絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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三六八話

Re:

 

 

修羅場?中の神崎大悟です。

腕を締め上げられ、腕を切り落とそうかなぁ?と考えていたら翼が美愛にアイアンクローを仕掛けて引き離してくれた。現在は、美愛と翼が睨み合っている所である。

ぶっちゃけ、俺と翼の関係性は恋人等では無かったハズなんだけれど?つか、未だ翼は凄惨な過去を忘れもしていなければ克服もしていない。カウンセリング中で、男性恐怖症にはなって居ないもののそうなっていない事が不思議なくらいの経験をしている。

 

「そう言えば、他の奴等はどこ行った?」(現実逃避)

 

何故だろう?最近、現実逃避が多くなっている気がする。でも、自分の置かれた状況をかんば見るに現実逃避をせざるを得ないんだよなぁ?何故、こんな事になってしまったのだろう?

 

「あ?あー……有栖川共か?有栖川は兎も角、他の奴等は美愛との話し合いに不要だから出てって貰ったぞ?その内、帰って来ると思うが……」

 

人払いしてたんかい!?まあ、やる事なす事に茶々を入れられても困るから有り難い事ではあるんだろうけど?アイツ等が居たら、纏まる話も纏まりそうに無いから英断ではある。ただし、有栖川についてはもっと詳しく教えて欲しかった。

 

「で、有栖川のボケはどこで何やってるのかな?」

 

「お?あ、うん。そりゃ、そっちの方が気になるか……アイツなら、今はバイト三昧しているぞ?風紀委員?さんによって、取り締まられたからなぁ……いや、馬鹿も居たもんだ……」

 

そうか。と、納得して視線を下にすると美愛の責める様な視線とかち合う。そう言えば、修羅場真っ只中でしたね?でも、当人放置して翼と視線を交し火花をバチバチしていたのは貴女なんですよ?なのに、避難げに見上げられるこの理不尽。そんな彼女を見て、『ああ。ここにも理不尽が転がっているんだなぁ…』と感慨深く思う。

俺の周りは、ホントこういう理不尽に溢れているよ。

だからと言って、恩のあるコイツ等を切り捨てられるハズもなく幼馴染みという関係は続いて行くだろう。

本音を言えば、()()()()()()()生前の関係を解消したい所ではあるんだ。その上、《神殺し》として今後もこの関係が続いて行くのかと思うとちょっと辟易としてしまう。幼馴染みだからと、永遠にこの関係が続くっていうのは多分色々と面倒極まりない結果にしかならないと思われる。とは言え、俺は【如月双夜】率いる《異端児》の《神殺し》。他の奴等は、【組織】所属の《神殺し》であるのでそこまで今と同じでは居られないと思うけど。そういう意味でも、面倒な事であるのは言うまでもない。

 

「なら、しっかり保護者をしていてくれ……多分、俺はコレ以上手助けは出来ないと思うから……」

 

「なんでだよ!?これまで通り、一緒にやって行こうぜ!!」

 

背後から、聞こえた声に振り返るとバイトから帰って来たのか有栖川の馬鹿がそこに立っていた。コイツ……良く、俺の前に顔を出せるよな?一発くらい、殴られる覚悟はあるんだろうか?

 

「……無いんだろうなぁ?(遠い目)」

 

「あ?何ゴチャゴチャ言ってんだよ!?」

 

「止めろ!お前は……神崎に会ったら、ちゃんと謝罪しろと言って置いただろ!?【親しい仲にも礼儀あり】って言っただろ?」

 

「……勝手にお前の金を当てにしたのは悪かった。でも、そうでもしなきゃ俺のアルトを質に入れなきゃならなかったんだ!!」

 

「質……質屋か……と言うか、科学系の知り合い作ってアルトにフルダイブの技術を組み込んで貰おうとか思わなかったのか?」

 

「……………………(ポカーン)」

 

「……(その手があったか!!)」

 

「思わなかったんだな……今更、遅いけど……」

 

魔改造依頼にすれば、デバイスの中身を見られるからとただ同然の値段でやって貰えたかも知れないのに……馬鹿な奴だ。とは言え、そういう発想はこの【組織】に染まって来たくらいの奴にしか出せないモノだからコイツ等にはムリな話ではあった訳だけど。

 

「一応、言って置くとお前等は『聖組』というセイビアさん率いる一派って事になるからな?軍系では、比較的に穏健派だから何かがあるって訳でも無いんだけど……」

 

「『聖(ヒジリ)組』?って、派閥があるのかよ!?」

 

そりゃ、あるだろう。

まあ、そこまで重要視する必要も無いけど。

そもそも、これだけ巨大な【組織】に派閥の一つや二つあってもおかしくは無い。それに加えて、誰の派閥に属するかで行使できる権限とか色々と変わって来るから一長一短である。

そんな中、たった一人で立ち向かうのがウチの師匠だ。

ただ、ウチの師匠の場合は時間が経つに連れて人数が増えて行くんだけどね?なんたって、使い魔が……無限増殖(ry。

 

「というか、俺の知る派閥はそれ程多くはない。セイビアさんの派閥と【鮮血の】さんの派閥。後は、ウチの師匠と銀河さんの所くらいなもんさ。後は、師範代にでも聞いてくれ……」

 

ぶっちゃけ、【始まりの魔法使い】率いる派閥もある事はわかるけど……細かい所までは、全然わからないってのが現状。それなりに、【組織】という巨大な人の集まりを知っては居るけど……どこまで広がっているのか、俺では把握し切れないのも事実。

一応、現状で知り得ているのはセイビアさんが率いる『聖組』に属した形の浅上兄妹と『魔導兵器組』に組するトーマがいるって事くらいだ。後は、知らん。有栖川や遠藤はまだ人間だし三桜に至っては【鮮血の】さんの保護化にある。白亜が、今後どの派閥に属する事になるかはわからないけど……出来れば、今上げた方々とは別の派閥に所属して欲しいモノだ。バランス的に、余り崩してはイケなさそうだから銀河さんでも紹介するかな?

 

「では、簡潔に……上層部が、大まかに三つ。穏健派と革新派に保守派。【始まりの魔法使い】は、革新派になります。何に対してかと言うと、《神殺し》では無く世界の有り様に付いて意見を言う派閥ですね。次に、【組織】の運営に関する派閥が五つ……」

 

「そっちは、面倒じゃから強硬派、過剰派、サボリ派、苦労派、死屍派の五つじゃ。サボリ派は、ストライキしておる輩じゃの」

 

「一瞬、何かと思ったわ!後、クロウ派ってブラック企業とかそういうんじゃねぇよな?死屍派は、病院にでも居るのか?」

 

「良くわかったの?兄様。正しく、そのまんまよw」

 

死屍累々から、『死屍派』という名前が付いたらしいけど……まんま、過労や精神的疲労で入院してたり通院している軍部とは思わなかった。つか、クロ()派って何だ?死屍派のイメージが、そのまま思考連鎖してくれたのでブラック企業とかそういうイメージが先行。一瞬、『うわぁ、聞きたくねぇ!』と思ったけど……次の瞬間には、『セイビアさん達が軍部には苦労人が多いとか言ってた気が……』と思い直していた。つか、『クロウ派』の『クロウ』って『苦労』じゃねぇよな!?そうであって欲しくは無いけど、流れ的に多分間違いは無いと思われる。

 

――そうか、『クロ()派』ではなくて『苦労派』か……。

 

つか、強硬派と過剰派も気になるけど……サボリ派とか聞いたら、大体予想が付いたわ!つまり、アレだろう?強硬派が営業関連で、過剰派が生産関連とかじゃねぇの?師匠だったか、師範代だったかが【組織】は『死の商人』だとか言ってたから軍部はそういうのも扱っていそうである。多分、そこには商業系の派閥も食い込んでそうなので余り口を挟むと面倒な事になりそうだ。

 

――んん!?……あ、そうか。

 

政治、経済が存在するなら別に一派閥だけで争う訳じゃ無い、のか?ちょっと、考え方が稚拙だったせいで『派閥』という人の集まりが単体で騒いでいるイメージがあった。だけど、己の思考から『食い込む』という発想が出た所で違和感を覚え納得してしまう。そりゃ、『組織』なんだから一派閥だけで動く訳が無いんだよな。提携している所もあるだろうから、ただ単に○○派閥だから云々で争っている訳では無いという事だ。下手をすれば、提携や連盟で大きなウネリを成して『組織』で動いている可能性も視野に入れなければならないだろう。となると、俺に絡んで来た強面の兄ちゃんとか何処かの派閥から派遣された『スカウト』だったのかも知れない。とすると……ヤバい、サッサとマトモな派閥に所属しないと面倒事に巻き込まれる可能性がある!?

 

「他には、病院関連と商業関連。並びに、軍部と治安部隊等の確執等は如何でしょう?他にも、政治系の者達と法律を順守する方々の熱い攻防戦等もありますよ?」

 

というか、既に所属してたりするんだなぁ……断然、師匠派です。

 

「ああ、もういいや……お腹いっぱいです」

 

なので、どっかに所属しなきゃ!と慌てる必要も無いので丁重にお断りして置く。今の所、鞍替えする予定も無いので華麗にスルー。多分、一生涯無いと思うのでそういうのは亮に丸投げする。

 

「では、亮さんには簡単な派閥図を差し上げましょう。敵対している方々とその理由も書いてありますから是非参考にして下さい」

 

「うわぁ……何か、とんでもないモノが出て来たぞ?」

 

亮に丸投げしたものの、師範代から出て来て勢力図に興味が湧いたので覗き見てみたら、かなり面倒そうな図形が出て来てコレに巻き込まれる亮達に同情する。つか、軍部だけでもかなり多くの派閥が存在するんだな?というか、聞いた事のある名前がチョイチョイあったのでそれなりに幅広い派生という訳ではなさそうだけど。でも、内容的にはかなり濃いから第三者として見る分には飽きないかも知れない。うわぁ……Status派閥なんだw。

 

「というか、軍人が火力を求めるってどういう了見か!?」

 

「防御こそ至高とは!?まあ、戦闘関連なのはわかるけど……ちょっと、パワー思考過ぎやしませんかねぇ?」

 

「速度重視に、技術重視……って、これってStatus?」

 

「ねぇ、ねぇ!これ、隠密部隊とか言ってるのに『ござる』なんて語尾が付いてるわよ?絶対、NINJAを意識してるじゃない」

 

「完全に、派閥と持ちネタが被ってるんじゃね!?コレ……」

 

「派閥とは!?」

 

「最早、面白ければ何でも良いって感じの派生ですね!」

 

全く……

 

「「「「ありがとうございます!!」」」」

 

【派閥】と言う名の、持ちネタ争いがこんな風に発展しているというのは中々思い付かないモノだ。だけど、長い時間を生きる彼等からするとこういうのも一興というモノなんだろう。まあ、俺達的には『無い』話ではあったけれど……永遠を生きる存在からするとそれはそれで活力になる根源ではあるんだと思われた。

所詮、『人が集まる場所』という事なのだろう。

 

「というか、ストライキしている方々って何が不満なの?」

 

「有給消化では無く、お休みもっと欲しい!という方々です」

 

「体感時間が加速出来るとは言え、幾らでも休みたい!楽しみたい!という輩は多いからの?特に、新たな物語を紡ぐゲームは狙い撃ちされやすい。もちろん、配信者も居るから中々幅広くてのぅ……ああ。ゲームだけでは無いぞ?」

 

――フルダイブ系のVRMMOかな?

 

「ゲーム配信ですか?もしかして、収入源とかになるんですか?」

 

「まあ、人間がやる事を模倣するのが神々ならば新たなジャンルを発掘する者や過去を保存する者も居るという程度です」

 

つまり、それなりの支持を得てやっていると言う事なんだろう。ちょっと、オルタの引き攣った様な苦笑いが気になったが嫌な予感がするのでスルーする。というか、この【組織】に所属して居るのにそれ程時間が有り余っている人材が居るっていう辺りで大体の予想が付いた。

ぶっちゃけて言うと、そういうのを生業にしているのって落ちこぼれ系の方々ですよね?ああ、答え合わせをしたい訳じゃ無いので返答は丁重にお断りしますが……そういう彼等が、どうやってこの実力主義世界で生きているのかと気になっていたので納得です。そうか、そういう稼ぎ方もあるんだ?

 

「フムフム……みんな、ゲーム大好きそうですもんね?」

 

「まあ、娯楽というモノは生きている者にとって必要不可欠なモノじゃからの?それを奪う権利は、神々にも存在せぬ」

 

「己の力を高める為に、奪おうとした【神】も居ましたけどね?」

 

「そう言えば、そんなのも居ったの?直ぐ様、殺されてしもうたが……ああいう時の人間は、とても強いからのぉ?」

 

「ハハ……《神殺し》じゃなくて、人間が神を殺しちゃったのか……そりゃ、またヤムチャした奴が居たんだな……」

 

「…………兄様も、お会いされた事がありますよ?」

 

「如月双夜(仮)が当事者だの。人の身でありながら、数多の世界を巡り数多の世界を救った生産職じゃ……勇者でないのがちとアレじゃが……まあ、そんな事は些細な事じゃの」

 

そうか、あの人ってそういう軌跡を歩んで来た人だったんだな?つか、『数多の世界』ってどんだけの世界を巡ったのかちょっと聞いてみたい。多分、想像を絶する数の世界を巡ったんだろうなぁ?ちょっと、聞き齧った程度でも十万世界は盥回しにされたとか言ってたから下手すると億単位の数字が出て来そうである。

もしかすると、もっと多い可能性もあるけど……まさか、ね?等と思っていたけど実際問題。彼が巡った世界は、兆に届くレベルだった。いやー、それだけの苦労を重ねて最終的に地球の約一万倍の惑星を手にしたと聞いた時はこの人も苦労人なんだなぁ……と思ったモノである。

つか、その苦労を労う為の報酬で更なる苦労を背負った彼は一体何がしたかったんだろうな?と疑問に思うばかりだ。てか、惑星開拓をしながらスローライフをしたかったんだろうと予測は付いたものの……まさか、落とし穴に落ちるとか誰が思おうかw。コレが正しく、『草も生えない』という話だろう。笑い話の様で、笑い話じゃ無いという鬼畜な物語。良く良く考えると、師匠達の物語を描くという作者は余程鬼畜な人間に違いない。だって、こうも己の作ったキャラを苦労と言う名のドン底(奈落)に落としたがるのか全く理解出来ない。

 

「ホント、何事も『ままならない』状況ですね?」

 

「そう言えば、兄様は苦労人の多い部署がどこかご存知ですか?」

 

「軍部だと聞きましたが?」

 

「では、その理由もお聞きになりましたか?」

 

「そう言えば、聞いてないなぁ?」

 

「成程。では、この【組織】が何を売って栄えて居るかはわかるかのぉ?もちろん、武器を売っているとは教えたがそれ以外は?」

 

「下は、オムツから上は戦艦まで幅広くやってるとは聞いています。でも、それだけじゃ無いんですか?」

 

「フムフム……まあ、正解ではあるの?」

 

「そうですね。聞き齧ったというレベルなら、及第点でしょうか?ですが、それだけでは不正解でもあります」

 

「…………他に、何か売る物でもあるn……まさか、人間?」

 

「いやいや、そこまで飛躍せんでも良かろう?じゃが、悪く無い着眼点ではある。というか、『戦力』を売っているのじゃよ」

 

「戦力ですか?……派遣、傭兵?」

 

「当たりだ。そう、傭兵業が盛んじゃの」

 

内容的に、『傭兵業』とは良く言ったモノではあったが……概ね、間違いでもなかったのでスルーした。つか、ある程度の条件付けはされているモノのやっている事は冒険者的な依頼と然程変わらない。簡潔に説明すると、ギルドという組合があってそこから依頼された案件を解決するだけの簡単な話だった訳だ。ぶっちゃけ、現在進行系で師匠がやってる『仕事』そのものと言えばわかり易いか?兎に角、必要最低限の能力者をランク分けして適切な人材を派遣する派遣会社みたいなモノだった。

 

「因みに、敵対する場合でも人材を派遣する事がありますが……当人同士での戦いを強要される事はありません。そういう、ルールがあるのと同時に受け持った人材によって派遣者である事を理由に断る権利があります」

 

「要は、最強の存在を雇って自国の命運を賭けた戦いに投下する行為は大体拒否出来るという事じゃ。でなければ、良い様に使われるだけの人材派遣会社になり得るからの」

 

「流石に他国の命運を我々に賭けられても困るだけですからそういう部分は自分達で解決して貰うと言うのが我々の方針です」

 

まあ、師匠を雇ってセイビアさんと戦わせたらどうなるか……って話ですよね?最強の存在を雇った方が勝つ!となれば、挙って強い存在のみに指名依頼が殺到するのは目に見えている。

更には、他国の命運なんぞを【組織】所属の奴等で決めるのも色々と面倒事に発展しそうだから良くわかる制度であった。つか、師匠とかに指名依頼したら依頼そのモノが無くなりそうである。

 

「因みに、勝利条件とかはちゃんと教えて貰えるんですか?」

 

「いえ、【組織】の方で入念に調べてから条件の一つとして組まれる様になっております」

 

言い方からして、嘘を教えられ大迷惑を被った事がある感じだった。そりゃ、当事者からしてみれば最強の駒を手に出来るんだ。自分達有利な条件で、使いたいと思っても仕方がない話ではある。

故に、勝利条件等の命運を左右しかねないモノは【組織】の方で調べて派遣する者に教える手筈になっている模様。

 

「……と、言いますか。【真実の瞳】を持つ者に、嘘を教えて勝利条件を消し飛ばされた方々がいらっしゃいまして……」

 

「こちらからしても、間違いでは無い対応だったからの……裁判になった後、膠着状態が長く続いたが故に勝利条件等の重要案件は【組織】が率先して調べるという事になっておる」

 

つまりは、不正行為は出来ないという事だ。

まあ、自己中な馬鹿は何処にでも湧いて出て来る訳で……それを鵜呑みにすれば、必ず不満に思う馬鹿も居たって事なんだろうけど。それでも、己の思うがままに物事を進め様とする輩は後を絶たないそうだ。そういう輩には、どういう対応をしているのか?

 

「そういう場合は……最悪、我等がMasterが出て来るぞ?と言えば、収まります。ええ、Masterの悪名は広く伝わっていますので……とっても、便利ですよ?」

 

その後に続く、『なんせ、小銀河を消し飛ばした方ですから!』という言葉が聞こえた様な気がした。成程、それは確かにとんでもない脅し文句である。ぶっちゃけ、師匠に取っては忘れたい黒歴史かも知れないけど……それを、チラ付かせるだけで相手が怯んでくれるならそれも一つの手段だろう。

 

「というか、私との会話避けてない?」

 

「てか、面倒臭い。そもそも、女の戦いに男が割って入ってもロクな事にもならないっていうのはわかるので静観してる」

 

「正論だな。今の状況からして、神崎と楽しく会話したいなら先ずその権利を勝ち取ってから言うべきだ」

 

「まあ、どうやってソレをモギ取るかは自分で考えてくれ……」

 

「じゃぁ、ケットーを申し込むわ!それが、一番手っ取り早い気がするし……良いわよね!?」

 

――決闘と来たか……。

 

つか、翼に決闘?死にたいんですかねぇ?

チラッと亮を見たら、苦笑いで返された。もしかして、コイツ等……翼の神様特典を知らない?そりゃ、今でこそ別物になっているとはいえパワータイプの転生者に決闘を申し込むとか自殺志願者としか思えなかった。ただ、その事を知らないからと言って口を挟むのはどうかと思われたので沈黙。二人が出て行った後、俺は亮に翼の神様特典を知っているか?と振った。

 

「カナっちの神様特典……いや、知らん。だが、それらは破棄されたと聞いたぞ?なら、関係ないと思うけど?」

 

「まあ、普通ならそういう反応になるよな?でも、その特典を介して己の身に付いたモノは消えないらしいぞ?」

 

「へぇ……でも、そんなに心配する様な話でも無いだろう?」

 

「一つは、HUNTER×HUNTERの念能力。二つ、『努力すれば実る』という名の強制筋力アップ。三つ目、サイヤ人並の回復能力とパワーアップ能力……そんな願いを叶えたアイツは、いったいどんな怪物になっているんだろうね?」

 

「ハハハ……でも、最近は鍛えたりしてないんだろう?」

 

「二つ目の特典が、『努力すれば実る』っていったろう?で、裏特典とは別にデメリットがあってな?それが、『衰えない』って効果だ。つまり、鍛えれば鍛える程強くなれるが衰えを知らないという効果になったらしい。ここら辺は、転生させた神が何を考えていたのかわからないから断言は出来ないけど」

 

「…………マジか。美愛は、化け物に喧嘩を売った模様……」

 

「否定はしない。まあ、そんな威力の拳で殴られる俺の気にもなってくれ…………さて、あっという間に負けたであろう美愛を冷やかしに行くぞ?」

 

そう言って、亮を伴った俺は拠点にある中庭へと向かう。着いて見れば、美愛の姿が無くて一人佇む翼だけが残っていた。これは、負けて逃げ出したのかな?とも思ったけどあの負けず嫌いが逃げ出す訳が無いのできっと拠点外に投げ出されたのだと予想。こりゃ、フォローが大変だなぁと思いつつ亮に言って探しに行って貰った。

さて、俺はというと一人佇む翼に声を掛けて部屋に戻る様に促す。当人は、キョトンとした顔で戻って行った。

 

「アレは、何が起こったのかわかってない感じだな?」

 

「そうでしょうか?私には、己の男に言い寄る害虫を排除してホッとしている様にも見えましたが……」

 

それは、否定しないけど……俺と翼の関係は、そこまで行ってない筈なんだ。ただ、翼本人に聞いた訳では無いのでどう思われて居るのかわからないけど……少しでも、心許されているなら嬉しいかな?とは言え、投げ捨てられた美愛がどうなったかは気になるので師範代に訪ねてみる。

知っていたら、有り難いが知らないのならそれはそれで構わない。

 

「黄昏れていますよ?」

 

「そりゃ、ここで鍛錬等をやっておるだろうからの?それなりに、自信みたいなモノがあっただろうさ。それが、多少の変則はあろうがただの人間に負けた。かなりのショックを受けたと思うぞ?」

 

そう言われて、そう言えば二人がどんな《神殺し》に転生したのか詳しく聞いて居ない事を思い出す。

 

「アイツ等は、『戦鬼』ですか?『隠鬼』ですか?」

 

「兄様と同じ、第二戦鬼ですね」

 

「元の肉体の経験とかは、引き継ぎですか?」

 

「もちろん、引き継がれていますが……」

 

「なら、翼に勝てなくても仕方がないですね?」

 

多少、魔法戦が出来ると言っても大部分は漫才に傾倒していた二人だ。なら、翼に勝てるだけの経験があるとは言い切れない。ほぼ、素人に毛が生えた程度の能力と考えられる。ワンチャン、魔法込みの模擬戦なら可能性があるかも知れないが……まあ、その可能性は無いだろうと頭を振った。なにはともあれ、暫くは滞在する事になるだろうが当初の目的は果たしたし?残りの日数は、休暇気分でいても問題ないだろう。じゃあ、銀河さんの元に通って魔法の鍛錬でもしましょうかねぇ?そう思いながら、銀河さんへのメールアドレスを探すのだった。

 

――いやー、忙しいなぁ(嬉)。

 

 

 

 

 




とりあえず、派閥についてのお話でした。修羅場中に何やってんの!?と言われそうではあるけど、そういうモノが
あるって言うのを言って見たかった。

因みに、【鮮血の】率いる科学進展派は一部の者を除いて科学班の大半が所属する大派閥である。次に【大魔導師】率いる魔法改革派や保守派や等割と多く作ってまりします。他にも、珍しい単位で【風紀委員】率いる『風紀取締隊』が有名所。【始まりの魔法使い】は、あの気配のせいで取り巻きこそ居ないモノの発言力だけはムダにあるのでそれなりに強権持ちである。ただし、やらかす奴にはメッチャ厳しいのでそれらを踏まえて所属する事になる。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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