絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

487 / 591
三七一話

Re:

 

 

未だ、【組織】内に居る神崎大悟です。

浅上兄妹との、問題も解決?したので仕事に戻れると思った矢先別の問題が浮上して足留めを食らっているという状況。なので、問題解決に向かう師匠と別れて幼馴染み達が暮らす拠点に戻って来たのは良いんだけど。

何故か、微妙な雰囲気が漂っていた。というか、翼と美愛に挟まれて居心地の悪い状況が続いている。それを、ニヤニヤ顔で意地悪く眺める幼馴染み(男)達。

もちろん、白亜も含まれる。

 

「そう言えば、三桜は何処に居るんだ?」

 

「穂波なら、フルダイブでゲームの世界よ」

 

「フルダイブか……買い物依存症のリハビリだっけ?」

 

「ああ。皆が、ドン引きするくらいモンスターを倒して楽しんでいるよ。俺も付き合った事があるけど……アレは、恐怖だった」

 

「……つーか、名前を統一しないのか?三桜燐だろう?穂波は、生前の名前だ。まあ、俺達の間なら通じるけど……」

 

「あー……それなんだけど。私達、幼馴染みだけの時は出来るだけ前の名前で呼んで欲しいって事なんだよね……」

 

「なんで?混乱はしないけど、後々面倒にならないか?」

 

「あー……それなんだが、俺は穂波の意志に従ってやる事にしたよ。穂波、再三に渡って暗示を掛けてたからか生前の記憶が曖昧になって来ているそうだ。一部、消失した記憶もあるらしい」

 

「マジか……」

 

そういう事なら、生前呼びも致し方無いと思うけど……ここになら、そういう治療が出来る存在がゴロゴロ居そうだけど?そこへ、相談したりはしないのかな?と聞けば、お金が掛かると言われた。

 

「お金を要求された?あー……そうか。そう言えば、【鮮血の】さんの治療にも本来大金が必要だったわ……」

 

でも、当人が楽しげに了承してたから気にもしなかったけど……アレは、研究者的な興味本位から無料で受けてくれただけだった。もしくは、ウチの師匠が居たからお金を取る事が出来なかったのかも知れないけど。

いずれにしても、お金を稼げるここでお金を使わずに治療をお願いする事は出来ないそうな。まあ、それでも……一応という事で、師匠に無料相談窓口みたいなモノが無いか聞いてみる。すると、とある人物に会って嫁さんが浮気しているらしいと言えば無料になるというアドバイスが届いた。フムフム成程、こうやって師匠は治療費を踏み倒していたんだなぁ?とはいえ、師匠が【組織】にもたらす利益は踏み倒されたとしてもソレを遥かに超えるレベルだと師範代達は言う。つまり、俺ではソレを踏み倒せない可能性がある訳だ。なので、端末を起動してソレに掛かる費用を調べてみた。すると、踏み倒さなくても十分支払えるレベルの金額である事がわかる。つか、この程度なら、数日本気で働けば貯まる程度の金額だ。師匠に、後何日滞在出来るのかを確認してちょっと頑張ってみる事にする。

とりあえず、セイビアさんに連絡を入れてそのコネクションを使い仕事を斡旋して貰ってみた。多分、そんなに苦労せずに稼げるんじゃないか?

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

数日後。結論から言うと、問題なく普通に診察料8回分くらいを稼げたんですが?なんで、これが稼げないのかがわからない。もちろん、俺のスキルである《黄金律》は機能してないので今回の稼ぎは純粋に俺の実力になる。

まあ、実力が無いと言うのであればそこまでなんだけれど……生前の事を考えると、アイツ等に実力が無いなんて事は無いんだから問題ないハズであった。

 

「とりあえず、セイビアさんに聞いてみるかな?」

 

そんな訳で、仕事の斡旋をしてくれたセイビアさんにアポを取って近くのファミレスに来て貰った。ほら、初任給を得たらお世話になった人におごるのが当たり前じゃん?

 

「という訳で、そこそこでオナシャス!!」

 

「まあ、別に構わないんだけどさ……」

 

「えっと、私まで良かったんですか?」

 

「どうぞ、どうぞ。それで、アイツ等がこの程度を稼げない理由があるのか無いのか……教えていただけますかねぇ?」

 

「……ぶっちゃけて言うが、お前は異常だからな?」

 

一呼吸置いて、セイビアさんが言い出した言葉はそんな感じだった。というか、セイビアさんの言っている意味がわからず首を傾げてしまう。つか、俺って異常なんですか?

 

「普通は、あんな激痛を伴う仕事って嫌煙されるモノなんだ」

 

「でも、《痛覚耐性》があれば問題なくやれましたよ?」

 

「そもそもな話、その痛覚耐性を得る為にどれだけの苦痛を体験しなきゃならないか知ってるか?」

 

「……一日で、習得できましたが……?」

 

「oh……。常識。常識が、崩壊してる……」

 

「気を強く持つんだ!レイ。コイツは、あの双夜が育てたサラブレッド。俺達の常識なんて、通じる存在じゃねぇ!!」

 

酷い謂れ様である。というか、《痛覚耐性》や《苦痛耐性》って一日で習得できるモノじゃねぇの?俺の場合は、《不老不死》になったんだからと師匠によって下半身を木っ端微塵にされ続けたんですが?でもって、《超速再生》を得る為に出来るだけ早く再生する様に言われたんだっけ?初期も初期……一番初めに習得させられましたけど?アレって、おかしい事なんですかねぇ?

 

「うわぁ……」

 

「レイの反応を見てみろ!これが、普通の反応だからな!?」

 

「えぇー……でも、《不老不死》になったら先ず最初に習得するスキルだと言われましたよ?」

 

「必須じゃ無いから!何、当然!みたいに言ってるんだよ!?」

 

「いやー……その後も、師範代達にボコボコにされてたんで……」

 

「ヤバいなぁ……スパルタなんてレベルじゃねぇぞ!?」

 

「拷問?拷問レベルの話ですか?」

 

「いえいえ、普通の鍛錬ですけど?」

 

「自分が、異常だって事がわかってねぇ!!」

 

頭を抱えて、額を机に擦り付ける様に呻くセイビアさんを横目に俺はセイビアさんが言う異常を『良くわかっていますよー?』と思っていた。実際、あの鍛錬が異様なまで濃密かつハードなモノである事は銀河さん達との鍛錬で良く理解させられている。なので、セイビアさんが言っている意味はわかっていた。それでも、俺があの鍛錬を受ける理由は……それが、結果に繋がるという事を良くわかっていたからである。現に、あの鍛錬があったからこそ今を生きていられるんだと俺は実感しているからな?あの鍛錬を受けていなかったら、俺は間違いなく今ここには居なかった。

 

「わかってますよ?でも、それ以上にアレが身になっている事を理解&実感しているだけです。とりあえず、美愛と亮には《痛覚耐性》と《苦痛耐性》を習得させる様に動きますね?」

 

「止めたげて!!というか、俺の後輩だから双夜のスパルタに巻き込まないでくれないかな!?」

 

「でも、それだと三桜燐の治療費が稼げ無いんで……」

 

「ちょ、そっちはこっちで持つから!!」

 

「いえいえ、セイビアさんにはいつもお世話になっていますから。これ以上、御迷惑をお掛けする訳には行きません」

 

「迷惑じゃ無いから!っていうか、俺、メッチャ稼いでいるから!大丈夫、大丈夫。なぁ?レイ!」

 

「そ、そうですよ!なんなら、幼馴染みさん達の面倒も見て差し上げても構いませんから!!」

 

「大丈夫です。それに、若い内に苦労は買ってでもしろって言うじゃ無いですか?大丈夫、大丈夫。ちょっと、一日程下半身を爆散させて再生速度を速めるだけの簡単な修行ですから!!」

 

「簡単じゃない!簡単じゃないから!!」

 

「大丈夫です。慣れれば、気持ち良くなりますから……」

 

「ちょ!?それ、開いちゃ駄目な扉だから!!」

 

さて、冗談はさて置き……セイビアさん達の様子を見るに、俺が受けた鍛錬がどれだけ異常なモノであるのか推し測るのは容易だ。だからと言って、結果が出ている以上止める気は無い。アレは、とても効率の良い鍛錬である事は俺自身が一番身に染みてわかっている。

だけど、それを幼馴染み達に受けさせるかはまた別の問題だ。出来れば、受けさせたい。だが、それは《神殺し》へと転生させたセイビアさんによって止められてしまった。

これ以上は、越権行為に該当する為に口出しは出来そうにない。

全く、これだから別系統の転生は止めて欲しいモノだ。

 

「師匠に転生させて貰えていればこんな面倒も起きなかったのに……結局、穂波の治療費は俺が稼ぐしか無いのか……」

 

「いや、だから!治療費は、寄り親である俺が払うから!!」

 

「寄り親、ですか?でも、それって後から請求されたり……」

 

「しません!!てか、『寄り親』がわからないなら後見人って言えばわかる?つまりは、彼等の面倒を見る保護者になるんだよ」

 

「保護者……師匠みたいなモノですか?とは言え、俺の保護者って師匠と言うより使い魔全員みたいな感じなんですが……」

 

「あー……ん。言いたい事は、わかった。だが、彼処まで放任主義って訳じゃ無いから安心しろ。アイツ等が、それぞれ独り立ち出来るまでは面倒みるから……」

 

一応、その為の教育も始めては居るらしい。

ただし、進捗は亀並みらしいので目を瞠る様な成長は見られないとのこと。それで、本当にアイツ等が独り立ち出来るのかは不明だ。

 

「……ここは、師匠式鍛錬法を取り入れるべきでは?」

 

「心をへし折る気か!?大丈夫だ。安心しろ……」

 

いやいや、貴方の二つ名を考えると全く持って全然安心できませんから!それで無くても、『無神経』とか『トラブルメーカー』等と二大巨匠的な名前が付いているって言うのに……それ以外にも、『邪神』とか『第二の如月双夜』とか呼ばれているじゃないですか!?最新の二つ名に限っては、『もしかしたら、魔王』とか呼ばれているらしい。と言うか、悪名しか聞こえて来ない人も珍しいってレベル。ぶっちゃけ、不安しか無い。

 

「とりあえず、数回分のお金は稼げたんでそこから払いますよ」

 

「全然、信じてねぇな?コイツ……」

 

「貴方の悪名、たくさん聞きました。多少のやっかみもあるんでしょうけど……ちょっと、信用が無いかなぁ?」

 

「…………まあ、お前の気持ちもわからなくはない。わかった。アイツ等が、本当に助けを必要とした時以外は手を貸さないとしよう。全く、少しは先輩の顔を立ててみようとは思わないのか?」

 

「ハハハ。銀河さんや、レイさんなら二つ返事でお願いしてました。セイビアさんは、ちょっと直ぐには信じられないです」

 

それにこの話をしている間中、胸の前で指を組んで心配そうにアワアワしているレイさんを見てたら全然信用出来ませんでした。その後、銀河さんやレイさんの名前を出すと首を縦に振るレイさんの反応からしてセイビアさんは信用出来ない人だと良くわかってしまったんだ。

当人の嫁さんが、そんな反応をしているんだから……それ以上に信用出来る情報源は無い。

 

「はぁ……全く、今日は寝かさないぞぉ?」

 

「ひぃいぃぃぃ……!!」

 

ばれてーらw。ガシッと、レイさんの肩に腕を回したセイビアさんは意地悪そうな笑顔を浮かべて営み宣言をする。それを聞いて、顔を青くしたレイさんが超怯えているけど……俺には、何も出来ないんだよなぁ?

だって、夫婦間の問題だから風紀委員を呼ぶ訳にも行かない。師匠だったら、また別の方法で何とか出来るんだろうけど……さて、どうしたモノか?

 

「……………………」

 

とりあえず、俺の武具を手掛けた人に連絡取ってみるか?

レイさんとも、友人関係であれば今日くらいは回避出来るんじゃね?とも思ったけど、そう言えば俺あの人の連絡先知らねぇや。

 

「あのぉ……ラミスさんの連絡先知りません?」

 

「何故、ラミスの名前がここで出て来るんだ!?」

 

「え……そりゃ、俺の武具を手掛けたのってラミスさんじゃありませんか?師匠に言われているんですよね……調整して貰えって」

 

慌てた様子で、セイビアさんが過剰反応してた。だけど、そのお陰で難を逃れたレイさんはソソクサと誰かと連絡を取り始める。あ、コレ……今日の営みは、回避されたんじゃないですかねぇ?

 

「はい、コレ……ラミスの連絡先だよ!」

 

「あ、あざーッス!いやー、助かりましたぁw」

 

「あ、後、今晩ラミスが来るって……」

 

「ちょ!?テメェ……図りやがったなぁ!?」

 

「さぁ?俺は、武具の調整を依頼しなきゃならなかっただけッスよ?変なイチャモンは付けないで頂きたい!!」

 

「ホント、師弟揃って鬼畜な奴等だな!!」

 

「ハハハ。それ、(俺に取って)褒め言葉ッスよ?」

 

尊敬?敬愛?まあ、なんでも良いけど……憧れの存在と、同レベル扱いとか俺に取っては褒め言葉にしかならない。あの師匠と、同列扱いとか……照れる。ただ、セイビアさんはドン引きしてるけど。セイビアさんだって、尊敬している人くらい居るでしょう?

 

「そりゃ、居るはいるけど……同列扱いされたら、キレるぞ?」

 

「なんでさ!?」

 

「……まあ、あの方と言うなら……そうでしょうね(苦笑)」

 

「おや?レイさんは、セイビアさんの尊敬存在をご存知で?」

 

「ええ。古い付き合いですから、知らなくは無いですね」

 

「確か、天使の方でサワディ?という名前なんですよねぇ?」

 

「おま……なんで、知ってやがるんだ!?」

 

「ええ……あの方をご存知……な訳無いですね。双夜さんから聞いておられるんですか?」

 

「師匠というか、師範代達から?ああ、使い魔の方々から聞きました。とんでも無い、天然さんだとか……」

 

「ついに、遥か次元の彼方までその名を轟かせ始めたか……」

 

この人、本当に尊敬してるんだろうか?むしろ、存在自体を否定している様な感じなんですけど!?その隣で、苦笑いしてる人も。

 

「なんで、そんなに嫌がるんですか?尊敬する人なんでしょう?」

 

「ああ、そうじゃないんです。この人、サワディ様を敬愛されては居るんですが……天然ボケの被害者でもあるので……」

 

「あー……成程。心中お察しします……」

 

ウチの師匠も、かなり悪名高い人なのでセイビアさんの感覚とはまた別なモノではありますが……何となくわかる気がします。周囲の師匠に対する態度とか、反応とか割と化け物に対するモノが多いですからねぇ?中には、悪魔!と叫ぶ人もいました。当人は、邪神だよ?とか言ってましたが……そういうノリでしょう。

 

「…………心中って……ベクトル違いだろ!?」

 

「似た様な話でしょう?尊敬する人の奇行話なんて……」

 

「奇行話……ああ。そうなるのか……」

 

「片や、超ド天然。片や、邪悪極まりない邪神……奇行で十分」

 

「だな……OK、OK。誰にだって、他人から見たらおかしい所があっても致し方無し!それが、ヒューマンタイプの人種よ!!」

 

セイビアさんが、その手の話に対して悟りを開いてしまった様だ。まあ、尊敬?敬愛?している存在の奇行なんて俺達の心情からしたら気にする話でも無いんだから棚上げくらいが調度良い。ソレを抜いたとしても、尊敬する存在である事に変わりは無いんだ。奇行なんざ、気にするだけ無意味なんだと理解して欲しい。

 

「なにはともあれ、《神殺し》に転生したのはあの二人だけですか?有栖川や遠藤と三桜等に手は出さないで下さいよ?」

 

「望まない限りは、スカウトする気も無いよ。ただ、玩具は買い与え無いから悪しからず。フルダイブ機器で一悶着あったんだろ?ああいう、幼馴染みが居ると大変だな?」

 

「その節は、飛龍さんにもお世話になりました……」

 

「まあ、アイツも色々やらかしているからな……」

 

「それでも、助かっておりますので重々お礼を。あ……でも、お金は貸せませんので悪しからず……」

 

「ハハ!了解した。本人には、ちゃんと言っておこう」

 

「では、馬鹿共の事……よろしくお願いします」

 

言って、注文表を手に取りその場から去る。レジで、幾つかの質問をして俺の方に請求書が回って来る様にして貰った。まあ、今回限りの話ではあるけれど。こういう、個人的な契約?が出来るのもここくらいなモノだろう。いや、ホント便利な場所だよな?

これで、根回しは済んだので俺は師匠達と合流するべく拠点へと戻る。そう言えば、問題が起きたと師匠は言ってたけど……そっちは、片付いたのだろうか?ここから、出て行く事に支障をきたすレベルの問題って話だから未だ解決していないかも知れない。

 

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

「私も、行く事になったから!!」

 

拠点に戻ると、玄関で仁王立ちした白亜が胸の前で腕を組みドヤ顔で俺を待っていた。その上で、先程の台詞……となれば、コイツも《神殺し》への転生を果たしたって事か?と白亜の後に居た、師範代へ視線を向けると首を横に振る仕草。つまり、未だ転生には至って居ない模様。これは、イジれという師匠からのメッセージか?等と思ったので、すかさず『男に戻るの?』と訪ねた。

 

「へ?まっさかー、私は女のまま《神殺し》になったんだよ!!」

 

チラッと、師範代に視線を向けるが微妙な顔をした師範代が首を横に振る。やはり、転生したと勘違いしているらしい。それが、態となのか偶然なのかはわからないけど……間違いなく、『イジれ』って事なんだろう。

もしくは、拒絶された?

 

「お前、まだ《神殺し》に転生できてないぞ?」

 

「え……いや、でも、成ったハズだよ!?一瞬、意識を失って培養液の中から出て来たハズだよ!?」

 

「それって、手の込んだ悪戯されたんじゃね?つまり、お前はまだ人間のままで……現在進行系で、男の肉体が作られているって事だな?つー事は、英霊エミヤの身体か衛宮士郎の身体に戻るんだ?へぇ……暗黒歴史や黒色無双歴史を立ち上げるんだな?」

 

「ひぃ!?う、嘘だよね!?私、女のまま転生したんだよね!?」

 

「申し訳ありませんが、白亜様は未だ《神殺し》に転生されておりません。多分、Masterに悪戯されたのかと思われます」

 

「う、そ……嘘だよ!嘘だよね!?私、女のまま転生したんだよね!?嘘だと言ってよ!?そんな……私、また……い、嫌だ。嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌嫌嫌!男になんて戻りたく無い!暗黒歴史も、黒色無双歴史も体験なんてしたく無いっ!!」

 

頭を抱えて、その場に蹲ってしまった白亜は髪を振り乱して発狂し始める。まあ、その気持ちはわからなくも無いんだけれど……?いや、うん?まあ、なんだ……そんなに、嫌がる様なモノだったのかぁ?アレって……ま、そうだな。俺の暗黒歴史も、黒色無双歴史も男である限り体験したくも無いだろうし?記録に残したくも無いだろう。

だから、白亜が男に戻るのを拒絶する意味もわからなく無いんだけれど……ここまで、拒絶する姿を見せられると師匠が今後どの様な悪戯を用意しているのかが予測出来る。

これ、絶対一度は絶望させる気だよな?

 

『これが、君の転生する肉体だよ?』

 

とか言って、英霊エミヤの肉体を見せるか……衛宮士郎の肉体を見せるんだよね?でもって、《神殺し》に成りたいならどちらかを選ぶと良い等と迫るつもりじゃぁ?なんて予測が、直ぐに思い至る。だがしかし、この場で『イジる』事が推奨されているので白亜が女の姿で転生するのは間違いない。それだけは、師範代の反応からわかるので白亜の希望は叶えられるだろう。

 

「《神殺し》に転生したいんだろう?なら、転生前の性別に変わったとしてもおかしくは無いだろう。まあ、その辺りはランダムだからなぁ?ああ。因みに、俺の場合はインスタント・ソウルを更に複製出来るのか……っていう実験で、《神殺し》に転生したからこの姿のままだけど。白亜は、正規の方法で転生するんだよな?お疲れ様。そして、ようこそ!悪夢の極地へ!!」

 

「いやあああぁぁぁぁ!!!!!」

 

「何やってるのよ!?神崎……」

 

白亜の悲鳴を聞いて、奥からワラワラと幼馴染み達が出て来る。その代表としてか、美愛が呆れた様子で話掛けて来た。まあ、呆れてはいるけど俺を見る目はとても蔑んでいるのがわかる。とは言え、これは白亜が選択した事に対する試練でもあるので問答無用で経緯を説明した。

白亜が、《神殺し》に転生しようと思っている事や、その寄り親として師匠を選んだ事等様々な事を告げて行く。その中で、現状《神殺し》に転生するとランダムで男になるか女になるかわからない事を言ったら皆の表情が複雑化した。

 

「つまり、男から女に変わった白亜はランダムで性別が決まる可能性があるって事か……で、お前の暗黒歴史や黒色無双歴史を体験した挙げ句、それ等が記録されるかも知れないから悲鳴を上げていると……ぶっちゃけて言おう。自業自得じゃね?」

 

「自身の犯した罪の結果だよね?仕様が無いんじゃない?」

 

「ほーら、俺の暗黒歴史を見せてやろう!」

 

「止めてやれ……てか、追い詰めてやるな!」

 

「自分が、罪人である事を忘れ《神殺し》に成ろうとしているんだ。己の罪を自覚させて、罰を受ける覚悟を促すべきでは?」

 

「何故だろう……言ってる事は、まともな感じなんだが?やってる事が鬼畜過ぎて、何とも言えないんだが……」

 

「さあ、白亜!俺と一緒に、ユニットを組もうぜ!!」

 

「嫌だあああぁぁぁぁ!!!!!」

 

「女装した筋肉質の男が二人、可愛い衣装と可愛い振り付けで歌って踊って皆から太い悲鳴を上げさせようぜ!!もしかしたら、黄色い悲鳴が聞こえる様になるかもな!!」

 

「だから、止めてやれって……」

 

白亜は、頭を抱えてブンブンと髪を振り乱して首を横に振る。いやー、ここまで嫌がられると俺が体験したかの歴史達も中々役に立ってくれるモノだ。これなら、白亜に《神殺し》を諦めさせれるかも知れない。なので、徹底的に追い詰めて辞めるかどうかの選択肢を突き付けてみた。

 

「なら、《神殺し》になるのを辞めれば今のままだぜ?」

 

「…………神崎。過保護なのは良いが、本人の意志を無視して己のエゴを押し付けるのは止めろ!!」

 

「別に、俺のエゴを押し付けてなんて居ないぞ?俺は、これ以上絶望する被害者を増やしたく無いだけだ。このまま、《神殺し》になったとして歪んでしまえば師匠に殺されるだけだからな?」

 

「…………その話は聞いた。至れなかった場合の結末だろう?お前の師匠……あの人が、不死殺しなのは知っている。不適切だと判断されたら、殺されるのも知っている。それでも、構わないと俺は判断したからこそ《神殺し》になったんだ!!」

 

「わかってるよ。亮達なら、それを覚悟して転生したって事くらいわかってるさ。でも、白亜は俺達幼馴染みが《神殺し》に転生したからって理由で成ろうとしているんだぜ?それなら、止めるのが転生した幼馴染みの為すべき事だろう?」

 

「神崎が、とてもマトモな事を言ってる様に聞こえる……」

 

これが、言葉の魔力というモノだ!!と言いたいけど、今はまだバラすには時間的にもタイミング的にも良く無い状況だ。なので、言葉巧みに話を白亜の覚悟に戻してその続きを促す。

 

「最終的に、俺達の真似で転生して後悔するのは白亜なんだぞ?」

 

「後悔するとは、限らないけど……まあ、正論ではあるな……」

 

「ホントにみっちゃんの成長が著しい……お母さん、とっても嬉しいわぁ……」

 

「誰が、誰の母親か!?つか、同い年だろ!?」

 

美愛が、変な事を言って小芝居をしているけど気にしないで頂きたい。つか、何時まで保護者感覚で居るつもりなんだよ!?コイツ等は!?

 

 

 

 

 




とりあえず、結果(三桜燐もしくは穂波)と始まり(白亜起つ)とイジり?です。白亜に至っては、大分迷いましたが神崎を量産する気は無いのでイリヤ(クロエ)のまま転生させる予定です(確定)。ホントは、衛宮士郎(男)に転生させても…等と、思いはしたんですが暗黒歴史も黒色無双歴史も神崎の為のモノなので諦めました。ユニットを組ませるというのも一つの手ではあったんですけどね(笑)。それはそれで、面倒臭い話になりかねないし転生ホイホイとしては機能するだろうからクロエのままでも問題ないという結論です。むしろ、ストーカーが増えるんじゃ無いかな?【リリなの】の世界で、そんな姿の人間と言えば転生者だけだからな?なら、同じ転生者だからと言いながらコレクション的な気分で可愛い女の子を集め様とするだろうという考えの元、このままにする予定。転生者に取って、転生後の女の子なんてカードゲームのレアカード的な価値しか無いんじゃないかと思われ。なら、コレクションに加えたいなんていう感覚で集めそう…。いや、うん…まあ、言ってる事が鬼畜過ぎてアレではあるんですが…多分、これで間違いないと思われる。間違ってたら指摘して下さい。まあ、問題ないとは思いますけど。人間を人間と思わない輩なんてそんなもんだよね? ね!

今年も、残す所後僅かではありますが……来年も宜しくお願いします。それでは、良いお年を……

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。