絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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四二五話 #

Re:

 

 

師匠が、巨大ビットでハチャメチャにした世界を後にして向かう先は【組織】の中継施設。ここで、有栖川達を下ろして次の世界に行くのかと思いきや【鮮血の】さんと合流しただけでした。

そして、現在。更に、別の中継施設へ移動して……何故か、浅上兄妹にとても良い笑顔で出迎えられた所。なんッスか?怖いんですけど!?コイツ等が、笑ってるととても不穏な気配を感じる。

 

「いや、俺を盾にされても困るだけなんだが!?」

 

ポジション的には、目の前に浅上兄妹。俺、その後ろに隠れようとする有栖川&遠藤。更なる奥に、翼という良くわからない位置関係。ついでに言うと、浅上兄妹からは何故か請求書が渡されるんだが!?これ、なんですかね!?請求書!?

 

「それは、三桜がこさえた請求書だ……」

 

「え?アイツ、またやったの!?うわぁ、【組織】で買い物?高っ……は?これ、俺が払うの!?」

 

「正確には、私()でよ。だから、その背後の人材を寄越しなさい。私達のアルバイトじゃ、全然足りないんだから!!」

 

「良いよ?おら、お前等も働け。ああ、ガチ物のアルトアイゼンに乗れるぞ?【組織】には、完全再現されたMSがあったハズだからな?好きだろ?お前等……」

 

「乗れるなら、お任せあれ!!」

 

「もちろん、ライン・ヴァイスリッターもあるんだよな!?」

 

「あるよ?もちろん、あるとも!!」

 

ササッと、現れる【鮮血の】さん。出て来なくて良いッスよ?

 

「師匠、これ、俺の給料で払えますかねぇ?」

 

「…………買い物依存症か?カウンセリングは?」

 

師匠の視線が、浅上兄妹に向けられる。少し、怯んだ様な仕草が見られた。まあ、師匠に睨まれたら大抵の奴はそうなる。

 

「ああ、意味がないんですよ。それに、平行世界の自分から流れ込むストレスが原因らしいんで治らないそうです」

 

「ム?神崎、功績の一部をお金に替えろ。それで、払える」

 

「……ああ。そう言えば、功績ってお金に変えれましたね?」

 

「マジで!?助かるぅ!!」

 

ガシッと、両手で俺の手を握る美愛。近くで見れば、うっすらと隈が浮かんでいるのがわかって苦労している事が手に取る様に理解出来た。いや、お疲れ様です。つか、この請求書……完全に、三桜の買い物依存症のヤツだけだよな?全く、頼れよ?

 

「でも、流石に全部は無理だぞ?翼の面倒も見なきゃならんし、俺も支払わにゃならんローンがあるからな?」

 

「え、ローン!?何、買ったし!?」

 

「色々だ。修理費とか、専用武具のメンテナンス費とか……」

 

専用武具に関しては、いらない気がビンビンするんだけどな!?

でも、やらないと煩い人達が居るので致し方なく。後は、【鮮血の】さんにオーダーメイドで作って貰ったPCの小物とか、だな。

PCは、支給されるけど……その周りの電子機器は、別払いだ。

俗に、外部接続端末的な小物。現代風に言うなら、マウスとかキーボードとかの消耗品。お陰様で、出費がそこそこあったりする。

まあ、師匠からいただいている小遣いでなんとかなってますが……無かったら地獄だった。アハハハ……いや、笑い事じゃねぇな。まあ、《黄金律》があるとは言え【組織】ではそんなに効果がある感じでも無い。だから、あそこでは実力でもぎ取らないと駄目らしい。お金にしろ、権力にしろ実力が無ければソッポを向かれてしまうのが【組織】という場所だ。

 

「でも、あそこで買い物依存症は不味いだろ?そろそろ、別の方向へ促したらどうだ?」

 

「ん?それ、どういう意味だ?」

 

「ああ、三桜の買い物依存症は浅上兄妹による催眠で引き起こされている現象なんです」

 

「……催眠…………」

 

「催眠って言うか……暗示、かなぁ?」

 

「アイツ、昔はメッチャ太ってたんですよ」

 

そうそう、メッチャ巨体だったなぁw。三桜……って言うか、桜坂穂波さんですね?知ってた。つか、彼女と浅上兄妹しか生前の正体を知らぬ俺……わかり易い奴しかわからぬ鈍感です。

 

「生前、色々あって……ストレスで、過食症を引き起こしていたんで暗示で買い物依存症へと方向を変えたんです」

 

イジメじゃねぇぞ?桜坂は、幼い頃はスッゲー美少女だった。

それで、その容姿に一目惚れした彼女のハトコがストーカーになって桜坂をその独占欲で色々やらかしてくれたから参っちまって……で、俺達って言うか、浅上兄妹が助けて引き離した。だけど、幼い子供の惚れた腫れた話で警察が動いてくれるハズもなく……浅上兄妹が見ている間だけ、桜坂は自由に過ごせたってだけの話。

そのストーカー君も、ストレス太りした桜坂を見て『裏切られた!』とか支離滅裂な事を喚きながら離れちまった。それでフチギレた美愛を宥めるのにどれだけの労力を持って行かれたか(涙目)……テメェのした行為の結果なのに、裏切られたもヘッタクレも無いわ(怒)!後始末くらい、して行きやがれ!!

 

「あの子ん家、それなりに資産家だったんで……御両親も、ブクブク太っては健康にも悪いだろうからって了承をいただきまして……買い物依存する方向で過食症を治したというか逸らしたんです。最初は、生活用品とか買わせてたんですけど……」

 

「いつの間にか、俺達の手を離れて好きな物を買い漁ってたんですけどね?まあ、本人に罪悪感があったんでブランド物には手を出さなかったみたいですが……」

 

それが、転生した事によってタガが外れてしまった。

それまでは、御両親のお金だからとか自分で稼いだお金だからと節約していたみたいだった。だけど、転生者支援で成人するまでは幾らでも好きなだけ支援して貰えた事もあって最近はあるだけ使ってしまう様になってしまう。つまり、悪化した。

 

「なんで、消費させる方向で暗示なんて掛けるんだ!?そこは、生産欲の方向で微調整が妥当だろ!?」

 

「OK。じゃ、科学方面で洗脳するか魔法方面で洗脳するか選んで?流石に、ただの暗示や催眠じゃ不安だろ?」

 

生産を!と言うのが師匠で、その背後から有栖川達とアルバイト計画を立てていたハズの【鮮血の】さんが飛び出して来て恐ろしい事を言い出した。俺の常識では、科学的な洗脳ってヤバいヤツなんだけど……薬とか、洗脳とか、肉体改造とか!!

 

「【鮮血の】煩い。僕の台詞を取るんじゃない。さて、科学と魔法それぞれの利点を説明しよう。一応、両方共削除と再施行が可能だ。副作用もそんなに無い。ただ、科学の方は三回目辺りからちょっとキツ目の薬品が使われるってくらいだ。副作用は、まあ、ちょっと、ある、かな?」

 

やっぱり、ヤバいヤツだ!!(確信)

 

「良くて、ちょっと忘れッポクなるだけ。悪くて、記憶の混濁とか人格の歪みかな?後腐れなくやるなら良いけど、幼馴染みにやるなら魔法をオススメするよ?」

 

「「「「「魔法で!!!」」」」」

 

思わず、幼馴染み全員の声が揃う。

いや、まあ、普通に知り合いが性欲の捌け口みたいにされるのは寝覚めが悪いから。くっ……工ロゲー思考から離れられない。

 

「チッ。なら、本部に戻らないとイケないね。まあ、そっちは申請すれば通るから……後は、君達の処置かな?」

 

え、処置!?処置って、何されるの!?

 

「それじゃぁ、怖がらせるだけだろ?保護された者の登録があるんだ。そういう意味の処置だから安心すると良い」

 

「ま、エ口ゲー思考から離れられないだろうし、な?」

 

「「「「「……………………」」」」」

 

【鮮血の】さんの視線が、こちらに向けられると同時に幼馴染み全員の視線があらぬ方向へと逸らされる。つか、これ……思考誘導とかされてません?クソッ、言葉選びの段階でそっち方面に思考が流れる様に誘導された模様。お陰様で、俺の幼馴染み達は皆エ口ゲー思考から離脱出来ないよ!!

 

「畜生!使われた言葉が、連想させるモノばかりだ!!」

 

「犯人は、【鮮血の】さんだな!?」

 

「そう言えば、シショーくんはまともな事しか言って無かった気がする。てか、ワザと?ねぇ、ワザとなの!?」

 

「そういやぁ、洗脳とか暗示や催眠なんてモロじゃんか!!」

 

「薬は、シショーくんが言ってたが……アレも計算の内か……」

 

ワザとらしく、それッポイ言葉を選んで相手の思考を誘導。

此方の反応を見て、楽しみつつ更にブッ込んで弄ぼうとしていやがる。師匠も、途中で気が付いた癖に訂正もせずに話を続けてた辺り面倒になったのだろう。あの人は、【鮮血の】さんが関わるとそれだけで怠惰な気分になるらしいから……師範代達からのリーク。悪戯なら、奮起する癖に他はやる気が無くなるという……その結果、俺達は【鮮血の】さんに弄ばれる。つか、三桜の依存症で遊ばないで欲しい。アレは、本当に困った病気だからな!?

原因が、ストレスと言うのもあって付け焼き刃程度の知識では方向性をズラす暗示が限界だった。というか、過食症を買い物依存症に変更出来ただけでも褒めて欲しいレベルだ。破産確定待った無しだけど。結局、『消費』という分類からは逃れられなかった。

まあ、本人もソレを治したいという意欲があったからこその結果だ。これ以上、肥りたくないって思ってただけかも知れない。

依存症が、買い物方面へとシフトした後はあっという間に痩せた桜坂穂波。その為、ストーカー君がまた桜坂を付け狙うんじゃ無いかと冷や冷やしたけど……そんな気配は、露程も無く。桜坂は、平穏な日々を過ごしていたとのこと。

 

「そういやぁ、ストーカー野郎は桜坂が痩せた後……何してたんだ?まさか、別の対象でも居たのか!?」

 

「いや……まあ、良いか。『やっぱり、穂波は僕の事を愛していたんだね!』とかほざきながら付き纏っていたぞ?」

 

「まあ、動くのはわかってたし……高校生になってたから、証拠を集めて警察に提出すれば簡単に接近禁止を受けてたわよ?」

 

「成る程。お前等が動いて、排除したんだな?つか、亮……今のは、男の俺でもゾッとしたんだが……」

 

つか、なんか嵌まり役ッポクて声優とか進めたくなるレベル。

ちょっと、太めのロリコンッポイキャラクターとかやってそうw。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「満男。お前、成長したんだな?」

 

「みっくん、こんなに立派になって……」

 

「ええい!母親面するんじゃない!!同級生だろう!?ああ、泣くな!ガチ泣きするな!!」

 

全く、これだから幼馴染みってヤツは……調子が狂う。つか、お前等……俺が、ストーカーキャラみたいなイメージを持っていただと!?いや、まあ、昔の俺ならそれ程ハズレた感じじゃぁ無いんだろうけれど……今は、翼一筋ですから!!って、翼を失ったからあんな風になってしまっただけで基本まともだったぞ!?

つーか、翼を奪ったのは俺を転生させたアホ神だから……全ては、神様が悪いんだ。だから、『己ェ、神めぇ!!』と唸っておく。

まあ、《神殺し》のお約束らしいから、ねぇ。なんでもかんでも、全ては神様が悪いのである。いや、諸悪の元凶だけれども!!

 

「なんでもかんでも、神様の責任にするのはアカン!って言いたかったけど……大体、神様が糸を引っ張ってたんだよなぁ……」

 

「結局、お前もその結論に至るか……」

 

「でも、奏を俺から奪ったのはアイツで……奏が居れば、リア充の道を歩んでたのは間違い無いんですよ!?」

 

「たらればの話は、無いものとしろ……とは言え、僕にも経験はある。まあ、僕の場合は神が不在だったせいなんだが……」

 

何の話なんだか?神って事は、管理者が不在だった世界があったって事?いや、その時だけ別の所に居た可能性もあるのか?理由はさておき、師匠が生まれた世界では管理者が不在だったらしい。

 

「管理者不在の世界なんてあるんですか?」

 

「神様業は、基本ブラックだからな?24時間365日、休憩もお休みも無い状態で自身が消滅するまでが基本だ」

 

「ブラック企業も真っ青な漆黒企業!!」

 

「漆黒って……いや、まあ、意味は通じるけども!!」

 

「黒色無双レベルで、真っ黒なお仕事ですね!!」

 

「つか、そら悪落ちしても仕方がないッスよ!!」

 

「休憩くらいはあると思ってた!」

 

人間なら、一日八時間45分休憩が義務付けられているけど。

そっかぁ、神々の場合……際限無く休憩する事が出来るのか!!

24時間365日だもんな?人間のルールを参考にすると、休憩時間が際限無くなる訳だ。とすると、暇潰しで遊び始める馬鹿が出ちゃうのか。いや、ま、うん。なんだかなぁ……(呆れ)。

 

「下手に休憩とか与えると、その休憩で転生ゲームとか始めちゃうんだよなぁ……結果、君達の様な犠牲者が……」

 

「……………………」

 

「…………それは……何とも言えない」

 

知ってt……否、予想出来てた。そうですよね。24時間365日なら、休憩時間って際限が無くなります。永遠って訳じゃ無いけど、延々と休憩してられますね!仕事を後回しにすれば、それはもうひたすら遊んで居られましょうとも。仕事は、後でも出来るんだから。先に休憩を取っても、支障無ければ問題無い訳だ。で、その間に適当な魂を選んで転生させれば転生ゲームの始まりである。

 

「成る程。嫌な話ですね?温情を掛ければ、仇で返される訳か……で、温情が無ければ悪落ちして暴走っと?」

 

救いの無いお仕事だな?温情を与えても、与えなくても神々が暴走を始めるなんて地獄でしかない。なまじ、《神殺し》が正常に機能してる分神々が異常の様に聞こえるのは致し方ないけど……ちょっと、暴走し過ぎじゃぁありませんかねぇ?

 

「一部だよ?一部。暴走してるのは、全体の一割にも満たない」

 

「だとしても、業務に耐えられない粗悪な人材が居る訳でしょう?まあ、人間でも似た様な感じではありますけど……」

 

つか、こうして聞くと神様も人間も性能が似たり寄ったりなんだなぁと思わずにはいられない。まあ、そもそも人間は神々の様な力を抜いて見た目と性質を模倣した生物らしいから似てて当たり前なんだけど。この、そこはかと香る残念仕様が何とも。もう少し、完璧な存在であれば遠くから眺めて要られたんだろうけど……いやはや、手を伸ばせば届きそうなのが面倒事なんだよなぁ。

 

「とりあえず、補給が済みしだい次の世界へ行くぞ!!」

 

「えー!?もうちょっと、ゆっくりして行こうよぉ!!それに、神崎君達の交流も考えないと掲示板の住人がウォーティーに告げ口しちゃうかも知れないだろう?」

 

「…………で、お前の望みはなんだ?」

 

「ふふふ。寄 り 道 ♪。ちょっと、彼処でいじけている監視役も回収してくれるとありがたいかな?」

 

「…………監視役?ああ、凍真か!!そう、言やぁ……居なかったな?完全に忘れ去ってたわ……」

 

「酷い!記憶の片隅にすら残っていないだなんて……」

 

「いや、酷いって言われても……それに、同じ時間軸内にいなくても監視は可能なんだから問題無いのでは?」

 

そんなことを言いながら、フラフラっと凍真に近付いた師匠はゴチン!といじけている凍真の頭に拳骨を落とした。その結果、凍真が頭を抱えて悶絶し始めた……まあ、普通に痛いわな?

わかるよぉ?とっても。でも、体験したいとは思わない。

 

「それに、な?掲示板の連中が、掲示板経由で幼馴染み達を交流させるのはどうか?と言っているんだ」

 

「フム。まあ、言われるだろうとは思っていた。アイツ等には、交流が必要なのはわかってるさ。時間を掛けるべきだとも思ってる……だが、圧倒的に時間が足りない。一番は、人手だが……」

 

「まあ、彼方の動きもそこそこ活発だからなぁ……というか、人手と言えばお前のアガシオンはどうなんだ?」

 

「一応、皆から魔力を借りているとは言え十分に使える状況とは言えない。それに、システム・ユグドラシルの出力と言うよりそれを保護する技術の方が不足している。ハルコンが透明で、太陽熱を通さねば幾らでもシステム・アガシオンを使えるんだがな」

 

「技術不足、か。耐熱ガラスでも、太陽熱を完全には遮断できないからなぁ?結局、中身が溶け出して内外から破られるんだよなぁ……だからと言って、熱をエネルギーに変換する様にしても最終的に耐えられずに壊れるだろうし……」

 

「精神感応系のオリハルコンを使ったら加工に時間が掛かるだけだしなぁ?まあ、耐熱問題は解決するけど……」

 

「ああ……あの、精神力で形を変えて固定するヤツか……」

 

はい。師匠と【鮮血の】さんが、技術談義を始めてしまいましたよっと。良く聞く、魔法金属の話をされておられますが内容はちんぷんかんぷんです。そりゃ、わかる所はわかるんだよ!?

でも、精神感応系のオリハルコンって何ですか!?精神力で、形が変わる?意味不明なんですが!?後、固定化も精神力でするんですか!?流れ的には、そういう事なんだろうけど……意味不明。

そんな、オリハルコンがあるとは聞いた事がないんですけど!?

まあ、とりあえず……移動ですね?移動!!

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

そして、またもややって来ました【組織】本部はセフィロト!!

今日は、移動が多いけど俺達がやる事は幼馴染み達との交流だそうです。掲示板の住人達から、掲示板経由で交流するのは不健全だと言う事で今回は顔を会わせての交流会なんだとか……俺は兎も角、翼には必要だと思われるので否定はしない!!

 

「とは言え、交流会と言えども何をすれば良いのやら?」

 

「とりあえず、近況報告が一番かな?私は、それ以外でも構わないんだけどぉ……出来れば、みっくんとカナっちの馴れ初めが聞きたい!!つか、聞かせろ!じゃないと、黒歴史を晒すわよ!?」

 

「止めろ!全く、恋話好きのおばちゃんか!?」

 

「恋話と言えば、女の子!!女の子と言えば、恋話って言うくらい女の子と恋話は切り離せないのよ!!」

 

「ハハ、女の子って言う年かよw」

 

「あ。おい、有栖川!?」

 

「お前のそう言う所が、駄目なんだと思われる……」

 

「ふふふ。良いのね?アンタの黒歴史を掲示板に流して……」

 

「え!?ちょ、どういう事だってばよ!?」

 

そう言って、慌て始める有栖川。しかし、時すでに遅し……奴は、掲示板のアイドルになった。まあ、だからと言って俺の暗黒歴史流して道連れにしようとも誰のコメントも無い。どうも、悲惨過ぎて誰も何も言えないらしい。下手にコメントしようモノなら、皆に寄ってたかって村八分にされるので完全にスルーされる。

そして、晒した馬鹿は特定されて叩かれるんだと。

 

「しかも、腫れ物を扱う様な反応……」

 

「生暖かい視線を向けられる」

 

「同情の様でいて、可哀想なモノを見る様な目で……」

 

「師範代達、いつから居たんッスか!?」

 

「最初から、居ったぞ?兄様」

 

「一応、私達は兄様と姉様の護衛という立場なので……」

 

「でも、ここ、《神殺し》の本拠地だろう?」

 

「では、掲示板の住人が押し掛けても良いのじゃな?」

 

「……あ、そっちか。いや、うん……確かに、押し掛けられるのは困るか……ちょっと、会ってみたい気はするけど」

 

だからと言って、実際に会うのは師範代達の反応を見るにちょっと難しい感じがする。まあ、『戦闘狂』なんてコテハンの奴も居るくらいだし問答無用で向かって来られる可能性もあると思われ。

それに、それぞれの思惑みたいなモノもあるらしいから余り他の人員と関わらないで欲しいみたいだ。【組織】的な思惑とか、個人的な思惑とか色々あるみたいだから仕方がない。とりあえず、師匠的には幼馴染み達との交流を優先して欲しいみたいなので掲示板の住人と会うのはまた今度。

 

「恋話はさて置いて、交流って何すりゃ良いんだろうな?」

 

「メンバーも、まだまだ限られてるし……バーベキューとか?」

 

「バーベキュー、か……まあ、食い物は必要だよな?」

 

「後、飲み物も……それから」

 

言って、美愛の視線が一点を見詰めて固まった。見れば、美愛の顔色が抜けて青くなっている様な?それを確認した瞬間、とても嫌な予感がした。この場で振り返ると、思わず走り出さずにはいられなくなるような……そんな予感がする。つか、【組織】の玄関口である船の駐留港にはお土産やさんみたいなモノは無いハズなんだが……誰か、嫌がらせの如く出店でもやっているのか!?

恐る恐る振り返ると、どこかで見たような出で立ちの女性が大きな船の前で誰かと話をしている様だ。その様子から、見て取れるのは……宇宙船?次元船?いずれにしろ、【組織】が売ってる船って幾らくらいするのだろうか!?

 

「神崎の貢献ポイントを全部お金に変えても払えんなw」

 

「しかもアレ、新型の高速移動船じゃぁ……」

 

「あ、因みに僕のは中古と言う名の新品だったりする」

 

「ボクが、内部メンテナンスの際に飲み物を溢しただけで中古にされました。いや、わかるけど!!」

 

「いやー、良い買い物だったぜw」

 

「二度と、買い食いメンテはしないと誓いました」

 

「何やってるんですか!?」

 

「もちろん、値切り交渉w」

 

「三割も引かされました……清掃するって言ったのに!」

 

「甘味料の飲料水だったら考えたけど、ブドウ糖のガチ砂糖をブチ撒けたんだ。当然、解体清掃してくれるんだよな?」

 

「……隙間を塞ぐ粘りも清掃します!ってか?やるか!!」

 

「因みに、僕はやった。まあ、アレくらいの技術はあるからな?」

 

だからって、新品を三割引きにしなくても良いと思わずにはいられない。しかも、内部で買い食いしてただけなのに三割引きとか……とんでもない、値切り交渉である。まあ、俺も似た様な発想を持ち出すかも知れないけど、【鮮血の】さんに喧嘩を売る訳にもいかない。報復も怖いし、なぁ?清掃してくれるなら、それで良しとしそうだ。そう言えば、報復と言えば掲示板の住人達である。あの人達のお陰で、この微妙な時間を過ごさせられている訳だからそのお返しはして置くべきだろう。

 

「ちょいっと、掲示板でドラゴンの肉……おねだりしてみるか?」

 

「ドラゴンの肉……おねだり……」

 

「苦労人こと、リュウさんの尻尾を献上して貰おうw」

 

「リュウさん……って、尻尾無かった様な気がするんですけど?」

 

「あの人、ドラゴンだぜ?」

 

「鬼畜か!?つか、知り合いの尻尾要求してんじゃねぇよ!?」

 

「わかってるよ。だから、報復になるんだろう?」

 

「まあ、微妙な時間ってのは否定しないけど……フム。報復か?」

 

亮も、ノリ気になったのか口元に拳を当ててニヤリと笑う。

コイツが、こういう顔をした時はこっちの提案に乗っかったって事だ。さてさて、それじゃぁ皆でウィンドを開いて掲示板に『苦労人1の尻尾を寄越せ!!』と書き込み続ける。その内、苦労人1の悲鳴が上がった辺りで書き込みを止めた。

 

「その内、ドラゴン肉の差し入れがあるだろう……」

 

「リュウさんの尻尾!?」

 

「いや、たぶん、養殖の方かと……」

 

「ドラゴン、養殖されてるのか……」

 

「地竜が、なw……あ、養殖場には近付くなよ?追い回されるからな?《縮地》訓練で、置いて行かれた挙げ句、百匹近い地竜に追い回されたから……」

 

「お前、色々経験し過ぎじゃね!?」

 

「ふへへへ……」

 

いや、経験してる訳じゃなくて……経験させられているだけです。

 

 

 

 

 




組織でのヒトコマ。まあ、やる事は掲示板テロだけどなw。
今頃、荒れてるぞw。因みに、神崎くんのアイドル動画が掲示板に流出しました。ま、本編にあるようにスルーされて温かく見守られているがな!!歌って踊ってきゃるーん♪が流出!アハハハ……死んだな、神崎。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

作者のどうでもいい話。

私には、どうしようも出来ない悪癖があります。
例えば、主人公達に悲惨な運命を押し付けて行き着く所まで進めるという悪い癖が……その癖、悪人キャラにはフワッと対応。止めときゃ良いのに、断罪を軽くするという悪い癖が……あるんだよなぁ。
ぶっちゃけ、悪い奴の結末は行き着く果てで良いのに改心させたり仲間に引き込んだりしちゃうんだよ。にも関わらず、主人公達は最悪の結末へと至る事がしばしば。なので、この物語を書く際はコメディを意識して書いてはいるんだけど……中々、この癖が抜けなくて困ってたりします。ええ、神崎がギルガメッシュ(筋肉質)の姿で女装して『きゃるーん♪』とか言ってたりしてるのが、それに当たるかな?その内、『慣れるだろう』とか思ってたりもします(鬼畜)。
発狂してくれるなら、それはそれでも良いけどねwww。
双夜は、神崎の影に隠れて主人公放棄とかしてるのでそんなにではありませんが……忘れた頃に主人公やってるので大丈夫なのかな?
主人公、仕事してねぇwww!!と言わないで下さい。奴は、暗躍するのが仕事だ。って事で、この物語が割りとハチャメチャなのは言うまでもなく……割りとヒャッハーしてても問題無かったりするんだなぁw。基本、両極端な私なんですが……読み手としては、どっちが良いですか?主人公、地獄モードかイージーモードか……悪役、イージーモードか地獄モードか。作者は、主人公側をルナティックにして悪役をユルユルにしそうです。

条件ーーー物語をコメディ。世界を現実。転生者を被害者。神様を元凶……としたなら、どんな物語が出来るんでしょうね?っていう問い。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも、読んでくれてありがとうございます。

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