探せば何とかなるかも知れない。多分。

 

「だがしかし、奴等のサバイバル能力は……」

 

湧き水とフライパンさえあれば、どうにでもなるレベル。

いや、もう……マジで、ヤバいんだよなぁ。ナイフや、寝袋も必要無いから自然と一体化してて気が付きもしない。野生動物ですら、気が付かないって言うんだから頭おかしい。もしかしたら、フレールくんの索敵範囲からも逃れていそうだ(考え過ぎ)。

 

「いずれにしても、今回も会えないとなると本格的に捜索しないとイケなくなるかもな?」

 

「うぇ!?アイツ等を、捜索する気なの!?」

 

もしかすると、容姿を変えて転生しているかも知れないけど。ここまで、師匠の索敵に引っ掛からないとなると転生していない可能性も視野に入れなければならない。

つか、奴等の事だから記憶が引き継がれるという事で他の世界を隅から隅まで回っている可能性もある。

ホント、厄介な野郎共だぜ。

 

「無理だよー。止めようよー?無駄な労力だよー?」

 

「まあ、そうなんだが……それでも、俺達の幼馴染みである事に変わりは無いんだ。それに、神々の反感を買う可能性もあるから速やかに探し出して保護せねばならん」

 

「もう、既に爆買いしている可能性もあるんじゃない?」

 

「知ってる。それでも、探し出してやるのが幼馴染みってヤツだ」

 

アイツ等からしたら、傍迷惑な話であろうけど。それでも、俺達はアイツ等を見付け出して亮達に引き渡さねばならない。

 

「俺達ばっかり、あの兄妹の玩具になるのは解せぬ。なので、絶対に見付け出してその罪を償わせてやるんだ!!」

 

「それは……わかる。生贄は、多い方が良い!!」

 

そんな訳で、奴等の捜索は拡大されて行く。

 

――待ってろよ!?身代わり共。必ず、見つけ出すからなぁ!?

 

等と、心に誓いを立てながら現在の状況を再度見直して行く。【俺】との出会いをした転生者達は、俺よりも師匠の方に首ったけ状態に陥っていた。囮である俺よりも、ヒロインに近付く野郎の方が警戒度が高いらしい。これで、師範代達が絡んでいたら転生者達はこっちに目標を絞っていたんだろうけど今は師匠を排除する方向で動いている模様。ただし、何をどうしても師匠を排除出来なくてメッチャ悔しがっているらしい。まあ、師匠ですし?

 

「つーか、チャレンジャーだな?」

 

「殺されて居ないだけでも幸いなのに、あの人を貶めようとか……馬鹿ぁ?」

 

「……そのニュアンス、惣流ア○カ・ラ○グレーの真似か?似あ……う、な?」

 

最後の『馬鹿ぁ』が、嘗て見たアニメのセリフと同じ発音だったのでツッコミを入れるつもりだった。本当なら、『似合わない』と言う所だったんだが……クロエなら、彼女のセリフを口にしてもそれほど乖離する事は無いと途中で思い直したので上記のセリフとなる。てか、クロエでも言いそうなセリフだしなぁ?

 

「アンタ、馬鹿ぁ?」

 

「お前よりかは、マシだな」

 

「ちょっと、どういう意味よ!?」

 

「そのまんまだが?まさか、自覚がないのか!?」

 

「ちょ、それ本気で言ってんの!?」

 

「ニコポ・ナデポ。月村すずか……何か、言う事はあるか?」

 

「ぐぬぬぬぬっ……」

 

黒歴史なんて、人それぞれだから誰にだって掘り起こされたくない過去がある。俺の場合は、『きゃるーん♪』とそれに纏わるアイドル関連だ。散々、イジラレた後なので白亜と違って耐性が出来つつあった。とは言え、掘り起こされたくない過去である事に変わりは無く。今尚、俺の精神を蝕むトラウマでしかない。

 

「とりあえず、トーマ……逝ってこい!」

 

「惨殺確定!?ちょっ、もっと別の役割とか無いんですか!?」

 

「じゃ、おねショタ系で喰われて来るか?」

 

「クソぉ!ロクな役割がねぇ!!」

 

そんな事を叫びながら、トーマは幼児へと姿を変えて秘密基地から出て行った。というか、アイツ自分で変化できたんだな?ああ!前は、師匠に無理やり变化させられてたから必要無かったのか。

成程。使えそうな魔法は、アイツに聞けば……いや、使い方がおかしいから止めて置こう。それで前回、痕跡を消しきれなくて大騒ぎになってたもんな?とりあえず、護衛としてフレールくんに付いて貰って様子を見る事にした。

多分、前回同様にシスター・シャンテに捕まってパシリにされるが良いさ!そんな願いを込めて、俺はトーマを送り出す。いじられ役、頑張って?

次に、師匠が現在どうなっているのかを確認する。

フレールくんに言って、現在の師匠がどんな状況に陥っているのかをウィンドに表示して貰った。もちろん、裸のお付き合いとかに巻き込まれている可能性もあるので3Dグリット表示に切り替えてからだ。被写体が、灰色のマネキン人形と化し緑の直線が均等的に部屋の様子を表す。

当然、障害物も黒色と緑の直線のみで構成されているので状況が良くわかるというモノ。これなら、アチラがサービスカット状態でもエ口く無いから翼に見られても浮気に扱いされる事はない!……ハズ。無いよね?無いと思われる。これまでが、これまでだけに疑心暗鬼になり掛けている様な気がするんだが!?だ、大丈夫だよね!?

マジで、また一歩引かれた対応とかされたら俺の精神が死ぬ!!大丈夫、大丈夫……大丈夫。そんな、訳のわからない言い訳?をしていると背後に気配が!?

 

「ちゃうねん!!って、白亜かい……」

 

「何が?っていうか、何見てんの?」

 

「師匠の状況を確認しようと思って……グリット表示」

 

「何故、グリット表示!?そのまま、見れば良いじゃん……」

 

「翼に見られたら、俺の精神が死ぬ!!つか、死ねる!!」

 

「……………………アンタ、馬鹿ぁ?」

 

「……クソッ!メッチャ、腹立つわぁ!!」

 

「まあ、わからない訳でもないけど……なんで、そんなに怯えてる訳?翼なら、気にしないと思うわよ?」

 

「そう、俺も思ってたんだけどなぁ……一歩引かれた対応に心折れた。もう二度と、あんな目には遭いたくないんだ!!」

 

「…………調教されとる……」

 

――くっ!わかってる。わかってるけど……もう、無理です。

 

師範代達の入れ知恵なのか、翼の対応が怖くて気軽な行動が出来ません。下手に引かれると、惚れた弱みって言うんだろうか……心へし折れます。しかも、一週間とか一ヶ月とか他人行儀で接されるとホントに駄目になりました。

(調教ずみ神崎)

 

 

 

 

 




とりあえず、神崎くんの近況も突っ込んで置いたけど…転生者達の行動力がヤバい。確か、ミッドチルダでは許可なく大規模な魔法を使う事は禁止事項になってたハズだ。
なのに、大々的な人探しでサーチャー乱舞をやらかす始末。お陰で、地上管理局が刺激されてかなりヤバい雰囲気になってました。余程、神崎が率いるFate/staynight&プリズムイリヤの面々が欲しいと思った転生者が多かった模様。なので、師範代達&翼の安全を確保する為に師範代達を一度【外】へと追い出します。これで、翼の安全が確保されました。
師範代達も、護衛としての機能を取り戻した…という事になってます。護衛なのに、どこぞのアイドルみたいになってたら仕事できんからなぁ?致し方なし。そして、トーマは聖王教会へと旅立ちます。多分、きっと、もしかしたら、またシャンテのパシリになっているかも…w。

……ストーカーってこんな感じで良かったっけ?
なにはともあれ、気持ち悪い感じが出てたら良いです。
見ても、聞いても鳥肌が立つレベルなら良い表現が出来ている証拠なのでw。こう…悪辣で、粘着質なストーカーっぽい行動とかどんななんでしょうね?

でも、作者には今一ストーカーの行動原理が理解出来なかったりします。だって、『うわぁ!可愛い娘だなぁ?俺のモノにしよう!』ってだけで付け回すとか理解不明。
いや、話しかけろよ!?って事を言いたい。そりゃ、『キモい!』とか『ウザい!』とか理不尽に引かれたらムカツイたりするのはわかるんだぜ?
でも、そういう相手は潔く諦めれば良いのに…それで、執着する意味不明さが恐ろしいよなぁ?見掛けた、だけだろう?話した事も無いのに、見た目で追い回すの?
声掛けて拒絶されたら、別の方法で仲良くなるという選択肢何処行った!?とりあえず、当たって砕けてから再生して再チャレンジが普通なんじゃ?何故、ホラー風に付き纏うなんて話になるんだろうね?意味不明です。
話し掛ける勇気が無いとか言ってないで、先ずは挨拶からしましょう。それで、避けられるなら諦めましょう。
え?諦めきれないって?なら、挨拶から己の顔を覚えて貰えるまで何度もアタックして下さい。知人になれば、それなりに話し掛ける事も出来るでしょう。『急がば回れ』って、そういう事を言います。決して、道路状況的な話ではありません。アレは、人との関わりを示した諺です。
相手の一目惚れ以外は、地道なアタックの積み重ねで警戒心を解きほぐして行きます。コミュ障だからとか言ってないで、何度も当たり障りのない声掛けから世間話で仲良くなるのが良いかと思われます。
学校とか、人が集まるイベントとかで仲良くなれるのなら近道扱いになるけど、基本は日々の積み重ねかな?
それで、他の男性に取られても癇癪を起こさず次の機会を狙いましょう。後、チャンスは逃さない様に。大体は、チャンスの見逃しの結果が多いから。ウジウジしてないで、ズバッと行きましょう。二の足を踏んで、話しかけられない事こそが一番遠回りになります。

一回話しかけって、拒絶されたらストーカーになる人が多いみたいなので言ってみた。いやいや、少数回で仲良くなれるなんてありえない。それ、一体どこの御都合主義ですか!?そんな訳が無いでしょう!?一回話掛けただけで知り合いとかにはなりません。まだ、赤の他人のままですよ!?とりあえず、知り合いになる為の期間は一週間を目処にしましょう。その間、何度も話掛けます。向こうから、挨拶をされる様になれば顔見知りです。いや、マジでそのレベルだよ!?ここで、挨拶をされる様になったからと『仲良くなった』と思うのは時期早々。まだまだ、知人になる為には長い道のりがあります。
先ずは挨拶から始めて、他人〜顔見知りへ。そこから更に地道な挨拶や世間話を続けて知り合いになり、そこで漸く名前を知るっていうのが通常の流れ。ここから、更に地味で地道な努力を重ねて漸く知人になれるってレベル。
しかも、知人としてはランキング最下位認識だからね!?
最短で、それでも半年は掛かると思われる。同じ会社だとか、ご近所さんならもっと早く仲をを深める事は可能だけれど…ここから、友人認識なる為には更に地味な挨拶や会話を繰り返し繰り返し続けるのが大人の知人作りです。

子供の頃みたいに、一緒に遊べば『友達だよ?』なんてありえないからなぁw。いやマジでw。大人になると、警戒心が強くなるから仲良くなるには並々ならぬ努力が必要に…面倒臭いw。わかるけど、面倒臭くなるのが大人になるという事なんだ!!

子供の頃は良かったなぁ……。

相手が同じ子供なら、何の警戒も無く仲良くなれたのに大人になったら……メッチャ、警戒されるという、ねぇ?
なので、先ずは挨拶から始めましょう。無視されても、何度でも繰り返す事が大事。という、接客業を営んでいる作者からの経験談でした!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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