絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四八三話

双夜:

 

 

禍焔凍真の要請を受けて、にゃんこモードで原作人物と接触を試みたのだが普通に攻撃された。まあ、ヴィヴィオの肩に向かってジャンプしたら問答無用でシューターが飛んで来たよ。なので、ワザと当たって転がり苦しんで見せたら思いっ切り踏み潰された。

とりあえず、今の自分と見た目同じなにゃんこの死体と入れ替わって様子見。原作人物達から、悲鳴が上がりその非道な行動に対して批難の声が上がる。散々、叩かれて居た様だが気にした風も無いのが印象的だった。

その後、ヴィヴィオ達から絶縁宣言を受けて放置された後、死体となったにゃんこを疑わし気に睨み付けると忌々しそうに舌打ちして去って行く。ありゃぁ、嫌われたな?

もしくは、元々から嫌われ者だった可能性もあるので先ずはあの転生者からストーキングする事にする。

さて、何が出るやらw。

 

 

 

……………………。

 

 

 

とりあえず、自宅?までは気が付かれずに着いて来る事が出来た。流石に、家の中にまでは侵入出来ないと思われるので家の外に待機しつつフレールくんを飛ばして中の様子を伺う。ウィンドを網膜の上に開き、外に展開しなくて済む様にし普通の猫を装う。

 

さて、転生者は今何をしているのかな?

 

資料では、『一人暮らし』とあったが彼の寝室には彼以外の人影が鎖に繋がれていた。魔力反応は、無し。というか、リンカーコアは持っていないただの人間の様だ。更に言えば、生体反応がこの世界とズレている。その情報から、彼女ははこの世界の生まれでは無い様だけれど……まさか、別の世界から拉致って来た?

まあ、誘拐犯であろうが無かろうが犯罪は犯罪なので人型の使い魔(イケメン)を派遣してドッタンバッタンとちょっとした捕物を行う。そして、犯罪を犯した馬鹿は俺の目の前まで連れて来られた。すると、猿ぐるわされた転生者が更に激しく暴れ出す。そう言えば、昼間に踏み潰された猫の姿をしたままでしたね?なら、転生者が言いたい事は大体予測が付く。まあ、そんな事は聞き飽きて居るので無視しつつ言いたい事だけを告げる。

 

「自分が、主人公だと思ったか?まあ、だからと言って気に入った見た目の少女を誘拐し性的な暴行をする愚か者が主人公だなんてあり得るハズが無いんだが?」

 

エ口ゲー転生なら、ワンチャンあるかも知れないけど。

だからと言って、工口ゲーであったとしても誘拐は犯罪なので俺が取る行動は変わらなかったりするんだがな?さて、馬鹿が犯した犯罪の裁決を告げてしまいますか?煩いからな。

 

「僕は、《神殺し》。本来なら、君達の様な存在は放置して置くんだが……君は、ヤリ過ぎた。出る杭は打たれる。なのに、自分の思うままに行動し続けた。その結果がコレだ。呆気ないね?」

 

転生者が転がる背後で、立ち上がった使い魔が巨大な剣を取り出し振り上げる。俺が、それを見上げる様に視線を動かすと転生者も何かに気が付いたかの様に視線を後に向けた。と、同時に激しく暴れ出す。何かを叫んでいる様だけれど、気にする事なく使い魔は剣を振り下ろした。

グシャッ!という音と共に、馬鹿の血肉が飛び散る。

今日、少し前まで散々良い思いをして来たんだ。

彼も、本望だっただろう。暫くすると、飛び散った血肉が光の粒子に変わり消えて行く。さて、次はどんな転生者が湧いて来るのかな?少しくらい、真っ当な転生者だったら面白いんだけど。

 

「……………………」

 

そう、願いつつもう一人の転生者の様子を見に行く事にした。すると、何故か先程の転生者に拉致監禁していた少女が今度はこちらの転生者の元に居て……これまた、鎖に繋がれて馬鹿の寝室に居た。先程の転生者といい、この転生者といい見目美しい少女を玩具にしないと生きて行けない病気にでも掛かっているんですかねぇ?もしくは、彼の転生者と少女を賭けてバトルでもして勝利したとか?

いずれにしても、少女の人生を食い物にして許されると思って居るのだろうか?……思ってるんだろうなぁ。何せ、【主人公】だもんなぁ?何をしても咎められず、何をしても許される存在らしいからなぁ?主人公ってのは……ハッ、アホか。そんな事、許される訳が無いだろうがよ!?どいつもこいつも、【主人公】の役割を曲解しやがって『何でも』許される存在ってのはなぁ……それ相応の代償を支払っているから許されるんだよ!

 

「OK、OK。代償対価の魔法が、そんなにもお望みか?」

 

ならば、『何でも』許される者の対価がどんなモノなのかってのを教えてやろうじゃ無いか!まあ、それを知った所で後の祭なんだが……今一度、己が人生の全てを賭けて己の身を振り返ってみるのもまた一興だろう。目を細めて、古い術式を引き出した。

 

 

――術式展開。

 

 

対象者、彼処で盛っている転生者。代償の支払いは対象者と同じで、俺は仲介のみを担当。仲介者の対価は、羽一枚。叶える願いは、『ありとあらゆる事の許容』。

 

「…………実行」

 

その術式の起動を確認してから、俺は踵を返してその場から立ち去った。術式が、起動した時点で彼の転生者に対する興味は失せてしまったので彼がその後どうなったのかは知らない。ただ、報告書だけが俺の手元に届けられて終了した。どうせ、ロクでもない結末になっただけだろうから気にする必要もない。だと言うのに、それを神崎が拾って問い掛けて来たから知る事になった。

 

「何ッスか?コレ……ひぇ!?」

 

神崎が、拾って見た報告書はそのままトーマにも渡って共に怯えてた。そんなに恐い話か?何をしても、()()()()()()()だけの話だろう?そんなモノに、恐怖を感じるとか神崎もトーマも真面目だな?馬鹿が馬鹿をやって、世界からお仕置きされただけの話であろうに……尚、代償対価は世界が決める事柄である。

 

「いや、コレ……そんな、レベルの話じゃないッスよ!?」

 

「何をしても、どうしても、全て許されるんだぞ?転生者にとっては、最高の状況じゃないか。まあ、その代償は……ちょっと、ツライモノかも知れないけど。それさえ、許容してしまえば全然楽な話じゃないか?」

 

「だからって、存在そのものが誰にも認識されないって洒落にならないッスよ!?しかも、コイツ事故って死んでいるじゃ無いッスか!?つか、デバイスにも認識されなかったのか!?」

 

セットアップしたくても、デバイスが自分を認識しないからセットアップ出来ない。事故って、大怪我をしても周囲の反応は無反応。世間から、切り離された世界で人知れず消滅するだけの話じゃないか。それを望み、ソレを叶えてやったのに批難されるのは納得が行かない。『何でも』許されたかったんだろう?なら、その代償は存在そのものが認識されないという対価にしかならない。

 

「ありとあらゆる事から、許容されたかったんだろう?」

 

「だからって、透明人間じゃ無いんですから……」

 

「ぅん?透明人間の方が、まだマシだろう?他人から、認識されなきゃ『透明人間』なんて言葉は出て来ないぞ?」

 

「……………………oh……マジか……」

 

それだけ言って、この話は終了した。ただ、今回の馬鹿はまだその結末が緩い類の結末だ。これで、もし肉体が残るタイプだったら疫病の温床になる可能性があったからなぁ?事故で死んで、放置された肉体が腐敗して小動物を介して病気が広まったら目も当てられない。小動物は、認識できなくてもそこに何かがあるならば『齧って』食べる事があるから油断出来ない。ソレが、疫病の発生源であって『囓れる』なら問答無用で齧るのが小動物だ。

だが、それがただの腐乱死体であるなら簡単に疫病が発生したりはしないんだが……代償対価の魔法によって、生じた腐乱死体なので話は違って来る。別に、願いを叶えた存在だから疫病が発生し易いという訳でもなく。

単純に、誰の目にも留まらない遺体が野晒しで放置された挙げ句の果てに腐乱していくという過程に問題がある。

ぶっちゃけ、世界の掃除屋である微生物にすら認識されないから、体内に内包されている者達だけで何とかしなければならないという状況が悪い結果を引き当て易いって話だ。だって言うのに、遺体を認識すらしないくせに本能的に齧ったりするのが鼠という小動物だ。アイツ等と来たら、見えないモノでもそこに何かを察知(匂い)すると齧りに行くから始末に負えない。

因みに、遺体の存在は認識できなくてもそこから発生する匂いに関してはまた別の問題だから、見えなかろうが認識出来なかろうが匂いだけは誰にでも観測出来たりする。なので、遺体に近付けば腐臭を感じるし躓く事も出来るって訳だ。だから、今回の様に遺体が消滅してくれた事には感謝しても仕切れない。

 

「とりあえず、現状の状況を共有すると……転生者は、見付け次第皆殺しにしている。そして、世界の調整も放置中だ」

 

「は?え、ちょ、何やってるんですか!?」

 

「何って……何もしてないよ?っていう報告だけれど?」

 

「違う!そうじゃなくて、何で何もしてないんですか!?」

 

「そりゃぁ……この世界のどこかに転生した神を引き摺り出す為にそうしているってだけだろう?」

 

「はぁ!?」

 

「…………俺の《空間把握》じゃぁ、わかりませんが世界が軋んだり砂嵐が通り過ぎたりしているんですか!?」

 

「いや、未だだな。だが、既に予兆は出始めているぞ?」

 

「それで、まだ殺すんですか?」

 

「正確には、入れ替え続ける、だな。多分、転生者を追加する方法は全自動で行われているんだろう。だから、転生者をドンドン殺して入れ替えてやればアホの神力がドンドン消費される。それと同時に、世界の【歪み】も広がるがソレは後からでもどうとでもなるから入れ替えを短略化して馬鹿を炙り出す!」

 

少しばかり、調整が面倒になるけど。そればかりは、致し方無いモノとして諦めるとしよう。だが、それよりも今は【神】の行方を炙り出す方が先決だ。なので、神転生をした転生者共は発見次第削除を使い魔達には指示してある。現在進行系で、サーチ&デストロイされ捲っている転生者達は入れ代わり立ち代わり状態が加速していた。そのせいもあってか、この世界が背負う負債はドンドン積み上がっているけど……必要経費。必要経費なんだ!!

 

「あ。そうそう、見付けたなら僕を待つ必要は無いぞ?【神】を倒せば、この世界の異常は排除出来る。異常が無くなれば、後は世界を調整して終いだ。調整には、時間が掛かるから次の世界へ行くまでそれなりの時間が出来るぞ?その間は、何をしていても構わないから馬鹿を見付けたら即殺れ。いいな?」

 

要は、世界が()()()()()()問題無いのである。

 

「了解であります!」(`・ω・´)ゞ

 

「リョーかい!」(`・ω・´)ゞ

 

「嘘だろぅ……マジか……」

 

「なんだ?トーマ、不服か?」

 

「とんでもない場所に来てしまった……」

 

成程。まあ、俺が人をバカスカ殺すのは今に始まった事では無いけどトーマからすると異常行為に見えるのか。だが、セイビアや【鮮血の】なんかはもっと殺すぞ?だって、アイツ等と来たら一人一人殺るのが面倒だからって銃火器や兵装を使って『視界に入らなければ何という事は無い』とか『見えなければOK』とか言い切る奴等だからな?その点、俺達はその面倒を『面倒だから』と言わずにやっているんだ。これでも、【組織】の中では殺人数が少ない方なんだぞ?ピンポイントで、対象のみを殺ってるからなぁ?その辺りは、実際に仕事をしてみないとわからない事柄なので、衝撃を受けているらしいトーマを放置して俺は神崎達に指示を出して置いた。とりあえず、お前等の誰かが【神】を殺したのなら報告書はお前等の誰かが書いて提出してくれれば良い。

 

「ああ。それと、報告書の書き方も教えてやれ……」

 

「あ、はい。大丈夫ッス。その辺も踏まえて、新人教育して置きますんで楽しみにしていて下さい」

 

何を楽しみにしろと言うのかわからないが、俺が関わらず新人が成長するならそれはそれで楽なので良しとする。 余程、言葉を崩されない限りは問題にもならないので気にはしないが……稀に、本人ですらノリと勢いで書いたせいで『読めない』『わからない』という報告書が出て来る事があった。その時は、【真実の瞳】保有者の出番になるのでロクでもない書き方をしない限りはある程度放置。

目に余る様になるなら、アイアンクローで捕まえてニコやかにお仕置きするので面倒な事この上ない。とは言え、使い魔の中にそんな愚を犯す馬鹿は居ないのでこれまでそんな悩みに苦しめられる事は無かったが……今は、面倒な事になっている。

でも、それは気分を害したり煩わしいモノでは無くて……むしろ、楽しいと思える程度には毒されていた。

昔は、他者との関わりなんて面白いモノでも何でも無かったのにな?というか、煩わしく思って居た様にも思える。ただ、俺の傍らに【静】さえ居ればそれで良い的な考えだったハズだ。昔は、本当に子供みたいな事を本気で信じていたし願っていたから今以上に孤立していた。いや、孤立しようとしていたのか。その為、価値観が悪循環に陥っていて視界狭窄という状態になっていた。

まあ、今だからこそ言える事なんだけれど。

あの頃は、親族とか血脈の事とかでゴタゴタしていた時期でもあったからな。伝説の御先祖様が、開いたとされる魔法学院に通う事になった際も血と親の柵が付いて回って最終的に小悪魔や賢者に見付かるハメになった。後で知る事になるが、小悪魔は平行世界の【鮮血の】で……賢者は、平行世界の【魔導師】だって言うんだから世界は狭い。 言われてみれば、確かに黒髪やら瞳の色を変えただけの見た目だけではあるんだけれど。言われなければ、気が付かないレベルの変化だったから俺の中では完全に別人扱いである。多少、血縁と同じ容姿に対しての反発心もあったりするのでそこそこキツイ対応にはなってしまうけど。

 

まあ、許せ。

 

とは言え、奴等が御先祖様達と同じかと言えば違うと断言出来る。何せ、御先祖様達は精霊と同化しているからこそ永い寿命を得ているけど。アイツ等は、正真正銘の化け物だ。比べくまでもなく……いや、比べたら御先祖様達に失礼になるか。所詮、アレ等は人としても生物としてもゴミ屑だからw。存在する価値も無い。

うん。やっぱり、アレ等と御先祖様達は全くの別物だよ。

チョイチョイ、人の記憶を刺激して来る(苛付き、ムカつきの原因)事もあるけれど。それを除けば、調度良い八つ当たりの的だよね?言動も、そうなんだけど。奴等、共通の認識もムカツク事この上ないモノだったりする。だからこそ、俺は本来の能力は劣化()()()()()っていうのに期待だけは大きいからウザかった。それもこれも、全ては俺の中に居る人のせいだ。運命に逆らって、逃げ出す所までは良いとしても……その後が、丸投げ状態で表にも出て来ないって言うんだからクズだよな。良くわからないタイミングで、チョイチョイ顔出しはするけど。ほぼ、無干渉で余程の事が無い限りは放置とか言う酷い奴だ。

そりゃ、出て来られたら『俺どうなるの?』とかの問題はあるだろうけど。それでも、自分で蒔いた種くらいは自分で回収して欲しかった。沢山の人が、チート転生を望む中で俺の中身はマイナス転生を望み実行した事まではわかっている。まあ、そうでもしないと俺みたいな存在は生まれんだろうからな?ただ、その上で己は魂の奥底に引っ込んで【俺】が生まれ成長するのを待つなんて暴挙に出た訳だ。それだけが、俺は気に食わない。

何故、自分でソレを望みそう転生したのにその人生を放棄出来るのか……理解不能だ。それじゃ、記憶を持ったまま転生した意味が無いじゃ無いか!!

 

――と、ちょっと前までは言いたかった。

 

むしろ、言っても問題無いと思って居たんだよなぁ……でも、最近はちょっと考えが変わっている。だって、これだけ転生者という存在に関わっていたら『転生する』という事の意味というか出来事の結果?顛末?みたいなモノを知る事になったから。

それは、神様転生を果たした者だけに見られる特性では無かった。地獄に堕ちたけど、地獄の拡張に伴い転生させられた者達にも見受けられたモノが存在したんだ。

最初は、その魂が持つギフトか何かだと思っていた。

ああ、『ギフト』って言うのはその人が持つ唯一無二の特性だよ。生まれて来る前に、持たされる特殊な『スキル』と言っても過言じゃない代物だ。これは、誰でも必ず一つは持ってる能力?みたいなモノ。ただ、これは明確なスキルという訳では無くて『特性』と呼ばれる程度のモノが多い。例えば、如月双夜(仮)で言えば……アイツは、『良縁に恵まれる』というギフトを持っていた。過去形なのは、異世界転移を繰り返す内にアイツを異世界へ転移させていた神が『お前には、もう必要ない』と奪ったので今は持ち合わせて居ないんだそうだ。本人曰く、縁結びのチート能力だったらしいが……それが、『ギフト』という人が生まれて来る際に持たされる才能?能力?というモノだ。

本来は、そんなモンに誰も気が付かないまま死んで行くんだけどな?でも、それに気が付ければ人生が薔薇色になるらしい。というか、アイツのギフトは特殊過ぎて余り参考にはならない。てか、『良縁に恵まれる』って……これで、カリスマを持ち得たらとんでもない一団が出来上がっていたんじゃないか?それこそ、革命家とか政治家向きの能力だよ。正に、人脈チートというモノになっていたと思われる。にゃはは、恐ろし過ぎる!!

それが、今では『作る』というギフトに置き換わっていると本人は言っていたけど……これもまた、チート級のギフトらしい。

 

 

閑話休題。

 

 

 

とりあえず、ギフトについての説明は以上とするが……人は、そのギフトを必ず一つは持って生まれて来る。どんなゴミ・ギフトであれ、絶対的に何かしらは持ち得ているモノだ。

因みに、チートスキル云々とはまた別だ。

先も言ったが、本来はそれに気が付かないまま死んで行くんだからな?とりあえず、それが前提にあるんだと思ってくれ。だが、一般転生者はそれとは別にもう一つ奇妙な特性を持って生まれて居る。それは、神様転生の者等には見られない特性だ。例えば、記憶を継承しているとかなら大きな問題には発展しない。ソレが、その人物にもたらす影響なんて微々たるモノで効果もランダム。どんな効果であっても、その人の人生そのモノがどうにかなる訳でもなし。だけど、それは致命的な結果をもたらすモノである事に違いはない。言うなれば、オリンピックみたいな大きな大会で全速力で走って居るランナーの真ん前にバナナの皮を投げ捨てるみたいな効果をもたらしている。突如現れたソレに、そのランナーが回避出来るか出来ないかは置いといて……バナナの皮を踏めば、どうなるかなんて予想するまでもない。例え、奇跡的に回避出来たとしてもランナーの速度低化は回避出来ないだろう。そうなれば、国民の想いを受けたその選手がどうなるかも予測出来る。結果が出なければ、当人の気持ちも国民の想いも無惨に散るだけだからな。

 

「それを中の人に当てハメるなら……」

 

術式の一部に、欠損が出たんじゃないだろうか?

転生前は、完璧な術式だったとしても転生中もしくは転生後までは保証されない。その人物の技量で、何とかしなければならない部分だから。その為に、転生直後辺りで術式の一部が欠損して最後まで旨く続かなかった可能性がある。そりゃ、神様転生ならいざ知らず人間が人力でやる転生だ。絶対的に、何らかの支障が出てもおかしくは無い。 転生前に、完結する術式であればどうにでもなったんだろうけど……いや、それでは人間に転生出来るかわからないじゃ無いか。やはり、最後まで術式を自分で起動し続けなければ無理だな。その結果、俺が生まれて成長して漸く……いや、下手をすればその辺りまで意識を失っていた可能性も否定出来ない。

 

「…………そう言えば、初めて干渉されたのって……」

 

俺の人生が、終わった後くらいでしたね?

俺が、悲しみと怒りの果てに暴走して【魔王】となった後辺りからの干渉だったから……俺のブチギレで、目を覚ました?あー……有り得る。そうか、あの辺りまで眠っていたのか。そりゃ、どうにもなりませんわ。

そして、俺が気が付くもクレームの嵐となれば早々表に出たく無くなりますよね?勘違いを訂正しようとしても、俺が話を訊いてくれないなんて事もあった。言い訳すんな!と、何度も取り合わなかったもんね?そりゃ、引き籠もりますわ。俺でも、同じ目に遭えば早々に切り捨てて精神を蝕んで乗っ取っていたかも知れない。問題は、中の人が魂の内側に引っ込んでいたんで俺は手も足も出せなかったけど。嗚呼、色々ままなりませんなぁ?

 

「ああ、うん。恨まれてたら、何も出来ませんわ……」

 

それが、不当な……理不尽極まりない、ただの八つ当たりだったとしても当人が納得するまで放置して置くのが正解の様な気もする。一応、【真実の瞳】で己の魂を視て確認したら……封印中?

見た事も無い術式で、封印されているという始末。

 

「あ、これ……俺が、100%悪いヤツだ」

 

初めて、己の魂を【真実の瞳】で視たけど……封印されているとか、思わないじゃ無いか!?だから、干渉が出来なかった?でも、中の人は稀に干渉して来たよな?んん!?あ。しかも、この封印……再生機能まで有りやがる。

封印を解いても、暫くすると再封印されるヤツだ。

全体を壊したとしても、再起動させる術式が組み込まれてたら何度でも封印が復活するんだよなぁ?だとすると、基点となる場所にそれらの術式があるハズなんだけれど……あー、こ・れ・は!!複雑奇っ怪な術式になってて、解除するにも何百何千年と掛かるヤツだったw。デスヨネー。

 

「誰だ!?こんな術式作った奴!?舐めてんのか!?」

 

ふざけんなよ!?あからさまに、解かせる気の無い術式じゃないか!?頑張って、解こうにも内容が読めないモノだし?異世界言語って、訳でもないからコレ……誰かが、独自に作った文字じゃ無いか?うへぇ……こんなん、周知させなくても出来るモノなんだなw。最早、笑うしかねぇとか……洒落にもならんわ!

【真実の瞳】も、流石に個人が作ったその人物だけにしかわからない言語にまで対応している訳でもないから文字化け状態でしか視えない。

完全に、『俺が作った俺だけが読める文字』だな?

 

「糞っタレ!!こんなん、誰が読めるって言うんだ!!」

 

とは言え、俺も似た様なモノを作って術式を組んだ事があるので遣り方だけならわかるんだよな。だって、その方が何かを隠すのに便利だったからなぁ?それに、知る人が少なければ少ない程破られる可能性が低くなるんだぜ?それって、便利だと思わないか?

だからと言って、それを俺が解読して解体する事になろうとは思わねぇよ。あ?もしかして、これも中の人の導きだったりするんだろうか?んー……もしかしなくても、今までのクレーム届いてない?中から、助けを求めるくらいしか出来てない?な訳はねぇな。こっちの状況がわからないなら、使い魔システムの即時量産なんて出来るハズが無いからこっちの言葉は届いているんだろう。

それでも、厄介な術式に間違いは無いから中の人は魂の内側に封印されっぱなし、か。んん?そう言えば、【クレッセント・ノヴァ】とかどうなっているんだろう?アレも、魂に付随しているモノになるから……いや、待て。もしかして、あの術式……ヤバい。状況が、最悪の可能性が出て来た。下手をしたら、あの術式って【クレッセント・ノヴァ】のせいでアーティファクトが作られた時代の文字になってたりするんじゃね?文字化けの理由が、そういう話だった場合難易度が跳ね上がるんだが?

 

「俺の知り合いで、あの時代の生き残りかつアーティファクトを作ってた国の人って誰だ?銀河は、竜族。ポアンは、白龍族たから知ってても幻想界の竜言語くらいだから……」

 

こういう話になると、真っ先に思い付くのが【始まりの魔法使い】だけれど……アイツは、こと言語に関する事になると痴呆症になるからな。役立たずなんだよ。とりあえず、端末で『こんな人探してますスレ』に上げたら全然交流の無い人を紹介された。

 

マジか……(困惑)。

 

 

 

 

 




転生者が、バカスカ死んでますw。ええ、多分この物語始まって以来、最も死者が多い回になってるんじゃないだろうか?てか、転生者に紛れて神が転生している話になるとこんな感じで転生者がバカスカ死にます。神の力を削る意味もあるけど、相手を炙り出す為には致し方無い方法なんだよ。だから、サーチ&デストロイは間違いない。見付け次第、殺します。神崎の知り合いなら、一考されるかも知れませんが知り合いじゃ無いのなら問答無用で殺します。
いやー、二百人近い転生者を殺した第一世界よりも多分多くなる事間違いないですよ?だって、世界が開くレベルで殺すって言ってるからねぇ?二百人程度じゃぁ、まだ無理ッスよ。そりゃ、死者を蘇生(アリシア)して因果を捻じ曲げ(プレシア)て理を粉砕する(アインス)なんて事をやらかさない限りは開くなんて事はそうそう起きないよ。まあ、地球がある宇宙が開いたらそれに釣られて他の世界も巻き添えになるけど。そうでも無ければ、この物語を選ばないって。次元震で緩んだ世界で、死者蘇生。因果の捻じ曲げってだけでもかなり危うい。そこに、死ぬ運命だったアインスを助ければどうなるかなんて言うまでもないだろう?
ここまで、揃っている物語もそう多く無いんだぜ?
その後は、パッとしないので余り開いたりはしないんだけどな。でも、理由を捏造すれば出来なくは無いのでやっているよw。特に、様々な世界から一つの世界に移住している辺りがかなりヤバい事をやっているからw。
これ、同化現象待った無しですよね?まあ、アレはパラレルワールド縛りにしてたりしますが…異なる世界でも起きないという保証は無い。マジで、色々やりやすい物語だよねw。リリなのってw。

とりあえず、中の人についての話…デメリット転生自体もヤバい状況を生み出すのに一役かってます。双夜が言ってた通り、クレッセント・ノヴァの影響は半端ない。元々、個人が作った個人しか読めない個人だけの文字にクレッセント・ノヴァが影響して始まりの世界かつアーティファクトを生み出す一族のみが使う言語が重なって、更にクレッセント・ノヴァが不要な術式を浄化したから元の術式が綺麗サッパリわからなくなっちゃった代物。ええ、取っ掛かりは双夜がやっていた事で間違い無いけど…失われた術式を復活させたり、変化しちゃった術式の元を再現したりしないと解除できません。難易度なんて、ナニソレオイシイノ?状態なんで割と洒落にもならないくらい高いですね。
まるで、高次元レベルの難問ですw。いやー、作るだけなら幾らでも作れちゃうのが難問。解除は、ほぼ無理なんじゃ無いかなぁ?って代物。でも、解除させます。ええ、この物語中には無理ですねwハハハ。

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m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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