絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三七七話 #

Re:

 

 

「ついに、魔法少女の世界へ来てしまった……」

 

「私、ここには来たく無かったよ。お家に帰りたい……」

 

「自分から、志願して置きながら何言ってんだか……俺なんて、願っても無いのに強制なんだぜ?」

 

コイツ等は、まだそんな事を言ってやがるのか……俺の、適当なナレーションに続く白亜とトーマ。ぶっちゃけ、そこまで嫌がる話でも無いと思うんだけど?そりゃ、座学やら鍛錬をした上に狂人共と戯れるっていうのは辛いかも知れないけど任務なんだから仕方がない。とは言え、転生者共との関わりが精神的に疲れるモノである事は間違いないのでわからないでもなかった。

 

「転生者を見ていると、自分がどれだけ馬鹿をやってたか身に沁みてわかる様になるぞ?」

 

「え、なにそれ、なんて地獄?」

 

「あ、俺……普通に過ごしていて、良かったぁ……」

 

「お前の場合、真理の扉を開いて悟りそうだけどなぁ?」

 

とても、嫌そうな顔でこちらを見て来る二人。そこまで、転生者共と関わるのが嫌かねぇ?だったら、最初から志願なんて止めて置けば良かったモノを……そうは、思うけど今の愚痴はささやかな抵抗であって本気で嫌がっている訳ではない。多分、悪ノリの一種だろう。本番になれば、嫌でも関わる事になるだろうから。

 

「最悪、白亜が殴ってもニヤニヤが止まらないかも?」

 

「え!?ヤダよ、そんな変態殴るなんて……」

 

「でも、殴られて喜ぶ輩も居るんだろ?御褒美じゃね?」

 

「「ひぃ!?」」

 

白亜とトーマが、顔を蒼白にして腕を擦っている。

余程、簡単にその想像が出来たのだろう凄まじい鳥肌を二人はゴシゴシと擦っていた。確言う自分も、ニヘラと気持ち悪い笑みを浮かべた転生者達が白亜に殴られて喜ぶ光景が頭を過ぎったけれど。いや、もうお前等どれだけ見た目が良くなっても己の性癖を晒してモテる訳が無いだろう?と言いたくなるレベルである。ほぼ、間違いなくそういうレベルの変態が一人二人はいるので油断も出来ない。

 

「貧乏くじを引いても、助けないからな?」

 

「ちょ、そこは助けてくれる場面じゃ無いの!?お兄ちゃん」

 

「俺、男で良かったぁ……下手に、何かしらのキャラクターとか特典で選んでたらこうなるんだなぁ……」

 

「まあ、トーマはイケメンというよりフツメンだから人林に紛れやすそうだよな?特殊な技能さえ使わなければ、どこにでも居そうな真面目系のお兄さんだから……」

 

「くっ……男でも女でも、黒歴史にしかならないなんて……」

 

「別に、絡まなければ暗黒歴史も黒色無双歴史も暗黒無双歴史も生じる事は無いんだが……つーか、俺の暗黒無双歴史が超売上を叩き出しているらしいんだが!?誰だよ!そんなモン買い漁ってる野朗共は!?ここへ来て、直れや!?」

 

「……アレを買い漁ってるのは、野郎では無く女郎であろうよ」

 

「止めてぇ!?俺は、ノーマルなんだ!!決して、BLな関係者では無い!!だから、買わないでぇ!!」

 

「最近は、白亜さんとの共演バージョンが主流ですよ?」

 

「ちょ、なんでこっちにまで飛び火させるのよ!?」

 

「大丈夫。次は、トーマも巻き込むから……ふへへへ」

 

「えぇ!?ちょ、変な宣言するの止めてくれないかな!?」

 

「成程。そう言えば、三人共【戦鬼】になったのであったな?なれば、専用武具も用意されるだろうから……ありえるかもの?」

 

「「ひぃいぃぃぃぃ!?」」

 

そう、俺達は皆【戦鬼】転生を果たした《神殺し》なのである。故に、専用の武具がいただけるのだが……その武具の作成者を、俺が指名できる様にして貰ったのだ。

即ち、俺の《ダーティ・ニーズ》を作成したラミスさんにお願いしてみた。ついでに、今度は偶然では無く必然的にセットアップモードを組み込んで貰って可愛らしくなれる様にして貰う予定だ。ようこそ、絶望の世界へ!というのは、冗談なんだけどな?流石に、アレは持ち回りらしくて次にソレを手掛ける者を指名する事は出来ないらしい。

所詮は、妄想の中だけの産物だ。前にラミスさんへ、提案書を送ったら『着眼点は良いけど無理よ』と断られてしまった。それでも、セットアップの案は共有してくれると言うので白亜の専用武具はそういう仕様になる可能性はある。逆にトーマの専用武具は、既にトーマの手に渡ってしまっているヤツを回収して新たに【戦鬼】としての機能を盛り込むんだそうだ。それによって、トーマの専用武具は【戦鬼】【隠鬼】のハイブリット武具になるらしい。

ただ、パワーアップにはならないとのこと。どちらかと言うと、万能型へシフトするだけなんだとか。

これが、【戦鬼】専用の武具であれば戦闘特化型の武具になってそれなりに活躍出来たそうなんだが……トーマのは、特化部分を削って利便性を追求した型にする模様。

故に、利便性は向上するけど戦闘能力面では特出する事もなく良くも悪くも万能型と呼ばれるモノに成り下がるらしい。

 

「色々、面倒臭いシステムだったからなぁ?」

 

「何が?色々、面倒臭いのよ!?」

 

「んー……専用武具に、セットアップ機能を盛り込んで貰うって話?それで、生態魔法で男にでも女にでも変身出来る様に出来ないか?と交渉してみたんだが……無理だって!」

 

「おま、お前!なんて、交渉してるのよ!?」

 

「白亜も、こちら側へ来ると良いさ!ようこそ、絶望の世界へ。共に暗黒歴史を打ち立てようじゃあーりませんか!!」

 

もしくは、【組織】の科学&魔法技術開発部で人が乗り込める人型兵器の開発でもしていれば良いんじゃね?

他にも、様々なロマンを追い掛けている先駆者が居るから、その人達と共に夢を目指して進むなんて事も出来たハズだ。因みに、人型兵器を作成していてそれを趣味だと言い切る人が居るから話も合うと思うぞ?

ええ。何処かの銀髪美少年の如く、人型兵器開発を【趣味】と言い切る輩がいるからな?つーか、あの人なら間違いなく『エル○ステ○・エチ○バル○ア』と同じく兵器開発を『趣味にございます!』とか言い出しそうだ。

惜しまれるなら、彼の髪の色が銀髪ではなく鮮血の様に朱いという事くらいか?後、金眼。

 

「魔導具の開発者も、技術総合開発部にいるからそこへ出向けば良かっただろう?お前……昔は、ロボットに乗りたいって言ってたのにな?今じゃ、無限剣精に憧れて魔術師かぶれだけど」

 

「うっ……そ、それは、昔の話だからね!?」

 

「Unlimited blade works!!とか言ってさ、大量の剣を精製して悦に浸っていたのは何処の誰だったか……」

 

「ふおぉぉぉぉぉ!!!や、止めて。止めてよぉ!!」

 

「完全に、黒歴史ですね?ごちそうさまですw」

 

嘗ての自分を思い描き、頭を抱えて奇声を上げる白亜。

かく言う俺も、師匠に出会うまでは白亜と同じ黒歴史を作る馬鹿だった。二人揃えば、アホみたいな諍いを散々繰り広げていたなぁ?

 

「今、思えば……原作ヒロイン達の前で、とんでもない恥を晒していた訳ですね?しかも、お酒が入ったら肴にされるレベルのヤツを……穴があったら入りたい!」

 

「止めろおぉぉぉ!!嫌な事実を突き付けて来ないでえぇぇ!!」

 

「お前は、良いじゃん。早々にドロップアウトしたんだから……」

 

「それはそれ!これはコレなんだよぉ!!」

 

両耳を両手で押さえて、頭を横にブンブンと振る白亜。そうしていると、元男だなんて誰も思うまい。普通に、我儘な女の子である。さて、ここまで散々白亜をからかってイジメていた訳だが……そんな事をしているのにもちゃんと理由がある。魔法少女の世界へ来て、早々に師匠がフレールくん達を召喚して解き放った訳だけど。彼等が、情報を集積して纏めるまでには時間が掛かる。

なので、その暇潰しとして白亜と幼馴染み的茶番をしていたんだけれど……興がノリ乗って、話がドンドンズレた結果の成れの果てが現在の状態だった。好きで、こんな事をしている訳じゃない。

 

「そろそろ、情報が纏まったかな?」

 

「うぅっ……酷い目にあった……」

 

「お前が始めた茶番だろう?というか、俺が浮気するハズが無いだろう!?訳のわからん疑惑を投げ掛けよってからに!!」

 

「だってぇ……まさか、翼ちゃんがあんなに強いなんて思わなかったんだもん。普通に、壁がベコッて……ベコッて!」

 

「お前、翼の特典を知らんのか!?たく、ちょっと待ってろ!」

 

俺は、白亜の無知さ加減に呆れつつも師匠が集めた翼の資料を探す。まあ、資料を探さなくても翼の特典くらい覚えてはいるんだが……俺の言だけでは、信憑性に欠けるので資料を使って底上げをする為だ。翼の資料については、割と簡単に見付かったのでソレを白亜に手渡す。ソレを受け取った白亜は、パラパラと資料に目を通し信じられない様なモノを見る様な目で俺を見上げた。

 

「これ……マジ!?」

 

「マジだ。どうだ?スゲーだろう?これが、オリジナルの魂に付与される神様特典だ。とんでもないチートだろう?」

 

「す、凄い。というか、なんでこのチョイス?なのかも驚きだよぉ……サイ○人の特性。念能力。テイ○ズオブシリーズの全技&魔術を何の代償も無しに使用可能って……怖っ!!」

 

「ハハハ。極光波の連続使用なんて食らった日には、ハメられた!?と思ったね。つか、翼が念能力を使った所なんか見た事ねぇよ。ほぼ、テイルズオブシリーズの技と魔術でフルボッコにされるからな!?まあ、サイ○人はパッシブみたいだったけれど……」

 

「ちょ、おまっ、翼ちゃんと喧嘩したの!?」

 

「おう。誤解から来る嫉妬と独占欲の連撃はマジ死ぬかと思ったわ。だから、お前も浮気ネタを振るのは勘弁しろよ?」

 

「うわぁ……でも、今はコレじゃないんでしょう?」

 

「まぁ、な。でも、似た様な《神殺し》特典が付いているよ。デメリット無しで、身体能力はそのままにテイルズオブシリーズの技&魔術が何のデメリットも無しで使えるというオチ?」

 

「…………何、その、チート。てか、身体能力がそのまま!?って事は、今がアレだから……………………ゴメン……」

 

「OK。特別に許してやるよ。もう、浮気ネタは出すなよ?」

 

その後も、『うわぁ……』とか『ひぇ!?』とか悲鳴に似た声を上げていた白亜だったけど。最終的には、頭を抱えて震えていた。その間、ほぼ無意識だと思うけど?

『これはアカン』だとか、『はわわわわ』といった唸り声が漏れ出ていた。つか、怯えてる?

 

「なにはともあれ、俺は浮気はしない!!」

 

見た目が違ったとしても、翼が【佐藤奏の魂】を持つ者である限り俺が彼女を裏切る事は無い。まあ、正確には【佐藤奏】と【朝倉翼】の人格&記憶を持つ転生者なんだけどな。【朝倉翼】というのは、【佐藤奏】の後の人格である。ずっと、重い病を患っていて病院で生まれた時から入院していた者の記憶だ。師匠の調べで、発覚している。どうやら、翼は一度拐った神の手から逃げ出して別の人間に転生していたらしい。それが、意図的なモノかどうかはわからないらしいけど……その転生もあって、魔法少女の世界ではあんなにも雁字搦めの生活を送っていたとのこと。

要は、【佐藤奏】の人生で己の意志と自由を知り、【朝倉翼】の人生で不自由だけれど親から与えられる深い愛情を知った訳だ。

多分、そのプロセスが俺達を転生させた神には必要だと思ったんだろうな?その上で、自由を奪い神しか愛せない状況で翼を暴く予定だったんじゃ無いかな?倒錯した愛?と、鳥籠に囚われた翼……で駄洒落を効かせたかったんだと思われ。ホント、悪趣味。

 

「神崎、神崎!!怖いよ?顔、怖いよ!?」

 

「おっと……悪ぃ悪ぃ。ちょっと、俺達を転生させた神の事を思い出していてなぁ?腹立たしかったんで、つい……」

 

あのクソッタレの事を思い出し、己の中にある【神】に対しての怒りを確認する。アレを倒してからも、アレが何を仕様としていたのかが調べられているので少しずつ資料は増えて行った。

それを俺は、大体網羅している訳だが……そのクソッタレな手口にはヘドが出る。ホント、なんでこんなの歯科居ねぇんだろうな?

【神】って奴はよぉ?師匠が、【管理者】と呼ぶのも頷けるぜ?

ありゃぁ、敬い奉る様な存在じゃねぇわ!本当に、死ねば良い。

苛々していると、思考内の言葉が悪くなる。というか、あのクソッタレが俺の琴線を掻き毟ってくれるので腹が立って腹が立って落ち着かない。アレの所業を知る度に不安が募る。本当にアレは、死んだんだろうか?と……確かに、俺が倒したんだけどさ。

 

「…………簡単過ぎたんだよなぁ……」

 

もっと、しぶといモノだと思っていた。台所に居る、あの黒い悪魔の如く何度倒しても現れていたちごっこになるイメージがあったから。でも、実際にはソウならなくて……今は、横槍も無く日々が過ごせている。だから、とても不安になる事があるんだ。

いつか、この平穏が崩れて翼や幼馴染み達が厄介事に巻き込まれるんじゃ無いかと……まあ、当人達が自ら厄介事に首を突っ込んで行っているけど!俺の気持ちが、わからないのかわかっているのか……面倒臭い事この上無い!!あ゛あ゛、苛々する!!

 

「はやく!しろよぉ……」

 

バンバン!

(ノシ ’ Д`)ノシ

 

頭をガシガシ掻き毟っていると、白亜が机を叩いてネットで良く見かけたネタを始める。そう言えば、そんな催促ネタがありましたね?懐かしい。OK、ちょっと俺も乗ってやりますかねぇ?

 

「あくしろよ!!」

ドンドン!バンバン!

(ノシ ´・ω・`)ノシ

 

「何をやっているのですか?アナタ方は……」

 

「「ネタ?」」

 

「本来なら、顔文字というか絵文字でパソコン叩いているんだけどなぁ?でも、こっちのパソコンって叩けないんだなぁw」

 

「まさか、ホログラムで叩こうとしてもスカスカなんだもん……」

 

「だから、叩けない苛々を机に叩き付けてます!」

 

「コレこそが、正当な『はやく!』だよねーw」

 

そんな訳で、俺達は師匠から『五月蝿い!』と叱られるまで机を叩いていた。いやー、師匠が怖くて堪らない!!

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

「恐ろしい目に会いました……」

 

「いやー、ちょっとした冗談だったんだけどねー?」

 

生前の記憶から、ネット内でネタとして使われていたモノをリアル形式でやっただけなのにまさかあんな怖い目に会う事になろうとは……そりゃ、机をバンバン叩いたら煩いのはわかっているけど。アレは、そういうモノなんだと呆れて見て欲しかった。でも、実際にはそれ程大きな音が出る訳でも無かったのに殺気の籠もった視線で睨み付けられる事になる。それに身を縮めて震えていると、暫くして報告書が上がって来たので今度は真面目顔で目を通す。

トーマが、最初からそうしていれば良いのにと言いたげな目で訴えて来たけど……師匠達が、白亜をここに連れて来たんだろう!?茶番大好きな幼馴染みを、真面目な場所に連れて来てネタへ走らずに居ろ!なんて無理に決まっている。その結果が、先の『バンバン!』であり現状だって言うのに責任転嫁しないで欲しい。とは言え、理不尽な師匠達にそんな言い訳が通じるハズも無く睨まれるのだった。因みに、俺達()謝罪したぞ?

 

「謝ったのに……煩くしてごめんなさーいって、謝ったのに!」

 

「自分達の過失は認めないとか……w」

 

「ほぉ……まだ、お仕置きが必要かね?」

 

「「……………………」」

 

「神崎は兎も角、白亜に関してはそっちから売り込んで来たんだろう?なのに、こちらの過失にされては……なぁ?」

 

「そーだった!白亜は、自ら乗り込んで来たんだった!!」

 

「アハハハ。神崎、その若さでボケでも始まtグボハァ!?」

 

「巫山戯んな!?テメェのせいで、叱られるハメになってるんだろうがよぉ!?なのに、なんでテメェが笑っていやがるんだ!?」

 

「ケホッ、ケホッ……あ゛あ゛!?何さらすんじゃボゲェ!?」

 

「それは、こっちのセリフじゃアホンダラぁ!!」

 

しかも、コイツが始めた茶番で俺が叱られるという理不尽。余りにも腹が立ったので、その胸倉を掴んで持ち上げ腹パンを加えてやったら逆ギレしやがった。お互いに胸倉を掴み、口汚く罵り合いを始めると身の毛もよだつ様な殺気が真横から膨れ上がる。

 

「「…………しゃ、シャチョーさん!落ち着きましょう!!」」

 

「あ゛?」

 

「いえ、し、ししょー。落ち着きましょう!!」

 

「あ!そっかー。【師匠】さんだったねぇ……てへ。間違えちゃったミ☆」←テヘペロ☆をしている。

 

ここに、とんでもない強者がいやがるんですが!?

 

コイツ、後先考えずにやらかし捲っているんじゃ無かろうか?とりあえず、俺はその場で土下座して許しを願ってみた。なので、選択肢を間違えなかった俺は助かり……選択肢を間違えた白亜は、師範代達に連れられてトレーニングルームで《痛覚耐性》のスキル習得まで弄ばれた模様。その後、半泣きで戻って来た白亜は翼の胸に飛び込んで延々と泣いていた。だがしかし、俺は知っている。あの涙が、嘘である事を!あの糞餓鬼、俺に見捨てられたとでも思ったのか復讐がてら翼の胸を堪能してやがったんだ!!

あの状況で、白亜を見捨てるとか考えられる訳が無いだろう!?

ほぼほぼ、己の命運が絶望的な状況だったから生存の道を死物狂いで掴み取っただけじゃ無いか!それを……まあ、良い。本当に、見捨てる場面になったら見捨てて逃げるから今の内に楽しんでろよ。ここぞっという時に、切り捨ててやるから……覚えてろ!?

 

「とりあえず、転生者の情報は得られたんだから、そろそろ原作組の所へ行ってみるか?一応、シリーズ的には『VIVID』で時代背景は……今の所、まだ序章って所か?」

 

多分、アインハルトに出会った辺りかと思われた。ただし、イレギュラーな転生者共がチョッカイを掛け過ぎて、ヴィヴィオとアインハルトの関係がギクシャク所か殺伐としているのが気になる。

 

「……これ、決裂に至るんじゃない?」

 

「速攻で、転生者を排除しても仲良くなれないパターン?」

 

「うへぇ……何やらかしちゃってくれてるかなぁ?あんのボケ共は!?私でも、もう少し上手く立ち回るっていうのに……」

 

「なら、白亜が行って来いよ。俺みたいな大人な男が行った所で余計に警戒されるだけだろうからな?」

 

「ちょ、新人をいきなり投入する上司がどこにいるのよ!?」

 

「ハハハ。俺の実践は、《堕ち神》戦だったんだぜ?」

 

イレギュラーである転生者が、堕ちた《堕ち神》ではあったけれど……いきなり、とんでもないモノと戦わせられた記憶がある。いや、『戦わせられた』じゃねぇな。唐突に、『縺れ込まれた』が正解か……んー?遭遇戦だった気もする。いずれにしろ、雑魚共以外でまともに戦闘となったのが《堕ち神》だったってだけだ。

原作ヒロイン達との模擬戦は、そのまま模擬戦だしな?なので、そういう意味では《堕ち神》が俺の初実践の相手で間違いはない。

 

「マジ?なんで、そんなのと初戦をやっちゃってるのよ!?」

 

「色欲系の《堕ち神》、メッチャ弱いぞ?一撃で、屠ってやったわ!まあ、憤怒なヤツは苦戦したけどな?嫉妬とか、狙い目?」

 

「いや、なんでそんなのと初戦をやってんのって訊いてるの!!」

 

「だって、目の前に現れたから?」

 

アレはもう、そう言うしかない。立ち塞がる障害を、俺は殴って退けただけだからな。ええ、木端微塵でしたとも(グロ注意)!!

俺的には、殴っただけなのに相手が柔らかく弾けた様に感じるだけだったけど。というか、あの頃はまだ【呪い】について知らなかったから木端微塵に弾けたアレを放置してたんだよなぁ(凹)。

 

「そう言う訳だから、お前もちょっと行ってイレギュラー共を殴って来いよ。スカッとするぜ?」

 

「ストレス発散器扱い!?そりゃ、スカッとするかもだけど……」

 

「つーか、幼げな少女に群がるケダモノ共め!下半身で生きる下等生物が、目障りなんだよ!!とでも言ってやれw」

 

「それ、特大のブーメランなんじゃ……」

 

「それがさぁ、最近なんでかムラムラが無くなって来たのよ。いや、まあ、女体に興味が無くなった訳じゃ無くて……こう、無差別的に女なら何でもOK!から、愛する人の側に居られるなら別に肉体関係が無くても大丈夫!的な?」

 

「……ただの惚気だった件。はいはい、幸せなんですね?そうなんですね?このリア充が!!ナチュラルに惚気んな!?」

 

「あ、ソレ惚気ではありませんよ?」

 

「「はい?」」

 

「鍛錬で、時々木端微塵にされているでしょう?アレの副作用で、性欲よりも生存の方に全力投球中なんですよ。生存本能とも言う」

 

そう、師範代に言われて俺が思った事は……自分自身を抱き締める様に両手で二の腕を掴み蹲る。俺の身体ぁ!!過酷状況下で、生きる為に人間の三代欲求すら忘れる程に苦しんでいたんだね!?

 

気が付かなくてゴメンよぉ~~~!!

 

「……思った以上にヤバい話だった!!」

 

「まさかの過剰鍛錬の副作用だったとか……今後が、怖い……」

 

「まあ、それでも鍛錬は続けて貰うのだが、の」

 

「そんなに性欲が大事なら、サキュバス呼んで分けて貰うか?淫魔の性欲は、恐ろしい程に強いからなぁ……」

 

師範代に続く形で、師匠までそんな提案をして来る。だが、俺は知っているぞ!師匠が言うソレは、こちらが想定する何倍もの効果がある事を!つまり、サキュバスから性欲を分け与えられるとケダモノになるんですね!?理性では、抑えられない程に強いモノを押し付けられるんですね!?誰が、そんなモン受け取ると思ってんだよ!?ふざけんな!!

 

「要りません。1ナノミリも欲しいとは思いません!」

 

「何なら、持続系のスキルも付けようか?」

 

「要らねぇ!欲しくもねぇ!そんなモンは、トーマにでも与えて【組織】の飢えた会合に放り込んで下さい!!」

 

「ちょ、こっちに飛び火させないで下さい!!」

 

「嬉しかろう!?この、ハーレム野郎が!!」

 

「コイツ、そんな不実な奴なの!?氏ね!リア充!!!」

 

「そーなんだよ!すずかやアリサだけでは事足りず、【組織】の女性達に手を出し捲くる程度には不誠実な輩なんだよ!!」

 

「違います。そりゃ、すずかやアリサの事は否定しませんが……【組織】の女性達には、逆夜這いで犯されただけです!!」

 

まあ、抵抗した所であの化け物共から逃れられるなんて思わないし、反撃した所であっという間に制圧されて玩具にされるのがオチだろう。なので、トーマの言い分はわからないでも無いんだが……それはそれ。これはこれなんだなぁw。

 

 

即ち、リア充は死んで良し!

 

 

「さて、オチも付いた事だし仕事に取り掛かりますか?」

 

「茶番も十分堪能したからね。頑張ろう!!」

 

「方や、悪戯好き。方や、茶番好き……真面目な方は、大変ですね?ですが、フォローはしません。奮闘を期待します」

 

「クソォ!!」

 

ポンと、リリィに肩を叩かれたトーマが吠える。

頑張れ!トーマ。負けるな!トーマ。

きっと、未来には良い事があるかも知れない!!

 

 

 

多分。

 

 

 

 

 




双夜、悪戯大好き天邪鬼。神崎&白亜、茶番大好き暴走気味。これを、トーマが…纏められませんでした。辛いw。

茶番好きな幼馴染みを入れたらどうなるかがわかる回でしたね。まさか、こんな風に長々と茶番を書く事になろうとは思いもしなかったよ。だが、次はちゃんと話を進めるので許して欲しい。てか、なんでこう…ハズレくじを引き続けるかなぁ?いや、書いているのは作者だけれど!でも、コレは無い!次回、転生者現る!?茶番を添えて…を送ります。絶対、そういうサブタイトルが付く様な話になるんだろうなぁ…はぁ。

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m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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