絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四五三話

神崎:

 

 

師匠の無双が、留まる事を知らない。

と言うか、どうやら師匠は転生者達の対応に精神攻撃を加えた模様。つか、ドロドロ目ン玉とか三角ワンワンとかヤバいモノがわんさかと召喚されているとの事ですが……ムーンビーストは、らめぇえぇぇぇ!?

そして、地球上で結界が展開されているとは言えシュブ=ニグラスが来ちゃったらしい。つか、ソレはヤバ過ぎる!そもそも、クトゥルフ神話を転生者のお仕置き用に使うのは周囲への影響が半端なさ過ぎなんで勘弁してやってくれませんか?お願いですから、クトゥルフ神話系のモンスター達をお仕置きに使うのは勘弁してやって下さい!とは言ったものの、現地へは絶対に行かない俺。

だって、SAN値チェックを失敗するのは目に見えてわかっているんだぜ?なのに、現地に近付くとか馬鹿ですか?というか、あんなモンをどう対処しろと?直視して、SAN値直葬されるだけの末路ですよね!?そんな事を呟きつつ、今回の翼とのデートを振り返る。別の世界軸では、次から次へと転生者達による妨害が繰り広げられた訳だが、この世界では全く一切の妨害が入らなかった。理由は、秘密基地に戻った時点で判明したけど……師匠、やり過ぎです!なんですか!?転生者の前世の記憶を消去って!?そんな事されたら、人生計画がオジャンじゃないですか!

まあ、迷惑にしかならない転生者の人生計画なんてブッ壊しても問題無さそうなんだけれど。つか、行動の指針が無くなってむしろ原作周りが平和になる?ソレは、良いなぁ!

 

「良いぞもっと殺れぇ!!おっと、本音が……」

 

「Masterにしろ、兄様にしろ転生者へのヘイト高いですよね?」

 

「全くだの?元は、己も転生者側だったのに……今では、《神殺し》と何ら変わらぬとは……」

 

そりゃ、染まってしまいましたからねぇ?

とりあえず、そんな事を思いながら使い魔達が寄越す報告書に目を通す。そんな、膨大な情報源を読み進めていると一つの報告書に目が止まった。それに書かれていたのは、【複製世界の飽和】という一文。コレって、複製世界が飽和状態にあるって事だよな?

【飽和】……『最大まで満たされた』って意味だよね!?え……【リリなの】が飽和してんの?いや、この感じだと【リリなの】だけで無く【魔法少女】の世界そのモノが飽和しているって意味かも知れない。つまり、これ以上【リリなの】の世界を複製出来ないって事だよな?って事は、この旅にも終わりが見えて来たって事か!!シミジミとした感情が、湧き上がる。これで、終わりなのか……そんな、感情に浸っていると何を思ったのかオルタが横から俺の手元にある報告書を覗き込んで来た。

 

「おや?もう、飽和しているのか……割と、早かったの?」

 

「え?もう、世界が飽和しているんですか?」

 

「……………………」

 

何でしょう?この、俺とは違う様な反応は……まるで、これから良く無い事が起こるかの様なニュアンスである。つか、終わりじゃ無いんですか!?飽和しているんだから、これ以上に世界が複製される事にはならないんじゃぁ?と思っていたのですが……飽和してても増やす事は出来るとのこと。ぶっちゃけ、飽和した状態で世界を複製すると古い複製世界が別の複製世界と融合するらしい。つまり、世界と登場人物はそのまんまなのにそれぞれの世界の転生者が鉢合わせする様な状況に陥るとのこと。言うなれば、転生者の数だけが増え続ける事となるそうです。

 

「それって、原作ヒロインが増えるとかじゃ無いんですか!?」

 

「居ない方は、増えるでしょうね?」

 

「そもそも、平行世界とは人物と歴史が異なるが故に同時に存在して要られる。だが、この世界はどうだ?極論、人物は異なるが歴史は大体同じじゃろ?」

 

「大本の世界と、似た様な歴史を辿っている以上……融合を避ける事は出来ません。なれば、何が起こると思われますか?」

 

「世界観は、そのまんまで歴史も一緒。転生者だけが、追加されて行くとなると……リソースが、足りなくなる?」

 

「リソースは、問題ありません。むしろ、増えるくらいです」

 

「もっと、深刻な問題があるの」

 

「転生者が、殺し合いを始めるって事ですか?」

 

「そんなモノは、今までもあったであろう?」

 

「えっと……わかりません」

 

「ならば、転生者の元はなんだ?」

 

「転生者の元……?」

 

「転生者は、何で出来ていますか?って意味ですね」

 

転生者が、一体なにで出来ているか……だって?はて、そんなんわかる訳が無いだろう?と言いたいが、俺は知っている。彼等は、インスタント・ソウルで神々の神通力で存在を保っているんだ。

だが、師範代が聞きたいのはそういう事では無いだろう。多分、転生者達の本質が何かを言えって事なんだろうけど……何だっけ?

本質……生前の記憶を持って生まれた事?いや、本質って言う事だからそんな上辺的な事じゃ無いハズだ。インスタント・ソウル……インスタント・ソウルは、真新しい魂に生まれ変わらせたい人物の記憶と経験と人格をコピペした即席魂だって師匠は言っていた。なら、本質と言うなら【真新しい魂】の方という事になる。

でも、【真新しい魂】が転生者の本質かと言われると違う気しかしない。転生者の本質……転生者の本質……OK。見方を変えよう。過去の経験から、転生者が最終的にどうなったかと言えば《堕ち神》に至ったハズだ。《堕ち神》……本来は、神々が人間の負の感情によって染まり暴走。その果に、己の創造物に危害を加え《神殺し》達に目を付けられて殺される存在?ああ、いや……それは、結果論なんだっけ?えっと、《堕ち神》は人間の負の感情によって染められた神が暴走した存在……で、OK?

転生者の場合は、人為的に暴走した神に近い状態にして【呪い】を撒き散らし世界を歪めて世界を()()()()()事を目的に世界の中へ送り込まれた存在だ。つまり、【呪い】の塊って事。

 

「………………呪い?え、ちょっと待って!転生者って、【呪い】を内包してますよね?【呪い】が、増えるんですか?」

 

「ウム、そうだ。《堕ち神》に至る呪いだ」

 

「正確には、世界を()()()()()【歪み】ですね」

 

「それが、今度は世界の中に溢れ返る訳だの」

 

「それって、相当危険な状態なんじゃ……」

 

「元より、世界をこじ開ける為の転生システムじゃろ?」

 

「今までは、まだ猶予がありましたが……これからは、猶予の無い切迫した状況が続く事になるでしょう。まあ、大体の問題は解決していますが……」

 

「え?解決しているんですか!?」

 

「Masterが、最終結論を出しておるからの」

 

「生前の記憶を削除すれば、劣等感による【呪い】の暴発はありえないとのことです。それに、【呪い】が世界に影響をもたらすには神様特典を二つ以上保有せねばなりません」

 

「ならば、話は簡単だ。生前の記憶を消して、神様特典を一つにしてしまえば世界がこじ開けられる事はないと言えるの?」

 

つまり、転生者は見付け次第生前の記憶を削除して神様特典を一つにしてしまうと師範代達は言っている訳だ。それって、問答無用でですよね?本人の意思確認とか、全く無しに生前の記憶と神様特典を削除すると言っているのか?まあ、転生者自体がイレギュラーな存在なんだからソレをどうにかしても大きな問題にはならない。

むしろ、問題が解決して万々歳?

 

「もっと言えば、神様特典を完全に消してしまえば残るは無意味な【呪い】のみ。【呪い】単体では、周囲に影響を及ぼす事は出来ぬからの。アレは、神様特典とセットで使われるモノよ」

 

正確には、神様特典や魔法に乗せて撒き散らす残滓でしか無いそうだ。それが、塵積もって世界の歪みへと発展する。歪みへと発展したソレは、世界の根幹を歪ませて内側にあるモノを【外】へと吐き出す“箱”と成り下がってしまう。そうなったら、その世界ではまともに文明が発達する事はない。ただ、《旧・神族》共の“玩具箱”となってしまうのだ。

 

「高々、【呪い】と言えども世界を歪める事に特化した【呪い】です。これが、人を呪う程度のモノであれば放置を決め込めるのですが……世界そのモノを歪める【呪い】は、そこに居る生物までも歪めてしまうのです」

 

それが、人為的に生み出される《堕ち神》の原型。それが、発見されるまでは本当にゴリゴリの脳筋戦だったそうだ。武器を手に、相手と殴り合って戦う戦法を取っていたらしい。つか、【魔導兵器】が最強だった頃の話なんだそうだ。まあ、あの人ならさもありなん。存在するだけで、周囲を圧倒する方だからその場に居るだけで《神殺し》達の士気とステータスを爆上げするユニットと化していたとのこと。それ、どんなチートキャラッスか!?

 

「他にも、特定の条件さえ整えば無敵になる方も居ますね……」

 

「フム。思い付くのは、三人だの。いずれにしても、その特定の条件がシビア過ぎて普段は使えぬがの?」

 

「そうですね。その点では、Masterの《ルール・ブレイカー》はどんな状況でも使えますので汎用性が高いですね」

 

「つか、無敵キャラは師匠かよ!?」

 

まあ、師匠の《ルール・ブレイカー》の特性を考えれば直ぐに思い当たるチートではあるけど。本人が、中々使わない挙げ句に使ってもMPを消費する様に()()()()ので長時間は使えない。稀に、針状にする事で消費MPを抑えて居るから全然使えない訳では無い模様。それに、必要とあらばシステム・ユグドラシル経由で魔力供給が可能みたいだから実質無限に使えると言う。

それでも、バランス・ブレイカーになるからと師匠は極力《ルール・ブレイカー》を使用しない。もしかすると、調整の時や何かでペナルティが発生するのかも知れないので余り進めるのもどうかなぁ?と思われる。

 

「遠慮せずに、バンバン使えば良いのに……」

 

「いえいえ、違いますよ?姉様。然程、大きな問題は発生しませんが世界の意思から使用回数が制限されてはいますね……」

 

はい、原因判明。世界の意思から、回数制限受けてるなんて聞いてねぇぞ?つか、それが全ての原因じゃねぇか!!

「何か、問題でもあるんですか?」

 

「全然。ただ、ちょっと前に《旧・神族》が《ルール・ブレイカー》が使われると大幅にリソースが減る等と噂を流しおっての?それを信じた者から、謂れない誹謗中傷があったのじゃ」

 

「超原因それじゃね?……つか、《旧・神族》めロクな事しねぇな!?じゃぁ、《ルール・ブレイカー》にデメリットって存在しないんだな?」

 

「無いですね」

 

「基本的に、無いの」

 

ただし、世界の意思が回数制限をしているので十回も使えないらしいけど……基本的に数回使えれば問題ないので障害にもなって無いそうだ。なら、普通に使えば良いじゃんって話になるんだけれど……師匠が、トコトン使わないので縛りプレイしている様な状態が続いているのだとか。師匠ェ……。

 

「どうにかして、師匠に使わせられないモノか……」

 

「……Masterは、頑固ですから……」

 

「そうじゃな……頑固者じゃの」

 

遠い目で、師匠の頑固ップリを語る師範代達。心無しか、煤けている様にも見えるが……師匠と何かあった?まあ、それは良いとして……今後の方針をどうするべきか。ミッドチルダ内を、くまなく回った訳じゃ無いから中央区だけで転生者が突っ掛かって来ないと結論付ける訳には行かないだろう。それに、『vivid』のヒロインはメインだけでなくサブにエキストラ(モブ)と幅広く居る。

もしかしたら、そちらの方に潜伏して漁夫の利を得ようとしている奴だって居るかも知れない。一応、この情報は使い魔を通して師匠に伝えるとしてエキストラのプロフィールとか細かい所までは覚えて居ないので困る。そりゃ、容姿や名前くらいなら覚えて居るけれど。ああ!イメージ・フィードバックシステム(IFS)!!

それなら、記憶を転写する事が出来るかも知れない。それならば、俺の記憶から顔写真は作れるだろう。それを使って、対象を探して貰えれば……あ。いや、それは無理か。今、ヴィヴィオは6歳〜7歳になったくらい。JS事件から、まだ一年も経っていない状態だ。だとすると、他の選手達もDSAAに出られる程育って居ないハズ。良くて、ギリギリ出場出来るくらいだろう。接触出来るのは、ジークや番長くらい……とりあえず、原作に出て居た選手達の名簿を作って師範代に渡して置いた。『助かる』と喜ばれたは、喜ばれたけど正確な顔写真とか付けられなくて申し訳無い気持でいっぱいだ。クソォ……前世なら、ネットでサクッと調べられるのにっ!!ん?ネット……まさかなぁと、思いながら端末にエキストラ選手達の名前を打ち込んでみるとアッサリ情報が出て来てしまった。

うわぁい、顔写真付きだぁ!!

 

「え、ナニコレ!?え……こ……ど……?」

 

とりあえず、混乱する頭のまま居間に行き師範代を連れて来る。

その上で、端末に上げられた【魔法少女リリカルなのは】の原作人物情報を見せた。すると、コレが何だ?と言わんばかりの顔で『だから?』と逆に問われる。いや、コレなら俺から情報を得なくても問題無いじゃないですか!?

 

「言いたい事は、わかりますが……Masterが、コレを使うとでも?あの、Masterが、ですよ?【鮮血の小悪魔】に散々玩具にされて来たMasterが、ですよ?見るとお思いで?」

 

「…………見ないッスね」

 

成程、そういう理由で師匠の端末信用度が低いのか……まあ、俺からしたら十分信用に値するレベルの情報に見えるけど。師匠からすると、これまでの経験から信用に値しないという結論になっている模様。一応、それ等の情報と俺の知る原作知識を比べてはみたけど……問題は無さそうだ。だからと言って、師匠が見ないモノを俺が使う訳には行かないのでそっと端末を閉じた。

 

「この後に、書き換えられているかも知れませんね?」

 

「いや、まさか……え?ありえるんですか!?」

 

神妙な顔で、頷く師範代を見て俺は定期的に確認する事を決意する。つか、そんなに頻繁に情報を書き換えられていては落ち着かないからな。端末情報の信用度の事もあるからこれは必須作業という事とした。まあ、暇な時に確認すれば良いだろう。

 

「実際にあったそうですよ?」

 

「マジか……信用より、自らの自己満足を取るとわ……」

 

「そういう方が、多いですから……」

 

「ああ……アレか。なんとやらは紙一重ってヤツか……」

 

「ええ。天災と馬鹿は紙一重です」

 

何となく、『天才』のニュアンスが違う様な気がするんだけど……聞き違いか?でも、言葉的に間違いは無かったのでツッコミはしない。まあ、違ったとしても俺には関係の無い話だ。

 

「アホとバカじゃ無いんだな?」

 

「それでは、意味が変わりません」

 

「いやいや、アホは脳が無くてバカはお調子者の亜種だろ?元より、意味は違うぞ?」

 

「…………驚きました。アホとバカには、それ程の差があるのですね。確かに、脳が無いのとお調子者は違います」

 

「まあ、【鮮血の】さんはそのどちらでもありそうだけれど。頭が良い癖に脳が無くてお調子者とか迷惑な存在ですよね!!」

 

悪意100%の小悪魔さんには、家に帰ってくれた方が良い気がするけどな。いつか、本人に『ハウス!』とし宣告てやりたい。

もしくは、別の方法でギャフンと言わせてやりたいのだが……いつになる事やら。最悪、師匠にお願いして報復するという手段も視野に入れて置く必要があるかも知れない。まあ、師匠なら嬉々としてお願いを聞いてくれるかもなぁ?そして、俺がヤッたと告げ口されるんですね?わかります。

 

「因みに、Masterは既に格納庫を消し飛ばすという報復を行っています。それでも、あの方はMasterをイジるのを止めません」

 

「……死にたがり屋?もしくは、趣味を壊して欲しいのかな?」

 

「それは……Masterが、喜びそうなネタですね!」

 

「ヤられたら、倍返しでOKだぜ?半沢○樹も、そう言ってたからなぁ……ああ、アレはアニメとかじゃ無いけど」

 

「ヒューマンドラマですよね?」

 

「ありゃ?しってるんですか!?」

 

「基本的に、【組織】は俗物が多いですからね……」

 

「俗物って……まあ、否定は出来ないですけど」

 

「そんな訳ですから、興味を引くモノは大抵見てます。ただ、Masterは仕事が趣味みたいなモノですから一ヶ所に留まって居られません。故に、知らない可能性の方が大体ですね」

 

「まあ、師匠だし……そんな所でしょう」

 

「ほぉ?言う様になりましたね?兄様」

 

「じゃぁ、積みゲーならぬ積みアニメをセコセコ見ている師匠とか想像できますか?俺は、出来ませんねw」

 

目を据わらせて、こっちを睨んでいた師範代は暫くすると呆れた感じで視線を逸した。きっと、俺の言ってる事を否定出来なかったんだと思われる。つか、師匠がそういう人だとわかっていながら同意を求めたんだから恨めしそうに睨んだりしないで欲しい。

そりゃ、師匠信者としては物言いたい所なんだろうけど。

 

「ああ言う師匠だから、みんな大好き!!なんでしょう?」

 

「くっ……本当に、言う様になりましたね?兄様」

 

いや、だから……ああんもう!良いです、良いです。好きなだけ、睨んでいて下さい。立ち上がって、駄々をゴネる師範代をお姫様抱っこして部屋の外へと一緒に出て落とす。それで、また別の事で騒ぎ始めるけど俺は気にせず居間の方向へ。どうせ、抱き上げ続けていても俺と翼をからかうネタにするだけなので取り合わない。それに、どれだけ腰が痛かろうがそれでどうにかなる存在でも無いでしょうに……つか、『再起動』の一言で元に戻る師範代達と死ぬ事も無く再生する俺達では余りにも命が軽い。

 

「翼ならまだしも、師範代や俺じゃぁ命が軽過ぎるだろ!?」

 

「軽い……とまでは言いませんよ?」

 

「それでも、俺や師範代達とか……不老不死じゃないですか」

 

「我々は、厳密には不老不死ではありませんが……」

 

「それでも、年は取りませんよね?」

 

「まあ、そうですね。単価、数円のビー玉サイズですよ?」

 

約一センチ未満の極小ビー玉ですか……まあ、それで人間ッポク振る舞える挙動が取れるって言うんだから恐ろしい話ですよね?

だが、そんな小さなビー玉サイズに盛り込まれた技術はデタラメで普通に人間としか判断できない。これで、省エネモード(仔猫)とかに成らなければ普通の人間だからなぁ。

 

「師匠は、友達が欲しかったんですかねぇ?」

 

「……あ、もしかして私達を創った理由ですか?違いますよ?」

 

「へぇ?じゃ、創られた理由とか知っているんですか?」

 

「もちろん!ただ単純に、人手が欲しかったらしいんです。私達には、創られた当初からの記憶があります」

 

「ほおほぉ。それって、どんな?」

 

「…………(ニッコリ)……創られて直ぐは、広大な白い場所に数百人単位で押し込められていましたね」

 

なんでも、創られて直ぐは言葉すらまともに話せない状態だったらしい。それでも、“個”としての意識はあるので自分が『なんで在るか』という事は良くわかっていたらしい。つまり、使い魔である……と。それで、自分を生み出した存在を求めてウロウロ(ハイハイ)していたらしいんだけど、師匠に出会うまでそれから数日掛かったとのこと。

 

「創ったまま、放置ですか……」

 

「と言うか、一人一人に説明するより一気に教える事を選んだみたいですね。ですので、最初は大いに反発する者がいました」

 

そりゃ、起動させられてから数日放置されたら誰だって拗ねますよ。むしろ、反発しなかった奴が居たらインタビューしたい。

 

「それから?って、まだ何かやらかしてそうだな……」

 

「その後、一通りの説明を受けましたが……他の者達が反発を始めると『そうか。手伝わないなら無駄だな』と機能停止で脅して来ましたね」

 

「師匠ェ……」

 

いや、まあ……効率を考えたら、師匠が使い魔達の機能を停止させようとしたのは良くわかる。だが、数日放置したのは師匠なのだから一先ず謝罪から入れば良かったのでは?なのに、真っ先に出るのが脅しとか更なる反発を招きそうな一言である。

 

「もちろん、更なる反発が起こりましたが……強制的に省エネモードにされて真っ白な空間に永遠と放置されただけでした」

 

「それは……それで、キツそうな話ですね」

 

殺生与奪の権限を握っている癖に、省エネモードで永遠と放置ですか。しかも、何も無いだだっ広い空間に永遠と放置。それって、絶対飽きて暇を持て余すのを待ってただけですよね?飲まず食わずでもOKな使い魔が、ただ真っ白な空間に放置されるって苦痛だったんじゃ無いかなぁ?

 

「暫くして、始まったのは……【外】に出られれば、楽しい世界が待っているという嫌がらせでした」

 

「あー……拷問ですね」

 

俗に、『プロパガンダ』とか言う宣伝法ですね!

時折、とても美味しそうな匂いが漂って来たり興味をそそる映像が流れたりと【外】に興味を持たせる宣伝は彼等が屈するまで続いたとのこと。いやー、放置した結果の反発をそんな方法で解決しようとか師匠は何を考えているんですかねぇ?ぶっちゃけ、一言謝罪さえすれば簡単に落ち着いた話の様にも聞こえるけど……それだけ、切迫していたという事なんだろうか?

そして、それに屈した使い魔が続出して彼等の反乱は終了した。

 

「鬼畜ッスね…………で、最初の任務ってなんでした?」

 

「【組織】襲撃事件ですね」

 

「何さらしとんじゃ、あんの鉄砲玉は!?あ、サーセン……」

 

「いえ、兄様の気持ちは良くわかります」

 

つか、世界の調整とか歪みの処理で大変だって言うなら使い魔制作の理由もわかるんだけど……寄りによって、【組織】に対して報復したいからと作る師匠も師匠である。いや、一番割に合わない役回りは使い魔達だろう。師匠が、己のイライラを解消する為だけに生み出されたとか……彼等に取って、最悪の理由である。

 

「てか、本当にそれだけが理由じゃ無いッスよね?」

 

「ふふふ。もちろん、ただの起動実験と性能テストですよ?」

 

「それで、襲撃される【組織】って……謝って!謝ってよぉ!!」

 

「まあまあ……ちゃんと、一施設は占拠しましたから!」

 

「止めて!お願いだから、そんな良い笑顔で占拠宣言とかしないで下さい。絶対、色んな部署に超迷惑を撒き散らして居ますよね!?」

 

「その後、私達の興味は【組織】の至る所へと向けられて……業務を少々、邪魔してしまいました」

 

その言葉を聞いて、俺の頭には恐ろしい光景が思い浮かんだ。

 

「それ、少々所の話じゃ無いんじゃ……」

 

あー、多分……一ミリたりとも間違っていないであろう光景が目に浮かぶ。それは、ありとあらゆる物に興味を持って暴れる幼稚園児(使い魔)達に絡まれたセイビアさん達の図がありありと予想出来て俺はホロリと涙を流す事になった。

 

 

 

 

 




閑話的な意味で、神崎くんの話になったよ。まあ、使い魔誕生秘話とかも入れたけど……これ、マジな話w。作った上で、一週間程放置してましたw!!つか、パスを通してユグドラシルを起動させたら勝手に使い魔化した。まあ、魔力さえ流し込めば使い魔は使い魔として起動する様になってたからね。ワザワザ、システム・アガシオンとか必要ないんだよ。アレは、使い魔を格納する為の倉庫みたいなモノだから……中は、切り取られた世界が入ってる。特定の環境が保たれた世界?みたいなのがセットされてて、そこで使い魔達が生活していると思いねぇw。まあ、如月双夜(仮)の恒星級惑星……太陽と同等(×100倍)の大きさを誇る惑星が隔離されているのと同じ様な技術。あっちは、宇宙空間そのものをサクッと切り取って亜空間に詰め込んだモノだけどな。真空で、無重力な空間に宇宙が……入ってる的な?モノ。それが、ドラえもんの頭くらいの大きさに収まってるって言うんだから頭おかしい。なんで、そうなったんだろうね?
魔法と科学を融合させたら出来るのかねぇ?
如月双夜(仮)のヤツは出来なさそう(本音)。
双夜の方は、出来そうだけどねw(規模が小さいから)。


恋愛……双夜&静の場合、万年単位での嫌がらせ?
神崎&翼の場合、転生被害でガチ拗れ。後、幼馴染みズが撹乱してくるぜ!!セイビアの恋愛でも、数百年掛かったしなぁ?独り身超多数。魔導兵器に至っては恋愛の『れ』の字にも発展する事無し……まともな恋愛でも、拗れて捻れて螺旋化して最終的にメビウスになった時は途方に暮れたw。試練と嫌がらせと感情のアレやコレ。下手に盛り込むと収集が付かなくなるヤバいネタだけど……超級時間で問題解決して来た作者には短期間での解決法は思い付かないよ?時間が掛かって、踏んだり蹴ったり顔に蜂突で七転八起急転直下で断崖絶壁で山あり谷あり奈落落ち……なんて、良くある話。最悪、冥界から黄泉に至り地獄落ちなんてヤツもあったからなぁ?
Yesロリーター!タッチ上等とか、地割れ(比喩)に落ちたんだぞ?
まあ、落ちて当然だが……地割れ落ち【m9(^ω^)ザマァ!】ってメッチャ煽らせた記憶あるわw。魔導兵器に。
で、Yes!ロリータータッチ上等を発狂させた記憶もありますね。
後に続く話は、ロリ魂が幼げな使い魔を拉致ってちょっとエロい悪戯を仕掛けた所で魔王降臨とかかな?感情の抜け落ちた真顔な使い魔の主が馬鹿の背後で鈍器振り上げてるのが最後だったよ。それ以上は、描いてない。そこで、終了とした短編集だな。明らかに、その後の展開がわかるモノは放置や放棄が常。
作者の恋愛感に関するお話でしたw。とりあえず、叩き蹴り落とす的な?ただし、恋愛に落とすのではなく破綻させて奈落の更に深淵へ。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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